(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の入力端子および第2の入力端子を介して直流電圧を入力し、当該直流電圧を変換することによって生成した交流電圧を第1の出力端子および第2の出力端子を介して出力するDC/ACインバータであって、
前記第1の入力端子と前記第1の出力端子との間に挿入される第1のノーマリオフ型トランジスタと、
前記第2の入力端子と前記第1の出力端子との間に挿入される第2のノーマリオフ型トランジスタと、
前記第1の入力端子と前記第2の出力端子との間に挿入される第3のノーマリオフ型トランジスタと、
前記第2の入力端子と前記第2の出力端子との間に挿入される第4のノーマリオフ型トランジスタと、
前記第1のノーマリオフ型トランジスタに直列接続される第1のノーマリオフ型トランジスタ対と、
前記第2のノーマリオフ型トランジスタに直列接続される第2のノーマリオフ型トランジスタ対と、
前記第3のノーマリオフ型トランジスタに直列接続される第3のノーマリオフ型トランジスタ対と、
前記第4のノーマリオフ型トランジスタに直列接続される第4のノーマリオフ型トランジスタ対と、
前記第1のノーマリオフ型トランジスタの制御端子と前記第1のノーマリオフ型トランジスタ対の共通端子との間の電位差を固定する第1の電圧源と、
前記第2のノーマリオフ型トランジスタの制御端子と前記第2のノーマリオフ型トランジスタ対の共通端子との間の電位差を固定する第2の電圧源と、
前記第3のノーマリオフ型トランジスタの制御端子と前記第3のノーマリオフ型トランジスタ対の共通端子との間の電位差を固定する第3の電圧源と、
前記第4のノーマリオフ型トランジスタの制御端子と前記第4のノーマリオフ型トランジスタ対の共通端子との間の電位差を固定する第4の電圧源と、
前記第1のノーマリオフ型トランジスタ対をON/OFF駆動する第1の駆動回路と、 前記第2のノーマリオフ型トランジスタ対をON/OFF駆動する第2の駆動回路と、 前記第3のノーマリオフ型トランジスタ対をON/OFF駆動する第3の駆動回路と、 前記第4のノーマリオフ型トランジスタ対をON/OFF駆動する第4の駆動回路と を具備し、
前記第1のノーマリオフ型トランジスタ対、前記第2のノーマリオフ型トランジスタ対、前記第3のノーマリオフ型トランジスタ対および前記第4のノーマリオフ型トランジスタ対の耐圧は、前記第1のノーマリオフ型トランジスタ、前記第2のノーマリオフ型トランジスタ、前記第3のノーマリオフ型トランジスタおよび前記第4のノーマリオフ型トランジスタの耐圧に比べて低い、
DC/ACインバータ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら実施形態の説明が述べられる。尚、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号が付され、重複する説明は基本的に省略される。以降の説明では、FETは、例えば、窒素ガリウム(GaN)トランジスタ、炭化ケイ素(SiC)トランジスタなどの種々のノーマリオフ型トランジスタに置き換えられてもよい。
【0012】
(第1の実施形態)
図2には、DC/ACインバータの基本回路が例示される。
図2のDC/ACインバータは、リカバリ電流への対策が施されていないものの、基本的な動作原理では第1の実施形態に係るDC/ACインバータと共通する。
【0013】
図2のDC/ACインバータは、第1の入力端子および第2の入力端子(接地)を介して直流電圧(V
in)を入力し、当該直流電圧を変換することによって生成した交流電圧を第1の出力端子OUT1および第2の出力端子OUT2を介して出力する。
【0014】
図2のDC/ACインバータは、メインFET Q205と、メインFET Q206と、メインFET Q207と、メインFET Q208と、電圧源E201と、電圧源E202と、電圧源E203と、駆動回路Drive201と、駆動回路Drive202と、駆動回路Drive203と、駆動回路Drive204とを含む。
【0015】
メインFET Q205は、そのドレイン端子がDC/ACインバータの第1の入力端子に接続され、そのゲート端子が抵抗器R202を介して駆動回路Drive201の出力端子(Out)に接続され、そのソース端子がインダクタL1を介してDC/ACインバータの第1の出力端子に接続される。
図2には、メインFET Q205のボディダイオードD201も描かれている。駆動回路Drive201は、電圧源E201を電源として用いてメインFET Q205のON/OFFを制御するための制御信号を生成し、出力端子を介して出力する。
【0016】
メインFET Q206は、そのドレイン端子がインダクタL1を介してDC/ACインバータの第1の出力端子に接続され、そのゲート端子が抵抗器R205を介して駆動回路Drive202の出力端子(Out)に接続され、そのソース端子がDC/ACインバータの第2の入力端子に接続される(すなわち、接地される)。
図2には、メインFET Q206のボディダイオードD202も描かれている。駆動回路Drive202は、電圧源E202を電源として用いてメインFET Q206のON/OFFを制御するための制御信号を生成し、出力端子を介して出力する。
【0017】
メインFET Q207は、そのドレイン端子がDC/ACインバータの第1の入力端子に接続され、そのゲート端子が抵抗器R208を介して駆動回路Drive203の出力端子(Out)に接続され、そのソース端子がインダクタL2を介してDC/ACインバータの第2の出力端子に接続される。
図2には、メインFET Q207のボディダイオードD203も描かれている。駆動回路Drive203は、電圧源E203を電源として用いてメインFET Q207のON/OFFを制御するための制御信号を生成し、出力端子を介して出力する。
【0018】
メインFET Q208は、そのドレイン端子がインダクタL2を介してDC/ACインバータの第2の出力端子に接続され、そのゲート端子が抵抗器R211を介して駆動回路Drive204の出力端子(Out)に接続され、そのソース端子がDC/ACインバータの第2の入力端子に接続される(すなわち、接地される)。
図2には、メインFET Q208のボディダイオードD204も描かれている。駆動回路Drive204は、電圧源E202を電源として用いてメインFET Q208のON/OFFを制御するための制御信号を生成し、出力端子を介して出力する。
【0019】
駆動回路Drive201、駆動回路Drive202、駆動回路Drive203および駆動回路Drive204は、メインFET Q205、メインFET Q206、メインFET Q207およびメインFET Q208をそれぞれON/OFF駆動することにより、DC/ACインバータの第1の出力端子OUT1および第2の出力端子OUT2へと交流電力を供給する。
【0020】
図2のDC/ACインバータでは、各メインFETのボディダイオードにリカバリ電流が生じるおそれがある。例えば、メインFET Q208のドレイン電流がソース端子からドレイン端子の方向へと流れている状態で当該メインFET Q208がON状態からOFF状態へと切り替わると、その後のデッドタイムに亘ってボディダイオードD204に順方向電流が流れることになる。故に、デッドタイム終了時にメインFET Q207がOFF状態からON状態へと切り替わると、
図3に例示されるように、ボディダイオードD204においてリカバリ電流が瞬間的に発生し、DC/ACインバータのスイッチング損失を増大させる。
【0021】
図4には、比較例に係るDC/ACインバータが例示される。
図4のDC/ACインバータは、第1の実施形態に係るDC/ACインバータと比べて、リカバリ電流の対策機構において異なるものの、基本的な動作原理では共通する。具体的には、
図4のDC/ACインバータは、ダイオードD205、ダイオードD206、ダイオードD207、ダイオードD208、ダイオードD209、ダイオードD210、ダイオードD211およびダイオードD212を
図2のDC/ACインバータに対して追加した構成に相当する。
【0022】
ダイオードD205は、DC/ACインバータの第1の入力端子とメインFET Q205との間に挿入され、当該メインFET Q205のボディダイオードD201の順方向電流を阻止する。
【0023】
ダイオードD206は、DC/ACインバータの第1の出力端子とメインFET Q206との間に挿入され、当該メインFET Q206のボディダイオードD202の順方向電流を阻止する。
【0024】
ダイオードD207は、DC/ACインバータの第1の入力端子とメインFET Q207との間に挿入され、当該メインFET Q207のボディダイオードD203の順方向電流を阻止する。
【0025】
ダイオードD208は、DC/ACインバータの第2の出力端子とメインFET Q208との間に挿入され、当該メインFET Q208のボディダイオードD204の順方向電流を阻止する。
【0026】
ダイオードD209は、メインFET Q205のソース端子とダイオードD205のアノードとの間を接続し、電流の迂回路を形成する。ダイオードD209として、リカバリ電流が(各ボディダイオードに比べて)小さい若しくは問題とならない種別のダイオードが採用される。具体的には、ダイオードD209は、ショットキーバリアダイオードであってよい。
【0027】
ダイオードD210は、メインFET Q206のソース端子とダイオードD206のアノードとの間を接続し、電流の迂回路を形成する。ダイオードD210として、リカバリ電流が(各ボディダイオードに比べて)小さい若しくは問題とならない種別のダイオードが採用される。具体的には、ダイオードD210は、ショットキーバリアダイオードであってよい。
【0028】
ダイオードD211は、メインFET Q207のソース端子とダイオードD207のアノードとの間を接続し、電流の迂回路を形成する。ダイオードD211として、リカバリ電流が(各ボディダイオードに比べて)小さい若しくは問題とならない種別のダイオードが採用される。具体的には、ダイオードD211は、ショットキーバリアダイオードであってよい。
【0029】
ダイオードD212は、メインFET Q208のソース端子とダイオードD208のアノードとの間を接続し、電流の迂回路を形成する。ダイオードD212として、リカバリ電流が(各ボディダイオードに比べて)小さい若しくは問題とならない種別のダイオードが採用される。具体的には、ダイオードD212は、ショットキーバリアダイオードであってよい。
【0030】
図4のDC/ACインバータでは、
図2のDC/ACインバータに比べてリカバリ電流が効果的に削減される。例えば、メインFET Q208のソース端子からドレイン端子の方向への電流はダイオードD208によって阻止されるので、当該メインFET Q208がON状態からOFF状態へと切り替わってもボディダイオードD204には順方向電流が流れない。他方、
図5に例示されるように、ダイオードD212にはメインFET Q208を迂回したドレイン電流が順方向電流として流れるものの、前述のようにダイオードD212によるリカバリ電流の影響は小さい。従って、
図4のDC/ACインバータによればリカバリ電流を効果的に削減することができる。反面、
図4のDC/ACインバータでは、素子数の増大に伴うコスト上昇、ならびに、ダイオードD205、ダイオードD206、ダイオードD207およびダイオードD208の順方向電圧による損失(すなわち、DC/ACインバータの効率低下)などが問題となる。
【0031】
第1の実施形態に係るDC/ACインバータは、各メインFETのゲート端子をバイアス用の電圧源に接続し、当該メインFETのON/OFFを当該メインFETに直列接続される(メインFETに比べて)低耐圧のスイッチングFETを介して制御する。本実施形態に係るDC/ACインバータが
図1に例示される。
【0032】
図1のDC/ACインバータは、第1の入力端子および第2の入力端子(接地)を介して直流電圧(V
in)を入力し、当該直流電圧を変換することによって生成した交流電圧を第1の出力端子OUT1および第2の出力端子OUT2を介して出力する。
【0033】
図1のDC/ACインバータは、メインFET Q101と、メインFET Q102と、メインFET Q103と、メインFET Q104と、スイッチングFET Q105と、スイッチングFET Q106と、スイッチングFET Q107と、スイッチングFET Q108と、電圧源E101と、電圧源E102と、電圧源E103と、駆動回路Drive101と、駆動回路Drive102と、駆動回路Drive103と、駆動回路Drive104と、ダイオードD101と、ダイオードD102と、ダイオードD103と、ダイオードD104とを含む。なお、
図1には、各FETのボディダイオードは描かれていない。
【0034】
メインFET Q101は、そのドレイン端子がDC/ACインバータの第1の入力端子に接続され、そのゲート端子が電圧源E101の正極端子に接続され、そのソース端子がスイッチングFET Q105のドレイン端子およびダイオードD101のカソードに共通に接続される。メインFET Q101のゲート端子とスイッチングFET Q105のソース端子との電位差は電圧源E101によって固定されているので、スイッチングFET Q105を制御すればメインFET Q101のON/OFFを切り替えることができる。なお、電圧源E101の起電力は、メインFET Q101の閾値電圧を超えることとする。
【0035】
メインFET Q102は、そのドレイン端子がインダクタL1を介してDC/ACインバータの第1の出力端子に接続され、そのゲート端子が電圧源E102の正極端子に接続され、そのソース端子がスイッチングFET Q106のドレイン端子およびダイオードD102のカソードに共通に接続される。メインFET Q102のゲート端子とスイッチングFET Q106のソース端子との電位差は電圧源E102によって固定されているので、スイッチングFET Q106を制御すればメインFET Q102のON/OFFを切り替えることができる。なお、電圧源E102の起電力は、メインFET Q102およびメインFET Q104の閾値電圧を超えることとする。
【0036】
メインFET Q103は、そのドレイン端子がDC/ACインバータの第1の入力端子に接続され、そのゲート端子が電圧源E103の正極端子に接続され、そのソース端子がスイッチングFET Q107のドレイン端子およびダイオードD103のカソードに共通に接続される。メインFET Q103のゲート端子とスイッチングFET Q107のソース端子との電位差は電圧源E103によって固定されているので、スイッチングFET Q107を制御すればメインFET Q103のON/OFFを切り替えることができる。なお、電圧源E103の起電力は、メインFET Q103の閾値電圧を超えることとする。
【0037】
メインFET Q104は、そのドレイン端子がインダクタL2を介してDC/ACインバータの第2の出力端子に接続され、そのゲート端子が電圧源E102の正極端子に接続され、そのソース端子がスイッチングFET Q108のドレイン端子およびダイオードD104のカソードに共通に接続される。メインFET Q104のゲート端子とスイッチングFET Q108のソース端子との電位差は電圧源E102によって固定されているので、スイッチングFET Q108を制御すればメインFET Q104のON/OFFを切り替えることができる。
【0038】
なお、メインFET Q104およびスイッチングFET Q108を駆動するための補助電源は、メインFET Q102およびスイッチングFET Q106を駆動するための補助電源とは独立して設けることも可能であるが、
図1の電圧源E102のように両者を共通化することで構成を簡略することができる。
【0039】
スイッチングFET Q105は、そのドレイン端子がメインFET Q101のソース端子およびダイオードD101のカソードに共通に接続され、そのゲート端子が抵抗器R102を介して駆動回路Drive101の出力端子(Out)に接続され、そのソース端子がインダクタL1を介してDC/ACインバータの第1の出力端子に接続され、さらにダイオードD101のアノードに接続される。駆動回路Drive101は、電圧源E101を電源として用いてスイッチングFET Q105のON/OFFを制御するための制御信号を生成し、出力端子を介して出力する。
【0040】
スイッチングFET Q106は、そのドレイン端子がメインFET Q102のソース端子およびダイオードD102のカソードに共通に接続され、そのゲート端子が抵抗器R105を介して駆動回路Drive102の出力端子(Out)に接続され、そのソース端子がダイオードD102のアノードおよびDC/ACインバータの第2の入力端子に共通に接続される(すなわち、接地される)。駆動回路Drive102は、電圧源E102を電源として用いてスイッチングFET Q106のON/OFFを制御するための制御信号を生成し、出力端子を介して出力する。
【0041】
スイッチングFET Q107は、そのドレイン端子がメインFET Q103のソース端子およびダイオードD103のカソードに共通に接続され、そのゲート端子が抵抗器R108を介して駆動回路Drive103の出力端子(Out)に接続され、そのソース端子がインダクタL2を介してDC/ACインバータの第2の出力端子に接続され、さらにダイオードD103のアノードおよびメインFET Q104のドレイン端子に共通に接続される。駆動回路Drive103は、電圧源E103を電源として用いてスイッチングFET Q107のON/OFFを制御するための制御信号を生成し、出力端子を介して出力する。
【0042】
スイッチングFET Q108は、そのドレイン端子がメインFET Q104のソース端子およびダイオードD104のカソードに共通に接続され、そのゲート端子が抵抗器R111を介して駆動回路Drive104の出力端子(Out)に接続され、そのソース端子がダイオードD104のアノードおよびDC/ACインバータの第2の入力端子に共通に接続される(すなわち、接地される)。駆動回路Drive104は、電圧源E102を電源として用いてスイッチングFET Q108のON/OFFを制御するための制御信号を生成し、出力端子を介して出力する。
【0043】
ダイオードD101は、スイッチングFET Q105のドレイン−ソース間を接続する。ダイオードD101として、リカバリ電流が(各メインFETのボディダイオードに比べて)小さい若しくは問題とならない種別のダイオードが採用される。具体的には、ダイオードD101は、ショットキーバリアダイオードであってよい。
【0044】
ダイオードD102は、スイッチングFET Q106のドレイン−ソース間を接続する。ダイオードD102として、リカバリ電流が(各メインFETのボディダイオードに比べて)小さい若しくは問題とならない種別のダイオードが採用される。具体的には、ダイオードD102は、ショットキーバリアダイオードであってよい。
【0045】
ダイオードD103は、スイッチングFET Q107のドレイン−ソース間を接続する。ダイオードD103として、リカバリ電流が(各メインFETのボディダイオードに比べて)小さい若しくは問題とならない種別のダイオードが採用される。具体的には、ダイオードD103は、ショットキーバリアダイオードであってよい。
【0046】
ダイオードD104は、スイッチングFET Q108のドレイン−ソース間を接続する。ダイオードD104として、リカバリ電流が(各メインFETのボディダイオードに比べて)小さい若しくは問題とならない種別のダイオードが採用される。具体的には、ダイオードD104は、ショットキーバリアダイオードであってよい。
【0047】
駆動回路Drive101、駆動回路Drive102、駆動回路Drive103および駆動回路Drive104は、スイッチングFET Q105、スイッチングFET Q106、スイッチングFET Q107およびスイッチングFET Q108をそれぞれON/OFF駆動し、これらに連動してメインFET Q101、メインFET Q102、メインFET Q103およびメインFET Q104をON/OFFさせることにより、DC/ACインバータの第1の出力端子OUT1および第2の出力端子OUT2へと交流電力を供給する。
【0048】
なお、メインFET Q101、メインFET Q102、メインFET Q103およびメインFET Q104の寄生容量(図示されない)を充電する電荷は、抵抗器R101、抵抗器R104、抵抗器R107および抵抗器R110を介してキャパシタC101、キャパシタC102、キャパシタC103およびキャパシタC104を充電する。故に、係る電荷の移動により、駆動回路Drive101、駆動回路Drive102、駆動回路Drive103および駆動回路Drive104の消費電力の一部または全部を賄うことが可能である。係る作用によって、DC/ACインバータの効率を向上させることができる。
【0049】
図1のDC/ACインバータでは、
図2のDC/ACインバータに比べてリカバリ電流が効果的に削減される。例えば、スイッチングFET Q108がOFF状態からON状態へと切り替わると、メインFET Q104のゲート−ソース間電圧V
gsは電圧源E102の起電力(>メインFET Q104の閾値電圧)に略一致するので、メインFET Q104はONとなる。
【0050】
他方、スイッチングFET Q108のドレイン電流がソース端子からドレイン端子の方向へと流れている状態で当該スイッチングFET Q108がON状態からOFF状態へと切り替わったとしても、ダイオードD104は順方向バイアスされている(すなわち、導通している)のでメインFET Q104のソース電位は略維持され、メインFET Q104はON状態を継続する。故に、ダイオードD104の順方向電流は、メインFET Q104のチャンネルを通過して負荷へと供給される。より正確には、メインFET Q104のチャンネル抵抗による電圧降下が当該メインFET Q104のボディダイオードの順方向電圧よりも小さければ、メインFET Q104のチャンネルを電流が流れている間も当該ボディダイオードはカットオフ状態となる(すなわち、順方向電流が流れない)。故に、
図6に例示されるように、デッドタイム終了後にスイッチングFET Q107およびメインFET Q103がOFF状態からON状態へと切り替わっても、メインFET Q104はそのボディダイオードにリカバリ電流が流れることなくOFF状態に切り替わることができる。
【0051】
なお、スイッチングFET Q108のドレイン電流がドレイン端子からソース端子の方向へと流れている状態で当該スイッチングFET Q108がON状態からOFF状態へと切り替わったとすると、ダイオードD104は逆方向バイアスされているので、メインFET Q104のソース電位はゲート電位に略一致し、メインFET Q104もON状態からOFF状態へと切り替わる。そして、デッドタイムでは、メインFET Q104のボディダイオードは逆方向バイアスされているので順方向電流が流れない。故に、デッドタイム終了後にスイッチングFET Q107およびメインFET Q103がOFF状態からON状態へと切り替わっても、メインFET Q104はそのボディダイオードにリカバリ電流が流れることなくOFF状態に切り替わることができる。
【0052】
以上説明したように、第1の実施形態に係るDC/ACインバータは、メインFETを直接駆動せずに当該メインFETに直列接続されたスイッチングFETをON/OFF駆動する。メインFETはそのゲート端子がバイアス用の電圧源に接続されているので、対応するスイッチングFETのドレイン電流がソース端子からドレイン端子の方向へと流れている状態で当該スイッチングFETがON状態からOFF状態へと切り替わってもON状態を維持し、当該ドレイン電流をボディダイオードではなくチャンネルに流すことができる。従って、このDC/ACインバータによれば、メインFETのボディダイオードにおいてリカバリ電流の発生を防止(少なくとも削減)することができる。なお、このDC/ACインバータによれば、メインFETはそのゲート端子がバイアス用の電圧源に接続されているので、外部回路によりドレイン−ソース間電圧V
dsが変化してもゲート−ソース間電圧V
gsは上昇せず、当該メインFETが誤オンして破損することもない。
【0053】
また、このDC/ACインバータによれば、高耐圧(大型)のメインFETではなく低耐圧(小型)のスイッチングFETを駆動すればよいので、メインFETを直接的に駆動する場合に比べて消費電力を削減してDC/ACインバータの効率を向上させることができる。加えて、このDC/ACインバータは、高耐圧/高速環流ダイオードも不要であるから、小規模(低コスト)かつ低損失に実現可能である。
【0054】
さらに、このDC/ACインバータによれば、スイッチングFETのドレイン−ソース間を接続するダイオードには、例えばショットキーバリアダイオードなどの順方向電圧の小さいダイオードが採用されるので、損失(すなわち、DC/ACインバータの効率低下)を抑制することができる。なお、係るダイオードを省略したとしても、当該ダイオードの役割をスイッチングFETのボディダイオードが担うことで、メインFETのボディダイオードに生じるリカバリ電流を削減することもできる。
【0055】
(第2の実施形態)
前述の第1の実施形態に係るDC/ACインバータは、メインFETのチャンネル抵抗による電圧降下が当該メインFETのボディダイオードの順方向電圧よりも小さければ、リカバリ電流の発生を防止できる。他方、このDC/ACインバータは、メインFETのチャンネル抵抗による電圧降下が当該メインFETのボディダイオードの順方向電圧と同じである場合には、当該ボディダイオードにはある程度の順方向電流が流れるのでリカバリ電流が生じることになる。第2の実施形態に係るDC/ACインバータは、メインFETのチャンネル抵抗の大きさに関わらず、当該メインFETのボディダイオードに順方向電流が流れることを阻止し、リカバリ電流の発生を防止する。
【0056】
第2の実施形態に係るDC/ACインバータは、各メインFETのゲート端子をバイアス用の電圧源に接続し、当該メインFETのON/OFFを当該メインFETに直列接続される(メインFETに比べて)低耐圧のスイッチングFET対(ソース共通)を介して制御する。本実施形態に係るDC/ACインバータが
図7に例示される。
【0057】
図7のDC/ACインバータは、第1の入力端子および第2の入力端子(接地)を介して直流電圧(V
in)を入力し、当該直流電圧を変換することによって生成した交流電圧を第1の出力端子OUT1および第2の出力端子OUT2を介して出力する。
【0058】
図7のDC/ACインバータは、メインFET Q101と、メインFET Q102と、メインFET Q103と、メインFET Q104と、スイッチングFET Q305と、スイッチングFET Q306と、スイッチングFET Q307と、スイッチングFET Q308と、スイッチングFET Q309と、スイッチングFET Q310と、スイッチングFET Q311と、スイッチングFET Q312と、電圧源E101と、電圧源E102と、電圧源E103と、電圧源E304と、駆動回路Drive301と、駆動回路Drive302と、駆動回路Drive303と、駆動回路Drive304と、ダイオードD301と、ダイオードD302と、ダイオードD303と、ダイオードD304とを含む。なお、
図7には、各FETのボディダイオードは描かれていない。
【0059】
メインFET Q101は、そのドレイン端子がDC/ACインバータの第1の入力端子に加えてダイオードD301のカソードに接続され、そのゲート端子が電圧源E101の正極端子に接続され、そのソース端子がスイッチングFET Q305のドレイン端子に接続される。メインFET Q101のゲート端子とスイッチングFET Q305およびスイッチングFET Q306のソース端子との電位差は電圧源E101によって固定されているので、スイッチングFET Q305およびスイッチングFET Q306を制御すればメインFET Q101のON/OFFを切り替えることができる。なお、前述のように、電圧源E101の起電力は、メインFET Q101の閾値電圧を超えることとする。
【0060】
メインFET Q102は、そのドレイン端子がインダクタL1を介してDC/ACインバータの第1の出力端子に接続され、さらにダイオードD302のカソードに接続され、そのゲート端子が電圧源E102の正極端子に接続され、そのソース端子がスイッチングFET Q307のドレイン端子に接続される。メインFET Q102のゲート端子とスイッチングFET Q307およびスイッチングFET Q308のソース端子との電位差は電圧源E102によって固定されているので、スイッチングFET Q307およびスイッチングFET Q308を制御すればメインFET Q102のON/OFFを切り替えることができる。なお、前述のように、電圧源E102の起電力は、メインFET Q102の閾値電圧を超えることとする。
【0061】
メインFET Q103は、そのドレイン端子がDC/ACインバータの第1の入力端子に加えてダイオードD303のカソードに接続され、そのゲート端子が電圧源E103の正極端子に接続され、そのソース端子がスイッチングFET Q309のドレイン端子に接続される。メインFET Q103のゲート端子とスイッチングFET Q309およびスイッチングFET Q310のソース端子との電位差は電圧源E103によって固定されているので、スイッチングFET Q309およびスイッチングFET Q310を制御すればメインFET Q103のON/OFFを切り替えることができる。なお、前述のように、電圧源E103の起電力は、メインFET Q103の閾値電圧を超えることとする。
【0062】
メインFET Q104は、そのドレイン端子がインダクタL2を介してDC/ACインバータの第2の出力端子に接続され、さらにダイオードD304のカソードに接続され、そのゲート端子が電圧源E304の正極端子に接続され、そのソース端子がスイッチングFET Q311のドレイン端子に接続される。メインFET Q104のゲート端子とスイッチングFET Q311およびスイッチングFET Q312のソース端子との電位差は電圧源E304によって固定されているので、スイッチングFET Q311およびスイッチングFET Q312を制御すればメインFET Q104のON/OFFを切り替えることができる。なお、電圧源E304の起電力は、メインFET Q104の閾値電圧を超えることとする。
【0063】
スイッチングFET Q305は、そのドレイン端子がメインFET Q101のソース端子に接続され、そのゲート端子が抵抗器R102を介して駆動回路Drive301の出力端子(Out)に接続され、そのソース端子がスイッチングFET Q306のソース端子に接続される。
【0064】
スイッチングFET Q306は、そのドレイン端子がインダクタL1を介してDC/ACインバータの第1の出力端子に接続され、さらにダイオードD301のアノードに接続され、そのゲート端子が抵抗器R301を介して駆動回路Drive301の出力端子(Out)に接続され、そのソース端子がスイッチングFET Q305のソース端子に接続される。
【0065】
駆動回路Drive301は、電圧源E101を電源として用いてスイッチングFET Q305およびスイッチングFET Q306のON/OFFを制御するための制御信号を生成し、出力端子を介して出力する。なお、スイッチングFET Q305およびスイッチングFET Q306は、ゲート電位およびソース電位が共通であるから、ON/OFFの挙動も共通である。
【0066】
スイッチングFET Q307は、そのドレイン端子がメインFET Q102のソース端子に接続され、そのゲート端子が抵抗器R302を介して駆動回路Drive302の出力端子(Out)に接続され、そのソース端子がスイッチングFET Q308のソース端子に接続される。
【0067】
スイッチングFET Q308は、そのドレイン端子がDC/ACインバータの第2の入力端子およびダイオードD302のアノードに共通に接続され、そのゲート端子が抵抗器R302を介して駆動回路Drive302の出力端子(Out)に接続され、そのソース端子がスイッチングFET Q307のソース端子に接続される。
【0068】
駆動回路Drive302は、電圧源E102を電源として用いてスイッチングFET Q307およびスイッチングFET Q308のON/OFFを制御するための制御信号を生成し、出力端子を介して出力する。なお、スイッチングFET Q307およびスイッチングFET Q308は、ゲート電位およびソース電位が共通であるから、ON/OFFの挙動も共通である。
【0069】
スイッチングFET Q309は、そのドレイン端子がメインFET Q103のソース端子に接続され、そのゲート端子が抵抗器R303を介して駆動回路Drive303の出力端子(Out)に接続され、そのソース端子がスイッチングFET Q310のソース端子に接続される。
【0070】
スイッチングFET Q310は、そのドレイン端子がインダクタL2を介してDC/ACインバータの第2の出力端子に接続され、さらにダイオードD303のアノードに接続され、そのゲート端子が抵抗器R303を介して駆動回路Drive303の出力端子(Out)に接続され、そのソース端子がスイッチングFET Q309のソース端子に接続される。
【0071】
駆動回路Drive303は、電圧源E103を電源として用いてスイッチングFET Q309およびスイッチングFET Q310のON/OFFを制御するための制御信号を生成し、出力端子を介して出力する。なお、スイッチングFET Q309およびスイッチングFET Q310は、ゲート電位およびソース電位が共通であるから、ON/OFFの挙動も共通である。
【0072】
スイッチングFET Q311は、そのドレイン端子がメインFET Q104のソース端子に接続され、そのゲート端子が抵抗器R304を介して駆動回路Drive304の出力端子(Out)に接続され、そのソース端子がスイッチングFET Q312のソース端子に接続される。
【0073】
スイッチングFET Q312は、そのドレイン端子がDC/ACインバータの第2の入力端子およびダイオードD304のアノードに共通に接続され、そのゲート端子が抵抗器R304を介して駆動回路Drive304の出力端子(Out)に接続され、そのソース端子がスイッチングFET Q311のソース端子に接続される。
【0074】
駆動回路Drive304は、電圧源E304を電源として用いてスイッチングFET Q311およびスイッチングFET Q312のON/OFFを制御するための制御信号を生成し、出力端子を介して出力する。なお、スイッチングFET Q311およびスイッチングFET Q312は、ゲート電位およびソース電位が共通であるから、ON/OFFの挙動も共通である。
【0075】
ダイオードD301は、そのアノードがインダクタL1を介してDC/ACインバータの第1の出力端子に接続され、さらにスイッチングFET Q306のドレイン端子に接続され、そのカソードがメインFET Q101のドレイン端子およびDC/ACインバータの第1の入力端子に共通に接続される。ダイオードD301として、リカバリ電流が(各メインFETのボディダイオードに比べて)小さい若しくは問題とならない種別のダイオードが採用される。具体的には、ダイオードD301は、ショットキーバリアダイオードであってよい。
【0076】
ダイオードD302は、そのアノードがスイッチングFET Q308のドレイン端子およびDC/ACインバータの第2の入力端子に共通に接続され、そのカソードがインダクタL1を介してDC/ACインバータの第1の出力端子に接続され、さらにメインFET Q102のドレイン端子に接続される。ダイオードD302として、リカバリ電流が(各メインFETのボディダイオードに比べて)小さい若しくは問題とならない種別のダイオードが採用される。具体的には、ダイオードD302は、ショットキーバリアダイオードであってよい。
【0077】
ダイオードD303は、そのアノードがインダクタL2を介してDC/ACインバータの第2の出力端子に接続され、さらにスイッチングFET Q310のドレイン端子に接続され、そのカソードがメインFET Q103のドレイン端子およびDC/ACインバータの第1の入力端子に共通に接続される。ダイオードD303として、リカバリ電流が(各メインFETのボディダイオードに比べて)小さい若しくは問題とならない種別のダイオードが採用される。具体的には、ダイオードD303は、ショットキーバリアダイオードであってよい。
【0078】
ダイオードD304は、そのアノードがスイッチングFET Q312のドレイン端子およびDC/ACインバータの第2の入力端子に共通に接続され、そのカソードがインダクタL2を介してDC/ACインバータの第2の出力端子に接続され、さらにメインFET Q104のドレイン端子に接続される。ダイオードD304として、リカバリ電流が(各メインFETのボディダイオードに比べて)小さい若しくは問題とならない種別のダイオードが採用される。具体的には、ダイオードD304は、ショットキーバリアダイオードであってよい。
【0079】
駆動回路Drive301、駆動回路Drive302、駆動回路Drive303および駆動回路Drive304は、スイッチングFET Q305およびスイッチングFET Q306、スイッチングFET Q307およびスイッチングFET Q308、スイッチングFET Q309およびスイッチングFET Q310、ならびに、スイッチングFET Q311およびスイッチングFET Q312をそれぞれON/OFF駆動し、これらに連動してメインFET Q101、メインFET Q102、メインFET Q103およびメインFET Q104をON/OFFさせることにより、DC/ACインバータの第1の出力端子OUT1および第2の出力端子OUT2へと交流電力を供給する。
【0080】
図7のDC/ACインバータでは、
図2のDC/ACインバータに比べてリカバリ電流が効果的に削減される。例えば、スイッチングFET Q311およびスイッチングFET Q312がOFF状態からON状態へと切り替わると、メインFET Q104のゲート−ソース間電圧V
gsは電圧源E304の起電力(>メインFET Q104の閾値電圧)に略一致するので、メインFET Q104はONとなる。
【0081】
他方、スイッチングFET Q311およびスイッチングFET Q312がON状態からOFF状態へと切り替わると、メインFET Q104のソース電位はゲート電位に略一致し、メインFET Q104もON状態からOFF状態へと切り替わる。そして、スイッチングFET Q311およびスイッチングFET Q312がOFF状態であって、かつ、これらのボディダイオードの方向は相反するので、デッドタイムでは、メインFET Q104のチャンネル抵抗の大きさに関わらずそのボディダイオードには電流が流れない。具体的には、メインFET Q104がON状態からOFF状態へと切り替わる直前に、当該メインFET Q104のドレイン電流がソース端子からドレイン端子の方向へと流れていたとしても、係る電流はOFF状態のスイッチングFET Q312およびそのボディダイオード(逆方向バイアス)によって阻止され、ダイオードD304を迂回することになる。故に、デッドタイム終了後にスイッチングFET Q309およびスイッチングFET Q310ならびにメインFET Q103がOFF状態からON状態へと切り替わっても、メインFET Q104はそのボディダイオードにリカバリ電流が流れない。
【0082】
以上説明したように、第2の実施形態に係るDC/ACインバータは、メインFETを直接駆動せずに当該メインFETに直列接続されたスイッチングFET対をON/OFF駆動する。スイッチングFET対はソース端子が共通接続されているので、そのボディダイオードの方向は相反する。故に、スイッチングFET対がON状態からOFF状態へと切り替わると、対応するメインFETも連動してON状態からOFF状態へと切り替わり、当該メインFETのボディダイオードの順方向電流は、OFF状態のスイッチングFETおよびそのボディダイオード(逆バイアス)によって阻止される。従って、このDC/ACインバータによれば、メインFETのチャンネル抵抗の大きさに関わらず当該メインFETのボディダイオードにおけるリカバリ電流の発生を防止することができる。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。