特許第6554292号(P6554292)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6554292持久力向上作用又は抗疲労作用を発揮させる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6554292
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】持久力向上作用又は抗疲労作用を発揮させる方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/105 20160101AFI20190722BHJP
   A23L 33/125 20160101ALI20190722BHJP
   A23L 33/175 20160101ALI20190722BHJP
   A61K 31/353 20060101ALI20190722BHJP
   A61K 31/401 20060101ALI20190722BHJP
   A61K 31/70 20060101ALI20190722BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20190722BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20190722BHJP
   A61K 36/82 20060101ALI20190722BHJP
   A61K 127/00 20060101ALN20190722BHJP
【FI】
   A23L33/105
   A23L33/125
   A23L33/175
   A61K31/353
   A61K31/401
   A61K31/70
   A61K31/198
   A61P3/02
   A61K36/82
   A61K127:00
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-40278(P2015-40278)
(22)【出願日】2015年3月2日
(65)【公開番号】特開2016-160216(P2016-160216A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2018年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002631
【氏名又は名称】特許業務法人イイダアンドパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100076439
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 敏三
(74)【代理人】
【識別番号】100141771
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 宏和
(72)【発明者】
【氏名】峯岸 慶彦
(72)【発明者】
【氏名】太田 宣康
(72)【発明者】
【氏名】下豊留 玲
(72)【発明者】
【氏名】石井 康一
【審査官】 原口 美和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−089384(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/169600(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/081582(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/353
A23L 33/105
A23L 33/125
A23L 33/175
A61K 31/198
A61K 31/401
A61K 31/70
A61K 36/82
A61P 3/02
A61K 127/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト又はヒト以外の哺乳動物に対して、
カテキン化合物を7日以上継続して摂取させる工程、並びに
糖質、アラニン及びプロリンを長時間の運動の10〜120分前に摂取させる工程、
を含んでなる、持久力向上作用を発揮させる方法であって、
前記糖質、アラニン及びプロリンを食品組成物の形態で適用し、前記食品組成物における、アラニンとプロリンとの配合割合が、質量比で、アラニン:プロリン=1:(0.01〜1)である、持久力向上作用を発揮させる方法(但し、医療行為を除く)
【請求項2】
ヒト又はヒト以外の哺乳動物に対して前記カテキン化合物を継続して摂取させ、継続してカテキン化合物を摂取させたヒト又はヒト以外の哺乳動物に対して、運動前に、前記糖質、アラニン及びプロリンを摂取させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カテキン化合物が茶葉から抽出して得られるものである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ヒト又はヒト以外の哺乳動物に対して、
カテキン化合物を7日以上継続して摂取させる工程、並びに
糖質、アラニン及びプロリンを長時間の運動の10〜120分前に摂取させる工程、
を含んでなる、抗疲労作用を発揮させる方法であって、
前記糖質、アラニン及びプロリンを食品組成物の形態で適用し、前記食品組成物における、アラニンとプロリンとの配合割合が、質量比で、アラニン:プロリン=1:(0.01〜1)である、抗疲労作用を発揮させる方法(但し、医療行為を除く)
【請求項5】
ヒト又はヒト以外の哺乳動物に対して前記カテキン化合物を継続して摂取させ、継続してカテキン化合物を摂取させたヒト又はヒト以外の哺乳動物に対して、運動前に、前記糖質、アラニン及びプロリンを摂取させる、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記カテキン化合物が茶葉から抽出して得られるものである、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
それぞれ異なる包装形態からなる下記食品組成物(A)及び(B)を含み、
下記食品組成物(A)の7日以上の継続的な摂取と、下記食品組成物(B)の長時間の運動の10〜120分前の摂取との併用による、持久力の向上、又は疲労の予防及び改善をコンセプトとしてその旨を表示した、持久力向上作用又は抗疲労作用を発揮させるためのキット。
(A)カテキン化合物を含有する食品組成物。
(B)糖質、アラニン及びプロリンを含有する食品組成物であって、食品組成物における、アラニンとプロリンとの配合割合が、質量比で、アラニン:プロリン=1:(0.01〜1)である、食品組成物
【請求項8】
前記食品組成物(A)が1食あたりの単位包装形態からなり、該単位中に前記カテキン化合物を100mg以上3,000mg以下含有する、請求項に記載のキット。
【請求項9】
前記カテキン化合物が茶葉から抽出して得られるものである、請求項又はに記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持久力向上作用又は抗疲労作用を発揮させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
運動や労働における持久力を向上させること、及び疲労を抑制することは、持久力を必要とする運動や筋肉労作を繰り返し行う必要のある労働等を始めとする広義の運動を行うに際して強く求められている。
持久力を向上させ、疲労を抑制するためには、適切なエネルギー補給が重要となる。しかし、運動中に適宜飲食を行なうことができない場合も多い。したがって、特に長時間運動を行なう者、優れた運動パフォーマンスを長時間維持することが求められるアスリート等にとって、適切なエネルギー補給を行なうことが重要である。
【0003】
かかる観点から、持久力向上作用及び疲労抑制作用を有する成分の探索が種々行われている。例えば、持久力を向上させる成分及び疲労を抑制する成分として、カテキン化合物や、糖質、アラニン及びプロリンを含有するアミノ酸組成物などが報告されている(特許文献1及び2参照)。
しかし、カテキン化合物や前記アミノ酸組成物の単独使用による持久力向上作用及び抗疲労作用に関して報告されているだけであって、これらを併用して摂取した場合の作用効果についてはこれまで全く知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−89384号公報
【特許文献2】国際公開第2012/169600号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、優れた持久力向上作用を発揮させる方法の提供を課題とする。
また本発明は、優れた抗疲労作用を発揮させる方法の提供を課題とする。
さらに本発明は、前記方法に好適に用いることができるキットの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は上記課題に鑑み、優れた持久力向上作用及び抗疲労作用を発揮させる方法について鋭意検討を行った。その結果、カテキン化合物を継続して摂取させ、かつ、糖質、アラニン及びプロリンを含有する組成物(以下、「糖原性アミノ酸組成物」ともいう)を運動前に摂取させることにより、カテキン化合物及び糖原性アミノ酸組成物をそれぞれ単独で摂取させた場合と比較して、有意に持久力を向上させること、及び疲労を有意に予防又は改善できることを見出した。本発明はこの知見に基づいて完成されたものである。
【0007】
本発明は、ヒト又はヒト以外の哺乳動物に対して、
カテキン化合物を継続して摂取させる工程、並びに
糖質、アラニン及びプロリンを運動前に摂取させる工程、
を含んでなる、持久力向上作用を発揮させる方法に関する。
【0008】
また本発明は、ヒト又はヒト以外の哺乳動物に対して、
カテキン化合物を継続して摂取させる工程、並びに
糖質、アラニン及びプロリンを運動前に摂取させる工程、
を含んでなる、抗疲労作用を発揮させる方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の方法によれば、持久力を必要とする運動や筋肉労作を繰り返し行う必要のある労働等を始めとする広義の運動に対して、優れた持久力向上作用又は抗疲労作用を発揮させることができる。
さらに本発明のキットは、前記方法に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において「持久力向上」とは一般に、運動において持久力に関して所望の結果を達成するための、対象の有する能力を向上させることをいう。なお、本明細書における「運動」とは、無酸素運動及び有酸素運動のいずれをも包含する。そして、歩く、走る、泳ぐ、立つ、座る、物を持つ、物を動かすなどの基本的な動作、スポーツ、体を鍛えるためのトレーニングをも包含する。
【0011】
本明細書において「疲労」とは、身体的又は精神的負荷を連続して与えたときにみられる一時的な身体的又は精神的機能の低下をいう。身体的又は精神的機能の低下は、身体的又は精神的作業能力の質的又は量的な低下を意味する。また、本明細書における「疲労」には、慢性疲労症候群をも包含するものとする。
本発明における「抗疲労作用」としての効果は、疲労を減弱させる作用や疲労を回復させる作用をいう。具体的には、運動や作用した部位(脳を含む)の働きの持続時間を向上させること、同じ運動量や作用量での疲労物質の生成を抑制すること、運動や作用した部位が疲労していないにもかかわらず脳や神経などが疲労感知状態になっていることを予防又は改善すること、及び運動や作用した部位の疲労状態を通常状態に回復させることをいう。
【0012】
本明細書において「予防」とは、個体における疾患若しくは症状の発症の防止若しくは遅延、又は個体の疾患若しくは症状の発症の危険性を低下させることをいう。
また、本明細書において「改善」とは、疾患、症状若しくは状態の好転、疾患、症状若しくは状態の悪化の防止若しくは遅延、又は疾患、症状若しくは状態の進行の逆転、防止若しくは遅延をいう。
さらに本明細書において「非治療的」とは、医療行為、すなわち治療による人体への処置行為を含まない概念である。
【0013】
本発明の方法は、ヒト又はヒト以外の哺乳動物に対して、カテキン化合物を継続して摂取させる工程、並びに糖質、アラニン及びプロリンを運動前に摂取させる工程を含んでなる。本発明において、カテキン化合物の摂取方法、並びに糖質、アラニン及びプロリンの摂取方法は適宜選択することができるが、経口摂取させるのが好ましい。
【0014】
なお本発明の方法は、カテキン化合物と、糖質、アラニン及びプロリンとの摂取順序を何ら規定するものではなく、これら化合物の摂取順序やタイミングは適宜設定することができる。
例えば、ヒト又はヒト以外の哺乳動物に対してカテキン化合物を継続して摂取させ、継続してカテキン化合物を摂取させたヒト又はヒト以外の哺乳動物に対して、運動前に、糖質、アラニン及びプロリンを摂取させることが好ましい。
また、これら化合物の摂取順序やタイミングに関する本発明の方法の好ましい実施態様としては、断続的な摂取の中断を行うことなくカテキン化合物を継続して摂取させ、その後、糖質、アラニン及びプロリンを運動前に摂取させることが好ましい。さらに、カテキン化合物の継続的な摂取と、その後の糖質、アラニン及びプロリンの運動前の摂取を1サイクルとし、このサイクルを繰り返し行うこともより好ましい。
【0015】
まず、ヒト又はヒト以外の哺乳動物に対してカテキン化合物を継続して摂取させる工程について詳細に説明する。
本発明で用いる「カテキン化合物」とは、3-オキシフラバンのポリオキシ誘導体の総称である。カテキン化合物の具体例としては、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートが挙げられる。本発明においては、これらの化合物の1種を用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
【0016】
本発明で用いるカテキン化合物は、ツバキ(Camellia)属、例えばチャノキ(Camellia sinensis var.sinensis)、アッサムチャ(Camellia sinensis var.assamica)及びやぶきた種を含むそれらの雑種の茶葉から抽出物して得られるものであるのが好ましい。茶葉としては、生茶葉又は製茶された茶葉が挙げられ、製茶された茶葉には、煎茶、番茶、玉露、てん茶、釜入り茶等の緑茶類;総称して烏龍茶と呼ばれる鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶などの半発酵茶;紅茶と呼ばれるダージリン、ウバ、キーマン等の発酵茶が含まれる。なお、生茶葉は緑茶類に含まれる。
茶葉からカテキン化合物を抽出するための溶媒としては適宜選択することができる。具体例としては、水、水溶性有機溶媒又はそれらの混合物が挙げられる。水溶性有機溶媒としてはアルコールが好ましく、エタノールがより好ましい。
茶葉を抽出する方法については、撹拌抽出など通常の方法により行うことができる。また抽出溶媒に、あらかじめアスコルビン酸ナトリウムなどの有機酸又は有機酸塩類などの抽出助剤を添加してもよい。また煮沸脱気や窒素ガス等の不活性ガスを通気して溶存酸素を除去しつつ、非酸化的雰囲気下で抽出する方法を併用してもよい。
【0017】
また、カテキン化合物として、茶抽出物の濃縮物又は精製物を用いてもよい。ここでいう「茶抽出物の濃縮物」とは、茶葉から熱水又は水溶性有機溶媒により抽出された抽出物を濃縮したものをいう。また、「茶抽出物の精製物」とは、溶剤やカラムを用いて抽出物を精製したものである。
本発明では、カテキン化合物として、茶抽出物の濃縮物又は茶抽出物の精製物を用いることが好ましく、緑茶抽出物の濃縮物又は緑茶抽出物の精製物を用いるのが特に好ましい。
【0018】
本発明で用いるカテキン化合物は、特開昭59−219384号公報、特開平4−20589号公報、特開平5−260907号公報、特開平5−306279号公報等に詳細に例示されている方法を参照して調製することができる。
本発明で用いることができる、カテキン化合物の市販品としては、「ポリフェノン70S」(商品名、三井農林社製)、「ポリフェノン」(商品名、東京フードテクノ社製)、「テアフラン」(商品名、伊藤園社製)、「サンフェノン」(商品名、太陽化学社製)、「サンウーロン」(商品名、サントリー社製)等が挙げられる。
【0019】
本発明で用いるカテキン化合物の形態としては、固体、水溶液、スラリー状等、種々の形態が挙げられる。また、茶抽出物の濃縮物又は茶抽出物の精製物を溶解、希釈する液は、水、炭酸水等が挙げられる。
【0020】
本発明において、カテキン化合物単体をヒト又はヒト以外の哺乳動物に摂取させてもよい。あるいは、カテキン化合物と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物をヒト又はヒト以外の哺乳動物に摂取させてもよい。
【0021】
医薬組成物を調製する場合は、通常、カテキン化合物と好ましくは薬学的に許容される担体を含む製剤として調製する。薬学的に許容される担体とは、一般的に、カテキン化合物とは反応しない、不活性の、無毒の、固体又は液体の、増量剤、希釈剤又はカプセル化材料等をいい、例えば、水、エタノール、ポリオール類(例えば、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、及びポリエチレングリコール等)、適切なそれらの混合物、植物性油などの溶媒又は分散媒体などが挙げられる。
【0022】
医薬組成物は、経口により、非経口により、例えば、口腔内に、皮膚に、皮下に、粘膜に、静脈内に、動脈内に、筋肉内に、腹腔内に、膣内に、肺に、脳内に、眼に、又は鼻腔内に投与される。経口投与製剤としては、錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤、チュアブル剤、ペレット剤、シロップ剤、液剤、懸濁剤及び吸入剤などが挙げられる。非経口投与製剤としては、坐剤、保持型浣腸剤、点滴剤、点眼剤、点鼻剤、ペッサリー剤、注射剤、口腔洗浄剤、並びに軟膏、クリーム剤、ローション、ゲル剤、制御放出パッチ剤及び貼付剤などの皮膚外用剤などが挙げられる。医薬組成物は、徐放性皮下インプラントの形態で、又は標的送達系(例えば、モノクローナル抗体、ベクター送達、イオン注入、ポリマーマトリックス、リポソーム及びミクロスフェア)の形態で、非経口で投与してもよい。
【0023】
医薬組成物はさらに医薬分野において慣用の添加剤を含んでいてもよい。そのような添加剤には、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、抗酸化剤、着色剤、矯味剤などがあり、必要に応じて使用できる。長時間作用できるように徐放化するためには、既知の遅延剤等でコーティングすることもできる。必要に応じてその他の添加剤や薬剤、例えば制酸剤、胃粘膜保護剤を加えてもよい。
【0024】
本発明において、カテキン化合物を食料、飲料、飼料、ペットフードに添加又は配合した食品組成物をヒト又はヒト以外の哺乳動物に摂取させてもよい。あるいは、カテキン化合物の継続的な摂取と、糖原性アミノ酸組成物の運動前の摂取との併用による、持久力の向上、又は疲労の予防及び改善等をコンセプトとしてその旨を表示した飲食品、すなわち、健康食品、機能性食品、病者用食品及び特定保健用食品などに添加又は配合し、ヒト又はヒト以外の哺乳動物に摂取させてもよい。前記の、健康食品、機能性食品、病者用食品、特定保健用食品は、具体的には、細粒剤、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、シロップ剤、液剤、流動食等の各種製剤形態として使用することができる。製剤形態の食品は、医薬製剤と同様に製造することができ、カテキン化合物と、食品として許容できる担体、例えば適当な賦形剤等とを混合した後、慣用の手段を用いて製造することができる。さらに、スープ類、ジュース類、乳飲料、茶飲料、コーヒー飲料、ココア飲料、ゼリー状飲料、スポーツ飲料、ダイエット飲料などの液状食品組成物、プリン、ヨーグルトなどの半固形食品組成物、パン類、うどんなどの麺類、クッキー、チョコレート、キャンディ、ガム、せんべいなどの菓子類、ふりかけ、バター、ジャムなどのスプレッド類等に、カテキン化合物を添加又は配合して、食品組成物を製造することができる。
【0025】
前記各製剤中のカテキン化合物の配合量は、その使用形態に応じて適宜設定することができる。例えば、前記各製剤の総量中、カテキン化合物の配合量は、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましく、5質量%以下が好ましく、2.5質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、0.01〜5質量%が好ましく、0.05〜2.5質量%がより好ましく、0.1〜1質量%がさらに好ましい。
【0026】
本発明におけるカテキン化合物の有効摂取量は、個体の状態、体重、性別、年齢、素材の活性、摂取経路、摂取スケジュール、製剤の形態又はその他の要因により適宜決定することができる。例えば、カテキン化合物のヒトに対する有効摂取量は、1日あたり、体重60kgあたり、好ましくは100mg以上、より好ましくは250mg以上、好ましくは3,000mg以下、より好ましくは2,000mg以下、さらに好ましくは1,000mg以下、又は好ましくは250〜2,000mg、より好ましくは250〜1,000mgである。なおカテキン化合物は、1日1回〜数回に分け、又は任意の期間及び間隔で摂取・投与され得る。また、カテキン化合物の摂取は、全身への摂取でもよいし、局所への摂取でもよい。
【0027】
本発明において、ヒト又はヒト以外の哺乳動物に前記カテキン化合物を継続して摂取させる期間は、個体の状態、体重、性別、年齢、素材の活性、摂取経路、摂取スケジュール、製剤の形態又はその他の要因により適宜決定することができる。例えば、優れた持久力向上作用及び抗疲労作用を発揮させるために、ヒト又はヒト以外の哺乳動物に対して、前記カテキン化合物を7日(1週間)以上継続して摂取させることが好ましく、14日(2週間)以上継続して摂取させることがより好ましく、28日(4週間)以上継続して摂取させることがさらに好ましく、56日(8週間)以上継続して摂取させることが特に好ましい。また本発明において、カテキン化合物の摂取は断続的に中断することなく、継続して摂取させることが好ましい。
【0028】
次に、ヒト又はヒト以外の哺乳動物に対して、糖質、アラニン及びプロリンを運動前に摂摂取させる工程について詳細に説明する。
【0029】
本発明で用いる糖質は、エネルギー補給源となる糖類を適宜選択することができる。糖質の具体例としては、単糖類(グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトースなど)、二糖類(スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、イソマルトースなど)、オリゴ糖及び多糖類(でんぷん、デキストリン、還元デキストリン、マルトデキストリン、グリコーゲンなど)が挙げられる。効率的なエネルギー補給の観点から、本発明で用いる糖質は、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、イソマルトース、オリゴ糖、デキストリン、還元デキストリン又はマルトデキストリンが好ましく、マルトデキストリンがより好ましい。また糖質として、これらの糖質の1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
本発明で用いるアラニンは、L-体、D-体又はDL-体のいずれでもよい。このうち、DL-体が原料の入手のしやすさから好ましい。
本発明で用いるプロリンは、L-体、D-体又はDL-体のいずれでもよい。このうち、L-体が原料の入手のしやすさから好ましい。
【0031】
本発明においてアラニン及びプロリンを摂取させる際、これらのアミノ酸は生理的に許容されうる塩の形態でありうる。このような塩の形態としては、酸との塩(酸付加塩)、塩基との塩(塩基付加塩)などが挙げられる。酸付加塩を形成する酸としては、塩化水素、臭化水素、硫酸、リン酸等の無機酸;酢酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、モノメチル硫酸等の有機酸が挙げられる。塩基付加塩を形成する塩基としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム等の金属の水酸化物又は炭酸化物、又はアンモニア等の無機塩基;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、エタノールアミン、モノアルキルエタノールアミン、ジアルキルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機塩基が挙げられる。
【0032】
本発明において、糖質、アラニン及びプロリンの各単体からなる糖原性アミノ酸組成物をヒト又はヒト以外の哺乳動物に摂取させてもよい。あるいは、糖質、アラニン及びプロリンと、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物をヒト又はヒト以外の哺乳動物に摂取させてもよい。
【0033】
医薬組成物を調製する場合は、通常、糖質、アラニン及びプロリンと好ましくは薬学的に許容される担体を含む製剤として調製する。薬学的に許容される担体とは、一般的に、前記各成分とは反応しない、不活性の、無毒の、固体又は液体の、増量剤、希釈剤又はカプセル化材料等をいい、例えば、水、エタノール、ポリオール類(例えば、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、及びポリエチレングリコール等)、適切なそれらの混合物、植物性油などの溶媒又は分散媒体などが挙げられる。
【0034】
医薬組成物は、経口により、非経口により、例えば、口腔内に、皮膚に、皮下に、粘膜に、静脈内に、動脈内に、筋肉内に、腹腔内に、膣内に、肺に、脳内に、眼に、又は鼻腔内に投与される。経口投与製剤としては、錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤、チュアブル剤、ペレット剤、シロップ剤、液剤、懸濁剤及び吸入剤などが挙げられる。非経口投与製剤としては、坐剤、保持型浣腸剤、点滴剤、点眼剤、点鼻剤、ペッサリー剤、注射剤、口腔洗浄剤、並びに軟膏、クリーム剤、ローション、ゲル剤、制御放出パッチ剤及び貼付剤などの皮膚外用剤などが挙げられる。医薬組成物は、徐放性皮下インプラントの形態で、又は標的送達系(例えば、モノクローナル抗体、ベクター送達、イオン注入、ポリマーマトリックス、リポソーム及びミクロスフェア)の形態で、非経口で投与してもよい。
【0035】
医薬組成物はさらに医薬分野において慣用の添加剤を含んでいてもよい。そのような添加剤には、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、抗酸化剤、着色剤、矯味剤などがあり、必要に応じて使用できる。長時間作用できるように徐放化するためには、既知の遅延剤等でコーティングすることもできる。必要に応じてその他の添加剤や薬剤、例えば制酸剤、胃粘膜保護剤を加えてもよい。
【0036】
本発明において、糖質、アラニン及びプロリンを食料、飲料、飼料、ペットフードに添加又は配合した食品組成物をヒト又はヒト以外の哺乳動物に摂取させてもよい。あるいは、カテキン化合物の継続的な摂取と、糖原性アミノ酸組成物の運動前の摂取との併用による、持久力の向上、又は疲労の予防及び改善等をコンセプトとしてその旨を表示した飲食品、すなわち、健康食品、機能性食品、病者用食品及び特定保健用食品などに添加又は配合し、ヒト又はヒト以外の哺乳動物に摂取させてもよい。前記の、健康食品、機能性食品、病者用食品、特定保健用食品は、具体的には、細粒剤、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、シロップ剤、液剤、流動食等の各種製剤形態として使用することができる。製剤形態の食品は、医薬製剤と同様に製造することができ、糖質、アラニン及びプロリンと、食品として許容できる担体、例えば適当な賦形剤等とを混合した後、慣用の手段を用いて製造することができる。さらに、スープ類、ジュース類、乳飲料、茶飲料、コーヒー飲料、ココア飲料、ゼリー状飲料、スポーツ飲料、ダイエット飲料などの液状食品組成物、プリン、ヨーグルトなどの半固形食品組成物、パン類、うどんなどの麺類、クッキー、チョコレート、キャンディ、ガム、せんべいなどの菓子類、ふりかけ、バター、ジャムなどのスプレッド類等に、糖質、アラニン及びプロリンを添加又は配合して、食品組成物を製造することができる。
本発明で用いることができる食品組成物には、飲食品等の製造に通常使用される、他の食品用等の素材又は食品添加物を添加することができる。例えば、増粘剤、懸濁化剤、分散剤、甘味剤、矯味剤、保存剤、香料、有機酸、ゲル化剤、pH調整剤等が挙げられる。
【0037】
本発明で用いることができる食品組成物は、ビタミン類やミネラル類を含んでもよい。ビタミン類としては、脂溶性ビタミン類、ビタミンB群、ビタミンCといった水溶性ビタミン類が挙げられる。
【0038】
前記各製剤中の糖質、アラニン及びプロリンの各配合量は、その使用形態に応じて適宜設定することができる。
例えば、前記各製剤の総量中、糖質の配合量は、固形分として、10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、90質量%以下が好ましく、10〜90質量%が好ましく、30〜90質量%がより好ましく、50〜90質量%がさらに好ましい。糖質の配合量が少なすぎると、有効量のアラニン及びプロリンを摂取しても十分なエネルギー補給ができない傾向がある。一方、糖質の配合量が多すぎると、糖質を摂取した場合に有効量のアラニン及びプロリンを摂取することができない傾向がある。
また、前記各製剤における、アラニンとプロリンとの配合割合は、質量比で、アラニン:プロリン=1:(0.01〜1)が好ましく、1:(0.05〜0.5)がより好ましく、1:(0.1〜0.3)がさらに好ましい。プロリンの配合割合が大きすぎると、糖質の褐変が起こる場合がある。
また、前記各製剤の総量中、アラニン及びプロリンの配合量の総量は、固形分として、2質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、2〜50質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましく、5〜20質量%がさらに好ましい。アラニン及びプロリンの配合量の総量が少なすぎると、有効量のアミノ酸を摂取するために組成物の1回あたりの摂取量が多くなり、摂取し難いものとなる傾向がある。またアラニン及びプロリンの配合量の総量が多すぎると糖質の濃度が低下するため、有効量のアミノ酸を摂取しても十分なエネルギー補給ができない傾向がある。
さらに、前記各製剤における、糖質と、アラニン及びプロリンのアミノ酸との配合割合は、前述した各成分の配合量の範囲内で適宜設定することができる。具体的には、質量比で、糖質:アラニン及びプロリンのアミノ酸=1:(0.0125〜5)が好ましく、1:(0.025〜2)がより好ましく、1:(0.05〜1)がさらに好ましい。
【0039】
本発明における糖質、アラニン及びプロリンの各有効摂取量は、個体の状態、体重、性別、年齢、素材の活性、摂取経路、摂取スケジュール、製剤の形態又はその他の要因により適宜決定することができる。例えば、糖質のヒトに対する有効摂取量は、体重60kgあたり、好ましくは1g以上、より好ましくは5g以上、さらに好ましくは10g以上、好ましくは100g以下、より好ましくは80g以下、さらに好ましくは60g以下、又は好ましくは1〜100g、より好ましくは5〜80g、さらに好ましくは10〜60gである。また、アラニンのヒトに対する有効摂取量は、体重60kgあたり、好ましくは2g以上、より好ましくは3g以上、さらに好ましくは4g以上、好ましくは15g以下、より好ましくは12g以下、さらに好ましくは10g以下、又は好ましくは2〜15g、より好ましくは3〜12g、さらに好ましくは4〜10gである。さらに、プロリンのヒトに対する有効摂取量は、体重60kgあたり、好ましくは0.2g以上、より好ましくは0.3g以上、さらに好ましくは0.4g以上、好ましくは2g以下、より好ましくは1.2g以下、さらに好ましくは1g以下、又は好ましくは0.2〜2g、より好ましくは0.3〜1.2g、さらに好ましくは0.4〜1gである。なお、糖質、アラニン及びプロリンの摂取は、全身への摂取でもよいし、局所への摂取でもよい。
また、糖質、アラニン及びプロリンは、任意の期間及び間隔で摂取・投与され得る。例えば、糖質、アラニン及びプロリンは、長時間の運動前、好ましくは長時間の運動の10〜120分前、より好ましくは長時間の運動の30〜90分前、での摂取が好ましい。ここで「長時間の運動」とは、対象個体の年齢、性別、体重、運動の種類などに応じた、十分に長い時間の運動を意味する。例えば、健常なヒトの成人においては、30〜180分間、好ましくは45〜150分間、より好ましくは60〜120分間の運動である。
【0040】
本発明の方法は、ヒト又はヒト以外の哺乳動物に対して適用される。本明細書において「哺乳動物」とは、例えば、サル、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタなどの非ヒト哺乳動物が挙げられる。本発明の方法は、ヒトへの適用に好適である。
また、本発明の方法は、日常的な運動を行っているヒト又はヒト以外の哺乳動物に対して、好ましく適用される。ここで、「日常的な運動」とは、1日当たり10〜60分、好ましくは20〜40分、の運動を週1〜5回、好ましくは2〜4回行う運動をいう。日常的な運動を行っているヒト又はヒト以外の哺乳動物に対して本発明の方法を適用することで、カテキン化合物の摂取、並びに糖質、アラニン及びプロリンの摂取との相乗的な効果により、顕著な持久力向上作用及び抗疲労作用が期待できる。
【0041】
本発明の方法は、長時間の運動に対する持久力の向上、又は疲労の予防及び改善を所望する対象者に好ましく適用することができる。また、本発明の方法は、疲労が惹起される条件下で好ましく適用することができる。
【0042】
後述の実施例で実証するように、カテキン化合物を継続して摂取させる工程、並びに糖質、アラニン及びプロリンを運動前に摂取させる工程を経ることで、優れた持久力向上作用又は抗疲労作用を発揮させることができる。
ここで、カテキン化合物を継続して摂取させることで、骨格筋の脂質代謝を活性化し、運動中のエネルギー源として脂質の利用を促進し、筋グリコーゲンを温存することで、持久力向上作用及び抗疲労作用を発揮させる。また、糖質、アラニン及びプロリンを含む糖原性アミノ酸組成物を運動前に摂取させることで、運動による急激な血糖上昇を起こすことなく、持続的に運動中の血糖値低下を抑制することで、持久力向上作用及び抗疲労作用を発揮させる。このように、カテキン化合物を摂取させた場合と、糖質、アラニン及びプロリンを摂取させた場合とでは、持久力向上作用及び抗疲労作用に対する作用機序が全く異なる。
一方でエネルギー産生においては、基質として脂質(脂肪酸)を利用することで発生するアセチルCoAをクエン酸回路(TCAサイクル)によりエネルギーへと変換するために、糖質の燃焼も必要となる。ここで前述のようにカテキン化合物の摂取により脂質代謝が活性化された状態では、筋内グリコーゲンに加えて、糖質、アラニン及びプロリンを摂取することにより、運動中における血中からの糖質の供給が持続的に高められ、脂質をエネルギー源として効率的に利用することができる。すなわち、カテキン化合物の継続的な摂取と糖質、アラニン及びプロリンの運動前摂取との併用により、エネルギー産生反応の回転効率が相乗的に高められ、それぞれの方法単独では成しえない、高い持久力改善効果及び抗疲労効果がもたらされると考えられる。
【0043】
持久力向上作用及び抗疲労作用の評価は、対照と比較して、限界疲労に達するまでの運動時間又は運動距離などとして認識されうる。
持久力向上作用及び抗疲労作用の評価方法は、トレッドミルや流水プールを用いる方法など、通常の方法に基づいて実施することができる。具体的には、対象に運動負荷をかけ、運動を継続できなくなるまでの運動時間や運動距離を測定する。あるいは、一定の運動後、自発行動量計などを用いて対象の自発行動量を測定し、対象の持久力向上又は疲労の程度を評価する。また、心拍数などの生理的パラメータを測定し、対象の持久力向上又は疲労の程度を評価することもできる。
【0044】
それぞれ異なる包装形態からなり、それぞれ前述した、カテキン化合物を含有する食品組成物(以下、「食品組成物(A)ともいう」)と、糖質、アラニン及びプロリンを含有する食品組成物(以下、「食品組成物(B)ともいう」)とを組合せて、持久力向上作用又は抗疲労作用を発揮させるためのキットを提供することができる。そして、これら食品組成物(A)及び(B)を含むキットには、食品組成物(A)の継続的な摂取と、食品組成物(B)の運動前の摂取との併用による、持久力の向上、又は疲労の予防及び改善をコンセプトとしてその旨を表示する。
本発明のキットは、食品組成物(A)と食品組成物(B)とを同一のパッケージに包含させて提供することができる。この場合、食品組成物(A)の継続的な摂取と、食品組成物(B)の運動前の摂取との併用による、持久力の向上、又は疲労の予防及び改善をコンセプトとする旨の表示は、食品組成物(A)及び食品組成物(B)それぞれの包装に行ってもよい。また、食品組成物(A)の継続的な摂取と、食品組成物(B)の運動前の摂取との併用による、持久力の向上、又は疲労の予防及び改善をコンセプトとする旨の表示は、食品組成物(A)及び食品組成物(B)それぞれの包装に加えて、食品組成物(A)と食品組成物(B)とを含むパッケージに行ってもよい。
あるいは、食品組成物(A)と食品組成物(B)をそれぞれ別のパッケージに包含させ、これらのパッケージを本発明のキットとして提供することもできる。この場合、食品組成物(A)の継続的な摂取と、食品組成物(B)の運動前の摂取との併用による、持久力の向上、又は疲労の予防及び改善をコンセプトとする旨の表示は、食品組成物(A)及び食品組成物(B)それぞれのパッケージに行うことができる。
【0045】
前記食品組成物(A)は、1食あたりの単位包装形態からなることが好ましい。前記単位中の前記カテキン化合物の配合量は適宜選択することができる。例えば、前記単位中の前記カテキン化合物の配合量は、100mg以上が好ましく、250mg以上がより好ましく、3,000mg以下が好ましく、2,000mg以下がより好ましい。
【0046】
前記食品組成物(B)も、1食あたりの単位包装形態からなることが好ましい。前記単位中の前記糖質、アラニン及びプロリンそれぞれの配合量は適宜選択することができる。例えば、前記単位中の前記糖質の配合量は、1g以上が好ましく、5g以上がより好ましく、100g以下が好ましく、80g以下がより好ましい。また、前記単位中のアラニン配合量は、2g以上が好ましく、3g以上がより好ましく、15g以下が好ましく、12g以下がより好ましい。また、前記単位中のプロリン配合量は、0.2g以上が好ましく、0.3g以上がより好ましく、2g以下が好ましく、1.2g以下がより好ましい。
【0047】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の方法、使用及びキットを開示する。
【0048】
<1>ヒト又はヒト以外の哺乳動物に対して、カテキン化合物を継続して摂取させる工程、並びに糖質、アラニン及びプロリンを運動前に摂取させる工程を含んでなる、持久力向上作用又は抗疲労作用を発揮させる方法。
【0049】
<2>ヒト又はヒト以外の哺乳動物に対して前記カテキン化合物を継続して摂取させ、継続してカテキン化合物を摂取させたヒト又はヒト以外の哺乳動物に対して、運動前に、前記糖質、アラニン及びプロリンを摂取させる、前記<1>項に記載の方法。
<3>前記カテキン化合物は断続的な摂取の中断を行うことなく継続して摂取させ、その後、前記糖質、アラニン及びプロリンは運動前に摂取させる、前記<1>又は<2>項に記載の方法。
<4>前記カテキン化合物の継続的な摂取と、その後の前記糖質、アラニン及びプロリンの運動前の摂取とを繰り返し行う、前記<3>項に記載の方法。
<5>長時間の運動に対する持久力の向上、又は疲労の予防及び改善を所望する対象に適用する、前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の方法。
<6>疲労が惹起される条件下で適用する、前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の方法。
<7>日常的な運動を行っている対象に適用する、前記<1>〜<6>のいずれか1項に記載の方法。
【0050】
<8>ヒト又はヒト以外の哺乳動物に対して、前記カテキン化合物を経口摂取させる、前記<1>〜<7>のいずれか1項に記載の方法。
<9>ヒト又はヒト以外の哺乳動物に対して、前記カテキン化合物を7日(1週間)以上、好ましくは14日(2週間)以上、より好ましくは28日(4週間)以上、さらに好ましくは56日(8週間)以上、継続して摂取させる、前記<1>〜<8>のいずれか1項に記載の方法。
<10>前記カテキン化合物を医薬組成物又は食品組成物、より好ましくは食品組成物、さらに好ましくは液状食品組成物、の形態で適用する、前記<1>〜<9>のいずれか1項に記載の方法。
<11>前記食品組成物が、カテキン化合物の継続的な摂取と、糖原性アミノ酸組成物の運動前の摂取との併用による、持久力の向上、又は疲労の予防及び改善をコンセプトとしてその旨を表示した健康食品、機能性食品、病者用食品又は特定保健用食品である、前記<10>項に記載の方法。
<12>前記医薬組成物又は食品組成物の総量中、前記カテキン化合物の配合量が、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、であり、5質量%以下、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは1質量%以下、である、前記<10>又は<11>項に記載の方法。
<13>前記カテキン化合物のヒトに対する有効摂取量が、1日あたり、体重60kgあたり、100mg以上、好ましくは250mg以上、であり、3,000mg以下、好ましくは1,000mg以下、である、前記<1>〜<12>のいずれか1項に記載の方法。
<14>前記カテキン化合物が茶葉から抽出して得られるものである、前記<1>〜<13>のいずれか1項に記載の方法。
【0051】
<15>ヒト又はヒト以外の哺乳動物に対して、前記糖質、アラニン及びプロリンを経口摂取させる、前記<1>〜<14>のいずれか1項に記載の方法。
<16>ヒト又はヒト以外の哺乳動物に対して、前記糖質、アラニン及びプロリンを運動前、好ましくは長時間の運動前、より好ましくは長時間の運動の10〜120分前、さらに好ましくは長時間の運動の30〜90分前、に摂取させる、前記<1>〜<15>のいずれか1項に記載の方法。
<17>前記糖質、アラニン及びプロリンを医薬組成物又は食品組成物、より好ましくは食品組成物、さらに好ましくは液状食品組成物、の形態で適用する、前記<1>〜<16>のいずれか1項に記載の方法。
<18>前記食品組成物が、カテキン化合物の継続的な摂取と、糖原性アミノ酸組成物の運動前の摂取との併用による、持久力の向上、又は疲労の予防及び改善をコンセプトとしてその旨を表示した健康食品、機能性食品、病者用食品又は特定保健用食品である、前記<17>項に記載の方法。
<19>前記糖質が、単糖類、二糖類、オリゴ糖及び多糖類からなる群より選ばれる少なくとも1種の糖質、好ましくはグルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、イソマルトース、オリゴ糖、デキストリン、還元デキストリン、及びマルトデキストリンからなる群より選ばれる少なくとも1種の糖質、さらに好ましくはマルトデキストリン、である、前記<1>〜<18>のいずれか1項に記載の方法。
<20>前記医薬組成物又は食品組成物の総量中、糖質の配合量が、固形分として、10質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、であり、90質量%以下、である、前記<17>〜<19>のいずれか1項に記載の方法。
<21>前記医薬組成物又は食品組成物における、アラニンとプロリンとの配合割合が、質量比で、アラニン:プロリン=1:(0.01〜1)、好ましくは1:(0.05〜0.5)、より好ましくは1:(0.1〜0.3)、である、前記<17>〜<20>のいずれか1項に記載の方法。
<22>前記医薬組成物又は食品組成物の総量中、アラニン及びプロリンの配合量の総量が、固形分として、2質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、であり、50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、である、前記<17>〜<21>のいずれか1項に記載の方法。
<23>前記医薬組成物又は食品組成物における、糖質と、アラニン及びプロリンのアミノ酸との配合割合が、質量比で、糖質:アミノ酸=1:(0.0125〜5)、好ましくは1:(0.025〜2)、より好ましくは1:(0.05〜1)、である、前記<17>〜<22>のいずれか1項に記載の方法。
<24>前記糖質のヒトに対する有効摂取量が、体重60kgあたり、1g以上、好ましくは5g以上、より好ましくは10g以上、であり、100g以下、好ましくは80g以下、より好ましくは60g以下、である、前記<1>〜<23>のいずれか1項に記載の方法。
<25>前記アラニンのヒトに対する有効摂取量が、体重60kgあたり、2g以上、好ましくは3g以上、より好ましくは4g以上、であり、15g以下、好ましくは12g以下、より好ましくは10g以下、である、前記<1>〜<24>のいずれか1項に記載の方法。
<26>前記プロリンのヒトに対する有効摂取量が、体重60kgあたり、0.2g以上、好ましくは0.3g以上、より好ましくは0.4g以上、であり、2g以下、好ましくは1.2g以下、より好ましくは1g以下、である、前記<1>〜<25>のいずれか1項に記載の方法。
【0052】
<27>それぞれ異なる包装形態からなる下記食品組成物(A)及び(B)を含み、
下記食品組成物(A)の継続的な摂取と、下記食品組成物(B)の運動前の摂取との併用による、持久力の向上、又は疲労の予防及び改善をコンセプトとしてその旨を表示した、持久力向上作用又は抗疲労作用を発揮させるためのキット。
(A)カテキン化合物を含有する食品組成物。
(B)糖質、アラニン及びプロリンを含有する食品組成物。
【0053】
<28>前記食品組成物(A)が、前記カテキン化合物を0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、5質量%以下、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは1質量%以下、含有する、前記<27>項に記載のキット。
<29>前記食品組成物(A)が1食あたりの単位包装形態からなり、該単位中に前記カテキン化合物を100mg以上、好ましくは250mg以上、3,000mg以下、好ましくは1,000mg以下、含有する、前記<27>又は<28>項に記載のキット。
<30>前記カテキン化合物が茶葉から抽出して得られるものである、前記<27>〜<29>のいずれか1項に記載のキット。
<31>前記食品組成物(B)が、前記糖質を固形分として、10質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、90質量%以下、含有する、前記<27>〜<30>のいずれか1項に記載のキット。
<32>前記食品組成物(B)が1食あたりの単位包装形態からなり、該単位中に前記糖質を1g以上、好ましくは5g以上、100g以下、好ましくは80g以下、含有する、前記<27>〜<31>のいずれか1項に記載のキット。
<33>前記食品組成物(B)における、アラニンとプロリンとの配合割合が、質量比で、アラニン:プロリン=1:(0.01〜1)、好ましくは1:(0.05〜0.5)、より好ましくは1:(0.1〜0.3)、である、前記<27>〜<32>のいずれか1項に記載のキット。
<34>前記食品組成物(B)が1食あたりの単位包装形態からなり、該単位中に前記アラニン及びプロリンが固形分として、総量で2質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、含有する、前記<27>〜<33>項のいずれか1に記載のキット。
<35>前記食品組成物(B)における、糖質と、アラニン及びプロリンのアミノ酸との配合割合が、質量比で、糖質:アミノ酸=1:(0.0125〜5)、好ましくは1:(0.025〜2)、より好ましくは1:(0.05〜1)、である、前記<27>〜<34>のいずれか1項に記載のキット。
<36>前記食品組成物(B)が1食あたりの単位包装形態からなり、該単位中に前記アラニンを2g以上、好ましくは3g以上、15g以下、好ましくは12g以下、含有する、前記<27>〜<35>のいずれか1項に記載のキット。
<37>前記食品組成物(B)が1食あたりの単位包装形態からなり、該単位中に前記プロリンを0.2g以上、好ましくは0.3g以上、2g以下、好ましくは1.2g以下、含有する、前記<27>〜<36>のいずれか1項に記載のキット。
【実施例】
【0054】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0055】
(持久力向上作用、抗疲労作用の評価)
6週齢のBalb/c雄性マウス(日本チャールスリバー社より購入)を1週間予備飼育した後、トレッドミル走行に慣れさせるため3日間の初期走行トレーニングを行った。その後、初期の持久力評価のために、限界走行時間を測定した。
限界走行試験時のトレッドミル条件は、10m/分(6分間)→12m/分(2分間)→14m/分(2分間)→16m/分(2分間)→18m/分(2分間)→20m/分(2分間)→22m/分(2分間)→24m/分(2分間)→26m/分(2分間)→28m/分(無制限)とした。そして、マウスがトレッドミル上で走行できなくなった時点を限界走行時間とし、マウスの初期の持久力として評価した。
限界走行時間及び体重に差が出ないように、1群8匹とし、マウスを7群に分けた。なお各群の設定と、各群のマウスの初期持久力の平均値を、下記表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
前記各群のマウスに対して、下記表2に示す配合で調製した試験食(対照食又は0.5%カテキン食)を4g/匹/日の量で与え、毎日自由摂食させた。なお、試験食の平均摂食量は、各試験群いずれも3.1g/匹/日であった。このような試験食の摂取スケジュールの条件下で各群のマウスを8週間飼育した。
【0058】
【表2】
【0059】
試験食を与えた後の各群のマウスの限界走行時間を、前述と同様にして、2週間毎に測定した。
なお、各群のマウスに対して、限界走行時間を測定する1時間前に、表1に記載の「限界走行時間測定前投与物」をゾンデにより経口投与を行った。さらに、8週間の飼育期間中、前記「(対照食-非運動)群」以外のマウスは、1日30分の軽い運動トレーニング(15m/分(10分間)→20m/分(20分間))を週4日行った。
試験開始から2週間後の限界走行時間の測定結果を表3に、8週後の限界走行時間の測定結果を表4に、それぞれ示す。さらに、8週間飼育後の各群の限界走行時間について、(対照食-生理食塩水)群に対する増加率を表5に示す。
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
【表5】
【0063】
表3に示すように、(カテキン食-糖質)+(アミノ酸)投与群においてのみ、試験開始から2週目という早い段階で、(対照食-生理食塩水)群と比較して、限界走行時間が有意に増加した。これは、カテキン化合物を含む組成物と、糖質、アラニン及びプロリンを含む組成物とを摂取させることで、優れた持久力向上作用又は抗疲労作用を早期にかつ効果的に発揮させることができることを示している。
【0064】
さらに、表4に示すように、試験開始から8週目においても、(カテキン食-糖質)+(アミノ酸)投与群は、(対照食-生理食塩水)群と比較して、限界走行時間が有意に増加した。さらに表5に示すように、(カテキン食-糖質)+(アミノ酸)投与群の(対照食-生理食塩水)群に対する限界走行時間の増加率は、他の群よりも顕著な増加が確認された。
これらの結果は、カテキン化合物を含む組成物の継続的な摂取と、糖質、アラニン及びプロリンを含む糖原性アミノ酸組成物の運動前摂取の併用が、カテキン化合物を含む組成物又は糖原性アミノ酸組成物それぞれを単独で摂取させた場合の相加的な効果をはるかに上回ることを示している。すなわち本発明によれば、極めて優れた持久力向上作用又は抗疲労作用を発揮させることができることを示している。
【0065】
以上のように、カテキン化合物を継続して摂取させる工程、並びに糖質、アラニン及びプロリンを運動前に摂取させる工程を経ることで、優れた持久力向上作用又は抗疲労作用を発揮させることができる。