(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ピストンが前記開始位置に配置された時には打込工程後に前記検出装置が前記拡張された燃焼室の縮小のみを可能とする一方、前記ピストンが前記開始位置に配置されていない時には前記検出装置が前記拡張された燃焼室の縮小を妨げる、請求項5に記載の作業ツール。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】縮小された燃焼室部分を含む作業ツールの軸方向の模式断面図である。
【
図2】拡張した燃焼室部分を含む押圧状態にある、
図1の作業ツールの軸方向断面の模式図である。
【
図3】
図2の作業ツールの、点火時の軸方向の模式断面図である。
【
図4】
図3の作業ツールの、ピストンが戻る際の軸方向の模式断面図である。
【
図5】
図4の作業ツールの、ピストンが戻った後の軸方向の模式断面図である。
【
図6】
図5の作業ツールの、燃焼室部分が縮小した時の軸方向の模式断面図である。
【0016】
図1は、留め具用の燃焼駆動の設置ツールの、燃焼室の領域における軸方向断面を示す図である。
図1によると、設置ツールは、シリンダ壁(2)と、シリンダ壁(2)に装着された輪状の底壁(3a、3b)とを有する円筒形の燃焼室(1)を備える。底壁(3a、3b)の中心にはガイドシリンダ(5)が装着された開口があり、ガイドシリンダ(5)は、シリンダ壁(6)と、底壁(7)とを有する。ピストン(8)はガイドシリンダ(5)内に配置され、ガイドシリンダ(5)の長手方向に滑らかに滑動する。ピストン(8)は、燃焼室(1)の方向に向いたピストン板(9)と、底壁(7)の通路開口(11)を通る、ガイドシリンダ(5)から部分的に突出した、ピストン板(9)の中央に接合されるプランジャ(10)とから成る。
【0017】
図1において、ピストン(8)は後退した静止位置すなわち開始位置にあり、その位置で設置ツールは作動していない。燃焼室(1)に面したピストン板(9)の側面は、底壁(3a、3b)の内側におおよそ留まり、プランジャ(10)は、底壁(7)を若干越えて突出している。ピストン板(9)は、燃焼室(1)の方向に向けて段階的に先細っており、直径の小さな部分は開口(4b)に、直径の大きな部分は開口(4a)に収まっている。よって、ピストン(8)が開始位置に配置されている場合、ピストン板(9)用の直径の大きな部分が、ピストン板(9)の端止めとして作用する底壁(3b)に突き当たり当接している。図示されてはいないが、ピストン板(9)の外周に封止リングを取り付けて、ピストン板(9)の両側の室をお互いに封鎖することができる。燃焼室(1)内には、燃焼室壁と言うこともできる円筒板(14)がある。燃焼室壁(14)は、燃焼室(1)の長手方向に移動することができ、燃焼室壁(14)の前後の室を密封するための輪状シールをその外周縁に有する。さらに、燃焼室壁(14)は、輪状の周縁シールを備えた中央通路開口(16)を有する。
【0018】
燃焼室壁(14)と底壁(3b)との間には、さらに仕切板(18)がある。仕切板(18)は、同様に円形に形成され、燃焼室(1)の内径に対応する外径を有する。仕切板(18)には燃焼室壁(14)に面する側面に円筒状延長部(19)が接合されている。円筒状延長部(19)は、燃焼室壁(14)の中央通路開口(16)を通って突出し、その長さは燃焼室壁(14)の幅の数倍である。この通路開口(16)沿いの周縁シールは、円筒状延長部(19)の外周面に密着している。円筒状延長部(19)は、その上端部に、その周縁から突き出る輪状延長部(20)を有する。輪状延長部(20)の外径は、通路開口(16)の内径よりも大きい。燃焼室壁(14)の通路開口(16)の端部には、中空円筒状延長部(17)が装着され、円筒状延長部(19)を囲んでいる。中空円筒状延長部(17)の自由端は、輪状延長部(20)の下側に対向して位置し、
図1では、輪状延長部(20)から離れている。シリンダ壁(2)に接続されたリッジ(2a)は延長部(19)の位置決め用の端止めとして作用し、燃焼室の拡張時に延長部(19)に接続された仕切板(18)の位置決め用として作用する。
図1だけがリッジ(2a)の全体を示しており、
図2〜
図6では明確性のため省略されている。
【0019】
図1によれば、作業ツールが静止状態にある時は、仕切板(18)が底壁(3b)上に、燃焼室壁(14)が仕切板(18)上に位置する。よって、燃焼室(1)の完全な縮小が可能である。留め具を打ち込む対象(図示せず)にツールを当接してから、燃焼室壁(14)を引き上げて、仕切板(18)と底壁(3b)それぞれから引き離す。この工程を以下でさらに説明する。燃焼室壁(14)は、特定の時間が経過した後、輪状延長部(20)上で、仕切板(18)を伴って移動する。この工程全般において、燃焼室壁(14)と仕切板(18)とがお互いに所定の距離だけ離されるが、その距離は輪状延長部(20)の位置によって決まる。その際に、燃焼室壁(14)と仕切板(18)が所謂予備燃焼室を形成する。これは、燃焼室(1)内の部分的な燃焼室を表す。この予備燃焼室(7)は、
図2では参照番号(21)が付与されている。燃焼室壁(14)をさらに引き上げると、主燃焼室とされるさらなる部分的な燃焼室が、仕切板(18)と、底壁(3b)と、ピストン板(9)との間で拡張するように、燃焼室壁(14)と仕切板(18)とがお互い平行に動く。この部分的燃焼室、換言すると、主燃焼室は、
図2では参照番号(22)が付与されている。
図2は、部分的燃焼室(21)、(22)の両方が完全に拡張した状況を示す。延長部(19)は、端止め及びリッジ(2a)のそれぞれに突き当たる。
【0020】
燃焼室(1)の長手方向に燃焼室壁(14)を移動させるために、燃焼室壁(14)の周辺に沿って等角距離で配置される3つの駆動バー(1つだけ図示)が、例えば、取り付けられている。駆動バー(23)は、燃焼室(1)の円筒縦軸と平行で、シリンダ壁(6)の外側の側方に位置する。駆動バー(23)はそれぞれ、仕切板(18)における1つの通路開口(24)及び底壁(3a、3b)における追加の通路開口(25a、25b)を通り抜ける。この通路開口(25a、25b)はバルブ開口としても形成され、(25a)の領域では円錐形である。駆動バー(23)と燃焼室壁(14)は適切な方法で、例えばボルトでお互いに連結されている。その一方、駆動バー(23)の自由端は、燃焼室の円筒軸と同心円でガイドシリンダ(5)を囲む駆動リング(28)でお互いに連結されている。駆動リング(28)は、ボルトで駆動バー(23)にボルト留めされる。駆動バー(23)が通り抜けるシリンダ壁(6)の外部に装着される延長部(26)と駆動リング(28)との間には、各駆動バー(23)に圧縮ばね(27)が取り付けられ、その圧縮ばね(27)は延長部(26)に位置するとともに駆動リング(28)に対して押圧される。この圧縮ばね(27)の役割は、燃焼室壁(14)を底壁(3b)の方向に向かって継続的に押圧することである。
【0021】
上述の通り、バルブ開口として作用し、外部(25a)で円錐状に拡張する通路開口(25a、25b)が底壁(3a、3b)の輪状の領域に位置している。バルブリフタ(32)は、シーラントとしてバルブ開口に挿入されることができる。バルブ開口(25a、25b)の開放時において、バルブリフタ(32)は、燃焼室(1)の外部及び底壁(3a)の下部にそれぞれ位置し、ガイドシリンダ(5)に備えられた延長部(33a)によってこの位置に固定される。バルブリフタ(32)と開口(25a)の端部との間には、バルブリフタを延長部(33a)に向かって押圧する圧縮ばね(33b)が位置する。駆動リング(28)が底壁(3a)の方向に押されると、参照番号(34)のバルブを閉じるために、駆動バーに設けられた拡張部(33)がバルブリフタ(32)を伴って移動し、ばね(33b)の圧力に抗してバルブリフタ(32)をバルブ開口(25a、25b)に挿入する。これは、吸入/排出バルブを表す。そのため、拡張部(33)は、延長部(33a)にある開口(33c)を通り抜ける。
【0022】
仕切板(18)がその周辺に、それぞれ燃焼室(1)の円筒軸から等距離であり得る通路開口(38)をいくつか有することは記しておかなければならない。また、底壁(7)の方向にピストン(8)が動く際にガイドシリンダ(5)から空気を排出するため、ガイドシリンダ(5)の下端部に出口開口(39)がある。さらに、ガイドシリンダ(5)の下端部には、ピストン(8)の運動を減衰するための減衰装置(40)がある。ピストン(8)が出口開口(39)を通過すると、出口開口(39)からガスを逃出させることができる。シリンダ壁(2)及び燃焼室(1)には、径方向でお互いに離れた2つの径方向通路開口(41)、(42)が存在する。通路開口(41)、(42)に取り付けが可能なドージングバルブを用いると、通路開口(41)、(42)を通じて、液体組成のガスをまた完全に拡張していない部分的燃焼室(21)、(22)に注入することができる。このように、燃焼ガス混合物の容量は、部分的燃焼室(21)、(22)に注入するために、それぞれ調節することができる。
【0023】
上述の通り、
図2は、部分的燃焼室が拡張した状態、換言すると予備燃焼室(21)及び主室(22)が拡張した状態の設置ツール(10)を示す。燃焼室壁(14)及び仕切板(18)を押す位置では、バルブリフタ(32)がバルブ開口(25a、25b)に侵入して、延長部(33)とともに駆動バー(23)をも停止させると、さらに燃焼室壁(14)も停止する。仕切板(18)の位置は、端止め(2a)に対して押し付けられた延長部(19)によって決まる。バルブリフタ(32)は円錐形の態様を有する。点火装置(52)を収容するため、仕切板(18)に装着された中心延長部(19)が、仕切板(18)に面した領域で点火ブラケット(51)として形成されていることは記しておかなければならない。この点火装置(52)は、予備燃焼室(21)の燃焼ガス混合物を点火するための電気スパークを発生させる役割をする。以下でより詳細に述べる通り、点火装置(52)は点火ブラケット(51)の内部及び/又は中心部に位置する。点火ブラケット(51)はその周辺に通路開口(53)を備え、層流火炎面が開口(53)を通じて点火ケージ(51)から予備燃焼室(21)へと出ることができる。
【0024】
図1がさらに示す通り、固定解放装置(54)がガイドシリンダ(5)の隣に配置され、ピストン(8)及びプランジャ(10)を押す位置、換言すると、ピストン(8)が開始位置に配置されているか否かを決定するためのセンサ要素(55)を備えた検出装置に接続される。固定解放装置(54)は、駆動リング(28)を係止し、吸入/排出バルブ(34)を閉鎖位置に固定する役割を持つ。このため、固定解放装置(54)は、シリンダ(5)の長手方向に平行なシリンダ壁(6)の外側の近くを通し、枢動できるようにその後端が底壁(3a)の外部に装着されている係止レバー(56)である。このため、軸受装置(57)がそこに位置している。その軸受装置(57)とは反対側を向く係止レバー(54)の端は、駆動リング(28)の開口(58)を通り抜け、その自由端がプランジャ(10)の経路へと延びるセンサ要素(55)に合体するように延在する。ピストン(8)が
図1の開始位置に位置する場合、センサ要素(55)の自由端は、プランジャ(10)の端面(10a)の前へと移動する。係止レバー(56)及びセンサ要素(55)は、例えば、十分な強度を有する板金から打ち抜きにより作成できる。係止レバー(56)は、シリンダ(5)とは反対向きの側面に、駆動リング(28)が底壁(3a)の方向に十分に押された際に係止レバーで駆動リング(28)の後ろを把持することができる係止縁(59)を有する。係止レバー(56)は、軸受装置(57)を始点として、初めは比較的幅が小さいものの、その後広がって係止縁(59)を形成する。開口(58)の端が係止縁(59)から離脱するとともにプランジャ(10)の通路にセンサ部(55)の自由端が収まるように、ハウジングの側面に装着された圧縮ばね(60)により、係止レバー(56)がシリンダ(5)の方向に軸受装置(57)の周りを枢動する。
【0025】
さらに、シリンダ(5)の側面には、枢動が可能なようにシリンダ壁(6)の外部に備られた、トリガとして構成されたトリップ装置(61)がある。このために軸受装置(62)が設けられている。トリガ(61)は、底壁(3a、3b)の方向に向かって、具体的には圧縮ばね(63)の押し付けに抗して、軸受装置(62)の周りを枢動することができる。その際に、トリガ(61)の操作部は、係止レバー(56)の外側へ当接する。さらに、軸受装置(62)の領域においてトリガ(61)は、例えば、シリンダ(5)の床(7)の方向を向いた延長部(64)と一体的に連結されている。結果として
図1のトリガ(61)が反時計回りに軸受装置(62)の周りを動くと、延長部(64)も共に動く。延長部(64)は、シリンダ(5)の方向を向いた係止レバー(56)の端に作用し、よってばね(60)の力に抗してシリンダを伴って移動し、軸受装置(57)の周りを枢動させる。
【0026】
本願の発明に係る作業ツールの機能動作は、
図2から
図6を参照しながら、第1の実施例に基づき以下説明する。これらの図の要素は、
図1と同じ参照番号が付与され、再度の説明は行わない。
【0027】
図2は、留め具を打ち込む対象物に対して作業ツールの先端が押圧される状況を示す図である。その際に、駆動リング(28)は、正面を向いた押圧ブラケット(図示せず)を介して燃焼室(1)の方向に押され、吸入/排出バルブ(34)を密閉させる駆動バー(23)を介して部分的燃焼室(21)、(22)を拡張する。押圧ブラケット、駆動リング(28)、駆動バー(23)、及び圧縮ばね(27)は、
図2の押圧位置にある作業ツールの押圧装置を実質的に形成する。押圧装置は、押圧位置にある時のみピストン(8)を押すことを可能にする。部分的燃焼室(21)、(22)が完全に拡張する少し前までに、液体燃焼ガスが通路開口(41)、(42)を通じて注入される。駆動リング(28)は、係止縁(59)の前の被押圧端位置まで移動するが、トリガ(61)が作動されていないため、係止縁(59)が駆動リング(28)の後ろで固定されない。よって、センサ要素(55)の自由端が最初はプランジャ(10)の通路、換言すると自由端面(10a)の直前に留まる。
【0028】
図3では、トリガ(61)が作動、換言すると軸受軸(62)の周りを反時計周りに、すなわちばね(63)の力に抗して、枢動される。その際に係止レバー(56)は、係止縁(59)が駆動リング(28)の後ろで固定されるように、延長部(64)を介して、軸受軸(57)の周りを時計の反対周りに枢動する。同時に、係止レバー(56)の枢動で、センサ要素(55)をプランジャ(10)の通路から離脱させることができる。トリガ(61)の枢動動作の最後の部分で、センサ要素(55)がプランジャ(10)の通路から離脱した後に、点火装置(52)により、部分的燃焼室(21)、(22)内に存在する燃焼ガス混合物を点火する。点火ブラケット(51)内の電気点火装置(52)を通じて、点火スパークが発生する。例えば部分的燃焼室(21)、(22)のそれぞれに対する投入を通じて予め決定される、空気と燃焼ガスの混合物は、通路開口(38)の方向において径方向速度が比較的低い状態で火災面が広がる予備燃焼室(21)で最初に層状に燃焼する。そうすると、それが空気と燃焼ガスの未燃焼の混合物を前方へと押し、混合物は通路開口(38)を通じて主室(22)に到達して乱流及び予圧を発生させる。火災面が通路開口(38)、続いて主室(22)に到達すると、通路開口(38)の直径が比較的小さいことによって生じる火炎ジェットにより炎が主室(22)へと渡り、さらなる乱流を発生させる。主室(22)内の完全に混合された空気と燃焼ガスの乱流混合物は、火炎ジェットの全面で点火される。混合物は高速で燃焼するため、主室(22)における圧力が大きく増加する。
【0029】
ピストン板(9)が底壁(7)の方向に高速で移動するように、ピストン板(9)に高い圧力が加えられ、底壁(7)では空気が出口開口(39)を通じてガイドシリンダ(5)から同時に押し出される。出口開口(39)を通じてガスを排出することができるように、ピストン板(9)は一時的に出口開口(39)を通過する。プランジャ(10)は矢印の方向に伸びることにより、留め具が、作業ツールが押圧する対象物に対して、設置及び/又は打込まれる。燃焼室(1)、点火装置(52)、及びその他の要素は、留め具に向けてピストンを押し出すための打ち込み装置を形成する。
【0030】
図3に於いて、燃焼ガス混合物の点火直後に、トリガ(61)を再度開放することができる。
図3が示す矢印の方向におけるプランジャ(10)の上述の動きの後、係止レバー(56)とともにセンサ要素(55)がガイドシリンダ(5)の方向に圧縮ばね(60)により押圧される。しかし、センサ要素(55)の自由端がプランジャ(10)の周囲のみに対して押圧されるため、駆動リング(28)から係止縁(59)が離脱されない。そのため、係止レバー(56)を軸受装置(57)の周りで反時計周りに枢動させることはできない。吸入/排出バルブ(34)が閉鎖され、部分的燃焼室(21、22)が拡張された状態が保たれるように、駆動リング(28)が自らの位置を保つ。
【0031】
図4は、設置後であって、主室(22)における空気と燃焼ガスの混合物が成功裏に燃焼され、主室(22)では燃焼室(1)及びガイドシリンダ(5)に残留する排気ガスの冷却によりピストン(8)及びピストン板(9)の後方で真空状態がそれぞれ形成されるため、熱フィードバックを通じてピストン(8)が、図の矢印で示すように、開始位置に戻される状況を示す。センサ要素(55)の自由端がプランジャ(10)の周囲面を継続的に移動するので、駆動リング(28)は継続的に係止縁(59)に係止状態になる。ピストン(8)が完全に開始位置に到達していないため、吸入/排出バルブ(34)は密閉されたままである。
【0032】
図5は、熱フィードバックによりピストン(8)が完全に開始位置に戻った状況を示す。ここで、開口(4a)、(4b)は完全にピストン板により閉鎖されている。自由端(10a)がガイドシリンダ(5)の内部へと後退して、プランジャ(10)の自由端(10a)がセンサ要素(55)の領域の外へと移動する。
【0033】
図6によると、圧縮ばね(60)は、係止レバー(56)の係止縁(59)が駆動リング(28)から離脱するように、係止レバー(56)とともにセンサ要素(55)を、軸受装置(57)の周りを反時計周りに枢動することができる。
【0034】
図示されていない次の工程では、駆動バー(23)を伴って動く圧縮ばね(27)の助けにより、駆動リング(28)を底壁(3a、3b)から押し戻すことができる。延長部(33)が同様に底壁(3a、3b)から離れることで、すなわち圧縮ばね(33b)の影響を受けるようになって、バルブリフタ(32)がバルブ開口(25a、25b)から引き出される。作業ツールの先端の方向に駆動バー(23)が押されている間は、当初は燃焼室壁(14)と仕切板(18)が共に動かされ、燃焼室(1)全体と部分的燃焼室(21、22)はそれぞれ収縮する。そのために、燃焼した残留ガスは吸入/排出バルブ(34)から排出される。
図1が示す通り、吸入/排出バルブ(34)は、板(14)、(18)が互いに対抗する動きが発生すると、燃焼室(1)に新鮮な空気を送り込む役割をする。いくつかの吸入/排出バルブを設けて制御してもよい。
【0035】
図7は作業ツール、例えば
図1乃至6に記載の作業ツールの先端(100)を示す。先端(100)は、ボルトガイド(102)として構成される案内通路を有するホルダ(101)を備え、このボルトガイドは打込方向(103)でホルダに向けて移動可能である。同様に打込方向(103)に移動可能な押圧ブラケット(104)は、ホルダ(101)に装着され、ボルトガイド(102)により打込方向(103)に対して端止めに向けて動かすことができる。ホルダ(101)は図示しない作業ツールのハウジングに堅固に接続されるため、ボルトガイド(102)は押圧センサとして作用し、押圧ブラケット(104)とともに作業ツールの押圧装置の一部となる。作業ツールが基礎(被打込部材)に対して押圧されると、例えば、ボルトガイド(102)は、押圧ブラケット(104)を介して駆動リング(28)を燃焼室(1)に向けて押し、燃焼室(1)はこの作用により拡張する。図示されていない実施例では、押圧ブラケットが打込方向においてボルトガイド上で拡張し、自体で押圧センサを構成する。
【0036】
設置準備位置において、鋲(105)として構成される留め具は、ボルトガイドの後方且つ図示されていない作業ツールのピストンの前方に配置され、作業ツールのピストンは、基礎に鋲(105)を打ち込むために、鋲に向けて押し出されてピントンガイド(106)へと導かれる。鋲(105)は、追加の鋲とともに、特にプラスチック材料からできたリボン(107)に保持されており、リボンはカートリッジ(図示せず)に収容され、1つのカートリッジに配置された供給装置によって案内通路、すなわち
図7が示すリーダーへと運ばれ、鋲は1つずつ設置準備位置へと運ばれる。
【0037】
参照番号(110)の完成された供給遅延装置は、打込方向(103)とは反対方向に制御面(113)を有する制御要素(112)を備えたレバー(111)を備え、レバーはホルダ(101)に保持され、ピン(114)周りに回転が可能である。図示しない実施例においては、レバーは枢動レバー及び/又は、例えば、同様にホルダ上のキャリッジとして押すこともできる、押圧レバーとして構成される。制御要素(112)を作動させるため、押圧ブラケット(104)は、打込方向(103)に突き出した作動要素(108)を有する。
【0038】
図8は、作業ツールが基礎(被打込部材)に押圧されておらず、ピストンが開始位置に静止している状況下及び、例えば、作業ツール(図示せず)の燃焼室が縮小された状況下において、供給遅延装置(110)が開放位置にある状態の作業ツールの先端(100)を示す。案内通路は明確性にかんがみ省略する。作動要素(108)は、制御面(113)上で、レバー(111)の制御要素(112)と係合され、その結果レバー(111)の制御要素(112)は図示された位置で保持される。
【0039】
図9は、作業ツールが基礎に押圧されている状況下及び、例えば、作業ツール(図示せず)の燃焼室が拡張した状況下において、供給遅延装置(110)が閉塞位置にある状態の作業ツールの先端(100)を示す。図示されていない案内通路は、打込方向(103)すなわち図の右側に向けて、押圧ブラケット(104)を押し込んでいる。その時、作動要素(108)は制御要素(112)から離脱する。
図9の制御要素(112)が上を向くように、例えば、捻りばね等のばね要素(図示せず)が、レバー(111)を時計回りに付勢する。
【0040】
図10は、
図8が示す供給遅延装置(110)が開放位置にあるときの作業ツールの先端(100)を示す斜視図である。鋲(105)を有するリボン(107)が下から案内通路(図示せず)へと搬送される。作動要素(108)は再度、制御面(113)上で、図示された位置で保持されるレバー(111)の制御要素(112)と係合される。レバー(111)は、鋲(105)又はリボン(107)に係止するための歯付き接触面(115)を有するが、図で示す通り、供給遅延装置(110)の開放位置においては、歯付き接触面(115)は鋲(105)又はリボン(107)から離れている。そのため、鋲(105)は案内通路(図示せず)へと搬送され得る。
【0041】
図11は、
図9が示す供給遅延装置(110)が閉塞位置にあるときの作業ツールの先端(100)の斜視図を示す。作動要素(108)は再度制御要素(112)から離脱し、
図11が示すばね要素(図示せず)の付勢力により制御要素(112)が左側に動く。よって接触面(115)は鋲(105)及び/又はリボン(107)の近傍に位置して、図が示す通り供給遅延装置(110)の閉塞位置で鋲(105)が案内通路(図示せず)へ搬送されないようにする。検出装置は、ピストンが開始位置で静止状態にある場合のみ、
図10が示す位置に戻る押圧ブラケット(104)の動きを可能とする。これにより、該当する場合において、ピストンの往復運動が終わるまで、留め具の供給を遅らせることが可能となる。
【0042】
図12は、打込方向から見た、
図8及び
図10が示すレバー(111)が開放位置にある状態の供給遅延装置(110)を示す。鋲(105)を有するリボン(107)が、案内通路(図示せず)へと左側に搬送され、案内通路では
図12が示す左側の鋲(105)がすでに設置準備位置に位置している。レバー(111)は、歯付き接触面(115)を有する接触要素(116)を備える。図示された供給遅延装置(110)の開放位置では、接触面(115)が鋲(105)及びリボン(107)から離れているので、鋲(105)が案内通路(図示せず)へと搬送される。
【0043】
図13は、打込方向から見た、
図9及び
図11が示す閉塞位置にある状態のレバー(111)を有する供給遅延装置(110)を示す。接触要素(116)は歯付き接触面(115)とともにリボン(107)の近傍に位置し、鋸刃の歯が部分的にリボン(107)に噛み込む。その際、ばね要素(図示せず)の支持要素(図示せず)に対する力でリボンが固く噛み込まれる。ここで支持要素は、例えば、作業ツール若しくはカートリッジのハウジング又はホルダに接続されている。図示された供給遅延装置(110)の閉塞位置では、打込工程後には左の鋲が存在せず、ピストンが案内通路から解放されたとしても、案内通路(図示せず)へ向けた
図13の第2の鋲(105)の左方向への搬送は
阻止される。図示されていない実施例では、2つの鋲の間の位置に、3つ目、4つ目、若しくは5つ目の鋲またはリボンが噛み込まれている。接触面(115)の鋸刃には好ましい方向(
図12を参照)があり、例えば、作業ツールの誤作動の際には、閉塞位置にあっても、図示する位置からリボン(107)が手作業で右側に向けて取り出され得る。図示されていない実施例では、接触面が滑らか又は若干湾曲しており、摩擦力によって留め具又はリボンに接触している。
【0044】
上述の供給遅延は、ユーザーが作業ツールを基礎から持ち上げる速度に依存するものでもなく、ユーザーの操作傾向に関連するものでもない。さらに、例えば、基礎に残った作業ツールから分離して持ち上げるようなとき、供給遅延装置とは独立に案内通路を動かすことができ、そうすると一定の状況下では打込みの質が改善される。でなければ、案内通路は容易に構成が可能な摩耗部品とする。さらに、供給遅延は、ピストンを押し出す形式によるものでなくとも、また縮小が可能ではない燃焼室を有する作業ツールでも可能である。