(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カセット(25)の前記第1(25a)および第2(25b)のインレットは前記カセットの一方の側に配置され、前記カセット(25)の前記第3(25c)および第4(25d)のインレットは前記カセットの他方の側に配置される請求項1に記載の装置。
前記カセットに注入される、或いは、前記カセットから排出される腹腔液のグルコース濃度を測定するためのグルコース・メータ(88)を更に有する、請求項1〜3の何れか1つに記載の装置。
前記グルコース・メータは、前記ドレイン・チューブ(31)内で前記ドレイン弁(17)の下流側に設けられ、これによって、グルコース濃度はドレイン弁が開いている時にのみ測定される請求項4に記載の装置。
前記間欠バッグは、患者(1)の腹膜腔(2)へのアクセスのための第2の患者ライン(53b)に接続されることを目的とする第2の患者コネクタ(85)によって置き換えられている、請求項1〜7の何れか1つに記載の装置。
前記患者チューブ(22)、前記患者コネクタ(21)、前記患者ライン(3)、前記第1のインレット(25a)、前記カセット、前記間欠チューブ(34)、前記間欠バッグ(33)、および、前記カセットの前記第2のインレット(25b)はすべて、如何なる吸着性の材料または透析器も無しで設けられる、請求項1〜8の何れか1つに記載の装置。
前記ドレイン・チューブ(31)は、腹膜腔の排出の間にアルブミンがドレイン・バッグに移るのを防ぐためのアルブミン・フィルタ(92)を有する、請求項1〜9の何れか1つに記載の装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的は、前述の欠点および不都合の1つまたは複数を単独または組み合わせで緩和、軽減、または、除去することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
1つの態様によれば、患者、例えば、うっ血性心不全により水分過剰の患者の限外濾過のための装置であって、
4つのインレット/アウトレットを有するカセットと、
前記患者の腹膜腔へのアクセスのための患者ラインに接続されることを目的とする患者コネクタを前記カセットの第1のインレットに接続するための患者チューブであって、腹腔液を注入および排出するためのフロー・ポンプを前記カセットと腹膜腔との間に有する前記患者チューブと、
間欠弁を有し、間欠バッグを前記カセットの第2のインレットへ接続するための間欠チューブと、
ドレイン弁を有し、前記カセットの第3のインレットへドレイン・バッグを接続するためのドレイン・チューブと、
前記カセットにグルコースを加えるためのグルコース・ポンプを有し、高濃度のグルコースを含むグルコース・バッグを前記カセットの第4のインレットに接続するためのグルコース・チューブを有し、
これにより、浸透剤の濃度を腹膜腔において実質的に一定に保持するためにグルコースが補充される、前記装置が提供される。
【0014】
1つの実施例によれば、前記カセットの前記第1および第2のインレットは前記カセットの一方の側に配置され、前記カセットの前記第3および第4のインレットは前記カセットの他方の側に配置される。間欠バッグは、500ml未満、400ml未満、300ml未満、200ml未満、例えば、160mlであり得る。前記カセットに注入される、或いは、前記カセットから排出される腹腔液のグルコース濃度を測定するためにグルコース・メータが設けられ得る。グルコース・メータは、前記ドレイン・チューブ内で前記ドレイン弁の下流側に設けられ得る。これによって、グルコース濃度はドレイン弁が開いている時にのみ測定される。前記患者コネクタに隣接した腹腔液の圧力測定のために、圧力計が設けられ得る。前記カセット内の圧力測定のために、もう一つの圧力計が設けられ得る。更に、患者チューブにフロー・メータが設けられ得る。
【0015】
もう一つの実施例においては、前記間欠バッグは、患者の腹膜腔へのアクセスのための第2の患者ラインに接続されることを目的とする第2の患者コネクタによって置き換えられている。
【0016】
更なる実施例においては、前記患者チューブ、前記患者コネクタ、前記患者ライン、前記第1のインレット、前記カセット、前記間欠チューブ、前記間欠バッグ、および、前記カセットの前記第2のインレットの全ては、如何なる吸着性の材料または透析器も無しで設けられる。前記ドレイン・チューブは、腹膜腔の排出の間にアルブミンがドレイン・バッグに移るのを防ぐためのアルブミン・フィルタを有し得る。
【0017】
もう一つの態様によれば、患者、例えば、うっ血性心不全により水分過剰の患者の限外濾過のための方法であって、前記患者は、腹膜腔に導入された所定体積の腹腔液を有し、前記方法は、
前記腹膜腔から、患者ライン、患者コネクタ、および、フロー・ポンプを通ってカセットの第1のインレットまで、更に、第2のインレット、開いた間欠弁、および、間欠チューブを通って間欠バッグまで、腹腔液を除去することと、
その後に、前記間欠バッグから同じ経路を逆方向に腹腔液を戻すことと、
を含み、
腹腔液の前記戻しの間、濃縮されたグルコース溶液は、腹腔液の流れによって希釈され、腹膜腔に入れられるように、グルコース・ポンプによって、グルコース濃縮液バッグから第4のインレットを通って前記カセットに同時に入れられ、
それによって、腹膜腔において腹腔液にグルコースが補充される前記方法が提供される。
【0018】
1つの実施例においては、前記除去の流れおよび前記戻しの流れは、吸着材料無し、および/または、透析器無しのチューブ(複数)およびスペース(複数)を通り抜け得る。
【0019】
もう一つの実施例においては、腹膜限外濾過を終了した後、腹膜腔が空になるまで、腹腔液を前記フロー・ポンプによって腹膜腔からアルブミン・フィルタを通ってドレイン・バッグへ除去することにより、腹腔液が腹膜腔から排出され、それから、前記アルブミン・フィルタによって集められたアルブミンを戻すために、前記フロー・ポンプは反転され、少量の腹腔液を、前記ドレイン・バッグから前記アルブミン・フィルタを通って腹膜腔まで戻される。前記患者ライン、前記患者コネクタ、および、前記フロー・ポンプを通って前記カセットの前記第1のインレットまで、更に、第3のインレット、開いたドレイン弁、および、前記アルブミン・フィルタを通って前記ドレイン・バッグまで腹腔液の排出が行われ得る。
【0020】
更なる実施例において、各時刻における、前記排出の流れと前記戻しの流れは、500ml未満、400ml未満、300ml未満、200ml未満、例えば、160mlの最大体積を有し得る。
【0021】
更に別の実施例において、腹腔液の前記移動と前記戻しの開始の前に、例えば、0.2%未満のような0.5%未満のグルコースを含む腹腔液、例えば、0.1%または0%のグルコースを含む腹腔液が最初に腹膜腔に導入され、それから、例えば、30分から60分の間の所定の時間の間に、グルコース濃度が所定の処理濃度まで増やされる。
【0022】
更なる態様においては、患者、例えば、うっ血性心不全により水分過剰の患者の限外濾過のための方法であって、前記患者は、腹膜腔に導入された所定体積の腹腔液を有し、前記方法は、
前記腹膜腔から、第1の患者ライン、患者コネクタ、および、フロー・ポンプを通ってカセットの第1のインレットまで、更に、前記カセットの第2のインレット/アウトレット、開いた間欠弁、および、間欠チューブを通って第2の患者ラインまで、腹腔液を除去することを含み、
腹腔液の前記流れの間、濃縮されたグルコース溶液は、腹腔液の流れの中で希釈されて腹膜腔に入れられるように、グルコース・ポンプによって、グルコース濃縮液バッグから第4のインレットを通って前記カセットに同時に入れられ、
それによって、腹膜腔において腹腔液にグルコースが補充される前記方法が提供される。
【0023】
更に別の態様においては、うっ血性心不全による水分過剰の治療のための、腹膜限外濾過による、腹腔液の用途であって、
腹腔液のグルコース濃度を実質的に一定に維持するために、腹腔液は患者の腹膜腔から除去され、グルコースを補充され、腹膜腔に戻される前記用途が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、発明のいくつかの実施例が記述される。これらの実施例は、当業者が発明を実施可能にし、ベストモードを開示するための例示目的で記述されている。しかし、そのような実施例は、本発明の範囲を制限するものではない。更に、特徴の特定の組合せが示され、議論される。しかし、本発明の範囲内で様々の特徴の他の組合せが可能である。
【0026】
図1は、患者ライン3を備えている患者1を開示する。患者ライン3は、従来の腹腔カテーテルであり得る。患者ライン3は、患者の腹膜腔2を周囲の環境と接続する。患者ライン3は、標準タイプのコネクタ4(例えば、ルア・コネクタ/Luer connector)によって終端する。患者ラインの準備は標準手順であり、病院で為される。2、3日後に、患者ラインは、腹膜腔に腹腔液を入れ、排出するために用いられ得る。腹腔液は、毛細血管を有する腹膜と通じている。腹腔液は、血液との間で、イオンおよび物質を交換する。腹膜透析は数十年の間、繰り返し実施されてきており、1940年代には既に用いられていた。
【0027】
本発明の第1の実施例による装置10は
図1に示されており、カセット25を備えるチューブ・セット20(以下から)を有する。カセット25は、フロー・ポンプ15、グルコース・ポンプ16、ドレイン弁17、および、間欠弁18からの4つのインレット・フォームを有する。
【0028】
ポンプ15と16は、透析装置では一般に用いられているタイプであるペリスタル型(peristaltic)ポンプとして示されている。しかし、他のタイプのポンプも用いられ得る。
【0029】
上記の弁は、チューブを閉塞するようにチューブに作用する、電気的に操作されるピンチ弁である。しかし、手動で操作されるクランプを含む、任意のタイプの弁も用いられ得る。
【0030】
チューブ・セットは、患者ライン3のコネクタ4と合致するコネクタ21を有する。コネクタ21は、患者チューブ22の遠位端に配置される。患者チューブ22は、エンド・コネクタ21に隣接するポート23を有する。
【0031】
患者チューブ22の近位端は、フロー・ポンプ15を通過するポンプ・セグメント24に接続されている。ポンプ・セグメント24の他端は、カセット25の第1のインレット25aに接続されている。こうして、カセット25はエンド・コネクタ21に接続されている。
【0032】
チューブ・セットはグルコース・バッグ26を更に含む。グルコース・バッグ26はグルコース・チューブ27によってカセット25に接続されている。グルコース・チューブ27は、グルコース・ポンプ16を通過するポンプ・セグメント29に接続され、これにより更にカセット25の第4のインレット25dに接続される。グルコース・バッグ26とグルコース・チューブ27との間の液の連通を確立するためにグルコース・バッグ26に挿入されるように、コネクタまたはスパイク28がグルコース・チューブ27の先に設けられる。こうして、グルコース・バッグ26は、カセット25に接続されている。或いは、グルコース・バッグは、恒久的にグルコース・チューブ27に付けられるか、または、ルア・コネクタまたは他の同様のコネクタによってグルコース・チューブに接続される。
【0033】
チューブ・セットは、コネクタ32によってドレイン・チューブ31に接続されるドレイン・バッグ30を更に含む。ドレイン・チューブ31は、カセット25の第3のインレット25cに接続されている。ドレイン弁17は、起動時にドレイン・チューブを閉塞するようにドレイン・チューブ31に作用する。こうして、ドレイン・バッグ30は、カセット25に接続されている。
【0034】
チューブ・セットは、間欠チューブ34に接続されている間欠バッグ33を更に含む。間欠チューブ34は、カセット25の第2のインレット25bに接続されている。間欠性ピンチ弁18は、起動時に間欠チューブを閉塞するように間欠チューブ34に作用する。こうして、間欠バッグ33はカセット25に接続されている。
【0035】
チューブ・セットは、医療グレードのPVCチューブであり得る。ポンプ・セグメントは、シリコン・チューブ製であり得る。特定の体積の液体がポンプの1回転あたりに通常送られるので、ペリスタル型ポンプはフロー・メータとしても動作し得る。
【0036】
ここで、カセット25の第1のインレット25aおよび第2のインレット25bは、カセット25の一方の側(左側)に配置される。これらのインレットは、腹膜腔と間欠バッグ33との間で受け渡される腹腔液の取扱いに関係している。
【0037】
他方、第3のインレット25cと第4のインレット25dは、カセット25の他方の側(右側)に配置される。これらのインレットは、外部のバッグ(すなわち、グルコース・バッグ26およびドレイン・バッグ30)に接続されるように配置される。この構成は、異なる接続が容易に混同されないという点で、この装置の動作を、より安全にする。患者チューブ22が左に延び、他のチューブ27、31が右に延びるので、患者ライン3に患者チューブ22を正しく接続することが容易であり、他のコネクタ28および32と混同しないようにすることは容易である。
【0038】
図1において破線によって示されるように、装置10とチューブ・セット20は4つのエンクロージャ内に配置され得る。こうして、2台のポンプ15、16および2つのピンチ弁17、18は、破線11によって示されるような1つのエンクロージャに配置され得る。このエンクロージャは、前記装置を動作させるために必要な、操作ボタン(複数)を含むグラフィカル・インタフェース、プロセッサボード、および、バッテリ(複数)の任意のものを含む電子回路(複数)を更に含むことができる。間欠バッグ30は別のエンクロージャ12に配置されることができ、グルコース・バッグ26も別のエンクロージャ13に配置されることができ、そして、ドレイン・バッグも別のエンクロージャ14に配置され得る。全てのエンクロージャ11、12、13、14は、患者によって装着されることを意図された装着型の器材の中に設けられ得る。
【0039】
或いは、装置10はバッグまたは支持構造内に組み入れられ、チューブ・セット20は装置10の準備の間に装置にセットされる。
【0040】
第1の実施例に従う装置10は、以下の方法で操作され得る。
【0041】
装置10は、患者の上に前記装着型の器材を配置することによりセットアップされる。最初に、チューブ・セットは、液のラインに沿って無菌液を通すことによってプライミングされるべきである。そのようなプライミングは、チューブの内側に存在する可能性がある有毒物が取り除かれることを確実にする。更に、例えば、チューブ・セットの無菌処置に起因する任意のバクテリアが取り除かれ得る。更に、チューブ・セット内の任意の空気が除去される。最後に、起こりうるチューブ・セットのリークが発見される可能性があり、そのときには、別のセットが用いられ得る。
【0042】
プライミング手順の1つの例は、以下の通りである。
図1に破線によって示され、無菌のアイソトニック(又は等張)のプライミング溶液(例えば、約2リットルの無菌の0.9%の食塩水)を含むプライミング・バッグ35は、患者チューブ22の遠位端のポート23に接続されている。エンド・コネクタ21は、蓋(図示せず)によって閉じられる。プライミング・ボタンが押されると、プライミング手順が始まる。
【0043】
プライミング手順はドレイン弁17を開くことから始まる。それから、フロー・ポンプ15が始動され、順方向に(時計回りに)動かされる。プライミング・バッグからの液は、ポート23を介して患者チューブ22に、更にポンプ・セグメント24に、そして、カセット25にまで流れる。カセット25から通じている唯一の接続は、ドレイン弁17を介してドレイン・バッグ30に到るものである。
【0044】
暫くの後、ドレイン弁17は閉じられ、間欠弁18が開けられる。それから、間欠バッグ33が(殆ど)満杯になるまで、プライミング液は間欠バッグ33にポンプ圧送される。それから、プライミング液を間欠バッグからプライミング・バッグへ戻すために、間欠バッグが空になるまで、フロー・ポンプ15は逆方向に(反時計回りに)動かされる。このステップにおいて、間欠バッグの内側に存在する可能性がある空気は除去される。それから、残りのプライミング液をドレイン・バッグ30にポンプ圧送するために、間欠弁18は閉じられ、ドレイン弁17が開けられ、フロー・ポンプ15は再び順方向に動かされる。患者チューブ22のプライミングの間、または、その前に、グルコース・バッグ26はスパイク28に接続され、それから、グルコース・ポンプ16が始動される。グルコース・チューブをすすぎ洗いするために、少量のグルコース溶液がグルコース・チューブ27を通ってグルコース・バッグ26からカセット25までポンプ圧送される。
【0045】
プライミングが完了され、プライミング・バッグ35が空となると、ポート23は閉じられ、プライミング・バッグ35はポート23から取り外され得る。プライミング・バッグが空となる前に、コネクタ21の端部の蓋は、短時間の間、取り外され得る。これによって無菌液がコネクタ21をすすぎ洗いする。それから、再び蓋が取り付けられる。
【0046】
プライミング液で満たされたドレイン・バッグ30は取り外される、そして、腹膜限外濾過のために用いられる腹腔液を含む新しいバッグがコネクタ32に接続される。患者コネクタ21から蓋を取り外して、このコネクタを患者ライン・コネクタ4に取り付けることによって、患者は患者チューブ22に接続される。ドレイン弁17は開けられ、バッグ30から患者の腹膜腔に腹腔液を入れるために、フロー・ポンプ15はその逆方向に動かされる。
【0047】
(数時間後に)処理が終わると、最後に余剰液は患者からドレイン・バッグへ移動される。
【0048】
他のプライミング手順も用いられ得る。例えば、ドレイン・バッグ30に集められたプライミング液は最後のステップにおいてプライミング・バッグ35へポンプで戻され得る。それから、プライミング・バッグ35はその中身ごと捨てられる。
【0049】
もう一つの方法は、間欠バッグが満たされるまで、間欠弁18を開けて、ポンプ15を順方向に動かすことによってプライミング・バッグ35から間欠バッグまでプライミング液をポンプで汲み出すことであり得る。(プライミング液の体積は200mlで十分である。)それから、ポンプ15は逆転され、間欠バッグ33が空になるまで、間欠バッグ33からの液はグルコース・バッグ26から少量の液と共に戻される。これにより、間欠バッグおよびカセットに存在する可能性がある空気が取り除かれる。最後に、ドレイン弁17を開けて、間欠弁18を閉じることによって、ドレイン・バッグ30の中の少量の腹腔液は、プライミング・バッグにポンプ圧送される。全てのラインのプライミングが要望通り行われたので、プライミング・バッグ35は取り外すことができ、ドレイン・バッグ30の中の腹腔液は患者に導入され得る。
【0050】
或いは、最初の腹腔液の初期導入のために、従来のCAPDバッグ・セットをポート23またはコネクタ4に接続することができ、腹腔液は重力供給によって腹膜腔に入れられ得る。この場合、ドレイン・バッグ30は最初は空である。同様に、完全な処理の後に、別個のドレイン・バッグをポート23に接続し、このドレイン・バッグを低い位置に置くことにより重力で腹膜腔を排出することによって、腹膜腔を最終的に空にするができる。
【0051】
バッグ30の中の腹腔液が所望の濃度(例えば、1.5%)のグルコースを含むならば、腹腔液の腹膜腔への最初の導入の間、グルコース・ポンプ16は作動されない。しかし、もう一つの実施例においては、バッグ30の中の腹腔液はグルコース以外は腹膜溶液の全ての成分を含み、グルコースは、初期導入の間に、グルコース・ポンプ16を作動させることによって所望の割合で加えられる。或いは、腹腔液のグルコース濃度は、最初のサイクルの間、例えば、30〜60分の間に、所定のグルコース濃度まで緩やかに増やされる。最初に導入された腹腔液の最初のグルコース濃度は0.5%未満であり得る。グルコース濃度は、通常の生理的グルコース濃度と一致する0.1%、または、上に示されるように0%であり得る。
【0052】
グルコースに加えて、腹膜溶液の標準成分は、塩化ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化カルシウム、および、塩化マグネシウムである。更に、塩化カリウムも含まれ得る。乳酸塩は、酢酸塩または重炭酸塩と取り替えられ得る。
【0053】
グルコースを含む腹腔液が腹膜腔に導入されたとき、導入された液と血液との間で物質の交換が起こる。特に、腹腔液中のグルコースの濃度は血中グルコース濃度より大きいので、グルコースは血液に緩やかに吸収される。しかし、グルコースの吸収は遅いので、グルコース溶液の浸透圧のために、水は、腹腔液を薄めるように、毛細血管の壁を通って逆方向に腹膜腔へ拡散する。腹腔液中のグルコースの濃度が血液中より大きい限り、このような水移送が起こる。そのような水移送は、限外濾過と等価である。血液が幾らかの水を失うので、この水の損失は体の他の部分からの血液によって補われるであろう。結果として、組織から余分の水が除去されることになる。しかし、血液が余りに濃縮して粘性を有するようになり得るので、血液から余りに速く水が除去されることは避けられるべきである。
【0054】
血液に吸収されたグルコースは、体のシステム、特に、インシュリン・システムによって対処される。インシュリン・システムは血中グルコース濃度を安全な限度の範囲内に保つ。この範囲は、通常、0.72〜1.26g/リットルに対応する4〜7mmol/リットルの間である。
【0055】
腹膜腔から血液によって吸収されるグルコースは、グルコース勾配と限外濾過を維持するために腹膜腔内において置換される必要がある。実施例において用いられる原則は、実質的に一定の限外濾過を達成するために、グルコースのおおよそ連続的な交換が実行されるということである。実質的に一定の限外濾過は症状を軽減すると信じられている。
【0056】
これは、以下の方法で達成される。短時間(例えば、20分)の後、間欠弁18が開けられ、フロー・ポンプ15は順方向に動かされる。これによって、液はカセット25を介して腹膜腔から間欠バッグまでポンプで汲み出される。間欠バッグは約160mlの容量を有し得る。流速は、約16ml/分であり得る。所定量(例えば、100ml(または、最大160ml))の液が間欠バッグに入れられたとき、間欠バッグ33の中の液を患者に戻すために、フロー・ポンプ15は逆方向に動かされる。グルコース・ポンプ16は、カセット25の中に戻された腹腔液にグルコースを連続的に加える。グルコースの添加は、血液に吸収されたグルコースを置換するために計算された速度で行われる。この手順は例えば、更なる20分の後で間欠的に繰り返される。
【0057】
こうして、腹膜腔の腹腔液に間欠的に新鮮なグルコースが補充される。しかし、腹膜腔内の腹腔液のグルコース濃度が実質的に一定であるよう、補充サイクルは比較的頻繁に行われる。こうして、実質的に一定の限外濾過が行われる。
【0058】
間欠バッグ33は、腹膜腔に導入される液の量より小さく構成される。これは、腹膜腔の全ての腹腔液を排出することを不可能にする。間欠バッグ33は、500ml未満、例えば、400ml未満または300ml未満であるべきで、或いは、更に、200ml未満であるべきである。本実施例において、間欠バッグは160mlである。腹膜腔内の全ての腹腔液が排出されたならば、限外濾過は止まる。腹腔液の排出および導入のための時間は比較的長く、また、穏やかであるべきであるので、そのような限外濾過の停止は好ましくない。こうして、腹膜腔の腹腔液の小さな部分だけが、各々のステップまたはサイクルの間に排出される。排出される量は、間欠バッグの全体積である必要がなく、間欠バッグの全体積より少なくてもよい(例えば、上記のように160mlのバッグのうちの100ml)。
【0059】
フロー・ポンプは、20ml/分の速度で動かされ得る。こうして、腹膜腔からの100mlの液の排出と(グルコースを補充された)同量の戻しに、約10分が掛かり得る。それから、次の交換サイクルが始まるまで、フロー・ポンプは0〜50分の間停止が維持され得る。こうして、全体の交換サイクルは、10〜60分である。
【0060】
限外濾過は、また、腹膜腔内の腹腔液の体積が増加するという結果をももたらす。そのような体積増は、腹膜腔内の圧力が増加するという結果をもたらし、このことは、限外濾過と反対に作用する。
【0061】
腹膜腔内部の、そのような体積増に対処するために、以下の手順が用いられ得る。補充サイクルの開始時においては、間欠弁18は閉じたままで、ドレイン弁17が開けられ、所定量(例えば、30分の間欠サイクルあたり50ml)の腹腔液が取り除かれ、ドレイン・バッグ30にポンプで注入される。それから、ドレイン弁17は閉じられ、間欠弁18が開けられ、先に述べたような手順が続く。こうして、各サイクルの間に少量の液が排出される。
【0062】
或いは、そのような液の排出は、5サイクル毎に、或いは、何時でも望まれる時に実行され得る。
【0063】
液の排出は、前記補充と同期する必要はない。もし、例えば、患者が不快を感じるほどに腹膜腔内の圧力が増したと患者が感じるか、疑うか、または、判断(又は測定)すると、患者はドレイン・ボタンを操作することができ、この操作により、所定量、例えば、100mlが排出されるまで、ドレイン弁17を開けて、フロー・ポンプ15を順方向に動かすことによって、所定量の液を排出する。
【0064】
もう一つの代替的な実施例においては、圧力センサが存在する。もし、腹膜腔内の圧力が所定の閾値より上まで増加するならば、圧力センサはドレイン・サイクルを起動させる。更なる詳細は以下の記述を参照。ドレインもまた、所定の時間間隔で(例えば、1時間毎に)で行われ得る。
【0065】
限外濾過水の交換(この交換は限外濾過を促進する)のために腹膜全体が用いられるように、しかし、腹膜腔の中には可能な限り小さい超過圧(この超過圧は限外濾過と反対に作用する)が存在するように、腹膜腔内の腹腔液の量は最適であるべきことを注記する。導入された体積があまりに小さいならば、腹膜の一部だけが用いられ、その結果、所望の限外濾過の目標を達成するために、より高いグルコース濃度を必要とする。圧力があまりに高いならば、水は組織と血管に押し戻される。
【0066】
グルコースの投与量は、予め決定され、医師による処方に従って調節され得る。患者は、また、少なくとも何らかの限度内でグルコースの補充を調節し得る。例えば、もし、患者が痛みを感じるならば、これは、余りに高いグルコース濃度によるものであり得るので、患者は、ボタンを押すことによって、そのような濃度を低下させ得る。ボタンを押すことは、次の数サイクルの間、グルコースの補充を減らす結果になり得る。患者が目まい、または、血圧低下を感じるならば、グルコースの減らされた補充が考えられるべき他の状況であり得る。
【0067】
1つの実施例によれば、グルコースは時間あたりの処方された量、例えば、1時間あたり5グラム加えられる。バッグ26内のグルコース濃度が20%(1リットルにつき200グラム)であるならば、そして、サイクルが1時間につき3回実行されるならば、各サイクル毎に交換される100mlの腹腔液に対して、各サイクルにおいて8.3
mlのグルコース液が加えられるべきである。腹膜腔内の腹腔液の濃度は、消費量が1時間あたり5グラムとなるであろう濃度値に達するであろう。これは、1日のうちの10時間、または、夜間のうちの6〜8時間であり得る、1回の処理時間の間の望ましい限外濾過に対応するであろう。限外濾過は測定され、1時間あたりのグルコース量の処方は、それに応じて調節される。人によって吸収されるグルコースの量は非常に個人差があり、特定の患者についても時間と共に変わり得る。
【0068】
上記実施形態は、患者がシングル・ルーメン患者ラインを有する場合に使用される。しかし、グルコース濃度は間欠周期内に平均値の上下に僅かに変化する。
【0069】
間欠周期は、腹膜腔におけるグルコースの変化と比較して小さくあるべきである。補充が行われないならば、グルコースは約1〜3時間の期間の間に吸収される。よって、補充のための間欠周期は、1時間より長くあるべきでない。適当な補充サイクルまたは補充期間は、60分、50分、40分、30分、または、20分であり得る。補充期間は、各補充サイクルの開始の間の時間として計算される。
【0070】
図2に示されるもう一つの実施例においては、2本の患者ラインまたはカテーテル53aおよび53bが図示のように腹膜腔に装置される。良く知られているように、2つのカテーテルはデュアル・ルーメン・カテーテルとして配置され得る。
【0071】
第2の実施例においては、第2のカテーテル53bは、
図1の実施例における間欠バッグ33の代わりに接続されか、又は、間欠バッグ33を置換する。
【0072】
第2の実施例においては、フロー・ポンプ65を順方向(時計回り方向)に動かすことによって、そして、間欠弁68を開けることによって、フロー・ポンプ65は、腹腔液を、第2のカテーテル53bを介して腹膜腔へ、そして、第1のカテーテル53aを介して腹膜腔から外へ、連続的に循環させる。グルコース・ポンプ66もまた、グルコースの連続的補充のために連続的に動かされる。このようにして、腹膜腔に導入される腹腔液において、一定のグルコース濃度を得ることができる。
【0073】
或いは、短い間隔(例えば、1分につき1回の動作)で、または、より長い間隔(例えば、4分毎)で、グルコース・ポンプは間欠的に動かされ得る。
【0074】
第2の実施例によるチューブ・セットは、
図1の実施例の間欠バッグ33の代わりに、患者ライン・コネクタ85を有する。更に、サンプル・ポート86は、間欠性チューブ84におけるコネクタ85に隣接して配置される。
【0075】
他の点においては、動作は、
図1に関連して記述された第1の実施例と実質的に同じである。
【0076】
グルコース・バッグによって届けられる濃縮グルコースは、カセット75内の腹腔液と混ぜ合わせられる。ここでは、完全な混合が行われる。カセットは所定の内容積(例えば、5ml)を有するので、ミキシングのために十分な時間をとることが効果的であろう。
【0077】
心不全を有する患者は低血圧をも有するかもしれず、低血圧は腎臓の動作を危うくし得る。通常より尿産生量が少ないので、腎臓は過剰水の除去において支援を必要とし得る。しかし、尿素やクレアチニンのような代謝老廃物の排出は、通常十分であり得る。
【0078】
しかし、低い尿量のため、ナトリウムの除去の不十分さが優勢となり得る。こうして、これらの実施例において用いられる腹腔液は、最初に導入された腹腔液のナトリウム濃度を、例えば、90mmol/リットルまで、減ずることにより変更され得る。これにより、上記の水除去に加えて、ナトリウムが除去され得る。腎臓のカリウムの除去があまりに低いならば、最初の液のカリウム濃度を1mmol/リットルまで下げることが適切であり得、導入された腹腔液中にカリウムが無いことさえ適切であり得る。しかし、体は低い血中カリウム濃度に敏感である、そして、カリウム濃度の低下(または、ゼロ)は医師によって慎重に管理されるべきである。
【0079】
上に示されたように、心不全がある患者には血圧異常があり得る。そのような血圧は、腹膜と隣接組織において毛細血管を部分的に後退(withdraw)させ、腹膜腔内の液と血液との間における物質の交換を、より少なくし得る。結果として、限外濾過が、より少なくなる。しかし、グルコースを連続的に供給すると体が過渡的な状況に曝されないので、グルコースの連続的供給によって毛細血管が後退する傾向を幾らかでも減らすことが期待される。こうして、連続的な、或いは、殆ど連続的であるが間欠的な、グルコースの補充は、敏感な患者にとって大きな重要性を有することが期待される。
【0080】
腹膜はグルコースへの過度の暴露に敏感であり、グルコースへの過度の暴露の結果として、腹膜の痛み、腹膜炎、および、他の合併症になり得る。腹膜のグルコースに対する穏やかな暴露は、そのような問題を打ち消すかもしれない。したがって、PD液の腹膜腔への初期導入が、低濃度のグルコース、または、ゼロ・グルコースで行われ得る。その後、グルコースの濃度は、所定の時間(例えば、30〜60分)の間に緩やかに所望の濃度まで増加される。
【0081】
グルコースの補充が連続的に、または、短い間隔で間欠的になされるという事実のために、低濃度のグルコースが用いることができ、なおかつ、所望の限外濾過が達成され得る。このことは、腹膜の限外濾過の機能を維持するためだけでなく、痛みと腹膜炎とを避けるために有利である。
【0082】
腹膜腔から流出した液のグルコース濃度を測定することによって、グルコースの補充は、制御され得るか、モニタされ得る。グルコースの初期濃度が1.5%であり、30分後の流出した液の測定された濃度が1.3%になった場合を考える。この場合、流入している液が1.7%の濃度を有するようなグルコースの補充が適切であり得る。流出した液グルコース濃度が依然減少するならば、補充は更に、1.8%等まで、増やされる、他方で、流出液濃度が所望の1.5%に近づいているならば、補充は減らされる。
【0083】
治療中の患者が低血圧または他の問題に曝され、その結果として腹膜の毛細血管の後退となるならば、このことは限外濾過の低下およびグルコース吸収の低下として現れる。低下したグルコース吸収はグルコース・センサまたはメータによってモニタすることができ、その結果、患者や管理者にアラームを出すことができる。そのときには、治療は中断することができ、あるいは、減少した吸収と低い限外濾過の原因を取り除くために他の処理が行われ得る。
【0084】
他方、血液へのグルコースの過度の吸収は特定の状況の間に起こる場合があり、結果として低グルコース濃度になる。
【0085】
サンプル・ポート73、86、23にはグルコース・メータが配置され得る。或いは、グルコース・メータは前記チューブ・セットに、例えば、カセット25、75に隣接して、配置され得る。
【0086】
グルコース・メータがグルコースへ暴露され続けることに対して敏感である場合があるので、グルコース・メータ88は
図3に示すようにドレイン弁17、67の後のドレイン・チューブ31、81に設けられ得る。グルコース濃度が測定されるべきときに、ドレイン弁67が開けられ、ポンプ65は、短時間の間、順方向に動かされ、測定が実行される。このように、グルコース・メータ88は、短時間の間だけグルコースに露出される。
【0087】
患者ライン3、53a、53bにおいて(またはこれらへの接続において)、または、これらの接続に隣接して圧力をモニタまたは測定するために、圧力センサまたはメータ91が、チューブ・システムにおけるポート23、73、86または他の何れかの位置に配置され得る。フロー・ポンプ65の停止の間の高い圧力は、腹膜腔内の大き過ぎる体積の指示であり得る。こうして、上に示されるように、幾らかの液をドレインに排出することが適切であり得る。
【0088】
図3に示されるように、圧力計91はポート73に接続されている適当な長さのチューブであり得る。液はチューブの中を上昇し、水柱の高さが圧力を、例えば、cm水柱で示す。例えば、ポート86および/またはポート23に同様の圧力計を設ける等の、他の構成も用いられ得る。通常、圧力は常に大気圧以上であるので、幾つかの実施例においては、大気圧より低い圧力を示す圧力計が有用であり得る。大気圧より低い圧力が長時間測定されるならば、アラームが発せられ得る。
【0089】
注入の間のポート23における高い圧力は、患者ライン3の部分的な閉塞に起因するものかもしれない。患者ラインが部分的に閉塞した場合にも、前記腔を空にする間に低圧になり得る。よって、アラームがトリガされ得る。
【0090】
患者へのチューブ(すなわち、第2の実施例の間欠チューブ84)に閉塞またはキンクが存在するならば、このことは、フロー・ポンプ65の動作中のカセットにおける高い圧力として明らかになる。カセットの中に配置される圧力モニタまたはメータ87は、そのような予想外または好ましくない高い圧力を感知することができ、結果として装置のアラームおよび/または他の動作(例えば、運転停止)をもたらす。圧力モニタは、カセット内の圧力と実質的に比例した電気信号を発する圧電圧力計であり得る。
【0091】
フロー・ポンプおよび/またはグルコース・ポンプの動作を制御するために、圧力計37、87も用いられ得る。間欠弁18およびドレイン弁17を閉じて、順方向にフロー・ポンプ15を動かすことによって、カセット25内の圧力が上昇する。カセット25内の圧力は、圧力計37、87によって制御され得る。グルコース・ポンプにおいても同じ制御が実行され得る。圧力が上昇しないならば、リークが存在し得る。
【0092】
圧力計37、87の圧力は、連続的に測定、または、モニタされ得る。圧力の突然で予想外の逸脱が測定されると、アラームが起動する。このことは、チューブの何れかにキンクがあるならば、起こり得る。弁が正常に動かないならば、これは圧力モニタによっても検出され得る。
【0093】
フロー・ポンプ65の順方向の動作中に患者ライン82にキンクまたは閉塞があるならば、低流量または流量無しとなるであろう。この事実は、カセット圧力計87によって検出されないままとなり得る。しかし、患者ライン82においてポンプ・セグメントの直前に設けられるフロー・メータ90は、小さ過ぎる流れ、または、流れの不存在を検出するのに用いられ得る。更に、もう一つのフロー・メータ89は間欠弁68と患者コネクタ85との間に設けられ得る。
【0094】
治療は長時間、少なくとも6時間、続けられる。一実施例において、治療は毎日16時間の間実行される。もう一つの実施例において、治療は夜間に行われ、8時間続く。治療の前に新しい腹腔液が導入され、そして、治療の後に全ての腹腔液は排出される。得られた限外濾過を計算するために、導入された液と排出された液との違いが測定され得る。
【0095】
腹膜透析が結果としてアルブミンの大きな損失をもたらし得ることが知られており、1日あたり最高10グラムの喪失が報告されている。例えば、うっ血性心不全患者のように、水の過負荷を有する患者はアルブミンの喪失に特別に敏感である。これは、血液と組織との間の水交換の間、アルブミンがそのような水のバランスにおいて決定的な役割を演ずるからである。更に、そのような患者は、しばしば栄養失調で、血中のアルブミンを補充することが困難である。こうして、アルブミンの如何なる除去も対抗されるべきである。
【0096】
図3は、ドレイン・チューブ81に配置されるアルブミン・フィルタ92を表す。フィルタ92は、アルブミン以上の大きさの全ての物質がドレイン・バッグ30まで通らないことを確実にする。全ての腹腔液が腹膜腔から汲み出されるまで、ドレイン弁67を開き、間欠弁68を閉じ、ポンプ65を順方向に動かすことで最終的なドレイン・プロセスが始まる。全てのアルブミンは、アルブミン・フィルタ92によって保持される。腹膜腔が空にされたあと、腹膜腔に少量の液を戻すために、ポンプ65は逆方向に動かされ得る。そのような少量は、例えば、約20mlなど、チューブ82およびカセット75の体積より大きい場合がある。そのような逆流は、腹膜腔にフィルタ内側に累積された全てのアルブミンを戻す。アルブミンは体のリンパ・システムによって回収される。
【0097】
同じ原理が他の実施例の何れにおいても用いられ得る。
【0098】
アルブミン・フィルタはドレイン・チューブ81内の如何なる位置にも配置され得る。例えば、ドレイン・チューブとドレイン・バッグとの間のコネクタ32内に統合され得る。
このように、フィルタは交換可能であり得る。
【0099】
補充サイクルの間には吸着フィルタ或いは透析器の何れもが流路には設けられていないという、もう一つの重要な事実がアルブミンを保つことを助ける。
【0100】
吸着フィルタ(複数)は、衰弱している腎臓によって除去できない老廃物(例えば、尿素およびクレアチニン)の吸収のための従来の腹膜透析において用いられ得る。そのような吸着フィルタはアルブミンを吸着することがあり、うっ血性心不全患者のために症状を悪化させる危険を冒すであろう。本実施例では、治療時間の間に、アルブミンを吸着し得る物質を含む如何なるフィルタも用いない。それとは反対に、チューブ・セットは極力小さく、ポンプ15およびピンチ弁18以外には、流路には障害物がない。最後に、ドレイン段階の間、液は、アルブミンを失わないようにするアルブミン・フィルタを通過する。それから、アルブミンは腹膜腔に戻され、体のリンパ・システムに吸収され得る。こうして、アルブミン損失は最小にされる。
【0101】
更に、流路は、アルブミンが付着し得、且つ、除去され得る大きな表面(複数)を有する透析器を含まない。
【0102】
更に、チューブ・セットは非常に小さな内容積を有し、これは、カセットの容積に約10ml加えたものである。カセットの容積は約5mlであり得る。
【0103】
腹膜腔において腹腔液を撹拌することが有利であり得る。
図2による実施例において、そのような撹拌は、所定の時間(例えば、5分)の間、フロー・ポンプ65を逆方向に動かし、その後、フロー・ポンプ65を順方向に動かすことによって通常の流れの向きとすることによって、実行され得る。逆方向の動作は、普通より高い速度で、または、可変速度で実行され得る。
図1による第1の実施例において、腹腔液の流入の間、異なる速度でフロー・ポンプ15を動かすことによって、撹拌を得ることができる。例えば、30秒間の高速運転の後、数分間の通常速度とする。また、異なる速度の動作は、第2の実施例においても(或いは、第2の実施例における1つの選択肢として)用いられ得る。
【0104】
不必要な圧力が腹膜および腹膜腔に加わらないようにするために、装置の動作中の流速は通常小さくあるべきである。15ml/分〜40ml/分の流速が適切である。グルコース・ポンプは、0.1ml分〜3ml/分の速度で動作し得る。排出の間、フロー・ポンプ65は、最高約170ml/分という、より高い速度で動かされ得る。
【0105】
グルコース・バッグは10%〜20%(最高40%)の濃度のグルコースを含むことができ、約0.25リットルから0.5リットルまでの体積を有し得る。腹膜腔に入れられる腹腔液の体積は、約1〜3リットル(例えば、1.5リットル)であり得る。腹腔液は、132mM(mmol/リットル)のナトリウム、2mMのカリウム、2.5mMのカルシウム、0.5mMのマグネシウム、95mMの塩化物、そして、40mMの乳酸塩のイオンを有し得る。乳酸塩は、酢酸塩または重炭酸塩と置き替えられ得る。上に示されるように、最初のグルコース濃度は約1.5%以下であり得る。
【0106】
グルコース濃度が有毒な最終産物(AGE)を形成することなく殺菌され得るので、グルコースがグルコース濃縮バッグから加えられるという事実は有利である。
【0107】
ナトリウムイオンが除去されるべきであるならば、ナトリウム・イオン濃度は95mM以下であり得る。カリウム濃度は、1mM以下(0mM)まで下げられ得る。
【0108】
請求の範囲において、「を含む」という語は、他の要素またはステップの存在を除外しない。更に、個別に記述されるが、複数の手段、要素、または、方法ステップは、例えば、単一のユニットによって実行され得る。更にまた、個々の特徴が異なる請求項または実施例に含まれ得るが、これらはおそらく有利に結合され得る。また、個々の特徴が異なる請求項に含まれても、特徴の組合せが実現不可能、および/または、不利ということを意味しない。更に、単数形での記述は、複数であることを除外しない。表現「1つの」、「第1」、「第2」等は、複数であることを排除しない。請求項における参照符号は、単に説明目的の例としてのみ提供されるものであり、如何なる形であれ請求の範囲を制限するものとして解釈されてはならない。
【0109】
以上、本発明が特定の実施例および実験に関連して記述されたが、このことは、ここに述べられる特定の形に限定されることを意図するものではない。むしろ、本発明は添付された請求の範囲だけによって制限される。そして、ここで記述された実施例以外の実施例も、添付された請求の範囲内で等しく可能である。
【0110】
(付記)下記は、本願に当初より記載の発明である。
<請求項1>
患者、例えば、うっ血性心不全により水分過剰の患者の限外濾過のための装置であって、
4つのインレット/アウトレット(25a、25b、25c、25d)を有するカセット(25)と、
前記患者(1)の腹膜腔(2)へのアクセスのための患者ライン(3)に接続されることを目的とする患者コネクタ(21)を前記カセット(25)の第1のインレット(25a)に接続するための患者チューブ(22)であって、前記カセット(25)と腹膜腔(2)との間の腹腔液の注入および排出のためのフロー・ポンプ(15)を有する、前記患者チューブ(22)と、
間欠弁(18)を有し、間欠バッグ(33)を前記カセットを第2のインレット(25b)へ接続するための間欠チューブ(34)と、
ドレイン弁(17)を有し、ドレイン・バッグ(30)を前記カセットの第3のインレット(25c)に接続するためのドレイン・チューブ(31)と、
前記カセットにグルコースを加えるためのグルコース・ポンプ(15)を有し、高濃度のグルコースを含むグルコース・バッグを前記カセットの第4のインレット(25d)に接続するためのグルコース・チューブ(27)を有し、
浸透剤の濃度を腹膜腔において実質的に一定に保持するためにグルコースが補充される装置。
<請求項2>
前記カセット(25)の前記第1(25a)および第2(25b)のインレットは前記カセットの一方の側に配置され、前記カセット(25)の前記第3(25c)および第4(25d)のインレットは前記カセットの他方の側に配置される請求項1に記載の装置。
<請求項3>
前記間欠バッグは、500ml未満、400ml未満、300ml未満又は200ml未満であり、例えば、160mlである、請求項1又は2に記載の装置。
<請求項4>
前記カセットに注入される、或いは、前記カセットから排出される腹腔液のグルコース濃度を測定するためのグルコース・メータ(88)を更に有する、請求項1〜3の何れか1つに記載の装置。
<請求項5>
前記グルコース・メータは、前記ドレイン・チューブ(31)内で前記ドレイン弁(17)の下流側に設けられ、これによって、グルコース濃度はドレイン弁が開いている時にのみ測定される請求項4に記載の装置。
<請求項6>
前記患者コネクタ(21)に隣接して設けられた腹腔液の圧力測定のための圧力計(91)を更に有する、請求項1〜5の何れか1つに記載の装置。
<請求項7>
前記カセット(25、75)内の圧力測定のために設けられた圧力計(37、87)を更に有する、請求項1〜6の何れか1つに記載の装置。
<請求項8>
前記間欠バッグは、患者(1)の腹膜腔(2)へのアクセスのための第2の患者ライン(53b)に接続されることを目的とする第2の患者コネクタ(85)によって置き換えられている、請求項1〜7の何れか1つに記載の装置。
<請求項9>
前記患者チューブ(22)、前記患者コネクタ(21)、前記患者ライン(3)、前記第1のインレット(25a)、前記カセット、前記間欠チューブ(34)、前記間欠バッグ(33)、および、前記カセットの前記第2のインレット(25b)はすべて、如何なる吸着性の材料または透析器も無しで設けられる、請求項1〜8の何れか1つに記載の装置。
<請求項10>
前記ドレイン・チューブ(31)は、腹膜腔の排出の間にアルブミンがドレイン・バッグに移るのを防ぐためのアルブミン・フィルタ(92)を有する、請求項1〜9の何れか1つに記載の装置。
<請求項11>
前記患者チューブ(82)に設けられたフロー・メータ(90)を更に有する、請求項1〜10の何れか1つに記載の装置。
<請求項12>
患者、例えば、うっ血性心不全により水分過剰の患者の限外濾過のための方法であって、前記患者は、腹膜腔に導入された所定体積の腹腔液を有し、前記方法は、
前記腹膜腔から、患者ライン(3)、患者コネクタ(21)、および、フロー・ポンプ(15)を通ってカセット(25)の第1のインレット(25a)まで、更に、第2のインレット(25b)、開いた間欠弁(18)、および、間欠チューブ(34)を通って間欠バッグ(33)まで、腹腔液を移動することと、
その後に、前記間欠バッグ(33)から同じ経路を逆方向に腹腔液を戻すことと、
を含み、
腹腔液の前記戻しの間、濃縮されたグルコース溶液は、腹腔液の流れによって希釈され、腹膜腔に入れられるように、グルコース・ポンプ(16)によって、グルコース濃縮液バッグ(26)から第4のインレット(25d)を通って前記カセットに同時に入れられ、
それによって、腹膜腔において腹腔液にグルコースが補充される方法。
<請求項13>
前記移動の流れおよび前記戻しの流れは、吸着材料無しのチューブおよびスペースを通り抜ける請求項12に記載の方法。
<請求項14>
前記移動の流れおよび前記戻しの流れは、透析器無しのチューブおよびスペースを通り抜ける請求項12または13に記載の方法。
<請求項15>
腹膜限外濾過を終了した後、腹膜腔が空になるまで、前記フロー・ポンプ(15)によって、腹膜腔からアルブミン・フィルタ(92)を通ってドレイン・バッグ(30)へ腹腔液を移動させることにより、腹膜腔から腹腔液が排出され、それから、前記アルブミン・フィルタによって集められたアルブミンを戻すために、前記フロー・ポンプ(15)は反転され、少量の腹腔液を、前記ドレイン・バッグから前記アルブミン・フィルタを通して腹膜腔まで戻す請求項12から14の何れかに記載の方法。
<請求項16>
前記患者ライン(3)、前記患者コネクタ(21)、および、前記フロー・ポンプ(15)を通って前記カセット(25)の前記第1のインレット(25a)まで、更に、第3のインレット(25c)、開いたドレイン弁(17)、および、前記アルブミン・フィルタを通って前記ドレイン・バッグまで腹腔液の排出が行われる請求項15に記載の方法。
<請求項17>
各回の前記排出の流れと前記戻しの流れは、500ml未満、400ml未満、300ml未満又は200ml未満、例えば、160mlの最大体積を有する請求項12から16の何れかに記載の方法。
<請求項18>
腹腔液の前記移動と前記戻しの開始の前に、0.2%未満などの0.5%未満のグルコースを含む腹腔液、例えば、0.1%または0%のグルコースを含む腹腔液が最初に腹膜腔に導入されることを更に含み、
それにより、例えば、30分から60分の間の所定の時間の間に、グルコース濃度が所定の処理濃度まで増やされる請求項12から17の何れかに記載の方法。
<請求項19>
患者、例えば、うっ血性心不全により水分過剰の患者の限外濾過のための方法であって、前記患者は、腹膜腔に導入された所定体積の腹腔液を有し、前記方法は、
前記腹膜腔から、第1の患者ライン (53a)、患者コネクタ(21)、および、フロー・ポンプ(65)を通ってカセット(75)の第1のインレットまで、更に、前記カセットの第2のインレット/アウトレット、開いた間欠弁(68)、および、間欠チューブ(84)を通って第2の患者ライン(53b)まで、腹腔液を移動することを含み、
腹腔液の前記流れの間、濃縮されたグルコース溶液は、腹腔液の流れの中で希釈されて腹膜腔に入れられるように、グルコース・ポンプ(16)によって、グルコース濃縮液バッグ(26)から第4のインレット(25d)を通って前記カセットに同時に入れられ、
それによって、腹膜腔において腹腔液にグルコースが補充される方法。
<請求項20>
うっ血性心不全による水分過剰の治療のための、腹膜限外濾過による、腹腔液の使用であって、
腹腔液のグルコース濃度を実質的に一定に維持するために、腹腔液は患者の腹膜腔から排出され、グルコースを補充され、腹膜腔に戻される、腹腔液の使用。