特許第6554246号(P6554246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6554246
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】センサシステム
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/87 20060101AFI20190722BHJP
   G01S 7/03 20060101ALI20190722BHJP
   G01S 13/86 20060101ALI20190722BHJP
   G01S 13/93 20060101ALI20190722BHJP
   G01S 15/87 20060101ALI20190722BHJP
   G01S 15/93 20060101ALI20190722BHJP
   G01S 17/93 20060101ALI20190722BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20190722BHJP
【FI】
   G01S17/87
   G01S7/03 246
   G01S13/86
   G01S13/93 220
   G01S15/87
   G01S15/93
   G01S17/93
   F21V23/00 110
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-30369(P2019-30369)
(22)【出願日】2019年2月22日
(62)【分割の表示】特願2018-539787(P2018-539787)の分割
【原出願日】2017年9月14日
(65)【公開番号】特開2019-117197(P2019-117197A)
(43)【公開日】2019年7月18日
【審査請求日】2019年2月22日
(31)【優先権主張番号】特願2016-180579(P2016-180579)
(32)【優先日】2016年9月15日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伏見 美昭
(72)【発明者】
【氏名】堀 宇司
(72)【発明者】
【氏名】山本 照亮
(72)【発明者】
【氏名】笠羽 祐介
【審査官】 渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0247349(US,A1)
【文献】 特表2005−505074(JP,A)
【文献】 特開昭59−198377(JP,A)
【文献】 特開2003−329773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01S 7/00 − 7/64
17/00 − 17/95
13/00 − 13/95
15/00 − 15/96
B60Q 1/00 − 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるセンサシステムであって、
前記車両の左ランプに搭載されて少なくとも前記車両の前後方向における外部情報を取得する第一センサと、
前記車両の右ランプに搭載されて少なくとも前記車両の前後方向における外部情報を取得する第二センサと、
を備えており、
前記第一センサは、複数種のセンサからなる第一の組合せを含んでおり、
前記第二センサは、複数種のセンサからなる第二の組合せを含んでおり、
前記第一の組合せと前記第二の組合せは相違している、
センサシステム。
【請求項2】
前記第一の組合せは、
前記車両の少なくとも前方の情報を検出するカメラと、
前記車両の少なくとも左方の情報を検出するLiDARセンサと、
を含んでおり、
前記第二の組合せは、
前記車両の少なくとも前方の情報を検出するLiDARセンサと、
前記車両の少なくとも右方の情報を検出するLiDARセンサと、
を含んでいる、
請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項3】
前記第一の組合せは、前記車両の少なくとも前方の情報を検出するミリ波レーダをさらに含んでおり、
前記第二の組合せは、前記車両の少なくとも前方の情報を検出するカメラをさらに含んでいる、
請求項2に記載のセンサシステム。
【請求項4】
前記第一の組合せは、前記車両の少なくとも前方の情報を検出する超音波センサと前記車両の少なくとも前方の情報を検出するLiDARセンサをさらに含んでおり、
前記第二の組合せは、前記車両の少なくとも前方の情報を検出するミリ波レーダをさらに含んでいる、
請求項3に記載のセンサシステム。
【請求項5】
前記第一の組合せは、
前記車両の少なくとも前方の情報を検出するLiDARセンサと、
前記車両の少なくとも前方の情報を検出するミリ波レーダと、
前記車両の少なくとも左方の情報を検出するLiDARセンサと、
前記車両の少なくとも左方の情報を検出するカメラと、
を含んでおり、
前記第二の組合せは、
前記車両の少なくとも前方の情報を検出するLiDARセンサと、
前記車両の少なくとも前方の情報を検出するカメラと、
前記車両の少なくとも右方の情報を検出するLiDARセンサと、
前記車両の少なくとも右方の情報を検出するカメラと、
を含んでいる、
請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項6】
前記第一の組合せは、
前記車両の少なくとも前方の情報を検出するカメラと、
前記車両の少なくとも左方の情報を検出するカメラと、
前記車両の少なくとも左方の情報を検出するミリ波レーダと、
を含んでおり、
前記第二の組合せは、
前記車両の少なくとも前方の情報を検出するLiDARセンサと、
前記車両の少なくとも右方の情報を検出するカメラと、
前記車両の少なくとも右方の情報を検出するミリ波レーダと、
を含んでいる、
請求項1に記載のセンサシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に搭載されるセンサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、前照灯の灯室内にレーザレーダ装置が配置された構成を開示している。前照灯は、車両の前方を照明する。レーザレーダ装置は、当該車両の前方の情報(前方車両までの距離など)を取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国特開平5−027037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運転支援技術の高度化に伴い、より多様な情報を車両の外部から取得することが求められている。この要求に応えるためには、車両の外部の情報を取得するためのセンサの種別を増やせばよい。しかしながら、センサの種別の増加に伴い、コストの増加を避けられない。
【0005】
本開示は、コストの増加を抑制しつつ、多様な車両の外部情報を効率的に取得することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本開示の第一態様は、車両に搭載されるセンサシステムであって、
前記車両の左ランプに搭載されて少なくとも前記車両の前後方向における外部情報を取得する第一センサと、
前記車両の右ランプに搭載されて少なくとも前記車両の前後方向における外部情報を取得する第二センサと、を備えており、
前記第一センサの種別と前記第二センサの種別は相違している。
【0007】
車両の少なくとも前後方向の情報を取得しようとする場合、左ランプに搭載されるセンサの検出範囲と右ランプに搭載されるセンサの検出範囲の少なくとも一部が重なる場合がありうる。この場合、検出範囲が重なる領域からは、同じ情報が重複して得られることになる。
【0008】
上記の構成においては、左ランプに搭載されて車両の少なくとも前後の外部情報を取得する第一センサと、右ランプに搭載されて車両の少なくとも前後方向の外部情報を取得する第二センサの種別を敢えて異ならせることにより、同じ情報が重複して得られるという意味においての冗長性を排している。他方、種別が異なる複数のセンサを用いることにより、少なくとも車両の前後方向から取得される外部情報に多様性を持たせている。したがって、コストの増加を抑制しつつ、多様な車両の外部情報を効率的に取得できる。
【0009】
第一態様に係るセンサシステムは、以下のように構成されうる。
前記第一センサは、複数種のセンサからなる第一の組合せを含んでおり、
前記第二センサは、複数種のセンサからなる第二の組合せを含んでおり、
前記第一の組合せと前記第二の組合せは相違している。
【0010】
各ランプに搭載されるセンサの種別を増やすことによって、より多様な外部情報を取得できる。他方、左ランプに搭載される複数種のセンサの組合せと右ランプに搭載される複数種のセンサの組合せを相違させることにより、同じ情報が重複して得られるという意味においての冗長性を排している。したがって、コストの増加を抑制しつつ、さらに多様な車両の外部情報を効率的に取得できる。
【0011】
また、種別の異なる複数のセンサを通じて多様な外部情報を取得することにより、異なる外部情報同士を相補的に利用できるようにしている。
【0012】
例えば、第一態様に係るセンサシステムは、以下のように構成されうる。
前記第一センサと前記第二センサの一方は、カメラを含んでおり、
前記第一センサと前記第二センサの他方は、LiDARセンサを含んでいる。
【0013】
このような構成によれば、カメラにより撮像された物体までの距離を、LiDARセンサにより取得された情報を用いて正確に特定できる。逆に、LiDARセンサによって存在を検出された物体の種別(前方車両、歩行者など)を、カメラにより取得された情報を用いて正確に特定できる。
【0014】
あるいは、第一態様に係るセンサシステムは、以下のように構成されうる。
前記第一センサと前記第二センサの一方は、ミリ波レーダを含んでおり、
前記第一センサと前記第二センサの他方は、LiDARセンサを含んでいる。
【0015】
ミリ波レーダは、検出距離が長いことと検出速度が速いことを特徴としている。したがって、まずミリ波レーダによって車両の少なくとも前後方向に位置する物体の存在を検出し、次いでLiDARセンサによって取得された情報を用いて当該物体の属性を正確に特定するという検出手法が可能とされる。
【0016】
あるいは、第一態様に係るセンサシステムは、以下のように構成されうる。
前記第一センサと前記第二センサの一方は、ミリ波レーダを含んでおり、
前記第一センサと前記第二センサの他方は、超音波センサを含んでいる。
【0017】
超音波センサは、検出距離が短いものの、部品コストが低いことを特徴としている。他方、ミリ波レーダは、検出距離が長いことと検出速度が速いことを特徴としている。したがって、車両に対して近距離に位置する物体と遠距離に位置する物体の双方を検出可能な構成を、コストを抑制しつつ得ることができる。
【0018】
あるいは、第一態様に係るセンサシステムは、以下のように構成されうる。
前記第一センサと前記第二センサの一方は、ミリ波レーダを含んでおり、
前記第一センサと前記第二センサの他方は、カメラを含んでいる。
【0019】
ミリ波レーダは、検出距離が長いことと検出速度が速いことを特徴としている。したがって、まずミリ波レーダによって車両の少なくとも前後方向に位置する物体の存在を検出し、次いでカメラによって取得された情報を用いて当該物体の属性を正確に特定するという検出手法が可能とされる。
【0020】
上記の目的を達成するための第二態様は、車両に搭載されるセンサシステムであって、
前記車両の左ランプに搭載されて少なくとも前記車両の前後方向における外部情報を取得する第一センサと、
前記車両の右ランプに搭載されて少なくとも前記車両の前後方向における外部情報を取得する第二センサと、を備えており、
前記第一センサの第一検出範囲と前記第二センサの第二検出範囲は相違している。
【0021】
車両の少なくとも前後方向の情報を取得しようとする場合、左ランプに搭載されるセンサの検出範囲と右ランプに搭載されるセンサの検出範囲の少なくとも一部が重なる場合がありうる。この場合、検出範囲が重なる領域からは、同じ情報が重複して得られることになる。
【0022】
上記の構成においては、左ランプに搭載されて車両の少なくとも前後方向の外部情報を取得する第一センサの検出範囲と、右ランプに搭載されて車両の少なくとも前後方向の外部情報を取得する第二センサの検出範囲を敢えて異ならせることにより、同じ情報が重複して得られるという意味においての冗長性を排している。他方、検出範囲を異ならせることにより、少なくとも車両の前後方向から取得される外部情報に多様性を持たせている。したがって、コストの増加を抑制しつつ、多様な車両の外部情報を効率的に取得できる。
【0023】
本開示の第二態様に係るセンサシステムは、以下のように構成されうる。
前記第一センサの種別と前記第二センサの種別は同じである。
【0024】
このような構成によれば、左ランプに搭載されるセンサの種別と右ランプに搭載されるセンサの種別を異ならせる場合と比較して、部品コストをより抑制できる。
【0025】
第二態様に係るセンサシステムは、以下のように構成されうる。
前記第一検出範囲と前記第二検出範囲の一方は、他方よりも前記車両の前後方向における検出距離が長く、
前記第一検出範囲と前記第二検出範囲の他方は、一方よりも前記車両の左右方向における検出範囲が広い。
【0026】
このような構成によれば、第一センサと第二センサの一方の検出範囲の死角を、他方が効率よく補うことができる。
【0027】
第二態様に係るセンサシステムは、以下のように構成されうる。
前記第一センサと前記第二センサは、カメラ、LiDARセンサ、ミリ波レーダ、および超音波センサの少なくとも一つを含んでいる。
【0028】
第一態様に係るセンサシステムと第二態様に係るセンサシステムは、以下のように構成されうる。
前記左ランプに搭載されて少なくとも前記車両の左方の外部情報を取得する第三センサと、
前記右ランプに搭載されて少なくとも前記車両の右方の外部情報を取得する第四センサと、を備えており、
前記第三センサの種別と前記第四センサの種別は同じである。
【0029】
車両の少なくとも左方から取得しようとする情報の種別と車両の少なくとも右方から取得しようとする情報の種別は同じである一方、車両の少なくとも左方から情報を取得しようとするセンサの検出範囲と車両の少なくとも右方から情報を取得しようとするセンサの検出範囲は重複させにくい。したがって、両センサの種別を一致させることによって、車両の外部情報をより広範囲から正確に取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】第一実施形態に係るセンサシステムが搭載される車両を示す図である。
図2】第一実施形態に係るセンサシステムの構成を示す図である。
図3】第二実施形態に係るセンサシステムの構成を示す図である。
図4】第三実施形態に係るセンサシステムの構成を示す図である。
図5】第四実施形態に係るセンサシステムの構成を示す図である。
図6】第五実施形態に係るセンサシステムの構成を示す図である。
図7】第六実施形態に係るセンサシステムの構成を示す図である。
図8図7のセンサシステムの検出範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
添付の図面を参照しつつ、本発明に係る実施形態の例について以下詳細に説明する。以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0032】
添付の図面において、矢印Fは、図示された構造の前方向を示している。矢印Bは、図示された構造の後方向を示している。矢印Lは、図示された構造の左方向を示している。矢印Rは、図示された構造の右方向を示している。以降の説明に用いる「左」および「右」は、運転席から見た左右の方向を示している。
【0033】
図1は、実施形態の例に係るセンサシステムが搭載される車両1を模式的に示している。車両1は、左前ランプ1LFと右前ランプ1RFを備えている。
【0034】
左前ランプ1LF(左ランプの一例)は、車両1の左前隅部に配置されている。本明細書において「車両1の左前隅部」とは、車両1の前部のうち車両1の左右方向における中央よりも左方に位置する部分を意味する。本明細書において「車両1の前部」とは、車両1の車体における運転席2よりも前方に位置する部分を意味する。
【0035】
右前ランプ1RF(右ランプの一例)は、車両1の右前隅部に配置されている。本明細書において「車両1の右前隅部」とは、車両1の前部のうち車両1の左右方向における中央よりも右方に位置する部分を意味する。
【0036】
図2に示されるように、左前ランプ1LFは、左前灯室3Lを区画する左前ランプハウジング4Lと左前透光カバー5Lを備えている。左前灯室内3L内には、左前照灯6Lが収容されている。左前照灯6Lから出射された光は、左前透光カバー5Lを通過して少なくとも車両1の前方を照明する。
【0037】
同様に、右前ランプ1RFは、右前灯室3Rを区画する右前ランプハウジング4Rと右前透光カバー5Rを備えている。右前灯室内3R内には、右前照灯6Rが収容されている。右前照灯6Rから出射された光は、右前透光カバー5Rを通過して少なくとも車両1の前方を照明する。
【0038】
第一実施形態に係るセンサシステム10は、左前カメラ11とLiDAR(Light Detection and Ranging)センサ12を備えている。
【0039】
左前カメラ11(第一センサの一例)は、左前ランプ1LFの左前灯室3L内に搭載されている。左前カメラ11は、車両1の少なくとも前方を撮影する。すなわち、左前カメラ11は、車両1の少なくとも前方(車両の前後方向の一例)の外部情報を取得するセンサとして機能する。
【0040】
右前LiDARセンサ12(第二センサの一例)は、非可視光を出射する構成、および当該非可視光が車両1の少なくとも前方に存在する物体に反射した結果の戻り光を検出する構成を備えている。本実施形態においては、非可視光として波長905nmの赤外光が使用されている。
【0041】
右前LiDARセンサ12は、例えば、ある方向へ非可視光を出射したタイミングから戻り光を検出するまでの時間に基づいて、当該戻り光に関連付けられた物体までの距離を取得できる。また、そのような距離データを検出位置と関連付けて集積することにより、戻り光に関連付けられた物体の形状に係る情報を取得できる。これに加えてあるいは代えて、出射光と戻り光の波長の相違に基づいて、戻り光に関連付けられた物体の材質などの属性に係る情報を取得できる。これに加えてあるいは代えて、例えば路面から戻り光の反射率の相違に基づいて、対象物の色(路面における白線など)に係る情報を取得できる。すなわち、右前LiDARセンサ12は、車両1の少なくとも前方(車両の前後方向の一例)の外部情報を取得するセンサとして機能する。
【0042】
すなわち、センサシステム10においては、左前ランプ1LFに搭載されるセンサの種別と、右前ランプ1RFに搭載されるセンサの種別が相違している。
【0043】
車両1の少なくとも前方の情報を取得しようとする場合、左前ランプ1LFに搭載されるセンサの検出範囲と右前ランプ1RFに搭載されるセンサの検出範囲の少なくとも一部が重なる場合がありうる。この場合、検出範囲が重なる領域からは、同じ情報が重複して得られることになる。
【0044】
本実施形態においては、左前ランプ1LFに搭載されて車両1の少なくとも前方の外部情報を取得するセンサと、右前ランプ1RFに搭載されて車両1の少なくとも前方の外部情報を取得するセンサの種別を敢えて異ならせることにより、同じ情報が重複して得られるという意味においての冗長性を排している。他方、種別が異なる複数のセンサを用いることにより、少なくとも車両1の前方から取得される外部情報に多様性を持たせている。よって、コストの増加を抑制しつつ、多様な車両1の外部情報を効率的に取得できる。
【0045】
また、種別の異なる複数のセンサを通じて多様な外部情報を取得することにより、異なる外部情報同士を相補的に利用できるようにしている。本実施形態においては、左前ランプ1LFに左前カメラ11が搭載されており、右前ランプ1RFに右前LiDARセンサ12が搭載されている。
【0046】
このような構成によれば、左前カメラ11により撮像された物体までの距離を、右前LiDARセンサ12により取得された情報を用いて正確に特定できる。逆に、右前LiDARセンサ12によって存在を検出された物体の種別(前方車両、歩行者など)を、左前カメラ11により取得された情報を用いて正確に特定できる。
【0047】
センサシステム10は、左前ランプ1LFの左前灯室3Lに搭載された左LiDARセンサ13を備えている。左LiDARセンサ13(第三センサの一例)は、少なくとも車両1の左方の外部情報を取得するように配置されている。
【0048】
センサシステム10は、右前ランプ1RFの右前灯室3Rに搭載された右LiDARセンサ14を備えている。右LiDARセンサ14(第四センサの一例)は、少なくとも車両1の右方の外部情報を取得するように配置されている。
【0049】
すなわち、左前ランプ1LFに搭載されて少なくとも車両1の左方の情報を取得するセンサの種別と、右前ランプ1RFに搭載されて少なくとも車両1の右方の情報を取得するセンサの種別は同じである。
【0050】
車両1の少なくとも左方から取得しようとする情報の種別と車両1の少なくとも右方から取得しようとする情報の種別は同じである一方、車両1の少なくとも左方から情報を取得しようとするセンサの検出範囲と車両1の少なくとも右方から情報を取得しようとするセンサの検出範囲は重複させにくい。したがって、両センサの種別を一致させることによって、車両1の外部情報をより広範囲から正確に取得できる。
【0051】
図3は、第二実施形態に係るセンサシステム20を模式的に示している。第一実施形態に係るセンサシステム10と同一または同等の構成要素については、同一の参照番号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。
【0052】
センサシステム20は、センサシステム10を参照して説明した構成に加えて、左前ミリ波レーダ21と右前カメラ22を備えている。
【0053】
左前ミリ波レーダ21(第一センサの一例)は、左前ランプ1LFの左前灯室3L内に搭載されている。左前ミリ波レーダ21は、ミリ波を発信する構成、および当該ミリ波が車両1の少なくとも前方に存在する物体に反射した結果の反射波を受信する構成を備えている。本実施形態においては、周波数が76GHzのミリ波が使用されている。他の周波数の例としては、24GHz、26GHz、79GHzなどが挙げられる。
【0054】
左前ミリ波レーダ21は、例えば、ある方向へミリ波を発信したタイミングから反射波を受信するまでの時間に基づいて、当該反射波に関連付けられた物体までの距離を取得できる。また、そのような距離データを検出位置と関連付けて集積することにより、反射波に関連付けられた物体の動きに係る情報を取得できる。すなわち、左前ミリ波レーダ21は、少なくとも車両1の前方(車両の前後方向の一例)の外部情報を取得するセンサとして機能する。
【0055】
右前カメラ22(第二センサの一例)は、右前ランプ1RFの右前灯室3R内に搭載されている。右前カメラ22は、少なくとも車両1の前方を撮影する。すなわち、右前カメラ22は、少なくとも車両1の前方(車両の前後方向の一例)の外部情報を取得するセンサとして機能する。
【0056】
すなわち、左前ランプ1LFに搭載される複数種のセンサの組合せ(カメラとミリ波レーダ;第一の組合せの一例)と、右前ランプ1RFに搭載される複数種のセンサの組合せ(カメラとLiDARセンサ;第二の組合せの一例)は相違している。
【0057】
各ランプに搭載されるセンサの種別を増やすことによって、より多様な外部情報を取得できる。他方、左前ランプ1LFに搭載される複数種のセンサの組合せと右前ランプ1RFに搭載される複数種のセンサの組合せを相違させることにより、同じ情報が重複して得られるという意味においての冗長性を排している。したがって、コストの増加を抑制しつつ、さらに多様な車両1の外部情報を効率的に取得できる。
【0058】
本実施形態においては、左前ランプ1LFに左前ミリ波レーダ21が搭載されており、右前ランプ1RFに右前LiDARセンサ12が搭載されている。これにより、左前ランプ1LFに搭載される複数種のセンサの組合せと右前ランプ1RFに搭載される複数種のセンサの組合せが相違している。すなわち、種別の異なる複数のセンサを通じて取得された外部情報同士を相補的に利用している。
【0059】
ミリ波レーダは、検出距離が長いことと検出速度が速いことを特徴としている。したがって、まず左前ミリ波レーダ21によって車両1の少なくとも前方に位置する物体の存在を検出し、次いで右前LiDARセンサ12によって取得された情報を用いて当該物体の属性を正確に特定するという検出手法が可能とされる。
【0060】
図4は、第三実施形態に係るセンサシステム30を模式的に示している。第二実施形態に係るセンサシステム20と同一または同等の構成要素については、同一の参照番号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。
【0061】
センサシステム30は、センサシステム20を参照して説明した構成における左前ミリ波レーダ21に代えて、左前超音波センサ31、左前LiDARセンサ32、および右前ミリ波レーダ33を備えている。
【0062】
左前超音波センサ31(第一センサの一例)は、左前ランプ1LFの左前灯室3L内に搭載されている。左前超音波センサ31は、超音波(数十kHz〜数GHz)を発信する構成、および当該超音波が車両1の少なくとも前方に存在する物体に反射した結果の反射波を受信する構成を備えている。
【0063】
左前超音波センサ31は、例えば、ある方向へ超音波を発信したタイミングから反射波を受信するまでの時間に基づいて、当該反射波に関連付けられた物体までの距離を取得できる。また、そのような距離データを検出位置と関連付けて集積することにより、反射波に関連付けられた物体の動きに係る情報を取得できる。すなわち、左前超音波センサ31は、少なくとも車両1の前方(車両の前後方向の一例)の外部情報を取得するセンサとして機能する。
【0064】
左前LiDARセンサ32(第一センサの一例)は、左前ランプ1LFの左前灯室3L内に搭載されている。左前LiDARセンサ32は、右前LiDARセンサ12と同一の構成を有しているため、繰り返しとなる説明は省略する。左前LiDARセンサ32は、少なくとも車両1の前方(車両の前後方向の一例)の外部情報を取得するセンサとして機能する。
【0065】
右前ミリ波レーダ33(第二センサの一例)は、右前ランプ1RFの右前灯室3R内に搭載されている。右前ミリ波レーダ33は、左前ミリ波レーダ21と同一の構成を有しているため、繰り返しとなる説明は省略する。右前ミリ波レーダ33は、少なくとも車両1の前方(車両の前後方向の一例)の外部情報を取得するセンサとして機能する。
【0066】
すなわち、左前ランプ1LFに搭載される複数種のセンサの組合せ(カメラ、超音波センサ、およびLiDARセンサ;第一の組合せの一例)と、右前ランプ1RFに搭載される複数種のセンサの組合せ(カメラ、LiDARセンサ、およびミリ波レーダ;第二の組合せの一例)は相違している。
【0067】
各ランプに搭載されるセンサの種別を増やすことによって、より多様な外部情報を取得できる。他方、左前ランプ1LFに搭載される複数種のセンサの組合せと右前ランプ1RFに搭載される複数種のセンサの組合せを相違させることにより、同じ情報が重複して得られるという意味においての冗長性を排している。したがって、コストの増加を抑制しつつ、さらに多様な車両1の外部情報を効率的に取得できる。
【0068】
本実施形態においては、左前ランプ1LFに左前超音波センサ31が搭載されており、右前ランプ1RFに右前ミリ波レーダ33が搭載されている。これにより、左前ランプ1LFに搭載される複数種のセンサの組合せと右前ランプ1RFに搭載される複数種のセンサの組合せが相違している。すなわち、種別の異なる複数のセンサを通じて取得された外部情報同士を相補的に利用している。
【0069】
超音波センサは、検出距離が短いものの、部品コストが低いことを特徴としている。他方、ミリ波レーダは、検出距離が長いことと検出速度が速いことを特徴としている。したがって、車両1に対して近距離に位置する物体と遠距離に位置する物体の双方を検出可能な構成を、コストを抑制しつつ得ることができる。
【0070】
図5は、第四実施形態に係るセンサシステム40を模式的に示している。第二実施形態に係るセンサシステム20と同一または同等の構成要素については、同一の参照番号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。
【0071】
センサシステム40は、左前カメラ11に代えて第三実施形態に係るセンサシステム30を参照して説明した左前LiDARセンサ32を備えている。
【0072】
本実施形態においては、左前ランプ1LFに左前ミリ波レーダ21と左前LiDARセンサ32が搭載されており、右前ランプ1RFに右前カメラ22と右前LiDARセンサ12が搭載されている。これにより、左前ランプ1LFに搭載される複数種のセンサの組合せと右前ランプ1RFに搭載される複数種のセンサの組合せが相違している。すなわち、種別の異なる複数のセンサを通じて取得された外部情報同士を相補的に利用している。
【0073】
前述のように、ミリ波レーダは、検出距離が長いことと検出速度が速いことを特徴としている。したがって、まず左前ミリ波レーダ21によって車両1の少なくとも前方に位置する物体の存在を検出し、次いで右前カメラ22によって取得された情報を用いて当該物体の属性を正確に特定するという検出手法が可能とされる。
【0074】
センサシステム40は、左カメラ41をさらに備えている。左カメラ41(第三センサの一例)は、少なくとも車両1の左方を撮影するように配置されている。すなわち、左カメラ41は、少なくとも車両1の左方の外部情報を取得するセンサとして機能する。
【0075】
センサシステム40は、右カメラ42をさらに備えている。右カメラ42(第四センサの一例)は、少なくとも車両1の右方を撮影するように配置されている。すなわち、右カメラ42は、少なくとも車両1の右方の外部情報を取得するセンサとして機能する。
【0076】
すなわち、左前ランプ1LFに搭載されて少なくとも車両1の左方の情報を取得する複数のセンサの組合せと、右前ランプ1RFに搭載されて少なくとも車両1の右方の情報を取得する複数のセンサの組合せは同じである。
【0077】
このような構成によれば、第一実施形態に係るセンサシステム10を参照して説明した効果に加え、取得できる車両1の外部情報の多様性をさらに増すことができる。
【0078】
図6は、第五実施形態に係るセンサシステム50を模式的に示している。第一実施形態に係るセンサシステム10と同一または同等の構成要素については、同一の参照番号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。
【0079】
センサシステム50は、左LiDARセンサ13(本図では不図示)に加えてあるいは代えて、第四実施形態に係るセンサシステム40を参照して説明した左カメラ41と左ミリ波レーダ51を備えている。
【0080】
左ミリ波レーダ51(第三センサの一例)は、第二実施形態に係るセンサシステム20の左前ミリ波レーダ21と同一の構成を有しているため、繰り返しとなる説明は省略する。左ミリ波レーダ51は、少なくとも車両1の左方の外部情報を取得するように配置されている。
【0081】
センサシステム50は、右LiDARセンサ14(本図では不図示)に加えてあるいは代えて、第四実施形態に係るセンサシステム40を参照して説明した右カメラ42と右ミリ波レーダ52を備えている。
【0082】
右ミリ波レーダ52(第四センサの一例)は、第二実施形態に係るセンサシステム20の左前ミリ波レーダ21と同一の構成を有しているため、繰り返しとなる説明は省略する。右ミリ波レーダ52は、少なくとも車両1の右方の外部情報を取得するように配置されている。
【0083】
センサシステム50は、前ミリ波レーダ53をさらに備えている。前ミリ波レーダ53は、第二実施形態に係るセンサシステム20の左前ミリ波レーダ21と同一の構成を有しているため、繰り返しとなる説明は省略する。前ミリ波レーダ53は、車両1における左前ランプ1LFと右前ランプ1RFの外側(前バンパーなど)に搭載されている。前ミリ波レーダ53は、少なくとも車両1の前方の外部情報を取得するように配置されている。
【0084】
図7は、第六実施形態に係るセンサシステム60を模式的に示している。第二実施形態に係るセンサシステム20と同一または同等の構成要素については、同一の参照番号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。
【0085】
センサシステム60は、センサシステム20の左前ミリ波レーダ21に代えて、左前LiDARセンサ61を備えている。
【0086】
左前LiDARセンサ61(第一センサの一例)は、右前LiDARセンサ12と同一の構成を有しているため、繰り返しとなる説明は省略する。左前LiDARセンサ61は、少なくとも車両1の前方(車両の前後方向の一例)の外部情報を取得するセンサとして機能する。
【0087】
本実施形態においては、図8に示されるように、左前LiDARセンサ61の検出範囲AL(第一検出範囲の一例)と右前LiDARセンサ12の検出範囲AR(第二検出範囲の一例)が相違している。
【0088】
車両1の少なくとも前方の情報を取得しようとする場合、左前ランプ1LFに搭載されるセンサの検出範囲と右前ランプ1RFに搭載されるセンサの検出範囲の少なくとも一部が重なる場合がありうる。この場合、検出範囲が重なる領域からは、同じ情報が重複して得られることになる。
【0089】
本実施形態においては、左前ランプ1LFに搭載されて車両1の少なくとも前方の外部情報を取得するセンサの検出範囲と、右前ランプ1RFに搭載されて車両1の少なくとも前方の外部情報を取得するセンサの検出範囲を敢えて異ならせることにより、同じ情報が重複して得られるという意味においての冗長性を排している。他方、検出範囲を異ならせることにより、少なくとも車両1の前方から取得される外部情報に多様性を持たせている。したがって、コストの増加を抑制しつつ、多様な車両1の外部情報を効率的に取得できる。
【0090】
特に本実施形態においては、検出範囲ALを有するセンサの種別と検出範囲ARを有するセンサの種別がともにLiDARセンサであり、同一である。
【0091】
このような構成によれば、左前ランプ1LFに搭載されるセンサの種別と右前ランプ1RFに搭載されるセンサの種別を異ならせる場合と比較して、部品コストをより抑制できる。
【0092】
より具体的には、図8に示されるように、左前LiDARセンサ61の検出範囲ALは、右前LiDARセンサ12の検出範囲ARよりも車両1の左右方向に広い。他方、右前LiDARセンサ12の検出範囲ARは、左前LiDARセンサ61の検出範囲ALよりも車両1の前後方向に長い。
【0093】
このような構成によれば、左前LiDARセンサ61と右前LiDARセンサ12の一方の検出範囲の死角を、他方が効率よく補うことができる。
【0094】
本実施形態においては、左前ランプ1LFと右前ランプ1RFの各々にカメラとLiDARセンサが搭載されており、両LiDARセンサの検出範囲が相違している。しかしながら、左前ランプ1LFと右前ランプ1RFの各々に搭載されるセンサは、カメラ、LiDARセンサ、ミリ波レーダ、および超音波センサから少なくとも一種が選ばれうる。したがって、検出範囲が相違するセンサも、カメラ、LiDARセンサ、ミリ波レーダ、および超音波センサから少なくとも一種が選ばれうる。
【0095】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。また、等価物が本発明の技術的範囲に含まれることは明らかである。
【0096】
第一実施形態から第五実施形態を参照して図示した各構成において、左前ランプ1LFに搭載されるセンサと右前ランプ1RFに搭載されるセンサは左右対称に置き換えられうる。
【0097】
上記の各実施形態を参照する説明においては、左前ランプ1LFと右前ランプ1RFに搭載されるセンサシステムが例示された。しかしながら、上記の各センサシステムは、図1に示される車両1の左後隅部に配置される左後ランプ1LBと車両1の右後隅部に配置される右後ランプ1RBにも搭載されうる。
【0098】
本明細書において「車両1の左後隅部」とは、車両1の後部のうち車両1の左右方向における中央よりも左方に位置する部分を意味する。本明細書において「車両1の後部」とは、車両1の車体における運転席2よりも後方に位置する部分を意味する。本明細書において「車両1の右後隅部」とは、車両1の後部のうち車両1の左右方向における中央よりも右方に位置する部分を意味する。
【0099】
詳細な構成の図示は省略するが、左後ランプ1LBは、左後灯室を区画する左後ハウジングと左後透光カバーを備えている。左後灯室には、尾灯などの光源が配置されている。左前ランプ1LFを参照して説明した車両1の少なくとも前方の情報を取得するための少なくとも一種のセンサは、車両1の少なくとも後方(車両の前後方向の一例)の情報を取得するために、左後灯室内に搭載されうる。
【0100】
詳細な構成の図示は省略するが、右後ランプ1RBは、右後灯室を区画する右後ハウジングと右後透光カバーを備えている。右後灯室には、尾灯などの光源が配置されている。右前ランプ1RFを参照して説明した車両1の少なくとも前方の情報を取得するための少なくとも一種のセンサは、車両1の少なくとも後方(車両の前後方向の一例)の情報を取得するために、右後灯室内に搭載されうる。
【0101】
本開示は、2016年9月15日に出願された日本国特許出願(特願2016−180579号)に開示された内容を適宜援用する。
図1
図2
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図8