(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の電子線放射装置(10)および前記包装容器(12)が、相互の相対的な動きを行うようになされ、前記動きの間に、前記包装容器(12)の内部無菌化が行われるように、前記第1の電子線放射装置(10)の一部分が、前記包装容器(12)の前記開口部(34)を通り一時的に挿入される、請求項1に記載の無菌化装置。
前記第2の電子線放射装置(36)の前記電子雲(I)が、細長く、前記入口領域を定め、前記入口領域は、前記入口領域(76)を通過する前記包装容器のより大きな外部表面領域が無菌化されるように、前記包装容器(12)の供給方向に対してかつ前記包装容器の長手方向に対して傾けられる、請求項1又は2に記載の無菌化装置。
前記第2の部屋(78)が、スロット(84)を設けられた底部壁(82)を有し、前記包装容器(12)が、前記無菌化した包装容器部分を前記底部壁(82)の上方に設置しかつ前記包装容器部分の残りを前記底部壁(82)の下方に設置して前記スロット(84)に沿って前記第2の部屋(78)内を移送され、無菌状態ガス流が、動作中に、前記第2の部屋(78)から前記スロット(84)に向かう方向に供給される、請求項1から3のいずれか一項に記載の無菌化装置。
前記無菌化装置は、前記包装容器(12)が前記第2の電子線放射装置(36)間を通り得るような方法で、前記電子射出窓(40)が相互にかつ前記入口領域(76)に面した状態で、互いに対向して配置された2つの第2の電子線放射装置(36)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の無菌化装置。
前記無菌化装置が、前記包装容器(12)を保持するようになされたホルダ(66)を備える包装容器コンベア(64)を備えた包装容器搬送システムを備え、前記包装容器コンベア(64)が、前記第1の部屋(60)、前記入口領域(76)および前記第2の部屋(78)の両方で包装容器(12)を移送するために使用される、請求項1から5のいずれか一項に記載の無菌化装置。
前記包装容器搬送システムは、各包装容器(12)が第1の電子線放射装置(10)と位置を合わせられるようになされるように、キャリアホイール(62)および前記包装容器コンベア(64)と協働するようになされた回転可能なガイドホイール(70)を備え、前記ガイドホイール(70)は、前記包装容器(12)および前記第1の電子線放射装置(10)が相互に係合していない第1の位置と、前記第1の電子線放射装置(10)が前記包装容器(12)の中へと完全に挿入される第2の位置との間で前記第1の電子線放射装置(10)に対して前記包装容器(12)の位置を変えるようになされた包装容器グリッパを設けられる、請求項6に記載の無菌化装置。
前記包装容器グリッパは、前記包装容器(12)が前記ホルダ(66)から離される前記第2の位置へと前記ホルダ(66)から前記包装容器(12)を持ち上げ、次に、前記包装容器(12)を前記第1の位置へと同じ前記ホルダ(66)の中へと戻るように退避させるようになされる、請求項7に記載の無菌化装置。
前記相対的な動きは、前記包装容器(12)が第1の位置から第2の位置へと第1の速度で移動し、第2の位置から第1の位置へと戻るように第2の速度で移動するものであり、前記第2の速度が前記第1の速度よりも遅い、請求項2に記載の無菌化装置。
前記無菌化装置が、充填機内に配置され、前記第2の部屋(78)が、無菌室であり、前記包装容器の中へと内容物を充填するための少なくとも1つの充填ステーションおよび充填の後で前記開口部を密封するための少なくとも1つのステーションを備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の無菌化装置。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、電子線を用いて開口包装容器を無菌化するための無菌化装置に関する。無菌化装置は、包装容器の開口部を通して包装容器の少なくとも内部を無菌化するようになされた少なくとも1つの第1の電子線放射装置を備える第1の部屋を備える。無菌化装置は、前記包装容器の外部表面の少なくとも一部分を無菌化するようになされた少なくとも1つの第2の電子線放射装置をさらに備える。第1の部屋は、第2の部屋に向かう入口領域を有し、前記開口部を含む包装容器部分が、この入口領域を通り第2の部屋へ入るようになされる。少なくとも1つの第2の電子線放射装置は、その電子射出窓が前記入口領域に少なくとも実質的に面するように配置され、前記第2の電子線放射装置がこれによって、入口領域を通過する包装容器部分の少なくとも何らかの外部表面を無菌化するようになされる。少なくとも1つの第1の電子線放射装置は、前記包装容器部分が第2の部屋の中へと入る前にまたは入ると同時に内部表面を無菌化するように配置される。
【0009】
本発明の無菌化装置を用いると、別々の電子線装置を用いて包装容器の内部表面および外部表面を無菌化することが可能であり、さらに内部無菌化および外部無菌化を少なくとも部分的に同時に行うことによって無菌状態を保証することが可能である。内部無菌化および外部無菌化が時間的に別々である場合には、無菌状態を保証することはさらに困難であり得る。時間的に別々である場合には、微生物学的物質は、まだ無菌化されていない表面から既に無菌化された表面へとたどり着くチャンスを有し得る。
【0010】
さらに、本発明の無菌化装置を用いると、明確な無菌バリアが、無菌室への包装容器通路内に実現される。これゆえ、包装容器またはその部分のための無菌室への通路が作り出されるが、通路は電子雲によって保護され、その結果、その通路を通り移送されるすべてのものが、その無菌室の中へと入る前に無菌化される。
【0011】
1つまたは複数の実施形態では、第1の電子線放射装置および包装容器は、相互の相対的な動きを行うようになされ、その動きの間に、包装容器の内部無菌化が行われるように、第1の電子線放射装置の一部分が包装容器の開口部を通り一時的に挿入される。
【0012】
さらに、1つまたは複数の実施形態では、少なくとも1つの第2の電子線放射装置は、無菌化装置の動作中に、少なくとも1つの第2の電子線放射装置から放射された電子雲が入口領域を少なくとも覆う照射バリアを形成するようになされるように設置される。
【0013】
1つまたは複数の実施形態では、第1の電子線放射装置から放射された電子雲は、少なくとも1つの第2の電子線放射装置から放射された電子雲と一時的に接触しかつ部分的に重なるようになされ、前記電子雲は、一体となった電子雲をともに形成し、包装容器部分の開口部は、一体となった雲の中に少なくとも一時的に設置される。
【0014】
1つまたは複数のさらなる実施形態では、少なくとも1つの第2の電子線放射装置の電子雲は、細長く、入口領域を規定し、入口領域は、入口領域を通過する包装容器のより大きな外部表面領域が無菌化されるように、包装容器の供給方向に対してかつ包装容器の長手方向に対して傾けられる。
【0015】
1つまたは複数の実施形態では、少なくとも1つの第2の電子線放射装置は、第2の電子線放射装置の長手方向軸および電子射出窓の長手方向軸が水平方向に対して傾けられように、かつ開口部を含む包装容器の一部分が入口領域を徐々に離れて第2の部屋に入るような方法で、包装容器が包装容器の長手方向中心軸を水平方向に垂直に向けた状態で前記水平方向に沿って移動するように配置される。
【0016】
1つまたは複数の追加の実施形態では、第2の部屋は、スロットを設けられた底部壁を有し、包装容器は、無菌化した包装容器部分を前記底部壁の上方に設置しかつ包装容器部分の残りを前記底部壁の下方に設置してスロットに沿って第2の部屋内を移送され、無菌状態ガス流が、動作中に、第2の部屋からスロットに向かう方向に供給される。
【0017】
1つまたは複数の実施形態では、第2の部屋は、無菌室である。
【0018】
1つまたは複数の実施形態では、第2の部屋は、包装容器の中へと内容物を充填するための少なくとも1つの充填ステーションおよび充填の後で開口部を密封するための少なくとも1つのステーションを備える。
【0019】
さらに、1つまたは複数の実施形態では、無菌化装置は、包装容器が第2の電子線放射装置間を通り得るような方法で、電子射出窓が相互にかつ入口領域に面した状態で、互いに対向して配置された2つの第2の電子線放射装置を備える。
【0020】
1つまたは複数の実施形態では、2つ以上の第1の電子線放射装置は、回転可能なキャリアホイール上に静止して配置される。
【0021】
1つまたは複数のさらなる実施形態では、無菌化装置は、包装容器を保持するようになされたホルダを備える包装容器コンベアを備えた包装容器搬送システムを備え、前記包装容器コンベアは、第1の部屋、入口領域および第2の部屋の両方で包装容器を移送するために使用される。
【0022】
1つまたは複数の追加の実施形態では、包装容器搬送システムは、各包装容器が第1の電子線放射装置と位置を合わせられるようになされるように、キャリアホイールおよび包装容器コンベアと協働するようになされた回転可能なガイドホイールを備え、このガイドホイールには、包装容器および第1の電子線放射装置が相互に係合していない第1の位置と、第1の電子線放射装置が包装容器の中へと完全に挿入される第2の位置との間で第1の電子線放射装置に対して包装容器の位置を変えるようになされた包装容器グリッパを設けられる。
【0023】
1つまたは複数の実施形態では、包装容器グリッパは、包装容器がホルダから放される第2の位置へとホルダから包装容器を持ち上げ、次に、包装容器を第1の位置へと同じホルダの中へと戻るように退避させるようになされる。
【0024】
1つまたは複数の実施形態では、相対的な動きは、包装容器が第1の位置から第2の位置へと第1の速度で移動し、第2の位置から第1の位置へと戻るように第2の速度で移動するものであり、前記第2の速度は、第1の速度よりも遅い。
【0025】
1つまたは複数の実施形態では、無菌化装置は、充填機内に配置される。
【0026】
1つまたは複数の実施形態では、第2の部屋は、包装容器の中へと内容物を充填するための少なくとも1つの充填ステーションおよび充填の後で開口部を密封するための少なくとも1つのステーションを備える。
【0027】
本発明は、電子線を用いて開口包装容器を無菌化する方法をも含む。本方法は、第1の部屋内に配置された第1の電子線放射装置を用いて、包装容器の開口部を通して包装容器の少なくとも内部を無菌化するステップを含む。本方法は、少なくとも1つの第2の電子線放射装置を用いて包装容器の外部の少なくとも一部分を無菌化するステップも含み、前記少なくとも1つの第2の電子線放射装置は、電子射出窓が入口領域に少なくとも実質的に面するように配置され、前記入口領域が第1の部屋から第2の部屋への入口を形成する。包装容器の外部の少なくとも一部分を無菌化するステップは、包装容器の一部分を通すことによって前記入口領域内で行われ、前記部分が入口領域を通る前記開口部を備える。包装容器の内部を無菌化するステップは、前記包装容器部分が第2の部屋の中へと入る前にまたは入ると同時に行われる。
【0028】
1つまたは複数の実施形態では、本方法は、第1の電子線放射装置と包装容器との間の相互の相対的な動きを行わせるステップを含み、その動きの間に、包装容器の内部を無菌化するステップが行われ、その動きの間に、第1の電子線放射装置の一部分が、包装容器の開口部を通って一時的に挿入される。
【0029】
1つまたは複数のさらなる実施形態では、本方法は、無菌化装置の動作中に入口領域を少なくとも覆う照射バリアを形成するステップを含み、前記照射バリアが少なくとも1つの第2の電子線放射装置から放射された電子雲によって形成される。
【0030】
1つまたは複数の実施形態では、本方法は、第1の電子線放射装置から放出された電子雲を少なくとも1つの第2の電子線放射装置から放射された電子雲と一時的に、接触させかつ部分的に重ならせることによって、一体となった電子雲を形成するステップと、一体となった電子雲内に包装容器の開口部を一時的に設置するステップとを含む。
【0031】
1つまたは複数の実施形態では、ステップは、充填機内で行われる。
【0032】
1つまたは複数の実施形態では、本方法は、追加の、無菌化した包装容器の中へと内容物を充填するステップと、充填の後で開口部を密封するステップとを含む。
【0033】
下記では、本発明の実施形態が、添付の概略図面を参照して非常に詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0035】
導入部において記述したように、ボトル型の包装容器を照射するときに、2つのタイプの電子線放射装置が典型的には利用され得る。一方は、内部無菌化のために使用され、他方は外部無菌化のために使用される。
【0036】
下記では、
図1aを参照して、充填する準備ができた包装容器12の内部を無菌化するための例示的な第1の電子線放射装置10が説明される。このような電子線放射装置は、例えば、特許文献4に以前に記載されている。
【0037】
電子線放射装置10は、経路に沿って実質的に円形の電子線16を放射するための電子発生器14を備える。電子発生器14は、気密封止した真空室18内に封入される。前記真空室18には、電子射出窓20が設けられる。
【0038】
電子発生器14は、カソードハウジング22およびフィラメント24を備える。使用時には、電子線16がフィラメント24を加熱することによって発生する。電流がフィラメント24を通って供給されると、フィラメント24の電気抵抗が、2000℃程度の温度までフィラメントを加熱させる。この加熱することが、フィラメント24に電子の雲を放射させる。電子は、カソードハウジング22と(アノードである)射出窓20との間の高電圧電位によって電子射出窓20に向かって加速させられる。引き続いて、電子は、電子射出窓20を通過し、目標領域、すなわち、このケースでは包装容器12の内側に向かい続ける。
【0039】
フィラメント24は、タングステンから作られてもよい。フィラメント24と電子線射出窓20との間に設置されたグリッド26には、多数の開口部が設けられ、より均一なビームへと電子線16を拡散させるため、および目標領域に向けて電子線16を収束させるために使用される。
【0040】
高電圧電位は、例えば、カソードハウジング22およびフィラメント24を電源28に接続することによって、かつ真空室をグランド30に接続することによって作られる。フィラメントは、第2の接続部29も必要とする。第1の電子線放射装置10は、電圧が300kVよりも低い場合には、低電圧電子線放射装置を一般に意味する。包装容器の無菌化のためには、50〜150kV程度の動作電圧が、従来から使用されている。開示した設計では、加速電圧は、90〜100kV程度である。この電圧は、各電子に対して95keVの運動エネルギー(動力)をもたらす。しかしながら、例えば、75〜150kVの間の別の電圧が選択されてもよい。前に述べた制御グリッド26にも電位を印加することによって、電子の放射がさらに制御されてもよい。別々の可変電位が制御グリッド26に印加される場合には、発生した電子線の積極的な整形のために制御グリッド26を使用することを可能にする。これらの目的のために、制御グリッド26は、別の電源32に電気的に接続されてもよい。
【0041】
放射装置10には、述べたように、電子射出窓20がさらに設けられる。窓20は、チタンなどの金属箔で作られてもよく、4〜12μm程度の厚さを有することができる。アルミニウムまたは銅で形成される支持ネット(図示せず)は、真空室18の内側から箔を支持する。電子は、射出窓20を通り真空室18から出る。
【0042】
この実施形態では、真空室18は、実質的に円形の断面を有する2つの細長い円柱形胴部18a、18bから作られる。円柱形胴部は、共通の長手方向中心軸aを有する。第1の円柱形胴部18aは、中心軸aに垂直な平面内に、電子射出窓20を設けられる端面を有する。電子射出窓は、円形であり、好ましくは大部分の端面にわたり広がる。前記第1の胴部18aの直径は、充填する準備ができた包装容器12中へと挿入するのに十分なだけ小さく、前記第1の胴部の断面は、前記第1の胴部が包装容器12の開口部34を通って案内され得るような寸法に作られる。第2の胴部18bには、電子ビーム発生器14が設けられ、前記第2の胴部18bの直径は、第1の胴部18aよりも大きい。放射された電子線16の直径は、まだ放射装置10の内側にある間は、第1の胴部18aの直径よりも小さい。
【0043】
第1の電子線放射装置10は、その電子射出窓20から、
図1bに破線によって模式的に図説された第1の電子雲Iを放射する。断面形状は、示したように円形、または液滴形状である。電子雲の形状は、窓の形状によって、かつ電子射出窓を出る個々の電子のブラウン運動によって定められる。電子雲は、軸aを中心に軸対称であり、雲体積は、これにより球状(または液滴形状)である。電子雲Iの境界のドーズ量は、ほぼ1000〜1600kGy/sである。電子雲の中心では、ドーズ量はさらに高い。第1の電子線放射装置10のエネルギーは、利用可能な無菌化時間、包装容器のサイズおよび形状、電子線放射装置に対する包装容器速度に見合う必要があり、上記の数字は、純粋に例として見られるべきである。
【0044】
図1aには、開口部34を通して製品を充填される準備ができた形状である包装容器12が示される。包装容器は、スリーブ胴部12aおよび頂部部分12bを備える、頂部部分は、ねじ蓋で密封されたネックまたは飲み口を備える。スリーブ胴部12aには、開口部34が設けられる。
【0045】
図1aでは、包装容器12の開口部34が、開口底部端であり、これは、充填の後で、実質的に平坦な底面を形成するように密封され、折り曲げられる。しかしながら、第1の電子線装置がここを通って受けられ、かつ充填がここを通って行われるこの開口部34は、別の実施形態では包装容器12のネックまたは飲み口部分を設けられる包装容器の頂部に配置されてもよいことを理解すべきである。
図1cは、そのような実施形態を図説する。ネックまたは飲み口部分は、充填の後で、例えば、ねじ蓋によって密封される。
【0046】
内部無菌化のための典型的な電子線放射装置が、ここで説明された。下記では、充填する準備ができた包装容器の外部無菌化のための典型的な電子線放射装置が説明される。このような電子線放射装置が、例えば、特許文献5に記載されたようなウェブ無菌化のためにも使用されてもよく、例えば、特許文献6に以前に記載されている。
【0047】
図2aには、外部無菌化のための例示的な気密封止された第2の電子線放射装置36が示される。図面の目的は、放射装置の基本的構成要素を単に図説することであり、真の構造図面を提供せず、または何らかの別の方法において本発明を限定しないことを強調すべきである。
【0048】
電子線放射装置の主要構成要素は、長手方向中心軸bに沿って細長い形状を有する管状胴部38である。電子射出窓40は、管状胴部38の内側の真空からの電子に対する出口を提供する。電子射出窓40は、長手方向中心軸bに沿った方向にその最も長い延伸部を有する実質的に長方形である。電子射出窓40は、実質的に平坦であり、管状胴部38の外周表面から突き出る。窓40は、チタンなどの金属箔から作られてもよく、4〜12μm程度の厚さを有することができる。穴を設けられた支持構造(図示せず)は、真空室の内側から箔を支持する。支持構造は、例えば、アルミニウムまたは銅から作られる。
【0049】
射出窓40は、本発明に関係しないサブアセンブリを備え、胴部38の内側の真空を維持しつつ、電子に対する出口窓を提供する特性をさらに有する。使用することができる例示的な電子射出窓が、特許文献7に記載されている。
【0050】
胴部38の近位端は、電気的接続部42を含むアセンブリを備える。
【0051】
図2bは、管状胴部38のない放射装置36を示し、カソード44が示される。カソード44は、カソードハウジング46を備え、これは
図2cの非常に模式的な断面にも示される。カソードハウジング46は、半環状のシェルとして形成され、その開口側が制御グリッド48によって覆われる。カソードハウジング46の環状シェルの内側には、1つまたは複数のフィラメント50(
図2c参照)が配置され、フィラメント50はカソードハウジング46の近位端からその遠位端まで延びる。使用では、電子線は、電流を使用してフィラメント50を加熱することにより、かつカソードハウジング46と(アノードである)射出窓40との間の高電圧電位によって電子射出窓40に向かって電子を加速することによって、すなわち、
図1aの電子線装置に対してと同じプロセスによって発生する。高電圧電位は、例えば、カソードハウジングを電源に接続することによって、かつ管状胴部38をグランドに接続することによって作り出される。電位を制御グリッド48にも印加することによって、電子の放射が、さらに制御され得る。これは、制御グリッド48を別の電源に接続することによって実現され得る。
【0052】
制御グリッド48は、電子の通路用の開口部または貫通孔のパターンを含む平坦な穴の開いた表面を備える。制御グリッド48を支えるカソードハウジング46の開口側は、明らかな理由のために電子射出窓40に面するはずである。カソードハウジング46および制御グリッド48は、取り付け手段52によってともに装着される。カソードハウジング46とグリッド48との間で電位に差がある場合には、前記取り付け手段52は、好ましくは電気アイソレータ素子である。制御グリッド48の自由な長手方向端部部分54は、互いへの方向に、すなわち、長手方向端部部分の延長部に垂直である横方向に曲げられて、電子線整形電極の形成のための膨らみ状の形を形成する。このような電極は、「ウェーネルト」電極と時には呼ばれる。膨らみ状の形は、電子線放射装置の性能の利益に資するために滑らかな予測可能な電場の発生を支援する。これらは電場を整形することに役立ち、その結果、電子は、基本的に直角に、すなわち、射出窓40の面に基本的に垂直な方向で射出窓40に当たる。
【0053】
説明したカソードは、
図2bに示した電子線放射装置にぴったりと収まる。カソードハウジング46の近位端ならびに遠位端は、フィラメント50用の電気的接続部ならびに物理的吊下げ部を備える。遠位端では、この配置が、ドーム型キャップ54の内側に収容されるまたは覆われる。その近位端では、カソードハウジング46は、細長い胴部に吊り下げられ、吊下げ部は、環状カバー58により封入される。
【0054】
この第2の電子線放射装置36は、95kV程度の加速電圧を有する。この電圧は、各電子に対して95keVの運動エネルギー(動力)をもたらす。しかしながら、例えば、75〜150kVの別の電圧が選択されてもよい。
【0055】
第2の電子線放射装置36の電子雲が
図2dおよび
図2eに示され、IIと表示され、破線によって表される。雲IIは、長手方向軸bに垂直な面内で実質的に円形の断面を有する、
図2d参照。さらに、
図2eに見られるものでは、雲IIは、電子射出窓に平行な面内でいくぶん長方形のまたは丸まった断面を有する。このように、電子雲IIは、三次元に広がりを有し、電子射出窓40の前に、これを覆う体積を形成する。電子雲IIの境界のドーズ量は、ほぼ400〜800kGy/sである。電子雲IIの中心では、ドーズ量はさらに高い。
【0056】
2つの第2の電子線放射装置36は、それらの電子射出窓40が相互に面した状態で、互いに対向して配置されることが可能であり、第2の電子線放射装置間にギャップを形成する。このような配置が、
図2fに示される。第2の電子線放射装置36によって発生させられた電子線は、相互に重なり、全体の電子雲IIIを形成する。その電子雲の断面の境界は、破線で示される。全体の電子雲IIIは、ギャップを満たす。電子射出窓40の両方の面は、
図2fに見られるように互いに平行であり、または
図2gに示したように相互の関係でわずかに傾けられる。後者のケースでは、傾きは、2つの電子射出窓40間の角度αによって定められ得る。
【0057】
図3aは、本発明の無菌化装置の実施形態の斜視図である。無菌化装置の目的は、充填機内で充填する準備ができた包装容器を無菌化することである。無菌化装置は、開口包装容器を製造するモジュールの下流に設置される。カートンボトル機では、このモジュールは、包装用積層体ブランクがスリーブへと形成され、射出成形される頂部部分を設けられるサブモジュールを備える。PETボトル機のケースでは、このモジュールは、吹き込み成形装置を含むことができる。充填機の上流、すなわち、無菌化装置の後には、充填モジュールが、包装容器の中へと製品を充填するために設けられ、充填の後で包装容器を密封するための密封モジュールが設けられる。
【0058】
この実施形態では、無菌化装置は、包装容器12の内部無菌化がその中で行われる無菌化室であり、60で表示された第1の部屋を備える。第1の部屋60は、以降無菌化室と呼ばれる。無菌化室60には、回転可能なキャリアホイール62上に配置された、例えば、
図1aを参照して上に説明したタイプのいくつかの第1の電子線放射装置10が設けられる。第1の電子線放射装置10の下側部分18aだけが図に示される。この実施形態では、12個の第1の電子線放射装置10が設けられるが、数は、用途(能力、パッケージサイズなど)に応じて変更されてもよい。第1の電子線放射装置10は、その長手方向中心軸aをキャリアホイール62の中心回転軸cに平行にした状態でキャリアホイール62の外周近くに均等に分散して配置される。回転の方向は、矢印Aによって表される。第1の放射装置10は、その電子射出窓20を図では下方に向け、かつ仮想水平面と位置を合わせた状態で配置される。さらに、第1の電子線放射装置10は、キャリアホイール62上に静止して配置され、その結果、キャリアホイール62の回転に従う。
【0059】
さらに、無菌化装置には、無菌化装置を通り包装容器12を搬送するための第1のコンベア64が設けられる。第1のコンベアは、2つ以上の協働するコンベアにより構成されてもよく、またはこの実施形態のように、単一のコンベアを備えてもよい。
【0060】
この例示的な実施形態では、破線64によって表されたコンベアは、包装容器ホルダ66を設けたベルトまたはチェーンである。ホルダ66は、非常に模式的に示されるだけである。包装容器12は、包装容器ホルダ66内に配置されるようになされ、その結果、その開口底部端は、例えば、
図1aに見られるように、第1の電子線放射装置10の電子射出窓20に面する方向に上方に向けられる。ホルダ66は、包装容器12の頂部部分12b近くのスリーブ12aの周りで包装容器をつかむ。このコンベア64は、当然のことながらいずれかの従来の方法で設計されてもよい。
【0061】
ベルトまたはチェーンの動きは、本実施形態では連続的であり、他の実施形態では断続的であってもよい。動きの方向は、矢印Bによって図説される。
【0062】
包装容器が無菌化室60に入る包装容器のインフィードでは、第1のコンベア64は、包装容器のインフィードホイール68の外周に沿って案内される。前記インフィードホイール68は、ガイドホイール70と協働する。ガイドホイール70は、キャリアホイール62の下に配置され、キャリアホイール62の中心回転軸cと位置を合わせられた中心回転軸を有する。
【0063】
述べたように、第1のコンベア64は、最初にインフィードホイール68によって案内される。次に、第1のコンベアは、
図3cに見られるように、包装容器の無菌化インフィード位置72で接線方向に移送し、ガイドホイール70へと移送する。包装容器の無菌化インフィード位置72から、第1のコンベア64は、ガイドホイール70の外周に沿って案内される。ガイドホイール70は、キャリアホイール62に対して回転しており、その結果、各包装容器12は、第1の電子線放射装置10の長手方向軸aを包装容器12の長手方向軸の位置と合わせたままで、第1の電子線放射装置10と同期して移動する、
図1aの共通長手方向軸a参照。
【0064】
第1の電子線放射装置10の下側部分18aだけが
図3cに見られることに留意すべきである。
【0065】
ガイドホイールは、包装容器のアウトフィード位置74をさらに有し、そこでは第1のコンベア64がガイドホイール70から離れて第2の部屋78の入口領域76の方へ接線方向に向けられる。
図3aに破線で概略を描かれたボックスによって組み合わせで表された入口領域76および第2の部屋78は、後で説明される。
【0066】
ガイドホイール70には、包装容器グリップ手段(図示せず)が設けられ、このグリップ手段は、第1のコンベアの外周付近で第1のコンベア64と協働するようになされる。包装容器グリッパを有するガイドホイール70および包装容器ホルダ66を有する第1のコンベア64は、同時に移動し、それぞれのグリップ手段は、それぞれのホルダ66と位置を合わせられ、その結果、包装容器12がグリッパによってホルダ66から位置を変えられ、その後同じホルダに戻ることが可能である。
【0067】
グリップ手段は、第1の電子線放射装置10に対して包装容器12の位置を垂直に変えるようになされる。グリップ手段は、包装容器12および電子線放射装置10が相互に係合していない第1の位置と、包装容器12および電子線放射装置10が相互に完全に係合する第2の位置との間で包装容器12の位置を変える。包装容器12および電子線放射装置10が係合するときには、包装容器12は、包装容器が電子線放射装置10を部分的に囲む位置へと上昇している、すなわち、第1の電子線放射装置が、包装容器12の開口部34の中へと一時的に挿入されている。これらが係合しないときには、包装容器12は、電子線放射装置10の下に設置される、すなわち、包装容器12は、放射装置10を囲み始めていない、または係合した位置から下へと位置を変えたばかりである。インフィード位置72およびアウトフィード位置74で、包装容器12は、第1の位置に設置される、すなわち、電子線放射装置10と係合状態ではない。第1の電子線放射装置10と包装容器12との間の相対的な動きが、
図3bに図説され、矢印Vは、垂直移動方向を表す。
【0068】
この実施形態では、電子線放射装置10は、キャリアホイール62に静止して配置され、包装容器12に向けて移動できない。これらの非常に重い重量、壊れやすい電子射出窓20および高電圧接続のために、静止した第1の電子線放射装置10を有し、代わりに包装容器12を移動させることが、有利である。しかしながら、代替実施形態では、電子線放射装置10が移動し、包装容器が、垂直方向に静止している。電子線放射装置は、したがって、包装容器の開口端の中へと下げられる。
【0069】
好ましくは、それぞれの第1の電子線放射装置10は、その第1の胴部18aがキャリアホイール62の下方にあり、かつその第2の胴部18bがいずれかの電力変換器および(例えば、
図3aでは円柱としてともに表された)高電圧接続部とともにキャリアホイール62の上方にある状態で配置される。
【0070】
第1の電子線放射装置10は、インフィード位置72からアウトフィード位置74への位置移動の少なくとも一部分の間に包装容器12の内部表面を無菌化するようになされる。包装容器12の内部は、包装容器12のすべての内側表面に対応する。内部無菌化は、第1の電子線放射装置10と包装容器12との間の相互の相対的な動きによって行われる。述べたように、第1の電子線放射装置の一部分は、相対的な動きの間に包装容器12の開口部34を通り一時的に挿入される。インフィード位置72で、第1のコンベアの包装容器ホルダ66によって保持された包装容器12は、対応する電子線放射装置10と位置を合わせられ、グリップ手段によってつかまれる。グリップ手段は、好ましくは、スリーブ12aの周りで包装容器12をつかむ。キャリアホイール62が回転し、その結果、電子線放射装置10および包装容器12がインフィード位置72からアウトフィード位置74へと回転するときに、グリップ手段は、内部無菌化を行うために第1の電子線放射装置10に向けて包装容器12を上昇させるようになされる。その動きの間に、包装容器12は、第1のコンベア64のホルダ66から一時的に放される。第1の電子線放射装置10が包装容器12の開口部34と位置を合わせられているので、電子線放射装置10は、包装容器12の中に挿入される。したがって、包装容器の内部の無菌化が始められる。インフィード位置72とアウトフィード位置74との間のどこかで、包装容器は、包装容器12が第1の電子線放射装置10と完全に係合するように位置を変えられている。完全に係合した第2の位置では、第1の電子線放射装置10は、
図1aに示したように、包装容器12の中に完全に挿入される。これはまた、
図3bに部分的に見られる。その位置において、このケースでは包装容器12の頂部部分12bである包装容器12の最も内側の領域が、無菌化され得る。
【0071】
内部無菌化サイクルは、包装容器12がアウトフィード位置74に達すると完了する。包装容器12が前記アウトフィード位置74に達すると、包装容器12は、退避する、または第2の位置から第1の位置へと戻るように既に退避している。包装容器12は、そのときには無菌化室60から外へと供給される準備ができている。
【0072】
第1の電子線放射装置10は、連続的に動作する、すなわち、電子放射は、複数の無菌化サイクル間で遮断されない、すなわち、電子放射は、2つの包装容器が同じ電子線放射装置によって無菌化される間にも動作し続ける。アウトフィード位置74とインフィード位置72との間には、
図3cに80で表示された位置が設けられ、そこには、センサが、いずれかのドーズ制御パラメータを測定するために、いずれかの通過する第1の電子線放射装置10の電子射出窓20の前に設置されることがある。
【0073】
アウトフィード位置74は、上に手短に述べた包装容器の入口領域76の近くに配置される。この入口領域76で、包装容器12は、無菌化室60の下流に位置する第2の部屋78に部分的に入るようになされる。入口領域76は、
図3bおよび
図3cに破線によって示されたボックスとして示される。したがって、包装容器12は、最初に無菌化室60を通って供給され、次に入口領域76を介して引き続いて第2の部屋78(図では破線のボックスとしても表される)に入る。この実施形態では、第2の部屋78は、無菌室であり、以降、無菌室78と呼ばれる。無菌室78は、導入部分において記述したように、無菌包装のために適した部屋である。包装容器12の製造中に、無菌室内の環境は、無菌状態であるべきである、すなわち、塵埃および微生物学的物質が存在してはならない。無菌室は、包装容器12が、飲み物などの製品で充填され、密封されるようになされたステーション(図示せず)を備える。包装容器12のどちらの端部が、
図1aに示したように底部が開いているか、または
図1bに示したようにネックが開いているかに応じて、密封ステーションは、異なるように見えることがある。開いた底部端中への充填のケースでは、密封ステーションは、包装材料を熱密封するための密封バーを備える。包装容器のネック領域内の飲み口を通して充填するケースでは、密封ステーションは代わりにキャッピングステーションを備える。
【0074】
包装容器12が密封される前に、包装容器の周りの環境が無菌状態であること、無菌化室60から無菌室78に入る包装容器12が無菌状態であること、および汚れた空気が無菌化室60から無菌室78へと漏れないことが、保証される必要がある。
【0075】
上に述べたように、ガイドホイール70は、包装容器のアウトフィード位置74をさらに有し、例えば
図3c参照、そこでは、第1のコンベア64がガイドホイール70から離れて入口領域76の方へ接線方向に向けられる。入口領域76は、無菌化室60と無菌室78との間の開口部を形成する。前記入口領域は、包装容器が無菌室78に入る前に、包装容器がそこを通って移送される体積に対応する。開口部のそれぞれの側に、2つの第2の電子線放射装置36が配置される。第2の電子線放射装置は、
図2a〜
図2gに関連して説明したタイプのものであるが、別の適切なタイプのものであってもよい。2つの第2の電子線放射装置36は、その電子射出窓40が相互にかつ入口領域76の体積に面した状態で、互いに対向して配置される。これらの長手方向軸bは、互いに平行であるが、これらの電子射出窓40は、
図2gに示したように相互に相対的にわずかに傾けられている。無菌化室60から無菌室78への包装容器入口である入口領域76は、動作中には、2つの第2の放射装置36の統合された電子雲IIIによって完全に覆われる。これゆえ、全体の雲IIIは、入口領域76を少なくとも覆う照射バリアまたは無菌化堰を形成する、すなわち、統合された雲IIIは、無菌室78への入口をブロックする照射体積を形成する。入口領域76は、第1の端部76aと第2の端部76bとの間で、軸bに沿った方向に、電子射出窓40全体に沿って広がる。電子射出窓40間の距離は、包装容器12の径方向断面のサイズに適応し、包装容器12がこれらの間を容易に通ることができるようにほんのわずかに大きく保たれるべきである。
【0076】
図3aに示したように、第2の電子線放射装置36は、キャリアホイール62の第1の電子線放射装置10とグリップ手段を運ぶガイドホイール70との間の空間内に設置される。第2の電子線放射装置36のうちの一方の一部分は、ガイドホイール70の中心近くに位置する。これが、小さなユニットを作り出し、後で説明するように、同時に無菌化を行うことができるように第1の電子線放射装置と第2の電子線放射装置との間の協働を容易にする。
【0077】
第2の電子線放射装置36の電子射出窓40間に形成された入口領域76は、前に述べたように、ガイドホイール70上の包装容器のアウトフィード点74から接線方向に、かつ第1の電子線放射装置がキャリアホイール62とともに回転するにつれて第1の電子線放射装置10によって形成される仮想円からも接線方向に延びる第1のコンベア64と位置を合わせられる。キャリアホイール62とともに回転する第1の電子線放射装置10は、その電子雲Iが入口領域76の中へと少なくとも部分的に移動するように入口領域76の第1の端部76aの近くに移動するようになされる。キャリアホイール62がさらに回転すると、第1の電子線放射装置10は、最も内側の第2の電子線放射装置36の胴部38の上方に移動する。これは、上方から入口領域76および電子線放射装置36を示す
図3cにも示される。
【0078】
図3bに示したように、入口領域76および第2の電子線放射装置36(そのうちの1つだけが図に示される)は、包装容器の供給方向に対して傾けられる。この実施形態では、供給方向は、水平であり、図中には矢印Fとして示される。第2の電子線放射装置36の長手方向軸bおよび電子射出窓40の長手方向軸bが水平方向に対して角度β傾けられるように、かつ包装容器が前記水平方向Fに沿って移動するようになされるように、第2の電子線放射装置36が配置されることで、傾きが実現される。さらに、包装容器は、その長手方向中心軸aが前記水平方向に垂直に向けられた状態で、水平方向に沿って移動する。
【0079】
無菌化装置は、ここで、包装容器12の外部無菌化に関連してさらに説明される。
【0080】
包装容器12がアウトフィード位置74に達するときには、包装容器は、接線方向に向けられ、入口領域76の第1の端部76aに達する。この時点で、内部無菌化は、終了処理されようとしている。包装容器の第1の端部76aで入口領域76へと包装容器12が最初に入る間、第1の電子線放射装置10は、包装容器12の開口部34の真上に設置される。この瞬間に、第1の電子線放射装置10から放射された電子雲Iは、第2の電子線放射装置36から放射された全体の電子雲IIIと一時的に接触して部分的に重なるようになされる。第1および第2の電子線放射装置の電子雲I、IIIは、一体となった電子雲を形成し、包装容器12の開口部は、ここで、一体となった雲の中に少なくとも一時的に設置されている。これが
図3dに示される。
【0081】
包装容器12の内部無菌化の終了処理時に、第1の電子線放射装置10の電子雲Iを第2の電子線放射装置の電子雲IIIと少なくとも部分的に重ならせると、無菌室78の内側に達する包装容器12のすべての部分は、完全に無菌化されていることが保証され得る。言い換えると、部分的に重なっている電子雲I、IIIを作り出すことによって、包装容器の内側表面上のすべての微生物学的物質は、殺されずに外側表面へと漏れ出すことができないし、その逆も同様であることが保証される。
【0082】
第1の電子線放射装置の電子雲Iが、それ自体での照射バリア、無菌化中における包装容器12の内側の照射ロックを形成することも指摘されるはずである。非無菌状態の包装容器が無菌化室60の中へと供給され、かつ包装容器の外部が無菌室78の中へと通されるまで無菌状態にならないので、無菌化は、そのこと自体では無菌状態と見なすことができない。これゆえ、再汚染から包装容器内部の既に無菌化した部分を保護するために、包装容器12の内側に照射ロックを形成することが可能である電子雲Iを有することは、有利である。塵埃または微生物学的物質もしくは粒子が、殺され/無菌化されることなく雲Iを通って包装容器12の無菌化した内部へどうにかして進もうとすることができない。第1の放射装置10の電子雲Iの体積は、包装容器12の開口部34を覆う。これゆえ、電子雲Iの下方の内部の無菌状態は、包装容器12が依然として無菌化室60内にあるときでさえ保証され得る。
【0083】
図3bには、Pで表示された無菌バリア線が示される。無菌バリア線Pは、無菌化室60と無菌室78との間の仮想境界である。入口領域で、線は、無菌室78に最も近い第2の電子線放射装置の電子雲IIIの端部によって定められる。包装容器が入口領域の中でその線を通ると、包装容器は、電子雲IIIの外へ出る。図から分かるように、線Pは、丁度、第2の電子線放射装置36のように入口領域で傾けられ、電子射出窓40の上方に離れて位置する。入口領域の右へ、線Pは、真っ直ぐであり、無菌化室60と無菌室78との間の仮想境界を定める。これは、後にさらに説明される。
【0084】
図3dは、重なっている電子雲、第1および第2の放射装置10、36ならびに入口領域76の第1の端部76aの包装容器12を示す。包装容器12は、第1の位置にあり、これは、包装容器および第1の電子線放射装置10がもはや相互に係合しないことを意味する。さらに、第1の電子線放射装置10がもはや包装容器12の内側ではないとはいえ、包装容器12の開口底部端である包装容器12の最上部端は、第1の電子線放射装置10からの電子雲Iによって依然として影響を受ける。同時に、包装容器12は、第2の電子線放射装置36の一体となった電子雲IIIの中へと部分的に渡されており、包装容器12の外部の一部分が、第2の電子線放射装置36の電子雲IIIによって既に無菌化されている。
【0085】
包装容器12がさらに入口領域76の中へと、入口領域76に沿って供給される一方で、包装容器12の無菌化された部分は、徐々に入口領域76を離れ、無菌バリア線P(
図3bにも見られる)に沿って無菌室78に入る。
図3eに示した入口領域76の第2の端部76bで、包装容器の完全に無菌化された部分は、無菌室78内に設置され、一方でまだ無菌化されていない部分は、無菌室78の外側のままである。無菌室78内へ突き出ている無菌化した部分の長さは、好ましくは、開口部34から包装容器12の中心軸に沿って下へ測定して約30〜120mmの間である。好ましくは、突き出ている部分の長さは、75mmである。
【0086】
図に示されているように、包装容器12は、入口領域76内および無菌室78内の両方で水平方向Fに供給される。
【0087】
図3fには、無菌化装置が、無菌化室60を無菌室78から分離する壁のうちのいくつかが見える状態で示される。見られるように、無菌室78は、スロット84が中に設けられる底部壁82を有する。スロット84の1つの部分は、入口領域76の上方に設置され、この部分で、取り囲んでいる底部壁82は、入口領域76と同様に傾けられる。この傾いた底部壁82部分は、例えばステンレス鋼で作られたバッフル板によって形成される。
【0088】
第2の部屋78では、包装容器12は、無菌化した包装容器部分を前記底部壁82の上方に設置し、包装容器の残りを前記底部壁82の下方に設置して、スロット84に沿って移送される。
【0089】
無菌室78内の無菌条件を保証するために、無菌状態ガス流は、上から下へ、すなわち、第2の部屋78からスロット84を通り下に向かう方向に設けられる。包装容器12が内容物を中に充填するための充填ステーションに供給される前に、包装容器12は、包装容器の内部から外へオゾンを排気するための排気ステーションを通り移送されてもよい。オゾンが電子線無菌化中に空気内に作り出され、包装容器の中へと製品を充填する前に、このようなオゾンを除去することが好ましいという事実が知られている。
【0090】
下記では、無菌化それ自体が、さらに論じられる。
【0091】
包装容器が、例えば「商業的に無菌状態」と呼ばれる無菌化レベルに達するためには、ほぼ25kGyの吸収されたドーズが、包装容器の内部表面のすべての点に必要である。実施形態では、内部無菌化は、包装容器と第1の電子線放射装置との間の相対的な動きの間に行われる。これゆえ、ドーズは、放射装置によって与えられるドーズ量(単位時間当たりのドーズ送達量、kGy/sと記述される)および包装容器の内部表面の各部分が電子雲に曝される時間によって計算されなければならない。相対的な動きの速度の増加は、内部無菌化のために利用可能な時間の減少をもたらし、同じドーズを維持するために放射装置のドーズ量を増加させる必要がある。同様に、相対的な動きの速度が低下する場合には、無菌化のために利用可能な時間が増加し、放射装置のドーズ量は、内部表面を過度に曝さないために減少させなければならない。このような状況では、何らかの空気の流れまたは無菌化室内の乱れが、考慮される必要がある。相対的な動きの速度よりも速い空気の流れは、無菌化結果に影響を与える。このような空気の流れは、微生物を極めて速く電子雲を通って進ませることがあり、これは、その微生物が殺されないという結果につながる可能性がある。これゆえ、空気の流れの速度が相対的な動きの速度よりも大きくならないように、無菌化室内での空気の流れの速度を制御することが重要である。重要な観点にはまた、相対的な動きのために包装容器内に作り出される流れもある。包装容器が第1の電子線放射装置から下げられるときには、空気は、自動的に包装容器の中へと吸い込まれ、逆流、すなわち、あるケースでは無菌化効果を妨げることがある包装容器の中への空気の流れを作り出す。効果的な無菌化および確実な処理を実現するために、好ましい動きのプロファイルが、第1の電子線放射装置を囲むように包装容器を素早く上昇させる第1のステージ、および次に、包装容器をゆっくりと下降させる第2のステージを含むことが見出されている。言い換えると、包装容器は、第1の位置から第2の位置へ第1の速度で移動し、第2の位置から第1の位置へと戻るように第2の速度で移動し、前記第2の速度は第1の速度よりも遅い。第1の電子線放射装置が連続的に動作する、すなわち、電子を連続的に放射しているとはいえ、内部無菌化は、包装容器のゆっくりとした下降の間に行われると考えられる。ゆっくりとした下降は、相対的な動きの速度よりも大きな速度を有する包装容器の中への空気の流れを作り出さないように十分に遅くなければならない。包装容器と第1の電子線放射装置との間のギャップの体積ならびに第1の電子線放射装置の体積は、包装容器の中へと作り出される流れの速度に影響する要因である。
【0092】
説明した実施形態では、第1の電子線放射装置を囲むように包装容器を素早く上昇させる第1のステージは、包装容器をゆっくりと下降させる第2のステージのために費やす時間と比較してほぼ半分の時間を要する。これゆえ、第1の速度は、第2の速度のほぼ2倍大きい。説明した実施形態に関する例示的な動きのプロファイルは、0.4s間の包装容器の素早い上昇で始まる。上昇は、0.1sの休止が続き、この間には動きがない。動きのプロファイルは、1s間の包装容器の引き続きのゆっくりとした下降によって完了する。これゆえ、1.5sの全時間が内部無菌化のために使用される。その時間のほぼ2/3が、包装容器の下降のために使用される。
【0093】
第1のコンベア64は、好ましくはエンドレスであり、その一部分は、無菌室78の底部壁82の下に設置され、その結果、包装容器12が、無菌化室60内で使用した同一のコンベア64を用いて充填および密封用のステーションへと移送され得る。これによって、コンベア間の不必要な包装容器の受け渡しが、回避され得る。
【0094】
本発明がいくつかの実施形態に関して説明されたとはいえ、様々な修正および変更が、別記の特許請求の範囲に規定したような本発明の目的および範囲から逸脱せずに行われ得ることを理解されたい。
【0095】
実施形態では、2つの第2の電子線放射装置36が、互いに対向して示される。代替実施形態では、1つだけの第2の電子線放射装置があり、包装容器は、入口領域を通過するときにそれ自体の長手方向軸の中心にほぼ1回、回転させられる。照射ロックが開口部をカバーできることを確実にするために、無菌化室と無菌室との間の開口部は、単一の第2の電子線放射装置によって生成される電子雲よりも大きくないはずである。
【0096】
無菌化装置は、上に説明した実施形態および図面では模式的な方法で説明され、図説されている。本発明に包含される無菌化装置の部品だけが説明されたが、無菌化装置は、例えばキャリアホイール、ガイドホイールおよびインフィードホイールを駆動するための駆動ユニット、ならびに第1のコンベアなどの追加の部品も備えることを理解されたい。無菌化装置は、電子およびX線が装置の外側の環境へと広がらないことを保証するために無菌化装置を封入する照射シールドを備えることも理解されたい。
【0097】
実施形態では、包装容器は、無菌化され、開口底部端を通して充填されるカートンボトルであり、これゆえ、その端部は、無菌室の中へと供給される包装容器の部分である。しかしながら、本発明は、無菌化および充填が飲み口/ネックを通して行われる別のタイプのボトル、例えば、PETボトル、に対しても適用可能であることが容易に理解される。前に述べたように、
図1cは、ボトルの飲み口/ネックを通して挿入した電子線放射装置を用いる無菌化を示す。このケースでは、無菌室の中へと供給される包装容器の部分は、自然に飲み口であり、任意選択でボトルの頂部部分(肩部分)の少なくとも一部分である。内部および外部の無菌化は、上に説明したものと同様に行うことが可能である。第1の電子線放射装置は、ボトルのネック開口部の中へと挿入されるのに十分なだけ小さい直径を有する第1の胴部18aを有する必要がある。さらに、無菌化されて無菌室の中へと入る外部の部分は、比較的小さいままであることが可能である。ボトルに「ネックリング」などのネックフランジが設けられる場合には、無菌化済みと未無菌化との間の区分は、例えば、ネックリングのレベルに設定され得る、すなわち、ネックリングの上方のねじ山部分が無菌化され、無菌室の中へと入り得る。ところが、ネックリングより下方の部分は、無菌化されないままであり、底部壁の下方であり得る。同様に、本発明は、当然のことながらプラスチックボトルプリフォーム、例えば、PETプリフォームの無菌化にも適用可能である。プリフォームの無菌化は、プリフォームが完成PETボトルへと吹き込み成形される前に行われる。
【0098】
説明した実施形態では、両方とも無菌包装に向けられた、第1の部屋が無菌化室として、第2の部屋が無菌室として説明されている。無菌レベルを狙うのではなく、すなわち、商業的な無菌状態を狙うのではなく、パッケージが消毒されるまたは衛生的に処理される別の一実施形態では、第1の部屋は、第2の部屋よりも清潔さが低くてもよく、第2の部屋は、無菌レベルまで清潔でなくてもよい。そのような実施形態では、電子線放射装置によって供給されるドーズは、無菌包装のために使用されるドーズよりも通常少なく、「無菌化する」という語は、この状況では「衛生的に処理する」または「消毒する」と解釈されるべきである。