特許第6554409号(P6554409)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6554409
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】集合住宅用インターホンシステム
(51)【国際特許分類】
   H04M 9/00 20060101AFI20190722BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   H04M9/00 B
   H04M9/00 D
   H04N7/18 H
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-242214(P2015-242214)
(22)【出願日】2015年12月11日
(65)【公開番号】特開2017-108342(P2017-108342A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2018年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】盛岡 健一
(72)【発明者】
【氏名】北川 和美
【審査官】 白川 瑞樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−054784(JP,A)
【文献】 特開2010−118011(JP,A)
【文献】 特開2010−226541(JP,A)
【文献】 特開2003−101648(JP,A)
【文献】 特開2009−206784(JP,A)
【文献】 特開2009−232074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B13/00−15/02
19/00−31/00
H04M9/00−9/10
H04N7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合玄関機と、集合住宅の各部屋に設置される居室親機と、インターホン回線を介して前記各部屋の居室親機と前記集合玄関機とを通信可能に接続する制御装置と、を備える集合住宅用インターホンシステムであって、
前記集合玄関機は、
訪問先の居室親機を呼び出す呼出操作が可能な呼出部と、
訪問者を撮像可能なカメラと、
を有し、
前記居室親機は、
前記制御装置を介して受信した前記呼出部からの呼出信号に対して応答するための応答部と、
前記制御装置を介して受信した前記カメラからの映像信号に基づいて、訪問者を含む映像を表示するための親機表示部と、
前記親機表示部に表示されている前記映像から前記制御装置に登録するための登録画像を選択する操作が可能な登録操作部と、
を有し、
前記制御装置は、
前記登録画像が記録される記録部と、
前記集合玄関機から送信された映像信号と前記登録画像とを用いて、当該映像信号に含まれる訪問者と前記登録画像に含まれる訪問者とが一致しているか否かを照合する照合部と、
前記照合部が一致していると判断した場合、訪問先を呼び出す前記呼出操作に起因する呼出処理に対して制限を加える呼出制限部と、
を有し、
さらに、インターホン回線を介して通信可能に接続された管理室親機を備え、
前記制限は、前記呼出部からの呼出信号を前記管理室親機に転送する処理である、
集合住宅用インターホンシステム。
【請求項2】
前記制限は、前記呼出部からの呼出信号を、訪問先の前記居室親機に対して転送しない処理を含む、
請求項1に記載の集合住宅用インターホンシステム。
【請求項3】
前記呼出信号が前記管理室親機に転送される際に、前記制御装置は、前記集合玄関機から送信された映像信号を前記管理室親機に転送する、
請求項1に記載の集合住宅用インターホンシステム。
【請求項4】
前記登録操作が所定回数以上実行された場合、前記制限を行う、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の集合住宅用インターホンシステム。
【請求項5】
前記制御装置は、所定期間経過後に、前記記録部に記録された前記登録画像を削除する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の集合住宅用インターホンシステム。
【請求項6】
前記呼出制限部が前記呼出処理に前記制限を加える場合、前記集合玄関機は、前記制限を行っている旨を訪問者に対して報知する、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の集合住宅用インターホンシステム。
【請求項7】
前記呼出制限部が前記呼出処理に前記制限を加える場合、前記制御装置は、前記制限を行っている旨を居住者が認識することが可能な態様の呼出信号を前記居室親機に送信する、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の集合住宅用インターホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅に用いられるインターホンシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、集合住宅用インターホンシステムでは、例えば悪質な営業目的の訪問者や不審な訪問者(以下、悪意のある訪問者とも称する)が、集合玄関機を介して特定の住戸に対して繰り返し呼出操作を行ったり、各住戸について連続して呼出操作を行うことが可能であった。このような連続する呼出操作への対策としては、特許文献1に記載の技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−232074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、規則的な呼出操作に対しては防御策として機能するものの、予め想定されるパターン以外の操作(例えば不連続な呼出操作)に対しては、防御策として機能しないものであった。このため、従来の集合住宅用インターホンシステムでは、悪意のある訪問者からの呼出への防御策について改善の余地があった。
【0005】
そこで、本発明は、悪意のある訪問者による呼出を制限することが可能な集合住宅用インターホンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の集合住宅用インターホンシステムは、
集合玄関機と、集合住宅の各部屋に設置される居室親機と、インターホン回線を介して前記各部屋の居室親機と前記集合玄関機とを通信可能に接続する制御装置と、を備える集合住宅用インターホンシステムであって、
前記集合玄関機は、
訪問先の居室親機を呼び出す呼出操作が可能な呼出部と、
訪問者を撮像可能なカメラと、
を有し、
前記居室親機は、
前記制御装置を介して受信した前記呼出部からの呼出信号に対して応答するための応答部と、
前記制御装置を介して受信した前記カメラからの映像信号に基づいて、訪問者を含む映像を表示するための親機表示部と、
前記親機表示部に表示されている前記映像から前記制御装置に登録するための登録画像を選択する操作が可能な登録操作部と、
を有し、
前記制御装置は、
前記登録画像が記録される記録部と、
前記集合玄関機から送信された映像信号と前記登録画像とを用いて、当該映像信号に含まれる訪問者と前記登録画像に含まれる訪問者とが一致しているか否かを照合する照合部と、
前記照合部が一致していると判断した場合、訪問先を呼び出す前記呼出操作に起因する呼出処理に対して制限を加える呼出制限部と、
を有する。
【0007】
この構成によれば、居住者は、親機表示部に表示される訪問者を見て悪意のある訪問者であると判断した場合、登録操作部を操作することで、その悪意のある訪問者を制御装置の記録部に登録画像として記録することができる。そして、その悪意のある訪問者が、連続して例えば営業目的で他の住戸を呼び出そうとして集合玄関機に対して呼出操作を行った場合は、制御装置による照合が行われて、登録画像に含まれる訪問者と一致していると判断されることとなる。一致していると判断されると、その悪意のある訪問者の呼出操作に起因する他の住戸への呼出処理に対しては制限が加えられ、その悪意のある訪問者は他の住戸を通常通りには呼びだすことはできなくなる。また、登録操作を行った居室親機がある住戸に対しても同様に、通常通りには呼び出すことはできなくなる。
このように、上記構成によれば、悪意のある訪問者による呼出を制限することが可能な集合住宅用インターホンシステムを提供することができる。
【0008】
また、本発明の集合住宅用インターホンシステムにおいて、
前記制限は、前記呼出部からの呼出信号を、訪問先の前記居室親機に対して転送しない処理であっても良い。
【0009】
この構成によれば、呼出信号が訪問先の居室親機に転送されないため、悪意のある訪問者の呼出を防ぐことができる。
【0010】
また、本発明の集合住宅用インターホンシステムは、
インターホン回線を介して通信可能に接続された管理室親機を備え、
前記制限は、前記呼出部からの呼出信号を前記管理室親機に転送する処理であっても良い。
【0011】
この構成によれば、呼出信号が管理室親機に転送されるため、管理室にいる管理人による対応が可能となる。
【0012】
また、本発明の集合住宅用インターホンシステムにおいて、
前記呼出信号が前記管理室親機に転送される際に、前記制御装置は、前記集合玄関機から送信された映像信号を前記管理室親機に転送しても良い。
【0013】
この構成によれば、悪意のある訪問者を管理人が映像で確認できることができる。
【0014】
また、本発明の集合住宅用インターホンシステムにおいて、
前記登録操作が所定回数以上実行された場合、前記制限を行うようにしても良い。
【0015】
この構成によれば、悪意のある訪問者であるか否かの判断の客観性が高まる。
【0016】
また、本発明の集合住宅用インターホンシステムにおいて、
前記制御装置は、所定期間経過後に、前記記録部に記録された前記登録画像を削除しても良い。
【0017】
この構成によれば、前記記録部を有効に活用することができ、継続的に新たな登録画像を記録することができる。
【0018】
また、本発明の集合住宅用インターホンシステムにおいて、
前記呼出制限部が前記呼出処理に前記制限を加える場合、前記集合玄関機は、前記制限を行っている旨を訪問者に対して報知しても良い。
【0019】
この構成によれば、悪意のある訪問者に対して、訪問先の居室親機を呼び出すことができていない状況を知らせることができる。
【0020】
また、本発明の集合住宅用インターホンシステムにおいて、
前記呼出制限部が前記呼出処理に前記制限を加える場合、前記制御装置は、前記制限を行っている旨を居住者が認識することが可能な態様の呼出信号を前記居室親機に送信しても良い。
【0021】
この構成によれば、居住者は、自分または他の居住者が登録の操作を行った訪問者が、自分の居室を訪問してきたことを、呼出信号の態様によって把握することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の集合住宅用インターホンシステムによれば、悪意のある訪問者による呼出を制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る集合住宅インターホンシステムの構成図である。
図2】集合玄関機の機能ブロック図である。
図3】居室親機の機能ブロック図である。
図4】制御装置の機能ブロック図である。
図5】居室親機に表示される画像の一例を示す図である。
図6】集合玄関機に表示されるメッセージの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本実施形態の一例について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、集合住宅用インターホンシステム1は、集合玄関機10と、居室親機20と、制御装置30と、集合玄関ドア40と、管理室親機50とを備えている。集合住宅用インターホンシステム1は、訪問者が集合玄関で所定の操作を行うことにより任意の部屋(住戸)を呼び出すことができるように構成されたマンション等の集合住宅に用いられるシステムである。
【0025】
集合玄関機10は、集合住宅の共用スペースである集合玄関に設置されている。集合玄関機10は、例えば訪問者が各住戸の居住者や管理室の管理人を呼び出すために用いられる。また、集合玄関機10は、例えば訪問者を撮像するために用いられる。集合玄関機10は、信号ラインL1を介して制御装置30と通信可能に接続されている。
【0026】
居室親機20は、集合住宅の各住戸内に設置されている。居室親機20は、例えば集合玄関機10における訪問者からの呼び出しに応答するために用いられる。また、居室親機20は、集合玄関機10で撮像された映像を表示するために用いられる。また、居室親機20は、撮像された訪問者の映像から特定の訪問者(例えば不審と思われる訪問者)の画像を選択するために用いられる。居室親機20は、信号ラインL2を介して制御装置30と通信可能に接続されている。
【0027】
制御装置30は、インターホン回線を介して、集合玄関機10、居室親機20、集合玄関ドア40、および管理室親機50間の通信や通話などを制御する。
【0028】
集合玄関ドア40は、集合住宅の集合玄関に設けられており、居住エリアへの立ち入りを制限する機能を有したオートドアで形成されている。集合玄関ドア40は、信号ラインL3を介して制御装置30と通信可能に接続されている。
【0029】
管理室親機50は、集合住宅の管理室に設置されている。管理室親機50は、表示部、操作部、および通話部などを備え、集合玄関機10の訪問者や居室親機20の居住者などと通話可能に構成されている。管理室親機50は、信号ラインL4を介して制御装置30と通信可能に接続されている。
【0030】
図2に示すように、集合玄関機10は、呼出部101と、玄関カメラ102と、玄関表示部103と、通話部104と、玄関機CPU105と、玄関機インターフェース(以下、玄関機I/Fと称する)106とを備えている。
【0031】
呼出部101は、訪問者等が訪問先の居室親機20を呼び出す際に操作される。呼出部101は、部屋番号を入力するための入力ボタン111や、部屋番号を入力した後に操作される呼出ボタン112等を有する。これらのボタンは、集合玄関機10の筐体上に配置される押下式のボタン、あるいは玄関表示部103のタッチパネル上に表示されるボタンとして設けられている。玄関カメラ102は、呼出部101から訪問先を呼び出す訪問者等を撮像する。
【0032】
玄関表示部103は、呼出部101から入力される部屋番号や、訪問者に対するメッセージや、玄関カメラ102が撮像している訪問者の映像等が表示される。玄関表示部103は、例えば液晶、有機EL(エレクトロルミネッセンス)等で構成されている。通話部104は、居住者や管理人と通話するためのマイク及びスピーカで構成されている。玄関機CPU105は、集合玄関機10を構成する各部の動作を制御する。玄関機I/F106は、玄関機CPU105と信号ラインL1間における双方向の信号伝送路を形成する。
【0033】
図3に示すように、居室親機20は、応答部201と、親機表示部202と、登録操作部203と、通話部204と、親機CPU205と、親機インターフェース(以下、親機I/Fと称する)206とを備えている。
【0034】
応答部201は、集合玄関機10からの呼び出しに対して応答するために操作される。応答部201は、例えば訪問者等と通話するための通話ボタン211や、集合玄関ドア40を解錠するための解錠ボタン212や、通話を終了するための終了ボタン213等を有する。これらのボタンは、例えば居室親機20の筐体上に配置される押下式のボタン、あるいは親機表示部202のタッチパネル上に表示されるボタンとして設けられている。
【0035】
親機表示部202は、集合玄関機10の玄関カメラ102で撮像された訪問者の映像や、居住者に対するメッセージ等が表示される。親機表示部202は、例えば液晶、有機EL等で構成されている。
【0036】
登録操作部203は、親機表示部202に表示されている映像から、居住者が任意の画像を選択し、選択した画像を登録画像として登録することが可能な登録ボタンとして形成されている。居住者が任意に選択する画像とは、居住者が訪問者の呼び出しに応答して、その訪問者を例えば悪質な営業目的の訪問者や不審な訪問者であると判断した場合に選択する訪問者の画像を意味する。登録ボタンは、例えば居室親機20の筐体上に配置される押下式のボタン、あるいは親機表示部202のタッチパネル上に表示されるボタンとして設けられている。
【0037】
通話部204は、訪問者や管理人と通話するためのマイク及びスピーカで構成されている。例えば、スピーカは集合玄関機10からの呼び出しを複数種類の呼出音として出力することが可能である。親機CPU205は、居室親機20を構成する各部の動作を制御する。親機I/F206は、親機CPU205と信号ラインL2間における双方向の信号伝送路を形成する。
【0038】
図4に示すように、制御装置30は、記録部301と、照合部302と、呼出制限部303と、制御装置CPU304と、制御装置インターフェース(以下、制御装置I/Fと称する)305とを備えている。
【0039】
記録部301には、居室親機20の登録操作部203で選択された画像が登録画像として記録されている。照合部302は、集合玄関機10の玄関カメラ102で撮像された映像と記録部301に記録されている登録画像とを比較して、映像に含まれる(映っている)訪問者と登録画像に含まれる(映っている)訪問者とが一致する人物か否かを照合する。
【0040】
呼出制限部303は、照合部302による照合の結果に基づいて、人物が一致していると判断された場合、集合玄関機10からの訪問先を呼び出す呼出操作に起因する呼出処理に対して所定の制限を加える。制御装置CPU304は、制御装置30を構成する各部の動作を制御する。制御装置I/F305は、制御装置CPU304と信号ラインL1〜L4間における双方向の信号伝送路を形成する。
【0041】
次に、集合住宅用インターホンシステム1の動作について図5図6を参照して説明する。
訪問者(本例では訪問者Aと称する)が集合住宅の集合玄関機10から呼出部101を操作して、例えば101号室を呼び出す。呼出部101が操作されると、玄関カメラ102が訪問者Aの撮像を開始する。訪問者Aが撮像された映像信号が101号室を呼び出す呼出信号とともに、集合玄関機10から信号ラインL1を介して制御装置30へ送信される。
【0042】
制御装置30の照合部302は、送信された映像信号の中から訪問者Aが撮像されている画像(送信画像と称する)を取り出す。照合部302は、取り出した送信画像と記録部301に記録されている登録画像とを比較して、送信画像に映っている訪問者Aと登録画像に映っている訪問者とが一致する人物か否かを照合する。照合の結果において人物が一致していなかった場合、制御装置30は、呼出信号と映像信号とを、信号ラインL2を介して、101号室の居室親機20へ転送する。なお、本例ではこの時点において訪問者Aの画像は記録部301に記録されていないものとする。
【0043】
101号室の居室親機20のスピーカから呼出音(例えば「ピンポン」)が出力されるとともに、親機表示部202に訪問者Aを撮像する映像が表示される。
【0044】
101号室の居住者が呼び出しに応答し、訪問者との通話等からその訪問者Aのことを悪意のある訪問者であると判断した場合、居住者によって登録操作部203が操作される。例えば図5に示すように、親機表示部202上に「不審人物登録」と表記された登録ボタン(登録操作部203)が表示され、居住者によって登録ボタンが押下される。登録ボタンが押下されることにより、親機表示部202に表示されている映像の中から訪問者Aが映っている画像が選択される。選択された画像は、居室親機20から信号ラインL2を介して制御装置30へ送信されて、制御装置30の記録部301に登録画面として記録される。居住者は、例えば訪問者Aからの勧誘を断り、終了ボタン213を押下して訪問者Aとの通話を終了する。
【0045】
続いて、訪問者Aは、呼出部101を操作して、例えば102号室を呼び出す。上記と同様の通信経路を介して、訪問者Aが撮像された映像信号が102号室を呼び出す呼出信号に添付されて制御装置30へ送信される。なお、ここで訪問者Aが呼び出す部屋番号は、102号室に限定されず、いずれの部屋番号であっても良い。
【0046】
照合部302は、上記と同様に、送信画像に映っている訪問者Aと登録画像に映っている訪問者とが一致する人物か否かを照合する。上記のように訪問者Aの画像は、101号室の居住者によって選択され、登録画像として記録部301に一回、記録されている。照合の結果、人物が一致していると判断されるので、制御装置30の呼出制限部303は、呼出処理を制限して、102号室の居室親機20へは少なくとも呼出信号を通常通りには転送しない。
【0047】
例えば、102号室の居室親機20には呼出音(例えば「ピンポン」)は出力されず、また、例えば、親機表示部202には訪問者Aを撮像する映像も表示されない。
この場合、集合玄関機10は、例えば図6に示すように、玄関表示部103に「呼出規制中です。管理人室へお問い合わせください。」等のメッセージを表示して、102号室への呼び出しが行われていない旨を訪問者Aに報知する。呼び出しを行わない旨は、音声によって報知するようにしても良い。
【0048】
なお、上記形態では、居住者によって登録された訪問者(悪意があると判断された訪問者)は、その登録回数が一回であっても呼出処理が制限される例を説明した。しかし、この形態に限定されず、例えば2回以上登録された訪問者に対して呼出処理の制限を行うようにしても良い。また、この2回以上の登録とは、複数の住居の居住者から計2回以上の登録操作が行われた場合であっても良いし、一人の居住者から2回以上登録操作が行われた場合であっても良い。
【0049】
また、上記形態では、登録された訪問者が再度呼び出しを行った場合には、居室親機20に対して呼出信号と映像信号とが転送されない例を説明した。しかし、この形態に限定されず、制御装置30は、呼び出された居室親機20に対して、例えば通常の呼出音「ピンポン」とは異なる呼出音「ピッ、ピー」を出力させて、登録された訪問者(悪意があると判断された訪問者)が呼び出しを行っている旨を居住者に報知するようにしても良い。また、呼出音に加えて、例えば親機表示部202に「101号室の居住者から不審者登録があった訪問者が呼び出ししています。」等のメッセージを表示するようにしても良い。
【0050】
また、上記形態において制御装置30の記録部301に登録画面として記録された訪問者の画像は、所定期間(例えば24時間)経過後に、記録部301から削除するようにしても良い。
【0051】
以上説明したように、このような構成の集合住宅用インターホンシステム1によれば、訪問者Aから呼び出しを受けた居住者は、親機表示部202に表示される訪問者Aを見て、あるいは訪問者Aと通話して、訪問者Aのことを悪意のある訪問者であると判断した場合、登録操作部203を操作することで、訪問者Aの画像を記録部301に登録画像として記録することができる。そして、その訪問者Aが、連続して例えば他の住戸を呼び出そうとして集合玄関機10に対して呼出操作を行った場合は、制御装置30の照合部302による照合が行われて、登録画像に含まれる訪問者と一致していると判断されることとなる。一致していると判断されると、訪問者Aの呼出操作に起因する他の住戸への呼出処理に対しては制限が加えられ、訪問者Aは他の住戸を通常通りには呼びだすことはできなくなる。また、登録操作を行った居室親機20がある住戸に対しても同様に、通常通りには呼び出すことはできなくなる。このように、上記構成によれば、自分で登録した悪意のある訪問者による呼出だけでなく、他の居住者が登録した悪意のある訪問者による呼出も制限することができる。また、登録後は、登録された訪問者が他の住戸をどのような順番(不連続な呼出操作)で呼出を行ってもその呼出を制限することができる。
【0052】
また、呼出処理に対する制限として、呼出音が呼出先の居室親機20に出力されないように設定することが可能であるため、悪意のある訪問者の呼出を防ぐことができる。
【0053】
また、登録された訪問者からの呼出における呼出音の種類を通常の呼出音と相違させることが可能である他、登録された訪問者から呼出を受けている旨をメッセージとして表示することが可能であるため、居住者は、自分または他の居住者が登録の操作を行った訪問者が、自分の居室を訪問してきたことを把握することができる。
【0054】
また、訪問者の呼出処理に制限を加える登録回数を所定の回数に設定することが可能であるため、例えば複数回の登録を条件とすることで、悪意のある訪問者であるか否かの判断の客観性を高めることができる。
【0055】
また、訪問先の居室親機20を呼び出すことができていない状況を訪問者にメッセージ等で知らせることができるので、訪問者に対して、監視されている等の警戒心を与えることができ、悪意のある訪問者の呼出を抑制することができる。
【0056】
また、所定期間記録した登録画像は削除されるように設定されているので、記録部301を有効に活用することができ、継続的に新たな登録画像を記録することができる。
【0057】
(変形例)
上記形態の集合住宅用インターホンシステム1において、照合部302による照合の結果、訪問者が登録された人物である場合、制御装置30は、信号ラインL4を介して、呼出信号を管理室親機50へ転送しても良い。この場合、呼出信号に添付して、訪問者が撮像されている映像信号を管理室親機50へ転送するようにしても良い。
【0058】
また、集合住宅内に管理室および管理室親機50が設けられていない場合には、例えば外部にある管理会社の管理端末機へインターネット(汎用ネットワーク)を介して呼出信号および映像信号を転送するようにしても良い。
【0059】
この構成によれば、呼出信号が管理室親機50や管理端末機に転送されるため、管理人による対応が可能となる。さらに、映像信号が転送されるため、悪意のある訪問者を管理人が映像で確認できることができる。
【0060】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0061】
1:集合住宅用インターホンシステム、10:集合玄関機、20:居室親機、30:制御装置、50:管理室親機、101:呼出部、102:玄関カメラ、103:玄関表示部、104:通話部、105:玄関機CPU、201:応答部、202:親機表示部、203:登録操作部、204:通話部、205:親機CPU、301:記録部、302:照合部、303:呼出制限部、304:制御装置CPU
図1
図2
図3
図4
図5
図6