特許第6554345号(P6554345)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 古野電気株式会社の特許一覧

特許6554345魚群探知機、プログラムおよび魚群探知方法
<>
  • 特許6554345-魚群探知機、プログラムおよび魚群探知方法 図000002
  • 特許6554345-魚群探知機、プログラムおよび魚群探知方法 図000003
  • 特許6554345-魚群探知機、プログラムおよび魚群探知方法 図000004
  • 特許6554345-魚群探知機、プログラムおよび魚群探知方法 図000005
  • 特許6554345-魚群探知機、プログラムおよび魚群探知方法 図000006
  • 特許6554345-魚群探知機、プログラムおよび魚群探知方法 図000007
  • 特許6554345-魚群探知機、プログラムおよび魚群探知方法 図000008
  • 特許6554345-魚群探知機、プログラムおよび魚群探知方法 図000009
  • 特許6554345-魚群探知機、プログラムおよび魚群探知方法 図000010
  • 特許6554345-魚群探知機、プログラムおよび魚群探知方法 図000011
  • 特許6554345-魚群探知機、プログラムおよび魚群探知方法 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6554345
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】魚群探知機、プログラムおよび魚群探知方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 15/96 20060101AFI20190722BHJP
   G01S 7/62 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   G01S15/96
   G01S7/62 C
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-135118(P2015-135118)
(22)【出願日】2015年7月6日
(65)【公開番号】特開2017-15645(P2017-15645A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000166247
【氏名又は名称】古野電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 久満
(72)【発明者】
【氏名】御園生 哲史
(72)【発明者】
【氏名】李 明
(72)【発明者】
【氏名】付 剛
【審査官】 山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−224501(JP,A)
【文献】 特開昭57−001979(JP,A)
【文献】 特開2005−249398(JP,A)
【文献】 特開2001−159677(JP,A)
【文献】 特開平08−043531(JP,A)
【文献】 特開平01−152383(JP,A)
【文献】 特開2015−121447(JP,A)
【文献】 特開2014−002084(JP,A)
【文献】 特開2012−026855(JP,A)
【文献】 米国特許第05184330(US,A)
【文献】 米国特許第07663974(US,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0029824(US,A1)
【文献】 特許第2567641(JP,B2)
【文献】 特開昭58−174872(JP,A)
【文献】 特開2000−152168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/52− 7/64
G01S 15/00−15/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受波器が受信した受信信号に基づいてエコー画像を生成し、該エコー画像を表示部に表示させる処理を行う画像処理部と、
前記エコー画像を保持するエコー画像保持部と
前記受信信号に基づいて魚群に関する情報を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果を保持する検出結果保持部と、
前記表示部に過去のエコー画像を表示させる表示操作と、前記表示部に表示されている過去のエコー画像のうち所望の領域を指定する指定操作とを行う操作部と、
記表示操作に追従して、前記エコー画像保持部から過去のエコー画像を読み出し、かつ、前記検出結果保持部から前記指定操作で指定された前記領域に対応する過去の魚群に関する情報を読み出し、前記表示部において前記過去のエコー画像と前記過去の魚群に関する情報とを重表示させる制御を行う制御部と、
を備えたことを特徴とする魚群探知機。
【請求項2】
請求項1に記載の魚群探知機において、
前記検出部は、前記魚群の魚体長を含む情報を検出することを特徴とする魚群探知機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の魚群探知機において、
前記領域は、前記表示操作が連続的に変化した場合にも、前記表示部の表示画面内で指定された位置に配置されていることを特徴とする魚群探知機。
【請求項4】
請求項1乃至請求項のいずれかに記載の魚群探知機において、
位置情報を検出する位置情報検出部をさらに備え、
前記エコー画像は、前記位置情報と対応付けられて前記エコー画像保持部に保持されていることを特徴とする魚群探知機。
【請求項5】
請求項に記載の魚群探知機において、
前記操作部は、位置の指定を受け付け、
前記画像処理部は、指定された位置に対応するエコー画像を変化させることを特徴とする魚群探知機。
【請求項6】
受波器が受信した受信信号に基づいてエコー画像を生成し、該エコー画像を表示部に表示させる処理を行い、
前記エコー画像を保持し、
前記受信した受信信号に基づいて魚群に関する情報を検出し、
前記検出した検出結果を保持し、
前記表示部に過去のエコー画像を表示させる表示操作と、前記表示部に表示されている過去のエコー画像のうち所望の領域を指定する指定操作とを行い、
記表示操作に追従して、前記過去のエコー画像を読み出し、かつ、前記指定操作で指定された前記領域に対応する過去の魚群に関する情報を読み出し、前記表示部において前記過去のエコー画像と前記過去の魚群に関する情報とを重表示させる制御を行う処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
送受波器が受信した受信信号に基づいてエコー画像を生成該エコー画像を表示部に表示させる処理を行い、
前記エコー画像を保持し、
前記受信した受信信号に基づいて魚群に関する情報を検出し、
前記検出した検出結果を保持し、
前記表示部に過去のエコー画像を表示させる表示操作と、前記表示部に表示されている過去のエコー画像のうち所望の領域を指定する指定操作とを行い、
記表示操作に追従して、前過去のエコー画像を読み出し、かつ、前記指定操作で指定された前記領域に対応する過去の魚群に関する情報を読み出し、前記表示部において前記過去のエコー画像と前記過去の魚群に関する情報とを重表示させる制御を行うことを特徴とする魚群探知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水中に超音波を送信し、エコーを受信して魚群等を探知する魚群探知機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水中探知装置の一例として、特許文献1および特許文献2のような魚群探知機が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1の魚群探知機は、探知した魚の体長別ヒストグラムを表示する構成を備えている。また、特許文献2の魚群探知機は、複数画面分の過去のエコー画像をメモリに蓄積し、現在のエコー画像と、過去に表示されていた画面のエコー画像とを1つの画面内に表示する構成を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3027258号公報
【特許文献2】特許第2567641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献2の魚群探知機は、キー入力(数値入力)により任意に指定された過去の画面の表示を行うものに過ぎず、利用者が所望する魚群を画面内の好きな位置に表示させることが困難である。例えば、利用者が、現在の画面の左端に表示された魚群について、画面中央に表示されていたタイミングの画面を見ようとしても、どの様な数値を入力すればよいのかわからず、目的の魚群が画面から消えたり、中央以外の位置(例えば右端)に表示されたりする場合がある。
【0006】
そこで、この発明は、利用者が所望する魚群を画面内の好きな位置に表示させることができ、かつ、魚群の検出結果を当該画面内に重畳表示させることができる魚群探知機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の魚群探知機は、超音波を送受信する送受波器と、前記送受波器が受信した受信信号に基づいてエコー画像を生成する画像処理部と、前記エコー画像を保持するエコー画像保持部と、前記エコー画像保持部に保持されたエコー画像を変化させる表示操作を受け付ける受付部と、前記送受波器が受信した受信信号に基づいて魚群の検出を行う検出部と、前記検出部の検出結果を保持する検出結果保持部と、を備えている。そして、前記画像処理部は、前記表示操作に追従して、前記エコー画像保持部から過去のエコー画像を読み出し、出力するエコー画像を連続的に変化させ、かつ、前記検出結果を前記エコー画像に重畳することを特徴とする。
【0008】
このように、魚群探知機は、表示操作に追従して過去のエコー画像を連続的に変化させ、かつ、魚群の検出結果をエコー画像に重畳させて表示させる。例えば、利用者が、現在の画面の左端に表示された魚群を画面中央側に寄せるために、エコー画像を連続的に右側に移動させようとする操作(例えばロータリスイッチ等の回転摘まみを左回転させる操作)を行うと、左端の魚群が画面中央側に移動していく。また、この際、魚群の検出結果がエコー画像に重畳される。したがって、目的の魚群が画面から消えたり、中央以外の位置(例えば右端)に表示されたりすることがなく、利用者が目的の魚群の検出結果も同時に確認することが可能となる。
【0009】
なお、「エコー画像を連続的に変化させる」とは、最小単位として、表示部の表示画素のうち1画素ずつエコー画像を変化させることを意味する。無論、表示操作に追従して、複数画素(例えば2画素)ずつ変化させることも連続的に変化させることに相当する。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、利用者が所望する魚群を画面内の好きな位置に表示させることができ、かつ、魚群の検出結果を当該画面内に重畳表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】魚群探知機の構成を示すブロック図である。
図2】信号処理部17の構成を示すブロック図である。
図3】受信信号を示した図である。
図4】エコー画像の生成について説明する図である。
図5】画像メモリ181に保持されるエコー画像と、画像処理部18が読み出すエコー画像を示す図である。
図6】表示画面の一例を示す図である。
図7】画像メモリ181に保持されるエコー画像と、画像処理部18が読み出すエコー画像を示す図である。
図8】表示画面の一例を示す図である。
図9】魚群探知機1の動作を示すフローチャートである。
図10】応用例に係る魚群探知機1Aの構成を示すブロック図である。
図11】表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、魚群探知機1の構成を示すブロック図である。魚群探知機1は、操作部(本発明の受付部に相当する。)10、送受波器11、送受切替部12、送信回路13、制御部14、受信回路15、A/D変換器16、信号処理部17、画像処理部18、および表示部19を備えている。
【0013】
制御部14は、魚群探知機1を統括的に制御する。制御部14は、内蔵メモリ(不図示)からプログラムを読み出して、所定の処理を行う。例えば、制御部14は、操作部10からの各種操作(探知レンジの設定等の指示入力等)に応じて、送信回路13の送信周期、および探知レンジ等を設定する。また、制御部14は、A/D変換器16のサンプリング周期設定、信号処理部17への各種処理の実行指示、および画像処理部18への各種処理の実行指示等を行う。
【0014】
画像処理部18は、画面上の縦軸を深度方向とし、横軸を時間方向としたエコー画像を生成する。表示部19は、画像処理部18が生成したエコー画像の表示を行う。
【0015】
送信回路13は、トラップ回路を内蔵した送受切替部12を介して、送受信部である送受波器11にパルス状の信号を入力する。信号の入力タイミングやレベル、およびパルス幅等は、制御部14により制御される。送受波器11は、船底等に取り付けられる振動子であり、送信回路13から入力されるパルス状の信号に応じて水中に超音波を出力する。
【0016】
送受波器11が出力した超音波は、魚群または海底等の物標に反射し、エコーとして受信される。送受波器11は、受信したエコーの強度に応じた受信信号を、送受切替部12を介して受信回路15に出力する。
【0017】
受信回路15は、入力された受信信号を増幅してA/D変換器16に出力する。A/D変換器16は、受信信号を所定のサンプリング周期でデジタル信号に変換し、信号処理部17に出力する。
【0018】
図2は、信号処理部17の機能的構成を示すブロック図である。信号処理部17は、受信信号用メモリ170、検出部171、および検出結果保持用メモリ172を備えている。受信信号用メモリ170は、A/D変換器16から入力される受信信号を保持する。
【0019】
図3は、受信信号用メモリ170に保持される受信信号を示した図である。受信信号用メモリ170には、1回の測定(1ping)で得られる受信信号のデータが深度方向に所定分解能で(超音波の送信から所定時間経過毎に)順次保持されている。この例では、受信信号用メモリ170には、複数回の測定に対応するデータ列が保持されている。例えば最新の(今回の)測定においては、送信から受信までの時間差が最も小さい(最も深度の浅い)データがM(0,0)として保持され、深度方向の分解能に応じて、順にM(0,1)乃至M(0,n)として保持される。同様に、前回の測定については、最も深度の浅いデータがM(1,0)として保持され、深度方向の分解能に応じて、順にM(1,1)乃至M(1,n)として保持される。同様に、前々回の測定については、最も深度の浅いデータがM(2,0)として保持され、深度方向の分解能に応じて、順にM(2,1)乃至M(2,n)として保持される。
【0020】
なお、同図の例では、今回、前回、前々回の3回分の測定のデータ列を保持する例を示しているが、保持するデータ列の数は、受信信号用メモリ170の容量に応じて順次設定すればよい。保持するデータ列の数以上に測定を行う場合は、最も古いデータ列から順に捨てられ、最新のデータ列が順次更新される。
【0021】
次に、画像処理部18は、受信信号用メモリ170に保持された受信信号から表示部19に表示するためのエコー画像を生成する処理を行う。すなわち、画像処理部18は、受信信号用メモリ170に順次保持された各受信信号を、超音波を出力してからの経過時間に応じて、深度に対応したエコー画像に変換して画像処理部18に出力する処理を行う。
【0022】
図4(A)および図4(B)は、エコー画像の生成処理を示した図である。まず、画像処理部18は、受信信号用メモリ170から読み出した各受信信号を、表示部19の画素数(縦方向の画面解像度)に変換する処理を行う。この変換データが1回の測定(1ping)分のエコー画像となる。例えば、図4(A)に示すように、最新の測定に係る受信信号M(0,0)乃至M(0,n)のうち、M(0,0)およびM(0,1)を平均化し、最も深度の浅い位置に対応する画素のエコー画像f(0,0)とする。
【0023】
画像処理部18は、順に複数の受信信号を平均化して、各画素のエコー画像f(0,0)乃至f(0,m)を生成する。このようにして生成したエコー画像が最新の1ping分のエコー画像となる。なお、変換の態様は、図4(A)で示した例に限るものではない。例えば深度に応じて重み付け等を行ってもよいし、ピークホールド(最大値抽出)により変換を行ってもよい。
【0024】
画像処理部18は、上記のようにして変換したエコー画像を画像メモリ181に保持する。画像メモリ181は、本発明のエコー画像保持部に相当する。画像メモリ181の内容は、1回の測定毎に更新される。したがって、画像メモリ181には、図4(B)に示すように、複数回の測定分のエコー画像が保持される。この例では、最も過去の測定に係るエコー画像f(l,0)乃至f(l,m)であり、最新の測定に係るエコー画像f(0,0)乃至f(0,m)である。画像メモリ181は、最も過去の測定に係るエコー画像(エコー画像f(l,0)乃至f(l,m))から、最新の測定に係るエコー画像(エコー画像f(l,0)乃至f(l,m))までのエコー画像を保持する。
【0025】
そして、画像処理部18は、図5に示すように、画像メモリ181に保持されたエコー画像から、表示部19の1画面分(表示部19における縦方向および横方向の解像度分)のエコー画像を読み出し、表示部19に出力する。その結果、複数回分の測定のエコー画像が表示部19に表示される。
【0026】
図6に示すように、表示部19には、横軸にping、縦軸に深度を割り当てたエコー画像が表示される。図6の例では、画面左端に魚群の一部のエコー画像201が表示され、画面中央右側に魚群のエコー画像200が表示されている。また、画面下側には海底のエコー画像が表示されている。
【0027】
さらに、図6の例では、海底検出処理の結果として海底深度(図中302mと示されたもの)、および魚群情報(図中のヒストグラム203)が表示される。
【0028】
海底深度および魚群情報は、信号処理部17における検出部171が出力する情報である。図2に示したように、検出部171は、受信信号用メモリ170から受信信号を読み出して解析し、魚群の検出および海底検出等の処理を行う。
【0029】
魚群の検出処理には、少なくとも魚体長の検出処理が含まれている。魚体長は、例えば所定閾値以上の受信信号を魚群とみなし、当該魚群の大きさ(サンプル数)、平均強度、または深度方向の長さ(平均長さ)等によって検出される。また、検出部171は、魚種の検出を行ってもよい。魚種は、例えば基準となる魚群のエコーとのマッチング度(類似度)によって判別する。
【0030】
海底深度の検出は、例えば、ある閾値以上の受信信号を受信したタイミングを基準とする手法や、または微分値が最も高くなるタイミングを基準とする手法等を用いる。
【0031】
検出部171は、このようにして検出した各種情報(検出結果)を検出結果保持用メモリ(本発明の検出結果保持部に相当する。)172に保持する。このとき、検出結果は、解析した受信信号の測定タイミングの情報(例えば時刻)と対応付けて保持される。
【0032】
また、制御部14は、検出部171に対して、表示部19の表示画面内で指定された領域(例えば図6の領域202)に対応する検出結果を出力するよう指示する。領域202の位置と大きさは、利用者が操作部10を操作することにより指定される。制御部14は、指定された領域202のエコー画像を取得したタイミング(測定タイミング)を示す情報を検出部171に出力する。
【0033】
検出部171は、検出結果保持用メモリ172に保持されている検出結果から測定タイミングが一致する検出結果を読み出し、制御部14に出力する。制御部14は、検出部171から入力された検出結果を画像処理部18に出力する。画像処理部18は、制御部14から入力された検出結果をエコー画像に重畳して出力する。
【0034】
これにより、表示部19の表示画面内には、検出結果として、例えば図6に示すヒストグラム203が表示される。ただし、検出結果の表示態様は、ヒストグラム203に限らず、例えば単に魚体長の数字を示すだけでもよい。なお、利用者が操作部10を操作して、ヒストグラム203に表示される魚体長のレンジを変更する操作を行った場合、画像処理部18は、表示する魚体長のレンジを変更する。すなわち、検出部171は、実際にヒストグラム203に表示されるレンジよりも広いレンジ分の検出結果を検出結果保持用メモリ172に保持している。利用者が魚体長のレンジを変更する操作を行った場合、画像処理部18は、指定されたレンジの結果情報のみ抽出し、エコー画像に重畳して出力する。
【0035】
そして、利用者が、操作部10を操作して過去のエコー画像を表示させる操作を行ったとき、画像処理部18は、画像メモリ181から過去のエコー画像を読み出し、出力するエコー画像を連続的に変化させ、かつ、魚群の検出結果をエコー画像に重畳する。
【0036】
例えば、操作部10が回転摘まみを備えている場合、利用者が当該回転摘まみを回転させる操作を行うと、制御部14は、過去のエコー画像を表示させる操作として受け付ける。制御部14は、画像処理部18に対して、操作部10を介して受け付けた表示操作に追従して、表示されるエコー画像を連続的に変化させる。
【0037】
例えば、図6の様な表示画面において、利用者が、左端に表示された魚群のエコー画像201を画面中央側に寄せるために、エコー画像を連続的に右側に移動させようとする操作(例えば回転摘まみを左回転させる操作)を行った場合について説明する。
【0038】
制御部14は、操作部10が回転摘まみを左回転させる操作を受け付けると、回転量に応じた時間分だけ過去のエコー画像を読み出すように、画像処理部18に指示する。画像処理部18は、図7に示すように、画像メモリ181から指示された時間分だけ過去のエコー画像を読み出し、出力するエコー画像を変化させる。これにより、表示部19に表示されるエコー画像は、回転摘まみの回転に応じて連続的に変化する。すなわち、利用者が回転摘まみを左回転させると、図8(A)に示すように、左端の魚群のエコー画像201が画面中央側に移動していく。
【0039】
このように、魚群探知機1は、利用者の表示操作に追従して過去のエコー画像を連続的に変化させて表示させる。また、この際、魚群の検出結果がエコー画像に重畳される。したがって、利用者が見たい魚群のエコー画像が画面から消えたり、目的の位置(例えば中央)に表示されなかったりすることがなく、利用者が目的の魚群の検出結果も同時に確認することが可能となる。
【0040】
なお、上記「エコー画像を連続的に変化させる」とは、最小単位として、表示部19の表示画素のうち1画素ずつエコー画像を変化させることを意味する。無論、複数画素(例えば2画素)ずつ変化させることも連続的に変化させることに相当する。
【0041】
なお、図8(A)の例では、利用者が回転摘まみを回転させた場合でも、領域202は、表示画面内で指定された位置から変化しない。図8(A)の例では、領域202に魚群が検出されていないため、ヒストグラム203には何も表示されていない。しかし、例えば図8(B)に示すように、利用者がさらに回転摘まみを左回転させて、魚群のエコー画像201を領域202の内部まで移動させる操作を行った場合、当該魚群のエコー画像201の検出結果が検出結果保持用メモリ172から読み出される。したがって、ヒストグラム203には、魚群のエコー画像201の検出結果の情報が表示される。
【0042】
次に、図9のフローチャートを参照して、魚群探知機1の動作について説明する。まず、魚群探知機1は、超音波の送受信を行う(s11)。そして、魚群探知機1は、受信信号の処理を行う(s12)。
【0043】
画像処理部18は、超音波を出力してからの経過時間に応じて、深度に対応したエコー画像を生成する(s13)。また、信号処理部17は、魚体長の検出処理を含む魚群検出処理を行う。
【0044】
その後、画像処理部18は、生成したエコー画像を画像メモリ181に保持し(画像メモリ181の内容を更新する)、信号処理部17は、検出結果を検出結果保持用メモリ172に保持する(s14)。
【0045】
一方、魚群探知機1は、操作部10から利用者が、操作部10を操作して過去のエコー画像を表示させる操作を行ったか否かを判断する(s21)。例えば、操作部10が回転摘まみを備えている場合、利用者が当該回転摘まみを回転させる操作を行うと、制御部14は、過去のエコー画像を表示させる操作として受け付ける。また、操作部10がカーソルキーを備えている場合、左または右方向のカーソルキーが押された場合に、操作部10は、過去のエコー画像を表示させる操作として受け付ける態様であってもよい。
【0046】
画像処理部18は、過去のエコー画像を表示させる操作がない場合には、画像メモリ181に保持されたエコー画像から、表示部19の1画面分(表示部19における縦方向および横方向の解像度分)の最新のエコー画像を読み出す(s22)。
【0047】
一方で、画像処理部18は、利用者が操作部10を操作して過去のエコー画像を表示させる操作を行った場合、表示操作に対応するエコー画像を画像メモリ181から読み出す(s23)。このとき画像メモリ181は、操作部10で受け付けた表示操作(回転摘まみの回転)に追従して、画像メモリ181から読み出すエコー画像を変化させることで、表示されるエコー画像を連続的に変化させる。したがって、エコー画像は、回転摘まみの回転量に応じて連続的に変化する(s23)。例えば、図6の状態から、利用者が回転摘まみを左回転させると、左端の魚群のエコー画像201は、図8(A)に示す状態まで、連続的に画面中央側に移動していく。これにより、利用者は、見たい魚群のエコー画像を視認しながら、目的の位置(例えば中央)まで移動させて表示させることができる。さらに、図8(A)の状態から、利用者が回転摘まみを左回転させると、魚群のエコー画像は、図8(B)に示すように画面右側に移動していく。そして、魚群のエコー画像201が領域202の内部まで移動した場合、当該魚群のエコー画像201の検出結果が検出結果保持用メモリ172から読み出される。
【0048】
次に、図10は、応用例に係る魚群探知機1Aの構成を示すブロック図である。図1と共通する構成については同一の符号を付し、説明を省略する。魚群探知機1Aは、さらに位置情報検出部50を備えている。
【0049】
位置情報検出部50は、例えばGPSを備えている。制御部14は、超音波の送受信毎に位置情報検出部50から位置情報(緯度および経度情報)を受信し、測定タイミング毎に位置情報を位置情報メモリ(不図示)に保持する。位置情報は、測定タイミングを示す情報(例えば時刻)とともに保持される。
【0050】
画像処理部18は、制御部14から最新の位置情報を読み出し、例えば図11(A)に示すように、表示部19の画面内の所定の位置に表示させる。
【0051】
また、画像処理部18は、図11(B)に示すように、利用者が操作部10で指定された領域202のエコー画像を取得した測定タイミング(例えば領域202の右端の測定タイミング)に対応する位置情報を制御部14から取得し、検出結果(ヒストグラム203)とともに表示してもよい。無論、画像処理部18は、最新の測定タイミングにおける位置情報と、指定された領域202のエコー画像を取得した測定タイミングに対応する位置情報と、を両方表示してもよい。
【0052】
そして、利用者が操作部10を操作して、過去のエコー画像を表示させる操作を行ったとき、画像処理部18は、操作部10を介して受け付けた表示操作に追従して、制御部14から取得する位置情報を変化させる。画像処理部18は、例えば表示部19における現在の画面内の右端のエコー画像を取得した測定タイミングに対応する位置情報を取得し、表示させる。また、画像処理部18は、指定された領域202のエコー画像を取得した測定タイミングに対応する位置情報を表示する場合も、同様に、対応する位置情報を制御部14から取得し、表示させる。
【0053】
なお、画像処理部18は、利用者が操作部10を操作して位置情報を入力した場合に、当該入力された位置情報に対応するエコー画像を画像メモリ181から読み出して、表示部19に表示させるようにしてもよい。これにより、利用者は、例えば過去に通過した漁場の位置を知っている場合に、当該漁場を通過した時の水中の状況を見直すことができる。
【0054】
また、LAN等の通信機能を介して魚群探知機1がプロッタに接続されている場合、魚群探知機1は、利用者にプロッタ上で指定された位置のエコー画像を表示する態様としてもよい。この場合、位置情報検出部50は、別途プロッタに備えられていて、当該プロッタが位置情報を取得するようにしてもよいし、魚群探知機1Aとプロッタとで同じ位置情報検出部50を用いて、位置情報を共有するようにしてもよい。これにより、利用者は、過去に通過した漁場の位置をプロッタ上で指定するだけで、当該漁場を通過した時の水中の状況を見直すことができる。
【符号の説明】
【0055】
1,1A…魚群探知機
10…操作部
11…送受波器
12…送受切替部
13…送信回路
14…制御部
15…受信回路
16…A/D変換器
17…信号処理部
18…画像処理部
19…表示部
50…位置情報検出部
170…受信信号用メモリ
171…検出部
172…検出結果保持用メモリ
181…画像メモリ
200,201…エコー画像
202…領域
203…ヒストグラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11