(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電気信号の入力を受ける受信部及び当該電気信号に対応したストロークで開閉作動する弁体を備えた電子制御式バルブユニットについて与えられたストローク特性であって当該電気信号に対する当該ストロークの特性である特性を較正するための装置であって、
液体を吐出するポンプと、
このポンプの吐出口をタンクに接続する測定通路と、
前記測定通路の途中に設けられ、前記弁体と一体に連動してストロークするように当該弁体に連結される子弁体を有し、当該子弁体のストロークに応じて前記測定通路を開閉する連動開閉弁と、
前記連動開閉弁の下流側において前記測定通路を開閉するように設けられる下流開閉弁と、
前記連動開閉弁と前記下流開閉弁との間の領域における前記測定通路内の圧力を検出する圧力検出器と、
前記ポンプが前記液体を吐出しかつ前記連動開閉弁が閉じた状態で前記測定通路のうち当該連動開閉弁の上流側の部分の圧力を予め決められた検出用圧力に保持するリリーフ弁と、を備え、
前記子弁体のストローク領域は、少なくとも一つの閉弁領域と少なくとも一つの開弁領域と、を含み、前記連動開閉弁は、前記閉弁領域において前記測定通路を遮断し、前記開弁領域において前記測定通路を開通する、電子制御式バルブユニットの較正装置。
請求項1記載の電子制御式バルブユニットの較正装置であって、前記連動開閉弁の前記少なくとも一つの閉弁領域は複数の閉弁領域を含み、前記少なくとも一つの開弁領域は前記複数の閉弁領域にそれぞれ隣接する複数の開弁領域を含み、前記子弁体のストロークの増大に伴って前記閉弁領域と前記開弁領域とが交互に切換わる、電子制御式バルブユニットの較正装置。
請求項1記載の電子制御式バルブユニットの較正装置であって、前記バルブユニットに電気信号を入力して当該バルブユニットの弁体及び前記連動開閉弁の子弁体をストロークさせるストローク操作部と、前記下流開閉弁を開閉させる下流開閉弁操作部と、前記バルブユニットのストローク特性の較正のための較正動作を行うように前記ストローク操作部及び前記下流開閉弁操作部に指令を入力する較正動作制御部と、をさらに備え、前記較正動作は、前記子弁体のストローク領域を閉弁領域にして前記下流開閉弁を開く下流開弁動作と、当該下流開弁動作によって前記圧力検出器が検出する下流側部分の圧力が一定以下になった時点で前記下流開閉弁を閉じる下流閉弁動作と、前記バルブユニットに電気信号を入力して前記子弁体のストロークを前記閉弁領域から前記開弁領域に移行させるストローク動作と、を含む、電子制御式バルブユニットの較正装置。
請求項3記載の電子制御式バルブユニットの較正装置であって、前記較正動作制御部は、前記連動開閉弁及び前記下流開閉弁のいずれか一方を開弁させるときは必ず他方を閉弁させるように前記ストローク操作部及び前記下流開閉弁操作部に指令を入力する、電子制御式バルブユニットの較正装置。
請求項3または4記載の電子制御式バルブユニットの較正装置であって、前記連動開閉弁の前記少なくとも一つの閉弁領域は複数の閉弁領域を含み、前記少なくとも一つの開弁領域は前記複数の閉弁領域にそれぞれ隣接する複数の開弁領域を含み、前記子弁体のストロークの増大に伴って前記閉弁領域と前記開弁領域とが交互に切換わり、前記較正動作制御部は前記複数の閉弁領域のそれぞれについて前記較正動作を行うように前記ストローク操作部及び前記下流開閉弁操作部に指令を入力する、電子制御式バルブユニットの較正装置。
請求項1〜5のいずれかに記載の電子制御式バルブユニットの較正装置であって、当該較正装置は、複数の電子制御式バルブユニットであってそれぞれが電気信号の入力を受ける受信部及び当該電気信号に対応したストロークで開閉作動する弁体を備えたバルブユニットのそれぞれのストローク特性を較正するものであって、前記連動開閉弁として、前記複数の電子制御式バルブユニットのそれぞれについて設けられる複数の連動開閉弁を備え、前記測定通路は前記複数の連動開閉弁をそれぞれ通るように配設され、前記下流開閉弁は前記各連動開閉弁の下流側に位置するように設けられ、前記圧力検出器は前記各連動開閉弁と前記下流開閉弁との間の領域における前記測定通路内の圧力を検出するように設けられ、前記リリーフ弁は前記測定通路のうち前記各連動開閉弁の上流側の部分の圧力を前記検出用圧力に保持するように設けられる、電子制御式バルブユニットの較正装置。
電気信号の入力を受ける受信部及び当該電気信号に対応したストロークで開閉作動する弁体を備えた電子操作式バルブユニットについて与えられたストローク特性であって当該電気信号に対する当該ストロークの特性である特性を較正するための装置であって、
請求項3または4記載の較正装置と、
前記電子制御式バルブユニットに入力される電気信号に対する当該電子制御式バルブユニットの弁体のストロークの特性であるストローク特性について予め設定された基準特性を記憶するストローク特性記憶部と、
このストローク特性記憶部に記憶されるストローク特性に基いて前記ストローク操作部に指令を入力する通常動作制御部と、
前記ストローク動作中に前記圧力検出器が検出する圧力の変動に基いて前記連動開閉弁が開き始めるストロークである開弁開始ストロークを特定し、この開弁開始ストロークが得られたときに実際に前記バルブユニットに入力された電気信号と前記基準特性において前記開弁開始ストロークに対応する電気信号との比較に基いて当該基準特性を補正するための補正量を演算し、この補正量に基いて前記基準特性を補正することにより前記ストローク特性を較正するストローク特性較正部と、を備える、電子制御式バルブユニットの制御装置。
請求項7記載の電子制御式バルブユニットの制御装置であって、前記連動開閉弁の前記少なくとも一つの閉弁領域は複数の閉弁領域を含み、前記少なくとも一つの開弁領域は前記複数の閉弁領域にそれぞれ隣接する複数の開弁領域を含み、前記子弁体のストロークの増大に伴って前記閉弁領域と前記開弁領域とが交互に切換わり、前記較正動作制御部は前記複数の閉弁領域のそれぞれについて前記較正動作を行うように前記ストローク操作部及び前記下流開閉弁操作部に指令を入力し、前記ストローク特性較正部は、前記複数の開弁開始ストロークのそれぞれに対応する複数の補正量を演算し、当該複数の補正量に基いて前記ストローク特性を較正する、電子制御式バルブユニットの制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記装置は、下流側がタンクに連通されている前記開閉弁構造部の開閉動作に伴う当該開閉弁構造部の上流側の圧力の変動に基いて、当該開閉弁構造部が測定通路を開閉切換するストローク(以下「開閉ストローク」と称する。)を判定するものであるため、前記開閉動作に伴う実際の前記圧力の変動が緩慢であり、よって前記開閉ストロークの正確な特定が困難であるという課題がある。
【0008】
具体的に、前記開閉弁構造部の開口面積は、あるストロークにおいて急激に0(閉弁)から最大面積(全開)に切換わるのではなく、実際には当該ストロークの変化に伴って0から最大面積まで連続的(例えば線形的)に変化するものであるのに加え、このような連続的な開口面積の変化に伴うその上流側の圧力の変動はさらに緩慢であるため、前記ストロークの変化に伴って実際に検出される圧力の変動は緩やかである。従って、当該圧力の変動をみてもどのストロークをもって前記開閉弁構造部が開弁あるいは閉弁されたかを特定すること、換言すれば、実際に開閉弁構造部が開弁または閉弁するときのストロークである開閉ストロークを特定することは、難しい。このように開閉ストロークの正確な特定が困難であると、精度の高いストローク特性の較正は望めない。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑み、電子制御式バルブユニットのストローク特性を高い精度で較正することが可能な装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明が提供するのは、電気信号の入力を受ける受信部及び当該電気信号に対応したストロークで開閉作動する弁体を備えた電子制御式バルブユニットについて与えられたストローク特性であって当該電気信号に対する当該ストロークの特性である特性を較正するための装置であって、液体を吐出するポンプと、このポンプの吐出口をタンクに接続する測定通路と、前記測定通路の途中に設けられ、前記弁体と一体に連動してストロークするように当該弁体に連結される子弁体を有し、当該子弁体のストロークに応じて前記測定通路を開閉する連動開閉弁と、前記連動開閉弁の下流側において前記測定通路を開閉するように設けられる下流開閉弁と、前記連
動開閉弁と前記下流開閉弁との間の領域における前記測定通路内の圧力を検出する圧力検出器と、前記ポンプが前記液体を吐出しかつ前記連動開閉弁が閉じた状態で前記測定通路のうち当該連動開閉弁の上流側の部分の圧力を予め決められた検出用圧力に保持するリリーフ弁と、を備える。前記子弁体のストローク領域は、少なくとも一つの閉弁領域と少なくとも一つの開弁領域と、を含み、前記連動開閉弁は、前記
閉弁領域において前記測定通路を遮断し、前記開弁領域において前記測定通路を開通する。
【0011】
この装置によれば、例えば下記の動作を含む較正動作を行うことにより、従来装置に比べて高い精度で前記ストローク特性の較正を行うことが可能である。
【0012】
1)前記ポンプを駆動して測定通路内に液体を吐出させる。
【0013】
2)前記連動開閉弁を閉弁状態すなわちその子弁体のストロークが前記閉弁領域内にある状態にし、前記下流開閉弁を開くことにより、前記測定通路のうち前記連動開閉弁の下流側部分をタンクに連通する。このとき連動開閉弁の上流側は検出用圧力に保持される。
【0014】
3)前記圧力検出器が検出する下流側部分の圧力が前記2)の動作により一定以下になった時点で前記下流開閉弁を閉じ、これにより、当該下流側部分のうち前記圧力検出器により圧力が検出される部分を前記タンクから遮断する。
【0015】
4)前記バルブユニットに電気信号を入力することにより前記子弁体をストロークさせて前記閉弁領域から前記開弁領域に移行させる。この移行の時点、つまり前記連動開閉弁が開き始めた時点、から当該連動開閉弁の開口面積は一般に前記ストロークの増大とともに連続的に増大するが、従来装置と異なり、前記圧力検出器が検出する圧力は、前記連動開閉弁が僅かでも開き始めた時点でパスカルの原理によりそれまでの低圧から前記検出用圧力(連動開閉弁の上流側の圧力)まで瞬時に増大する。しかも、前記連動開閉弁が開く際に下流開閉弁が閉じているため、当該連動開閉弁における流量はほとんどなく、よってフローフォースの影響は実質上ない。従って、当該圧力検出器が検出する圧力の変動に基いて、前記連動開閉弁が開き始めるストローク(以下「開弁開始ストローク」と称する。)を高い精度で特定することができる。
【0016】
このようにして前記開弁開始ストロークが得られたときに前記バルブユニットに入力していた電気信号と、当該バルブユニットについて予め設定されていたストローク特性である基準特性において前記開弁開始ストロークに対応する電気信号と、を比較することにより、当該基準特性に施すべき補正量を演算することが可能であり、この補正量でもって、当該基準特性を実状に即した特性に補正すること、すなわち前記ストローク特性を較正すること、が可能である。
【0017】
前記較正装置は、前記バルブユニットに電気信号を入力して当該バルブユニットの弁体及び前記連動開閉弁の子弁体をストロークさせるストローク操作部と、前記下流開閉弁を開閉させる下流開閉弁操作部と、前記バルブユニットのストローク特性の較正のための較正動作を行うように前記ストローク操作部及び前記下流開閉弁操作部に指令を入力する較正動作制御部と、をさらに備えることにより、前記ストローク特性の較正を自動的に行うことが可能になる。具体的に、当該較正動作は、上述のように、前記子弁体のストローク領域を閉弁領域にして前記下流開閉弁を開く下流開弁動作と、当該下流開弁動作によって前記圧力検出器が検出する下流側部分の圧力が一定以下になった時点で前記下流開閉弁を閉じる下流閉弁動作と、前記バルブユニットに電気信号を入力して前記子弁体のストロークを前記閉弁領域から前記開弁領域に移行させるストローク動作と、を含むのがよい。
【0018】
前記較正動作制御部は、前記連動開閉弁及び前記下流開閉弁のいずれか一方を開弁させるときは必ず他方を閉弁させるように前記ストローク操作部及び前記下流開閉弁操作部に指令を入力することが、好ましい。この制御は、ポンプが吐出する液体がタンクに逃がされるのを抑制してエネルギーの無駄な消費を抑えることを可能にする。さらに、前記ポンプが他の油圧回路の油圧源として用いられる場合に、当該ポンプが吐出する液体が前記測定通路を通じてタンクに逃がされるのを防ぐことができる。
【0019】
また本発明は、前記電子制御式バルブユニットを制御するための装置を提供する。この装置は、前記較正装置と、前記電子制御式バルブユニットに入力される電気信号に対する当該電子制御式バルブユニットの弁体のストロークの特性であるストローク特性について予め設定された基準特性を記憶するストローク特性記憶部と、このストローク特性記憶部に記憶されるストローク特性に基いて前記ストローク操作部に指令を入力する通常動作制御部と、前記ストローク動作中に前記圧力検出器が検出する圧力の変動に基いて前記連動開閉弁が開き始めるストロークである開弁開始ストロークを特定し、この開弁開始ストロークが得られたときに実際に前記バルブユニットに入力された電気信号と前記基準特性において前記開弁開始ストロークに対応する電気信号との比較に基いて当該基準特性を補正するための補正量を演算し、この補正量に基いて前記基準特性を補正することにより前記ストローク特性を較正するストローク特性較正部と、を備える。
【0020】
この装置によれば、前記ストローク特性記憶部に記憶されるストローク特性が自動的に較正され、その較正されたストローク特性に基いてより精度の高い前記バルブユニットの制御が実現される。
【0021】
本発明に係る較正装置において、前記連動開閉弁の前記少なくとも一つの閉弁領域は複数の閉弁領域を含み、前記少なくとも一つの開弁領域は前記複数の閉弁領域にそれぞれ隣接する複数の開弁領域を含み、前記子弁体のストロークの増大に伴って前記閉弁領域と前記開弁領域とが交互に切換わることが、好ましい。
【0022】
この較正装置によれば、前記開弁開始ストローク(すなわち前記閉弁領域から前記開弁領域に切換わるストローク)が、複数存在するので、それぞれの開弁開始ストロークに基いてより精度の高いストローク特性の更新を行うことができる。具体的には、前記複数の閉弁領域のそれぞれについて前記較正動作が行われることにより、前記複数の開弁開始ストロークを特定することが可能である。さらに、前記ストローク特性較正部を備えた制御装置においては、当該ストローク特性較正部は、前記複数の開弁開始ストロークのそれぞれに対応する複数の補正量を演算することが可能であり、当該複数の補正量に基いて前記ストローク特性をより高精度で較正することが可能である。
【0023】
本発明に係る較正装置は、複数の電子制御式バルブユニットであってそれぞれが電気信号の入力を受ける受信部及び当該電気信号に対応したストロークで開閉作動する弁体を備えたバルブユニットのそれぞれのストローク特性を較正することも可能である。この場合、当該較正装置は、前記連動開閉弁として、前記複数の電子制御式バルブユニットのそれぞれについて設けられる複数の連動開閉弁を備え、前記測定通路は前記複数の連動開閉弁をそれぞれ通るように配設され、前記下流開閉弁は前記各連動開閉弁の下流側に位置するように設けられ、前記圧力検出器は前記各連
動開閉弁と前記下流開閉弁との間の領域における前記測定通路内の圧力を検出するように設けられ、前記リリーフ弁は前記測定通路のうち前記各連動開閉弁の上流側の部分の圧力を前記検出用圧力に保持するように設けられることにより、共通のポンプ、共通の下流開閉弁及び共通の圧力検出器を用いて前記複数の電子制御式バルブユニットのそれぞれのストローク特性を較正することが可能である。前記複数の連動開閉弁は、互いに直列に配置されてもよいし、互いに並列に配置されてもよい。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明によれば、電子制御式バルブユニットのストローク特性を高い精度で較正することが可能な装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0027】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電子制御式バルブユニットと、その較正装置を含む制御装置と、を示す。前記電子制御式バルブユニットは、油圧パイロット式のコントロールバルブ12と、これに付設される電磁比例減圧弁14と、を備える。前記較正装置は、エンジン20により駆動されて液体、例えば油、を吐出するポンプ22と、このポンプ22の吐出口とタンクTとを接続する測定通路24と、連動開閉弁26と、下流開閉弁28と、リリーフ弁29と、圧力検出器30と、を備える。さらに、前記制御装置はコントローラ40を備える。
【0028】
前記コントロールバルブ12は、図略の油圧回路の油路を開閉するようにストローク可能な弁体であるスプール13と、パイロットポート16と、を有する。前記スプール13は、前記パイロットポート16にパイロット圧が入力された時にそのパイロット圧の大きさに対応したストロークで開弁方向に作動する。
【0029】
前記電磁比例減圧弁14は、前記測定通路24から分岐して前記パイロットポート16に至るパイロットライン18の途中に設けられ、当該電磁比例減圧弁14の二次圧であって前記パイロットポート16に入力されるパイロット圧を変化させるように開閉作動する。具体的に、当該電磁比例減圧弁14は、受信部であるソレノイド15を有し、このソレノイド15に入力される電気信号に対応したパイロット圧が前記パイロットポート16に入力されるのを許容する。
【0030】
つまり、この第1の実施の形態では、前記較正装置を構成するポンプ22が前記コントロールバルブ12をパイロット操作するための油圧源として兼用され、このポンプ22が吐出する液体の圧力が電磁比例減圧弁14で減圧されてから前記パイロットポート16に入力される。従って、前記スプール13は、前記ソレノイド15に入力された電気信号に対応したストロークXで操作され、当該電気信号は当該ストロークを指令するストローク指令Ixとして機能する。ただし、本発明では、較正用のポンプと電子制御式バルブユニットのパイロット用のポンプとが異なっていてもよい。
【0031】
前記連動開閉弁26は、前記コントロールバルブ12に一体に組み付けられ、当該コントロールバルブ12の前記スプール13と連動して前記測定通路24を開閉するように前記測定通路24の途中に設けられる。具体的に、この連動開閉弁26は、
図2及び
図3に示すスリーブ31と、スプール32と、このスプール32につながるスプール軸34と、を有する。
【0032】
前記スリーブ31は、前記測定通路24を開通する油路であって上流側油路35及び下流側油圧36を画定し、前記上流側油路35が前記ポンプ22に接続され、前記下流側油路36が前記下流開閉弁28を介して前記タンクTに接続される。当該スリーブ31は、さらに、当該上流側油路35及び当該下流側油路36の間に前記スプール32が介在するように当該スプール32をその軸方向に摺動可能すなわちストローク可能となるように保持する。
【0033】
前記スプール32は、前記コントロールバルブ12の弁体であるスプール13と連結されて当該スプール13と一体に軸方向に摺動すなわちストロークする子弁体であり、そのストロークにより、
図2に示すように前記上流側及び下流側通路35,36を相互に遮断する状態と、
図3に示すように前記上流側及び下流側通路35,36を相互に連通する状態と、に切換えられる。すなわち、このスプール32のストローク領域は、閉弁領域とそれよりも大きなストロークの領域である開弁領域とを含んでおり、前記閉弁領域では前記測定通路24を遮断し、前記開弁領域では前記測定通路24を開通する。
【0034】
前記スプール軸34は、前記スプール32と一体につながり、前記パイロットポート16に供給されるパイロット圧を前記スプール32さらにはこれとつながる前記スプール13に伝えて両スプール13,26をストローク作動させる。
図2及び
図3に示されるスプール軸34は、前記スプール32の径Rsよりも小さい直径Rfを有していてその一部が前記下流側油路36内に収められている。
【0035】
前記下流開閉弁28は、前記連動開閉弁26の下流側において前記測定通路24を開閉するように設けられる。
図1に示される下流開閉弁28はソレノイドを有する電磁切換弁として示されているが、当該下流開閉弁28は油圧パイロット切換弁や手動切換弁であってもよい。
【0036】
前記圧力検出器30は、前記連
動開閉弁2
6と前記下流開閉弁28との間の領域における前記測定通路24内の圧力Pを検出する。具体的に、当該圧力検出器30は、当該圧力Pに対応した電気信号である圧力検出信号を生成して前記コントローラ40に入力する。
【0037】
前記リリーフ弁29は、前記測定通路24に接続され、前記ポンプ22が前記液体を吐出しかつ前記連動開閉弁26が閉じた状態で前記測定通路24のうち当該連動開閉弁の上流側の部分の圧力を予め決められた検出用圧力であるリリーフ圧Pfに保持する。具体的に、当該リリーフ弁29は、前記上流側の部分とタンクTとの間に介在し、当該上流側の部分の圧力が前記リリーフ圧Pf以上である場合に開弁して余剰の液体を前記タンクTに逃がすことにより、前記リリーフ圧Pfを保持する。
【0038】
前記コントローラ40は、前記較正装置の構成要素の一部を含むとともに、前記コントロールバルブ12の通常使用時の制御も行う。具体的に、このコントローラ40は、
図5に示すようなストローク特性記憶部42、通常動作制御部43、ストローク操作部44、下流開閉弁操作部46、較正動作制御部47及びストローク特性較正部48を備え、このうちストローク操作部44、下流開閉弁操作部46、較正動作制御部47及びストローク特性較正部48が前記較正装置の一部を構成する。
【0039】
前記ストローク特性記憶部42は、前記電子制御式バルブユニットのストローク特性、すなわち、前記電磁比例減圧弁14のソレノイド15に入力されるストローク指令Ix(電気信号)に対する前記スプール32及び前記スプール13のストロークXの特性を記憶する。当該ストローク特性記憶部42は、初期状態では、前記ストローク特性として、予め設定された基準特性を記憶するが、当該基準特性が後述のように補正されてストローク特性の較正が行われた後はその較正後の特性を更新記憶する機能を有する。
【0040】
前記通常動作制御部43は、例えば建設機械の運転室に設けられる操作レバー50の操作による速度の指令を受け、前記コントロールバルブ12に接続されたアクチュエータをその指令された速度で動かすためのストロークXを得るためのストローク指令Ixを前記ストローク特性記憶部42に記憶されたストローク特性に基いて演算する。
【0041】
前記ストローク操作部44は、前記通常動作制御部43及び後述の較正動作制御部47において演算されたストローク指令Ixに相当する電気信号を前記電磁比例減圧弁14のソレノイド15に入力することにより、当該ストローク指令Ixに対応したストロークXだけ前記スプール13,32を作動させる。一方、前記下流開閉弁操作部46は、前記較正動作制御部47から入力される指令に基いて前記下流開閉弁28(の例えばソレノイド)に駆動信号を入力することにより、当該下流開閉弁28の開閉切換を行う。
【0042】
前記較正動作制御部47は、後に詳述する較正動作を行うように、前記ストローク操作部44及び前記下流開閉弁操作部46に指令を入力する。前記ストローク特性較正部48は、当該較正動作によって得られる補正量に基いて前記ストローク特性記憶部42に記憶される基準特性を補正することにより、ストローク特性の較正を行う。
【0043】
次に、前記較正動作制御部47及び前記ストローク特性較正部48によってなされる前記ストローク特性の較正のための演算制御動作を、
図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0044】
まず、前記ストローク特性較正部48は、前記較正のための補正量であるΔIを0にリセットする(ステップS1)。
【0045】
次いで、較正動作制御部47は、前記ストローク操作部44から前記電磁比例減圧弁14に入力されるストローク指令Ixを最小値Iminにして連動開閉弁26のスプール13のストロークXを閉弁領域内に収める(つまり連動開閉弁26を閉弁状態にする)とともに、前記下流開閉弁操作部46が前記下流開閉弁28を開弁させる下流開弁動作を行うように当該下流開閉弁操作部46に指令を入力する(ステップS2)。従って、前記測定通路24のうち前記連動開閉弁26の上流側の部分の圧力はリリーフ弁29の作用によって所定の検出用圧力(リリーフ圧Pf)に保持される一方、当該連動開閉弁26の下流側の部分の圧力、つまり前記圧力検出器30により検出される圧力Pは、当該部分がタンクTに連通されることで次第に低下する。
【0046】
前記較正動作制御部47は、前記圧力検出器30により検出される圧力Pが予め設定された圧力Po(例えばタンク圧に近い圧力)まで低下した時点で(ステップS3でYES)、前記下流開閉弁操作部46が前記下流開閉弁28を閉弁させる下流閉弁動作を行うように当該下流開閉弁操作部46に指令を入力する(ステップS4)。これにより、前記測定通路24のうち両開閉弁26,28の間の部分、つまり前記圧力検出器30による圧力Pの検出が行われる部分は、前記ポンプ22及び前記タンクTから遮断された状態になる。
【0047】
この状態で、較正動作制御部47は、前記ストローク指令Ixを前記最小値Iminから所定の速度で増加させてスプール32,13のストロークXを当該速度で増加させるストローク動作を行わせるように、前記ストローク制御部44に指令を入力する。そして、当該ストローク指令Ixが最大値Imaxとなった時点で(ステップS6でYES)前記ストローク動作を停止させる。
【0048】
前記ストローク動作中、次第に増加される前記スプール32のストロークXは前記閉弁領域からこれに隣接する開弁領域に移行し、この移行の時に連動開閉弁26が
図2に示されるスプール32の径Rsとスプール軸34の径Rfとの差に起因して開き始める。この開口面積Asは、
図4に示されるように、当該連動開閉弁26が開き始めたときのストロークである開弁開始ストロークX1からの当該ストロークXの増大に伴ってほぼ線形的に増大し、前記ストロークXが全開ストロークX2に到達した時点で最大値Amaxに至る。しかし、従来技術と異なり、前記圧力検出器30により検出される圧力Pすなわち前記連動開閉弁26の下流側の圧力は、パスカルの原理により、前記連動開閉弁26が僅かでも開き始めた時点つまり前記ストロークXが前記開弁開始ストロークX1に到達した時点で瞬時に増大する。具体的には、
図7に示すように、前記開弁開始ストロークX1において前記圧力Pがそれまでの低い圧力(例えばタンク圧Pt)から検出用圧力(リリーフ圧Pf)まで瞬時に立ち上がる。
【0049】
前記ストローク特性較正部48は、前記ストローク動作中、前記ストロークXの増大に伴う前記検出圧力Pの変動を監視及び記憶し、当該ストローク動作後に前記検出圧力Pが上昇した時のストローク指令すなわち前記ストロークXが前記開弁開始ストロークX1に到達したときに実際に入力されていたストローク指令I
x1を特定する(ステップS7)。さらに、この実ストローク指令I
x1と、
図8に示されるように前記ストローク特性として初期状態で前記ストローク特性記憶部42に格納されている基準特性において前記開弁開始ストロークX1に対応する基準ストローク指令I
s1を特定し、両ストローク指令I
x1,I
s1の比較に基づき、前記基準特性を補正するための補正量ΔI=I
x1−I
s1を演算する(ステップS8)。そして、この演算された補正量ΔIに基いて前記基準特性を補正することにより、前記ストローク特性記憶部42に記憶されるストローク特性を前記基準特性から
図8に示される実特性に整合した新しいストローク特性に較正する。
【0050】
当該較正の完了後は、前記ストローク指令Ixが前記最小値I
minに戻され、これにより連動開閉弁26は閉弁状態に復帰する(ステップS10)。
【0051】
この較正装置によれば、
図7に示されるように、連動開閉弁26のスプール32のストロークXが前記開弁開始ストロークX1に到達した時点で圧力検出器30により検出される圧力Pが瞬時に増大するため、当該開弁開始ストロークX1を容易にかつ高精度で特定することが可能である。このことは、前記ストローク特性をより実特性に近い特性に較正することを可能にする。
【0052】
この効果は、前記特許文献1に記載される従来装置、すなわち、連動開閉弁の下流側をタンクに連通したまま当該連動開閉弁を閉弁したときの当該連動開閉弁の上流側の圧力の変動に基いて開弁開始ストロークを判定する装置、との対比によってさらに明らかになる。
【0053】
前記従来装置において、前記連動開閉弁のスプールのストロークXを増大させて開弁領域から閉弁領域に移行させる場合、当該連動開閉弁の開口面積Asは、
図9に示されるように、あるストロークXaからストロークXの増大に伴って最大値Amaxから次第に減少し、ストロークXb(>Xa)に達した時点で0となる。すなわち連動変換弁が全閉となる。このようにストロークXの変化に伴って連動開閉弁の開口面積Asが連続的に変化する点は、前記第1の実施の形態と同様である。
【0054】
しかし、前記従来装置では、前記ストロークXの増加に伴う検出圧力(連動開閉弁の上流側の圧力)の変化が
図10に示されるようにさらに緩慢となるため、当該圧力の変動を監視しても前記連動変化が閉弁し始める時のストロークを正確に特定することは困難である。これは、当該従来装置、つまり、連動開閉弁の下流側がタンクに連通されていて当該連動開閉弁を液体が流れる状態でその開口面積Asを次第に減少させる装置では、検出される圧力Pが次式に基いて緩慢に変動するためである。
【0055】
Q=C×As×(2×P/ρ)
この式において、Qは連動開閉弁を通る液体の流量、Cは流量係数、ρは前記液体の密度である。
【0056】
これに対して
図1に示される較正装置では、前記連動開閉弁26でのストロークXの増大に伴う前記開口面積Asの漸次的増大にかかわらず、当該連動開閉弁26の下流側において検出される液体の圧力Pは、パスカルの原理により、前記ストロークXが開弁開始ストロークX1に到達した時点で瞬時に増大する。しかも、前記連動開閉弁26が開く際に下流開閉弁28が閉じているため、当該連動開閉弁26における流量はほとんどなく、よってフローフォースの影響は実質上ない。従って、前記従来装置に比べて当該開弁開始ストロークX1の特定を飛躍的に容易にかつ高精度で行うことが可能である。
【0057】
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る電子制御式バルブユニットと、その較正装置を含む制御装置と、を示す。この第2の実施の形態に係る装置は、前記第1の実施の形態と同様の基本構成を有するが、当該第1の実施の形態に含まれる連動開閉弁26に代えて連動開閉弁27を備える。換言すれば、当該第2の実施の形態に係る装置は、前記連動開閉弁26から前記連動開閉弁27への置換と、これに伴うコントローラ40の演算制御動作の変更を除き、前記第1の実施の形態に係る装置と同等である。
【0058】
この第2の実施の形態に係る前記連動開閉弁27は、前記連動開閉弁26と同様にスプール32のストロークXについて最小ストロークから最大ストロークに至るまでのストローク領域を有する。しかし、この連動開閉弁27のストローク領域は、前記連動開閉弁26のそれと異なり、複数の閉弁領域(この実施の形態では第1の閉弁領域及び第2の閉弁領域)と、当該複数の閉弁領域のそれぞれに隣接する複数の開弁領域(この実施の形態では第1の開弁領域及び第2の開弁領域)と、を含む。そして、前記ストロークXの増大に伴って前記閉弁領域と前記開弁領域とが交互に切換わるように、連動開閉弁27が構成されている。
【0059】
図12は、前記連動開閉弁27のストロークXに対する開口面積Asの特性を示す。この連動開閉弁27の開口面積Asは、前記ストロークXが第1の開弁開始ストロークX11に達した時点から0より増大し始め、前記ストロークXが第1の全開ストロークX12(>X11)に達した時点で最大値に達し、前記ストロークXが第1の閉弁開始ストロークX13(>X12)に達した時点で前記最大値から減少し始め、前記ストロークXが第1の全閉ストロークX14(>X13)に達した時点で0に戻る。さらに、当該開口面積Asは、前記ストロークXが第2の開弁開始ストロークX21(>X14)に達した時点から0より増大し始め、前記ストロークXが第2の全開ストロークX22(>X21)に達した時点で最大値に達し、前記ストロークXが第2の閉弁開始ストロークX23(>X22)に達した時点で前記最大値から減少し始め、前記ストロークXが第2の全閉ストロークX24(>X23)に達した時点で0に戻る。
【0060】
従って、この開口面積Asの特性によれば、前記ストロークXの領域のうち、0≦X<X11の領域が第1の閉弁領域、X11≦X<X14の領域が第1の開弁領域、X14≦X≦X21の領域が第2の閉弁領域、X21≦X<Xmax(最大値)の領域が第2の開弁領域に相当する。
【0061】
この第2の実施の形態の装置においても、上述したパスカルの原理により、前記ストロークXの増大に伴う前記開口面積Asの連続的な増大にかかわらず、適当な較正動作によって、圧力検出器30により検出される圧力Pを前記第1及び第2開弁開始ストロークX11,X21において瞬時に増大させることが可能である。しかも、このように複数の開弁開始ストロークX11,X12を前記圧力Pの変動によって特定することにより、前記第1の実施の形態よりもさらに精度の高いストローク特性の較正を行うことが可能である。
【0062】
図14は、当該較正動作の具体例を示すフローチャートである。
【0063】
この実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、ΔIのリセットする(ステップS1)、ストローク操作部44から電磁比例減圧弁14に入力されるストローク指令Ixを最小値Iminにすることによる連動開閉弁26の閉弁及び下流開閉弁28の開弁(第1の下流開弁動作:ステップS2)、検出圧力Pが予め設定された圧力Poまで降下した時点(ステップS3でYES)での下流開閉弁28の閉弁(第1の下流閉弁動作:ステップS4)が行われる。
【0064】
この状態で、前記コントローラ40の較正動作制御部47は、前記第1の実施の形態と同様に、前記ストローク指令Ixを前記最小値Iminから次第に増加させるが(ステップS5)、当該ストローク指令Ixが予め設定された中断ストロークX20に対応するストローク指令I
x20に達した時点で(ステップS11でYES)前記ストローク動作を中断する。換言すれば、第1のストローク動作を終了する。前記中断ストロークX20は、前記第1の全閉ストロークX14よりも大きくて前記第2の開弁開始ストロークX21よりも小さいストロークであり(X14<X20<X21)、前記ストロークXが前記全閉ストロークX14を確実に通過したと判断し得るストロークであってかつ前記第2の開弁開始ストロークX21には確実に至っていないと判断し得るストロークに設定される。
【0065】
コントローラ40の較正動作制御部47は、この時点で、前記下流開閉弁28を開弁させ(第2の下流開弁動作:ステップS12)、これにより連動開閉弁26の下流側の圧力すなわち検出圧力Pが前記圧力Poまで降下した時点で(ステップS13でYES)下流開閉弁28を再び閉弁させる(第2の下流閉弁動作:ステップS14)。
【0066】
前記第1のストローク動作中、検出される圧力Pは、第1の実施の形態と同様、
図13に示されるように、開弁開始ストロークX11で瞬時に立ち上がり、その後、維持される。そして、前記中断ストロークX20で前記下流開閉弁28が開弁されることにより、元の低い圧力まで降下する。
【0067】
前記第1のストローク動作の終了後、前記コントローラ40の較正動作制御部47は、さらに前記ストローク指令Ixを増加させて第2のストローク動作を開始させる(ステップS15)。そして、当該ストローク指令Ixが最大値I
maxに達した時点で(ステップS16でYES)前記第2ストローク動作を停止させる。この第2ストローク動作中も、
図13に示すように、前記ストロークXが前記第2の開弁開始ストロークX21に到達した時点で前記圧力検出器30により検出される圧力Pが再びリリーフ圧Pfまで立ち上がる。
【0068】
この実施の形態に係るストローク特性較正部48も、前記ストローク動作中、前記ストロークXの増大に伴う前記検出圧力Pの変動を監視及び記憶し、当該ストローク動作後に前記検出圧力Pが上昇した時のストローク指令すなわち前記ストロークXが前記第1及び第2開弁開始ストロークX11,X21に到達したときに実際に入力されていた実ストローク指令I
x11,I
x21を特定する(ステップS17)。さらに、
図15に示されるように前記ストローク特性として初期状態で前記ストローク特性記憶部42に格納されている基準特性において前記開弁開始ストロークX11,X21に対応する基準ストローク指令I
S11,I
S21を特定し、前記実ストローク指令I
x11,I
x21と前記基準ストローク指令I
S11,I
S21の比較に基づき、前記基準特性を補正するための第1補正量ΔI
1=I
x11−I
s11及び第2補正量ΔI
2=I
x21−I
s21を演算する(ステップS18)。そして、当該第1及び第2補正量ΔI
1,ΔI
2に基いて前記基準特性を補正することにより、前記ストローク特性記憶部42に記憶されるストローク特性を前記基準特性から
図15に示される実特性に整合した新しいストローク特性に較正する。
【0069】
当該較正の完了後も、前記ストローク指令Ixが前記最小値I
minに戻され、これにより連動開閉弁26は閉弁状態に復帰する(ステップS20)。
【0070】
前記第1の実施の形態では、単一の補正量ΔIのみが算定されるため、
図8に示されるように、前記基準特性の補正はこれを全体的に増減させる補正に留まるが、前記第2の実施の形態では、前記第1及び第2補正量ΔI
1,ΔI
2に基いて例えば
図15に示すように基準特性の傾きも補正することが可能である。このことは、より精度の高いストローク特性の較正を可能にする。
【0071】
図16は、本発明の第3の実施の形態に係る電子制御式バルブユニットと、その較正装置を含む制御装置と、を示す。この第3の実施の形態に係る装置は、複数の電子制御式バルブユニットであってそれぞれがコントロールバルブ12A,12B及び電磁比例減圧弁14A,14Bを備えたバルブユニットのそれぞれのストローク特性を較正するものである。
【0072】
具体的に、この較正装置は、連動開閉弁として、前記コントロールバルブ12A,12Bのそれぞれに組み付けられる複数の連動開閉弁26A,26Bを備える。この較正装置の測定通路24は、前記複数の連動開閉弁26A,26Bが直列に並んだ状態でこれらを通るように配設される。この較正装置の下流開閉弁28は下流側の連動開閉弁26Bのさらに下流側に位置するように設けられる。この較正装置の圧力検出器30は前記下流側の連
動開閉弁26Bと前記下流開閉弁28との間の領域における前記測定通路内の圧力Pを検出するように設けられる。この較正装置のリリーフ弁29は前記測定通路24のうち上流側の連動開閉弁26Aの上流側の部分の圧力を前記検出用圧力(リリーフ圧Pf)に保
持するように設けられる。
【0073】
この較正装置によれば、共通のポンプ22、共通の下流開閉弁28及び共通の圧力検出器30を用いて、前記複数の電子制御式バルブユニットのそれぞれのストローク特性を較正することが可能である。具体的に、前記コントロールバルブ12Aを含む一方のバルブユニットの較正を行う場合には、他方のバルブユニットのコントロールバルブ12Aに組み付けられる連動開閉弁26Bを開弁しておけばよく、逆に、前記コントロールバルブ12Bを含むバルブユニットの較正を行う場合には、コントロールバルブ12Aに組み付けられる連動開閉弁26Aを開弁しておけばよい。
【0074】
図17は、本発明の第4の実施の形態に係る電子制御式バルブユニットと、その較正装置を含む制御装置と、を示す。この第4の実施の形態に係る装置も、第3の実施の形態に係る装置と同様、複数の電子制御式バルブユニットであってそれぞれがコントロールバルブ12C,12D及び電磁比例減圧弁14C,14Dを備えたバルブユニットのそれぞれのストローク特性を較正するものであり、連動開閉弁として、前記コントロールバルブ12C,12Dのそれぞれに組み付けられる複数の連動開閉弁26C,26Dを備えるが、これらの連動開閉弁26C,26Dは並列に配置されている。この第4の実施の形態に係る較正装置の測定通路24は、前記ポンプ22と前記圧力検出器30による圧力計測点との間の領域で分岐する分岐通路24c,24dを含み、これらの分岐通路24c,24dがそれぞれ前記連動開閉弁26C,26Dを通るように配設される。従って、この較正装置の下流開閉弁28は両連動開閉弁26C,26Dの下流側に位置するように設けられ、前記圧力検出器30は両連通切換弁26C,26Dと前記下流開閉弁28との間の領域における前記測定通路内の圧力Pを検出するように設けられ、リリーフ弁29は前記測定通路24のうち両連動開閉弁26C,26Dの上流側の部分の圧力を検出用圧力(リリーフ圧Pf)に保持するように設けられる。
【0075】
この較正装置においても、共通のポンプ22、共通の下流開閉弁28及び共通の圧力検出器30を用いて、前記複数の電子制御式バルブユニットのそれぞれのストローク特性を較正することが可能である。具体的に、前記コントロールバルブ12Cを含む一方のバルブユニットの較正を行う場合には、他方のバルブユニットのコントロールバルブ12Dに組み付けられる連動開閉弁26Bを閉弁しておけばよく、逆に、前記コントロールバルブ12Dを含むバルブユニットの較正を行う場合には、コントロールバルブ12Cに組み付けられる連動開閉弁26Cを開弁しておけばよい。
【0076】
前記各実施の形態において、コントローラ40の較正動作制御部47は、連動開閉弁及び下流開閉弁のいずれか一方を開弁させるときは必ず他方を閉弁させるように前記ストローク操作部44及び前記下流開閉弁操作部46に指令を入力することが、好ましい。この制御は、ポンプ22が吐出する液体がタンクTに逃がされるのを抑制してエネルギーの無駄な消費を抑えることを可能にする。さらに、前記ポンプ22が他の油圧回路の油圧源として用いられる場合に、当該ポンプ22が吐出する液体が前記測定通路24を通じてタンクTに逃がされるのを防ぐことができる。
【0077】
本発明に係る較正の対象となる電子制御式バルブユニットは、前記のように油圧パイロット切換弁からなるコントロールバルブと電磁比例減圧弁との組み合わせに係るもの、つまり、コントロールバルブに入力されるパイロット圧によって当該コントロールバルブの弁体がストロークし、かつ、電磁比例減圧弁によるパイロット圧の調整によって前記弁体のストロークが変更されるものに限定されない。本発明に係る電子制御式バルブユニットは、例えば、回転可能な出力軸を有して電気信号の入力により当該電気信号に対応した角度だけ当該出力軸を回転させるモータと、このモータの出力軸の回転をコントロールバルブの弁体のストロークすなわち直線運動に変換する変換機構と、を含むものであってもよい。