特許第6554510号(P6554510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6554510鋸盤、及び、鋸盤の帯鋸用又は鋸刃用のガイド装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6554510
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】鋸盤、及び、鋸盤の帯鋸用又は鋸刃用のガイド装置
(51)【国際特許分類】
   B23D 59/04 20060101AFI20190722BHJP
   B23D 55/08 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   B23D59/04 Z
   B23D55/08 C
   B23D55/08 P
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-123245(P2017-123245)
(22)【出願日】2017年6月23日
(65)【公開番号】特開2017-226070(P2017-226070A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2017年8月18日
(31)【優先権主張番号】10 2016 111 545.2
(32)【優先日】2016年6月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】592234090
【氏名又は名称】コイロ ベズィッツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー エーデーファウ−ディーンストライストゥングス コマンデイトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ゼンケ・フロリアン・クレッバー
(72)【発明者】
【氏名】アルミン・シュトルツァー
【審査官】 津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−052132(JP,A)
【文献】 実開平02−139706(JP,U)
【文献】 特開2012−097514(JP,A)
【文献】 特開平10−315046(JP,A)
【文献】 特開2004−361264(JP,A)
【文献】 特表2012−512038(JP,A)
【文献】 特開平06−031529(JP,A)
【文献】 特開2011−088229(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 59/04
B23D 55/08
B23D 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯鋸(6)又は鋸刃との少なくとも一時的な滑り接触及び/又は転がり接触のための少なくとも一つの滑り具(5)及び/又は少なくとも一つのころ(9)を有する少なくとも一つのホルダ(1)を含む鋸盤の帯鋸用又は鋸刃用のガイド装置であって、
前記少なくとも一つの滑り具(5)及び/又は前記少なくとも一つのころ(9)は、前記ホルダ(1)に対して相対運動し得るようにして前記ホルダ(1)に取り付けられ、
前記少なくとも一つの滑り具(5)及び/又は前記少なくとも一つのころ(9)は、前記ホルダ(1)内に配置される少なくとも一つの圧電アクチュエータ(3)によって前記ホルダ(1)に対して相対運動可能とされ
さらに、帯鋸(6)又は鋸刃の振動運動を検知するための少なくとも一つのセンサを含み、
前記少なくとも一つの圧電アクチュエータ(3)又はさらにまたもう一つの別の圧電アクチュエータも、前記帯鋸(6)又は鋸刃の振動運動を検知するためのセンサとして形成され、
前記少なくとも一つの圧電アクチュエータ(3)の運動は、前記少なくとも一つのセンサの信号に基づいて制御及び/又は調節されることを特徴とするガイド装置。
【請求項2】
前記少なくとも一つの圧電アクチュエータ(3)は、直接又は間接に、前記滑り具(5)又は前記ころ(9)と前記ホルダ(1)との間に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のガイド装置。
【請求項3】
前記少なくとも一つの圧電アクチュエータ(3)は、てこ装置(10)によって、前記滑り具(5)又は前記ころ(9)に作用することを特徴とする、請求項1に記載のガイド装置。
【請求項4】
帯鋸(6)又は鋸刃の少なくとも一方の側面用に、ホルダ(1)に対して相対可動する圧力板(4)が前記ホルダ(1)内に設けられ、
該圧力板上に、帯鋸(6)又は鋸刃との少なくとも一時的な滑り接触のための一つ又は複数の滑り具(5)が固定され、
前記圧力板(4)は、一つ又は複数の圧電アクチュエータ(3)を介して前記ホルダ(1)に取り付けられていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のガイド装置。
【請求項5】
帯鋸(6)用に設けられ、帯鋸背面との少なくとも一時的な転がり接触のためのころ(9)用の軸受(8)を備えたホルダ(1)を有し、
前記軸受(8)は直接又は間接に、少なくとも一つの圧電アクチュエータ(3)によって前記ホルダ(1)に対して相対可動することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のガイド装置。
【請求項6】
前記帯鋸(6)又は鋸刃の振動運動を検出するための、前記少なくとも一つのセンサは、固体伝送音センサ及び/又は光振動センサとして形成されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のガイド装置。
【請求項7】
さらに、前記少なくとも一つの圧電アクチュエータ(3)の運動を制御及び/又は調節するための制御装置を含むことを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のガイド装置。
【請求項8】
前記制御装置は、鋸挽きパラメータの入力によって選択可能な、鋸挽き時に発生する前記帯鋸(6)又は鋸刃の振動運動に対抗若しくはそれを減衰させるべく、前記少なくとも一つの圧電アクチュエータ(3)の対抗振動運動を発生させることのできる、前記圧電アクチュエータ(3)を制御するための多様な一連の制御プログラムを含むことを特徴とする、請求項に記載のガイド装置。
【請求項9】
前記制御装置は、前記少なくとも一つのセンサの信号に基づいて、前記少なくとも一つの圧電アクチュエータ(3)の対抗振動運動を発生させて、鋸挽き時に生ずる前記帯鋸(6)又は鋸刃の振動運動に対抗又はそれを減衰させるように構成されていることを特徴とする、請求項に記載のガイド装置。
【請求項10】
複数の圧電アクチュエータ(3)が設けられ、
前記制御装置は、前記圧電アクチュエータ(3)をそれぞれ別々に制御するように形成されていることを特徴とする、請求項からのいずれか一項に記載のガイド装置。
【請求項11】
前記制御装置は、少なくとも一つのセンサから得られた信号を成果管理として使用する自己学習アルゴリズムを備えていることを特徴とする、請求項から10のいずれか一項に記載のガイド装置。
【請求項12】
前記圧電アクチュエータ(3)に加えてさらに、前記少なくとも一つの滑り具(5)及び/又は前記少なくとも一つのころ(9)の油圧可動システムが設けられていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のガイド装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のガイド装置を有することを特徴とする、鋸挽きのために回転駆動され、被加工材に対して相対運動可能な帯鋸(6)又は鋸刃を備えた、特に金属質の被加工材及び/又は無機質の被加工材を鋸挽きするための鋸盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の特徴を有する鋸盤の帯鋸用又は鋸刃用のガイド装置及びそのようなガイド装置を備える鋸盤に関する。
【背景技術】
【0002】
このような鋸盤は、特に、金属質の被加工材及び/又は無機質の被加工材、並びに、複合被加工材の鋸挽きを意図されており、鋸挽き送り運動のために被加工材に対して相対可動する鋸挽きツールを含んでいる。この場合、鋸挽きツールは、被加工材中での鋸挽きツールの切削機能を保証すべく、回転鋸挽き運動にて駆動される。その際、被加工材は、通例、マシンテーブル上に挟着固定されている。
【0003】
鋸挽きツールが回転帯鋸であり、したがって、鋸盤が帯鋸盤であれば、鋸挽きツールないし帯鋸は、一般に、直線及び/又は旋回可動するマシン上部に配置され、同所で、通例、そのうちの少なくとも一方が駆動される少なくとも二つの案内ローラの周りを周回する。他方、鋸盤が丸鋸盤であれば、鋸挽きツールは、一般に旋回式又は直線移動式アームに支持されて回転する鋸刃として形成されている。
【0004】
丸鋸盤においては、鋸刃は極めて不安定な要素であるが、とりわけそれは、鋸挽き切断に際して切削屑となる材料をできるだけ減らすために、鋸刃はできるだけ細身に形成されている必要があるからである。同時に、鋸挽き切断は誤差をできるだけ小さくして寸法精度が保たれるようにする必要があり、これは特に、鋸挽き切断速度が高速な場合には、できるだけ細身の鋸刃を使用するという基本条件との目標相克をもたらすことになる。というのは、鋸刃は、特に、鋸挽き時の摩耗が進行すると、斜め挽きを生ずる傾向があるからである。加えてさらに、被加工材料の切削によって鋸刃に振動が生じ、この振動によって不正確な鋸挽き切断が行なわれるおそれがある。
【0005】
したがって、例えば欧州特許出願公開第466688号明細書から知られているように、丸鋸盤の鋸刃の両側側面を鋸歯の近くでガイド装置によってガイドして、斜め挽きを回避すると同時に振動運動を減衰させるというのが通例の対策である。このガイド装置は、前方の鋸刃ガイドと後方の鋸刃ガイドからなり、これらのガイドはそれぞれ超硬合金若しくはセラミックからなる滑り具を備え、これら滑り具の間で鋸刃をガイドする。
【0006】
少なくとも二つの駆動ないし案内ローラの周りを周回する帯鋸を有し、その回転軸が多くの場合に鋸挽き切断面に対して垂直に又は該切断面に対して傾斜して配向されている帯鋸盤にあっては、鋸挽きされるべき被加工材に食い込む前に帯鋸を鋸挽き切断面内にて回転させ、被加工材から離れた後に、該切断面から周回ポジションへとねじり戻すことが不可欠である。これはガイド装置によって行なわれるが、該ガイド装置は、帯鋸が被加工材に食い込む前及び帯鋸が被加工材から離れた後に配置される、通例、二つのクランプ状に形成されたホルダからなっている。これらのクランプ状のホルダの内側において、帯鋸の両側には、帯鋸の側面ガイドを行なう超硬合金又はセラミックからなる滑り具が取り付けられ、他方、帯鋸の背はしばしばころ及び/又は同じく滑り具を介してガイドされる。この種のガイド装置の一例は独国特許出願公開第19828589号明細書に開示されている。
【0007】
帯鋸盤のガイド装置は、帯鋸の方向案内−これは、場合により、帯鋸盤の種類によって不要なこともある−の他に、特に、鋸挽き切断圧力による帯鋸の歪みと帯鋸の側方への傾倒逃げを防止すると共に帯鋸の振動を減衰させることも役割としているが、それはこの種の回避運動及び振動により、またも鋸挽き切断時の寸法精度が損なわれるからである。
【0008】
したがって、この種のガイド装置には、それが丸鋸盤向けであるか帯鋸盤向けであるかに係わりなく、帯鋸又は鋸刃との少なくとも一時的な滑り接触及び/又は転がり接触のための少なくとも一つの滑り具及び/又は少なくとも一つのころを有する少なくとも一つのホルダを含んでいるという点が共通している。
【0009】
特に、切削効率が高い場合において、従来のガイド装置は、それが帯鋸盤の帯鋸向けであれ丸鋸盤の鋸刃向けであれ、帯鋸又は鋸刃の振動の減衰に関して必ずしもすべての場合に最適な結果をもたらすわけではないことが判明した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第466688号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第19828589号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明の目的は、帯鋸又は鋸刃の振動を効果的に減衰させることのできる冒頭に述べたタイプのガイド装置及びそのようなガイド装置を備えた鋸盤を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的は、請求項1に記載の特徴を有するガイド装置及び請求項15に記載の特徴を有する鋸盤によって達成される。
【0013】
本発明によるガイド装置並びに本発明による鋸盤の好ましい実施態様及び発展形態は請求項2から14に記載した通りである。
【0014】
したがって、本発明によれば、少なくとも一つの滑り具及び/又は少なくとも一つのころは、ホルダに対して相対運動し得るようにして、しかも好ましくは概して帯鋸又は鋸刃の運動方向に対して垂直に、したがって、概して帯鋸又は鋸刃の方向に押圧及びそれから離間運動し得るようにしてホルダに取り付けられている。この運動は、本発明によれば、少なくとも一つの圧電アクチュエータによってもたらされる。
【0015】
圧電アクチュエータは圧電材料、例えば石英又はチタン酸バリウムを含み、圧電効果を利用し、電圧の印加によって圧電材料の結晶構造の変形を生じさせる。圧電アクチュエータは、このようにして、高い機械力を発生させ、その際、非常に短時間の間に変形することから、印加される電圧を適切に変化させることによりkHzレベルの周波数を有する振動を発生させることができる。
【0016】
本発明により使用される圧電アクチュエータのこうした特性により、鋸挽き結果を損なうような帯鋸又は鋸刃の振動をアクティブに減衰させることが可能である。したがって、少なくとも一つの圧電アクチュエータの運動を制御及び/又は調節するための制御装置も、例えば少なくとも一つの圧電アクチュエータを制御するための多様な一連の制御プログラムを含んだ本発明によるガイド装置の必須要素である。制御装置に入力される鋸挽きパラメータ、例えば鋸挽きされるべき被加工材の輪郭形状及び材料又は、帯鋸又は鋸刃の形状及び材料並びに運動速度あるいはまた鋸挽き送り速度等に基づいて、当該鋸挽きパラメータによる鋸挽きに際して一般に発生する帯鋸又は鋸刃の振動運動に対抗し及び/又はそれを減衰させるための運動、とりわけ圧電アクチュエータの対抗振動運動を発生させる制御プログラムが選択される。
【0017】
最適化されたアクティブな振動減衰は、本発明によるガイド装置の好ましい実施態様の範囲において、帯鋸又は鋸刃の振動運動を検出するセンサの信号の評価によって達成することができる。制御装置は、相応したアルゴリズムを用い、検出された帯鋸又は鋸刃の振動運動から、最適化されたアクティブな振動減衰を保証する対抗振動運動を算定し、本発明による圧電アクチュエータによって該対抗振動運動を発生させる。
【0018】
帯鋸又は鋸刃の振動運動を検出するためのこの種のセンサは、固体伝送音センサ又は光振動センサであってよいが、ただし、圧電効果は双方向に機能すること、つまり、圧電材料の変形は印加された電圧の変化をもたらすと共にその逆も生じることから、少なくとも一つ又はさらにまたもう一つの別の圧電アクチュエータを振動運動を検出するためのセンサとして使用することも可能である。
【0019】
アクティブな振動減衰を最適化すべく、センサ信号に基づいて少なくとも一つの圧電アクチュエータの対抗振動運動を発生させるガイド装置の制御装置は、センサ信号を成果管理として使用して、その都度適切に自己学習して対抗振動運動を適合化する自己学習アルゴリズムを備えていてもよい。
【0020】
本発明によるガイド装置のホルダ内に(通例の場合そうであるが)複数の圧電アクチュエータが備えられている場合には、異なった圧電アクチュエータをそれぞれ別々に制御するように制御装置を形成するのが好適なことがある。このことは、帯鋸又は鋸刃の振動挙動に応じ、アクティブな振動減衰の最適化に有用となり得る。
【0021】
本発明によって設けられる、少なくとも一つの圧電アクチュエータは、好ましくは、直接又は間接に、滑り具ないしころとホルダとの間に配置される。この場合、圧電アクチュエータをてこ装置を介して滑り具ないしころに作用させるのが好適である。てこ装置によって圧電アクチュエータの変形ないし変位は増倍されて拡大され得るために、圧電アクチュエータを帯鋸又は鋸刃から一定程度離間して配置することが可能であり、これによって、圧電アクチュエータの電気的接触を容易にすることもできる。
【0022】
帯鋸又は鋸刃の側面ガイドのために、通例、圧電アクチュエータによって帯鋸又は鋸刃に向かってアクティブに押圧され、かつまた、それから離間運動させられる滑り具が設けられている。この場合、圧電アクチュエータを保護するために、ホルダに対して相対運動し得る圧力板上に滑り具を配置するのが好ましい。こうして、圧力板が可動するように、圧力板とホルダとの間に圧電アクチュエータが配置されていてよく、他方これによって、圧電アクチュエータは、同時に、圧力板によって帯鋸ないし鋸刃から遮蔽されることになる。
【0023】
帯鋸盤における帯鋸背面のガイドには、直接又は間接に、少なくとも一つの圧電アクチュエータによってホルダに対して相対運動可能な、軸受に支保されたころを使用するのが好ましい。この種の軸受は、例えば、圧電アクチュエータを介してホルダと連結されたフォーク形の軸受ブリッジに配置されていてよく、その際、軸受ブリッジはまた圧電アクチュエータを帯鋸から遮蔽する。
【0024】
本発明による圧電アクチュエータによる本発明のガイド装置の滑り具及び/又はころの可動性に加えて、さらに、本発明の範囲において、油圧による滑り具ないしころの可動性も提供されてもよい。
【0025】
以下、添付の図面によって、本発明によって形成されたガイド装置の本発明上不可欠な構成要素の実施例を詳細に示して説明する。各図は以下を示している。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】帯鋸の側面ガイドの概略的な分解図である。
図2図1に示した二つの帯鋸側面ガイドを有する帯鋸が静止ポジションにある場合の平面断面図である。
図3】帯鋸側面ガイドが作動ポジションにある場合の、図2と同じ図である。
図4】帯鋸背面ガイドの概略的な分解図である。
図5図4に示した背面ガイドが静止ポジションにある場合の概略的な断面図である。
図6】作動ポジションにある場合の、図5と同じ図である。
図7】先行する図面に示した二つの帯鋸側面ガイドと一つの背面ガイドを含んでなる帯鋸用のガイド装置の概略的な斜視図である。
図8】静止ポジションにある別の実施例による二つの帯鋸側面ガイドと帯鋸の平面断面図である。
図9】帯鋸側面ガイドが作動ポジションにある場合の、図8と同じ図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に示した概略的な分解図には、帯鋸盤の帯鋸用の本発明によって構成された側面ガイドの第一の実施例の重要な要素が表されている。それらは、ホルダ1、対抗圧力板2、四つの圧電アクチュエータ3、圧力板4及び四つの滑り具5である。
【0028】
滑り具5は圧力板4に固定結合され、(不図示の)帯鋸との少なくとも一時的な滑り接触を行なうために設けられている。これらは超硬合金板片からなっている。滑り具5が着座した圧力板4はホルダ1に対して相対可動し、滑り具5を帯鋸に押し付け、それから離間させあるいは、アクティブな振動減衰を実施する。
【0029】
圧電アクチュエータ3は、一方で圧力板4に固定され、他方で対抗圧力板2に固定結合されている。対抗圧力板2はホルダ1内に定置されているが、他方、圧力板4はホルダ1に固定されていないために、圧電アクチュエータは対抗圧力板2と圧力板4の間隔を印加された電圧に応じて変化させる(図2及び3)。
【0030】
対抗圧力板2と圧力板4との間にあって、圧電アクチュエータ3は、例えば、周回式のOリングシールによってカプセル被覆されることができるため、それは帯鋸の周囲環境条件、とりわけ一般に使用される冷却潤滑エマルジョンによって毀損されることはない。電気的接触は、例えば、対抗圧力板2を通じて行なうことができる。圧力板4は、同時に、圧電アクチュエータ3を機械的に帯鋸から遮蔽する。ホルダ1は、圧力板4が蓋として機能して概してシールされるハウジングの形を有しているために、これによってもまた圧電アクチュエータ3の保護効果が達成される。
【0031】
本実施例において、四つの圧電アクチュエータ3が立体配置されているため、必要に応じてこれらを別々に制御して、対抗圧力板2及びそれと共に滑り具5の極めて相異した対抗振動運動を発生させることができる。対抗圧力板2がホルダ1内に取り外し可能に取り付けられている場合には、対抗圧力板2、圧力板4、圧電アクチュエータ3及び滑り具5をモジュールとして交換することが可能である。
【0032】
図2及び3は、図1に示したガイドの作動態様を示したものであり、その際、それぞれの断面図には、両側にそれぞれ図1に示した側面ガイドを備えた帯鋸6が示されている。
図2において、圧電アクチュエータ3には、対抗圧力板2と圧力板4との間隔が最小化され、圧力板4に固定された滑り具5が帯鋸6から離間されて帯鋸から一定の間隔を保つようにして、電圧が印加されている。同図から、圧電アクチュエータ3はホルダ1と圧力板4によって帯鋸6から遮蔽されていることがよく看取される。
【0033】
図3において、圧電アクチュエータ3に印加された電圧は変化し、その結果、該アクチュエータは変形し、対抗圧力板2と圧力板4の間隔は拡大する(矢印にて図示)。これにより、滑り具5が帯鋸6と接触し、滑り接触しながら帯鋸をガイドする。圧電アクチュエータ3は対抗振動運動を発生するように制御されることもでき、こうして、帯鋸6に振動が発生した場合にその振動をアクティブに減衰させることが可能である。
【0034】
図4はまた概略的な分解図を表しており、この場合、第二の実施例として(ここでも不図示の)帯鋸のための背面ガイドが示されている。この背面ガイドは、その重要な要素として、本実施例において概ね立方体状に形成されて下方が開放したホルダ1、二つの圧電アクチュエータ3、軸受8と該軸受8に軸支されたころ9とを有する軸受ブリッジ7からなっている。
【0035】
圧電アクチュエータ3は、一方で軸受ブリッジ7の背面に固定結合され、他方でホルダ1の内部に固定されているため、圧電アクチュエータ3の圧電式形状変化によって、ホルダ1に対する軸受ブリッジ7及びそれと共にころ9の相対運動がガイドされる。
【0036】
ころ9はこのようにして帯鋸6に押圧され、また、それから離間させることが可能であり、これは図5及び6に示した断面図から明瞭にわかる。図5において、またも圧電アクチュエータ3に、軸受ブリッジ7とホルダ1の間隔が最小化される電圧が印加され、他方、図6において、該間隔が拡大されて、ころ9が帯鋸6の背面に押圧され、こうして、この場合ころ9が帯鋸6と転がり接触するように、圧電アクチュエータ3に電圧が印加されている。
【0037】
図5及び6は、圧電アクチュエータ3が、一方において軸受ブリッジ7により、他方においてホルダ1によって、帯鋸6から機械的に遮蔽されると共に、必要に応じ、カプセル被覆されることができることを明瞭に示している。圧電アクチュエータ3に印加される電圧を急速に変化させることにより、軸受ブリッジ7及びそれと共にころ9の対抗振動運動を発生させて、帯鋸6の振動をアクティブに減衰させることができる。この場合、必要に応じ、双方の圧電アクチュエータ3を別々に制御することが可能である。
【0038】
図7は、(その他の点ついては不図示の)鋸盤の帯鋸6の概略的な斜視図であり、この場合、先行する図面に示した本発明によって形成されたガイド装置の各要素は、一方において帯鋸6の側面ガイドに使用され、他方において背面ガイドに使用される。側面ガイドのうち、ホルダ1、圧力板4及び滑り具5は見ることができ、圧電アクチュエータ3はホルダ1と圧力板4によって包み込まれている。背面ガイドに内蔵された圧電アクチュエータも本図においては見ることができず、ホルダ1と、帯鋸6の背面上を転動してガイドするころ9だけが見える。
【0039】
図8及び9にはまた、図2及び3と同様に、その両側面がそれぞれ本発明によって形成されたガイドによってガイドされる帯鋸6の平面図が示されている。これらのガイドは先行する図面に示したガイドとは相異し、本発明の別の実施例を具現したものである。
【0040】
図8及び9に示したこの実施例において、双方のガイドの滑り具5、5’はまた圧力板4、4’上に配置されている。ただし、圧電アクチュエータ3、3’は、滑り具5、5’及び圧力板4、4’から離間して、ホルダ1、1’内に固定され、てこ装置10を経て圧力板4、4’及び滑り具5、5’に作用する。てこ装置10は、シーソーのように、ピボット継手11を経てホルダ1に旋回可能に取り付けられ、その際、てこ腕は、一方において圧電アクチュエータ3と関節接続され、他方において圧力板4と関節接続されている。
【0041】
図8には、離間したポジションないし静止ポジションに位置したガイドが表されている。この場合、圧電アクチュエータの厚さが最小で、そのために、てこ装置10を介した作用によって、圧力板4及びそれと共にその上に固定された滑り具5が帯鋸6から引き離されるようにして、電圧が圧電アクチュエータ3に印加されている。
【0042】
図9において、圧電アクチュエータ3に印加された電圧が変化したために、圧電アクチュエータに変形が生じている。これにより、てこ装置10が(矢印方向)に運動し、圧力板4ないしその上に固定された滑り具5が帯鋸6に押圧されて、帯鋸を滑り接触によってガイドする。
【0043】
てこ装置10により、圧電アクチュエータ3及びそれと共にその電気接点も、帯鋸6と滑り具5及び同所において通例必要な冷却潤滑エマルジョンによる潤滑から引き離されている。したがって、圧電アクチュエータ3は、有利には、帯鋸6及び滑り具5の苛酷な環境に曝されることはない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9