(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ベースフィルムは、所定方向にのみ光を透過させる機能フィルムと、光透過性を有し前記機能フィルムを覆う表面保護フィルムと、を有している、請求項1から9のいずれか一項に記載の視野角変更フィルム。
前記ベースフィルムは、光透過性を有し前記機能フィルムを挟んで前記表面保護フィルムと対向する裏面保護フィルムを有している、請求項10に記載の視野角変更フィルム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。本発明に係る視野角変更フィルムは、例えば、ノートパソコン、デスクトップ型のパーソナルコンピュータ、サーバ、タブレット型コンピュータ、スマートフォン等、種々の電子機器に適用可能である。
【0013】
以下の実施形態は、本発明に係る視野角変更フィルムをノートパソコンに適用した例である。なお、各添付図面においては、同一又は同様の部材には、同一の符号を付している。
【0014】
まず、
図1を参照しながら、第1実施形態に係る視野角変更フィルム1及びノートパソコン10の概要について説明する。
図1は、視野角変更フィルム1及びノートパソコン10を示す斜視図である。ノートパソコン10は、本体5と、蓋体6とを有している。
【0015】
本体5は、扁平な箱形状を呈する筐体50を有している。筐体50は、上カバー51と、下カバー52とを互いに対向させて取り付けることにより構成されている。筐体50の内部には、不図示の基板、CPU、メモリ、HDDやSDD、バッテリ等が収容されている。筐体50の上カバー51側には、キーボード54やタッチパット56等の入力手段が設けられている。
【0016】
蓋体6は、本体5の後端にヒンジを介して接続され、本体5に対して開閉可能に構成されている。蓋体6は、LCDモジュール61と、カメラレンズ62と、ベゼル66と、を有している。
【0017】
LCDモジュール61は、表示パネルの一例であり、グラフィックス・コントローラから受信する制御信号等に基づいて各種情報を表示する。LCDモジュール61の外形は正面視で長方形を呈している。
【0018】
ベゼル66は長方形の枠体であり、その枠内を介してLCDモジュール61を露出させている。カメラレンズ62は、撮影装置であるカメラの一要素であり、ベゼル66の幅方向の略中央部に配置されている。
【0019】
ノートパソコン10には、視野角変更フィルム1が取り付けられている。後述するように、視野角変更フィルム1は、LCDモジュール61の視野角(つまり、使用者の視線がLCDモジュール61に対して成す角度であり、LCDモジュール61の表示内容を目視可能な範囲。)を変更する機能を有している。視野角変更フィルム1は、LCDモジュール61を覆うように取り付けられる。ノートパソコン10の使用者は、この視野角変更フィルム1を介してLCDモジュール61の表示内容を目視する。
【0020】
次に、
図2を参照しながら、視野角変更フィルム1の構成について説明する。
図2は、視野角変更フィルムを示す分解図である。視野角変更フィルム1は、ベースフィルム2と、取付フィルム3と、光学粘着剤4と、を備えている。
【0021】
ベースフィルム2は、視野角の変更を担う部材である。ベースフィルム2の外形は正面視で長方形を呈しており、そのサイズはベゼル66(
図1参照)の枠内と略同一である。ベースフィルム2の厚さは0.35mm程度である。
【0022】
ベースフィルム2は、表面保護フィルム2aと、機能フィルム2bと、裏面保護フィルム2cと、を積層させることにより構成されている。表面保護フィルム2a及び裏面保護フィルム2cは、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、アクリル等、可視光を透過させ、可撓性を有する熱可塑性樹脂を基材として形成されている。表面保護フィルム2a及び裏面保護フィルム2cは、機能フィルム2bを挟んで保護するとともに、ベースフィルム2の剛性を担保している。機能フィルム2bは、その内部に複数のルーバ(不図示)を有している。各ルーバは、可視光を透過させない材料により、直線的に延びるリブ状に形成されている。複数のルーバは、互いに間隔を空けて平行となるように配置されており、各ルーバの間には、可視光を透過させ粘着力を有する中間材(不図示)が配置されている。表面保護フィルム2a及び裏面保護フィルム2cは、当該中間材の粘着力により、機能フィルム2bの一側面と他側面とに粘着している。このような構成により、機能フィルム2bは、ルーバに遮られない方向にのみ光を透過させる。
【0023】
取付フィルム3は、視野角変更フィルム1の取り付けを担う部材である。ベースフィルム2は、この取付フィルム3に積層されている。取付フィルム3は、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、アクリル等、可視光を透過させ、可撓性を有する熱可塑性樹脂を基材として形成されている。取付フィルム3は、矩形部3aと、複数の取付部31,32と、を有している。
【0024】
矩形部3aは、外形が正面視で長方形を呈する部分である。矩形部3aの縦方向及び横方向の寸法は、ベースフィルム2のものと略同一である。
【0025】
取付部31,32は、取付フィルム3の端部に設けられている突起である。取付部31,32は、矩形部3aの端部から外方に突出するように形成されている。つまり、取付フィルム3の外形は、取付部31,32の分だけ、ベースフィルム2の外形よりも大きい。
【0026】
取付部31は、矩形部3aの各長辺に2つずつ設けられ、取付部32は、矩形部3aの各短辺に設けられている。取付部31,31は、互いに間隔を空けて配置されるとともに、矩形部3aの長辺の中央部からオフセットした位置に配置されている。取付部32,32も、互いに間隔を空けて配置されている。取付部31を矩形部3aの長辺に3つ以上設けたり、取付部32を矩形部3aの短辺に3つ以上設けたりすることもできる。
【0027】
このような矩形部3a及び取付部31,32を有する取付フィルム3は、厚さが一様の薄膜状の材料を、その厚さ方向に打ち抜くことにより形成されている。このため、矩形部3aと取付部31,32とは一体的に形成されており、それらの厚さは互いに等しい。詳細には、取付フィルム3の厚さは0.15mm程度で一様である。つまり、取付フィルム3の厚さは、ベースフィルム2の厚さ(0.35mm程度)よりも小さい。
【0028】
光学粘着剤4は、OCA(Optically Clear Adhesive)や OCR(Optically Clear Resin)とも称され、可視光を透過させる薄膜状の部材である。光学粘着剤4の外形は正面視で長方形を呈している。光学粘着剤4の縦方向及び横方向の寸法は、ベースフィルム2のものと略同一である。光学粘着剤4の厚さは0.05mm程度で一様である。つまり、光学粘着剤4の厚さは、ベースフィルム2の厚さ(0.35mm程度)や取付フィルム3の厚さ(0.15mm程度)よりも小さい。
【0029】
光学粘着剤4は、ベースフィルム2と取付フィルム3との間に配置される。光学粘着剤4は、その一側面においてベースフィルム2と接着しており、他側面において取付フィルム3と接着している。すなわち、ベースフィルム2は、光学粘着剤4を介して取付フィルム3に対して接着されている。
【0030】
前述したように、ベースフィルム2、取付フィルム3の矩形部3a、及び光学粘着剤4は、その縦方向及び横方向の寸法が互いに略等しい。ベースフィルム2、取付フィルム3の矩形部3a、及び光学粘着剤4は、正面視で外形線が略一致するように配置されている。これにより、ベースフィルム2は、その略全体が光学粘着剤4を介して取付フィルム3に固定されている。取付フィルム3の取付部31,32は、取付フィルム3に固定されたベースフィルム2の端部よりも外方に位置している(
図1参照)。
【0031】
次に、
図3から
図5を参照しながら、LCDモジュール61への視野角変更フィルム1の取り付けについて説明する。
図3は、視野角変更フィルム1及びノートパソコン10を示す正面図であり、ノートパソコン10の蓋体6の周辺を示している。
図4は、
図2のIV−IV断面を示す断面図である。
図5は、
図2のV−V断面を示す断面図である。理解を容易にするため、
図4及び
図5では、取付フィルム3や光学粘着剤4の厚さは実際よりも若干大きく図示されている。
【0032】
図4に示されるように、ノートパソコン10の蓋体6は、Aカバー63と、Bカバー64と、ベゼル66とを有している。Aカバー63、Bカバー64及びベゼル66は、蓋体6の外殻を構成する部材である。Aカバー63とBカバー64とは互いに間隔を空けて配置されており、それらの間には、アンテナモジュール67やアルミシート68等の部品が配置されている。
【0033】
ベゼル66は、Bカバー64の正面側に配置されている。前述したように、ベゼル66は、中央部が開放された長方形の枠体である。ベゼル66は、薄膜状の接着テープ65を介してBカバー64に接着されている。
【0034】
ベゼル66とAカバー63との間には、LCDモジュール61が配置されている。LCDモジュール61は、その周縁がベゼル66によって覆われている。LCDモジュール61の周縁とベゼル66との間には、空隙7が形成されている。
【0035】
図3に示されるように、空隙7には、複数の接着シート81,82が配置されている。複数の接着シート81,82は、接着層の一例である。
図3では、ベゼル66の背面側に配置されている接着シート81,82や、取付部31,32が破線により示されている。接着シート81は、LCDモジュール61の長辺に沿って延びるように配置され、接着シート82は、LCDモジュール61の短辺に沿って延びるように配置されている。ベゼル66は、接着シート81,82を介して、LCDモジュール61の周縁の数か所に接着されている。
【0036】
複数の接着シート81は、互いに間隔を空けて配置されている。隣り合う接着シート81,81の間には、空隙71が形成されている。空隙71は、空隙7のうち、接着シート81,81の間に位置する部位である。空隙71は、LCDモジュール61の各長辺と対応する部位に設けられている。空隙71の幅寸法は、取付部31の幅寸法よりも若干大きい。空隙71,71の間隔は、取付部31,31の間隔と略同一である。
【0037】
同様に、複数の接着シート82も、互いに間隔を空けて配置されている。隣り合う接着シート82,82の間には、空隙72が形成されている。空隙72は、空隙7のうち、接着シート82,82の間に位置する部位である。空隙72は、LCDモジュール61の各短辺と対応する部位に設けられている。空隙72の幅寸法は、取付部32の幅寸法よりも若干大きい。空隙72,72の間隔は、取付部32,32の間隔と略同一である。
【0038】
視野角変更フィルム1の取り付けの際は、
図3及び
図5に示されるように、取付部31が空隙71に挿入される。さらに、取付部32が空隙72に挿入される。視野角変更フィルム1を撓ませることにより、全ての取付部31,32を空隙71,72に挿入させることができる。撓んだ視野角変更フィルム1が元の形状に復元すると、取付部31,32の挿入が完了する。
【0039】
空隙71,72への挿入が完了した取付部31,32は、ベゼル66に係止する。この結果、視野角変更フィルム1はノートパソコン10に対して固定される。視野角変更フィルム1のベースフィルム2は、取付フィルム3及び光学粘着剤4を挟んでLCDモジュール61と対向配置される。
【0040】
ノートパソコン10の使用者は、ベースフィルム2、光学粘着剤4及び取付フィルム3を介してLCDモジュール61の表示内容を確認する。使用者が、ベースフィルム2に対して略垂直な法線N(
図1参照)に沿う方向からLCDモジュール61を目視する場合、視野角変更フィルム1は、LCDモジュール61の表示内容を容易に目視可能とする。詳細には、使用者は、ベースフィルム2の内部に配置されている複数のルーバに視線を遮られることなく、LCDモジュール61の表示内容を目視することができる。さらに詳細には、使用者は、複数のルーバ間の隙間を介して、LCDモジュール61の表示内容を目視することができる。
【0041】
これに対し、使用者が、法線Nに対して角度θ以上傾斜する方向からLCDモジュール61を目視する場合(つまり、
図1の直線Lよりも外方からLCDモジュール61を目視する場合)、使用者の視線はベースフィルム2のルーバによって遮られる。具体的には、使用者にはベースフィルム2が黒く見え、LCDモジュール61の表示内容を目視できなくなる。すなわち、視野角変更フィルム1は、LCDモジュール61の視野角を狭くする。このような視野角の変更により、LCDモジュール61の表示内容が他人によって覗き見られることを防止できる。
【0042】
次に、視野角変更フィルム1及びノートパソコン10の作用効果について説明する。
【0043】
視野角変更フィルム1の態様によれば、取付部31,32はベースフィルム2と別体に形成されているため、ベースフィルム2の一部の厚さを小さくするような複雑な成形や加工を施すことなく、取付部31,32を設けることができる。
【0044】
ここで、
図6を参照しながら、比較のための他の実施形態に係る視野角変更フィルム1A及びノートパソコン10Aについて説明する。
図6は、他の実施形態に係る視野角変更フィルム1A及びノートパソコン10Aを示す正面図であり、ノートパソコン10Aの蓋体6の周辺を示している。視野角変更フィルム1A及びノートパソコン10Aの構成のうち、前述した視野角変更フィルム1及びノートパソコン10の構成と同一のものには同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0045】
視野角変更フィルム1Aは、その取付部31A,32Aの形状が、前述した取付部31,32と異なる。具体的には、取付部31A,32Aは、取付部31,32のように矩形部3aと一体的に形成されたものではない。他の実施形態に係る取付部31A,32Aは、互いに独立した小片である。すなわち、視野角変更フィルム1Aは、矩形部3aを備えていない。
【0046】
取付部31A,32Aは、その一部がベースフィルム2に接着され、他部がベースフィルム2から外方に突出するように配置されている。当該取付部31A,32Aの他部が空隙71,72に挿入され、ベゼル66に係止することにより、視野角変更フィルム1Aはノートパソコン10Aに対して固定される。
【0047】
このような形態においても、ベースフィルム2に複雑な成形や加工を施すことなく、視野角変更フィルム1Aをノートパソコン10Aに取り付けることが可能になる。しかしながら、一点鎖線310A,320Aで示されるように、取付部31A,32Aの外形が使用者に目視されてしまう。詳細には、取付部31A,32Aのうち、ベースフィルム2に接着された部位の外形が、ベースフィルム2を介して使用者に目視されてしまう。このため、視野角変更フィルム1Aやノートパソコン10Aの意匠性が損なわれたり、使用者がLCDモジュール61の表示内容を目視する際に邪魔になったりするという点で、改善の余地がある。
【0048】
これに対し、第1実施形態に係る視野角変更フィルム1及びノートパソコン10は、光透過性を有し、厚さがベースフィルム2よりも小さく、且つ、正面視で外形がベースフィルム2よりも大きい取付フィルム3を備える。ベースフィルム2は、取付フィルム3に積層される。取付フィルム3は、ベースフィルム2の端部よりも外方に取付部31,32を有する。
【0049】
この態様によれば、取付部31,32を構成する部材の外形が、ベースフィルム2を介して使用者に目視されることはない。この結果、視野角変更フィルム1及びノートパソコン10の意匠性が損なわれたり、LCDモジュール61の表示内容を目視する際に邪魔になったりすることを防止できる。
【0050】
ベースフィルム2は、その略全体が取付フィルム3に固定されている。
【0051】
この態様によれば、視野角変更フィルム1の使用中に、ベースフィルム2が撓むことを抑制できる。この結果、ベースフィルム2が撓むことによって使用者による目視が阻害されてしまうことを抑制できる。
【0052】
ベースフィルム2は、光学粘着剤4を介して取付フィルム3に接着されている。
【0053】
前述したように、光学粘着剤4は可視光を透過させる。したがって、この態様によれば、使用者によるLCDモジュール61の目視を阻害することなく、ベースフィルム2の略全体を取付フィルム3に固定することができる。
【0054】
取付部31,32は、複数設けられ、取付フィルム3の周縁に沿って互いに離間して配置されている。
【0055】
この態様によれば、視野角変更フィルム1を撓ませることにより、空隙71,72に取付部31,32を挿入することができる。
【0056】
取付部31,32は、取付フィルム3の一辺の中央部からオフセットした位置に配置されている。
【0057】
ノートパソコン10等の電子機器のベゼルの中央部には、使用者側を向くカメラレンズ等が配置されることが多い。取付部31を、取付フィルム3の長辺の中央部からオフセットした位置に配置することにより、カメラレンズ等と干渉させることなく取付部31を空隙71に挿入することができる。取付部31と干渉する部材がなければ、取付部31を矩形部3aの長辺の中央部にも設けたり、取付部32を矩形部3aの短辺の中央部にも設けたりすることもできる。
【0058】
取付部31,32は、取付フィルム3の少なくとも3つの辺と対応する位置に設けられている。
【0059】
この態様によれば、視野角変更フィルム1をLCDモジュール61と対向させた状態で脱落することなく固定するとともに、LCDモジュール61からの視野角変更フィルム1の浮き上がりを抑制することができる。
【0060】
ベースフィルム2は、所定方向にのみ光を透過させる機能フィルム2bと、光透過性を有し機能フィルム2bを覆う表面保護フィルム2aと、を有している。
【0061】
この態様によれば、機能フィルム2bにより視野角を変更しつつ、表面保護フィルム2aによりベースフィルム2の剛性を担保することができる。
【0062】
ベースフィルム2は、光透過性を有し機能フィルム2bを挟んで表面保護フィルム2aと対向する裏面保護フィルム2cを有している。
【0063】
この態様によれば、機能フィルム2bの機能を阻害することなく、ベースフィルム2の剛性を向上させることができる。
【0064】
前述した第1実施形態では、視野角変更フィルム1は、ノートパソコン10とは別に提供されるものとしている。しかしながら、視野角変更フィルム1は、ノートパソコン10を構成する一部品であってもよい。
【0065】
このようなノートパソコン10の態様によれば、取付部31,32はベースフィルム2と別体に形成されているため、ベースフィルム2の一部の厚さを小さくするような複雑な成形や加工を施すことなく、取付部31,32を設けることができる。
【0066】
ベゼル66は、空隙7に配置される接着シート81,82を介してLCDモジュール61に接着されている。
【0067】
この態様によれば、接着シート81,82によりベゼル66をLCDモジュール61に固定し、外力が作用した際にベゼル66が捲れ上がることを防止することができる。換言すると、接着シート81,82を配置するために形成される空隙7を、取付部31,32の挿入に使用することができる。
【0068】
接着シート81,82は、LCDモジュール61の周縁に沿って複数設けられている。取付部31は、互いに隣り合う接着シート81,81の間に形成された空隙71に挿入され、取付部32は、互いに隣り合う接着シート82,82の間に形成された空隙72に挿入されている。
【0069】
この態様によれば、接着シート81,82によりベゼル66をLCDモジュール61に固定しながらも、取付部31,32を挿入する空隙71,72を形成することができる。
【0070】
上記第1実施形態において、ベースフィルム2は、表面保護フィルム2aと、機能フィルム2bと、裏面保護フィルム2cと、を積層させることにより構成されている。しかしながら、本発明はこの形態に限定されない。例えば、表面保護フィルム2aと、機能フィルム2bのみを積層させることによってベースフィルムを構成するとともに、光学粘着剤4を介して当該ベースフィルムを取付フィルム3に対して接着することにより、視野角変更フィルムを構成することもできる。
【0071】
次に、第2実施形態に係る視野角変更フィルム1Bについて、
図7から
図9を参照しながら説明する。
図7は、視野角変更フィルム1Bを示す分解図である。
図8は、
図7のVIII部を示す拡大図である。
図9は、視野角変更フィルム1B及びノートパソコンを示す正面図である。
図9は、視野角変更フィルム1B及びノートパソコンのうち、後述する取付部33の周辺の部位を拡大して示している。
【0072】
視野角変更フィルム1Bは、第1実施形態と同様に、ノートパソコンに適用される。視野角変更フィルム1Bの構成のうち、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、説明を適宜省略する。
【0073】
視野角変更フィルム1Bのベースフィルム20は、表面保護フィルム2aと、機能フィルム2bと、を積層させることにより構成されている。つまり、ベースフィルム20は、第1実施形態に係るベースフィルム2と異なり、裏面保護フィルム2c(
図2参照)を備えていない。
【0074】
ベースフィルム20は、取付フィルム30に積層されている。取付フィルム30は、機能フィルム2bを挟んで表面保護フィルム2aと対向しており、前述した中間材の粘着力により、機能フィルム2bに粘着している。取付フィルム30は、矩形部3aと、複数の取付部33,34と、を有している。
【0075】
取付部33,34は、取付フィルム3の端部に設けられている突起である。取付部33,34は、矩形部3aの端部から外方に突出するように形成されている。つまり、取付フィルム3の外形は、取付部33,34の分だけ、ベースフィルム20の外形よりも大きい。取付部33は、矩形部3aの一方の長辺に2つ設けられ、他方の長辺に3つ設けられる。取付部34は、矩形部3aの各短辺に1つずつ設けられている。取付部33を矩形部3aの長辺に3つ又は4つ以上設けたり、取付部34を矩形部3aの短辺に2つ以上設けたりすることもできる。
【0076】
このように、視野角変更フィルム1Bは、前述した第1実施形態に係る視野角変更フィルム1と異なり、裏面保護フィルム2cや光学粘着剤4(
図2参照)を備えていない。このため、視野角変更フィルム1Bは、薄肉化や軽量化の点で、視野角変更フィルム1よりも有利である。
【0077】
視野角変更フィルム1Bは、表面保護フィルム2a及び機能フィルム2bと、それらよりも取付部33,34の分だけ予め大きく形成されたベースフィルム20と、を積層することにより製造することができる。この他にも、同一形状の表面保護フィルム2a、機能フィルム2b及びベースフィルム20を積層し、取付部33,34に相当する部分の表面保護フィルム2a及び機能フィルム2bを除去することにより取付部33,34を形成して、ベースフィルム20を製造することもできる。
【0078】
図8に示されるように、取付部33は、突出片36,37と、連結部38と、を有している。突出片は1つの取付部に対して3つ以上であってもよい。また、説明を省略するが、取付部34も、同様に複数の突出片と、それらを連結する連結部とを有している。
【0079】
突出片36,37は、矩形部3aの端部から外方に突出している。
図8は、取付フィルム30に積層されたベースフィルム20を鎖線により示している。突出片36,37は、このベースフィルム20の端部よりも外方に突出している。突出片36,37は、隙間(例えば、1mm程度)を隔てて互いに近接して配置されている。
【0080】
連結部38は、突出片36と突出片37との間の隙間に配置され、両者を連結している。詳細には、連結部38は、突出片36,37の先端よりもベースフィルム20側で、且つ、ベースフィルム20の端部よりも外方の位置で、隙間を跨ぐように両者を連結している。連結部38は湾曲しており、その縁部は略U字形状を呈している。連結部38のうち、突出片36,37と連結する端部39は、連結部38の他部と比較して幅広となっている。すなわち、連結部38は、突出片36,37との間で、断面積が徐々に変化するように形成されている。
【0081】
視野角変更フィルム1Bが取り付けられるノートパソコンも、第1実施形態に係るノートパソコン10と同様に、取付部33,34と対応する位置に空隙71,72が形成されているものとする。ノートパソコンへの視野角変更フィルム1Bの取り付けの際は、
図9に示されるように、取付部33が空隙71に挿入される。さらに、取付部34が空隙72(
図3参照)に挿入される。視野角変更フィルム1Bを撓ませることにより、全ての取付部33,34を空隙71,72に挿入させることができる。撓んだ視野角変更フィルム1が元の形状に復元すると、取付部33,34の挿入が完了し、取付部33,34はベゼル66に係止する。
【0082】
このとき、取付部33は、突出片36,37に加えて、連結部38においてもベゼル66に係止する。視野角変更フィルム1Bをノートパソコンに対して確実に固定するためには、このような広範囲にわたるベゼル66への係止が有効である。このため、視野角変更フィルム1Bの固定の観点からは、取付部33は十分な大きさを有していることが好ましい。
【0083】
一方、視野角変更フィルム1Bをノートパソコンから取り外す際、使用者は、矩形部3aの端部に手指を掛け、LCDモジュール61(
図1参照)から引き離すように力を印加する。比較的大型の取付部33が用いられる場合、力の印加に伴い取付部33が空隙71から排出される際に、ベゼル66と矩形部3aとにより引っ張るような力が取付部33に作用することがある。
【0084】
しかしながら、取付部33は、突出片36,37を有しているため、前述した力が作用した場合にも、突出片36,37の一方が他方に対して柔軟に変形することができる。さらに、連結部38は、突出片36,37と連結される端部39において幅広となるように湾曲しているため、突出片36,37と連結部38との間における応力集中が抑制される。この結果、ノートパソコンから視野角変更フィルム1Bを取り外す際の、取付部33の破損を抑制することが可能になる。取付部33と同様の構成を有する取付部34においても、同様の効果が発揮される。
【0085】
上記第2実施形態において、ベースフィルム20は、表面保護フィルム2aと、機能フィルム2bと、を積層させることにより構成されている。しかしながら、本発明はこの形態に限定されない。例えば、上記第1実施形態と同様に、ベースフィルム20が裏面保護フィルム2c(
図2参照)を備えているように構成されていてもよい。
【0086】
また、上記第1実施形態の他の実施形態で説明(
図6参照)したように、上記第2実施形態においても、視野角変更フィルム1Bが、矩形部3aを備えず、取付部33,34を互いに独立した小片として、これらをベースフィルム20に接着する構成にすることもできる。
【0087】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。