(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記DC/DCコンバータの2次側に流れる電流に応じた電流検出信号とその上限レベルの誤差を増幅し、前記誤差に応じた電流を前記フォトカプラ接続端子を介して前記フォトカプラの入力側から引き込む過電流保護回路をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のフィードバック回路。
前記DC/DCコンバータの2次側に流れる電流に応じた電流検出信号とその上限レベルの誤差を増幅し、前記誤差に応じた電流を前記フォトカプラ接続端子を介して前記フォトカプラの入力側から引き込む過電流保護回路をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の同期整流コントローラ。
前記異常検出回路および前記エラーアンプのセットと前記駆動回路とは、電源プレーンが独立しており、またそれらのグランドプレーンが独立していることを特徴とする請求項6から9のいずれかに記載の同期整流コントローラ。
前記エラーアンプおよび前記異常検出回路の共通の前記電源プレーンには、前記フォトカプラ接続端子の電圧から生成された内部電源電圧が供給され、前記エラーアンプおよび前記異常検出回路の共通の前記グランドプレーンには前記DC/DCコンバータの2次側の接地電位が供給されることを特徴とする請求項11に記載の同期整流コントローラ。
【背景技術】
【0002】
テレビや冷蔵庫をはじめとするさまざまな家電製品は、外部からの商用交流電力を受けて動作する。ラップトップ型コンピュータ、携帯電話端末やタブレット端末をはじめとする電子機器も、商用交流電力によって動作可能であり、あるいは商用交流電力によって、機器に内蔵の電池を充電可能となっている。こうした家電製品や電子機器(以下、電子機器と総称する)には、商用交流電圧をAC/DC(交流/直流)変換する電源装置(AC/DCコンバータ)が内蔵される。あるいは電子機器の外部の電源アダプタ(ACアダプタ)にAC/DCコンバータが内蔵される場合もある。
【0003】
図1は、本発明者が検討したAC/DCコンバータ100rの基本構成を示すブロック図である。AC/DCコンバータ100rは主としてフィルタ102、整流回路104、平滑キャパシタ106およびDC/DCコンバータ200rを備える。
【0004】
商用交流電圧V
ACは、ヒューズおよび入力キャパシタ(不図示)を介してフィルタ102に入力される。フィルタ102は、商用交流電圧V
ACのノイズを除去する。整流回路104は、商用交流電圧V
ACを全波整流するダイオードブリッジ回路である。整流回路104の出力電圧は、平滑キャパシタ106によって平滑化され、直流電圧V
INに変換される。
【0005】
絶縁型のDC/DCコンバータ200rは、入力端子P1に直流電圧V
INを受け、それを降圧して、目標値に安定化された出力電圧V
OUTを出力端子P2に接続される負荷(不図示)に供給する。
【0006】
DC/DCコンバータ200rは、1次側コントローラ202、フォトカプラ204、シャントレギュレータ206、出力回路210およびその他の回路部品を備える。出力回路210は、トランスT1、ダイオードD1、出力キャパシタC1、スイッチングトランジスタM1、を含む。出力回路210のトポロジーは、一般的なフライバックコンバータのそれであるため、説明を省略する。
【0007】
スイッチングトランジスタM1がスイッチングすることにより、入力電圧V
INが降圧され、出力電圧V
OUTが生成される。そしてコントローラ202は、スイッチングトランジスタM1のスイッチングのデューティ比を調節することにより、出力電圧V
OUTを目標値に安定化させる。
【0008】
DC/DCコンバータ200rの出力電圧V
OUTは、抵抗R1、R2により分圧される。シャントレギュレータ206は、分圧された電圧(電圧検出信号)V
Sと所定の基準電圧V
REF(不図示)の誤差を増幅し、誤差に応じた誤差電流I
ERRを、フォトカプラ204の入力側の発光素子(発光ダイオード)から引き込む(シンク)。
【0009】
フォトカプラ204の出力側の受光素子(フォトトランジスタ)には、2次側の誤差電流I
ERRに応じたフィードバック電流I
FBが流れる。このフィードバック電流I
FBが、抵抗およびキャパシタにより平滑化され、コントローラ202のフィードバック(FB)端子に入力される。コントローラ202は、FB端子の電圧(フィードバック電圧)V
FBにもとづいてスイッチングトランジスタM1のデューティ比を調節する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
絶縁型DC/DCコンバータでは、1次側のみでなく2次側においても、過電圧状態、温度異常、過電流状態などの異常が発生しうるところ、
図1の構成ではそれを検出することができず、2次側に関しては回路保護機能が存在しない。
【0012】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、2次側の異常を検出し、異常発生時には回路を保護可能なDC/DCコンバータの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のある態様は、絶縁同期整流型DC/DCコンバータの2次側に配置されるフィードバック回路に関する。絶縁同期整流型DC/DCコンバータは、1次巻線および2次巻線を有するトランスと、トランスの1次巻線と接続されるスイッチングトランジスタと、トランスの2次巻線と接続される同期整流トランジスタと、フィードバック用フォトカプラと、フィードバック用フォトカプラの出力側と接続され、フィードバック用フォトカプラからのフィードバック信号に応じてスイッチングトランジスタをスイッチングする1次側コントローラと、同期整流トランジスタを制御する同期整流コントローラと、フィードバック用フォトカプラの入力側と接続されるフィードバック回路と、を備える。フィードバック回路は、フォトカプラの入力側と接続されるフォトカプラ接続端子と、DC/DCコンバータの出力電圧に応じた電圧検出信号とその目標電圧の誤差を増幅し、誤差に応じた電流をフォトカプラ接続端子を介してフォトカプラの入力側から引き込むエラーアンプと、DC/DCコンバータの2次側の異常を検出すると、異常検出信号をアサートする異常検出回路と、フォトカプラ接続端子と接続され、異常検出信号がアサートされると、エラーアンプによるフィードバックが無効となり、スイッチングトランジスタのオン時間が減少するように、フォトカプラ接続端子を介してフィードバック用フォトカプラに作用する保護回路と、を備え、単一のモジュールにパッケージ化される。
【0014】
この態様によれば、エラーアンプを有するフィードバック回路に、異常検出回路をあわせて集積化したことにより、DC/DCコンバータの2次側における異常状態を検出することができる。そして異常が検出された場合には、保護回路により、エラーアンプによる電圧フィードバックを無効化して、スイッチングトランジスタのデューティ比を低下させることで、2次側に供給される電力を低下させ、回路を保護することができる。また、ディスクリート素子で構成されるシャントレギュレータに代えて、半導体基板に集積化されたエラーアンプを用いることで、消費電力を低減できる。
【0015】
エラーアンプは、電圧検出信号とその目標電圧の誤差を増幅する差動アンプと、そのベース/ゲートに差動アンプの出力信号が入力され、そのエミッタ/ソースが接地され、そのコレクタ/ドレインがフォトカプラ接続端子と接続される出力トランジスタと、を含んでもよい。保護回路は、そのベース/ゲートに異常検出信号が入力され、そのエミッタ/ソースが接地され、そのコレクタ/ドレインがフォトカプラ接続端子と接続される出力トランジスタを含んでもよい。
【0016】
ある態様のフィードバック回路は、DC/DCコンバータの2次側に流れる電流に応じた電流検出信号とその上限レベルの誤差を増幅し、誤差に応じた電流をフォトカプラ接続端子を介してフォトカプラの入力側から引き込む過電流保護回路をさらに備えてもよい。
これにより、電圧フィードバック経路を利用して過電流保護を実現できる。
【0017】
過電流保護回路は、エラーアンプと同様の構成を有してもよい。これにより垂下特性を実現できる。
【0018】
異常検出回路は、DC/DCコンバータの2次側の過電圧状態、過熱状態の少なくとも一方を検出可能に構成されてもよい。
【0019】
ある態様のフィードバック回路は、出力トランジスタのコレクタ/ドレインと、フォトカプラ接続端子の間に設けられたダイオードと、フォトカプラ接続端子の電圧を受け、それを安定化して内部電源電圧を生成する内部レギュレータと、をさらに備えてもよい。
これによれば、フィードバックの状態や異常検出の有無にかかわらず、フォトカプラ接続端子の電圧を、ダイオードのツェナー電圧より高くクランプできるため、内部電源電圧を安定化できる。
【0020】
本発明の別の態様は、絶縁同期整流DC/DCコンバータに関する。絶縁同期整流DC/DCコンバータは、1次巻線および2次巻線を有するトランスと、トランスの1次巻線と接続されるスイッチングトランジスタと、トランスの2次巻線と接続される同期整流トランジスタと、フィードバック用フォトカプラと、フィードバック用フォトカプラの出力側と接続され、フィードバック用フォトカプラからのフィードバック信号に応じてスイッチングトランジスタをスイッチングする1次側コントローラと、同期整流トランジスタを制御する同期整流コントローラと、フィードバック用フォトカプラの入力側と接続される上述のいずれかのフィードバック回路と、を備えてもよい。
【0021】
本発明の別の態様は、絶縁同期整流型DC/DCコンバータの2次側に配置され、DC/DCコンバータの2次側の同期整流トランジスタを制御する同期整流コントローラに関する。絶縁同期整流型DC/DCコンバータは、1次巻線および2次巻線を有するトランスと、トランスの1次巻線と接続されるスイッチングトランジスタと、トランスの2次巻線と接続される同期整流トランジスタと、フォトカプラと、フォトカプラの出力側と接続され、フォトカプラからのフィードバック信号に応じてスイッチングトランジスタをスイッチングする1次側コントローラと、を備える。同期整流コントローラは、同期整流トランジスタをスイッチングする駆動回路と、フォトカプラの入力側と接続されるフォトカプラ接続端子と、DC/DCコンバータの出力電圧に応じた電圧検出信号とその目標電圧の誤差を増幅し、誤差に応じた電流をフォトカプラ接続端子を介してフォトカプラの入力側から引き込むエラーアンプと、DC/DCコンバータの2次側の異常を検出すると、異常検出信号をアサートする異常検出回路と、フォトカプラ接続端子と接続され、異常検出信号がアサートされると、エラーアンプによるフィードバックが無効となり、スイッチングトランジスタのオン時間が減少するように、フォトカプラ接続端子を介してフィードバック用フォトカプラに作用する保護回路と、を備え、単一のモジュールにパッケージ化される。
【0022】
この態様によると、同期整流コントローラに、エラーアンプおよび異常検出回路をあわせて集積化したことにより、DC/DCコンバータの2次側における異常状態を検出することができる。そして異常が検出された場合には、保護回路により、エラーアンプによる電圧フィードバックを無効化して、スイッチングトランジスタのデューティ比を低下させることで、2次側に供給される電力を低下させ、回路を保護することができる。また、ディスクリート素子で構成されるシャントレギュレータに代えて、半導体基板に集積化されたエラーアンプを用いることで、消費電力を低減できる。
【0023】
異常検出回路およびエラーアンプのセットと駆動回路とは、電源プレーンが独立しており、またそれらのグランドプレーンが独立していてもよい。
これにより、同期整流トランジスタを、トランスの2次巻線の高電位側(出力端子側)に配置することができる。
【0024】
同期整流トランジスタは、2次巻線の高電位側に挿入されるものであり、トランスは、その2次側に設けられた補助巻線をさらに有してもよい。DC/DCコンバータは、補助巻線を利用して同期整流トランジスタと2次巻線の間のラインの電位を基準とした外部電源電圧を生成するよう構成され、駆動回路のグランドプレーンには、ラインの電位が供給され、駆動回路の電源プレーンには、外部電源電圧が供給されてもよい。
【0025】
エラーアンプおよび異常検出回路の共通の電源プレーンには、フォトカプラ接続端子の電圧から生成された内部電源電圧が供給され、エラーアンプおよび異常検出回路の共通のグランドプレーンにはDC/DCコンバータの2次側の接地電位が供給されてもよい。
【0026】
本発明の別の態様は、絶縁同期整流DC/DCコンバータに関する。絶縁同期整流DC/DCコンバータは、1次巻線および2次巻線を有するトランスと、トランスの1次巻線と接続されるスイッチングトランジスタと、トランスの2次巻線と接続される同期整流トランジスタと、出力キャパシタと、フォトカプラと、同期整流トランジスタをスイッチングするとともに、出力キャパシタの出力電圧とその目標レベルの誤差に応じた電流を、フォトカプラの入力側に供給する上述のいずれかの同期整流コントローラと、フォトカプラの出力側と接続され、同期整流コントローラが生成した電流に応じたフィードバック信号に応じて、スイッチングトランジスタを駆動する1次側コントローラと、を備えてもよい。
【0027】
本発明のさらに別の態様もまた、絶縁同期整流型DC/DCコンバータである。この絶縁同期整流型DC/DCコンバータは、1次巻線および2次巻線を有するトランスと、トランスの1次巻線と接続されるスイッチングトランジスタと、トランスの2次巻線と接続される同期整流トランジスタと、フォトカプラと、フォトカプラの出力側と接続され、フォトカプラからのフィードバック信号に応じてスイッチングトランジスタをスイッチングする1次側コントローラと、同期整流トランジスタをスイッチングする駆動回路と、DC/DCコンバータの出力電圧に応じた電圧検出信号とその目標電圧の誤差を増幅し、誤差に応じた電流をフォトカプラの入力側から引き込むエラーアンプと、DC/DCコンバータの2次側の異常を検出すると、異常検出信号をアサートする異常検出回路と、異常検出信号がアサートされると、エラーアンプによるフィードバックが無効となり、スイッチングトランジスタのオン時間が減少するように、フォトカプラ接続端子を介してフィードバック用フォトカプラに作用する保護回路と、を備える。
【0028】
DC/DCコンバータは、フライバック型であってもよいし、フォワード型であってもよい。
【0029】
本発明の別の態様は、電源装置(AC/DCコンバータ)に関する。電源装置は、商用交流電圧をフィルタリングするフィルタと、フィルタの出力電圧を全波整流するダイオード整流回路と、ダイオード整流回路の出力電圧を平滑化し、直流入力電圧を生成する平滑キャパシタと、直流入力電圧を降圧し、負荷に供給する上述のDC/DCコンバータと、を備える。
【0030】
本発明の別の態様は、電子機器に関する。電子機器は、負荷と、商用交流電圧をフィルタリングするフィルタと、フィルタの出力電圧を全波整流するダイオード整流回路と、ダイオード整流回路の出力電圧を平滑化し、直流入力電圧を生成する平滑キャパシタと、直流入力電圧を降圧し、負荷に供給する上述のDC/DCコンバータと、を備える。
【0031】
本発明の別の態様は、ACアダプタに関する。ACアダプタは、商用交流電圧をフィルタリングするフィルタと、フィルタの出力電圧を全波整流するダイオード整流回路と、ダイオード整流回路の出力電圧を平滑化し、直流入力電圧を生成する平滑キャパシタと、直流入力電圧を降圧し、直流出力電圧を生成する上述のDC/DCコンバータと、を備える。
【0032】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0033】
本発明のある態様によれば、絶縁同期整流型DC/DCコンバータにおいて2次側の異常を検出し、異常発生時には回路を保護できる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0036】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0037】
(第1の実施の形態)
図2は、第1の実施の形態に係るAC/DCコンバータ100の回路図である。AC/DCコンバータ100は、フィルタ102、整流回路104、絶縁型のDC/DCコンバータ200を備える。
【0038】
絶縁型のDC/DCコンバータ200は、1次側コントローラ202、フォトカプラ204、出力回路210、同期整流コントローラ300、フィードバックIC(集積回路)400を備える。出力回路210は、フライバック同期整流型のトポロジーを有し、トランスT1、スイッチングトランジスタM1、同期整流トランジスタM2、出力キャパシタC1を備える。本実施の形態において同期整流トランジスタM2は、トランスT1の2次巻線W2よりも高電位側(出力端子P2側)に挿入されている。
【0039】
トランスT1の補助巻線W4、ダイオードD4、キャパシタC4は、同期整流トランジスタM2のソースを基準として、外部電源電圧V
CC1を生成する。同期整流コントローラ300は、DC/DCコンバータ200の2次側に配置され、同期整流トランジスタM2をスイッチングする。外部電源電圧V
CC1は、同期整流コントローラ300の電源(VCC)端子に供給される。同期整流コントローラ300の接地(GND)端子は、同期整流トランジスタM2のソースと接続される。同期整流コントローラ300のVD端子には、同期整流トランジスタM2のドレイン電圧V
Dが入力される。OUT端子には同期整流トランジスタM2のゲートが接続される。なお同期整流トランジスタM2は、同期整流コントローラ300に内蔵されてもよい。
【0040】
同期整流コントローラ300による同期整流トランジスタM2の制御方式は特に限定されないが、たとえば同期整流コントローラ300は、少なくとも同期整流トランジスタM2の両端間電圧、つまりドレインソース間電圧V
DSにもとづいてパルス信号を生成し、パルス信号にもとづいて同期整流トランジスタM2をスイッチングしてもよい。
【0041】
具体的には同期整流コントローラ300は、駆動回路およびパルス発生器(
図2に不図示、
図5のパルス発生器304、ドライバ306)を含む。パルス発生器は、ドレインソース間電圧V
DSと、2つの負のしきい値電圧V
TH1、V
TH2にもとづいてパルス信号を生成することができる。2つのしきい値は、V
TH1<V
TH2<0となるよう定められる。たとえばV
TH1=−50mV、V
TH2=−10mVである。パルス発生器は、ドレインソース電圧V
DSが負の第1しきい値V
TH1より低くなると、パルス信号を、同期整流トランジスタM2のオンを指示するレベル(オンレベル、たとえばハイレベル)とし、その後、ドレインソース間電圧V
DSがV
TH2より高くなると、同期整流トランジスタM2のオフを指示するレベル(オフレベル、たとえばローレベル)とする。駆動回路は、パルス発生器が生成したパルス信号にもとづいて同期整流トランジスタM2を駆動する。
【0042】
フィードバックIC400は、DC/DCコンバータ200の2次側に配置され、出力電圧V
OUTに応じたフィードバック信号を生成し、フォトカプラ204を介してコントローラ202に供給する。フィードバックIC400は、エラーアンプ410、異常検出回路420を備え、ひとつのモジュールにパッケージ化される。
【0043】
フィードバックIC400のVO端子には、出力電圧V
OUTに応じた電圧検出信号V
Sが入力される。GND端子は、トランスT1の2次側の接地ラインと接続される。フォトカプラ接続端子(PC)端子には、フォトカプラ204の入力側の発光素子(発光ダイオード)のカソードが接続される。
【0044】
エラーアンプ410は、DC/DCコンバータ200の出力電圧V
OUTに応じた電圧検出信号V
Sとその目標電圧V
REFの誤差を増幅し、誤差に応じた電流I
ERRを、PC端子を介してフォトカプラ204から引き込む(シンク)。エラーアンプ410は、オープンコレクタあるいはオープンドレイン形式の出力段を有しており、出力段のトランジスタ412のコレクタ(あるいはドレイン)はPC端子と接続される。差動アンプ414は、電圧検出信号V
Sと基準電圧V
REFの誤差に応じて、トランジスタ412のベース電流あるいはゲート電圧を制御する。本実施の形態では、トランジスタ412のコレクタとPC端子の間のダイオードD2は、回路保護あるいは電圧のレベルシフトを目的として挿入されるが、別の実施の形態において省略してもよい。
【0045】
異常検出回路420は、DC/DCコンバータ200の2次側の異常を検出する。異常は、過電流状態、過電圧状態、温度異常状態などが例示されるが、特に限定されない。また各異常を検出する方法も限定されない。たとえば過電流異常は、同期整流トランジスタM2の両端間の電圧をしきい値電圧と比較することにより検出したり、あるいは、同期整流トランジスタM2と直列にセンス抵抗を挿入し、センス抵抗の電圧降下をしきい値電圧と比較することにより検出できる。過電圧状態は、DC/DCコンバータ200の出力ラインや任意のノードの電位を監視し、しきい値電圧と比較することにより検出できる。温度異常状態は、サーミスタなどを利用して検出することができる。異常検出回路420は、何らかの異常を検出すると、その出力(異常検出信号S4)をアサート(たとえばハイレベル)する。
【0046】
保護回路430は、異常検出回路420からの異常検出信号S4を受ける。保護回路430は、異常検出信号S4がアサートされると、つまり何らかの異常が検出されると、エラーアンプ410の出力を無効化する。
【0047】
たとえば保護回路430は、異常が検出されると、PC端子の電位を実際の出力電圧V
OUTとは無関係な電圧レベルにセットする。この電圧レベルは、コントローラ202が生成するスイッチングトランジスタM1を制御するためのスイッチングパルスのデューティ比がゼロあるいは非常に小さくなるように設定される。別の観点から言えば、保護回路430は、異常が検出されると、PC端子を介してフォトカプラ204の発光ダイオードから引き込む電流I
ERRを出力電圧V
OUTとは無関係な電流量まで増大させる。この電流量は、コントローラ202が生成するスイッチングトランジスタM1を制御するためのスイッチングパルスのデューティ比がゼロあるいは非常に小さくなるように設定される。
【0048】
保護回路430は、エラーアンプ410の出力トランジスタ412と並列に設けられた保護トランジスタ432を含む。異常検出信号S4がアサート(ハイレベル)されると、保護トランジスタ432がフルオンする。これにより、エラーアンプ410の出力が接地付近にクランプされ、エラーアンプ410を介したフィードバックが完全に無効化される。別の観点からいえば、トランジスタ432に流れる電流が出力トランジスタ412に流れる電流よりも支配的となって、エラーアンプ410を介したフィードバックが無効化される。何の異常も発生せずに異常検出信号S4がネゲート(ローレベル)される間、保護トランジスタ432はオフであり、フィードバックには影響を与えない。
【0049】
以上がDC/DCコンバータ200の基本構成である。続いてその動作を説明する。
【0050】
電圧検出信号V
Sが基準電圧V
REFより高くなると出力トランジスタ412が引き込む電流I
ERRは増大し、フォトカプラ204の出力側の受光素子(フォトトランジスタ)の電流I
FBも増大する。このときフィードバック電圧V
FBは低下し、したがってスイッチングトランジスタM1のデューティ比(オン時間)は低下し、電圧検出信号V
Sが基準電圧V
REFに近づく方向(低下)にフィードバックがかかる。反対に電圧検出信号V
Sが基準電圧V
REFより低くなると出力トランジスタ412が引き込む電流I
ERRは減少し、受光素子の電流I
FBも減少する。このときフィードバック電圧V
FBは増大し、したがってスイッチングトランジスタM1のデューティ比が増大し、電圧検出信号V
Sが基準電圧V
REFに近づく方向(上昇)にフィードバックがかかる。このようにしてDC/DCコンバータ200の出力電圧V
OUTはその目標レベルに安定化される。
【0051】
DC/DCコンバータ200によれば、以下の効果を得ることができる。
【0052】
このDC/DCコンバータ200によれば、エラーアンプ410を有するフィードバックIC400に、異常検出回路420をあわせて集積化したことにより、DC/DCコンバータ200の2次側における異常状態を検出することができる。
【0053】
ここで同期整流トランジスタM2は、そのバックゲートとドレイン間に寄生ダイオード(ボディダイオード)を有する。したがって、異常発生時に同期整流トランジスタM2をオフしただけでは、DC/DCコンバータ200はダイオード整流方式で動作し続けることとなり、回路保護にはならない。そこで異常が検出された場合には、保護回路430により、エラーアンプ410による電圧フィードバックを無効化して、スイッチングトランジスタM1のデューティ比を低下させることで、2次側に供給される電力を低下させ、回路を保護することができる。
【0054】
加えてDC/DCコンバータ200では、エラーアンプ410と異常検出回路420を同一のモジュールに集積化したことにより、
図1のディスクリート素子で構成されるシャントレギュレータ206に比べて、エラーアンプ410の消費電流を大幅に低減できる。
【0055】
具体的には、
図1のDC/DCコンバータ200rにおいて、市販されるシャントレギュレータ206を用いた場合、その消費電流は700μA程度であり、その内訳は、150μAがフォトカプラ204の入力側の発光素子に流れる電流であり、残りの550μAがシャントレギュレータ206の動作電流I
DDであるものとする。動作電流I
DDは発光素子およびそれと並列な抵抗を介して供給され、損失となっている。
【0056】
これに対して、
図2のエラーアンプ410は、その出力電流I
ERRが150μAとシャントレギュレータ206と同じであったとしても、そのときの動作電流I
DDを50μA程度まで低減することができ、DC/DCコンバータ200の、特に軽負荷状態における効率を改善できる。
【0057】
ここで同期整流コントローラ300の電源(VCC)端子は、たとえばDC/DCコンバータ200の出力ラインと接続され、同期整流コントローラ300は出力電圧V
OUTを電源電圧(たとえば24V)として動作する。そうすると、エラーアンプ410の消費電力は、24×200μA=4.8mWとなる。一方、同じ条件での
図1のシャントレギュレータ206の消費電力は、24V×700μA=16.8mWとなるため、
図2のDC/DCコンバータ200によれば、10mW以上も消費電力を低減できる。
【0058】
加えて同期整流コントローラ300によれば、以下の効果を得られる。
軽負荷時において、効率を高めるためにDC/DCコンバータ200を間欠動作(PFMモードとも称される)させる場合がある。
図3(a)は、PFMモードにおける
図2のDC/DCコンバータ200の動作波形図である。
図3(b)には、比較のために
図1のDC/DCコンバータ200rの動作波形図を示す。
【0059】
PFMモードでは1次側のスイッチングトランジスタM1をある時間T
ON、オンした後に、オフする。そして出力電圧V
OUTが基準レベル付近のしきい値に低下すると、スイッチングトランジスタM1を再度ターンオンする。
【0060】
スイッチングトランジスタM1のオフ時間T
OFFは、出力キャパシタC1の容量C、出力電圧V
OUTのリップルΔV、出力キャパシタC1からの放電電流Iを用いて以下の式で与えられる。
T
OFF=C・ΔV/I
またDC/DCコンバータのスイッチング周期tは、以下の式で与えられる。
t=(T
ON+T
OFF)=T
ON+C・ΔV/I
【0061】
ここでIは出力キャパシタC1からの放電電流であり、軽負荷時にはシャントレギュレータ206あるいはエラーアンプ410の消費電流と等しい。いま出力キャパシタC1の容量を100μF、リップルΔV=100mV、T
ON≒0とすれば、
図1のDC/DCコンバータ200rのスイッチング周期t
1、
図2のDC/DCコンバータ200のスイッチング周期t
2はそれぞれ以下で与えられる。
t
1≒100μA×100mV/700μA=14.28ms
t
2≒100μA×100mV/200μA=50ms
【0062】
つまり
図2のDC/DCコンバータ200によれば、
図1のDC/DCコンバータ200rに比べて軽負荷時における1次側のスイッチング周波数を1/3以下に減らすことができる。これによりコントローラ202がスイッチングトランジスタM1のゲートを充放電するのに使用されるスイッチング損失を1/3以下に減らすことができる。
【0063】
図4は、
図2のフィードバックIC400の具体的な回路図である。異常検出回路420は、OVP(Over Voltage Protection)コンパレータ422、温度保護コンパレータ424、ORゲート426、タイマ428、フリップフロップ429を含む。OVP端子には、出力電圧V
OUTに応じた電圧検出信号V
S’が入力される。V
S'は、抵抗ペアR3、R4により出力電圧V
OUTを分圧することにより生成される。OVPコンパレータ422は、OVP端子の電圧V
S'を、所定のしきい値と比較し、過電圧状態を検出するとその出力をアサートする。
【0064】
NTC端子には、負温度係数(Negative Temperature Coefficient)を有するサーミスタ220が接続される。サーミスタ220は、発熱素子たとえば同期整流トランジスタM2の近傍に配置される。温度保護コンパレータ424は、サーミスタ220に生ずる電圧を所定のしきい値と比較し、過電圧状態を検出するとその出力をアサートする。ORゲート426は、OVPコンパレータ422、温度保護コンパレータ424それぞれの出力の論理和を生成する。タイマ428は、ORゲート426の出力がアサートされた時間が、所定の判定時間以上持続すると、つまり何からの異常状態が判定時間以上持続すると、フリップフロップ429にトリガを与える。トリガが与えられたフリップフロップ429の出力はハイレベルに遷移し、トランジスタ432がオンとなる。
【0065】
なお異常検出回路420の構成は、
図4のそれには限定されない。異常検出回路420は、OVPコンパレータ422、温度保護コンパレータ424の一方のみを備えてもよいし、そのほかの異常検出手段を備えてもよい。また、保護の形式は、タイマーラッチ型に限られず、自動復帰方式などその他の方式であってもよい。
【0066】
図4のフィードバックIC400は、エラーアンプ410、異常検出回路420、保護回路430に加えて、過電流保護回路440および内部レギュレータ450を備える。内部レギュレータ450はPC端子の電圧V
PCを受け、それを安定化して得られる内部電源電圧V
CC2をフィードバックIC400内の各回路に供給する。本実施の形態において、ダイオードD2は、PC端子の電圧をトランジスタ432、412、442の状態にかかわらず、ツェナー電圧Vzを下限としてクランプする機能を果たし、これにより所定レベルの内部電源電圧V
CC2が確実に生成されて、フィードバックIC400の安定動作が保証される。
【0067】
過電流保護回路440は、エラーアンプ410と同様の構成を有し、具体的には差動アンプ444および出力トランジスタ442を含む。2次巻線W2および同期整流トランジスタM2を含む電流経路上には、センス抵抗Rs2が挿入される。センス抵抗Rs2の一端は接地され、その他端はフィードバックIC400の電流検出(IS)端子に入力される。センス抵抗Rs2には、同期整流トランジスタM2に流れる2次側電流に比例した電圧降下が生ずる。差動アンプ444は、センス抵抗Rs2の電圧降下(電流検出信号)V
ISと、所定の基準電圧V
OCP2の誤差を増幅し、トランジスタ442のベース電流あるいはゲート電圧を制御する。
【0068】
非過電流状態では、電流検出信号V
ISはしきい値V
OCPより低く、したがってトランジスタ442のベース電流は小さく、出力トランジスタ442のコレクタ電流も小さい。つまり過電流保護回路440が、エラーアンプ410によるフィードバックループに本質的な影響を及ぼさない。過電流状態において電流検出信号V
ISがしきい値V
OCPを超えて増大すると、トランジスタ442のベース電流が増大する。これによりコントローラ202に帰還されるフィードバック電圧V
FBが低下し、スイッチングトランジスタM1のスイッチングのデューティ比が低下し、負荷に供給される電力が低下し、過電流保護がかかる。過電流保護回路440により、DC/DCコンバータ200の出力電流対出力電圧特性(I−V特性)に、垂下特性を持たせることができる。
【0069】
(第1の実施の形態の変形例)
同期整流トランジスタM2は、2次巻線W2よりも接地側に設けられてもよい。この場合、同期整流コントローラ300の電源電圧は、出力電圧V
OUTからとればよく、その接地電圧は、DC/DCコンバータ200の接地電圧とすればよい。また同期整流トランジスタM2は同期整流コントローラ300に内蔵されてもよい。
【0070】
(第2の実施の形態)
図5は、第2の実施の形態に係るAC/DCコンバータ100aの回路図である。この実施の形態は、同期整流コントローラ300aに、
図4のフィードバックIC400が集積化される。
【0071】
同期整流コントローラ300aは、駆動回路302、エラーアンプ410、過電流保護回路440、異常検出回路420、保護回路430を備える。
【0072】
同期整流トランジスタM2は、2次巻線W2よりも低電位側(接地側)に挿入されており、同期整流コントローラ300aの電源端子には、DC/DCコンバータ200aの出力電圧V
OUTが供給される。同期整流コントローラ300aの接地端子は、DC/DCコンバータ200aの接地ラインと接続される。
【0073】
第2の実施の形態によれば、同期整流コントローラ300aに、エラーアンプ410および異常検出回路420をあわせて集積化したことにより、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0074】
(第2の実施の形態の変形例)
同期整流トランジスタM2は同期整流コントローラ300aに内蔵されてもよい。
【0075】
(第3の実施の形態)
図6は、第3の実施の形態に係るAC/DCコンバータ100bの回路図である。同期整流トランジスタM2は、トランスT1の2次巻線W2の高電位側に設けられる。
【0076】
同期整流コントローラ300bは、駆動回路302b、エラーアンプ410、異常検出回路420、保護回路430、内部レギュレータ450を備える。同期整流コントローラ300bは、過電流保護回路440をさらに備えてもよい。それぞれの基本構成および動作は上述した通りである。
【0077】
本実施の形態では、駆動回路302bと、その他の回路ブロックは、電源プレーンが独立であり、またグランドプレーンも独立に構成される。たとえば駆動回路302dは第1の半導体チップ(ダイ)に集積化され、ダイオードD2、エラーアンプ410、異常検出回路420、保護回路430、過電流保護回路440、内部レギュレータ450を、第2の半導体チップに集積化され、それらが単一のモジュールにパッケージ化されている。なおプロセスデザインルールが、同一ダイ内に、独立した(アイソレートされた)2個の電源プレーン、2個のグランドプレーンを許容する場合、すべてを単一のチップに集積化してもよい。
【0078】
駆動回路302bのグランドプレーンは、GND1端子を介して、同期整流トランジスタM2のソースと接続される。VD端子は、同期整流トランジスタM2のドレインと接続される。
【0079】
一方、エラーアンプ410や異常検出回路420、保護回路430等のグランドプレーンは、GND2端子を介して、2次側のグランドと接続される。またそれらの電源プレーンには、駆動回路302bとは別の内部電源電圧V
CC2が供給される。内部電源電圧V
CC2は、PC端子の電圧V
PCにもとづいて内部レギュレータ450が生成してもよい。
【0080】
この構成によれば、第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0081】
またこの実施の形態では、駆動回路302bと、その他の回路ブロックのグランドプレーン、電源プレーンそれぞれを独立させた。これにより、同期整流トランジスタM2をハイサイド側に挿入するアプリケーションにおいても、駆動回路302bにより、同期整流トランジスタM2をそのソース電圧をグランドプレーンとして駆動しつつ、フィードバック制御および異常保護、過電流保護が可能となる。
【0082】
図7は、
図6の同期整流コントローラ300bの具体的な構成例を示す回路図である。
トランスT1の1次側には、スイッチングトランジスタM1と直列にセンス抵抗Rs1が設けられる。コントローラ202は、センス抵抗Rs1の電圧降下にもとづいて1次側電流をモニタする。1次側電流は、電流モード制御に利用され、あるいは過電流保護に利用される。コントローラ202の構成は特に限定されず、ピーク電流モード、平均電流モード、オフ時間固定モードなどのパルス変調器を含んでもよい。
【0083】
同期整流コントローラ300bについて説明する。同期整流コントローラ300bは3つの半導体チップ(ダイ)SC3、SC4、SC5を含む。半導体チップSC3は、高耐圧プロセスで製造され、ゲートに所定のバイアス電圧V
Gが印加されたFETであるトランジスタM10を含み、同期整流トランジスタM2のドレイン電圧V
Dをクランプする。トランジスタM10によりクランプされたドレイン電圧V
D’は、セットコンパレータ332、リセットコンパレータ334に入力される。半導体チップSC4は
図6の駆動回路302bに対応し、パルス発生器304およびドライバ306を含む。
【0084】
駆動回路302は、パルス発生器304、ドライバ306に加えて、UVLO回路320、内部レギュレータ322、ドライバ用レギュレータ324を含む。UVLO(低電圧ロックアウト)回路320は、VCC端子の電圧がしきい値(3V)より低くなると、駆動回路302を停止する。内部レギュレータ322は、VCC端子の電圧をレギュレートし、その他の回路に供給する。ドライバ用レギュレータ324は、VCC端子の電圧をレギュレートし、ドライバ306の電源電圧を生成する。
【0085】
パルス発生器304は、ブランキング回路330、セットコンパレータ332、リセットコンパレータ334、ANDゲート336、ORゲート338、フリップフロップ340、ブランキング回路342を含む。
【0086】
同期整流トランジスタM2のドレイン端子と、セットコンパレータ332、リセットコンパレータ334の入力端子(−)の間には、図示しない高耐圧クランプ回路が挿入される。セットコンパレータ332は、同期整流トランジスタM2のドレインソース間電圧V
DSを第1しきい値電圧V
TH1(=−50mV)と比較する。V
DS<V
TH1となりセットコンパレータ332の出力(セットパルス)がアサート(ハイレベル)されると、フリップフロップ340の出力(パルス信号)S1がオンレベル(ハイレベル)に遷移する。
【0087】
リセットコンパレータ334は、同期整流トランジスタM2のドレインソース間電圧V
DSを第2しきい値電圧V
TH2(=−10mV)と比較する。V
DS>V
TH2となりリセットコンパレータ334の出力(リセットパルス)がネゲート(ローレベル)されると、フリップフロップ340がリセットされ、その出力S1がオフレベル(ローレベル)に遷移する。
【0088】
ブランキング回路330、ブランキング回路342はそれぞれ、同期整流トランジスタM2のドレイン電圧V
Dがノイズにより変動する期間、セットコンパレータ332からのセットパルス、リセットコンパレータ334からのリセットパルスをマスクするために利用される。それぞれのブランキング(マスク)時間は、T_BLANK1端子、T_BLANK2端子に外付けされる抵抗R11、R12により設定可能である。ANDゲート336は、セットパルスとブランキング回路330の出力の論理積をとることにより、セットパルスをマスクする。同様に、ORゲート338は、リセットパルスとブランキング回路342の出力の論理和をとることにより、リセットパルスをマスクする。
【0089】
半導体チップSC5には、エラーアンプ410、異常検出回路420、保護回路430、内部レギュレータ450、UVLO回路460を備える。UVLO回路460は、PC端子(SH_OUTピン)の電圧を所定のしきい値電圧(1.4V)と比較し、低電圧状態において半導体チップSC5上の回路を停止する。また内部レギュレータ450は、PC端子の電圧を受け、それを安定化して得られる内部電源電圧V
CC2をエラーアンプ410eおよび異常検出回路420に供給する。本実施の形態において、ダイオードD2は、PC端子の電圧をトランジスタ312の状態にかかわらず、ツェナー電圧Vzを下限としてクランプする機能を果たし、これにより所定レベルの内部電源電圧V
CC2が確実に生成されて半導体チップSC5内の安定動作が保証される。
【0090】
(第3の実施の形態)
図8は、第3の実施の形態に係る同期整流コントローラ300cを備えるDC/DCコンバータ200cのブロック図である。この実施の形態に係る同期整流コントローラ300cは、第2の実施の形態(
図5)のDC/DCコンバータ200aの同期整流トランジスタM2を、同期整流コントローラ300と同一のモジュールに内蔵した構成となっている。そのほかは
図5の同様である。
【0091】
異常検出回路420cは、同期整流トランジスタM2の温度を監視し、過熱状態を検出する機能を備える。
図4に示すように、同期整流トランジスタM2が外付けされる場合、同じく外付けされるサーミスタ220を用いて同期整流トランジスタM2の温度を監視し、過熱異常が検出される。一方、
図8のように同期整流トランジスタM2を同期整流コントローラ300cに内蔵する場合、外付けのサーミスタを用いる必要はなく、半導体基板上に温度検出回路を形成すればよい。
【0092】
図9(a)、(b)は、
図8の異常検出回路420cの構成例を示す回路図である。
図9(a)、(b)には、過熱異常を検出する部分のみが示される。異常検出回路420cは、温度検出回路423と、温度保護コンパレータ424を備える。温度検出回路423は、温度に依存する検出電圧S11を生成する。温度保護コンパレータ424は、検出電圧S1を所定のしきい値電圧V
TSDと比較し、温度が所定のしきい値を超えると、保護信号S12をアサートする。温度検出回路423は、温度検出素子であるダイオードの順方向電圧Vfの温度依存性を利用して温度を検出する。
【0093】
図9(a)の温度検出回路423aは、ダイオード12と、ダイオード12に定電流Icを供給する電流源14と、を備え、ダイオード12の順方向電圧(電圧降下)Vfを検出電圧S11として出力する。出力Vfは、以下の式(1)で与えられる。ダイオードは、バイポーラトランジスタのベースエミッタ接合を利用して構成してもよく、この場合VfはVbeと読み替えればよいが、それらは等価である。
Vf=V
T×ln(Ic/I
S) …(1)
V
T=kT/q
Tは温度、kはボルツマン定数、qは電子素量、I
Sは飽和電流である。I
Sもまた温度依存性を有することに留意されたい。
図9(a)の温度検出回路は、負の温度特性(CTAT:Complimentary To Absolute Temperature)を有する。
【0094】
図9(b)の温度検出回路423bは、ダイオード22、24と、ダイオード22、24に定電流Ic1、Ic2を供給する電流源26、28と、アンプ30とを備える。ダイオード24に流れる電流密度は、ダイオード22に流れる電流密度の1/n倍となっている。たとえばIc1=Ic2として、ダイオード24のサイズが、ダイオード22のサイズのn倍とされる。あるいは、ダイオード22と24のサイズを等しくし、Ic1=n×Ic2としてもよい。
【0095】
温度検出回路423bは、2つのダイオード22、24の順方向電圧Vf1、Vf2の差分ΔVf(=Vf1−Vf2)を出力する。差分Δfは、式(2)で与えられ、正の温度特性(PTAT:Proportional to Absolute Temperature)を有する。
ΔVf=Vf1−Vf2=V
T×ln(n) …(2)
【0096】
式(2)から分かるように、
図9(b)の温度検出回路423bは、
図9(a)の温度検出回路423aと比べて、IcやI
Sのばらつきの影響を受けにくい構成となっている。
【0097】
図10は、
図8の同期整流コントローラ300cの具体的な構成例を示す回路図である。同期整流コントローラ300cは2つの半導体チップ(ダイ)SC6、SC7を含む。半導体チップSC6には同期整流コントローラ300cの構成素子のうち、同期整流トランジスタM2および温度検出回路423a(423b)の一部あるいは全部が集積化される。具体的には温度検出回路423a(423b)は、
図9(a)もしくは
図9(b)のようにダイオード12,22,24を用いて構成される。半導体チップSC6には、少なくともダイオード12,22,24が集積化される。
【0098】
図9(a)の温度検出回路423aを採用する場合、電流源14は、好ましくは半導体チップSC6に集積化されるが、半導体チップSC7に集積化してもよい。
【0099】
図9(b)の温度検出回路423bを採用する場合、電流源26,28を半導体チップSC6に集積化し、アンプ30を半導体チップSC7に集積化してもよい。あるいは、電流源26,28、アンプ30を半導体チップSC6に集積化してもよい。反対に電流源26,28、アンプ30を半導体チップSC7に集積化してもよい。
【0100】
図10のレイアウトでは、
図9(a)の温度検出回路423が採用され、そのダイオード12が半導体チップSC6に集積化される。ボンディングワイヤW1、W2は、ダイオード12のアノード、カソードと接続される。ボンディングワイヤW3は、半導体チップSC7に集積化されるドライバ306の出力と、半導体チップSC6に集積化される同期整流トランジスタM2のゲートの間を結線する。
【0101】
TON_MAX端子には、スイッチングトランジスタM1の最大オン時間を設定するための外付けの回路素子(抵抗もしくはキャパシタ)が接続される。TON_MAX端子には、そのほかの機能を割り当ててもよい。
【0102】
同期整流コントローラ300cにおいて高温異常が検出されると、フォトカプラ204を介してコントローラ202に通知され、スイッチングトランジスタM1のスイッチングが停止する。
【0103】
第3の実施の形態の利点は、以下の比較技術との対比により明確となる。比較技術では、温度検出回路423のすべてが、同期整流コントローラの主たる半導体チップSC7に集積化される。主たる発熱体は同期整流トランジスタM2であるため、先に半導体チップSC7の温度が上昇し、その熱の一部がパッケージを経由して半導体チップSC6に伝搬する。したがって半導体チップSC6に温度検出回路423を集積化すると、同期整流トランジスタM2の温度を遅れて検出することとなり、またその温度を正確に検出できない。これに対して第3の実施の形態では、温度検出回路423の温度検出素子、すなわちダイオード12(22,24)を、同期整流トランジスタM2と同一の半導体チップSC7に集積化することにより、遅延無く正確なデバイス温度を検出することができる。
【0104】
続いて、DC/DCコンバータ200の用途を説明する。
図11は、AC/DCコンバータ100を備えるACアダプタ800を示す図である。ACアダプタ800は、プラグ802、筐体804、コネクタ806を備える。プラグ802は、図示しないコンセントから商用交流電圧V
ACを受ける。AC/DCコンバータ100は、筐体804内に実装される。AC/DCコンバータ100により生成された直流出力電圧V
OUTは、コネクタ806から電子機器810に供給される。電子機器810は、ノートPC、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話、携帯オーディオプレイヤなどが例示される。
【0105】
図12(a)、(b)は、AC/DCコンバータ100を備える電子機器900を示す図である。
図12(a)、(b)の電子機器900はディスプレイ装置であるが、電子機器900の種類は特に限定されず、オーディオ機器、冷蔵庫、洗濯機、掃除機など、電源装置を内蔵する機器であればよい。
プラグ902、図示しないコンセントから商用交流電圧V
ACを受ける。AC/DCコンバータ100は、筐体804内に実装される。AC/DCコンバータ100により生成された直流出力電圧V
OUTは、同じ筐体904内に搭載される、マイコン、DSP(Digital Signal Processor)、電源回路、照明機器、アナログ回路、デジタル回路などの負荷に供給される。
【0106】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0107】
(第1変形例)
実施の形態では、フライバックコンバータを説明したが、本発明はフォワードコンバータにも適用可能である。この場合にはトランスT1の2次側に、複数の同期整流用のトランジスタが配置されることとなる。同期整流コントローラは、複数の同期整流トランジスタをスイッチングするよう構成された駆動回路302と、エラーアンプ410が、単一のパッケージにモジュール化される。あるいは、
図2、
図4、
図5の同期整流コントローラを複数個、利用することで、フォワードコンバータに対応することもできる。またコンバータは疑似共振型であってもよい。
【0108】
(第2変形例)
スイッチングトランジスタや同期整流トランジスタの少なくとも一方は、バイポーラトランジスタやIGBTであってもよい。
【0109】
(第3変形例)
実施の形態では、保護回路430が保護トランジスタ432を含む場合を説明したが、保護回路430の構成はそれには限定されず、(1)エラーアンプ410の出力を無効化し、(2)スイッチングトランジスタM1のオン時間(デューティ比)が小さくなるように、コントローラ202へのフィードバック電圧V
FBを変化させることができる構成であればよい。たとえば
図2において、保護回路430は、電源電圧(ハイレベル電圧)と出力トランジスタ412の間に挿入されたスイッチ(トランジスタ)を含んでもよい。異常検出信号S4がアサートされたときに、このスイッチをオンすることでエラーアンプ410による電圧フィードバックは無効化され、またスイッチングトランジスタM1のオン時間を短くできる。
【0110】
(第4変形例)
第1の実施の形態(
図2、
図4)では異常検出回路420および保護回路430が、エラーアンプ410とともに集積化され、第2の実施の形態、第3の実施の形態(
図5〜
図7)では同期整流コントローラ300aに、異常検出回路420および保護回路430が集積化される場合を説明したが本発明はそれには限定されない。たとえば同期整流コントローラ300、エラーアンプ410、異常検出回路420、保護回路430は、別々のICに集積化されてもよい。またエラーアンプ410としてシャントレギュレータを利用してもよい。また保護回路430のトランジスタは、外付けのディスクリート素子を用いてもよい。
【0111】
(第5変形例)
第3の実施の形態において、エラーアンプ410が同期整流コントローラ300cに内蔵されることとしたが、この場合に、エラーアンプ410は、半導体チップSC6,7とは別の半導体チップに集積化されてもよい。あるいはエラーアンプ410は同期整流コントローラ300とは独立したパッケージに収容されたシャントレギュレータであってもよい。
【0112】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。