(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6554490
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】オーバ・ザ・ニードル式カテーテル挿入体
(51)【国際特許分類】
A61M 25/06 20060101AFI20190722BHJP
【FI】
A61M25/06 500
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-570781(P2016-570781)
(86)(22)【出願日】2015年6月10日
(65)【公表番号】特表2017-519559(P2017-519559A)
(43)【公表日】2017年7月20日
(86)【国際出願番号】US2015035050
(87)【国際公開番号】WO2015195428
(87)【国際公開日】20151223
【審査請求日】2018年4月18日
(31)【優先権主張番号】14/306,625
(32)【優先日】2014年6月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514300557
【氏名又は名称】アヴェント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハラジュ、スティーブ サイード
【審査官】
芝井 隆
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2014/0107619(US,A1)
【文献】
特表2000−504973(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0025039(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0178464(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーバ・ザ・ニードル式カテーテルアセンブリであって、
近位端、遠位端、前記両端間に延在するルーメンを有する本体部を含むカテーテルと、
第1の端部、第2の端部、前記両端部間に延在する中空通路を有し、前記ルーメンの少なくとも一部に挿入されるコイル挿入体と、
前記コイル挿入体の前記中空通路内に挿通されるニードルとを含み、
前記コイル挿入体により、前記カテーテルが患者の体内でねじれることを防止するように構成され、
前記アセンブリはさらに、
前記カテーテルの近位端に設けられたハブと、
前記コイル挿入体の近位端に設けられたハンドルとを含み、
前記ハンドルは前記カテーテルの前記ハブと係合可能に構成され、前記ハンドルは前記ハブと係合して、流体送達装置と接続可能なハブアセンブリを形成することを特徴とするアセンブリ。
【請求項2】
前記コイル挿入体は、導電性材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記コイル挿入体に接続され、前記コイル挿入体を介して患者の体内の目標部位に刺激を提供するように構成された刺激アセンブリをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
オーバ・ザ・ニードル式カテーテルアセンブリであって、
近位端、遠位端、前記両端間に延在するルーメンを有する本体部を含むカテーテルと、
前記カテーテルを患者の体内の目標部位に案内するべく、前記ルーメンの少なくとも一部に挿入されるニードルと、
前記カテーテルを前記目標部位の近傍に配置し、前記ニードルを前記カテーテルから抜去した後に、前記カテーテルの前記ルーメンの少なくとも一部に挿入される構造部材とを含み、
前記構造部材により、前記カテーテルが前記患者の体内でねじれることを防止するように構成され、
前記構造部材は、導電性のコイル挿入体を含み、
前記カテーテルは、第1の長さを有し、
前記導電性のコイル挿入体は、該導電性のコイル挿入体を前記カテーテル内に挿入したときに該導電性のコイル挿入体の遠位端が前記カテーテルの前記遠位端を越えて突出するように、前記第1の長さよりも長い第2の長さを有し、
前記アセンブリはさらに、
前記導電性のコイル挿入体の近位端に設けられたハンドルと、
前記カテーテルの近位端に設けられたハブとを含み、
前記ハンドルは前記カテーテルの前記ハブと係合可能に構成され、前記ハンドルは前記ハブと係合して、流体送達装置と接続可能なハブアセンブリを形成することを特徴とするアセンブリ。
【請求項5】
前記導電性のコイル挿入体に接続され、前記導電性のコイル挿入体を介して患者の体内の目標部位に刺激を提供するように構成された刺激アセンブリをさらに含むことを特徴とする請求項4に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記構造部材が、丸みを帯びた遠位端を有する中実挿入体を含み、
前記中実挿入体は、前記患者の体内で前記カテーテルを前進させることができるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2014年6月17日出願の米国特許出願第14/306,625号に基づく優先権を主張するものである。上記出願は、その全文を引用することを以って本明細書の一部となす。
【0002】
(技術分野)
本発明は、概して、医療カテーテルの分野に関し、より詳細には、オーバ・ザ・ニードル(OTN)式カテーテルに関する。
【背景技術】
【0003】
患者の体内に流体を投与するのに使用されるデバイス(機器)は公知である。例えば、皮下注射ニードルやカテーテルなどが、薬剤や他の流体を患者体内の目標部位に送達するのによく使用されている。多くの場合、流体を特定の部位に所定期間にわたって送達することができるカテーテルを使用することが好ましい。カテーテルは一般的に、柔軟なプラスチック材料から作製されるため、カテーテルは通常は、ニードルを使用して患者の体内に挿入される。例えば、「スルー・ザ・ニードル(through-the-needle)」式カテーテルと一般的に呼ばれるカテーテルは、多くの場合、該カテーテルを患者体内に挿入する際に、硬い中空のイントロデューサニードルを必要とする。カテーテルは、ニードルを目標部位まで挿入した後に、ニードルに沿わせて挿入される。このようなイントロデューサニードルは通常は、該ニードルを患者体内に挿入する際に患者の組織及び/または神経を傷つける恐れがある鋭利な先端を有するため、患者に不快感を与える場合がある。
【0004】
「オーバ・ザ・ニードル(over-the-needle:OTN)」式カテーテルと一般的に呼ばれる別のタイプのカテーテルは、ニードルを取り囲むようにして該ニードルと同軸的に配置されたカテーテルを含む。このタイプのカテーテルでは、カテーテル及びニードルは、互いに一体的に結合させた状態で、患者の体内に同時に挿入される。カテーテル及びニードルが目標部位に到達したら、カテーテルをその位置に残し、ニードルは抜去される。このようにして、OTN式カテーテルは、カテーテルをニードルに沿わせて患者体内に挿入することを必要とすることなく、カテーテルを正確な位置に挿入することができる。したがって、例えば神経ブロックの目的での麻酔薬の送達に関して、OTN式カテーテルに対する関心が高まっている。患者の体内に流体を適切に送達し、かつ患者が受ける不快感を最小限に抑えるためには、OTN式カテーテルは、その壁部をできる限り薄くし、かつ患者の体内に挿入するときにねじれることがないようにする必要がある。
【0005】
そのため、医療分野では、患者の体内に挿入するときにねじれることがない、新規かつ改良されたOTN式カテーテルが依然として求められている。そこで、本発明は、上述した問題を解決することができる、OTN式カテーテルアセンブリを提供することを目的とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的および利点は、その一部が以下の説明に記載されており、あるいは以下の説明から明らかであり、あるいは本発明の実施により学ぶことができるであろう。
【0007】
いくつかの実施形態では、本発明は、オーバ・ザ・ニードル(OTN)式カテーテルアセンブリに関する。このOTN式カテーテルアセンブリは、ニードルと、近位端及び遠位端を有しニードルを取り囲むようにして該ニードルと同軸的に配置されるカテーテルと、コイル挿入体とを含む。カテーテルの本体部は、カテーテルの近位端及び遠位端間に延在するルーメンを有する。コイル挿入体は、第1の端部及び第2の端部を有し、ルーメンの少なくとも一部に挿入される。さらに、コイル挿入体は、その第1の端部及び第2の端部間に延在する中空通路を画定する。ニードルは、コイル挿入体の中空通路に挿通される。コイル挿入体は、カテーテルが患者の体内でねじれることを防止する。
【0008】
一実施形態では、コイル挿入体は、カテーテルの本体部の内壁に成形されるかまたは埋め込まれる。別の実施形態では、OTNアセンブリは、カテーテルの近位端に設けられたハブをさらに含む。さらに、別の実施形態では、コイル挿入体は、カテーテルのハブと係合してハブアセンブリを形成するハンドルをさらに有する。いくつかの実施形態では、ハブアセンブリは、流体送達装置と接続可能に構成されている。
【0009】
さらなる実施形態では、コイル挿入体は、導電性材料(例えば金属)を含む。いくつかの実施形態では、OTN式カテーテルアセンブリは、コイル挿入体に接続され、コイル挿入体を介して患者の体内の目標部位に刺激を提供するように構成された刺激アセンブリをさらに含む。
【0010】
別の態様では、本発明は、オーバ・ザ・ニードル(OTN)式カテーテルアセンブリに関する。このOTN式カテーテルアセンブリは、ニードルと、近位端及び遠位端を有しニードルを取り囲むようにして該ニードルと同軸的に配置されるカテーテルと、構造部材とを含む。カテーテルの本体部は、近位端及び遠位端間に延在するルーメンを有する。ニードルは、カテーテルを患者の体内の目標部位に案内するべく、ルーメンの少なくとも一部に挿入される。構造部材は、カテーテルを患者の体内の目標部位の近傍に配置し、ニードルをカテーテルから抜去した後に、カテーテルのルーメンの少なくとも一部に挿入される。構造部材は、カテーテルが患者の体内でねじれることを防止する。
【0011】
一実施形態では、構造部材は、導電性コイル挿入体を含む。別の実施形態では、カテーテルは、第1の長さを有し、導電性コイル挿入体は、導電性コイル挿入体をカテーテル内に挿入したときに導電性コイル挿入体の遠位端がカテーテルの遠位端を越えて突出するように、第1の長さよりも長い第2の長さを有する。さらなる実施形態では、OTN式カテーテルアセンブリは、カテーテルの近位端に設けられたハブをさらに含む。同様に、コイル挿入体は、カテーテルのハブと係合可能に構成され、カテーテルのハブと係合してハブアセンブリを形成するハンドルをさらに有する。いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリは、コイル挿入体に接続され、コイル挿入体を介して患者の体内の目標部位に刺激を提供するように構成された刺激アセンブリをさらに含む。加えて、上述したように、いくつかの実施形態では、ハブアセンブリは、流体送達装置と接続可能に構成されている。
【0012】
別の実施形態では、構造部材は、丸みを帯びた遠位端を有する中実挿入体を含む。一実施形態では、中実挿入体は、患者の体内でカテーテルを前進させることができるように構成されている。
【0013】
さらなる別の実施形態では、本発明は、オーバ・ザ・ニードル(OTN)式カテーテルアセンブリを使用して患者の体内の目標部位に治療薬を提供する方法に関する。本方法は、近位端及び遠位端を有し、ニードルを取り囲むようにして該ニードルと同軸的に配置されるカテーテルを用意するステップを有する。本方法はまた、カテーテル及びニードルを患者の体内に同時に挿入し、カテーテルの遠位端が目標部位に達するまで前進させるステップを有する。本方法はまた、カテーテルを目標部位の近傍に残して、カテーテルからニードルを抜去するステップを有する。本方法はまた、ニードルの抜去後に、患者の体内に残されたカテーテル内にコイル挿入体を挿入し、コイル挿入体によりカテーテルが患者の体内でねじれることを防止するステップを有する。本方法はまた、カテーテル内に挿入されたコイル挿入体の中空通路を介して目標部位に治療流体を投与するステップを有する。
【0014】
一実施形態では、カテーテルは、その近位端に設けられたハブをさらに有する。さらなる実施形態では、コイル挿入体は、カテーテルのハブに係合可能に構成されたハンドルをさらに有する。様々な実施形態では、本方法は、コイル挿入体のハンドルをカテーテルのハブと係合させて、コイル挿入体を所定位置に固定するハブアセンブリを形成するステップを有する。
【0015】
さらなる実施形態では、コイル挿入体は、導電性材料、例えば、らせん状に巻回された金属性ワイヤを含む。様々な実施形態では、本方法は、カテーテルの遠位端が患者の体内に位置した状態で、導電性コイル挿入体をカテーテル内に挿入し、コイル挿入体の遠位端がカテーテルの遠位端を越えて突出するまでコイル挿入体を前進させるステップをさらに有する。さらに、本方法は、患者の体内の目標部位に刺激を提供するように構成された刺激アセンブリを導電性コイル挿入体に接続するステップをさらに有する。さらなる実施形態では、本方法は、ハブアセンブリを流体送達装置に接続し、流体送達装置を介して目標部位に流体を送達するステップをさらに有する。
【0016】
本発明の上記及び他の特徴、態様及び利点は、以下の説明及び添付された特許請求の範囲を参照することにより、より良く理解できるであろう。添付図面は、本明細書に組み込まれてその一部を構成し、本発明の実施形態を図示し、本明細書とともに本発明の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0017】
当業者を対象にした本開示の完全かつ実現可能な開示(ベストモードを含む)が、添付図面を参照して、本明細書の残りの部分により詳細に説明される。
【0018】
【
図1】本発明の態様によるOTN式カテーテルアセンブリの一実施形態の斜視図である。
【
図2】本発明の態様によるOTN式カテーテルアセンブリの一実施形態の断面図である。
【
図4】本発明の態様によるOTN式カテーテルアセンブリの別の実施形態の詳細な断面図である。
【
図5】本発明の態様によるOTN式カテーテルアセンブリ用のコイル挿入体の一実施形態の斜視図である。
【
図6】本発明の態様によるOTN式カテーテルアセンブリの様々な構成要素を示す図である。
【
図7】本発明の態様によるOTN式カテーテルアセンブリを患者の体内に挿入した状態を示す図である。
【
図8】本発明の態様によるOTN式カテーテルアセンブリ用の構造部材の一実施形態の斜視図である。
【
図9】OTN式カテーテルアセンブリを使用して患者の体内の目標部位に治療薬を送達する方法の一実施形態を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に示された本発明の1つまたは複数の実施形態および実施例を詳細に説明する。実施例および実施形態の各々は、本発明を説明するために提示されたものであり、本発明を限定することを意図したものではない。例えば、一実施形態の一部として例示または説明された特徴を、別の実施形態と組み合わせて、さらなる実施形態を創出することもできる。本発明は、本発明の範囲および精神を逸脱しない限り、これらのおよび他の改変形態および変更形態を包含するものとする。
【0020】
位置に関する用語である「近位」および「遠位」は、本明細書において、種々の構成要素の相互のおよび患者に対する方向を示すために用いられる。「遠位」は、創傷部位に最も近い方向を指し(例えば、コネクタの遠位端部は、カテーテル挿入部位に向いた端部である)、「近位」はその反対方向を指す(例えば、カテーテルの近位端部は、通常は流体送達装置に接続されるカテーテルコネクタの遠位端部に挿入される)。
【0021】
概して、本開示は、カテーテルを患者体内に挿入し神経束に向けて前進させるときにカテーテルがねじれることを防止するコイル挿入体を含むオーバ・ザ・ニードル(OTN)式カテーテルアセンブリに関する。本開示のOTN式カテーテルアセンブリは、医療処置中に神経ブロックを提供するために患者の神経束に麻酔薬を送達するのに特に有用である。様々な実施形態では、本開示のOTN式カテーテルアセンブリは、ニードルを取り囲むようにして該ニードルと同軸的に配置されるカテーテルを含む。より具体的には、本カテーテルアセンブリは、カテーテルの内壁に埋め込まれたコイル挿入体を含む。コイル挿入体は、カテーテルを患者の体内に挿入するときにねじれることがない薄い壁部を有するカテーテルアセンブリを提供する。別の実施形態では、コイル挿入体はカテーテルと別体に構成され、カテーテルアセンブリを患者の体内の目標部位に配置し、ニードルを抜去した後に、カテーテル内に挿入される。この場合、コイル挿入体は、所望であれば、患者に不快感を与えることなく、患者の体内でカテーテルを前進させることができる。
【0022】
図面を参照すると、本開示によるオーバ・ザ・ニードル(OTN)式カテーテルアセンブリ10の様々な実施形態が
図1−3に示されている。図示のように、OTN式カテーテルアセンブリ10は、ニードル12とカテーテル14とを含み、カテーテル14は、近位端22と、ニードル12を取り囲むようにして該ニードル12と同軸的に配置される遠位端24とを有する本体部20を含む。いくつかの実施形態では、カテーテル14の近位端22に、流体送達装置(図示せず)と係合連結するためのハブ16が設けられている。前述したように、流体送達装置は、例えばポンプ、貯蔵器、注射器などの当分野で公知の任意の適切な装置であり得る。さらに、ハブ16は、ルアーロック型継手(Luer-lock fitting)などの任意の従来の構造を有し得る。
【0023】
図3に示すように、カテーテル14の本体部20は、カテーテル14の近位端22と遠位端24との間に延在するルーメン26を有する。さらに、ルーメン26の少なくとも一部に、構造部材(structural member)18が配置されている。特に
図2−7の実施形態を参照して、構造部材18は、コイル挿入体(coil insert)に相当する。より詳細には、
図5は、カテーテル14内に挿入される前、またはカテーテル14のカテーテル壁部(ルーメン26を画定する壁部)17に埋め込まれる前のコイル挿入体18を示す。さらに、図示のように、コイル挿入体18は、第1の端部29と、第2の端部30と、この両端部間に延在する中空通路25とを有する。そして、
図3に示すように、ニードル12は、コイル挿入体18の中空通路25内に挿通される。これにより、OTN式カテーテルアセンブリ10のニードル12及びカテーテル14は、患者の体内に同時に挿入することができる。そして、コイル挿入体18は、カテーテル14を患者の体内の目標部位に向けて前進させるときに、カテーテル14がねじれることを防止するように構成されている。
【0024】
いくつかの実施形態では、特に
図2及び3に示すように、コイル挿入体18は、カテーテル14の本体部20の内壁(カテーテル壁部17)に成形されるかまたは埋め込まれる。例えば、
図3に示すように、コイル挿入体18は、耐久性または剛性を有し、かつフレキシブルなカテーテル14を提供するように、カテーテル壁部17に部分的に埋め込まれる。このことにより、OTN式カテーテルアセンブリ10のカテーテル14は、ねじれ耐性を有する薄い壁部を有するように構成することができ、これにより、患者が受ける不快感を最小限に抑え、かつ患者の体内の目標部位に流体を効率的に送達することが可能となる。
【0025】
別の実施形態では、
図1に示すように、OTN式カテーテルアセンブリ10はまた、コイル挿入体18及び/またはニードル12に接続された刺激アセンブリ50を含む。いくつかの実施形態では、刺激アセンブリ50は、コイル挿入体18を介して、患者の体内の目標部位に刺激を提供するように構成されている。より具体的には、刺激アセンブリ50は、刺激コネクタ52と、コイル挿入体18に接続される刺激ワイヤ54とを有している。刺激アセンブリ50は、当分野で公知の任意の適切な刺激アセンブリであり得、図示した実施形態は例示のみを目的として提供されていることを理解されたい。
【0026】
別の実施形態では、
図4、6、7に示すように、構造部材は、カテーテル壁部17に成形または埋め込まれたものではなく、カテーテル14とは別体に構成され、カテーテル14内に挿入可能かつカテーテル14から抜去可能なコイル挿入体28であり得る。より具体的には、
図6に示すように、コイル挿入体28は、その第1の端部35及び第2の端部37間に延在する、剛性を有しかつフレキシブルなコイルばねを含む。一実施形態では、コイル挿入体28の長さは、カテーテル14の長さよりも短い。別の実施形態では、コイル挿入体28の長さは、カテーテル14の長さと略等しい。さらに別の実施形態では、コイル挿入体28の長さは、コイル挿入体28をカテーテル14内に挿入したときにコイル挿入体28の遠位端(第2の端部37)がカテーテル14の遠位端24を越えて突出するように、カテーテル14の長さよりも長い。このような実施形態では、コイル挿入体18は、ユーザがコイル挿入体18を介して患者の体内の目標部位に刺激を提供することができるように、ワイヤを有する。これにより、カテーテル14からニードル12を抜去した後でも、カテーテル14が適切な位置(例えば、神経束の近傍)に位置することを確認することができる。
【0027】
別の実施形態では、コイル挿入体28は、ユーザがコイル挿入体28をカテーテル14内に挿入またはカテーテル14から抜去するのを助けるためにコイル挿入体28の第1の端部35に設けられたハンドル33を有する。加えて、コイル挿入体28のハンドル33は、ハブアセンブリ32を構成するべく、カテーテル14のハブ16に係合可能に構成されている。いくつかの実施形態では、ハブアセンブリ32は、流体送達装置27に係合可能に構成されている。
【0028】
本開示のOTN式カテーテルアセンブリ10のカテーテル14は、薄いカテーテル壁部17を有することにより、平均よりも小さい直径(外径)を有する。薄いカテーテル壁部17は、カテーテル14が患者の体内でねじれることを防止する。より具体的には、
図6の実施形態に示すように、まず、カテーテル14がニードル12を取り囲むようにして同軸的に配置されるように、ニードル12をカテーテル14内に挿入し、これによりOTN式カテーテルアセンブリ10が構成される。そして、カテーテル14及びニードル12を患者の身体23内に同時に挿入し、カテーテル14の遠位端24が目標部位45に到達するまで前進させる(
図7参照)。カテーテル14の遠位端24が目標部位45に到達したら、カテーテル14をその位置に残して、ニードル12を患者(すなわちカテーテル14)から抜去する。ニードル12を抜去した後、カテーテル14内にコイル挿入体28を挿入し、ハブアセンブリ32により所定の位置でロックする。その後、コイル挿入体28が挿入されたカテーテル14を通じて流体(例えば麻酔薬)を患者の身体23の目標部位45に送達するために、ハブアセンブリ32を流体送達装置27に接続する。
【0029】
図8を参照すると、本開示によるOTN式カテーテルアセンブリ10用の構造部材38の別の実施形態が示されている。図示のように、構造部材38は、近位端44と、丸みを帯びたまたは鈍端状の遠位端46とを有する中実挿入体(solid insert)42に相当する。中実挿入体42は、患者に損傷及び/または不快感を与えることなく患者の体内でカテーテル14を(例えば、別の目標部位に)前進させるのを助けるように構成されている。
【0030】
本明細書で説明した構造部材18、28、38は、任意の適切な材料から作製できることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、コイル挿入体18、28に相当する構造部材は、フレキシブルな導電性材料から作製され、カテーテル14内での流体の流れを妨げないようにらせん形状に形成される。より具体的には、コイル挿入体18は、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、または任意の他の適切な金属または金属複合材料から作製され得る。別の実施形態では、中実挿入体38に相当する構造部材は、その形状を維持することができる剛性を有し、かつ患者の体内に挿入したときにカテーテル14の形状に沿って曲げることができるフレキシブルさを有する材料から作製される。例えば、中実挿入体38は、プラスチック、ゴム、ポリマー材料、シリコーン、エラストマー材料、または任意の他の適切な材料から作製され得る。より具体的には、様々な実施形態では、中実挿入体38は、ポリイソプレン、ポリウレタン、スチレンブタジエン、及び/または任意の他の適切な材料から作製され得る。
【0031】
図9を参照して、オーバ・ザ・ニードル式カテーテルアセンブリを使用して患者の体内の目標部位に治療薬を提供する方法100の一実施形態のフロー図が示されている。図示した実施形態に示すように、本方法100は、近位端及び遠位端を有し、ニードルを取り囲むようにして該ニードルと同軸的に配置されるカテーテルを用意するステップ102を有する。本方法100はまた、カテーテル及びニードルを患者の体内に同時に挿入し、カテーテルの遠位端が目標部位に達するまで前進させるステップ104を有する。本方法100はまた、カテーテルを患者の目標部位の近傍に残して、カテーテルからニードルを抜去するステップ106を有する。本方法100はまた、ニードルの抜去後に、患者の体内に残されたカテーテル内にコイル挿入体を挿入し、コイル挿入体によりカテーテルが患者の体内でねじれることを防止するステップ108を有する。本方法100はまた、カテーテル内に挿入されたコイル挿入体の中空通路を介して、目標部位に治療流体を投与するステップ110を有する。別の実施形態では、本方法100は、コイル挿入体を所定の位置に固定するハブアセンブリを形成するべく、コイル挿入体のハンドルをカテーテルのハブに結合させるステップをさらに有する。加えて、本方法100は、ハブアセンブリを流体送達装置に接続し、流体送達装置を介して目標部位に流体を送達するステップをさらに有する。
【0032】
以上、本発明をいくつかの好適な実施形態に関連して説明したが、本発明に包含される本発明の主題はこれらの特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。それどころか、本発明の主題は、特許請求の範囲の精神及び範囲に含まれる限り、全ての代替形態、及び均等形態を含むことを意図している。