特許第6554434号(P6554434)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6554434
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】建設機械用作業機の載置台装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/38 20060101AFI20190722BHJP
【FI】
   E02F3/38 Z
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-44702(P2016-44702)
(22)【出願日】2016年3月8日
(65)【公開番号】特開2017-160638(P2017-160638A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2018年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前原 裕二
(72)【発明者】
【氏名】浅野 裕之
(72)【発明者】
【氏名】朝日 駿佑
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−218515(JP,A)
【文献】 特開2012−021389(JP,A)
【文献】 特開2008−308873(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0243595(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端側と先端側とに分割された分割構造から成るブームと、前記先端側のブームの先端に回動可能に設けられたアームと、前記アームの先端に回動可能に設けられた作業具とを有する長尺の作業機が載置される建設機械用作業機の載置台装置において
設置面上に設置される土台と、
前記土台の前端部に設けられ、前記アームの左右2箇所を下方から支持する左右一対の保持部材と、
前記土台の後部側に設けられ、前記先端側のブームの基端側の左右2箇所を下方から支持すると共に、作業者の足場を形成する左右一対の作業台と、
前記一対の保持部材のそれぞれの下部および前記一対の作業台のそれぞれの下部に設けられる4つの支え部と、
前記各支え部に収納され、前記作業機を昇降させる4つのジャッキ装置と、を備えることを特徴とする建設機械用作業機の載置台装置。
【請求項2】
基端側と先端側とに分割された分割構造から成るブームと、前記先端側のブームの先端に回動可能に設けられたアームと、前記アームの先端に回動可能に設けられた作業具とを有する長尺の作業機が載置される建設機械用作業機の載置台装置において、
前記作業機を支持すると共に、互いに分割された第1の支持体および第2の支持体を備え、
前記第1の支持体は、
設置面上に設置される第1の土台と、
前記第1の土台に設けられ、前記アームの左右2箇所を下方から支持する左右一対の第1の支柱と、
前記各第1の支柱の下部に設けられる2つの第1の支え部と、
前記各第1の支え部に収納され、前記作業機を昇降させる2つの第1のジャッキ装置と、を有し、
前記第2の支持体は、
設置面上に設置される第2の土台と、
前記第2の土台に設けられ、前記先端側のブームの基端側の左右2箇所を下方から支持する左右一対の第2の支柱と、
前記各第2の支柱の下部に設けられる2つの第2の支え部と、
前記各支え部に収納され、前記作業機を昇降させる2つの第2のジャッキ装置と、を備えることを特徴とする建設機械用作業機の載置台装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の建設機械における本体に作業機を取り付けるのに好適な建設機械用作業機の載置台装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル等の建設機械は、走行体と、この走行体の上部に旋回フレームを介して設けられ、左右方向に旋回する旋回体とにより本体を構成し、この旋回体の前方に取り付けられて上下方向に回動する作業機を備えている。そして、建設機械の作業機においては、地表面から深く掘る作業や地表からビル等の高層の建築物を解体する作業に対し、標準型として規定される長さよりも長尺の作業機、いわゆる、ロングフロントが用いられる。
【0003】
このロングフロントは、それ自体が大きく、かつ、重いので、クレーン等を用いて建設機械に取り付けられることが多く、ロングフロント本体に揺れ等が生じ易いことから、その作業性を考慮して各種の置台等の載置台装置が提案されている。このような建設機械用作業機の載置台装置の従来技術の1つとして、例えば、下記の特許文献1に記載の姿勢保持装置が知られている。
【0004】
具体的には、特許文献1に記載の姿勢保持装置は、作業機の横幅よりも広い横幅を有し、バケット等の作業具を取り外した状態の作業機が、継ぎブームとアームとを折り畳んだ状態で当該アームを下側にして載置される載置台と、載置台上に立設され、継ぎブームを左右方向から挟む複数の支柱と、継ぎブームと載置台との間に張設され、作業機を載置台上に繋留する繋留具とから構成されている。このような構成により、継ぎブームと旋回体側の共通ブームとの連結作業時に継ぎブームが揺れ等を生じるのを防止することができ、建設機械の本体側に作業機を取り付ける際の作業性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3699266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された従来技術の姿勢保持装置は、作業機全体を載置台に載置した状態で、作業機を取り付け易い高さ位置となる姿勢に保持したまま、建設機械に対して作業機の位置合わせを行いながら連結するようにしている。そのため、載置台が置かれた設置面が平坦でなかったり、あるいは傾斜していたりした場合には、作業機を建設機械の本体側に上手く取り付けることができないので、作業機の姿勢を水平に保持できる場所まで建設機械の本体側と作業機を移動させる必要があり、建設機械の本体側への作業機の取り付け作業が煩雑となっている。
【0007】
したがって、従来技術の姿勢保持装置は、大型であるロングフロントを備えた建設機械に適用された場合には、載置台の設置面が広範囲で平坦かつ水平であることが求められるので、その使用場所がこれらの条件を満たす特定の場所に制限されることにより、建設機械の本体側への作業機の取り付け作業における利便性が低いことが問題となっている。
【0008】
本発明は、このような従来技術の実情からなされたもので、その目的は、使用場所の選択肢を広げることができ、建設機械の本体側への作業機の取り付け作業における利便性を向上させることができる建設機械用作業機の載置台装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、基端側と先端側とに分割された分割構造から成るブームと、前記先端側のブームの先端に回動可能に設けられたアームと、前記アームの先端に回動可能に設けられた作業具とを有する長尺の作業機が載置される建設機械用作業機の載置台装置において、設置面上に設置される土台と、前記土台の前端部に設けられ、前記アームの左右2箇所を下方から支持する左右一対の保持部材と、前記土台の後部側に設けられ、前記先端側のブームの基端側の左右2箇所を下方から支持すると共に、作業者の足場を形成する左右一対の作業台と、前記一対の保持部材のそれぞれの下部および前記一対の作業台のそれぞれの下部に設けられる4つの支え部と、前記各支え部に収納され、前記作業機を昇降させる4つのジャッキ装置と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の建設機械用作業機の載置台装置によれば、使用場所の選択肢を広げることができ、建設機械の本体側への作業機の取り付け作業における利便性を向上させることができる。前述した以外の課題、構成、及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る載置台装置が適用される建設機械の一例として挙げた油圧ショベルの全体構成を示す側面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る載置台装置の構成を示す側面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る載置台装置の構成を示す背面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る載置台装置を用いた油圧ショベルの本体側へのフロント作業機の取り付け作業を説明する図であり、特に油圧ショベルがフロント作業機に向かって前進している状況を示す図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る載置台装置を用いた油圧ショベルの本体側へのフロント作業機の取り付け作業を説明する図であり、特に前側のジャッキ装置によってフロント作業機の高さを調整している状況を示す図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る載置台装置を用いた油圧ショベルの本体側へのフロント作業機の取り付け作業を説明する図であり、特に後側のジャッキ装置によってフロント作業機の高さを調整している状況を示す図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る載置台装置を用いた油圧ショベルの本体側へのフロント作業機の取り付け作業を説明する図であり、特に左側のジャッキ装置によってフロント作業機の高さを調整している状況を示す図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る載置台装置を用いた油圧ショベルの本体側へのフロント作業機の取り付け作業を説明する図であり、特に右側のジャッキ装置によってフロント作業機の高さを調整している状況を示す図である。
図9】本発明の第1実施形態に係る載置台装置を用いた油圧ショベルの本体側へのフロント作業機の取り付け作業を説明する図であり、特に先端側ブーム体と基端側ブーム体との組み付けが完了した状況を示す図である。
図10】本発明の第1実施形態に係る載置台装置を用いた油圧ショベルの本体側へのフロント作業機の取り付け作業を説明する図であり、特にフロント作業機を支持装置から取り外す状況を示す図である。
図11】本発明の第2実施形態に係る載置台装置の構成を示す側面図である。
図12】本発明の第2実施形態の要部の構成を説明する図であり、(a)図の左図は第1の支持体の側面図、(a)図の右図は第1の支持体の背面図、(b)図の左図は第2の支持体の側面図、(b)図の右図は第2の支持体の背面図である。
図13】本発明の第2実施形態に係るジャッキ装置によるフロント作業機の高さ調整について説明する図であり、左図はジャッキ装置のロッドが伸長していないときの第2の支持体の背面図、右図はジャッキ装置のロッドが伸長したときの第2の支持体の背面図である。
図14】本発明の第2実施形態に係るジャッキ装置によるフロント作業機の高さ調整について説明する図であり、左図はジャッキ装置のロッドが伸長していないときの第2の支持体の側面図、右図はジャッキ装置のロッドが伸長したときの第2の支持体の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る建設機械用作業機の載置台装置を実施するための形態について図に基づいて説明する。なお、以下の説明において、特に断らない限り、建設機械に搭乗して操作する作業者の視点を基準として前後左右の方向を用いる。
【0013】
[第1実施形態]
本発明に係る載置台装置の第1実施形態は、建設機械、例えば、図1に示す油圧ショベル1に適用される。この油圧ショベル1は、走行体2と、この走行体2の上側に配置され、旋回フレーム3aを有する旋回体3とにより本体を構成しており、これらの走行体2と旋回体3との間に介在され、旋回体3を旋回させる旋回装置3Aと、旋回体3の前方に取り付けられ、上下方向に回動して掘削等の作業を行う作業機としてのフロント作業機4と、を備えている。
【0014】
旋回体(車体)3は、例えば、車体の後方に配置され、車体のバランスを保つカウンタウェイト5と、車体の前方左側に配置され、フロント作業機4を操作する作業者が搭乗する運転室6と、これらのカウンタウェイト5と運転室6との間に配置されたエンジンルーム7と、このエンジンルーム7の上部に設けられ、車体の上部の外装を形成する車体カバー8とを備えている。
【0015】
フロント作業機4は、高層の建築物の解体作業に用いられ、標準型として規定される長さよりも長尺の作業機、いわゆる、ロングフロントから成っている。このフロント作業機4は、基端が旋回フレーム3aに回動可能に取り付けられ、車体に対して上下方向へ回動するブーム4Aと、このブーム4Aの先端に回動可能に取り付けられ、車体に対して上下方向へ回動するアーム4Bと、このアーム4Bの先端に回動可能に装着され、車体に対して上下方向へ回動する作業具としてのバケット4Cとを含んでいる。
【0016】
また、フロント作業機4は、旋回体3とブーム4Aとの間で連結され、伸縮することによりブーム4Aを回動させるブームシリンダ4aと、ブーム4Aとアーム4Bとの間で連結され、伸縮することによってアーム4Bを回動させるアームシリンダ4bと、アーム4Bとバケット4Cとの間で連結され、伸縮することによってバケット4Cを回動させるバケットシリンダ4cとを含んでいる。なお、図1では、作業具がバケット4Cである例を示しているが、作業具としては、バケット4Cの代わりに、解体用の破砕具、カッタ、及びグラップル等を用いることが可能である。
【0017】
上述したように、フロント作業機4はロングフロントであることから、一般に、各シリンダ4a〜4cを最大に伸長させたときの全体の長さ、すなわち、旋回フレーム3aに対するブーム4Aの取り付け位置からバケット4Cの先端までの距離が15m以上となり、その分、ブーム4Aとアーム4Bの重量が大きくなる。
【0018】
したがって、油圧ショベル1の本体側へのフロント作業機4の取り付け作業や輸送作業等において、ブーム4Aとアーム4Bが衝突して破損することを防止するために、ブーム4Aの下部とアーム4Bの上部との間には、フロント作業機4の姿勢(ブーム4Aとアーム4Bとの回動角)を固定する棒状のストッパ9が取り付けられている。
【0019】
さらに、標準型の作業機とフロント作業機4の交換時の作業性や当該フロント作業機4の輸送時の重量及び大きさに関する制限等を考慮して、ブーム4Aは、その長手方向の中央部分において分割された分割構造になっている。具体的には、ブーム4Aは、アーム4Bの基端に取り付けられた先端側ブーム体4A1と、旋回フレーム3aに取り付けられた基端側ブーム体4A2とを一対の連結ピン10A,10Bによって連結して構成されている。
【0020】
このような構成の油圧ショベル1に対して、フロント作業機4を取り付ける際には、例えば、基端側ブーム体4A2を上下方向へ回動させることにより、連結ピン10A,10Bをそれぞれ挿通するための先端側ブーム体4A1の挿通孔11A,11B(図4参照)と基端側ブーム体4A2の挿通孔12A,12B(図4参照)との位置合わせを行う必要がある。
【0021】
しかしながら、基端側ブーム体4A2が上下方向へ回動すると、基端側ブーム体4A2に穿設された各挿通孔12A,12Bは、旋回フレーム3aに対するブーム4Aの取り付け位置を支点として円弧状に移動する。そのため、油圧ショベル1の設置面Aが平坦でなかったり、あるいは傾斜していたりした場合に、仮に基端側ブーム体4A2の一方の挿通孔12Aを先端側ブーム体4A1の挿通孔11Aの位置に合わせることができても、他方の挿通孔12Bの軌道上に先端側ブーム体4A1の挿通孔11Bがなければ、基端側ブーム体4A2の挿通孔12Bを先端側ブーム体4A1の挿通孔11Bの位置に合わせるのは困難である。
【0022】
そこで、本発明の第1実施形態においては、油圧ショベル1から取り外された状態のフロント作業機4を載置する載置台装置を用いることにより、油圧ショベル1の本体側へのフロント作業機4の取り付け作業を行うようにしている。以下、本発明の第1実施形態に係る載置台装置の構成について、図2図3を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図2は本発明の第1実施形態に係る載置台装置の構成を示す側面図、図3は本発明の第1実施形態に係る載置台装置の構成を示す背面図である。
【0024】
図2図3に示すように、本発明の第1実施形態に係る載置台装置は、フロント作業機4の下方に配置され、当該フロント作業機4のうち前後左右の4箇所を支持する支持装置21と、この支持装置21に設けられ、フロント作業機4に対する支持装置21の支持位置の少なくとも2箇所、例えば、前後左右の4箇所を上下方向へ移動可能とし、フロント作業機4の高さを調整する高さ調整装置22(図5図6参照)とを備えている。
【0025】
支持装置21は、フロント作業機4の横幅よりも広い横幅に設定され、油圧ショベル1の前方の設置面A上に設置される土台としての基台211と、基台211の上方に配置され、油圧ショベル1の本体側へのフロント作業機4の取り付け作業を行う作業者の足場を形成する一対の作業台212とを有している。
【0026】
これらの作業台212は、先端側ブーム体4A1を左右の両側から挟むように基台211の上面に設置され、さらに基台211の後部側に位置している。各作業台212は、先端側ブーム体4A1の高さ位置に合わせて配置され、作業者が足を載せて作業を行う場所となる平板状の踏板212Aと、基台211の上面に立設し、上端が各踏板212Aの底面の四隅に溶接等でそれぞれ接合された複数本の支柱(本実施例では、8本の支柱)212Bと、前後左右に隣接する支柱212Bの中央部分に水平に架け渡され、各支柱212Bを補強する複数本の横梁(本実施例では、8本の横梁)212Cとを含んでいる。
【0027】
さらに、各作業台212は、踏板212A及び後述のステップ212Eの外周部分に立設し、作業者が掴んで身体を支えるための手摺り212Dと、基台211の前後方向の中央部分から踏板212Aの前端部に架け渡され、作業者が踏板212A上へ移動するための階段状のステップ212Eとを有している。
【0028】
各作業台212の内側の側部のうち踏板212Aと同じ高さ位置には、先端側ブーム体4A1の基端側の下部に設けられたブラケット13を固定する固定ブラケット213が取り付けられている。基台211の前端部の両側には、ブーム4Aに対してアーム4Bを折り畳んだときにアーム4Bの下方に位置するバケットシリンダ4cが設置面Aと接触しないように保持する一対の保持部材214が上方へ向けてそれぞれ設けられている。
【0029】
また、各保持部材214の上部には、アーム4Bの基端側(ブーム4Aの先端側)の下部に設けられたブラケット14を固定する固定金具215が形成されており、これらの各固定金具215は、前後方向に沿って横長に形成された長穴215Aを有している。
【0030】
そして、先端側ブーム体4A1を下側からそれぞれ支持する支持棒216が、先端側ブーム体4A1のブラケット13の貫通孔及び支持装置21の固定ブラケット213の貫通孔に挿通されると共に、アーム4Bを下側から支持する支持棒217が、アーム4Bのブラケット14の貫通孔及び支持装置21の固定金具215の長穴215Aに挿通されることにより、フロント作業機4が支持装置21に載置された状態で固定されるようになっている。
【0031】
本発明の第1実施形態では、各支持棒216,217の位置がフロント作業機4に対する支持装置21の支持位置となる。このような支持装置21は、基台211や作業台212等以外にも、基台211のうち支持装置21の支持位置に対応して前後左右の4箇所に後述の各ジャッキ装置221(図5図6参照)が収納可能に設けられ、これらのジャッキ装置221による昇降動作の支点として作用する複数の支え部(本実施例では、4つの支え部)218を有している。
【0032】
これらの支え部218のうち、前側の一対の支え部は、基台211の前端部の両隅に位置する保持部材214の下部にそれぞれ形成されており、後側の一対の支え部は、基台211の後端部の両隅にそれぞれ形成されている。上述の高さ調整装置22は、例えば、支持装置21を介してフロント作業機4を昇降させる前述の複数のジャッキ装置(本実施例では、4台のジャッキ装置)221から成り、これらのジャッキ装置221は、フロント作業機4を支持装置21に載置する前に、4つの支え部218に1台ずつ収納されている。なお、ジャッキ装置221としては、例えば、市販のものを用いることが可能である。
【0033】
次に、本発明の第1実施形態に係る載置台装置を用いた油圧ショベル1の本体側へのフロント作業機4の取り付け作業について、図4図10を参照しながら詳細に説明する。
【0034】
図4は油圧ショベル1におけるフロント作業機4の基端側ブーム体4A2を取り付けた本体がフロント作業機4に向かって前進している状況を示す図、図5は前側のジャッキ装置221によってフロント作業機4の高さを調整している状況を示す図、図6は後側のジャッキ装置221によってフロント作業機4の高さを調整している状況を示す図、図7は左側のジャッキ装置221によってフロント作業機4の高さを調整している状況を示す図、図8は右側のジャッキ装置221によってフロント作業機4の高さを調整している状況を示す図、図9は先端側ブーム体4A1と基端側ブーム体4A2との組み付けが完了した状況を示す図、図10はフロント作業機4を支持装置21から取り外す状況を示す図である。
【0035】
図4に示すように、まず、作業者は、支持装置21を油圧ショベル1の本体に対して前方位置の設置面Aに設置した後、例えば、クレーンを操作することにより、油圧ショベル1の本体側から取り外された状態のフロント作業機4、すなわち、基端側ブーム体4A2を含まないフロント作業機4を支持装置21上に載置する。
【0036】
続いて、作業者は、作業台212の踏板212A上に移動して、先端側ブーム体4A1のブラケット13の貫通孔及び支持装置21の固定ブラケット213の貫通孔に支持棒216を挿通した後、設置面Aへ降りて、アーム4Bのブラケット14の貫通孔及び支持装置21の固定金具215の長穴215Aに支持棒217を挿通し、フロント作業機4を支持装置21に固定する。
【0037】
一方、フロント作業機4の姿勢はストッパ9により保持されており、作業者は、設置面Aからの先端側ブーム体4A1の挿通孔11A,11Bの高さ位置を予め把握しているので、油圧ショベル1の運転室6に搭乗して基端側ブーム体4A2を挿通孔11A,11Bの高さ位置まで回動させる。そして、作業者は、その状態で油圧ショベル1の本体側を前方のフロント作業機4へ向かって前進させる。
【0038】
その後、基端側ブーム体4A2の挿通孔12A,12Bが、前後方向において先端側ブーム体4A1の挿通孔11A,11Bと重なり合う位置まで到達すると、設置面Aが平坦かつ水平であるときのように、先端側ブーム体4A1の挿通孔11A,11Bの位置と基端側ブーム体4A2の挿通孔12A,12Bの位置とがそれぞれ合っていれば、作業者は、2本の連結ピン10A,10Bを用意して上側の挿通孔11A,12A及び下側の挿通孔11B,12Bにそれぞれ挿通することができる。
【0039】
しかしながら、設置面Aが平坦でなかったり、あるいは傾斜していたりしたときには、仮に先端側ブーム体4A1の挿通孔11Aの位置と基端側ブーム体4A2の挿通孔12Aの位置とが合っていても、先端側ブーム体4A1の挿通孔11Bの位置と基端側ブーム体4A2の挿通孔12Bの位置とがずれているので、フロント作業機4の高さを調整して、先端側ブーム体4A1の挿通孔11Bと基端側ブーム体4A2の挿通孔12Bとの位置合わせを行う必要がある。
【0040】
そこで、作業者は、図5図6に示すように、支持装置21の前後左右の支え部218に予め収納された4台のジャッキ装置221のうち、前側又は後側の2台のジャッキ装置221を駆動すると、対応するジャッキ装置221が伸長し、フロント作業機4の前部又は後部が反対側の支え部218を支点として押し上げられる。これにより、先端側ブーム体4A1の挿通孔11Bの高さ位置が変化するので、先端側ブーム体4A1の挿通孔11Bと基端側ブーム体4A2の挿通孔12Bとの位置合わせを容易に行うことができる。
【0041】
また、作業者は、図7図8に示すように、左側又は右側の2台のジャッキ装置221を駆動すると、対応するジャッキ装置221が伸長し、フロント作業機4の左側部又は右側部が反対側の支え部218を支点として押し上げられる。これにより、先端側ブーム体4A1の挿通孔11A,11Bの中心軸と基端側ブーム体4A2の挿通孔12A,12Bの中心軸とを揃えることができるので、連結ピン10A,10Bをこれらの挿通孔11A,11B,12A,12Bに円滑に挿通することができる。
【0042】
次に、作業者は、先端側ブーム体4A1の挿通孔11Bと基端側ブーム体4A2の挿通孔12Bとの位置合わせを終えた後、連結ピン10Aを先端側ブーム体4A1の挿通孔11Aと基端側ブーム体4A2の挿通孔12Aに挿通すると共に、連結ピン10Bを先端側ブーム体4A1の挿通孔11Bと基端側ブーム体4A2の挿通孔12Bに挿通すると、図9に示すように、基端側ブーム体4A2に対する先端側ブーム体4A1の組み付けが完了する。
【0043】
次に、作業者は、作業台212の踏板212A上に移動して、先端側ブーム体4A1のブラケット13の貫通孔及び支持装置21の固定ブラケット213の貫通孔から支持棒216を引き抜いた後、設置面Aへ降りて、アーム4Bのブラケット14の貫通孔及び支持装置21の固定金具215の長穴215Aから支持棒217を引き抜くことにより、フロント作業機4を支持装置21から取り外す。このような手順が行われることで、油圧ショベル1の本体側へのフロント作業機4の取り付け作業が終了する。なお、油圧ショベル1の本体側からのフロント作業機4の取り外し作業については、上述したのと逆の手順を行えばよい。
【0044】
このように構成した本発明の第1実施形態に係る建設機械用作業機の載置台装置によれば、油圧ショベル1の本体側へのフロント作業機4の取り付け作業において、支持装置21の設置面Aが平坦でなかったり、あるいは傾斜していたりした場合に、4台のジャッキ装置221によってフロント作業機4に対する支持装置21の支持位置を上下方向へ移動し、フロント作業機4の高さを調整できるので、先端側ブーム体4A1と基端側ブーム体4A2との組み付けが容易となる。これにより、クレーンを操作しなくても、フロント作業機4を作業現場で油圧ショベル1の本体側に迅速に取り付けることができる。
【0045】
したがって、本発明の第1実施形態に係る建設機械用作業機の載置台装置は、フロント作業機4の姿勢を水平に保持できる場所まで油圧ショベル1の本体側とフロント作業機4を移動させる必要がなくなり、その使用場所の選択肢を広げることができるので、油圧ショベル1の本体側へのフロント作業機4の取り付け作業における利便性を向上させることができる。
【0046】
また、本発明の第1実施形態に係る建設機械用作業機の載置台装置では、支持装置21が作業者の足場を形成する作業台212を含んで構成されることにより、作業者が、作業台212の踏板212Aに上がって、基端側ブーム体4A2の挿通孔12A,12Bに対する先端側ブーム体4A1の挿通孔11A,11Bの位置を確認したり、支持棒216を先端側ブーム体4A1のブラケット13の貫通孔と支持装置21の固定ブラケット213に挿通したりする作業を効率良く行うことができる。これにより、油圧ショベル1の本体側へのフロント作業機4の取り付け作業における作業性を高めることができる。
【0049】
[第2実施形態]
図11は本発明の第2実施形態に係る載置台装置の構成を示す側面図、図12は本発明の第2実施形態の要部の構成を説明する図である。
【0050】
本発明の第2実施形態が前述した第1実施形態と異なるのは、図2に示すように、第1実施形態に係る支持装置21は、基台211の上方に配置され、油圧ショベル1の本体側へのフロント作業機4の取り付け作業を行う作業者の足場を形成する作業台212を含んで一体に構成されたのに対し、図11に示すように、第2実施形態に係る支持装置31は、作業台212を含まず、フロント作業機4の長手方向に沿って配置され、フロント作業機4の前部を支持する第1の支持体32と、フロント作業機4の後部を支持する第2の支持体33とに分割して構成されたことである。その他の第2実施形態の構成は、第1実施形態の構成と同じであり、同一又は対応する部分には同一の符号を付している。
【0051】
図11図12(a)に示すように、第1の支持体32は、フロント作業機4の前部に相当するアーム4Bの基端側を支持し、第2の支持体33よりも小型に設定されている。また、第1の支持体32は、アーム4Bの横幅よりも広い横幅に設定され、油圧ショベル1の本体に対して前方の設置面A上に設置される基台321(第1の土台)と、アーム4Bを左右の両側から挟むように、基台321の上面にそれぞれ立設した複数本の支柱(第1の支柱/本実施例では、2本の支柱)322と、基台321の上面うち各支柱322の前後に位置する部分から各支柱322の上端に向かって傾斜状に配置され、各支柱322を補強する複数本の補強梁(本実施例では、4本の補強梁)323とを有している。
【0052】
各支柱322の上端には、アーム4Bのブラケット14を固定する固定ブラケット324が取り付けられている。そして、アーム4Bを下側からそれぞれ支持する支持棒217が、アーム4Bのブラケット14の貫通孔及び第1の支持体32の固定ブラケット324の貫通孔に挿通されることにより、アーム4Bが第1の支持体32に載置された状態で固定されるようになっている。
【0053】
図11図12(b)に示すように、第2の支持体33は、先端側ブーム体4A1の横幅よりも広い横幅に設定され、油圧ショベル1と第1の支持体32との間の設置面A上に設置される基台331(第2の土台)と、先端側ブーム体4A1を左右の両側から挟むように、基台331の上面にそれぞれ立設した円筒状の複数本の支柱(第2の支柱/本実施例では、2本の支柱)332と、基台331の上面うち各支柱332の前後及び左側又は右側に位置する部分から各支柱332の上端に向かって傾斜状に配置され、各支柱332を補強する複数の補強梁(本実施例では、6本の補強梁)333とを有している。なお、図11図12(b)は、第2の支持体33の構成が分かり易いように、正面となる補強梁333を省略して示している。
【0054】
また、第2の支持体33は、フロント作業機4を昇降させる複数のジャッキ装置(第2のジャッキ装置/本実施例では、2台のジャッキ装置)334が組み込まれて一体となっている。具体的には、第2の支持体33は、基台331のうち当該第2の支持体33の支持位置に対応して左右の2箇所に各ジャッキ装置334が収納可能に設けられた複数の支え部(第2の支え部/本実施例では、2つの支え部)335を有している。これらの各支え部335は、支柱332の下方に位置し、ジャッキ装置334を1台ずつ収納している。
【0055】
各ジャッキ装置334のロッド334Aは、支え部335内から上方へ向かって支柱332の内側に挿通されており、各ロッド334Aの上端には、先端側ブーム体4A1のブラケット13を固定する固定ブラケット336が取り付けられている。そして、先端側ブーム体4A1を下側からそれぞれ支持する支持棒216が、先端側ブーム体4A1のブラケット13の貫通孔及び第2の支持体33の固定ブラケット336の貫通孔に挿通されることにより、先端側ブーム体4A1が第2の支持体33に載置された状態で固定されるようになっている。
【0056】
次に、本発明の第2実施形態に係るジャッキ装置334によるフロント作業機4の高さ調整について、図13図14を参照しながら詳細に説明する。
【0057】
図13図14の左図は、2台のジャッキ装置334のロッド334Aが伸長していないときの第2の支持体33の状態を示している。この状態から、各ジャッキ装置334が駆動されると、図13図14の右図に示すように、ジャッキ装置334のロッド334Aが伸長する。このとき、ロッド334Aの先端に取り付けられた固定ブラケット336と先端側ブーム体4A1のブラケット13とが支持棒216により一体に連結されているので、ジャッキ装置334によってフロント作業機4の後部が第1の支持体32を支点として押し上げられる。
【0058】
その結果、フロント作業機4の後部に対する第2の支持体33の支持位置、すなわち、支持棒217の高さ位置が上昇する。したがって、図13図14の右図に示す支持棒216の高さ位置は、図13図14の左図に示す支持棒216の高さ位置(初期位置)に比べて距離Dだけ上昇している。なお、本発明の第2実施形態に係る載置台装置を用いた油圧ショベル1の本体側へのフロント作業機4の取り付け作業については、第1実施形態で説明した手順と同様であるので、重複する説明を省略する。
【0059】
このように構成した本発明の第2実施形態に係る油圧ショベル1の載置台装置によれば、上述した第1実施形態と同様の作用効果が得られる他、支持装置31が、フロント作業機4の長手方向に沿って第1の支持体32と第2の支持体33とに分割して構成されているので、これらの支持体32,33の間の設置面Aに大きな凹凸や傾斜があっても、第1及び第2の支持体32,33が、そのような設置面Aの状態の影響を受けることなく、フロント作業機4を安定して支持することができる。
【0060】
また、本発明の第2実施形態に係る油圧ショベル1の載置台装置では、各支持体32,33が、第1実施形態に係る支持装置21に比べて軽量かつ小型になるので、保管場所のスペースを取らないで済み、しかも、作業者が各支持体32,33を作業場所や保管場所に容易に運搬することができる。このように、フロント作業機4として、ロングフロントを対象とした使い勝手のよい載置台装置を提供することができる。
【0061】
なお、本発明の第2実施形態では、第2の支持体33を2台のジャッキ装置334が組み込まれて一体とした場合について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではなく、例えば、別のジャッキ装置334(第1のジャッキ装置)を新たに追加して第1の支持体32に組み込んで一体にしてもよい。
【0062】
また、上述した本発明の各実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
【符号の説明】
【0063】
1…油圧ショベル(建設機械)、3…旋回体、3a…旋回フレーム、4…フロント作業機、4A…ブーム、4A1…先端側ブーム体、4A2…基端側ブーム体、4B…アーム、4C…バケット、9…ストッパ
10A,10B…連結ピン、11A,11B,12A,12B…挿通孔、13,14…ブラケット、21,31…支持装置、22…高さ調整装置、32…第1の支持体、33…第2の支持体
211,321,331…基台(土台)、212…作業台、212A…踏板、212B,322,332…支柱、212C…横梁、212D…手摺り、212E…ステップ、213,336…固定ブラケット、214…保持部材、215…固定金具、215A…長穴、216,217…支持棒、218,335…支え部、221,334…ジャッキ装置、323,333…補強梁、334A…ロッド
図1
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