【文献】
European Journal of Pharmaceutical Sciences,2005年,Vol.24,pp.67-75
【文献】
APPS Pharm. Sci. Tech.,2005年,Vol.6, No.4,Article 74 E594-E604
【文献】
Chem. Mater,2008年,Vol.20, No.9,pp.3063-3067
【文献】
"Bob Prud'homme- Flash NanoPrecipitation." Research at Princeton ,2011年12月 9日, http://research.princeton.edu/news/features/a/index.xml?id=6234
【文献】
J.Polym. Res.,2010年,Vol.17,pp.335-345
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記水溶性物質が、生物製剤材料、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、DNA、RNA、糖類、グルタチオン、トリプトファン、リゾチーム、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、水溶性小分子治療薬、トブラマイシン、バンコマイシン、イメージング剤、エオシン、エオシンY、タルトラジン、金属キレート、ガドリニウムキレート、およびガドリニウムジエチレントリアミン五酢酸(GD−DTPA)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
前記極性のプロセス溶媒が、水、アルコール、メタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、および組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
前記非プロセス溶媒が、クロロホルム、ジクロロメタン、アルカン、ヘキサン、エーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、および組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
前記両親媒性ポリマーが、ランダムコポリマー、グラフトコポリマー、ブロックコポリマー、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、およびマルチブロックコポリマーからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
前記両親媒性ポリマーが、ポリスチレン−ブロック−ポリ(エチレングリコール)(PS−b−PEG)、ポリ(乳酸)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)(PLA−b−PEG)、ポリ(カプロラクトン)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)(PCL−b−PEG)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)(PLGA−b−PEG)、およびポリ(エチレンオキシド)−ブロック−ポリ(プロピレンオキシド)−ブロック−ポリ(エチレンオキシド)(PEO−b−PPO−b−PEO)からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
前記水溶性物質が、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖類、グルタチオン、トリプトファン、リゾチーム、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、水溶性小分子治療薬、トブラマイシン、バンコマイシン、イメージング剤、エオシン、エオシンY、タルトラジン、金属キレート、ガドリニウムキレート、およびガドリニウムジエチレントリアミン五酢酸(GD−DTPA)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
前記水溶性物質が、グルタチオン、トリプトファン、エオシンY、タルトラジン、およびガドリニウムジエチレントリアミン五酢酸(GD−DTPA)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0025】
詳細な説明
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。実施形態を記載する際に、明確にする目的で特定の専門用語を用いる。しかしながら、本発明はそのように選択された特定の専門用語に限定されることを意図しない。本発明の本質と範囲から逸脱することなく、他の等価な部品を用いることができ、他の方法を開発できることが当業者には認識されるものとする。本明細書中で引用される参考文献は全て、参照により、各々が個別に組み込まれているかのように組み込まれる。
【0026】
ペプチド、タンパク質、DNA、およびRNAを含む可溶性の治療薬および生物製剤のカプセル化および送達は難題である。生物製剤は低い安定性、迅速なクリアランス時間、免疫認識、高コストを示す可能性がある。可溶性の治療薬を制御された様式で放出することができ、その治療薬を分解、クリアランス、および免疫認識から保護するナノ粒子、微粒子、およびより大きいモノリスが望まれている。現在、生物製剤は一般に注射により送達されており、したがって制御された放出は薬物投与の頻度を低下させ、患者のコンプライアンスを上昇させ得る。
【0027】
米国特許第8,137,699B2号に記載されている迅速な沈殿プロセスによってナノ粒子を作製することは可能であった。しかしながら、これら以前の例では、混合の際に水相の外に沈殿する疎水性コア材料を含んだ。プロセスを完全に逆転させ、水溶性の化合物を疎水性の溶液中に沈殿させることができるとは予想されなかった。極性の成分が粒子のコアの内部に配向され、疎水性のより極性の低い成分がより極性の低い溶液相中に配向されて、結果として安定な粒子が得られるように、反対の方法でコポリマーを使用することができるとは予想されなかった。
【0028】
本明細書では、用語「ナノ粒子」、「粒子」、および「ナノキャリア」は、文脈により区別が示されない限り互換的に使用される。親水性またはより極性の高いコアを有する本発明による粒子は、疎水性またはより極性の低いコアを有する粒子と対照させるために「逆粒子」と呼ばれることがある。しかしながら、簡潔にするために、本発明による親水性またはより極性の高いコアを有する粒子が論じられていることが文脈により示されるとき、これらは単に「粒子」または「ナノ粒子」と呼ばれることもある。
【0029】
生物製剤の長期にわたる放出のための注射可能なポリマー性デポーの開発は、生物製剤の安定性、カプセル化効率、ローディング、および放出プロファイル、ならびに製造の容易さおよびスケーラビリティーを最適化する複雑な工学的課題である。すなわち、生物製剤のための送達系は生物製剤を保護し、その放出を延長し、そのクリアランス時間を短縮し、かつその投与の頻度を低減し、また目的の組織(複数可)を標的とするべきである。ヒドロゲルベースの送達系における水性のプロセシング条件および疎水性界面の欠如のため、これらはタンパク質の安定性を維持するのに適している。しかしながら、これらの系からの拡散制御された放出のため、数ヶ月またはそれより長い期間にわたって生物製剤を放出することができる分解性の注射可能なゲルを生成するのは困難になる。疎水性の足場はより長期にわたる放出に適合しているが、製剤化方法はほとんどの大きいタンパク質にとって厳し過ぎる可能性がある。ナノキャリアを形成するための二重エマルション方法において、別のパラメーターに負の影響を及ぼすことなく、ローディング、カプセル化効率、タンパク質の安定性を上昇させ、または放出プロファイルを最適化することは困難である。新しい製剤化方法を設計するためにこれらの欠陥を理解することは重要である。例えば、多孔性のPLGAに後でローディングするという新しく調査された手法は、バースト放出中の微粒子表面の細孔の閉鎖に関する基礎研究ならびにPLGA壁からのタンパク質脱着が放出速度を制御する際に重要な役割を果たすという以前の観察を利用する。究極的に、タンパク質およびペプチド治療薬は各々が特定の物理的特徴およびプロセシングの必要性を有する広範な分子を包含しており、単一のポリマー性デポーがあらゆる生物製剤の送達に適することはありそうもない。
【0030】
ポリマー系からの、タンパク質およびペプチド治療薬のような物質(agent)または他の生物製剤の送達は、モノリス(浸食性の移植可能なデバイスを含む)からの放出、または微粒子もしくはナノ粒子からの放出によって可能である。モノリスは浸食性の移植可能なデバイスを含む。微粒子およびナノ粒子は、全身送達されてもよいし、または局所デポーで送達されてもよい。
【0031】
ポリマー系からの治療薬の放出は、2つの方法のうちの1つで制御され得る。第1の方法では、治療薬を足場のポリマー性材料とコンジュゲートさせる。治療薬は、足場から切断されると放出される。これは、最も一般的にヒドロゲルを用いて行われる。コンジュゲーションは新しい化学結合の形成を伴うので、系はより厳しいFDAの承認の対象になり、したがって一般に望ましくない。第2の方法では、可溶性の治療薬を不溶性であるが浸食性のマトリックス内にカプセル化する。浸食性のマトリックスは疎水性であり、疎水性の有機溶媒で処理しなければならない。この方法は、治療薬に対する化学修飾がないので好ましい可能性がある。
【0032】
可溶性材料は、(1)材料を有機溶媒中で直接足場材料(例:PLGA)と混合すること、または(2)エマルションを形成することによって、化学修飾なしにカプセル化することができる。方法(1)において、親水性材料は有機溶媒中で凝集することが多い。溶媒が除去されると、低いローディングであっても、これらの凝集体は浸透経路(percolating pathway)を生成する結果、カプセル化された材料の都合の悪いバースト放出が起こる。放出プロファイルを改善するために、プロセス(2)を使用することができる。可溶性材料は、疎水性の足場材料を含有する外側の不混和性有機溶媒内にカプセル化された水相に含有される。浸透が防止され、エマルションは小分子またはポリマー性界面活性剤を使用することによって安定化される。エマルションプロセスはバッチ中で完了するが、これは大規模の生成に最適ではない。さらに、乳化プロセスが関与する高い剪断速度はタンパク質を変性させ、DNAを切断する可能性がある。
【0033】
フラッシュナノ沈殿(FNP)は、疎水性コアおよび親水性安定化シェルを有するナノ粒子(Johnson, B. K.ら、AIChE Journal(2003年)49巻:2264〜2282頁)を作製するために先に特許されているプロセス(米国特許第8,137,699号(本明細書では、「‘699特許」)、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)である。このプロセスは、疎水性材料の高いローディングを可能にし、安定化材料のミセルサイズから数百ナノメートルまでのサイズの範囲の粒子を再現性よく生成することができる。現在、FNPの使用は高いlogP値を有する(疎水性の)コア材料のカプセル化に限定されている。フラッシュナノ沈殿技術は、高いカプセル化効率および75wt%を超えるローディングで生物製剤をカプセル化することができる。
【0034】
本発明による方法において、ポリマーで保護されたコアシェルナノ粒子は迅速な沈殿により作製され、結果として得られる粒子はそのコアに親水性材料を、そして有機溶媒可溶性(より親水性の低い)シェルを含有する。親水性コアおよびより親水性の低いシェルを有するこれらのナノ粒子は、疎水性コアと親水性シェルを有する‘699特許のナノ粒子と対比して「逆」ナノ粒子と名付けることができる。
【0035】
これらの「逆」粒子は、粒子を共有結合的または非共有結合的に安定化し、安定化材料の第2のコーティングを添加し(層毎のFNP)、および/またはより大きいモノリスまたは微粒子内に取り込むことによりプロセシングされ得る。
【0036】
ナノ粒子の形成
フラッシュナノ沈殿プロセス
フラッシュナノ沈殿プロセスを使用して、親水性ペプチドのような親水性コアおよび/またはカプセル化された水溶性物質を有する「逆」粒子を作り出すことができる。プロセスを
図1に図示する。コポリマー102を極性のプロセス溶媒中に少なくとも0.1重量%の濃度で溶解して第1のプロセス溶液を形成することができるが、好ましくはコポリマーの濃度は少なくとも0.2重量%である。ある実施形態では、コポリマーは極性のプロセス溶媒中に約0.1wt%、0.2wt%、0.5wt%、1wt%、2wt%、5wt%、10wt%、または20wt%から約0.2wt%、0.5wt%、1wt%、2wt%、5wt%、10wt%、20wt%、または40wt%までの範囲の濃度で溶解することができる。プロセスの経済学のような要因が、濃度の下限を限定することがあり(can limit the constrain)、プロセス溶液の粘度または極性のプロセス溶媒中のコポリマーの溶解限度のような要因が、濃度の上限に制約を加える可能性があることが当業者には理解されるものとする。例えば、第1のプロセス溶液の粘度が非プロセス溶媒の粘度よりずっと高いと、第1のプロセス溶液と非プロセス溶媒の混合は阻害され得る。コポリマーの分子量およびコポリマーの組成のような要因は粘度が高くなりすぎる前にポリマー溶液で達成することができる最大濃度に影響する可能性があることが当業者には理解されるものとする。
【0037】
コポリマーの例としては、限定されることはないが、同じコポリマー内に異なる溶媒溶解度を有する領域を含有するブロックコポリマー、グラフトコポリマー、およびランダムコポリマーが挙げられる。例えば、ポリ(アクリル酸n−ブチル)−ブロック−ポリ(アクリル酸)(PBA−b−PAA)ジブロックコポリマーを使用することができる。プロセス溶媒の例としては、限定されることはないが、水、アルコール、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、およびこれらの混合物が挙げられる。プロセス溶媒は、溶媒中のコポリマーの溶解特徴に応じて、コポリマーの溶解を促進するために加熱もしく加圧または両方をすることができる。
【0038】
コポリマーを含有するプロセス溶媒をより極性の低い非プロセス溶媒と微小混合103すると、コポリマーの領域または部分の非類似の溶解度特徴が顕在化され、コポリマーのより極性の高い部分はもはや可溶性の状態で存在することができず、結果として「逆」ナノ粒子201が沈殿する。
【0039】
ある実施形態では、追加の水溶性標的分子101、例えば親水性ペプチドをプロセス溶媒中のコポリマー102に添加することができる。該コポリマーを用いてナノ粒子201を作り出す際、追加の標的分子101はナノ粒子内に取り込まれる。非プロセス溶媒に溶け難い追加の標的分子101はコポリマー102の保護コロイドによって被覆され、カプセル化され、または微粒子コアとして閉じ込められ、立体的に安定化される。ナノ粒子は非プロセス溶媒中で小さく安定なサイズを維持する。
【0040】
別の実施形態(
図1には示していない)では、標的材料およびコポリマーは別々のプロセス溶媒流に溶解する。コポリマーおよび標的材料を溶解するのに使用されるプロセス溶媒は同じであってもよいが、必ずしもそうでなくてもよい。これらの流れは非プロセス溶媒と同時に混合される。別の実施形態では、標的材料およびコポリマーは単一のプロセス溶媒流に溶解する。この流れは次に非プロセス溶媒と迅速に混合される。
【0041】
プロセス溶液と非プロセス溶媒の激しい微小混合103は任意の数の幾何的配置(geometry)で行うことができる。本質的な概念は、高速入口流が、乱流および中心キャビティーで起こる混合を生じさせることである。プロセス溶媒/非プロセス溶媒の混合時間はナノ粒子の集合時間より迅速である。限定するわけではないが、2つのかかる幾何的配置は先に記載され分析されている:閉じ込め衝突ジェットミキサー(Confined Impinging Jet mixer)(CIJ)(Johnson, B.K.、Prud'homme, R.K. Chemical processing and micromixing in confined impinging jets. AIChE Journal 2003年、49巻、2264〜2282頁;Liu, Y.、Fox, R.O. CFD predictions for chemical processing in a confined impinging-jets reactor. AIChE Journal 2006年、52巻、731〜744頁)またはマルチインレットボルテックスミキサー(multi-inlet vortex mixer)(MIVM)(Liu, Y.、Cheng, C.、Liu, Y.、Prud’homme, R.K.、Fox, R.O. Mixing in a multi-inlet vortex mixer (MIVM) for flash nano-precipitation. Chemical Engineering Science 2008年、63巻、2829〜2842頁)。これらの例は限定または包括的なものではなく例示であることを意味する。
【0042】
このプロセスに含まれる速い混合および高いエネルギー散逸は、粒子の核生成および成長のためのタイムスケールより短い混合タイムスケールをもたらし、このため他の技術では得られない活性物質(active agent)のローディング含有量およびサイズ分布を有するナノ粒子が形成される。フラッシュナノ沈殿によってナノ粒子を形成するとき、混合は、凝集の開始前に全成分の、例えば10,000もの高い過飽和レベルに到達することができるほど十分速く起こる。過飽和レベルは、溶媒中の材料、例えばコポリマーの実際の濃度とその溶媒中におけるその材料の飽和濃度との比である。例えば、過飽和レベルは、少なくとも約1、3、10、30、100、300、1000、または3000より大きい可能性があり、最大でも約3、10、30、100、300、1000、3000、または10,000である可能性がある。標的材料の凝集のタイムスケールとコポリマーの自己集合とは釣り合いがとれている。したがって、標的材料およびポリマーは同時に沈殿し、広く使用されている遅い溶媒交換に基づく技法(例えば、透析)で見られる低い活性物質の取り込みおよび凝集の制限を克服する。フラッシュナノ沈殿プロセスは、成分の化学的特異性に対して感受性でなく、普遍的なナノ粒子形成技法となる。
【0043】
このプロセスで得られるナノ粒子のサイズは、それらを作り出すのに使用される混合速度、プロセス溶媒中のコポリマーおよび標的分子の総質量濃度、プロセス溶媒および非プロセス溶媒、コポリマーと標的分子の比、ならびに非プロセス溶媒と混合する際の標的分子およびコポリマーの不溶性部分の過飽和を制御することによって制御することができる。すなわち、ナノ粒子のサイズを制御するために使用することができるいくつかの「手段」がある。例えば、標的分子としてリゾチームを含む粒子の形成において、ナノ粒子の直径は、
図2Aに示されているように総質量濃度と共に、
図2Bに示されているように標的分子リゾチームの質量パーセント(リゾチーム+コポリマーに対するリゾチームの質量パーセント)と共に、
図2Cに示されているように非プロセス溶媒(貧溶媒(antisolvent))中のアセトンの体積分率(アセトン+クロロホルムに対するアセトンの分率)と共に(ここで、アセトンは親水性リゾチームに対してクロロホルムより貧しい溶媒である)、かつ
図2Dに示されているように極性のプロセス溶媒中におけるジメチルスルホキシド(DMSO)中の水(H
2O)の体積分率と共に変化することができる。この情報が得られた実験条件を下記表1に示す。
【表1】
【0044】
理論に縛られることはないが、例えば、総質量濃度が増大すると(
図2A)、タンパク質凝集速度はポリマーの自己集合の核生成速度より速く増す可能性がある。リゾチームのより低い質量百分率では、リゾチームの質量百分率が増大すると(
図2B)、サイズは最初減少する。理論に縛られることはないが、これはより速い核生成速度のためであり得、すなわち、核生成部位がより多いと、より小さいがより多くの粒子が存在するからである。あるいは、これはPAAブロックのより良好なパッキングのためであり得、すなわち、PAAの負の電荷が反発し、水および/または他のコア材料がこの効果を遮蔽することができるからである。リゾチームのより高い質量百分率では、リゾチームの質量百分率が増大すると、サイズが増大する。理論に縛られることはないが、これは、高い百分率では、小さい粒子より高い体積対表面積比を有するという理由で大きい粒子が形成するからであり得る。非プロセス溶媒(貧溶媒)中でのアセトンの体積分率が増大すると(
図2C)、非プロセス溶媒は極性がより低くなる。より低いアセトン濃度では、アセトン濃度が増大すると、コポリマーの核生成速度が増大し、これが形成される粒子のサイズを支配し、すなわち、核生成部位がより多くなるが、より小さい粒子が形成されるので、形成される粒子の直径が減少する。より高いアセトン濃度では、アセトン濃度が増大すると、リゾチームタンパク質の凝集の速度が増強され、これが形成される粒子のサイズを支配する。水の体積分率が増大すると(
図2D)、プロセス溶媒は極性がより高くなる。より低い水濃度では、水濃度が増大すると、水が核生成部位として作用し、ナノ粒子のコアをより堅くパックするのを助ける、その結果、ナノ粒子のサイズは減少する。より高い水濃度では、水濃度が増大すると、水がコア内に組み込まれるようになって、その結果、ナノ粒子のサイズは増大する。
【0045】
直径40nmほどの小さいナノ粒子は50%のローディング(ローディングは水溶性物質+コポリマーに対する水溶性物質の百分率である)で得ることができる。安定なナノ粒子は75%のローディングで得ることができるが、ナノ粒子の直径は動的光散乱(DSL)を使用して測定するには大きくなり過ぎた。
【0046】
ナノ粒子は、標的材料が添加されていないプロセス溶媒に溶解するコポリマーから生成することができる。
【0047】
本発明による方法を使用して、15nm〜10500nmの範囲のサイズ、20nm〜6000nmの範囲のサイズ、20nm〜1000nmの範囲のサイズ、35nm〜400nmの範囲のサイズ、または40nm〜300nmの範囲のサイズを有する粒子を作製することができる。サイズは動的光散乱によって決定することができる。例えば、少なくとも約15nm、20nm、35nm、40nm、50nm、100nm、200nm、300nm、400nm、600nm、1000nm、2000nm、4000nm、または6000nmのサイズを有し、最大でも約20nm、35nm、40nm、50nm、100nm、200nm、300nm、400nm、600nm、1000nm、2000nm、4000nm、6000nm、または10500nmのサイズを有する粒子を作製することができる。本明細書中で報告され引用されるサイズはMalvern Nanosizerデコンボリューションプログラムによって決定される強度平均の報告値である。他の強度重みを付けたデコンボリューション法を使用してナノ粒子のサイズを決定することができる。
【0048】
カプセル化される材料
カプセル化される材料(標的分子)はより極性の低い非プロセス溶媒中で迅速に沈殿するほど十分に極性でなければならない。これらの判定基準に合わない分子は、その水溶性、および有機の非プロセス溶媒中で沈殿する傾向が増大するように化学修飾され得る。カプセル化され得る生物製剤材料の例には、限定されることはないが、ペプチド、タンパク質、DNA、RNA、糖類、ならびにこれらの誘導体、コンジュゲート、および/またはアナログが挙げられる。例えば、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)をカプセル化し得る。小分子の水溶性治療薬およびイメージング剤もカプセル化され得る。可溶性の安定剤を粒子内にカプセル化して、その使用のため、またはその後のプロセシングステップで使用するための安定性を粒子に提供し得る。また、これらの材料のいずれかを単一の粒子内に共沈殿させてもよい。ポストプロセシング中の粒子に安定性を加えるという唯一の目的で親水性材料をカプセル化してもよい。例えば、100〜10,000,000ダルトン(Da)の間の分子量を有する材料をカプセル化し得る。250〜10,000,000Daの間の分子量を有する材料をカプセル化し得る。100〜1,000,000Daの間の分子量を有する材料をカプセル化し得る。250〜1,000,000Daの間の分子量を有する材料をカプセル化し得る。100〜200,000Daの間の分子量を有する材料をカプセル化し得る。
【0049】
ある特定のカプセル化される材料は多官能性であり得る。例えば、トブラマイシンはカチオン性であり、それ自体がコポリマーと共に架橋され得る。
【0050】
カプセル化される材料はある範囲のローディングで粒子中に取り込むことができる。例えば、カプセル化される材料の質量はコポリマーの質量より大きくてもまたは等しくてもよい。例えば、カプセル化される材料の第1のプロセス溶液中の濃度は約0.1wt%、0.2wt%、0.5wt%、1wt%、2wt%、5wt%、10wt%、または20wt%から約0.2wt%、0.5wt%、1wt%、2wt%、5wt%、10wt%、20wt%、または40wt%までであり得る。
【0051】
溶媒
ナノ粒子の形成にはプロセス溶媒および非プロセス溶媒流を必要とする。プロセス溶媒および非プロセス溶媒は純粋な(すなわち、単一の)液体化合物または2種もしくはそれ超の純粋な液体化合物の混合物であり得る。流れの溶媒品質を補助する他の非液体化合物を添加してもよく、これも溶媒の一部と考えられる。これらの賦形剤化合物は、最終生成物の要件に応じて、最終のナノ粒子または微粒子構築物中に存在してもしなくてもよい。
【0052】
コポリマーを含有する極性のプロセス溶媒は、コポリマーが分子状に溶解するように選択される。これには、プロセス溶媒がコポリマーの全ての部分を可溶化する必要がある。存在する場合、カプセル化される材料を含有するプロセス溶媒も、材料が分子状に溶解するように選択される。これらのプロセス溶媒は同じであってもよいが、必ずしも同じでなくてもよい。場合によっては、コポリマーおよびカプセル化される材料は両方がプロセス溶媒の単一の溶液に溶解してもよい。カプセル化される水溶性材料を溶解するために、プロセス溶媒は非プロセス溶媒より極性が高い。プロセス溶媒の例としては、限定されることはないが、水、アルコール、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、アセトン、N−メチルピロリドン(NMP)、およびこれらの混合物が挙げられる。酸、塩基、および塩は、コポリマーおよびカプセル化された材料のプロセス溶媒への可溶化を補助するために使用され得る添加剤の数例である。
【0053】
コポリマーおよびカプセル化される材料を含有するプロセス溶媒の溶液は非プロセス溶媒と混合される。非プロセス溶媒はコポリマーの局所分子環境を変化させ、ポリマーのより極性の高いセクションの局所沈殿を起こさせることができなければならない。非プロセス溶媒は、コポリマーのより極性の高いセクションが迅速に沈殿し、コポリマーのより非極性の(極性がより低い)セクションが可溶化されたままでいるように選択される。したがって、コポリマーは非プロセス溶媒中でミセルまたは他の構造体に自己集合する。非プロセス溶媒は、カプセル化される標的材料が最終混合物中で迅速に沈殿するように選択される。ほとんどの場合、プロセス溶媒および非プロセス溶媒は最終組成物で十分に混和性であるのが好ましい。場合によっては、プロセス溶媒の20容量パーセント以下が最終組成物中で相分離してもよい。一般にこれは、相分離した溶媒が粒子のコアまで進み、巨視的な分離がないときにのみ許容できる。非プロセス溶媒としては、限定されることはないが、クロロホルム、ジクロロメタン、ヘキサンのようなアルカン、ジエチルエーテルのようなエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、およびこれらの混合物が挙げられる。酸、塩基、および塩は、カプセル化された材料およびコポリマーのセクションの沈殿を補助するために使用され得る添加剤の数例である。溶媒の選択は、コポリマーおよびカプセル化される材料の溶解度に基づいて行われる。1つの系のプロセス溶媒が別の系の非プロセス溶媒としてうまく機能し得ることに留意することが重要であり、したがって、プロセス溶媒および非プロセス溶媒について上に挙げた例ははっきりと区別できると考えるべきではない。
【0054】
コポリマー
安定化ポリマーはより非極性の(より極性の低い)ブロックとカップリングしたより極性の高いブロックのコポリマーであることができる。用語「ブロック」は、単一の分子組成を有する区別できるドメインと解釈することができるか、または主としてより極性の高い領域およびより低い極性である他の領域を有するポリマー鎖の領域を意味することができる。極性は、ポリマー主鎖を構成するモノマーまたは主要なポリマー主鎖に付着したグラフト化ペンダント基もしくは鎖によって付与され得る。例えば、コポリマーは両親媒性であってもよい(より非極性のブロックは水溶性ではない)が、これは必要条件ではなく、ブロックの溶解度が非プロセス溶媒中で十分有意に異なる限り、コポリマーは完全に水溶性であっても、完全に非水溶性であってもよい。コポリマーは非プロセス溶媒中で自己集合するべきであり、より極性の高いブロックは沈殿し、より非極性のブロックは可溶性のままである。粒子を作製するためにFNPプロセスで使用されたとき、より極性の高いブロックは粒子のコアまで進み、より非極性のブロックは立体的に保護性のシェルを形成する。立体的に保護性のシェルは粒子の凝集を防止し、カプセル化された材料のポストプロセシングステップ中の浸透を防止する。
【0055】
開示されているプロセスにより形成されるナノ粒子は、グラフト、ブロック、またはランダムコポリマーを用いて形成することができる。例えば、これらのコポリマーは約1000g/モル〜約1,000,000g/モルの間、または約3000g/モル〜約25,000g/モルの間、または少なくとも約2000g/モルの分子量を有することができる。
【0056】
コポリマーは、異なる溶解度特徴を有する繰り返し単位またはブロックから構成される。通例、これらの繰り返し単位は所与の特性のブロックを含む少なくとも2つの群にある。合成の方法に応じて、これらのブロックは全てが同じ繰り返し単位であるか、またはブロック全体に分散した異なる繰り返し単位を含有することができるが、それでも極性およびより非極性の部分を有するコポリマーのブロックを生じる。これらのブロックは、一連の2ブロック(ジブロック)または3ブロック(トリブロック)、またはより多く(マルチブロック)に配列されて、ブロックコポリマーの主鎖を形成することができる。さらに、ポリマー鎖は主鎖に共有結合的に付着またはグラフトした化学的部分を有することができる。かかるポリマーはグラフトポリマーである。コポリマーを構成するブロック単位は一定の間隔で存在することができるか、またはランダムに存在してランダムコポリマーを作製することができる。さらに、グラフトした側鎖はポリマー主鎖に沿って一定の間隔で存在するか、またはランダムにグラフトしたコポリマーをランダムに作製することができる。グラフトポリマーにおいて、極性ブロックが非極性のポリマー上にグラフトしてもよい。より一般的に、非極性ブロックが、より極性の高いポリマー鎖にグラフトする。グラフトコポリマーにおいて、グラフトした部分の長さは変化することができる。好ましくは、グラフトしたセグメントは長さが2〜22のエチレン単位と同等である。加えて、ポリマー主鎖のグラフト化は溶媒和またはナノ粒子の安定化特質を増強するのに有用である可能性がある。
【0057】
本発明の組成物および方法に使用されるコポリマーは少なくとも2つの繰り返し単位または少なくとも25のエチレン単位と同等の最小の輪郭長を有するブロックから構成され得る。輪郭長はポリマー主鎖の線形和であり、その分子の寸法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Polymer Handbook、第4版、J. Brandrup、E.H. Immergut、およびE.A. Grulke編、A. Abe、D.R. Bloch共編、1999年、New York, John Wiley & Sonsを使用して概算することができる。
【0058】
コポリマー中の適切な非極性ブロックの例として、限定されることはないが、次のものが挙げられる:アクリレート、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル(BA)、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチル、およびアクリル酸t−ブチル;メタクリレート、例えばメタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、およびメタクリル酸イソブチル;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;ビニル、例えば酢酸ビニル、ビニルバーサテート(vinylversatate)、プロピオン酸ビニル、ビニルホルムアミド、ビニルアセトアミド、ビニルピリジン、ビニルフェノールおよびビニルイミダゾール(vinyllimidazole);アミノアルキル、例えばアミノアルキルアクリレート、アミノアルキルメタクリレート(aminoalkylsmethacrylate)、およびアミノアルキル(メタ)アクリルアミド;スチレン;酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(アルキルカーボネート)およびポリ(オルトエステル)、ポリエステル、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(タルトロン酸)、ポリ酸無水物、ポリホスファゼン、ポリ(アミノ酸)、乳酸、カプロラクトン、グリコール酸、ならびにこれらのコポリマー(一般に、Illum, L.、Davids, S.S.(編)Polymers in Controlled Drug Delivery Wright、Bristol、1987年;Arshady、J. Controlled Release 17巻:1〜22頁、1991年;Pitt、Int. J. Phar. 59巻:173〜196頁、1990年;Hollandら、J. Controlled Release 4巻:155〜0180頁、1986年参照);ポリ(L−アミノ酸)に基づく疎水性ペプチドベースポリマーおよびコポリマー(Lavasanifar, A.ら、Advanced Drug Delivery Reviews(2002年)54巻:169〜190頁)、ポリ(エチレン−酢酸ビニル)(「EVA」)コポリマー、シリコーンゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリジエン(ポリブタジエン、ポリイソプレンおよびこれらのポリマーの水素化形態)、ビニルメチルエーテルおよび他のビニルエーテルの無水マレイン酸コポリマー、ポリアミド(ナイロン6,6)、ポリウレタン、ポリ(エステルウレタン)、ポリ(エーテルウレタン)、ポリ(エステル尿素)。例えば、ポリマー性ブロックには、ポリ(エチレン酢酸ビニル)、ポリ(D,L−乳酸)オリゴマーおよびポリマー、ポリ(L−乳酸)オリゴマーおよびポリマー、ポリ(グリコール酸)、乳酸とグリコール酸のコポリマー、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(バレロラクトン)、ポリ酸無水物、ポリ(カプロラクトン)またはポリ(乳酸)のコポリマーが含まれる。生物学的に関連のない用途の場合、ポリマー性ブロックには、例えば、ポリスチレン、ポリアクリレート、およびブタジエンが含まれ得る。
【0059】
ポリマーの非極性の部分として作用するのに十分な疎水性を有する天然産物には:疎水性ビタミン(例えばビタミンE、ビタミンK、およびA)、カロテノイド、およびレチノール(例えば、ベータカロテン、アスタキサンチン、トランスおよびシスレチナール、レチノイン酸、葉酸、ジヒドロフォレート、酢酸レチニル、パルミチン酸レチニル(retinyl palmintate))、コレカルシフェロール、カルシトリオール、ヒドロキシコレカルシフェロール、エルゴカルシフェロール、アルファ−トコフェロール、酢酸アルファ−トコフェロール、ニコチン酸アルファトコフェロール、およびエストラジオールが含まれる。例えば、天然産物は、活性種(active species)上のアミンおよびヒドロキシルに対する官能化を促進する、コハク酸ビタミンEとして容易に得ることができるビタミンEである。
【0060】
ブロックコポリマーである両親媒性ポリマー中の適切な極性ブロックの例には、限定されることはないが、次のものが挙げられる:カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、およびマレイン酸;ポリオキシエチレンまたはポリエチレンオキシド;ポリアクリルアミドおよびそのジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマー、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウム(vinylbenzylthrimethylammonium)クロリド、アクリル酸、メタクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(2-crrylamideo-2-methylpropane sulfonic acid)およびスチレンスルホネート、ポリビニル(polyvincyl)ピロリドン、デンプンおよびデンプン誘導体、デキストランおよびデキストラン誘導体;ポリペプチド、例えばポリリジン、ポリアルギニン、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸;ポリヒアルロン酸、アルギン酸、ポリラクチド、ポリエチレンイミン、ポリイオネン、ポリアクリル酸、およびポリイミノカルボキシレート、ゼラチン、および不飽和エチレン系モノまたはジカルボン酸。アニオン性のコポリマーを調製するには、アクリル酸、メタクリル酸、および/またはポリアスパラギン酸ポリマーを使用することができる。カチオン性のコポリマーを生成させるには、DMAEMA(ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリビニルピリジン(PVP)、および/またはジメチルアミノエチルアクリルアミド(DMAMAM)を使用することができる。適切な極性の水溶性ポリマーの列挙はHandbook of Water-Soluble Gums and Resins、R. Davidson、McGraw-Hill(1980年)に見出すことができる。
【0061】
非極性および極性ポリマーの上記リストは互いに排他的であると考えるべきではない。単一のリスト内の所与の2種のポリマーのコポリマーは、このプロセスで使用するのに十分な、所与の非プロセス溶媒への溶解度の差を有し得る。実例として、ポリ(エチレンオキシド)およびポリ(アクリル酸)はいずれも極性ポリマーのリストに入っている。しかしながら、ポリ(エチレンオキシド)はクロロホルムおよびアセトンに可溶性であるのに、ポリ(アクリル酸)はそうではない。したがって、ポリ(エチレンオキシド)とポリ(アクリル酸)のコポリマーは非プロセス溶媒としてクロロホルムまたはアセトンを用いるこのプロセスに使用することができる。
【0062】
ナノ粒子プロセシング
粒子の安定化
粒子が形成され、有機の非プロセス溶媒中で安定である。ほとんどの用途で、最終構築物は設定された無視できない量の時間、水性環境中で安定であることが要求される。粒子を水性環境中にプロセシングするためには、粒子の安定化が必要とされる。安定化なしでは、粒子は、溶解し、凝集し、および/または水溶性の標的材料をコアから放出し得る。
【0063】
本発明によるある実施形態では、粒子のコアのセクションが安定化され得る。コアとは、コポリマーおよびカプセル化された材料のより極性の高いセクションを指す。材料は特に粒子の安定化の目的でコア中に取り込まれ得る。例えば、コア内のコポリマーの部分を架橋させて203、架橋されたコアを有する粒子301を形成し得る。別の実施形態では、粒子のシェルを安定化してもよい。シェルとは、非プロセス溶媒に可溶性であるコポリマーのより非極性のセクションを指す。
【0064】
安定化は新しい共有結合の形成を含むことができる。例えば、粒子のコアのコポリマー(および、場合によっては、カプセル化された材料)を新しい共有結合の形成によって架橋し得る。結合は、コポリマー上の基間に直接形成され得る。共有結合は、コア内のポリマーを架橋するという特定の目的で架橋性材料(crosslinking material)をコアに添加することによって形成され得る。架橋性材料(安定化材料)はFNPプロセス中に粒子のコアに添加され得る。例えば、架橋性材料をプロセス溶媒に含ませることができる。別の例として、架橋性材料は非プロセス溶媒に含ませることができる。
【0065】
あるいは、架橋性材料は、粒子が形成された後に溶液に添加してもよい。例えば、粒子を金属塩のような架橋性材料と共に「インキュベート」してもよく、架橋性材料は、例えばイオン性および/またはキレート化効果によってコポリマー、例えばPAAのより極性の高い部分と相互作用し得る。実現される架橋の程度は、その後、コポリマーのより極性の高い部分に対する良溶媒中に粒子を懸濁させることによって特徴づけることができる。堅い(密な)架橋を有する粒子は、最小の膨潤を示す可能性があり、親水性コア中への高レベルの金属分配(metal partitioning)とポリマーのより極性の高い部分との強い金属相互作用を伴う可能性がある。緩い架橋を有する粒子は、高レベルの膨潤を示す可能性があり、親水性コア中への低レベルの金属分配とポリマーのより極性の高い部分との弱い金属相互作用を伴う可能性がある。金属のコア中への分配が非常に低度であり、および/またはポリマーのより極性の高い部分との金属の相互作用が非常に弱いならば、粒子は上記溶媒中で分解し溶解する可能性がある。
【0066】
粒子が形成された後に架橋性材料を添加する場合、架橋は拡散限界になり、コアの外側層上のみで起こり得る。粒子が形成された後に架橋性材料を溶液に添加する場合、コアが溶媒で膨潤されるかまたは架橋性材料がコア全体に拡散するほど十分に小さければ、粒子はコア全体で架橋され得る。粒子のシェルは新しい共有結合の形成によって架橋され得る。結合はコポリマー上の基間で直接、または追加の架橋性材料の添加によって形成され得る。
【0067】
使用できる共有結合的化学反応の例としては、限定されることはないが、カルボン酸のアルコールへのまたはカルボン酸のアミンへのカルボジイミドカップリング、活性化エステルのアルコールまたはアミンへのカップリング、マレイミド−チオール化学反応、マイケル(Micheal)付加、アジドアルキン「クリック」化学反応、UVもしくは光活性化化学反応、および/またはジスルフィド形成が挙げられる。
【0068】
安定化は非共有結合での相互作用によって得ることができる。粒子のコアは非共有結合での相互作用によって架橋することができる。相互作用はコポリマー上の基間で直接であってもよい。非共有結合での相互作用は、コア中のポリマーを架橋するという特定の目的で架橋性材料をコアに添加することによって形成され得る。この架橋性材料はFNPプロセス中に粒子のコアに添加してもよい。あるいは、この架橋性材料は、粒子が形成された後に溶液に添加してもよい。粒子が形成された後に架橋性材料が添加される場合、架橋は拡散限界になり、コアの外側層上のみで起こり得る。粒子が形成された後に架橋性材料が溶液に添加される場合、粒子は、コアが溶媒で膨潤されるかまたは架橋性材料がコア全体に拡散するほど十分に小さければ、コア全体で架橋され得る。粒子のシェルは非共有結合での相互作用によって架橋され得る。相互作用はコポリマー上の基間で直接、または追加の架橋性材料の添加によって形成され得る。
【0069】
使用できる非共有結合での相互作用の例としては、限定されることはないが、イオン性相互作用、酸−塩基相互作用、金属キレート化、ポリヒスチジンとニッケルのような金属との間の相互作用、および/または強い水素結合が挙げられる。非共有結合での粒子安定化の例はCr(III)を使用してナノ粒子のポリ(アクリル酸)コアを安定化するものである。例えば、酢酸クロム(III)および/または臭化クロム(III)を架橋性材料として使用することができる。架橋はリガンド交換を通して進行し得る。使用される溶媒はリガンドとして作用することができる。例えば、架橋性の塩内のカチオンの相互作用は、塩内のアニオンとよりも、コア内で架橋されるコポリマーのより極性の高い部分との方が強いはずである。
【0070】
非共有結合性架橋を誘導するのに使用することができる他の架橋性材料(架橋剤)には、アルカリ土類ハロゲン化物、ハロゲン化マグネシウム、ハロゲン化カルシウム、金属ハロゲン化物、遷移金属ハロゲン化物、およびハロゲン化鉄が含まれる。金属塩を使用することができる。使用することができる追加の架橋性材料は金属酢酸塩、アルカリ土類酢酸塩、遷移金属酢酸塩、および酢酸カルシウムである。所与のカチオン(例えば、金属)の架橋能力は付随するアニオンに依存する。架橋性材料、例えば塩の架橋能力は、使用されるプロセス溶媒および非プロセス溶媒に左右され得る。架橋性材料として、生物学的に興味深いまたは機能的またはその他有用な金属を挙げることができる。例えば、Fe(III)、Ca(II)、およびZn(II)カチオンは生体適合性である。Gd(III)(ガドリニウム(III))は磁気共鳴画像法(MRI)で活性であり、したがって、トレーサーとして有用であることができる。
【0071】
ナノ粒子の形成中、例えばFNPプロセス中に架橋を行うときにうまく機能する一部の架橋性材料には、スペルミンのようなポリアミン、ならびに塩化マグネシウム、塩化カルシウム、および塩化鉄(III)のようなある特定の塩化物塩が含まれる。例えば、かかる架橋性材料はPBA−b−PAAコポリマーと共に、メタノール、ジメチルスルホキシド、および/または水をプロセス溶媒として、ならびにアセトンおよび/またはクロロホルムを非プロセス溶媒として使用することができる。架橋を生じさせるためにプロセス溶媒中に幾らかの水を含ませる必要があり得る。一部の系では、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、およびスペルミンは弱いクロスリンカーとして作用し得る。塩化鉄(III)のような鉄(III)塩は強い架橋を誘導し得る。
【0072】
複数の種類の安定化化学反応(stabilization chemistry)を所与の粒子内に用い得る。安定化はコア内、シェル内、界面、または所与の粒子内の複数の位置で起こることができる。
【0073】
多くの用途では、粒子の分解およびカプセル化された材料の放出が必要とされる。使用する安定化化学反応の種類、および架橋した網目構造の密度は、粒子の分解動態に影響を及ぼし得る。使用する安定化化学反応の種類、および架橋した網目構造の密度は同様に、または代わりに、カプセル化された材料の、粒子のコアからの放出動態に影響を及ぼし得る。
【0074】
一部の用途では、カプセル化された材料が化学修飾されないことが必要とされる。これらの場合、非共有結合での相互作用を使用して粒子を安定化するべきである。しかしながら、共有結合性架橋は、その化学反応がコポリマーに対して特異的であり、カプセル化された材料を修飾しない限り、該共有結合性架橋を使用してもよい。
【0075】
架橋後、コポリマーのより非極性のブロックが水溶性であれば、粒子は直接水性環境に配置することができる。粒子のシェルは立体安定化を提供する。一例は、非プロセス溶媒としてクロロホルムを用い、ポリ(アクリル酸)コアを架橋するためにCr(III)を使用して形成されるポリ(アクリル酸)−b−ポリ(エチレンオキシド)から構成される粒子である。粒子が架橋されたら、それを水性環境内に配置することができ、ポリ(エチレンオキシド)が立体安定化を提供し、粒子の凝集を防止する。
【0076】
架橋後、コポリマーのより非極性のブロックが短く、粒子のコアが帯電しているならば、粒子を水性環境中に配置することができる。これには、コアの帯電したパッチがコポリマーの非極性ブロックによりもはや保護されなくなるように、コアが水性環境に十分に膨潤することが必要とされる。これらのパッチは、粒子が凝集しないように十分に大きく、帯電していなければならない(電荷で安定化されている)。
【0077】
粒子のコーティング−層毎のフラッシュナノ沈殿
粒子の安定化後、両親媒性ポリマー302の第2の層を粒子301の表面上に被覆303して、コーティングを有するナノ粒子401を形成することができる(
図1参照)。この両親媒性ポリマー302の第2の層は「コーティング」と呼ぶことができる。このコーティングは、水性環境中で安定になるように粒子の表面特質を改変するために行われ得る。例えば、これは、粒子のシェル、すなわち、コポリマーのより非極性のセクションが水溶性でない場合に有用であり得る。安定化の両親媒性ポリマー302による粒子のコーティングは第2のフラッシュナノ沈殿ステップ303によって達成され得る。粒子301は、被覆する前に、コーティングプロセスに耐えることができるように十分に安定化されなければならない。
【0078】
安定化の両親媒性ポリマー302は疎水性ブロックとカップリングした親水性ブロックのコポリマーであることができる。開示されているプロセスによって被覆されるナノ粒子はグラフト、ブロック、またはランダムの両親媒性コポリマーで被覆することができる。これらの両親媒性ポリマーは約1000g/モル〜約50,000g/モルの間、約3000g/モル〜約25,000g/モルの間、または少なくとも2000g/モルの分子量を有することができる。ブロックコポリマーである両親媒性ポリマー中の適切な疎水性ブロックの例として、限定されることはないが、次のものが挙げられる:アクリレート、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル(BA)、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチル、およびアクリル酸t−ブチル;メタクリレート、例えばメタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、およびメタクリル酸イソブチル;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;ビニル、例えば酢酸ビニル、ビニルバーサテート、プロピオン酸ビニル、ビニルホルムアミド、ビニルアセトアミド、ビニルピリジン、ビニルフェノールおよびビニルイミダゾール;アミノアルキル、例えばアミノアルキルアクリレート、アミノアルキルメタクリレート、およびアミノアルキル(メタ)アクリルアミド;スチレン;酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(アルキルカーボネート)およびポリ(オルトエステル)、ポリエステル、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(タルトロン酸)、ポリ酸無水物、ポリホスファゼン、ポリ(アミノ酸)ならびにこれらのコポリマー(一般に、Illum, L.、Davids, S.S.(編)Polymers in Controlled Drug Delivery Wright、Bristol、1987年;Arshady, J. Controlled Release 17巻:1〜22頁、1991年;Pitt、Int. J. Phar. 59巻:173〜196頁、1990年;Hollandら、J. Controlled Release 4巻:155〜0180頁、1986年参照);疎水性ペプチドベースのポリマーおよびポリ(L−アミノ酸)に基づくコポリマー(Lavasanifar, A.ら、Advanced Drug Delivery Reviews(2002年)54巻:169〜190頁)、ポリ(エチレン−酢酸ビニル)(「EVA」)コポリマー、シリコーンゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリジエン(ポリブタジエン、ポリイソプレン、およびこれらのポリマーの水素化形態)、ビニルメチルエーテルおよび他のビニルエーテルの無水マレイン酸コポリマー、ポリアミド(ナイロン6,6)、ポリウレタン、ポリ(エステルウレタン)、ポリ(エーテルウレタン)、およびポリ(エステル尿素)。例えば、ポリマー性ブロックには、ポリ(エチレン酢酸ビニル)、ポリ(D,L−乳酸)オリゴマーおよびポリマー、ポリ(L−乳酸)オリゴマーおよびポリマー、ポリ(グリコール酸)、乳酸およびグリコール酸のコポリマー、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(バレロラクトン)、ポリ酸無水物、ポリ(カプロラクトン)またはポリ(乳酸)のコポリマーが含まれる。例えば、生物学的に関連のない用途の場合、ポリマー性ブロックはポリスチレン、ポリアクリレート、およびブタジエンを含むことができる。
【0079】
両親媒性ポリマーの疎水性部分として作用するのに十分な疎水性を有する天然産物としては、例えば、疎水性ビタミン(例えば、ビタミンE、ビタミンK、およびビタミンA)、カロテノイドおよびレチノール(例えばベータカロテン、アスタキサンチン、トランスおよびシスレチナール、レチノイン酸、葉酸、ジヒドロフォレート、酢酸レチニル、パルミチン酸レチニル)、コレカルシフェロール、カルシトリオール、ヒドロキシコレカルシフェロール、エルゴカルシフェロール、アルファ−トコフェロール、酢酸アルファ−トコフェロール、ニコチン酸アルファ−トコフェロール、およびエストラジオールが挙げられる。好ましい天然産物は、活性種上のアミンおよびヒドロキシルに対する官能化を促進する、コハク酸ビタミンEとして容易に得ることができるビタミンEである。
【0080】
両親媒性ポリマー中の適切な親水性ブロックの例としては、限定されることはないが、次のものが挙げられる:カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、およびマレイン酸;ポリオキシエチレンまたはポリエチレンオキシド;ポリアクリルアミドおよびそのジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマー、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、アクリル酸、メタクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびスチレンスルホネート、ポリビニルピロリドン、デンプンおよびデンプン誘導体、デキストランおよびデキストラン誘導体;ポリペプチド、例えばポリリジン、ポリアルギニン、ポリグルタミン酸;ポリヒアルロン酸、アルギン酸、ポリラクチド、ポリエチレンイミン、ポリイオネン、ポリアクリル酸、およびポリイミノカルボキシレート、ポリ(エチレングリコール)、ゼラチン、および不飽和エチレン系モノまたはジカルボン酸。例えば、親水性ブロックはポリ(エチレングリコール)のものであることができる。例えば、親水性ブロックは、中性ブロックを調製するためにポリ(エチレンオキシド)およびポリヒドロキシルプロピルアクリルアミドおよびメタクリルアミドのものであることができる。これらの材料は現在医学用途で認可されているからである。アニオン性のコポリマーを調製するには、アクリル酸およびメタクリル酸およびポリアスパラギン酸ポリマーを使用することができる。カチオン性の両親媒性ポリマーを生成させるには、DMAEMA(ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリビニルピリジン(PVP)またはジメチルアミノエチルアクリルアミド(DMAMAM)を使用することができる。
【0081】
例えば、ブロックはジブロック、トリブロック、またはマルチブロックの繰り返しであることができる。好ましくは、ブロックコポリマーはポリスチレン、ポリエチレン、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ乳酸(PLA)、ポリグルタミン酸(PGA)およびPLGAコポリマー、ポリカプロラクトン、ポリアクリル酸、ポリオキシエチレンおよびポリアクリルアミドのブロックを含むことができる。適切な親水性ポリマーの列挙はHandbook of Water-Soluble Gums and Resins、R. Davidson、McGraw-Hill(1980年)に見出すことができる。
【0082】
例えば、両親媒性ポリマーはポリスチレン−ブロック−ポリ(エチレングリコール)(PS−b−PEG)、ポリ(乳酸)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)(PLA−b−PEG)、ポリ(カプロラクトン)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)(PCL−b−PEG)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)(PLGA−b−PEG)、または上に挙げたジブロックコポリマーのトリブロック形態であることができる。さらに、ポリ(エチレンオキシド)−ブロック−ポリ(プロピレンオキシド)−ブロック−ポリ(エチレンオキシド)(PEO−b−PPO−b−PEO)またはポリ(エチレンオキシド)−ブロック−ポリ(ブチレンオキシド)−ブロック−ポリ(エチレンオキシド)(PEO−b−PBO−b−PEO)のようなトリブロックコポリマーを使用してもよい。
【0083】
グラフトコポリマーである両親媒性ポリマーにおいて、グラフトした部分の長さは変化し得る。例えば、グラフトしたセグメントは4〜22個の炭素のアルキル鎖であるかまたは2〜11個のエチレン単位の長さと同等であることができる。グラフトした基はまた脂質、リン脂質またはコレステロールを含んでいてもよい。ポリマー主鎖のグラフト化は溶媒和またはナノ粒子安定化特質を増強するのに有用である可能性がある。ポリエチレンおよびポリエチレングリコールのジブロックコポリマーの疎水性の主鎖上にグラフトしたブチル基はポリエチレンブロックの溶解性を増大するはずである。コポリマーのブロック単位にグラフトした適切な化学的部分はアミド、イミド、フェニル、カルボキシ、アルデヒド、またはアルコール基のような種を含有するアルキル鎖を含む。
【0084】
ナノ粒子をコーティングする方法は、Johnsonらにより既に記載されている通り、「フラッシュナノ沈殿」(FNP)と称される(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるJohnson, B. K.ら、AIChE Journal(2003年)49巻:2264〜2282頁および米国特許第8,137,699号)。FNPは迅速な単一ステップのブロックコポリマー指向沈殿プロセスである。粒子を処理してクロロホルムのような残留する溶媒を除去することができる。粒子および両親媒性ブロックコポリマーは水混和性有機溶媒に溶解される。許容できる溶媒としては、限定されることはないが、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、メタノールおよびエタノールのような低分子量アルコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、またはこれらの混合物が挙げられる。溶媒品質は、水または水性緩衝液または混合物に対して微小混合して10,000もの高い過飽和レベルを生じさせて迅速な沈殿を推進することによって迅速に低下する。ここで、混合する時間はナノ粒子の凝集より速く、ブロックコポリマーの自己集合のタイムスケールと平衡している。このプロセスは制御されたサイズの、ポリマーで安定化され保護されたナノ粒子を生成することができる。
【0085】
フラッシュナノ沈殿コーティング技法は初期のFNPプロセスで生成したナノ粒子の凝集を停止させた両親媒性ジブロックコポリマーに基づく。良溶媒に溶解した両親媒性ジブロックコポリマーは1つのブロックに対する溶媒品質が低下するとミセルを形成することができる。激しい微小混合は任意の数の幾何的配置で行うことができる。本質的な概念は、高速入口流が、乱流および中心キャビティーで起こる混合を生じさせることである。溶媒/貧溶媒の混合時間はナノ粒子の集合時間より迅速である。限定するわけではないが、2つのかかる幾何的配置は先に記載され分析されている:閉じ込め衝突ジェットミキサー(CIJ)またはマルチインレットボルテックスミキサー(MIVM)。これらの例は限定または包括的なものではなく例示を意味し、先に説明した。
【0086】
ボルテックスミキサーは、溶解したジブロックコポリマーおよびTHF、アセトン、または混合物のような水混和性溶媒に懸濁した粒子を含有する1つのジェット流が、ナノ粒子シェルおよびコポリマーの疎水性ブロックに対する貧溶媒である水を含有する別のジェット流と高速で混合される閉じ込められた容量チャンバーからなる。このプロセスに関与する速い混合および高いエネルギー散逸は、粒子の核生成および成長のタイムスケールより短いタイムスケールをもたらし、結果として、他の技術では得られない活性物質ローディング含有量およびサイズ分布を有するナノ粒子が形成する。フラッシュナノ沈殿によってナノ粒子をコーティングすると、混合は、凝集の開始前に全成分の高い過飽和レベルに到達できるほど十分速く起こる。したがって、粒子およびポリマーは同時に沈殿し、遅い溶媒交換(例えば、透析)に基づく広く使用されている技法で見られる低い活性物質の取り込みおよび凝集の制限を克服する。フラッシュナノ沈殿プロセスは成分の化学的特異性に対して感受性でなく、普遍的なナノ粒子コーティング技法となる。
【0087】
両親媒性ポリマーにより形成されるコーティングは内側領域および外側領域を有することができる。内側領域は両親媒性コポリマーの疎水性領域を含むことができ、外側領域は両親媒性コポリマーの親水性領域を含むことができる。
【0088】
コーティングプロセスで使用される濃度、両親媒性ポリマー、および溶媒は、個々の粒子が被覆されるか、または粒子が被覆される前に所望のサイズに凝集するように最適化することができる。例えば、粒子自体のコポリマーの量に対して、濃縮されたナノ粒子を被覆するのに使用する両親媒性ポリマーの量を増大すると、より小さい粒子の直径を得ることができる。濃縮されたナノ粒子をコーティングすると、1つより多くのナノ粒子を両親媒性ポリマーの安定化シェルに取り込むことができる。
【0089】
低濃度のナノ粒子をコーティングする場合、粒子自体のコポリマーの量に対する両親媒性ポリマーの量は、得られる粒子の直径にほとんど効果がないか、または全く効果がない。
【0090】
粒子をコーティングすると粒子の表面の化学的性質が変更される。粒子をコーティングすると水性媒体中での粒子の安定性および分解動態が変化し得る。粒子をコーティングするとカプセル化された材料の放出動態が変化し得る。
【0091】
カプセル化された材料としてグルタチオン(GSH)、リゾチーム、バンコマイシン、またはトブラマイシンを有する被覆されたナノ粒子が形成されている。
【0092】
微粒子およびモノリスへの粒子の取り込み
粒子は微粒子またはより大きいモノリスに取り込まれ得る。疎水性のポリマーブロックは浸透を防止することができ、カプセル化された材料の高いローディング、プロセシング中の安定化、および制御された放出を可能にする。
【0093】
粒子が粒子コアに対する貧溶媒中でプロセシングされた疎水性の足場に取り込まれていれば、粒子はプロセシング前に、より極性の低いポリマーブロックによって的確に安定化され得る。
【0094】
親水性の活性化合物または生物製剤化合物(biologic compound)は、疎水性のプロセス溶媒中への最初のプロセシングステップにより形成された粒子の内部に捕獲される。疎水性のプロセス溶媒に可溶性の有機ポリマーは粒子分散液に添加され得る。添加してもよいポリマーには生体適合性および/または生分解性のポリマーが含まれる。これらのポリマーの非限定例には:アクリレート、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル(BA)、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチル、およびアクリル酸t−ブチル;メタクリレート、例えばメタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、およびメタクリル酸イソブチルならびにこれらのアクリレートのコポリマー;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;ビニル、例えば酢酸ビニル、ビニルバーサテート、プロピオン酸ビニル、ビニルホルムアミド、ビニルアセトアミド、ビニルピリジン、ビニルフェノールおよびビニルイミダゾール;アミノアルキル、例えばアミノアルキルアクリレート、アミノアルキルメタクリレート、およびアミノアルキル(メタ)アクリルアミド;スチレン;酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリ(D,Lラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(アルキルカーボネート)およびポリ(オルトエステル)、ポリエステル、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(タルトロン酸)、ポリ酸無水物、ポリホスファゼン、ポリ(アミノ酸)ならびにこれらのコポリマー(一般に、Illum, L.、Davids, S.S.(編)Polymers in Controlled Drug Delivery Wright、Bristol、1987年;Arshady、J. Controlled Release 17巻:1〜22頁、1991年;Pitt、Int. J. Phar. 59巻:173〜196頁、1990年;Hollandら、J. Cotrolled Release 4巻:155〜0180頁、1986年を参照);疎水性ペプチドベースのポリマーおよびポリ(L−アミノ酸)に基づくコポリマー(Lavasanifar, A.ら、Advanced Drug Delivery Reviews(2002年)54巻:169〜190頁)、ポリ(エチレン−酢酸ビニル)(「EVA」)コポリマー、シリコーンゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリジエン(ポリブタジエン、ポリイソプレンおよびこれらのポリマーの水素化形態)、ビニルメチルエーテルおよび他のビニルエーテルの無水マレイン酸コポリマー、ポリアミド(ナイロン6,6)、ポリウレタン、ポリ(エステルウレタン)、ポリ(エーテルウレタン)、ポリ(エステル尿素)が挙げられる。ポリマー性ブロックの例として、ポリ(エチレン酢酸ビニル)、ポリ(D,L−乳酸)オリゴマーおよびポリマー、ポリ(L−乳酸)オリゴマーおよびポリマー、ポリ(グリコール酸)、乳酸およびグリコール酸のコポリマー、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(バレロラクトン)、ポリ酸無水物、ポリ(カプロラクトン)またはポリ(乳酸)のコポリマーが挙げられる。生物学的に関連のない用途の場合、特に好ましいポリマー性ブロックにはポリスチレン、ポリアクリレート、およびブタジエンが含まれる。
【0095】
これらのポリマーまたはそれらの混合物の添加後得られる、疎水性の有機溶液相を含有するポリマー中に分散した生物製剤粒子は、当分野で周知の技法により所望の微粒子またはモノリスに形成されることができる。これらには、Domb(米国特許第5,578,325号)もしくはGibson(米国特許第6,291,013B1号)により記載されているエマルション−ストリッピング技法、噴霧乾燥、または成形が含まれ、生物製剤のようなカプセル化された親水性活性剤を含有する固体のマトリックスを形成する。マトリックスを噴霧乾燥、汎乾燥(pan drying)、または成形プロセスによって乾燥して、カプセル化された活性剤または生物製剤を含有する固体の最終マトリックスを得ることができる。その後、マトリックス相の溶解、浸食、または膨潤により放出を行う。このカプセル化および続くマトリックスの形成により、先に文献に記載されている単純な二重エマルション技法で達成することができるよりもずっと高い、親水性の活性剤または生物製剤のローディングが可能である。これらの二重エマルション経路では、マトリックス製剤中活性剤の高いローディングでバースト放出が起こる。
【0096】
ポストプロセシング
他のポストプロセシングステップを粒子に対して行ってもよい。リガンドを粒子の表面にコンジュゲートし得る。被覆されてない粒子の場合、リガンドはコポリマーのより非極性のブロックにコンジュゲートされる。リガンドのサイズに応じて、コンジュゲーションは粒子の形成の前または後に行うことができる。被覆された粒子の場合、リガンドはコーティングする両親媒性コポリマーの親水性ブロックにコンジュゲートされる。リガンドのサイズに応じて、コンジュゲーションは粒子のコーティングの前または後に行うことができる。
【0097】
粒子を安定な粉末形態に凍結乾燥してもよい。粒子を溶液から遠心分離し、粒子がやはり安定でいられる新しい溶媒中に再懸濁してもよい。粒子を透析して、粒子が懸濁される溶媒を変えるか、または小分子を除去してもよい。
【0098】
粒子は様々な様式のいずれか1つまたは様々な様式の組合せにより患者に投与することができる。例えば、粒子は経口、経鼻、腹腔内、または非経口で、静脈内に、筋肉内に、局所に、または皮下経路で、または注射により組織内へ投与することができる。粒子は薬学的に許容されるビヒクルまたはキャリア中で投与され得る。
【実施例】
【0099】
(実施例1)
粒子の集合および形態学
親水性の化合物を含有する粒子を生成するために、最初にポリ(アクリル酸n−ブチル)7.5kDa−b−ポリ(アクリル酸)5.5kDa(PBA−b−PAA)および生物製剤をDMSOまたはメタノールのような極性の有機溶媒に溶解した。FNPプロセスにおいて、この流れをCIJミキサーでクロロホルム(CHCl
3)またはアセトンのようなより極性の低い非プロセス溶媒と迅速に混合した。この非溶媒が生物製剤を沈殿させた。この沈殿を、成長する粒子の表面上でのPAA−b−PBAの親水性のPAAブロックの自己集合により停止させた。最終の粒子を疎水性のPBAブロックによって非溶媒中で立体的に安定化させた。得られたナノ粒子はコア−シェル構造を有していた。
【0100】
このプロセスを、モデルのタンパク質としてのリゾチーム(14.3kDa)、環状ペプチド抗生物質バンコマイシン(1.45kDa)、モデルの7−アミノ酸長のペプチド(グリシン−アルギニン−ロイシン−グリシン−トリプトファン−セリン−フェニルアラニン(GRLGWSF)、822Da)、染料エオシンY(692Da)およびタルトラジン(534Da)、MRIコントラスト剤ガドペンテト酸(548Da)、アミノグリコシド抗生物質トブラマイシン(468Da)、グルタチオン(307Da)、およびトリプトファン(204Da)を含む様々な分子量を有するモデルの親水性物質の集まりに適用した。各製剤化により、50wt%の最小ローディングにおいて低い多分散度を有するナノ粒子が得られた。
【0101】
(実施例2)
ナノ粒子のローディングおよびサイズの制御
FNPで生成する粒子のサイズは、コア材料の沈殿のタイムスケール、およびポリマーの自己集合のタイムスケールによって制御することができる。これらのタイムスケールは材料濃度によっておよび非プロセス溶媒の選択によって調節される。
【0102】
コア材料の百分率を増大するにはより大きい粒子の形成が必要であった。リゾチームとバンコマイシンの両方では、粒子のサイズは、生物製剤を添加すると、最初はブロックコポリマーのミセルのサイズと比べて減少した。これは、コア材料の添加により、電荷遮蔽効果のためPAAをより堅くパックすることができるからであり得る。リゾチームおよびバンコマイシンの両方の非常に高いローディングが得られた。リゾチームの75wt%もの高いローディングが大きい沈殿物を形成することなく得られたが、動的光散乱(DLS)を使用して分析するには粒子は大き過ぎた。90wt%までのバンコマイシンローディングでは安定な粒子が得られ、100nm未満の粒子は80wt%未満のローディングで観察された。これらのローディングは、その高い水溶性および乏しいクロロホルム溶解性に関わらず、バンコマイシンが十中八九その芳香族基により表面を安定化する役割を果たしたことを示した。
【0103】
粒子のサイズに影響を及ぼすことが判明した追加のプロセス変量には、DMSO流中のポリマーおよび生物製剤の総質量濃度、クロロホルム流中のアセトンの体積分率、およびDMSO流中の水の体積分率が含まれた。DMSO流への5vol%の水の添加により、50%ロードしたリゾチーム粒子のサイズが125nmから45nmに低減した。適切な製剤化パラメーターで、50wt%より高いローディングおよび100nm未満の直径を有するナノ粒子はFNPプロセスによって容易に達成できた。生物製剤がごくわずかに可溶性である非プロセス溶媒を選択することによって、粒子は非常に高い(>90%)カプセル化効率を有することができる。
【0104】
(実施例3)
さらなるプロセシングのためのナノ粒子の安定化
水性環境中のナノ粒子を安定化し、プロセシングステップ中のカプセル化された材料の損失を低減するため、PAAシェルを架橋してゲルを形成する方法を調査した。イオン性の架橋は、カプセル化された物質を共有結合的に修飾するリスクを低減するのでこれに着目した。アニオン性のPAA側基は多価金属カチオンまたはポリアミンのいずれかで架橋することができる(S. Bontha、A.V. Kabanov、T.K. Bronich、Polymer micelles with cross-linked ionic cores for delivery of anticancer drugs、J. Controlled Release. 114巻(2006年)163〜174頁;T.K. Bronich、A.V. Kabanov、V.A. Kabanov、K. Yu、A. Eisenberg、Soluble Complexes from Poly(ethylene oxide)-block-polymethacrylate Anions and N-Alkylpyridinium Cations, Macromolecules. 30巻(1997年)3519〜3525頁;T.K. Bronich、P.A. Keifer、L.S. Shlyakhtenko、A.V. Kabanov、Polymer Micelle with Cross-Linked Ionic Core、J. Am. Chem. Soc. 127巻(2005年)8236〜8237頁;R.T. Patil、T.J. Speaker、Retention of trypsin activity in spermine alginate microcapsules、J. Microencapsul. 14巻(1997年)469〜474頁)。ナノ粒子は、Ca
2+、Zn
2+、またはFe
3+の塩化物塩を非プロセス溶媒流に含ませることによって首尾よく安定化された。2つの第一級アミンおよび2つの第二級アミンを含有するスペルミン、ならびに正に帯電した抗生物質トブラマイシンも粒子を安定化させた。イオン性のゲル化剤をFNPプロセスの後ナノ粒子溶液に添加することができる。
【0105】
3:1の比の酸基対鉄で含ませた塩化鉄IIIはとりわけ効果的な架橋剤であった。50wt%のバンコマイシンをロードし、鉄で架橋した粒子は、CHCl
3中の72nmから非架橋ナノ粒子を溶解するメタノール中の79nmまでで最小に膨潤した。最小の膨潤は、カプセル化された生物製剤の放出を遅くするのに必要な小さいメッシュサイズを示した。例えば、メタノール中での最小の膨潤は堅い架橋を示した。鉄は、ナノ粒子のTEMイメージングを可能にするほどに十分な電子コントラストを提供した。20〜40nmの粒子コアのTEM顕微鏡写真は、測定がPBAシェルを含んでいたのでより大きいサイズを示したDLSデータを支持した。
【0106】
(実施例4)
PEGによるナノ粒子のコーティング:層毎のFNP
水性媒体中で立体的に安定化されたナノ粒子を生成するために、鉄で安定化された50wt%バンコマイシン粒子をPEGで被覆した。粒子を1質量当量のポリスチレン1.6kDa−b−ポリ(エチレングリコール)5kDa(PS−b−PEG)と共にアセトン中に懸濁した。この流れを第2のFNPステップで水と迅速に混合した。PS−b−PEGのPSブロックは粒子の崩壊したPBA表面上に集合した。PEGがないと、バンコマイシンナノ粒子の崩壊した疎水性のPBA表面は粒子を水中に凝集させた。最終のPEG安定化粒子は85nmであり、目に見える凝集体はなく、ほぼ中性のゼータ電位であった。最終のナノ粒子構造体は堅く架橋したヒドロゲルで、内部が疎水性の界面に被覆され、PEGブラシにより立体的に安定化されていた。
【0107】
PEGで被覆された粒子はカプセル化効率40%(高圧液体クロマトグラフィーで決定)および最終のバンコマイシンローディング11.5wt%を有していた。バンコマイシンはクロロホルムおよびアセトンに溶け難く、したがって材料の損失はおそらくコーティングステップで起こった。バンコマイシンはクロロホルム中で粒子表面を安定化する役割を果たす疎水性のセクションを有するので、鉄−PAAメッシュでは十分に捕捉されなかった可能性がある。
【0108】
(実施例5)
様々なカプセル化された材料と共に形成されたナノ粒子
カプセル化された親水性モデルの活性医薬品(API)を含むナノ粒子(NP)を、先に記載した閉じ込め衝突ジェットミキサー(CIJ)を使用するフラッシュナノ沈殿(FNP)を使用して作り出した。一般に、安定化ポリマー(PBA−b−PAA)およびAPIを、通例MeOHまたはDMSOからなるより極性の高い有機溶媒に溶解させた。この流れを、通例CHCl3またはアセトンからなる等しい体積流のより非極性の貧溶媒と等しい流量で迅速に混合した。CIJの出口流を、最終のナノ粒子溶液が90vol%の貧溶媒となるように貧溶媒の撹拌浴に集めた。この研究で使用した製剤の概要(outlines the formulations used in this study)。
【0109】
架橋されたNPのためには、電荷比(PAA上の酸基と架橋剤の正電荷との比)が1:1となるように架橋剤を貧溶媒流に含ませた。
【0110】
小分子タルトラジン、エオシンY、およびガドリニウム−ジエチレントリアミン五酢酸(Gd−DTPA)をカプセル化した親水性コアを有するナノ粒子(「逆」ナノ粒子)を形成した。これらのカプセル化された材料と共に形成された粒子のセットごとの粒径分布を
図3Aに示す。
【0111】
生物製剤抗生物質トブラマイシンおよびバンコマイシンをカプセル化した親水性コアを有するナノ粒子を形成した。これらのカプセル化された材料と共に形成された粒子のセットごとの粒径分布を
図3Bに示す。
【0112】
小分子生物製剤グルタチオンおよびトリプトファンをカプセル化した親水性コアを有するナノ粒子を形成した。これらのカプセル化された材料と共に形成された粒子のセットごとの粒径分布を
図3Cに示す。
【0113】
より大きい生物製剤リゾチームおよび「ペプチドI」(グリシン−アルギニン−ロイシン−グリシン−トリプトファン−セリン−フェニルアラニン(GRLGWSF))をカプセル化した親水性コアを有するナノ粒子を形成した。これらのカプセル化された材料と共に形成された粒子のセットごとの粒径分布を
図3Dに示す。
【0114】
上記カプセル化系に使用した実験条件を下記表2に示す。
【表2】
【0115】
これらのカプセル化された材料のうち、最も小さいカプセル化された分子は186Daの分子量を有し、最も大きいカプセル化された分子はほぼ二桁大きい分子量14kDaを有し、このプロセスの汎用性を実証した。カプセル化された粒子はまた幅広い電荷を有しており、例えば、タルトラジンは負に帯電し、一方トブラマイシンは正に帯電している。
【0116】
材料をカプセル化するための系を最適化して、最もよい極性のプロセス溶媒(例えば、DMSO対MeOH、任意選択で添加剤を含む)、非プロセス溶媒(貧溶媒)(例えば、アセトン、CHCl
3、トルエン、またはDCM)、ポリマー/コア材料比、および/または溶媒流の含水量を決定することができることが当業者には理解されるものとする。
【0117】
(実施例6)
PAA−b−PBAナノ粒子
ポリ(アクリル酸)−b−ポリ(アクリル酸n−ブチル)(12kDa−b−3kDa)をメタノールに濃度20mg/mLで溶解した。塩基性酢酸クロムをメタノールに質量濃度90mg/mLで溶解した。溶液を容量で1容(one part)のポリマー溶液対1容のクロム溶液として混合した。混合物を調製した直後に、手持ちの閉じ込め衝突ジェット(CIJ)ミキサーでクロロホルム流に対して1:1で混合した。CIJミキサーの流出液を、最終の溶媒組成が容量で1容のメタノール対9容のクロロホルムとなるようにクロロホルムの急速撹拌浴に集めた。粒子を4日間混合してクロムカチオンにポリ(アクリル酸)を架橋させた。得られた粒子はクロロホルム中で135nmであり、多分散度指数(PDI)は0.1未満であった。メタノール中に膨潤すると、得られた粒子は190nmで、PDIは0.1未満であった。粒子直径はMalvern Zetasizerを通常の分析モードで使用して動的光散乱によって測定した。
【0118】
(実施例7)
PS−b−PEGによるPAA−b−PBAナノ粒子のコーティング
実施例6からの粒子をアセトンで希釈し、15000rcfで15分間溶液から遠心分離した。上清をデカントし、ペレットをアセトンに再懸濁した。粒子を二度目に15000rcfで15分間溶液から遠心分離した。上清をデカントし、ペレットをアセトン中に最終質量濃度6mg/mLまで再懸濁した。ポリスチレン−b−ポリ(エチレングリコール)(1.6kDa−b−5kDa)をTHFに質量濃度12mg/mLで溶解した。粒子溶液とブロックコポリマー溶液を容量で1対1に混合し、次いで、手持ちの閉じ込め衝突ジェット(CIJ)ミキサーで脱イオン水流に対して1:1で混合した。脱イオン水中で、得られた粒子は、Malvern Zetasizerを通常の分析モードで使用して動的光散乱によって測定して、直径195nmであり、PDIは0.1であった。
【0119】
(実施例8)
グルタチオンを含むPAA−b−PBAナノ粒子
ポリ(アクリル酸)−b−ポリ(アクリル酸n−ブチル)(12kDa−b−3kDa)をメタノールに濃度40mg/mLで溶解した。還元グルタチオン(GSH)を水とメタノールの1:4混合物(容量対容量)に質量濃度20mg/mLで溶解した。塩基性酢酸クロムをメタノールに質量濃度90mg/mLで溶解した。溶液を容量で1容のポリマー溶液対1容のクロム溶液対2容のグルタチオン溶液として混合した。混合物を調製した直後に、手持ちの閉じ込め衝突ジェット(CIJ)ミキサーでクロロホルム流に対して1:1で混合した。CIJミキサーの流出液を、最終の溶媒組成が容量で1容の水対9容のメタノール対90容のクロロホルムとなるようにクロロホルムの急速撹拌浴に集めた。粒子を4日間混合してクロムカチオンにポリ(アクリル酸)を架橋させた。得られた粒子はクロロホルム中で110nmであり、PDIは0.1未満であった。メタノール中に膨潤させると、得られた粒子は130nmであり、PDIは0.1未満であった。粒子直径はMalvern Zetasizerを通常の分析モードで使用して動的光散乱によって測定した。
【0120】
(実施例9)
グルタチオンを含有するPAA−b−PBAナノ粒子のPS−b−PEGによるコーティング
実施例8からの粒子をアセトンで希釈し、15000rcfで15分間溶液から遠心分離した。上清をデカントし、ペレットをアセトンに再懸濁した。粒子を二度目に15000rcfで15分間溶液から遠心分離した。上清をデカントし、ペレットをアセトン中に最終質量濃度6mg/mLまで再懸濁した。ポリスチレン−b−ポリ(エチレングリコール)(1.6kDa−b−5kDa)をTHFに質量濃度12mg/mLで溶解した。粒子溶液とブロックコポリマー溶液を容量で1対1に混合し、次いで、手持ちの閉じ込め衝突ジェット(CIJ)ミキサーで脱イオン水流に対して1:1で混合した。脱イオン水中で、得られた粒子は、Malvern Zetasizerを通常の分析モードで使用して動的光散乱によって測定して、直径160nmで、PDIは0.1であった。
【0121】
(実施例10)
グルタチオンを含むPAA−b−PEGナノ粒子
ポリ(アクリル酸)−b−ポリ(エチレングリコール)(5kDa−b−5kDa)をメタノールに濃度40mg/mLで溶解した。還元グルタチオンを水とメタノールの1:4混合物(容量対容量)に質量濃度20mg/mLで溶解した。塩基性酢酸クロムをメタノールに質量濃度56mg/mLで溶解した。溶液を容量で1容のポリマー溶液対1容のクロム溶液対2容のグルタチオン溶液として混合した。混合物を調製した直後に、手持ちの閉じ込め衝突ジェット(CIJ)ミキサーでクロロホルム流に対して1:1で混合した。CIJミキサーの流出液を、最終の溶媒組成が容量で1容の水対9容のメタノール対90容のクロロホルムとなるようにクロロホルムの急速撹拌浴に集めた。粒子を4日間混合してクロムカチオンにポリ(アクリル酸)を架橋させた。粒子をアセトンに希釈し、15000rcfで15分間溶液から遠心分離した。上清をデカントし、ペレットをアセトンに再懸濁した。粒子を二度目に15000rcfで15分間溶液から遠心分離した。上清をデカントし、ペレットを脱イオン水に再懸濁した。得られた粒子は、Malvern Zetasizerを通常の分析モードで使用して動的光散乱により測定して、直径が245nmであり、PDIが0.35またはそれ未満であった。
【0122】
(実施例11)
シラン処理したバイアルに、アセトン中PS−b−PEGの溶液を添加し、バンコマイシンをカプセル化するPBA−b−PAAナノ粒子を、溶液中の質量比が2:1:1のPS−b−PEG対PBA−b−PAA対バンコマイシンとなるように被覆した。この溶液を総質量濃度5mg/mLまで回転蒸発させた(rotovapped)。次いで、ナノ粒子溶液をアセトンで10倍に希釈し、次いで5回回転蒸発させて質量濃度5mg/mLに戻し、全てのクロロホルムを確実に除去した。
【0123】
ナノ粒子とPS−b−PEG溶液を1:1の容量比でCIJにおいてMilli−Q精製水(MQ)と混合し、流出流を、最終溶液が90vol%のMQとなるようにMQの撹拌浴に集めた。プロセス流は500μLの50vol%DMSO、45vol%MeOH、および5vol%MQを、5mg/mLのバンコマイシンおよび5mg/mLのポリマーと共に含んでいた。非プロセス流は600μLのCHCl
3および50μLのFeCl
3(架橋剤)をMeOH中に含んでいた。浴は4.5mLのCHCl
3を含んでいた。
【0124】
得られた粒子のサイズを、CHCl
3中の被覆されてない粒子、MeOH中の被覆されてない粒子、および水中の被覆された粒子について
図4に示す。
【0125】
疎水性のポリマー足場、例えばPLGAをベースとするものは、1ヶ月より長いタイムスケールにわたってペプチドおよびタンパク質を放出することが可能な粒子を生成することができる。高いローディング、高いカプセル化効率、および制御された放出を有するPLGA微粒子を生成するには、高濃度の生物製剤を含有する非常に微細で安定な一次エマルションの形成を必要とする可能性がある。FNPは、ほとんどの二重エマルション方法で生成する細孔よりずっと小さい直径100nm未満のナノ粒子中に50wt%より高いローディングの生物製剤をカプセル化するのに使用することができる。FNPプロセスはスケーラブルで調整可能であり、40nm〜300nmの範囲の粒子が生成した。得られる粒子は疎水性のポリマーシェルによって極性の有機溶媒中で立体的に安定化される。アニオン性コアは多価カチオンにより、およびポリアミンにより架橋されている。これらの粒子はナノ複合材を形成するためにPLGA足場中に取り込むことができる。架橋されたヒドロゲルコアは、最終乳化ステップ中、外側の水相への活性医薬品成分(API)の損失を低減することによって全体のカプセル化効率を上昇させることができると共に、追加の障壁を提供して治療薬の放出を延長し、バースト放出を低下させることができる。密な疎水性のポリマーブラシは合体を防止し、チャネル形成を低減し、最終のPLGA微粒子の曲がりを増大することができる。PAAブロックは細孔内のPLGA表面への吸着から生物製剤を保護することができる。形成されるゲルはナノ−スケールである。
【0126】
FNPは薬物送達用のポリマー性粒子中に生物製剤を製剤化するのに使用することができる。送達系を適合させてその生体適合性を最適化することができる。例えば、安定化材料はPLAを(PBAの代わりに)、生体適合性のアニオン性ポリマーを(PAAの代わりに)含むことができる。ヒアルロン酸、ポリ(アスパラギン酸)、およびポリ(グルタミン酸)は全てPAAに対する可能な生分解性の代替物である。プロセスは、より感受性の、高レベルの構造を有する生物製剤の安定性を維持するように最適化することができる。
【0127】
本明細書中で引用した参考文献は、本明細書に十分に記載されているかのように、参照によりその全体が組み込まれる。
【0128】
本明細書中で例示し説明した実施形態は、本発明を実施し使用するために、本発明者らが知る最良の方法を当業者に教示することのみを意図したものである。本明細書に記載のいかなる事項も本発明の範囲を限定するとみなされないものとする。提示した実施例は全て代表例であり、限定するものではない。本発明の上記の実施形態は、上記教示に照らして当業者により認められる程度に本発明から逸脱することなく改変または変更することができる。したがって、本発明は、特許請求の範囲およびそれに等価なものの範囲内で、具体的に記載したのとは異なって実施することができることが理解されるものとする。