(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記バスコントローラは、(i)前記デバイスが検出されたときに、前記出力スイッチをオンし、(ii)前記デバイスが検出されないときに前記出力スイッチをオフするスイッチ制御部をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のバスコントローラ。
前記バスコントローラは、(i)前記デバイスを検出したときに、前記出力スイッチをオンし、(ii)前記デバイスを検出しないときに、前記出力スイッチをオフすることを特徴とする請求項12に記載の電源装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
デバイスに電力を供給するホストアダプタは、バス電圧として利用される直流電圧を生成するDC/DCコンバータを備える。近年の省エネ化の要請から、軽負荷あるいは無負荷状態(待機状態、スタンバイ状態ともいう)の消費電力を極力低減した電源装置が望まれている。この要請に応えるべくDC/DCコンバータは、待機時においていわゆるバーストモード(PFMモードともいう)で動作する。バーストモードにおいては、1回、あるいは複数回、スイッチングトランジスタをスイッチングし、出力電圧を目標レベルよりも上昇させ、その後、出力電圧が目標レベルに応じて定められた下限レベルに低下するまでの間、スイッチングトランジスタのスイッチングを停止する。これにより、スイッチングトランジスタをスイッチングさせるための電力(たとえばスイッチングトランジスタのゲート容量の充放電に要する電力)を低減し、効率が高められる。
【0008】
しかしながら、低消費電力化の要請はとどまるところを知らず、電源装置にはさらなる消費電力の低減が求められる。
【0009】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、消費電力の低減された電源装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある態様は、バスコントローラに関する。バスコントローラは、着脱可能なデバイスに供給すべきバス電圧として利用される直流電圧を生成するDC/DCコンバータとともに使用され、電源装置を構成する。DC/DCコンバータは、1次巻線および2次巻線を有するトランスと、2次巻線と接続され、直流電圧を出力する2次側整流回路と、1次巻線と接続されるスイッチングトランジスタと、発光素子および受光素子を含むフォトカプラと、フォトカプラの発光素子と接続され、直流電圧に応じた検出電圧とその目標値である基準電圧との誤差に応じた電流により発光素子を駆動するシャントレギュレータを含むフィードバック回路と、フォトカプラの受光素子に流れる電流に応じたフィードバック信号にもとづいて、スイッチングトランジスタをスイッチングする1次側コントローラと、トランスの2次側に配置され、デバイスの着脱を検出するバスコントローラと、を備える。バスコントローラは、2次側整流回路の出力と接続され、直流電圧を電源として受ける電源端子と、デバイスの接続の有無を検出する検出器と、(i)デバイスが検出されたとき、規定電圧レベルの直流電圧が生成されるように、(ii)デバイスが検出されないとき、規定電圧レベルより低く、バスコントローラの最低動作電圧より高い電圧レベルの直流電圧が生成されるように、フィードバック回路を制御するフィードバック制御部と、を備える。
【0011】
デバイスが接続されない状態では、バスコントローラが動作可能な範囲で、直流電圧を低下させることにより、バスコントローラ自体の消費電力を低下するとともに、DC/DCコンバータの2次側の消費電力を低下することができる。
【0012】
ある態様において、電源装置は、デバイスが着脱されるコネクタと、2次側整流回路の出力とコネクタの間に設けられた出力スイッチと、をさらに備えてもよい。バスコントローラの電源端子は、2次側整流回路の出力と出力スイッチの間に接続されてもよい。
これにより、バスコントローラへの電力供給を維持しつつ、コネクタからバス電圧を出力した状態(ホット状態ともいう)とバス電圧を出力しない状態(コールド状態ともいう)を切り替えることができる。
【0013】
ある態様において、バスコントローラは、(i)デバイスが検出されたときに、出力スイッチをオンし、(ii)デバイスが検出されないときに出力スイッチをオフするスイッチ制御部をさらに備えてもよい。
バスの規格によっては、デバイスの非接続状態において、バス電圧をゼロ(オープン)とすること(コールド状態ともいう)が推奨されるが、この態様によればこのような規格をサポートできる。
【0014】
ある態様においてバスコントローラは、デバイスと通信を行う通信部をさらに備えてもよい。フィードバック制御部は、通信部とデバイスとの通信にもとづいて、複数の中からひとつの規定電圧レベルを選択してもよい。
【0015】
ある態様において、フィードバック制御部は、基準電圧を切りかえることにより、直流電圧の電圧レベルを切りかえてもよい。
【0016】
ある態様において、フィードバック回路は、直流電圧を可変の分圧比により分圧し、検出電圧を生成する分圧回路をさらに含んでもよい。フィードバック制御部は、分圧回路の分圧比を切りかえることにより、直流電圧の電圧レベルを切りかえてもよい。
【0017】
バスコントローラは、ひとつの半導体基板に一体集積化されてもよい。
「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。回路を1つのチップ上に集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
【0018】
バスコントローラは、USB−TypeC規格に準拠してもよい。あるいはUSB−PD規格に準拠してもよい。あるいはクイックチャージ規格に準拠してもよい。
【0019】
本発明の別の態様は、電源アダプタに関する。電源アダプタは、着脱可能なデバイスにバス電圧を供給する。電源アダプタは、交流電圧を整流する入力整流回路と、入力整流回路の出力電圧を受け、バス電圧として利用される直流電圧を生成するDC/DCコンバータと、上述のいずれかのバスコントローラと、を備えてもよい。
【0020】
本発明の別の態様は、着脱可能なデバイスにバス電圧を供給する電源装置に関する。この電源装置は、バス電圧として利用される直流電圧を生成するDC/DCコンバータと、直流電圧を電源として受け、デバイスの接続の有無を検出するバスコントローラと、を備える。DC/DCコンバータは、(i)バスコントローラがデバイスを検出したときに、規定電圧レベルの直流電圧を生成し、(ii)バスコントローラがデバイスを検出しないときに、規定電圧レベルより低く、バスコントローラの最低動作電圧より高い電圧レベルの直流電圧を生成する。
【0021】
この態様によると、デバイスが接続されない状態では、バスコントローラが動作可能な範囲で、直流電圧を低下させることにより、バスコントローラの消費電力を低下するとともに、DC/DCコンバータの2次側の消費電力を低下することができる。
【0022】
ある態様の電源装置は、デバイスが着脱されるコネクタと、DC/DCコンバータの出力とコネクタの間に設けられた出力スイッチと、をさらに備えてもよい。バスコントローラの電源端子は、DC/DCコンバータの出力と出力スイッチの間に接続されてもよい。
【0023】
バスコントローラは、(i)デバイスを検出したときに、出力スイッチをオンし、(ii)デバイスを検出しないときに、出力スイッチをオフしてもよい。
【0024】
バスコントローラは、デバイスとのネゴシエーションに応じて、複数の規定電圧レベルの中からひとつを選択してもよい。
【0025】
DC/DCコンバータは絶縁型であり、1次巻線および2次巻線を有するトランスと、2次巻線と接続され、直流電圧を出力する2次側整流回路と、1次巻線と接続されるスイッチングトランジスタと、発光素子および受光素子を含むフォトカプラと、フォトカプラの発光素子と接続され、直流電圧に応じた検出電圧とその目標値である基準電圧との誤差に応じた電流により発光素子を駆動するシャントレギュレータを含むフィードバック回路と、フォトカプラの受光素子に流れる電流に応じたフィードバック信号にもとづいて、スイッチングトランジスタをスイッチングする1次側コントローラと、を含んでもよい。
【0026】
バスコントローラは、基準電圧を切りかえることにより、直流電圧の電圧レベルを切りかえてもよい。
【0027】
フィードバック回路は、直流電圧を可変の分圧比により分圧し、検出電圧を生成する分圧回路をさらに含んでもよい。バスコントローラは、分圧回路の分圧比を切りかえることにより、直流電圧の電圧レベルを切りかえてもよい。
【0028】
電源装置は、USB−TypeC規格に準拠してもよい。またUSB−PD規格に準拠してもよい。またクイックチャージ規格に準拠してもよい。
【0029】
本発明の別の態様は、電源アダプタに関する。電源アダプタは、交流電圧を整流する入力整流回路と、入力整流回路の出力電圧を受ける上述のいずれかの電源装置と、を備えてもよい。
【0030】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0031】
本発明のある態様によれば、消費電力を低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0034】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0035】
図1は、実施の形態に係るUSB(Universal Serial Bus)コントローラ300を備える電源アダプタ100のブロック図である。電源アダプタ100は、USB規格に準拠しており、着脱可能に接続される負荷となるデバイス500に、バス電圧V
BUSを供給する。
【0036】
本実施の形態において、電源アダプタ100はAC電圧V
ACを受けてバス電圧V
BUSを生成するACアダプタである。電源アダプタ100は、AC/DCコンバータであり、入力整流回路102、平滑キャパシタ104および電源装置200を備える。入力整流回路102は、交流電圧V
ACを整流する。たとえば入力整流回路102は交流電圧V
ACを全波整流するダイオードブリッジ回路であってもよい。平滑キャパシタ104は、入力整流回路102の出力に接続され、入力整流回路102の出力電圧を平滑化する。
【0037】
電源装置200は、入力整流回路102の出力電圧を入力電圧V
INとして受け、それを降圧し、直流の出力電圧V
OUTに変換する。この出力電圧V
OUTは、バス電圧V
BUSとしてデバイス500に供給される。
【0038】
電源装置200は、DC/DCコンバータ202、出力スイッチ204およびUSBコントローラ300を備える。電源アダプタ100は、コネクタ206を備える。コネクタ206はレセプタクルあるいはプラグであり、デバイス500と直接あるいはUSBケーブルを介して接続される。DC/DCコンバータ202は、入力整流回路102の出力電圧V
INを受け、バス電圧V
BUSとして利用される直流電圧V
OUTを生成する。出力スイッチ204は、DC/DCコンバータ202の出力214とコネクタ206の間に設けられる。
【0039】
USBコントローラ300の電源(VDD)端子は、DC/DCコンバータ202と出力スイッチ204の間と接続され、USBコントローラ300は直流電圧V
OUTを電源として受けて動作する。USBコントローラ300は、少なくとも負荷であるデバイス500の有無を検出可能に構成される。
【0040】
DC/DCコンバータ202は、(i)USBコントローラ300がデバイス500を検出したときに、規定電圧レベルの直流電圧V
OUTを生成し、(ii)USBコントローラ300がデバイス500を検出しないときに、規定電圧レベルより低く定められた待機電圧レベルV
0の直流電圧V
OUTを生成する。待機電圧レベルV
0は、USBコントローラ300の最低動作電圧V
MINより高く定められる。待機電圧レベルV
0は最低動作電圧V
MINよりわずかに、たとえば数百mV高く設定すればよい。一例としてUSBコントローラ300の最低動作電圧V
MINは3.1Vであり、待機電圧レベルV
0は3.3Vである。最低動作電圧V
MINは、USBコントローラ300の製造プロセスに応じており、将来の製造プロセスではさらに低くなり得る。
【0041】
またUSBコントローラ300は、(i)デバイス500を検出したときに、出力スイッチ204をオンし、(ii)デバイスを検出しないときに、出力スイッチ204をオフする。出力スイッチ204がオンすると、コネクタ206からは、直流電圧V
OUTと実質的に等しいバス電圧V
BUSが出力される(ホット状態)。出力スイッチ204がオフすると、コネクタ206の出力電圧はゼロとなる(コールド状態)。
【0042】
本実施の形態において、USBコントローラ300は、USB−PD規格に準拠し、さらにUSB−TypeC規格に準拠する。USBコントローラ300は、デバイス500とのネゴシエーションに応じて、複数の規定電圧レベル(V
1=5V,V
2=12V,V
3=20V)の中からひとつを選択可能に構成される。
【0043】
本実施の形態においてDC/DCコンバータ202は絶縁型である。トランスT1は、1次巻線W1および2次巻線W2を有する。2次側整流回路210は、2次巻線W2と接続され、直流電圧V
OUTを出力する。スイッチングトランジスタM1は、1次巻線W1と接続される。フォトカプラ212は、発光素子212aおよび受光素子212bを含む。
【0044】
フィードバック回路220は、シャントレギュレータ222および分圧回路224を含む。分圧回路224は、抵抗R11、R12を含み、直流電圧V
OUTを分圧することにより、検出電圧V
OUTSを生成する。シャントレギュレータ222のカソード(K)は、フォトカプラ212と接続され、そのアノード(A)は接地され、入力(REF)には、分圧回路224からの検出電圧V
OUTSが入力される。シャントレギュレータ222は、フォトカプラ212の発光素子212aと接続され、検出電圧V
OUTSとその目標値である基準電圧V
REFとの誤差に応じた電流I
ERRにより発光素子212aを駆動する。なおフォトカプラ212のバイアス形式や位相補償の形式は特に限定されず、公知技術を用いればよい。
【0045】
1次側コントローラ230は、フォトカプラ212の受光素子212bに流れる電流I
FBに応じたフィードバック信号V
FBにもとづいて、スイッチングトランジスタM1をスイッチングする。1次側コントローラ230は公知技術を用いればよく、その制御方式、回路形式は限定されない。
【0046】
フィードバックにより、DC/DCコンバータ202の出力電圧V
OUTは、以下の電圧レベルに安定化される。
V
OUT=V
REF×(1+R11/R12) …(1)
【0047】
上述のように、DC/DCコンバータ202の出力電圧V
OUTは、デバイス500の有無に応じて、規定電圧レベル(V
1〜V
3)と待機電圧レベル(V
0)とで切り替えられる。またデバイス500とのネゴシエーションにもとづいて、規定電圧レベルV
1〜V
3が選択可能である。USBコントローラ300は、直流電圧V
OUTの電圧レベルを切り替えるためにフィードバック回路220を制御する。フィードバック回路220は、USBコントローラ300からの制御に応じて、電流I
ERRが可変となっている。
【0048】
図2(a)、(b)は、フィードバック回路220の構成例を示す回路図である。
図2(a)のフィードバック回路220aは、基準電圧V
REFを変化させることにより、直流電圧V
OUTが複数の電圧レベルV
0,V
1,V
2,V
3の間で切りかえ可能である。
【0049】
具体的にはシャントレギュレータ222aは、トランジスタM2、基準電圧源226、エラーアンプ228を含む。トランジスタM2は、カソード(K)端子とアノード(A)端子の間に設けられる。基準電圧源226は可変電圧源であり、USBコントローラ300からの制御信号CNTに応じて、可変の基準電圧V
REFを生成する。エラーアンプ228の出力は、トランジスタM2の制御端子(ベース)と接続され、REF端子の検出電圧V
OUTSと基準電圧V
REFの誤差を増幅する。
【0050】
図2(b)のフィードバック回路220bは、式(1)の(1+R11/R12)の値を変化させ、直流電圧V
OUTを複数の電圧レベルV
0,V
1,V
2,V
3の間で切りかえる。
【0051】
図2(b)の分圧回路224bは、分圧比R12/(R11+R12)が可変に構成される。たとえば抵抗R12を、USBコントローラ300からの制御信号CNTに応じて抵抗値が切りかえ可能な可変抵抗で構成してもよいし、抵抗R11を可変抵抗としてもよい。分圧比は、式(1)の(1+R11/R12)の逆数である。
【0052】
以上が電源アダプタ100の全体構成である。続いてUSBコントローラ300について説明する。
【0053】
図3は、USBコントローラ300のブロック図である。USBコントローラ300は、電源ライン302、検出器304、フィードバック制御部306、スイッチ制御部308、通信部310を備え、ひとつの半導体基板に集積化された機能IC(Integrated Circuit)である。
【0054】
VDD端子は、2次側整流回路210の出力と接続され、直流電圧V
OUTを電源として受ける。直流電圧V
OUTは、電源ライン302を介して、USBコントローラ300の内部回路に供給される。
【0055】
検出器304は、デバイス500の有無を検出する。USB−TypeC規格では、検出器304は、ピンCC1/CC2(Configuration Channel)の状態にもとづいて、デバイス500の有無(ケーブルの挿入、抜去)を検出する。
【0056】
フィードバック制御部306は、検出器304の検出結果を参照する。フィードバック制御部306は、(i)デバイス500が検出されたとき、規定電圧レベルV
1〜V
3の直流電圧V
OUTが生成されるようにフィードバック回路220を制御する。またフィードバック制御部306は、(ii)デバイス500が検出されないとき、待機電圧レベルV
0の直流電圧V
OUTが生成されるように、フィードバック回路220を制御する。
図2(a)のフィードバック回路220aとの組み合わせにおいて、フィードバック制御部306は基準電圧V
REFを制御し、
図2(b)のフィードバック回路220bとの組み合わせにおいて、フィードバック制御部306は分圧回路224bの分圧比を制御する。
【0057】
USB−PD規格をサポートするUSBコントローラ300は、デバイス500との間で通信する通信部310を備える。通信部310とデバイス500の間の通信(ネゴシエーション)により、デバイス500に供給すべきバス電圧V
BUSが、複数の規定電圧レベルV
1〜V
3の中から選択される。フィードバック制御部306は、選択された電圧が得られるようにフィードバック回路220を制御する。
【0058】
以上がUSBコントローラ300の基本構成である。続いて電源装置200の動作を説明する。
【0059】
電源装置200の利点は、以下の比較技術との対比によって明確となる。そこでまず比較技術について説明する。
【0060】
(比較技術)
図4は、比較技術に係る電源装置の動作波形図である。比較技術においては、待機電圧レベルV
0は規定されない。
図4は上から順に、デバイス500の接続の有無(ハイレベルが接続、ローレベルが非接続)、直流電圧V
OUT、出力スイッチ204の状態、バス電圧V
BUSを示す。
【0061】
時刻t0より前のデバイス500の非検出(非接続)状態においては、出力スイッチ204がオフとされる。したがって直流電圧V
OUTの電圧レベルにかかわらずバス電圧V
BUSはゼロ、すなわちコールド状態となっている。
【0062】
コールド状態においても、USBコントローラ300を動作させる必要があるため、直流電圧V
OUTをゼロに落とすことはできない。比較技術では、デバイス500の非接続状態における直流電圧V
OUTは、規定電圧レベルV
1〜V
3のうち最も低い電圧レベル(最低規定電圧レベル)V
1に設定される。
【0063】
時刻t0にデバイス500が接続される。時刻t0〜t1の間、ネゴシエーションが行われる。ネゴシエーション中は、V
BUS=V
1とされる。ネゴシエーションの結果、バス電圧V
BUSが複数の規定電圧レベルの中から選択される。この例ではV
2=12Vが選択される。そして時刻t1に、直流電圧V
OUTが12Vに高められ、バス電圧V
BUSもそれに追従する。それ以降、DC/DCコンバータ202の出力電圧V
OUTはV
2=12Vに安定化される。そうするとDC/DCコンバータ202の出力電圧V
OUTが、バス電圧V
BUSとしてデバイス500に供給される。
【0064】
時刻t2にデバイス500が外されると、出力スイッチ204がオフし、コールド状態となる。またDC/DCコンバータ202の出力電圧V
OUTが、最低規定電圧レベルV
1まで低下する。
【0065】
以上が比較技術の説明である。続いて
図5を参照し、実施の形態に係る電源装置200の動作を説明する。
図5は、実施の形態に係る電源装置200の動作波形図である。
【0066】
時刻t0より前の非検出(非接続)状態においては、出力スイッチ204がオフとされ、バス電圧V
BUSはゼロであり、コールド状態となっている。デバイス500の非接続状態において、本実施の形態では、直流電圧V
OUTは、最低規定電圧レベルV
1よりも低い待機電圧レベルV
0(3.3V)に維持される。
【0067】
時刻t0にデバイス500が検出されると、直流電圧V
OUTが3.3Vから5Vに切り替えられる。直流電圧V
OUTが5Vに安定化されると、USBコントローラ300は出力スイッチ204をオンする。これにより5Vのバス電圧V
BUSがデバイス500に供給される。続いて、ネゴシエーションによりバス電圧V
BUSの電圧レベルが規定電圧レベルV
2に決定され、時刻t1に直流電圧V
OUTの電圧レベルが、12Vに切りかえられる。
【0068】
時刻t2にデバイス500が外されると、出力スイッチ204がオフし、コールド状態となる。またDC/DCコンバータ202の出力電圧V
OUTが、待機電圧レベルV
0まで低下する。
【0069】
以上が実施の形態に係る電源装置200の動作である。
比較技術では、時刻t0〜t2の期間のUSBコントローラ300の消費電力はV
1×I
1となる。これに対して実施の形態では、消費電力はV
0×I
1に低減することができる。V
1=5V、V
0=3.3Vとすれば、待機時のUSBコントローラ300の消費電力は、30%以上も低減することができる。
【0070】
また待機時においては、USBコントローラ300のみでなく、フィードバック回路220も電力を消費する。具体的には、分圧回路224は、V
OUT2/(R1+R2)の電力を消費する。したがって分圧回路224の消費電力も、30%以上低減することができる。
【0071】
加えてフォトカプラ212およびシャントレギュレータ222も電力を消費しており、その消費電力はI
ERR×V
OUTとなる。したがってフォトカプラ212およびシャントレギュレータ222の消費電力も、30%以上低減することができる。
【0072】
このように実施の形態に係る電源装置200によれば、USB規格で規定される最低規定電圧レベルV
1よりも低い待機電圧レベルV
0を定めておき、DC/DCコンバータ202を、待機電圧レベルV
0を有する直流電圧V
OUTを生成可能に構成し、デバイス500の非接続状態において、DC/DCコンバータ202の出力電圧V
OUTをV
0に低下させることで、待機時のUSBコントローラ300およびDC/DCコンバータ202の2次側の消費電力を低減することができる。
【0073】
図6は、USB−PDおよびUSB−TypeC規格に準拠するUSBコントローラ300の機能ブロック図である。
【0074】
コントロールロジック320は、USBコントローラ300全体を統合的に制御する。インタフェース回路330は、コンフィギュレーションチャネル(CC)の物理レイヤー(PHY)を司る。バス電圧検出器332は、バス電圧V
BUSを検出、監視する。ポート検出器334は、CC1/CC2ポート(ピン)にデバイス500が接続されているか否かを検出する。またUSB−TypeC規格では、フリップタイプのケーブルの向きを検出する。トランシーバ336は、トランスミッタ(BB−TX)およびレシーバ(BB−RX)を含み、コンフィギュレーションチャネルを介してデバイス500と通信する。
【0075】
スイッチドライバ340は、コントロールロジック320からの指令に応じて、出力スイッチ204のオン、オフを制御する。スイッチドライバ340は、図示しないチャージポンプなどを含む。
【0076】
放電回路342は、2次側整流回路210の出力と接続される。放電回路342は、コントロールロジック320からの指示に応じてオンとなり、2次側整流回路210の出力キャパシタC1の電荷を放電する。電圧監視部344は、2次側整流回路210の出力電圧V
OUTを監視する。監視結果はコントロールロジック320に入力される。
【0077】
放電回路346は、出力スイッチ204のコネクタ側に接続され、コントロールロジック320からの指示に応じてオンとなり、コネクタ側の電荷を放電する。電圧監視部348は、バス電圧V
BUSを監視する。監視結果はコントロールロジック320に入力される。
【0078】
電流検出回路350は、出力スイッチ204を介してデバイス500に供給される電流を検出する。検出結果は、コントロールロジック320に入力される。
【0079】
図6のUSBコントローラ300の動作を、再度、
図5を参照して説明する。ポート検出器334は、CCポートの状態を監視し、デバイス500が接続されているか否かを検出する。またUSB−TypeC規格では、ケーブルは表裏対称のフリップタイプであり、CC1/CC2のいずれかがデバイス500と接続される。ポート検出器334は、CC1/CC2のいずれのポートにデバイス500が接続されるかを判定する。ポート検出器334は、
図3の検出器304に対応するといえる。
【0080】
コントロールロジック320は、ポート検出器334がデバイス500を検出する前(時刻t0より前)は出力スイッチ204をオフするようにスイッチドライバ340に指示する。これにより出力をコールド状態とする。コントロールロジック320の一部およびスイッチドライバ340は、
図3のスイッチ制御部308に対応するといえる。
【0081】
またこのときコントロールロジック320は、DC/DCコンバータ202がV
OUT=V
0を出力するように、フィードバック回路220を制御する。コントロールロジック320の一部は、
図3のフィードバック制御部306に対応するといえる。
【0082】
時刻t0に、ポート検出器334がデバイス500を検出する。そうするとコントロールロジック320は、DC/DCコンバータ202がV
OUT=V
1(=5V)を出力するように、フィードバック回路220を制御する。また出力スイッチ204をオンするようにスイッチドライバ340に指示する。これによりType−C接続が確立される。
【0083】
Type−C接続が確立すると、トランシーバ336とデバイス500の間でネゴシエーションが行われ、バス電圧V
BUSの目標レベルが、規定電圧レベルV
1〜V
3の中から選択される。この例ではV
2=12Vが選択される。時刻t1にコントロールロジック320は、DC/DCコンバータ202がV
OUT=V
2(=12V)を出力するように、フィードバック回路220を制御する。コントロールロジック320は、バス電圧V
BUSが選択された規定電圧レベルV
2に達すると、フラグPS_READYをアサートする。
【0084】
時刻t1以降、ポート検出器334は引き続きデバイス500を監視し、ケーブルあるいはデバイス500の抜去を検出する。時刻t2にデバイス500が取り外されると、コントロールロジック320は、出力電圧V
OUTを待機電圧レベルV
0に低下させ、またスイッチドライバ340は出力スイッチ204をオフする。以上が
図6のUSBコントローラ300の動作である。
【0085】
図7(a)、(b)は、電源アダプタ100の外観図である。
図7(a)の電源アダプタ100aは、レセプタクル出力タイプと称され、コネクタ206がレセプタクル(メス)となっている。この形式ではデバイス500の非接続状態において、出力をコールドとすることが求められる。
【0086】
図7(b)の電源アダプタ100bは、キャプティブケーブルタイプと呼ばれ、プラグ(ケーブル)出力となっている。この形式では、デバイス500の非接続状態において、コールドが推奨されるが、ホットを維持することも可能である。
図7(b)の電源アダプタ100bでは、出力スイッチ204を省略してもよい。
【0087】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0088】
(第1変形例)
実施の形態では、USB−PD規格とUSB−TypeC規格をフルサポートするUSBコントローラ300について説明したが本発明はそれには限定されない。
(i)たとえばUSB−TypeC規格のみをサポートするUSBコントローラ300にも本発明は適用可能である。この場合、規定電圧レベルはV
1=5Vのみとされ、DC/DCコンバータ202は、直流電圧V
OUTがV
0とV
1の2値で切り替え可能となるよう構成すればよい。
【0089】
(ii)あるいは反対に、USB−PD規格のみをサポートするUSBコントローラ300にも本発明は適用可能である。この場合、ケーブルの向きを検出する機能等は省略することができる。
【0090】
(第2変形例)
実施の形態では、USBコントローラ300を説明したが、本発明はそれには限定されない。現在策定されているUSB規格の他、将来策定されるUSB規格や、その派生規格であって、同様のアーキテクチャを採用する電圧供給システムに本発明は利用可能である。またバスの種類はUSBには限定されず、クイックチャージ規格など、USB規格とは異なる規格にも本発明は適用可能である。クイックチャージ(Quick Charge 2.0)規格では、バス電圧V
BUSとして、5V,9V,12Vがサポートされる。
【0091】
(第3変形例)
実施の形態では、DC/DCコンバータ202がフライバックコンバータであったが、そのトポロジーは特に限定されない。たとえばDC/DCコンバータ202は同期整流型であってもよいし、フォワードコンバータであってもよい。あるいはトランスT1ではなくインダクタを利用したコンバータであってもよい。
【0092】
(第4変形例)
電源アダプタ100は、
図7(a)、(b)に示すようなAC電源アダプタには限定されない。USB−PD規格では、テレビなどの電子機器、コンピュータなどにも、電源アダプタ100が搭載され、バス電圧の供給機能が実装されることが想定されている。したがって電源アダプタ100は、電子機器に内蔵されてもよい。
【0093】
(第5変形例)
フィードバック回路220の全部あるいは一部は、USBコントローラ300に内蔵されてもよい。
【0094】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。