特許第6554467号(P6554467)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6554467タイヤのベルト及びトレッドを製造するためのドラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6554467
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】タイヤのベルト及びトレッドを製造するためのドラム
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/28 20060101AFI20190722BHJP
   B29D 30/26 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   B29D30/28
   B29D30/26
【請求項の数】24
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-534554(P2016-534554)
(86)(22)【出願日】2014年8月14日
(65)【公表番号】特表2016-528075(P2016-528075A)
(43)【公表日】2016年9月15日
(86)【国際出願番号】NL2014050562
(87)【国際公開番号】WO2015023183
(87)【国際公開日】20150219
【審査請求日】2017年7月14日
(31)【優先権主張番号】2011308
(32)【優先日】2013年8月15日
(33)【優先権主張国】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】512317940
【氏名又は名称】ブイエムアイ ホランド ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】ダイクストラ、レーン
(72)【発明者】
【氏名】グロルマン、ヘンク ジャン
【審査官】 松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−198991(JP,A)
【文献】 特開2010−105246(JP,A)
【文献】 特開2010−069733(JP,A)
【文献】 特開2001−212889(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02286986(EP,A1)
【文献】 特開2007−185887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/24−30/26
B29D 30/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト層とトレッド層のパッケージを略円筒状のタイヤ部品となるように製造する方法において、
ドラム中心線の回りに回動自在であり、前記タイヤ部品のための剛体の支持面を備えたベルト及びトレッドドラムを提供する工程であって、前記剛体の支持面は前記ドラムの外方に面する周面に位置しており、前記ベルト及びトレッドドラムは前記ドラムの略縦方向に離隔して配置されている2個の支持部材を備え、前記支持部材は各々前記ドラム中心線から離れて面し且つ前記剛体の支持面について半径方向に移動自在であるトレッド支持面を備え、前記支持部材は前記トレッド支持面が前記剛体の支持面もしくはその近くに配置されている後退位置に配置されている工程と;
前記剛体の支持面上の前記ベルト及びトレッドドラムの回りに一もしくはそれ以上のベルト層を配置する工程であって、前記一もしくはそれ以上のベルト層は前記2個の支持部材間で延在すべく配置されている工程と;
前記剛体の支持面に対して前記支持部材を降起位置内に動かす工程であって、前記トレッド支持面は前記剛体の支持面に対して半径方向外方の位置に配置される工程と;
前記一もしくはそれ以上のベルト層上の前記ベルト及びトレッドドラムの回りにトレッド層を配置する工程であって、当該トレッド層の先端部及び後端部は重なり領域において重なっており、前記トレッド層は前記重なり領域が前記各トレッド支持面の頂部に部分的に位置するように配置される工程と;
前記トレッド層の前記重なっている先端部及び後端部を一緒にスティチするスティチロールを備えるスティチデバイスを用いる工程と;を含む
方法。
【請求項2】
前記各トレッド支持面は前記ドラムの前記略縦方向に移動され、前記各トレッド支持面は前記各支持部材間の距離を前記一もしくはそれ以上のベルト層の幅に調整するために互いに向いてもしくは互いに離隔して移動される
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記隆起位置における前記各トレッド支持面と前記剛体の支持面との間の半径方向の距離は特定のタイヤデザイン用の一もしくはそれ以上のベルト層の厚さに調整される
る請求項1もしくは2に記載の方法。
【請求項4】
前記後退位置における前記各トレッド支持面と前記剛体の支持面との間の半径方向の距離は特定のタイヤデザイン用の一もしくはそれ以上のベルト層の前記厚さより小さくなるように配置されている
請求項1、2もしくは3に記載の方法。
【請求項5】
前記後退位置における前記支持部材は前記剛体の支持面に対してもしくはそれに隣接して配置されている
請求項1乃至4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記後退位置における各トレッド支持面は前記剛体の支持面と同じ高さであるかもしくはそれより下である
請求項1、2もしくは3に記載の方法。
【請求項7】
前記ドラム中心線に並列に延在する支持部材中心線に沿って双方の支持部材が配置されており、前記各支持部材の間の前記距離を前記一もしくはそれ以上のベルト層の幅に調整するための前記支持部材中心線に沿って前記各支持部材は移動される
請求項1乃至6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記ステッチロールはステッチロール中心線の回りに回動自在であり、前記ステッチロールは前記ドラム中心線に略平行に配置されている
請求項1乃至7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
前記ステッチロールは複数の略同一のデスクを備えており、前記各デスクの各々は少なくとも回動自在な外周を有し、前記各デスクは前記ベルト及びトレッドドラムに相対的に半径方向に略個別に移動自在である
請求項1乃至8のいずれかの一つに記載の方法。
【請求項10】
前記トレッド層は前記ベルト層よりも幅が広く、そして前記ベルト及びトレッドドラムの前記縦方向の前記トレッド層の前記各エッジは前記ベルト層によって支持されておらず、
前記各トレッド支持面は前記隆起位置におけるベルト層の両側における前記重なり領域で前記ベルト及びトレッドドラムの前記トレッド層の前記各エッジを支持する
請求項1乃至9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
前記各トレッド支持面は前記隆起位置におけるベルト層の両側における前記重なり領域で前記ベルト及びトレッドドラムの前記周方向に局在的にのみ前記トレッド層の前記各エッジを支持する
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記各トレッド支持面は前記隆起位置におけるベルト層の両側における前記重なり領域のみで前記トレッド層の前記各エッジを支持する
請求項10もしくは11に記載の方法。
【請求項13】
ベルト層とトレッド層のパッケージを略円筒状のタイヤ部品となるように製造するためのベルト及びドラムであって、前記ベルト及びトレッドドラムはドラム中心線の回りに回動自在であり、更に前記ベルト及びトレッドドラムの外方に面する周面に位置した前記タイヤ部品のための剛体の支持面を備えており、
前記ベルト及びトレッドドラムは当該ベルト及びトレッドドラムの略縦方向に離隔して配置されている2個の支持部材を備え、
前記支持部材は各々前記ドラム中心線から離れて面するトレッド支持面を有し、前記トレッド支持面は、前記トレッド支持面が前記剛体の支持面もしくはその近くに配置される後退位置から前記トレッド支持面が前記剛体の支持面に対して半径方向外方の位置に配置される隆起位置まで前記剛体の支持面に対して半径方向に移動自在であり、又逆も同様であり;
前記剛体の支持面は前記2個のトレッド支持面の間の前記ベルト層を受けるように配置されており、
前記ベルト及びトレッドドラムは前記トレッド層の先端部及び後端部が重ね合わせ領域において重なっている状態で前記ベルト層の上の外方の対向周面の回りに前記トレッド層を受けるために配置されており、前記トレッド層は前記ベルト層よりも幅が広く且つ前記ベルト及びトレッドドラムの前記縦方向における前記トレッド層の前記各エッジは前記ベルト層によって支持されておらず、
前記隆起位置における前記各トレッド支持面はベルト層の両側における前記重ね合わせ領域で前記トレッド層の前記各エッジを、前記ベルト及びトレッドドラムの周方向に局在的にのみ、支持するために配置されており、
前記各トレッド支持面は前記ドラムの前記略縦方向に移動自在である
ベルト及びトレッドドラム。
【請求項14】
前記各トレッド支持面は前記隆起位置内のベルト層の両側における前記重なり領域においてのみ前記トレッド層の前記各エッジを支持するために配置されている
請求項13に記載のベルト及びトレッドドラム。
【請求項15】
前記各トレッド支持面は前記各支持部材の間の前記距離を調整するためにお互い向けてもしくはお互いに離隔して移動自在である
請求項13もしくは14に記載のベルト及びトレッドドラム。
【請求項16】
前記隆起位置における前記トレッド支持面と前記剛体の支持面との間の半径方向距離はある特定タイヤデザインのための前記一もしくはそれ以上のベルト層の前記厚さに調整可能である
請求項13、14、もしくは15のいずれか一つに記載のベルト及びトレッドドラム。
【請求項17】
前記後退位置における前記各トレッド支持面と前記剛体の支持面との間の半径方向の距離は、特定のタイヤデザイン用の一もしくはそれ以上のベルト層の前記厚さ以下となるように整えられている
請求項13乃至16のいずれか一つに記載のベルト及びトレッドドラム。
【請求項18】
前記後退位置における前記支持部材は前記剛体の支持面に対してもしくはそれに隣接して配置されている
請求項13乃至17のいずれか一つに記載のベルト及びトレッドドラム。
【請求項19】
前記後退位置における前記各トレッド支持面は前記剛体の支持面に略同一高さもしくはそれより低く配置されている
請求項13乃至16のいずれか一つに記載のベルト及びトレッドドラム。
【請求項20】
双方の支持部材は前記ドラム中心線に平行に延在する支持部材中心線に沿って配置されている
請求項13乃至19のいずれか一つに記載のベルト及びトレッドドラム。
【請求項21】
前記各支持部材は前記支持部材中心線に沿って移動自在である
請求項20に記載のベルト及びトレッドドラム。
【請求項22】
ベルト層とトレッド層のパッケージを略円筒状のタイヤ部品となるように製造する装置において、
前記請求項13乃至21のいずれか一つに記載のベルト及びトレッドドラムと;
前記各トレッド支持面を少なくとも部分的に転動するように及びそれに対抗して押し突けるように配置されているタイヤ部品をスティチするために配置されているスティチロールを備えたスティチデバイスと;を備える
装置。
【請求項23】
前記スティチロールはスティチロール中心線の回りに回動自在であり、当該スティチロール中心線は前記ドラム中心線に略平行に配置されている
請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記スティチロールは複数の略同一のデスクを備えており、当該デスクの各々は少なくとも回動可能な外周を有しており、そして前記各デスクは前記ベルト及びトレッドドラムに相対的に半径方向に略個別に移動自在である
請求項22もしくは23に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドラム上に一もしくはそれ以上のベルト層とトレッド層を備えた円筒状のタイヤ部品を製造する方法に関する。本発明はベルト及びトレッドドラムに更に関し、特に一もしくはそれ以上のベルト層を前記ドラムの周面上に、更にこの一もしくはそれ以上のベルト層の頂部にトレッド層を適用するために配置されたドラムに関する。
【背景技術】
【0002】
このような円筒状のタイヤ部品を製造する際、第1の一もしくはそれ以上のベルト層が前記ベルト及びトレッドドラムの上に配置される。これらのベルト層は前記ベルト及びトレッドドラムの周面上への前記各ベルト層の移送の間、前記ベルト及びトレッドドラムに近接して配置されているベルトコンべイヤから通常供給される。前記ベルト及びトレッドドラムの周面上への前記各ベルト層の移送の間、前記ベルト及びトレッドドラムに近接して配置されているベルトコンベイヤから通常供給される。前記ベルト及びトレッドドラムの周面上への前記各ベルト層の移送の間、前記ベルトコンベイヤと前記ベルト及びトレッドドラムの周面は略同期して移動する。前記ベルト及びトレッドドラムへの前記ベルトコンベイヤの近接配置のために、前記ベルト及びトレッドドラムの周面には突出部がない。何故ならば、何等かのそのような突出部は前記ベルトコンベイヤに打ち当たってこのベルトコンベイヤを損傷させるかおよび/もしくは移送プロセスを妨害する可能性があるためである。これらのベルト層が前記周面上に配置される際、これらのベルト層はスティチローラを用いてスティチされる。
【0003】
次に、トレッド層を所定の長さに切断して既に配列された一もしくはそれ以上のベルト層の頂部に前記ベルト及びトレッドドラムの回りに巻回され、前記円筒状のタイヤ部品を完成させる。この切断面は前記トレッド層の縦方向に略垂直に、そして前記トレッド層の表面に対してある傾斜角度で延在する。前記トレッド層が前記ベルト及びトレッドドラム上に配置される際、前記トレッド層の先端部及び後端部は、トレッドスプライスとしても示されるように重なって配置される。このトレッドスプライスはスティチローラを用いて少なくとも部分的にスティチされる。
【0004】
好ましくは、例えば国際特許出願第98/18613号に記載されているマルチ・デスクスティチローラは、前記ベルト及びトレッドドラムの上に前記各ベルト層をスティチするために使用される。このようなスティチローラは複数の略同一のデスクを備えており、これらのデスクは各々少なくとも回動可能な外周を有し、そして前記各デスクは前記ベルト及びトレッドドラムと相対的に半径方向に略個別に移動自在である。この実施の形態のスティチデバイスは前記トレッド層の断面及び形状に適合可能であり、そしてこのトレッド層の輪郭もしくは形状に略独立に前記先端部及び後端部を一緒にスティチするために必要な押圧力を提供することができる。
【0005】
前記トレッド層の幅が前記各ベルト層の幅よりも大きい場合には、前記各ベルト層を超えて延在するトレッド層の部分は前記スティチローラが圧力をこの部分に作用させる際、変形するかもしくは損傷する可能性がある。更に、このトレッド層の前記先端部及び後端部は互いに離隔して押し付けられる可能性があり、そしてもはや適当な重なりは存在しないこととなる。これらの現象の一つもしくはそれ以上のものに起因して、前記トレッドスプライスは少なくとも適切にスティチされない。
【0006】
適当なスティチされたトレッドスプライスを入手する一つの方法は前記各ベルト層を超えて延在する前記トレッド層の部分を手でスティチすることである。しかしながら、この解法は非常に労働力を要するものである。
【0007】
本発明の目的はトレッド層の各エッジを実質的に損傷することなくその上にトレッドスプライスをスティチすることができるベルト及びトレッドドラムを提供することである。
【発明の概要】
【0008】
第1の態様によれば、本発明はベルト層とトレッド層のパッケージを略円筒状のタイヤ部品となるように製造する方法を提供するもので、この方法は
【0009】
ドラム中心線の回りに回動自在であり、そして前記タイヤ部品のための剛体の支持面を備えたベルト及びトレッドドラムを提供し、前記支持面は前記ドラムの外方に面する周面に位置しており、前記ベルト及びトレッドドラムは当該ドラムの略縦方向に離隔して配置される2個の支持部材を備え、前記支持部材は各々前記ドラム中心線から離れて面し且つ前記剛体の支持面に対して半径方向に移動自在であるトレッド支持面を備え、前記支持部材は、前記トレッド支持面が前記剛体の支持面においてもしくはその近くに配置されている後退位置に配置されており;
【0010】
前記剛体の支持面上の前記ベルト及びトレッドドラムの回りに一もしくはそれ以上のベルト層を配置し、前記一もしくはそれ以上のベルト層は前記2個の支持部材間で延在すべく配置されており;
前記剛体の支持面について前記支持部材を降起位置内に動かし、前記トレッド支持面は前記剛体の支持面について半径方向外方の位置に配置され;
前記一もしくはそれ以上のベルト層上の前記ベルト及びトレッドドラムの回りにトレッド層を配置し、前記トレッド層の先端部及び後端部は重なり領域において重なっており、前記トレッド層は前記重なり領域が前記各トレッド支持面の頂部に部分的に位置するように配置され;
前記トレッド層の前記重なっている先端部及び後端部を一緒にスティチするスティチロールを備えたスティチデバイスを用いる
各工程からなることを特徴とする方法。
【0011】
前記トレッド層の前記先端部及び前記後端部の重なり領域は一もしくはそれ以上の各ベルト層によって支持され、そして前記重なり領域の各エッジは前記各トレッド支持面によって支持されているので、スティチするために必要な押圧力は前記トレッド層の略幅全体に亘って、かくして前記トレッド層の前記各エッジにも印加することができる。従って、前記トレッドスプライスは、実質的に前記トレッド層の各エッジを損傷させることなくおよび/もしくは前記先端部及び後端部の適切な重なりを乱すことなく前記トレッド層の全体の幅に亘ってスティチされ得る。
【0012】
前記各トレッド支持面は前記剛体の支持面に対して半径方向に移動自在であるので、前記ベルト及びトレッドドラム上への少なくとも前記各ベルト層の移送の間適切である前記剛体の支持面においてもしくはその近くに前記トレッド支持面が配置されている前記後端位置において前記支持部材が配置されている時、前記ベルト及びトレッドドラムの周面には略突出部がない。
【0013】
ある実施の形態において、前記各トレッド支持面は前記ドラムの略縦方向に移動され、好ましくは前記各トレッド支持面は前記各支持部材間の距離を前記一もしくはそれ以上のベルト層の幅に調整するために互いに向かってもしくは互いに離隔して移動される。前記ベルト層(複数可)及び前記トレッド層(複数可)は、例えば特定のタイヤデザインに依存して幾つかの異なった幅を有することができる。前記各トレッド支持面は前記ドラムの縦方向に移動自在なので、前記各トレッド支持面の間の距離は第2のタイヤデザインの一もしくはそれ以上のベルト層の幅に調整できる。
【0014】
実施の形態において、前記隆起位置における前記各トレッド支持面と前記剛体の支持面との間の半径方向の距離は特定のタイヤデザインのために一もしくはそれ以上のベルト層の厚さに調整される。一つの特定デザインの一連のタイヤを製造する際、一もしくはそれ以上のベルト層の厚さは略一定である。かくして、前記後退位置と前記隆起位置との間の半径方向の前記各トレッド支持面の移動の距離は略一定にできる。実施の形態において、トレッド支持面の移動の距離は、相違したタイヤデザインを変化させる際、一もしくはそれ以上のベルト層の厚さにおける可能な変化に適合するトレッド支持面の前記半径方向外方の位置を調整するために、調節可能である。かくして、前記後退位置と前記隆起位置の間の前記各トレッド支持面の移動の距離はある特定のタイヤデザインの必要な半径方向外方の位置にもしくはある特定のタイヤデザインの一もしくはそれ以上のベルト層の厚さに調節可能である。
【0015】
実施の形態では、前記後退位置における前記各トレッド支持面と前記各剛体の支持面との間の半径方向の距離は、特定のタイヤデザインのための一つもしくはそれ以上のベルト層の一つの厚さより短くなるように整えられている。この場合、前記後退位置における前記支持部材による前記ベルト及びトレッドドラムの面からの突出部は、ベルト層の厚さより小さく、そして前記後退位置における前記各支持部材が前記ベルト及びトレッドドラムの上の前記ベルト層の配列と干渉しないように、更に前記ベルト層が前記移送の間前記コンベイヤと前記ベルト及びトレッドドラムによって適切に支持されるように、前記ベルトコンベイヤはある適切な距離で配置できる。
【0016】
実施の形態では、前記後退位置における前記支持部材は前記剛体の支持面に対しておよび/もしくはそれに隣接して配置されている。好ましくは前記各トレッド支持部材の前記半径方向の厚さはベルト層の厚さよりも小さい。
【0017】
上記で議論してきたように、前記ベルト層(複数可)はコンベイヤによって前記ベルト及びトレッドドラムの剛体の支持面に通常は供給される。前記ベルト及びトレッドドラムの上の各ベルト層(複数可)を配置すると、前記ドラムが回転する。前記各トレッド支持面が前記コンベイヤに干渉しないように保障するために、前記各トレッド支持面は前記ドラム上に前記ベルト層(複数可)を配置する際に、前記後退位置において好ましく配置されている。実施の形態において、前記後退位置における前記各トレッド支持面は前記剛体の支持面と略同じ高さであるかもしくはそれより下に配置される。
【0018】
実施の形態において、前記ドラム中心線に並列に延在する支持部材中心線に沿って双方の支持部材は配置され、好ましくは前記各支持部材の間の距離を前記一もしくはそれ以上のベルト層の幅に調整するための前記支持部材中心線に沿って前記各支持部材は移動される。
【0019】
実施の形態において、前記ステッチロールはステッチロール中心線の回りに回動自在であり、このステッチロール中心線は前記ドラム中心線に略平行に配置されている。前記トレッドスプライスをスティチするために、前記スティチローラのみが前記重なり領域に亘って転動することが必要であり、この重なり領域において前記トレッド層に必要な押圧力を印加する。前記重なり領域は好ましくはまた前記ドラム中心線に略平行に延在しているので、前記トレッドスプライスをスティチするための前記スティチロールの移動の距離は小さく、その為前記トレッドスプライスのスティチ操作は比較的速く行うことができる。
【0020】
実施の形態において、前記ステッチロールは複数の略同一のデスクを備えており、前記各デスクの各々は少なくとも回動自在な外周を有し、そして前記各デスクは前記ベルト及びトレッドドラムに相対的に半径方向に略個別に移動自在である。この実施の形態の前記スティチデバイスは前記トレッド層の輪郭及び形状に適合可能であり、そして前記トレッド層の輪郭もしくは形状に略独立に前記先端部及び後端部を一緒にスティチするために必要な押圧力を提供することができる。
【0021】
実施の形態において、前記トレッド層は前記ベルト層よりも幅が厚く、そして前記ベルト及びトレッドドラムの縦方向における前記トレッド層の前記各エッジは前記ベルト層によって支持されておらず、前記各トレッド支持面は前記隆起位置におけるベルト層の両側における重なり領域で前記ベルト及びトレッドドラムの前記トレッド層の前記各エッジを支持する。好ましくは、前記各トレッド支持面は前記隆起位置におけるベルト層の両側における前記重なり領域で前記ベルト及びトレッドドラムの局在的に周方向のみ前記トレッド層の前記各エッジを支持する。最も好ましくは、前記各トレッド支持面は前記隆起位置におけるベルト層の両側における前記重なり領域のみにおいて前記トレッド層の前記各エッジを支持する。かくして、前記重なり領域において、前記トレッド層は図3Aに示すように略その全体の幅に渡って支持され得る。
【0022】
第2の態様によれば、本発明はベルト層とトレッド層のパッケージを略円筒状のタイヤ部品となるように製造するためのベルト及びトレッドドラムを提供するものであって、前記ベルト及びトレッドドラムはドラム中心線の回りに回動自在であり、更に前記タイヤ部品のための剛体の支持面を備えており、当該剛体の支持面は前記ベルト及びトレッドドラムの外方に面する周面に位置しており、
【0023】
前記ベルト及びトレッドドラムは当該ベルト及びトレッドドラムの略縦方向に離隔して配置されている2個の支持部材を備え、
【0024】
前記各支持部材は各々前記ドラム中心線から離れて面し、そして前記トレッド支持面が前記剛体の支持面においてもしくはその近くに配置される後退位置から前記トレッド支持面が前記剛体の支持面について半径方向外方の位置に配置される隆起位置まで前記剛体の支持面について半径方向に移動自在でるトレッド支持面を備え、又逆も同様であり;
前記剛体の支持面は前記2個のトレッド支持面の間の前記ベルト層を受けるために配置されており;
前記ベルト及びトレッドドラムは前記トレッド層の先端部及び後端部が重ね合わせ領域において重なっている状態で前記ベルト層の上のその外方の対向周面の回りで前記トレッド層を受けるために配置されており、前記トレッド層は前記ベルト層よりも幅が広く且つ前記ベルト及びトレッドドラムの前記縦方向における前記トレッド層の前記各エッジは前記ベルト層によって支持されておらず、
前記隆起した位置における前記各トレッド支持面はベルト層の両側における前記重ね合わせ領域で前記トレッド層の前記各エッジを、前記ベルト及びトレッドドラムの局在的に周方向にのみ、支持するために配置されている。
【0025】
かくして、前記重なり領域において、前記トレッド層は図3Aに示されるように略その全体の幅に渡って支持され得る。
【0026】
好ましい実施の形態において、前記各トレッド支持面は前記隆起位置内のベルト層の両側における前記重なり領域においてのみ前記トレッド層の前記各エッジを支持するために配置される。
【0027】
実施の形態において、前記各トレッド支持面は前記ドラムの略縦方向に移動自在である。
【0028】
実施の形態において、前記各トレッド支持面は前記各支持部材の間の前記距離を調整するためにお互い向けて且つお互いに離隔して移動自在である。
【0029】
実施の形態において、前記隆起位置における前記各トレッド支持面と前記剛体の支持面との間の半径方向の距離はある特定のタイヤデザインのための前記一もしくはそれ以上のベルト層の厚さに調整可能である。
【0030】
実施の形態において、前記後退位置における前記各トレッド支持面と前記各剛体の支持面との間の半径方向の距離は、特定のタイヤデザインのための一もしくはそれ以上のベルト層の一つの厚さ以下となるように整えられる。
【0031】
実施の形態において、前記後退位置における前記支持部材は前記剛体の支持面に対しておよび/もしくはそれに隣接して配置される。
【0032】
他の実施の形態において、前記後退位置における前記各トレッド支持面は前記剛体の支持面と略同一高さもしくはそれより低く配置される。
【0033】
実施の形態において、双方の支持部材は前記ドラム中心線に平行に延在する支持部材中心線に沿って配置される。実施の形態において、前記各支持部材は前記支持部材中心線に沿って移動自在である。
【0034】
第3の態様によれば、本発明はベルト層とトレッド層のパッケージを略円筒状のタイヤ部品となるように製造するための装置を提供するものであって、この装置は:
【0035】
上記に記載したようなベルト及びトレッドドラムと;
前記各トレッド支持面の頂部に少なくとも部分的に配置されるタイヤ部品をスティチするために配置されているスティチロールを備えたスティチデバイスとを備えている。
【0036】
実施の形態において、前記スティチロールはスティチロール中心線の回りに回動自在であり、前記スティチロール中心線は前記ドラム中心線に略平行に配置されている。
【0037】
実施の形態において、前記スティチロールは複数の略同一のデスクを備えており、当該デスクの各々は少なくとも回動可能な外周を有しており、そして前記各デスクは前記ベルト及びトレッドドラムに相対的に半径方向に略個別に移動自在である。
【0038】
本明細書に記載され且つ例示されている様々な態様及び特徴は、可能ならば個別に適用できる。これらの個別の態様、特に添付された独立した特許請求の範囲の請求項に記載された態様及び特徴は分割した特許出願の主題にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明は添付された図面に示される例示的な実施の形態に基づいて理解されるであろう。
図1A】ベルト及びトレッドドラムとスティチデバイスを備え、その断面がドラム中心線に略垂直にとられている本発明に係る装置の第1の実施例の概略的な断面図を示す。
図1B図1Aのドラムの縦方向の概略的な断面図を示す。
図1C図1Aのドラムの縦方向の概略的な断面図を示す。
図2A】ベルト層及びトレッド層のパッケージを製造するための方法の種々の工程における断面図の前記装置の一部を示す。
図2B】ベルト層及びトレッド層のパッケージを製造するための方法の種々の工程における断面図の前記装置の一部を示す。
図3A】ベルト層及びトレッド層のパッケージを製造するための方法の種々の工程における断面図の前記装置の一部を示す。
図3B】ベルト層及びトレッド層のパッケージを製造するための方法の種々の工程における断面図の前記装置の一部を示す。
図4A】ベルト層及びトレッド層のパッケージを製造するための方法の種々の工程における断面図の前記装置の一部を示す。
図4B】ベルト層及びトレッド層のパッケージを製造するための方法の種々の工程における断面図の前記装置の一部を示す。
図5A】ベルト層及びトレッド層のパッケージを製造するための方法の種々の工程における断面図の前記装置の一部を示す。
図6A】本発明のベルト及びトレッドドラムの第2の実施例の概略的な側面図を示す。
図6B図6Aの前記第2の実施例の概略的な断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明はベルト層とトレッド層のパッケージを略円筒状のタイヤ部品になるように製造するための方法及び装置を提供する。
【0041】
本発明の装置の第1の実施例、特にベルト及びトレッドドラム1は図1A,1B及び1Cに示されている。このドラム1はドラム中心線2の回りに方向rに回動自在であり、そして前記タイヤ部品のための剛体の支持面3を備えている。この剛体の支持面3は前記ドラム1の外方対向周面において位置している。このドラム1はそのドラム1の略縦方向の距離dに亘って離隔して配置されている2個の支持部材4、5を備えている。これらの支持部材4,5は各々前記ドラム中心線2から離隔して対向するトレッド支持面41,51を備えている。これらのトレッド支持面41、51は当該支持部材41,51が概略的に図1Bに示されているように剛体の支持面3と略同じ高さかもしくはそれより下に好ましく配置されている後退位置と前記トレッド支持面41,51が概略的に図1Cに示されているように剛体の支持面3についての半径方向外方位置に配置されている隆起位置との間で前記剛体の支持面3に対して半径方向に移動自在である。
【0042】
前記支持部材4,5の各々は前記後退位置と前記隆起位置との間で前記トレッド支持面41、51を動かすためのアクチュエータ42,52を備えている。このようなアクチュエータ42,52の一実施例はドラム1の内側に実装されている空気シリンダである。図1A,1B及び1Cに示される実施例において、前記トレッド支持面41,51は支持軸46,56の頂部に配置されている。
【0043】
前記支持部材4,5の各々は、前記ドラム1の略縦方向44,54における前記各支持部材4,5及びそれらのトレッド支持面41,51を移動させるための案内部材43,53の上に装着されている。前記各トレッド支持面41,51の間の距離dを特定のタイヤタイプの一もしくはそれ以上のベルト層の幅に調整するために、前記各トレッド支持面は互いに向かってもしくは互いに離隔して略縦方向44,54に移動する。前記各支持部材4,5の位置において、前記ドラム1及び特にその剛体の支持面3は図1Bに示されるように前記後退位置において前記各トレッド支持面41,51を収納するためのスリット45,55を備えている。前記後退位置において、前記各トレッド支持面41,51は前記剛体の支持面3と同じ高さであるかもしくはそれより下に配置されて、前記各トレッド支持面41,51が前記ドラム1の回りの一もしくはそれ以上のベルト層6を配置すべく使われる前記コンベイヤ9と干渉することを阻止する。
【0044】
本発明に係る装置の実施例において、前記ドラム1はこのドラム1の回りに配置されているタイヤ部品に対して押圧するためのこのドラム1の前記剛体の支持面3に向けて方向mに移動するために配置されているスティチロール8を備えたスティチデバイスに組み合わされる。このスティチロール8は、前記ドラム中心線2に略平行に整えられているスティチロール中心線81の回りに回動自在である。
【0045】
ベルト層とトレッド層のパッケージを略円筒状タイヤ部品となるように製造するための方法の種々の工程が図2A乃至5Bに概略的に示されている。これらの図面は前記支持部材4,5を備えている図1A,1B及び1Cの前記ドラム1の部分断面を専ら示す。図2A,3A,4A及び5Aは図1B及び1Cに示すような縦方向の断面の頂部を概略的に示している。図2B,3B,4B及び5Bは図1Aに示すようなドラム中心線2に垂直な断面の頂部を概略的に示す。
【0046】
第1に、前記各トレッド支持面41,51は図2A及び2Bに示すような後退位置において配置されている。各突出した支持部材4,5を実質的に備えていない前記円筒状の剛体の支持面3は、前記ドラム1の回りの一もしくはそれ以上の層6を適用するために用意されている。これらのベルト層は例えばコンベイヤ9によって供給され、そして前記コンベイヤ9から前記ドラム1の前記剛体の支持面3に移送される。図2Aから2Bに示される実施例では、4個のベルト層6は前記ドラム1の上に配置されている。図2Aに概略的に示されているように、前記一もしくはそれ以上のベルト層6は前記2個のトレッド支持面41、51の間に延在すべく配置されている。
【0047】
次に、前記各支持部材4,5の前記各トレッド支持面41,51は図3A及び3Bに概略的に示されるような前記後退位置から前記隆起位置まで半径方向に移動する。この隆起位置において、前記各トレッド支持面41,51は前記剛体の支持面3に対して半径方向外方の位置に配置されており、前記隆起位置における前記各トレッド支持面41,51の剛体の支持面3より上の高さは各ベルト層6のアセンブリの厚さに等しい。
【0048】
次いで、トレッド層7は各ベルト層6のアセンブリの上の前記ベルト及びトレッドドラム1の回りに配置されており、前記トレッド層7の先端部71及び後端部72は重なり領域OAにおいて重なっている。この先端部71及び後端部72は前記トレッド層7の面に対してある傾斜角度で切断されている。前記先端部71及び前記後端部72の傾斜角度において切断される。前記先端部71及び後端部72の傾斜切断面は、トレッドスプライスとしても示されている図3Bに概略的に示されるように重なるように前記ベルト及びトレッドドラム1の前記剛体の支持面3上に配置されている。このトレッド層7は前記各ベルト層6よりも幅が広いために、前記トレッド層の各エッジ73は各ベルト層6によって支持されていない。
【0049】
前記トレッド層7は、重なり領域OAが前記各トレッド支持面41,51の頂部、特に前記各ベルト層6より下で延在する前記トレッド層7の部分の少なくとも一部の頂部に位置するように配置されている。かくして、前記各トレッド支持面41,51は前記各ベルト層6のアセンブリの両側で前記重なり領域Aにおける前記各トレッドエッジ73を支持する。かくして、前記重なり領域OAにおいて、特に前記重なり領域OAにおいて前記ベルト及びトレッドドラムの局在的に周面方向にのみ、前記トレッド層7は図3Aに示されるようにその全体の幅に実質的に亘って支持されている。前記重なり領域OAにおいておよび/もしくはその近くに好ましくはこの重なり領域OAの回りの小領域を含んで前記ベルト及びトレッドドラムの周囲の一部のみにおいて前記各トレッド支持面41、51によってトレッド層7が支持される際、前記トレッド層7は前記ベルト及びトレッドドラムの局在的に周方向に支持されるものとして考察される。
【0050】
引き続いて、前記トレッド層7の重なっている先端部71及び後端部72は図4A及び図4Bに概略的に示されるようにスティチデバイス8を用いてスティチされる。このスティチデバイス8は複数の略同一のデスク82を備えており、このデスク82の各々は前記トレッド層7に亘る転動のための少なくとも回動自在な外周を有しており、更に前記各デスク82は前記ベルト及びトレッドドラム1と相対的に半径方向r’に個別に移動自在である。そのような各個別の可動デスク82のアレイを用いることによって、前記スティチデバイス8は前記トレッド層7の断面及び形状に適合可能であり、そして前記トレッド層7の輪郭もしくは形状に略独立に、前記先端部71及び後端部72を一緒にスティチするために必要な押圧力を提供することができる。また、前記トレッド層7は前記トレッド支持面41、51によって支持される前記各ベルト層6及び前記トレッド層7の各エッジ73のアセンブリによって支持されるので、スティチするために必要な押圧力はこのトレッド層7の前記各エッジ73にも印加されることができる。従って、前記トレッドスプライス74は実質的に前記トレッド層7の前記各エッジ73を損傷させることなく前記トレッド層7の全体の幅に亘ってスティチされることができる。前記トレッドスプライス74をスティチするために、前記スティチローラ8は前記重ね合わせ領域OAに亘って転動することのみが必要であり、そして前記必要な押圧力を前記重ね合わせ領域OAにおける前記トレッド層7に印加する。
【0051】
この後、一もしくはそれ以上のベルト層6及びトレッド層7を備えている前記円筒状のタイヤ部品が準備される。前記各トレッド支持面41、51は、図5A及び5Bに示すような後退位置に後退する。次に、前記円筒状タイヤ部品は前記ドラム1から取り除かれ、そして形状もしくはカーカスドラムに供給される。この円筒状タイヤ部品は前記形状もしくはカーカスドラムの上に既に配置されているカーカスの外周に配置される。次いで、前記円筒状タイヤ部品のベルト層(複数可)及びトレッド層(複数可)はスティチローラによって互いの上に及び前記カーカスの上にスティチされる。
【0052】
前記ベルト層及び前記トレッド層(複数可)は例えば前記特定のタイヤデザインに依存していくつかの異なった幅を有することができる。それで第1のタイヤデザインを使った製造から異なった第2のタイヤデザインを使ったそれにドラム1を変化させると、前記各トレッド支持面41、51は、前記各支持部材面41,51の間の距離dを前記第2のタイヤデザインの一もしくはそれ以上のベルト層の幅に調整するために互いに向かってもしくは互いに離隔して前記ドラム1の略縦方向へ前記各案内部材43、53に沿って移動される。
【0053】
図6Aは本発明に係るベルト及びトレッドドラム1の第2の実施例の概略的な側面図を示す。このドラム1はその上に一もしくはそれ以上のベルト層6が配置されている剛体の支持面3を備えている。この一もしくはそれ以上ベルト層6は前記各2個の支持部材41、51の間で延在すべく配置されている。
【0054】
の第2の実施例において、前記各トレッド支持部材41,51の半径方向の厚さは図6Bに概略的に示めされるように前記剛体の支持面3の上に配置される前記第1のベルト層の厚さdよりも略小さい、そして前記各支持部材41、51は前記後退位置における前記剛体の支持面3に対しておよび/もしくはそれに隣接して配置することができる。前記後退位置における前記各支持部材41、51による前記ベルト及びトレッドドラム1の前記面の突出部は、前記第1のベルト層の厚さdより略小さく、更に前記ベルトコンベイヤ9は前記後退位置における前記各支持部材41、51が前記ベルト及びトレッドドラム1の前記ベルト層6の配列に干渉しないように、更に前記ベルト層6が前記移送の間前記ベルトコンベイヤ9と前記ベルト及びトレッドドラム1の前記外周面3によって適切に支持されるように、前記ベルト及びトレッドドラム1の前記表面への適切な距離において配置することができる。好ましくは、前記ベルトコンベイヤ9と前記ベルト及びトレッドドラム1の前記支持面3との間の距離は前記一もしくはそれ以上のベルト層6の厚さよりも大きい。
【0055】
図1A乃至5Bに示される前記各実施例において、前記ドラム1の前記支持面3における前記各スリット45、55は、前記各トレッド支持面41、51を前記相当するスリット45,55内へ移動するために十分な大きさであった。図6の実施例において、前記各スリット45’、55’は前記各トレッド支持面41、51の支持軸を収納するに十分な大きさである。かくして、前記後退位置において、前記各トレッド支持面41、51は前記剛体支持面3の近くに配置され、好ましくは前記剛体の支持面3に対向する前記各トレッド支持面41、51の表面は図6Bに概略的に示されるように、前記剛体の支持面3に隣接する。この例示的実施の形態において、前記各スリット45’、55’は幅が狭い。このことは前記各ベルト層6の下に延在する前記各スリット45’、55’の部分の幅が狭く、かくして幅が広いスリットより前記ベルト及びトレッドドラム1の前記剛体の支持面3によって前記各ベルト層6のより良い支持を提供すると言う利点を有する。
【0056】
一もしくはそれ以上のベルト層6の頂部に、前記トレッド層7はこのトレッド層7の先端部71及び後端部72が重なり領域OAにおいて重なるように配置されている。このトレッド層7が前記各ベルト層6よりも幅が広いために、前記トレッド層の前記各エッジ73は前記各ベルト層6によって支持されない。前記重なり領域OAの前記各エッジ73は図6及び3Bに示されるように前記各トレッド支持面41,51によって支持されている。ベルト層及びトレッド層のパッケージを実質的に円筒状のタイヤ部品となるように製造するためのプロセスの更なる各工程は図2A乃至5Bを参照して前記第1の実施例において記載されているのと略同じである。
【0057】
尚上記の記載は好ましい各実施の形態の動作を例示すべく含まれており、そして本発明の範囲を限定することを意味しないことを理解すべきである。上記の議論から、本発明の範囲によってなお包含されるであろう多くの変化例は当業者にとって自明となる。
【0058】
まとめると、本発明はベルト層とトレッド層のパッケージを略円筒状のタイヤ部品となるように製造するための方法及びビルディングドラムに関し、前記ドラムはドラム中心線の回りに回動自在であり、前記ドラムの外方対向周面に位置している前記タイヤ部品のための剛体の支持面を備えており、前記ドラムはこのドラムの略縦方向に離隔して配置されている2個の支持部材を備えており、前記トレッド支持面が前記剛体の支持面においてもしくはその近くに配置されている後退位置と前記トレッド支持面が前記剛体の支持面について半径方向外方位置に配置されている隆起位置との間で、前記支持部材は各々前記ドラム中心線から離隔して対向すると共に半径方向に移動自在であるトレッド支持面を備えている。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B