特許第6554462号(P6554462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6554462空気濾過媒体としてのエレクトレットナノファイバーウェブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6554462
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】空気濾過媒体としてのエレクトレットナノファイバーウェブ
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/16 20060101AFI20190722BHJP
   B03C 3/28 20060101ALI20190722BHJP
   B03C 3/155 20060101ALI20190722BHJP
   D04H 1/736 20120101ALI20190722BHJP
【FI】
   B01D39/16 A
   B03C3/28
   B03C3/155 C
   D04H1/736
【請求項の数】2
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-525568(P2016-525568)
(86)(22)【出願日】2014年10月21日
(65)【公表番号】特表2016-540629(P2016-540629A)
(43)【公表日】2016年12月28日
(86)【国際出願番号】US2014061483
(87)【国際公開番号】WO2015061257
(87)【国際公開日】20150430
【審査請求日】2017年10月18日
(31)【優先権主張番号】61/893,316
(32)【優先日】2013年10月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023674
【氏名又は名称】イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】フアン タオ
(72)【発明者】
【氏名】リム ヒュン スン
(72)【発明者】
【氏名】ユン ワイ−シン
【審査官】 中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−534559(JP,A)
【文献】 特表2004−523337(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/096672(WO,A1)
【文献】 特表2012−510006(JP,A)
【文献】 特開2009−006272(JP,A)
【文献】 特表2010−522835(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/102398(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0043639(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/16
B03C 3/155
B03C 3/28
D04H 1/736
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
−20kVまでの静電荷、70%〜99.99%の濾過効率範囲、及び0.3直径ミクロン粒子における2.5mmwg未満の空気抵抗を有する単一ソースのランダムに混ざり合わされた繊維ネットワークを含む単一層ポリマーエレクトレットナノファイバーウェブを含む空気濾過媒体であって、前記ナノファイバーウェブは、ナノファイバー、マイクロファイバー、及び粗繊維を含み、かつ
前記ナノファイバーウェブは、
(a)前記ナノファイバーウェブにおける繊維の少なくとも65個数%は、1000nm未満の数平均直径を有するナノファイバーであることと、
(b)前記ナノファイバーウェブにおける繊維の多くとも30個数%は、1.0μm〜3.0μmの数平均直径を有するマイクロファイバーであることと、
(c)前記ナノファイバーウェブにおける繊維の多くとも5個数%は、3.0μmを超える数平均直径を有する粗繊維であることと、
を含む、空気濾過媒体。
【請求項2】
前記ナノファイバーウェブは、少なくとも70%の多孔性、多くとも15μmの平均流量孔サイズ、及び125Paで870cm3/cm2/分〜6000cm3/cm2/分のフラジール形通気度を有する、請求項1に記載の空気濾過媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2013年10月21日付けで出願された米国仮特許出願第61/893,316号明細書の優先権の利益を主張するものであり、すべての開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、特に空気濾過に使用するための改良された濾過特性を与える様々な繊維直径を有する単一ソースのランダムに混ざり合わされた繊維ネットワークを含むエレクトレットナノファイバーウェブに関する。
【背景技術】
【0003】
ナノファイバーによって得られた表面積対体積比の増加は、幅広い範囲の用途に重要な影響を与える。特に、フィルターをブロックせずに最も微細な粒子を捕捉し保持しながら、最も高い流速を生じさせることを基本としたフィルター性能においては、ナノファイバーは、改良された遮断及び慣性衝突効率を有する。
【0004】
実際には、ナノファイバー媒体それ自体は、柔らかく壊れやすく、空気フィルターとして単独で使用することはできない。現在、ナノファイバーは、硬い基材に被覆されて初めて、容易に取り扱えることができる複合材料を形成することができる。多くの場合、基材は、不織布のマイクロファイバー媒体である。ナノファイバーコーティングは、通常、メルトブロー繊維の直径より小さい電界紡糸繊維の直径を伴う、電界紡糸方法又はメルトブロープロセスによって作製可能である。典型的には、電界紡糸ナノファイバーは、多くの用途において費用が過剰にかかるほど遅い速度で生産され、且つ、メルトブローナノファイバーは、標準的な濾過媒体に比べて相対的に高価である。除去可能な海部と海部を除去するためのプロセス工程が必要であることから、速い速度で生産可能である海島ナノファイバーでさえ、生産に費用がかかる。繊維をランダムに敷設するメルトブローナノファイバープロセス又は溶融膜フィブリル化プロセスは、ほとんどの最終用途において十分に高い処理量で適切な均一性を与えることはない。
【0005】
不織布ウェブは、空気濾過媒体への使用において開示されている。米国特許出願公開第2006/0137317号明細書及び米国特許第8,282,712号明細書では、空気フィルターのための2層スクリム−ナノファイバー(SN)構造からなる濾過媒体を開示している。SN構造は、1μm未満の直径を有する繊維の少なくとも1つのナノファイバー層と少なくとも1つの上流スクリム層を有する。媒体は、媒体にわたる効率損失及び圧力損失が、使用の間、最小化されるダスト粒子の十分な保持力を有する。媒体は、良好な流動/バリア特性(即ち、高効率及び低い圧力低下)を有する。しかしながら、フィルターが非常に小さいダスト粒子に向き合う場合、ダスト収容力は、特定の産業HVACアプリケーションにおける所望の値より低く、HVACシステムが、高効率最終フィルターの前でより低い効率のプレフィルターを有するように設計され構築される場合、これが生じる可能性がある。SN構造においては、典型的には、スクリムは、14〜30ミクロンの繊維直径を有する繊維の不織布ウェブから作製され、サイズで約5ミクロンより大きい粒子をプレフィルターで取り除くことができる。残留する粒子は、薄いナノファイバー層に達し、急速に孔を満たしフィルターをふさぐことになる。その結果、濾過抵抗は急激に増加し、こうしてフィルター寿命を短縮させる。スクリム層の目付及び厚さを増加させることによって、ダスト収容力を増加させる試みが行われてきた。
【0006】
米国特許第6,521,321号明細書では、少なくとも6〜7の粗繊維及び微細繊維ウェブを勾配−構造媒体(例えば、SNSNSN)において交互に積層させることによって空気フィルターの寿命を増加させる試みを開示している。必要とされる積層の数のため、この方法は経済的に魅力的ではなくなる。
【0007】
米国特許第7,125,434号明細書では、生物薬剤流体を濾過するための材料の3つのゾーンからなる急勾配−密度フィルターを使用する試みを開示している。フィルターは、少なくとも1.27cmの深さを有し、液体濾過のために設計されている。厚さはプリーツ空気濾過使用においては法外に大きい。
【0008】
一方、通常、帯電した不織布ウェブは、着用者を空気中の汚染物質を吸入することから保護するためにレスピレーターにおけるフィルターとして使用される。電荷は、流体において懸濁される粒子を捕捉するための不織布ウェブの能力を強化する。流体がウェブを通過するにつれて、不織布ウェブは粒子を捕捉する。帯電した誘電物は、多くの場合に「エレクトレット」と称され、様々な技術が、これらの製品を生産するために長年にわたって開発されてきた。静電的に処理されたメルトブロー濾過媒体は、米国特許第4,874,659号明細書及び米国特許第4,178,157号明細書に記載されるように、媒体が粒子を捕捉し始め静電荷が遮断されながら、当初はよく機能するが、ダスト収容により使用中に急速に濾過効率を消失する。更に、微粒子の効果的な捕捉は、電荷に基づいていることから、こうしたフィルターの性能は、空気湿度によって大きく影響され、電荷消失を引き起こす。繊維エレクトレットウェブは、繊維又は繊維ウェブを通電させること、コロナ帯電装置を用いてこれらを意図的に後帯電させること(post−charging)(米国特許第4,588,537号明細書、米国特許第6,365,088号明細書、及び米国特許第6,969,484号明細書)、ガス又は液体の高速非帯電噴射が誘電体膜の表面にわたり通過する時に生じる摩擦帯電(米国特許第5,280,406号明細書)、或いは、エレクトレットの性能を向上させるために特定の添加剤をウェブに加えることによって生産されている。
【0009】
米国特許第8,277,711号明細書では、ノズルのない遠心溶融紡糸プロセスを開示している。国際公開第2013/096672号パンフレットのプロセスを用い、得られたナノファイバーを、ベルト収集装置に敷設してウェブ媒体を形成する。この技術により、非常により高い処理量及び非常により低い製造費用でのナノファイバーウェブの大量生産を可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
必要なものは、より高い空気濾過効率及びより低い空気抵抗を有する改良されたエレクトレットナノファイバーウェブである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、−20kVまでの静電荷、約70%〜約99.99%の濾過効率範囲、及び0.3ミクロン直径粒子における約2.5mmwg未満の空気抵抗を有する単一ソースのランダムに混ざり合わされた繊維ネットワークを含む単一層ポリマーエレクトレットナノファイバーウェブを含む空気濾過媒体に関する。
【0012】
本発明は、(a)ナノファイバーウェブにおける繊維の少なくとも約65個数%は、約1000nm未満の数平均直径を有するナノファイバーであることと、(b)ナノファイバーウェブにおける繊維の多くとも約30個数%は、約1.0μm〜約3.0μmの数平均直径を有するマイクロファイバーであることと、(c)ナノファイバーウェブにおける繊維の多くとも約5個数%は、約3.0μmを超える数平均直径を有する粗繊維であることと、を含むナノファイバーウェブを含む空気濾過媒体に更に関する。
【0013】
本発明は、遠心溶融紡糸プロセスによって作製されるナノファイバーウェブを含む空気濾過媒体に更に関する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明によるナノファイバーウェブの作製への使用に適した紡糸ディスクを使用する遠心溶融紡糸装置の図である。
図2】比較例の様々に紡糸された不織布と比較した場合の、本発明の実施例における空気抵抗の関数としての空気濾過媒体の効率インデックスである。
図3】比較例の溶融紡糸された不織布と比較した場合の、本発明の実施例における空気抵抗の関数としての空気濾過媒体の効率インデックスである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
定義
本明細書において使用される場合、「ウェブ」という用語は、一般的に不織布に作製される繊維のネットワークの層を意味する。
【0016】
本明細書において使用される場合、「不織布」という用語は、全体の繰り返し構造が、繊維の配列において裸眼で識別できない、多数の基本的にランダムに配向した繊維のウェブを意味する。繊維は、強度及び一貫性をウェブに与えるために、互いに結合されることができる、或いは、結合されずにからまされることができる。繊維は、短繊維、又は、連続繊維であることができ、且つ、単一の材料、或いは、異なる繊維の組合せとして、又は、異なる材料から互いに構成された類似の繊維の組合せとして、複数の材料を含むことができる。
【0017】
本明細書において使用される場合、「ナノファイバーウェブ」という用語は、主としてナノファイバーから構成されるウェブを意味する。「主として」とは、ウェブにおける50%超の繊維が、ナノファイバーであることを意味する。
【0018】
本明細書において使用される場合、「ナノファイバー」という用語は、1000nm未満の数平均直径を有する繊維を意味する。非円形断面ナノファイバーの場合においては、本明細書において使用される場合、「直径」という用語は、最も大きい断面寸法を意味する。
【0019】
本明細書において使用される場合、「マイクロファイバー」という用語は、約1.0μm〜約3.0μmの数平均直径を有する繊維を意味する。
【0020】
本明細書において使用される場合、「粗繊維」という用語は、約3.0μmを超える数平均直径を有する繊維を意味する。
【0021】
「エレクトレット」とは、帯電した誘電物を意味する。
【0022】
「独立型」とは、単一層であり、内蔵型であり、且つ、任意の基材を有さないナノファイバーウェブを意味する。
【0023】
「単一ソース」とは、単一の紡糸プロセスからくるウェブの任意の構造特性、及び、帯電特性を意味する。
【0024】
「遠心紡糸プロセス」とは、繊維が回転部材から放出によって形成される任意のプロセスを意味する。
【0025】
「回転部材」とは、こうした推進力の援助に空気などの別の手段を用いられるか否かを問わず、フィブリル又は繊維が遠心力によって形成される材料を、推進する又は分配する紡糸装置を意味する。
【0026】
「凹形」とは、回転部材の内部表面が、半球などのように、断面においてカーブすることができ、楕円、双曲線、パラボラの断面を有し、或いは、円錐台形などであり得ることを意味する。
【0027】
「紡糸ディスク」とは、回転部材が、凹形、円錐台形、又は、平坦状の開放した内部表面を備えたディスク形状を有することを意味する。
【0028】
「紡糸ボウル」とは、凹形、又は、円錐台形の開放した内部表面を備えたボウル形状を有することを意味する。
【0029】
「フィブリル」とは、フィブリルが減衰する時に形成する微細繊維に対する前駆体として形成されることができる伸長した構造体を意味する。フィブリルは、回転部材の放出位置で形成される。放出位置は、流体が押し出され繊維を形成する、エッジ、鋸歯状のエッジ、又はオリフィスであることができる。
【0030】
「ノズルフリー」とは、ノズル−タイプの紡糸オリフィスから得られるものではないフィブリル又は繊維を意味し、或いは、回転部材にノズルが存在しないことを意味する。
【0031】
「気流場」とは、本発明のプロセスにおける任意の位置又は物理的な地点における空気速度及び方向を表すベクトル場を意味する。
【0032】
「帯電される」とは、プロセスにおける対象物が、非帯電対象物又は正味の電荷を有さないこうした対象物に対して、正味の電荷、正極性又は負極性を有することを意味する。
【0033】
「紡糸流体」とは、流動することができ繊維に形成されることができる、溶融形態又は溶液形態における熱可塑性ポリマーを意味する。
【0034】
「放出位置」とは、フィブリル又は繊維が排出される紡糸部材における地点を意味する。放出位置は、例えば、フィブリルが押し出される、エッジ又はオリフィスであることができる。
【0035】
「基本的に」とは、パラメーターが、特定の値で「基本的に」保たれる場合、本発明の機能に影響を及ぼさない値から離れたパラメーターを記載する数値における変更は、パラメーターの記載の範囲内であるとみなされることを意味する。
【0036】
本発明は、単一層ポリマー不織布ウェブを含む濾過媒体に関し、この場合に、不織布ウェブは、単一ソースのランダムに混ざり合わされた繊維ネットワークを含む。ネットワークは、約1000nm未満の平均繊維直径を有するナノファイバーの不織布ウェブにおいて少なくとも約65個数%の繊維、約1.0μm〜約3.0μmの平均繊維直径を有するマイクロファイバーの不織布ウェブにおいて多くとも約30個数%の繊維、及び、約3.0μmを超える平均繊維直径を有する粗繊維の不織布ウェブにおいて多くとも約5個数%の繊維を含み、この場合に、不織布ウェブの平均繊維直径は、1.0μm未満である。不織布ウェブは、米国特許第8,277,711号明細書にて開示されるように、遠心溶融紡糸プロセスを使用して作製されることができ、実施例で記載される変更とともに参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
不織布ウェブは、米国特許第8,277,711号明細書にて開示されるように、遠心溶融紡糸プロセスを使用して作製されることができる。ナノファイバー形成は、均一の薄膜のフィブリル化を介してなる。メルトフローは、薄膜を形成するために、紡糸ディスクの内部表面上に広がる。膜フィブリル化は、紡糸ディスクのエッジで生じ薄い糸条を形成する。これらの薄い糸条は、遠心力によって繊維に更に伸長される。所定のポリマーの場合、ナノファイバーは、米国特許第8,277,711号明細書の均一の安定した薄膜フィブリル化から形成される。繊維紡糸の操作パラメーターは、温度、溶融供給速度、及びディスク回転速度である。本発明においては、製膜の不均衡性を生むために、温度、溶融供給速度、及びディスク回転速度の操作形態を変えることによる操作の変更を伴い組み込まれ、相対的により厚い膜は、中心からエッジまで放射状のバンディングを伴い外向きに移動し、膜は、厚さにおいて波形にみえる。ナノファイバーは、薄膜のより薄い領域から形成され、粗繊維は、薄膜のより厚い領域から形成され、且つ、マイクロファイバーは、その間の薄膜領域から形成される。このプロセスは、様々な繊維直径を有する繊維を生成する紡糸ディスク又はボウルを利用する。
【0038】
本発明は、製膜の不均衡性、及び、相対的により厚い波形の膜を生成するための、温度、溶融供給速度、及びディスク回転速度における操作の変更の組み込みに関する。
【0039】
米国特許第8,277,711号明細書と比較した所定のポリマーの場合、本発明は、実施例に記載の通り、紡糸ディスク又は紡糸ボウルの内部表面のより低い温度、溶融押し出し及び溶融転写ライン温度、並びに伸張ゾーン温度を有する。例えば、純粋なナノファイバーウェブは、米国特許第8,277,711号明細書に従って作製され、この場合に、紡糸ディスク又は紡糸ボウルの内部表面の温度は260℃であり、溶融押し出し及び溶融転写ライン温度は200℃であり、並びに、伸張ゾーン温度は150℃である。実施例においてナノファイバー、マイクロファイバー、及び粗繊維から構成されるナノファイバーウェブは、本発明に従って作製され、この場合に、紡糸ディスク又は紡糸ボウルの内部表面の温度は200℃であり、溶融押し出し及び溶融転写ライン温度は200℃であり、並びに、伸張ゾーン温度は100℃である。
【0040】
米国特許第8,277,711号明細書と比較した所定のポリマーの場合、本発明は、実施例に記載の通り、紡糸ディスク又は紡糸ボウルの回転速度を低減させることになる。例えば、米国特許第8,277,711号明細書に従って作製された純粋なナノファイバーウェブは、回転速度が14,000rpmである。実施例1においてナノファイバーと、マイクロファイバーと、粗繊維と、を含むナノファイバーウェブは、本発明に従って作製され、回転速度は10,000rpmである。
【0041】
米国特許第8,277,711号明細書と比較した所定のポリマーの場合、本発明は、紡糸ディスクに対する溶融供給速度を増加させることになる。例えば、純粋なナノファイバーウェブは、米国特許第8,277,711号明細書に従って作製され、この場合に、溶融供給速度は8グラム/分である。実施例1おいてナノファイバー、マイクロファイバー、及び粗繊維から構成されるナノファイバーウェブは、本発明に従って作製され、この場合に、溶融供給速度は10グラム/分である。
【0042】
又、本発明は、制御されたパルス供給を適用することになる。又、本発明は、制御されたパルス回転速度を適用することになる。
【0043】
国際公開第2013/096672号パンフレットのプロセスを用いて、繊維はベルト収集装置に敷設されてPPウェブ媒体を形成し、これは参照により本明細書に組み込まれる。繊維のウェブ敷設は、設計された気流場及び帯電配置の組合せによって制御される。気流場の操作パラメーターは、中空回転軸及び反旋回ハブを介して適用された、伸長ゾーンエア、シェーピングエア、及びセンターエアの空気温度、及び、気流速度である。紡糸ディスクの周りにおいて収集装置ベルト及びコロナリングにおける二重高電圧帯電が存在する。不織布ウェブの完成品は、静電荷を維持している。得られた不織布ウェブは、純粋なナノファイバーウェブと比較して強化された機械的特性を有する。
【0044】
このプロセスは、様々な繊維直径を有する繊維を生成する紡糸ディスクを利用する。この不織布ウェブは、少なくとも約65%の多孔性、多くとも約15μmの平均流量孔サイズ、及び125Paで約870cm3/cm2/分〜約6000cm3/cm2/分のフラジール形通気度を有する。不織布ウェブは、約5〜約100g/m2、及び、好ましくは約20g/m2〜約60g/m2の目付を有する。
【0045】
溶融紡糸可能なポリマーを形成する任意の繊維が使用可能である。例えば、ポリオレフィン、特にポリプロピレン及びブレンド物が使用可能である。
【0046】
不織布ウェブは、静電荷を有する。
【0047】
紡糸方法
初めに紡糸ディスクについての図1を考えると、繊維110は、紡糸ディスクのエッジの放出位置109から排出することを示している。繊維は、収集装置111に堆積される。典型的には、図1に図式的に示されるように、繊維は、収集装置の方に制御された方式にて流れず、収集装置に均一に堆積しない。本発明において使用される国際公開第2013096672号パンフレットのプロセスは、特に均一のウェブを作製する目的によって、回転部材から放出されるフィブリル及び繊維に空気及び静電荷を加えることによってこの状況を修正する。
【0048】
一実施形態においては、回転部材は、紡糸ディスク又は紡糸ボウルであるが、これら、及び繊維が放出されることができるエッジ又はオリフィス(「放出位置」)を有する任意の部材に限定されるものではない。次いで、プロセスは、少なくとも1つの熱可塑性ポリマーの紡糸溶融物又は溶液を、加熱された回転分配ディスク、カップ、又は前面繊維放出位置を有するその他の装置の内側紡糸表面に供給する工程を含むことができる。紡糸溶融物を分配して薄膜を形成し、且つ、放出位置の方へ分配するように、紡糸溶融物又は溶液(「紡糸流体」)は、内側紡糸面に沿って分配される。プロセスは、前面放出位置から連続した別々の溶融ポリマー繊維流を放出することから基本的になる放出工程を更に含むことができ、次いで、こうした繊維流又はフィブリルは、遠心力によって減衰されて、ポリマー繊維を生成する。放出位置から放射状に離れた部材によって導かれた気流によって、放出された繊維流は減衰されることができる。
【0049】
回転部材から繊維を生成するその他の手段が使用可能であることは、当業者に理解されるであろう。例えば、回転部材は、ポリマー溶融物又は溶液が放出される孔又はオリフィスを有することができる。回転部材は、カップ、或いは平坦な又は角度のあるディスクの形態であることができる。回転部材から形成されるフィブリル又は繊維は、空気、遠心力、電荷、又はそれらの組み合わせによって減衰されることができる。
【0050】
図1は、本発明の実施形態を実践するために使用可能な装置を図式的に示す。紡糸パックは、紡糸ディスク105を駆動するための回転中空軸101を含む。穴の開いた空気排出プレート104を有する繊維伸長ゾーン空気加熱リング103は、紡糸ディスクの周りで組み立てられる。シェーピングエアリング102は、伸張ゾーン空気リングの上に載置され、収集装置111に繊維を向けるために方向において垂直に下に空気を通す。針状組み立て体104を有する帯電されたリングは、繊維流110を帯電するために、伸張ゾーン空気加熱リング103の内側に配置される。空気ハブ108は、回転軸101における紡糸ディスク105の下に載置される。電荷を運ぶ傘形状の所望の繊維流110は、紡糸ディスク及びそのヒーターの隙間からの空気、伸張ゾーン空気、シェーピングエア、及び回転空気ハブからの気流の組合せからの気流場によって形成される。
【0051】
国際公開第2013/096672号パンフレットのプロセスを用いて、繊維をベルト収集装置に敷設して、ナノファイバー不織布ウェブを形成し、これは参照により本明細書に組み込まれる。真空ボックスウェブ敷設収集装置211は、全体の紡糸パックの下に配置されることができる。収集装置に対する紡糸パックの距離は、10cmから15cmの範囲であることができる。収集装置は、穴の開いた表面を有することができる。収集装置のコーナー及びエッジで最も高い真空強度を有する収集装置を真空にし、真空強度は、真空強度がゼロである収集装置の中心まで、収集装置のコーナー及びエッジから移動しながら段階的に減少する。
【0052】
本発明及びこれのプロセスを実現するために使用可能なウェブ構造は、図1を実現することによって得られる。製膜の不均衡性のため、薄膜は、中心からエッジまで放射状バンディングを伴い外向きに移動し、薄膜は厚さにおいて波形にみえる。ナノファイバーは、薄膜のより薄い領域から形成され、粗繊維は、薄膜の厚い領域から形成され、且つ、マイクロファイバーは、その間の薄膜領域から形成される。
【0053】
繊維は、遠心繊維又はナノファイバー紡糸に使用することができる熱可塑性樹脂のいずれから紡糸されることができる。これらとしては、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、及びポリトリメチルテレフタレート(PTT)、並びに、ナイロンなどのポリアミドなどの極性ポリマーが挙げられ、適切な無極性ポリマーとしては、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン(PB)、ポリエチレン(PE)、ポリ4−メチルペンテン(PMP)、及びそれらのコポリマー(EVAコポリマーを含む)、ポリスチレネポリメチルメタクリル酸(PMMA)、ポリトリフルオロクロロエチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、シリコーン、並びにこれらのブレンド物が挙げられる。
【0054】
帯電方法
任意の高電圧直流(d.c.)又は更には交流(a.c.)源を、本発明の静電場を供給するために使用することができる。電界場を使用して、紡糸流体に電荷を供給する。回転部材上にある間に、又は、フィブリル又は繊維の形態で放出されながら、又は更には、繊維が空気又は静電場による減衰の結果として形成された後に紡糸流体は帯電されることができる。回転部材に近接した帯電された構成要素によって生成するコロナ放電からのイオン電流によってなど、紡糸流体は、直接帯電されることができる。こうした帯電された構成要素の1つの例は、回転部材と同心であり、放出される溶融ポリマー又はポリマー溶液に或いはフィブリル又は繊維に近接して位置するリングであろう。
【0055】
紡糸流体、フィブリル、又はナノファイバーは、収集装置に又はその近くに保持される電荷から誘導によって帯電される場合さえある。
【0056】
帯電プロセスにおいて流される電流は、少ないことが望まれている(好ましくは10mA未満)。供給源は、静電場を構築することにおいて調整ができるように、可変的な電圧設定(例えば、0kV〜80kV)、好ましくはコロナリングにおいては−5kV〜−15kV、及び、収集プレートにおいては+50〜+70kV、並びに、好ましくは(−)及び(+)極性設定を有する。
【0057】
従って、ナノファイバーは、電場が繊維と収集装置の間に存在するように、収集装置に対して本発明のプロセスにおいて帯電される。収集装置は、例えば、回転部材に対してその下で、帯電プレート又はその近傍におけるその他の構成要素を介して、直接又は間接的に、接地又は帯電されることができる。
【0058】
ナノファイバーは、ポリマー溶融物、溶融又は溶液フィブリル、ナノファイバー、又はこれらの3つのロケーションの任意の組合せに対して、電荷を印加することによって、その帯電を達成することができる。
【0059】
繊維に近接した帯電された構成要素によって生じるコロナ放電及び得られたイオン電流によってなど、ナノファイバーは、直接帯電されることができる。こうした帯電された構成要素の1つの例は、回転部材と同心であり、放出される溶融ポリマー又はポリマー溶液に或いはフィブリル又は繊維に近接して位置するリングであろう。
【0060】
プロセス媒体としてのポリマー溶液の場合、溶液又はナノファイバーに対する帯電は、溶媒の高い電気伝導度のため主要な問題ではない。しかしながら、ポリマー溶融物又は溶融紡糸糸条の場合、帯電は、固体又は溶融状態におけるほとんどのポリマーの低い電気伝導率のため、容易及び些細なことではない。本発明においては、伸張ゾーンは、回動ボウルのエッジの周りの糸条形成のゾーンとして定義される。伸張ゾーンの温度は、遠心力によってナノファイバーに伸長されるフィブリル糸条を有するために糸条を溶融状態に保持するための鍵となる要素である。更に重要なことに、ポリマー溶融物及びフィブリル糸条がより効果的に帯電する温度形態が存在する。熱刺激電流(TSC)の方法によって測定される温度の関数としての溶融PPフィブリル糸条における静電電流。PPの場合、ポリマー溶融物及びフィブリル糸条がより効果的に帯電する温度形態は、約165℃〜195℃である。伸張ゾーンの最適な温度は、180℃である。無極性ポリマーにおける帯電剤を用いて、プロセスはより良好に作動する。
【0061】
空気を適用する方法
気流場は、気流の方向及び速度が特徴である2つの領域を有する。第1の領域は、回転部材からのフィブリル又は繊維の放出位置であり、この第1の領域における気流の方向は、回転部材の紡糸軸に対して基本的に直角である。気流は、回転部材の半径方向に沿うことができ、或いは、これに対して角度があることができ、空気は、回転部材に近接して位置する複数のノズルから供給されることができ、或いは、スロットから、又は回転部材のエッジの周りで連続方式で供給されることができる。空気は、紡糸軸から外側へ放射状に向かうことができ、或いは、空気が任意の所定のノズルから離れた位置で半径に対して角度を向くことができる。
【0062】
従って、空気は、回転部材の半径に位置する開口部を有するノズルから供給されることができ、気流は、0〜60度の半径に対して角度を向き、且つ、回転部材の回転の方向に対して反対方向にあることができる。
【0063】
第2の領域は、収集装置に近接した空間において、且つ、回転部材の周辺から離れてある。この領域においては、気流は、収集装置面に対して基本的に垂直である。従って、空気は、繊維が、繊維における静電荷、並びに、収集装置と回転部材の間の電場によってとめられる収集装置の面に繊維を導く。
【0064】
この領域の空気は、収集装置に向き合う面において、回転部材の下側に位置するノズルによって供給されることができる。ノズルは、収集装置に向けられることができる。
【0065】
回転部材の本体と収集装置面の間の領域から、収集装置に対して基本的に垂直である収集装置への空気の流れを、気流場は、更に含むことができる。
【0066】
本発明は、−20kVまでの静電荷、約70%〜約99.99%の濾過効率範囲、及び0.3直径ミクロン粒子における約2.5mmwg未満の空気抵抗を有する単一ソースのランダムに混ざり合わされた繊維ネットワークを含む単一層ポリマーエレクトレットナノファイバーウェブを含む空気濾過媒体に関する。
【0067】
ナノファイバーウェブは、(a)ナノファイバーウェブにおける繊維の少なくとも約65個数%は、約1000nm未満の数平均直径を有するナノファイバーであることと、(b)ナノファイバーウェブにおける繊維の多くとも約30個数%は、約1.0μm〜約3.0μmの数平均直径を有するマイクロファイバーであることと、(c)ナノファイバーウェブにおける繊維の多くとも約5個数%は、約3.0μmを超える数平均直径を有する粗繊維であることと、を含む。
【0068】
ナノファイバーウェブは、少なくとも約70%の多孔性、多くとも約15μmの平均流量孔サイズ、及び125Paで約870cm3/cm2/分〜約6000cm3/cm2/分のフラジール形通気度を有する。
【0069】
ナノファイバーウェブは、約5〜約100g/m2、又は更には約10g/m2〜約60g/m2の目付を有する。
【0070】
ナノファイバーウェブは、ポリプロピレン、及びブレンド物におけるポリプロピレンが異なるポリプロピレン−ポリプロピレンブレンド物からなる群から選択されるポリマーを含む。
【0071】
ナノファイバーウェブは、遠心溶融紡糸プロセスによって作製される。
【0072】
試験方法
以下の非限定的な実施例においては、以下の試験方法を使用して、様々な報告された特徴及び特性を決定した。ASTMは、米国材料試験協会(American Society of Testing Materials)を意味する。
【0073】
繊維サイズ測定
繊維直径を、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して測定した。細かさの異なるレベルにおける繊維形態を明らかにするために、SEM画像を、X25、X100、X250、X500、X1,000、X2,500、X5,000、及びX10,000の名目倍率で取得した。繊維直径の計数については、繊維を、5000x又は2500xの倍率で、少なくとも5つの(10つまで)画像から計数した。
【0074】
繊維を、倍率X500の画像から計数した。少なくとも400の繊維を個々にマークし計数した。X5000の5つの画像の領域が1339ミクロン2である一方、500x画像の領域は、36467ミクロン2である。両方の倍率で計数する同一領域を確実にするために、X5000で取得される計数は、36467/1339=27回で乗算した。個々の測定については、20回のX5000倍率の測定を繰り返し、X500倍率の測定とこれを連結させることによって、新しい複合測定データセットを作成した。これを行わない場合は、X5000での計数がより小さい繊維により影響され、且つ、X500での計数がより大きな繊維により影響されることから、データに取り入れられたバイアスが存在することになるであろう。同様に、X2500画像の領域は、1475ミクロン2であるので、両方の倍率で計数する同一領域を確実にするために、X2500で取得される計数は、4.8回、乗算した。個々の測定においては、5回のX2500倍率の測定を繰り返し、X500倍率の測定とこれを連結することによって、新しい複合測定データセットを作成した。
【0075】
目付は、ASTM D−3776によって決定しg/m2で報告された。
【0076】
ウェブの多孔性は、フィルターの全容積によって割算されたフィルターにおける流体空間の容積の比として定義され、材料の測定された孔容積及びバルク密度から計算されることができる。試料の多孔性は、各試料における目付及び厚さ測定から算出した。実際には、シートの目付(BW)は、試料領域(A)によって割算される所定の試料サイズ(W)の重量によって算出される。シートの横方向にわたる固定領域の3つの試料を打ち出し、標準バランスを使用してそれらを秤量することで、試料シートの目付を測定した。従って、この試料サイズの容積は、δが試料の厚さであるA×δである。厚さを、10kPaの圧力でCheckline MTG−D厚さゲージを用いて測定し、横方向にわたる試料の異なる位置で3回の測定にわたり平均化した。試料の重量は、試料容積における繊維の重量である。シートの固体区分がφであり、且つ、バルクポリマー密度がρである場合、
W=φρA×δ。
BW=W/Aであることから、従って、φ=BW/ρδ、及びポリマー密度ρ、
多孔性=1−個体区分
=1−BW/ρδ。
【0077】
フラジール形通気度は、空気の特定容積が試験片を通過することに必要な時間の尺度である。液封を使用してチャンバーの中で空気容積を捕捉する重力装荷シリンダーによって、空気圧力が発生する。空気のこの加圧容積は、試験片を保持する締結ガスケットリングに向けられる。試料片を通過する空気は、下流の締結プレートにおける孔を通り大気に逃げる。フラジール形通気度測定は、両者ともFrazier Precision Instrument Co Inc.(Hagerstown,Maryland)によって製造された、FAP−5390F3又はFX3300装置を使用して実行した。
【0078】
FAP−5390F3装置を使用することにおいては、試験片を試料スタンドにて載置する。傾斜型空気圧力ゲージが、圧力調整使用のためのレジスターを用いて水柱で12.7cmの圧力を示すように、ポンプを調整する。垂直型空気圧力ゲージの観察されるスケール表示及び使用されるオリフィスの種類から、空気量が試験片を通り、得られる。ノズルのサイズは、材料の多孔性により変動した。
【0079】
FX3300装置を使用することにおいては、強力なマッフル型真空ポンプは、円形開口部を有する交換可能な試験ヘッドを通して空気を吸い込む。測定においては、選択された試験標準に適切な試験ヘッドを装置に載置する。真空ポンプを自動的に開始するクランプアームを押圧することによって試験ヘッド開口部にわたり試験片を固定する。予め選択された試験圧は自動的に維持され、数秒後に、試験片の空気透過性は、予め選択された測定単位においてデジタル的に示される。二度目にクランプアームを押圧することによって、試験片が開放され、真空ポンプは遮断される。試験片が試験ヘッド開口部にわたり適所に固定される場合、真空ポンプは自動的に開始することから、試験片が固定された後にのみ、試験圧は増大する。試験圧は、試験標準に従ってデジタル的に予め選択される。試験圧は装置によって自動的に制御され維持される。正確な示差測定により、高い気流速度でさえも、試験圧は正確に測定される。試験片を通る気流は、可変オリフィスで測定される。試験片の空気透過性は、このオリフィスにわたる圧力損失から決定され、直読用の選択された測定単位においてデジタル的に表示される。高い安定性の精度の高い圧力センサーは、試験結果の優れた測定精度及び再現性を与える。
【0080】
この測定においては、124.5N/mの圧力差が、適切に固定された媒体試料に適用され、結果として生じる気流速度は、フラジール形通気度として測定され、cm/分/cmの単位で報告される。フラジール形通気度は、目付でフラジール形通気度を乗算することによって34g/mの目付に標準化され、34で割算されてcm/分/cmで報告される。高いフラジール形通気度は、高い気流透過性に対応し、且つ、低いフラジール形通気度は、低い気流透過性に対応する。
【0081】
フラックスバリアは、空気又は液流を犠牲にすることのない小粒子濾過効率の尺度である。その特性は、ミクロンでの平均流量孔サイズで割算されたフラジール形通気度3/m2分として定義される。
【0082】
静電荷(E.S.)を、SIMCO FMX−003 Electrostatic Fieldmeterを使用して測定した。FMX−003は、1”の距離で+/−22kV(22,000V)内の静電圧を測定する。
【0083】
平均流量孔サイズを、ASTM E 1294−89、「Standard Test Method for Pore Size Characteristics of Membrane Filters Using Automated Liquid Porosimeter」に従って測定した。異なるサイズ(8、20、又は30mm直径)の個々の試料を、前述の通り低い表面張力流体で湿潤させ保持具に置き、空気の圧力差を適用し試料から流体を除去した。湿潤した流れは、乾燥した流れ(湿潤溶媒のない流れ)の2分の1に等しい圧力差を使用して、供給されたソフトウェアを用いて平均流量孔サイズを算出する。平均流量孔サイズは、μmで報告された。
【0084】
バブルポイント(Bubble Point)を、ASTM F316、「Standard Test Methods for Pore Size Characteristics of Membrane Filters by Bubble Point and Mean Flow Pore Test」に従って測定した。個々の試料(8、20、又は30mm直径)を、前述の通り低い表面張力流体で湿潤させた。保持具に試料を配置した後に、圧力差(空気)を適用し、流体を試料から除去した。バブルポイントは、圧縮空気圧を試料シートに適用し、ベンダー供給のソフトウェアを使用して算出した後の第1の開放孔であった。微細粒子平坦シート負荷試験(Fine Particle Flat Sheet Loading Test)を、以下の通り測定した。典型的には、ASHRAEダスト(ASHRAE dust)及びISO微細ダスト(ISO fine dust)を、フィルター並びにフィルター媒体のためのダスト保持容量試験における試験エアゾールとして使用する。しかしながら、ダストのこれらの2つの種類のサイズ(15ミクロン質量平均直径を超える)は、特にプレフィルターを使用して大きな粒子を除去する場合に、高効率エアーフィルターがフィールド適用において要求されるダストのサイズを反映していない。プレフィルターを備えた空気処理システムにおける我々のフィールド測定は、3ミクロン超の粒子は稀であり、0.3〜10ミクロンサイズの範囲にあり、約60質量%の粒子は、0.3〜0.5ミクロンサイズの範囲にあることを示している。従って、ASHRAE及びISO微細試験エアゾールを使用する既存のダスト保持試験は、実生活の状況におけるフィルター媒体ダスト保持容量を正確に予測することはない。この課題を解決するために、0.26ミクロンの質量平均直径を有する試験エアゾールを使用した微細粒子ダスト負荷試験が開発された。
【0085】
微細粒子ダスト負荷試験を、11.3cm直径の円形開口部(面積=100cm2)を用いた自動化したフィルター試験(TSI Model No.8130)を使用して平坦シート媒体について行った。2重量%の塩化ナトリウム水溶液を使用して、0.26ミクロンの質量平均直径を有する微細エアゾールを生成し、負荷試験において使用した。気流速度は、6.67cm/秒の面速度に対応する40リットル/分であった。装置製造業者によれば、エアゾール濃度は、約16mg/m3であった。濾過効率及び初期圧力損失を、試験の始めに測定し、最終圧力損失を、試験の終わりに測定する。圧力損失の増加は、初期圧力損失を最終圧力損失から減算することによって算出される。
【0086】
濾過効率測定を、11.3cm直径の円形開口部(面積=100cm2)を用いた自動化したフィルター試験(TSI Model No.8130)を使用して平坦シート媒体について行った。2重量%の塩化ナトリウム水溶液を使用して、0.26ミクロンの質量平均直径を有する微細エアゾールを生成した。気流速度は、6.67cm/秒の面速度に対応する40リットル/分であった。濾過効率及び初期圧力損失を、試験の始めに測定し記録した。
【0087】
濾過効率(FE)及び圧力損失(dP)を、以下の通り測定した。TSI 3160濾過テスター(The Model 3160 Automated Filter Tester)を使用して、フィルター効率及び浸透対粒径を測定した。周知の粒径でのフィルター及び/又はフィルター媒体への試みは、噴霧器及び静電分級器を使用して行われ粒子を生成する。上流及び下流の粒子検出は、tow粒子凝縮カウンターを使用して実行する。測定は、10.5ft/分にて0.3ミクロン粒子で行った。
【0088】
効率インデックス(EI)は、−log(1−FE/100)として定義される。
【0089】
抵抗は、EN 1822(1998)に記載の試験方法を用いて測定される抵抗(圧力損失)を意味する。空気抵抗は、「水量ゲージ」又は「mmWG」と称される単位において測定される。
【実施例】
【0090】
連続繊維からなるナノファイバーウェブ媒体を、米国特許第8,277,711号明細書の遠心溶融紡糸プロセスを使用するのと同様の方法で作製した。本発明の実施例は、製膜の不均衡性を生じさせるために、温度、溶融供給速度、及びディスク回転速度における操作の変更を組み込みことによって行われ、相対的により厚い膜は、中心からエッジまで放射状バンディングを伴い外向きに移動し、膜は厚さにおいて波形にみえる。ナノファイバーは、薄膜のより薄い領域から形成され、粗繊維は、薄膜の厚い領域から形成され、且つ、マイクロファイバーは、その間の薄膜領域から形成される。繊維をウェブ媒体に敷設するプロセスは、国際公開第2013/096672号パンフレットのプロセスであった。
【0091】
実施例においては、空気濾過媒体を、図1に図示した装置を使用した紡糸ディスクによって作製した。実施例において使用したポリマーは、40%の高分子量(Mw)PPホモポリマーFinplas 3825と、60%の低分子量(Mw)PPホモポリマーE−M PP3546Gのポリプロピレン(PP)ブレンド物である。Exxon−Mobileから得られたPP3546Gは、Mw=28,400g/mol、溶融流体速度=1800g/10分(230℃/2.16kg)であり、且つ、ゼロずり粘度は、260℃で4.00Pa・Sである。TOTAL Petrochemicals USAから得られたFinplas 3825は、Mw=176,000g/mol、溶融流体速度=30g/10分(230℃/2.16kg)であり、且つ、ゼロずり粘度は、260℃で186.35Pa・Sである。
【0092】
特に明記しない限り、商用材料から得られた比較例では、入手したままの状態で使用した。
【0093】
実施例1
連続繊維からなるポリプロピレン(PP)媒体は、152.4mm直径の紡糸ディスクを用いて、米国特許第8,277,711号明細書の遠心溶融紡糸プロセスを使用して作製した。ギヤポンプを有するPRISM押し出し機を使用して、ポリマー溶融物を、溶融転写ラインを通して回転紡糸ディスクに送達した。押し出し温度を240℃に設定した。溶融転写ラインからの紡糸溶融物の温度を、300℃に設定し、溶融供給速度は、10グラム/分であった。紡糸ディスクに対する空気加熱装置の温度設定点は、290℃であった。紡糸ディスクの回転速度を、一定の10,000rpmに設定した。国際公開第2013/096672号パンフレットのプロセスを使用して、繊維をベルト収集装置に敷設して、PPウェブ媒体を形成し、これは参照により本明細書に組み込まれる。繊維のウェブ敷設は、設計された気流場及び帯電配置の組合せによって制御される。気流場の操作パラメーターは、中空回転軸及び反旋回ハブを介して適用された、伸長ゾーンエア、シェーピングエア、及びセンターエアの空気温度、及び、気流速度である。紡糸ディスクの周りにおいて収集装置ベルト及びコロナリングにおける二重高電圧帯電が存在する。ウェブを、紡糸ディスクの下で距離をおいて敷設する。紡糸筐体温度は40℃であり、且つ、湿度は11%であり、収集装置ベルトにおいて+70kV及び0.23mAの、コロナリングにおいて−11.5kV及び0.58mAの二重高電圧帯電を有する。伸張ゾーンエアーフローを、220℃及び8.0SCFMに設定した。シェーピングエアフローを、80℃及び12.0SCFMに設定した。中空回転軸及び反旋回ハブを通るセンターエアーフローを、25℃及び1.5SCFMに設定した。ベルトは152.4cm/分で移動し12.7cmの敷設距離で、ベルト収集装置にナノファイバーウェブを敷設した。
【0094】
繊維サイズは、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して画像から測定した。繊維は、平均=598nm及び中央値=389nmの全繊維の繊維直径を有すると決定された。平均=426nm及び中央値=374nmの83.88%のナノファイバー、平均=1.539μm及び中央値=1.337μmの13.89%のマイクロファイバー、平均=5.149μm及び中央値=5.16μmの2.2%の粗繊維が存在する。
【0095】
紡糸したままのウェブに残留する静電荷は、−12.2kVであった。実施例1−1、実施例1−2、及び実施例1−3は、ウェブロールのトリミング及び巻き返しなどの、後工程後に作製され、空気濾過媒体に残留した静電荷は、−9.7kV、−9.8kV、及び−10kVであった。媒体構造及び濾過特性の詳細なデータを、表1及び表2に示す。
【0096】
実施例2
実施例2では、以下の変更を伴う実施例1と同様の条件の下で同一のPPブレンド物を作製した。溶融転写ラインからの紡糸溶融物の温度を、300℃に設定し、溶融供給速度は、5グラム/分であった。紡糸ディスクに対する空気加熱装置の温度設定点は、290℃であった。ベルトは45.72cm/分で移動し12.7cmの敷設距離で、ナノファイバーウェブをベルト収集装置に敷設した。紡糸筐体温度は24℃であり、且つ、湿度は11%であり、収集装置ベルトにおいて+70kV及び0.21mAの、コロナリングにおいて−11.7kV及び0.49mAの二重高電圧帯電を有する。伸張ゾーンエアーフローを、200℃及び8.0SCFMに設定した。シェーピングエアフローを、80℃及び12.0SCFMに設定した。中空回転軸及び反旋回ハブを通るセンターエアーフローを、25℃及び1.5SCFMに設定した。
【0097】
繊維サイズは、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して画像から測定した。繊維は、平均=940nm及び中央値=553nmの全繊維の繊維直径を有すると決定された。平均=477nm及び中央値=400nmの74.4%のナノファイバー、平均=1.577μm及び中央値=1.50μmの22%のマイクロファイバー、平均=6.407μm及び中央値=5.05μmの3.6%の粗繊維が存在する。紡糸したままのウェブに残留する静電荷は、−12.2kVであった。実施例2−1、実施例2−2、及び実施例2−3は、ウェブロールのトリミング及び巻き返しなどの、後工程後に作製され、空気濾過媒体に残留した静電荷は、−0.8kV、−0.5kV、及び−0.4kVであった。媒体構造及び濾過特性の詳細なデータを、表1及び表2に示す。
【0098】
実施例3
実施例3では、以下の変更を伴う実施例1と同様の条件の下で同一のPPブレンド物を作製した。溶融転写ラインからの紡糸溶融物の温度を、300℃に設定し、溶融供給速度は、5グラム/分であった。紡糸ディスクに対する空気加熱装置の温度設定点は、290℃であった。ベルトは150cm/分で移動し12.7cmの敷設距離で、ナノファイバーウェブをベルト収集装置に敷設した。紡糸筐体温度は44℃であり、且つ、湿度は13%であり、収集装置ベルトにおいて+70kV及び0.21mAの、コロナリングにおいて−11.7kV及び0.49mAの二重高電圧帯電を有する。伸張ゾーンエアーフローを、200℃及び8.0SCFMに設定した。シェーピングエアフローを、80℃及び12.0SCFMに設定した。中空回転軸及び反旋回ハブを通るセンターエアーフローを、25℃及び1.5SCFMに設定した。
【0099】
繊維サイズは、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して画像から測定した。繊維は、平均=510nm及び中央値=340nmの全繊維の繊維直径を有すると決定した。平均=350nm及び中央値=310nmの89.31%のナノファイバー、平均=1.71μm及び中央値=1.65μmの10.33%のマイクロファイバー、平均=5.17μm及び中央値=5.09μmの0.37%の粗繊維が存在する。
【0100】
紡糸したままのウェブに残留する静電荷は、−15.8kVであった。実施例3−1、実施例3−2、及び実施例3−3は、ウェブロールのトリミング及び巻き返しなどの、後工程後に作製され、空気濾過媒体に残留した静電荷は、−12.8kV、−11.5kV、及び−10.4kVであった。媒体構造及び濾過特性の詳細なデータを、表1及び表2に示す。
【0101】
比較例1
比較例1は、米国特許出願公開第2008/0023888号明細書のプロセスに従ってメルトブロー装置を使用して作製したメルトブローポリプロピレン媒体であった。3つのメルトブローダイ
ダイ#1:直径0.12mmの紡糸オリフィス(孔)及び60:1の直径に対する長さの比を有する、100孔/インチのミクロンメルトブローダイ
ダイ#2:直径0.12mmの紡糸オリフィス(孔)及び150:1の直径に対する長さの比を有する、100孔/インチのナノメルトブローダイ
ダイ#3:直径0.06mmの紡糸オリフィス(孔)及び30:1の直径に対する長さの比を有する、200孔/インチのミクロンメルトブローダイ
を使用した。
【0102】
PPポリマー溶融温度は、245℃であり、パック圧力は、620psiであり、エアギャップは、0.048cmであり、空気加熱装置を287℃に設定し、実際のブローエアーは223℃である。繊維を16.5cmの形成距離でスクリムに堆積させた。
【0103】
比較例1−1を、0.3グラム/孔/分を有するExxon MTS 1500 PPから作製した。1136nmの平均直径の約25gsmのPP繊維を、ウェブ試料として収集した。
【0104】
比較例1−2を、0.66キログラム/孔/分でダイ#3よりPP MFR=1800から作製した。320nmの平均直径の約4gsmのPP繊維を、16gsmのスパンボンドPPスクリムに堆積させて、19.22gsmのウェブを作製した。
【0105】
比較例1−3を、0.71キログラム/孔/分でダイ#3よりPP MFR=1500から作製した。320nmの平均直径の約25gsmのPP繊維を、8gsmのスパンボンドPPスクリムに堆積させて、19.22gsmのウェブを作製した。
【0106】
比較例1−4を、0.83キログラム/孔/分でダイ#2よりPP MFR=1800から作製した。320nmの平均直径の約1gsmのPP繊維を、17gsmのスパンボンドPPスクリムに堆積させて、17.38gsmのウェブを作製した。
【0107】
静電荷はこれらの試料に存在しなかった。ウェブ特性のその他の詳細なデータを、表1及び表2に示す。
【0108】
比較例2
比較例2は、得られた溶液エレクトロブローナイロン媒体であった。国際公開第2003/080905号パンフレットに記載の通り、ギ酸に溶解したポリアミド−6,6の24%溶液をエレクトロブローすることによって紡糸し、ナノウェブを作製した。比較例2−1は、約350nmの数平均繊維直径を有する。比較例2−2は、約400nmの数平均繊維直径を有する。比較例2−3は、約600nmの数平均繊維直径を有する。
【0109】
残留静電荷は試料に存在しなかった。ウェブ特性のその他の詳細なデータを、表2に示す。
【0110】
比較例3及び4
比較例3及び4は、3Mからの商用のフィルターMax.Allergenから得られたメルトブローポリプロピレン媒体であった。比較例3では放電された。比較例4では入手したままの状態で使用した。
【0111】
比較例5
比較例5は、帯電メルトブローナノファイバー空気濾過媒体であった。
【0112】
単層エレクトレットナノファイバーウェブは、前述の通り、変更された操作条件によって、米国特許第8,277,711号明細書のノズルフリー遠心溶融紡糸プロセスによって作製されることができ、且つ、得られたナノファイバーは、ベルト収集装置に敷設されて、国際公開第2013/096672号パンフレットのプロセスを使用してウェブ媒体を形成することができる。大多数のナノファイバーの混ざり合わされた繊維ネットワークと、小さいパーセンテージのマイクロファイバーと、いくつかの粗繊維と、を含む単層エレクトレットナノファイバーウェブは、単一ソースとして単一プロセスを通して作製されることができる。得られたナノファイバーウェブは、約1000nm未満の全繊維の数平均繊維直径を有する。500nm未満の平均値の及び中央値の直径を有する少なくとも65%のナノファイバーが存在する。多くとも30%のマイクロファイバーが存在し、残りは粗繊維である。不織布ウェブへの繊維の敷設を補助することに使用する最適化された静電荷は、得られたウェブをエレクトレットにする。ウェブにおける静電は、約少なくとも−8.0kVであり、トリミング、巻き返し、及びカレンダーなどの、紡糸後の8ヵ月でロール・ツー・ロールの後工程の後でさえ、ウェブにおいて少なくとも−3.0kVに留まった。
【0113】
本発明における単層ポリマーエレクトレット不織布繊維ウェブを、空気濾過媒体として試験した。
【0114】
本発明における実施例は、エレクトロブローウェブ、メルトブローナノファイバーウェブ、及びメルトブローマイクロファイバー不織布ウェブから作製した非帯電の比較例に比べて、より良好な濾過効率及びより低い抵抗を有する。本発明におけるより高い帯電及びより小さい繊維直径を有する実施例は、帯電メルトブローナノファイバーウェブから作製した非帯電の比較例に比べて、より良好な濾過効率及びより低い抵抗を有することを、図3は示している。
【0115】
【表1】
【0116】
【表2】
次に、本発明の好ましい態様を示す。
1. −20kVまでの静電荷、約70%〜約99.99%の濾過効率範囲、及び0.3直径ミクロン粒子における約2.5mmwg未満の空気抵抗を有する単一ソースのランダムに混ざり合わされた繊維ネットワークを含む単一層ポリマーエレクトレットナノファイバーウェブを含む空気濾過媒体。
2. 前記ナノファイバーウェブは、
(a)前記ナノファイバーウェブにおける繊維の少なくとも約65個数%は、約1000nm未満の数平均直径を有するナノファイバーであることと、
(b)前記ナノファイバーウェブにおける繊維の多くとも約30個数%は、約1.0μm〜約3.0μmの数平均直径を有するマイクロファイバーであることと、
(c)前記ナノファイバーウェブにおける繊維の多くとも約5個数%は、約3.0μmを超える数平均直径を有する粗繊維であることと、
を含む、上記1に記載の空気濾過媒体。
3. 前記ナノファイバーウェブは、少なくとも約70%の多孔性、多くとも約15μmの平均流量孔サイズ、及び125Paで約870cm3/cm2/分〜約6000cm3/cm2/分のフレーザー空気透過性を有する、上記1に記載の空気濾過媒体。
4. 前記ナノファイバーウェブは、約5〜約100g/m2の目付を有する、上記1に記載の空気濾過媒体。
5. 前記ナノファイバーウェブは、約10g/m2〜約60g/m2の目付を有する、上記1に記載の空気濾過媒体。
6. 前記ナノファイバーウェブは、約10g/m2〜約20g/m2の目付を有する、上記5に記載の空気濾過媒体。
7. 前記ナノファイバーウェブは、ポリプロピレン、及びブレンド物におけるポリプロピレンが異なるポリプロピレン−ポリプロピレンブレンド物からなる群から選択されるポリマーを含む、上記1に記載の空気濾過媒体。
8. 前記ナノファイバーウェブは、遠心溶融紡糸プロセスによって作製される、上記1に記載の空気濾過媒体。
図1
図2
図3