特許第6554525号(P6554525)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6554525
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】燻製器
(51)【国際特許分類】
   A23B 4/052 20060101AFI20190722BHJP
【FI】
   A23B4/052 B
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-230406(P2017-230406)
(22)【出願日】2017年11月30日
(65)【公開番号】特開2019-97445(P2019-97445A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2018年6月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000138336
【氏名又は名称】株式会社スノーピーク
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】山井 太
【審査官】 戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−125881(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3052599(JP,U)
【文献】 特開平11−146755(JP,A)
【文献】 特開2010−29206(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0345598(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23B 4/044−4/056
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/FSTA/
WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被燻製物を収容すると共にこの被燻製物の下方に燃焼材料の燃焼により加熱されることで若しくは自身が燃焼することで燻煙を発生する燻煙材を収容する燻製器本体と、この燻製器本体の上部開口部を閉塞する蓋体と、前記燻製器本体内に設けられて前記被燻製物が載置または吊下される被燻製物セット部とで構成される持ち運び自在な燻製器であって、前記燻製器本体は、有底筒状に形成される外側本体部と、下部側に空気取り入れ部を有する筒状に形成され前記外側本体部内に設けられる内側本体部とから成り、前記外側本体部の周面と前記内側本体部の周面とで形成され前記上部開口部側を外気導入口とし下部側が前記空気取り入れ部と連通する空気導入路を有する構成とされ、この空気導入路の前記外気導入口は、前記蓋体により開閉自在に閉塞される構成とされ、前記蓋体の移動により前記外気導入口が開口状態になることで、この外気導入口を介して前記空気導入路に外気が流入し、この空気導入路に流入した外気が前記空気取り入れ部を介して前記内側本体部内に流入することで、前記内側本体部内での燃焼が継続されて、この内側本体部内に設けられる前記燻煙材から発生する燻煙により前記被燻製物が燻製処理されるように構成されていることを特徴とする燻製器。
【請求項2】
前記蓋体には、前記内側本体部内で発生する燻煙を外部に排出する排気孔が設けられていることを特徴とする請求項1記載の燻製器。
【請求項3】
前記排気孔は、開閉自在に構成されていることを特徴とする請求項2記載の燻製器。
【請求項4】
前記蓋体を前記燻製器本体の上部開口部から上方に離間移動させると共に、この離間状態を保持する蓋体離間状態保持機構を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の燻製器。
【請求項5】
前記蓋体離間状態保持機構は、前記蓋体と前記燻製器本体の上部開口部との離間距離を自在に調整できるように構成されていることを特徴とする請求項4記載の燻製器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばキャンプ等のアウトドアレジャーに携行できる持ち運び自在に構成される燻製器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、持ち運びが容易で、また、手軽に燻製を作ることができる簡易型の燻製器が市場に多く提供されるようになり、キャンプ等のアウトドアレジャーにこのような燻製器を携行し燻製料理を楽しむ人が増えてきている。
【0003】
ところで、燻製器は、燻製処理により燻製器自体にもにおいが付着し、使い終わって片付けた後もこのにおい(燻煙臭)が残ってしまう。
【0004】
従来の簡易型の燻製器は、燻製器本体の周面下方側に空気取り入れ口や燻煙材の出し入れ口を有する構成とされるものが多く、例えば、車内に収容して運搬する場合、この空気取り入れ口や燻煙材の出し入れ口からにおいが漏れ出て車内に充満し、車内にいる人に不快感を与えてしまう問題があった。
【0005】
また、上述のように構成される従来の燻製器は、燻製処理時、燻製器本体の上方に設けられた排気口からだけでなく、この周面に設けられた空気取り入れ口や燻煙材の出し入れ口からも燻煙が排出されることがある。
【0006】
そのため、室内で使用する場合、燻製器本体の上方に設けられた排気口から排出される燻煙は、そのまま上方へと流れ室内に設けられた換気扇によりスムーズに室外へ排気されるが、この周面に設けられた空気取り入れ口や燻煙材の出し入れ口から排出される燻煙は、周囲に拡散しやすく、スムーズに室外に排気されず、室内に燻煙が充満してしまう不具合が生じることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような従来の燻製器の現状に鑑みなされたもので、密閉性に優れ、におい(燻煙臭)漏れが殆どなく、更に、周囲に拡散しやすい燻製器本体の周面からの燻煙の排気がなく、室内で使用する場合でも、室内に設けられた換気扇で十分換気することができる実用性に優れた燻製器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0009】
被燻製物Aを収容すると共にこの被燻製物Aの下方に燃焼材料の燃焼により加熱されることで若しくは自身が燃焼することで燻煙を発生する燻煙材Sを収容する燻製器本体1と、この燻製器本体1の上部開口部を閉塞する蓋体2と、前記燻製器本体1内に設けられて前記被燻製物Aが載置または吊下される被燻製物セット部3とで構成される持ち運び自在な燻製器であって、前記燻製器本体1は、有底筒状に形成される外側本体部4と、下部側に空気取り入れ部6を有する筒状に形成され前記外側本体部4内に設けられる内側本体部5とから成り、前記外側本体部4の周面と前記内側本体部5の周面とで形成され前記上部開口部側を外気導入口7Aとし下部側が前記空気取り入れ部6と連通する空気導入路7を有する構成とされ、この空気導入路7の前記外気導入口7Aは、前記蓋体2により開閉自在に閉塞される構成とされ、前記蓋体2の移動により前記外気導入口7Aが開口状態になることで、この外気導入口7Aを介して前記空気導入路7に外気が流入し、この空気導入路7に流入した外気が前記空気取り入れ部6を介して前記内側本体部5内に流入することで、前記内側本体部5内での燃焼が継続されて、この内側本体部5内に設けられる前記燻煙材Sから発生する燻煙により前記被燻製物Aが燻製処理されるように構成されていることを特徴とする燻製器に係るものである。
【0010】
また、前記蓋体2には、前記内側本体部5内で発生する燻煙を外部に排出する排気孔8が設けられていることを特徴とする請求項1記載の燻製器に係るものである。
【0011】
また、前記排気孔8は、開閉自在に構成されていることを特徴とする請求項2記載の燻製器に係るものである。
【0012】
また、前記蓋体2を前記燻製器本体1の上部開口部から上方に離間移動させると共に、この離間状態を保持する蓋体離間状態保持機構を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の燻製器に係るものである。
【0013】
また、前記蓋体離間状態保持機構は、前記蓋体2と前記燻製器本体1の上部開口部との離間距離を自在に調整できるように構成されていることを特徴とする請求項4記載の燻製器に係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上述のように構成したから、密閉性に優れ、燻煙臭漏れがほとんどないので、例えば車内に収容して運搬しても燻煙臭による不快感を生じることがない。
【0015】
更に、周囲に拡散しやすい燻製器本体の周面からの燻煙の排気がないので、室内で使用した際、燻製器本体から排気される燻煙が周囲に拡散せず、室内に設けられた換気扇で十分換気することができ、これにより、室内に燻煙を充満させることなく快適な状態で燻製処理を室内で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施例の蓋体閉蓋状態を示す斜視図である。
図2】本実施例の蓋体閉蓋状態を示す説明断面図である。
図3】本実施例の蓋体開蓋状態を示す斜視図である。
図4】本実施例の蓋体開蓋状態を示す説明断面図である。
図5】本実施例を示す分解斜視図である。
図6】本実施例の外側本体部を示す断面図である。
図7】本実施例の内側本体部を示す断面図である。
図8】本実施例の燻製器本体を示す断面図である。
図9】本実施例の蓋体及び被燻製物セット部を示す説明断面図である。
図10】本実施例の被燻製物セット部の装着状況を示す説明斜視図である。
図11】本実施例の蓋体を示す説明平面図である。
図12】本実施例の蓋係止部及び蓋側係合部を示す説明斜視図である。
図13】本実施例の外気(空気)取り込み作用を示す説明概略図である。
図14】本実施例の使用状態を示す説明図であり、(a)は燻煙材にスモークウッドを使用している場合であり、(b)は、燻煙材にスモークチップを使用している場合である。
図15】本実施例の使用状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0018】
本発明を使用する場合は、燻製器本体1の上部開口部を閉塞している蓋体2を移動させ燻製器本体1と離間状態にして、燻製器本体1の内周面に沿って形成される(外側本体部4と内側本体部5との間に形成される)空気導入路7の外気導入口7Aを開口状態にする。
【0019】
この外気導入口7Aを開口状態にすることで、この外気導入口7Aを介して空気導入路7に外気(空気)が流入し、この空気導入路7に流入した外気が内側本体部5の下部側に設けられた空気取り入れ部6から内側本体部5内に流入することで、燻製器本体1(内側本体部5)内に空気が供給されて、この燻製器本体1(内側本体部5)内での燃焼材料や燻煙材Sの継続的燃焼が可能となる。
【0020】
このように、本発明は、燻製器本体1の周面下部側に空気取り入れ口を設けなくても、燻製器本体1の底部側に空気を供給することができるので、燻製器本体1の底部側にセットされる燃焼材料や燻煙材Sを良好に燃焼させることができる。
【0021】
また、本発明は、燻製器本体1の周面下部側に空気取り入れ口がなく、開口部は全て燻製器本体1の上部側に設けられているから、燻製器本体1の周面からの燻煙の排気がなく、よって、例えば室内で使用した場合でも、燻製器本体1から排気される燻煙が周囲に拡散せず、室内に設けられる換気扇で十分換気できるので、室内を燻煙で充満させることなく良好な環境で燻製処理を行うことができる。
【0022】
また、本発明は、蓋体2で燻製器本体1の上部開口部を閉塞すると、この蓋体2と外側本体部4で、実質的に燻製処理が成され、におい(燻煙臭)が付着する内側本体部5を密封収納状態にすることができ、これにより、外部へのにおい(燻煙臭)漏れが可及的に低減され、例えば車内に収容して運搬した場合、燻煙臭による不快感を与えることがなくなる。
【0023】
このように、本発明は、密閉性に優れ、収納形態(不使用状態)でのにおい(燻煙臭)漏れが殆どなく、更に、周囲に拡散しやすい燻製器本体1の周面からの燻煙の排気がなく、室内で使用する場合でも、室内に設けられた換気扇で十分換気することができる実用性に優れた燻製器となる。
【実施例】
【0024】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0025】
本実施例は、被燻製物Aを収容すると共にこの被燻製物Aの下方に熱源により加熱されることで若しくは自身が燃焼することで燻煙を発生する燻煙材Sを収容する燻製器本体1と、この燻製器本体1の上部開口部を閉塞する蓋体2と、前記燻製器本体1内に設けられて前記被燻製物Aを載置又は吊下する被燻製物セット部3とで構成される持ち運び自在な燻製器である。
【0026】
以下、本実施例に係る構成各部について詳述する。
【0027】
本実施例の燻製器本体1は、図示するように、外側本体部4と内側本体部5とから成る上部開口部を有する二重壁構造の円筒状に形成されている。
【0028】
具体的には、この燻製器本体1を形成する外側本体部4は、図示するように、有底円筒形に形成されている。
【0029】
また、本実施例の外側本体部4は、上部周縁部の内側に、蓋部2を係止する蓋係止部9が設けられており、蓋体2が燻製器本体1に被嵌し燻製器本体1の上部開口部を閉塞した際、この蓋係止部9により蓋部2が燻製器本体1に係止され、燻製器本体内を密封(略密封)状態にすると共に、蓋体2が燻製器本体1に係止し一体化されることで、移動時に蓋部2に設けられる取手部10を持って燻製器本体1を運搬移動することができるように構成されている。
【0030】
具体的には、本実施例の蓋係止部9は、バネ付勢により突没自在な係止凸部9Aを有し、本実施例は、この係止凸部9Aが蓋部2に設けられた蓋側係合部11に係合係止することで、蓋部2を燻製器本体1(外側本体部4)に対して係止状態にすることができるように構成されている。
【0031】
また、内側本体部5は、上述した外側本体部4よりも稍小径の円筒形に形成され、外側本体部4内に収容配置されて燻製器本体1を形成するように構成されている。
【0032】
具体的には、本実施例の内側本体部5は、外側本体部4内に収容配置された際に、外側本体部4に対して周方向の隙間、具体的には、外側本体部4の内面と内側本体部5の内面とで形成される上下方向に延設される環状の隙間を形成するように構成されている。
【0033】
また、本実施例の内側本体部5は、下端部に、前記隙間と連通する空気取り入れ部6(本実施例では、空気取り入れ孔6)が形成されている。
【0034】
すなわち、本実施例は、この内側本体部5の周面と外側本体部4の周面との間に形成される隙間が、この燻製器本体1内、具体的には、外側本体部4内に収容される内側本体部5内に外気(空気)を取り入れるための空気導入路7となる構成とされていて、この空気導入路7の上側開口部(燻製器本体1の上部開口部側)が外気導入口7Aとなり、蓋体2を開蓋操作することでこの外気導入口7Aが開口状態となり、この外気導入口7Aを介して空気導入路7に外気が流入し、空気導入路7を流動してこの空気導入路7と連通する内側本体部5の下端部に設けられた空気取り入れ部6から内側本体部5内に流入するように構成されている。
【0035】
すなわち、本実施例は、内側本体部5を密封するために外側本体部4には上部開口部以外の開口部が設けられておらず、従来、このような有底筒状の容器は、上部側が開口していても下部(底部)側に外気(空気)が供給されにくく、良好な燃焼が行われず不完全燃焼を起こしてしまうが、本実施例は、前述のように、外側本体部4の周面と内側本体部5の周面とで燻製器本体1内(内側本体部5内)の下部側(底部側)に空気を供給するための空気導入路7を有し、外気がこの空気導入路7を流動し内側本体部5の下端部に設けられた空気取り入れ部6から内側本体部5内に流入することで、燻製器本体1内(内側本体部5内)に十分な空気が供給され、内側本体部5内での燻煙材Sの燃焼や燻煙材Sを加熱する熱源の燃焼が不完全燃焼を起こすことなく良好に継続されるように構成されている。
【0036】
また、本実施例の内側本体部5は、下端部に、前述の空気取り入れ部6と共に、燻煙材Sを収容する燻煙材載置部12が着脱自在に設けられている。
【0037】
具体的には、本実施例の内側本体部5は、下端部に前述した空気取り入れ部6と共に、燻煙材載置部12を掛け止めする溝部に形成される燻煙材載置部用掛け止め部13が設けられていて、この燻煙材載置部用掛け止め部13に燻煙材載置部12に設けられる爪部12Aを掛け止め係合させることで、燻煙材載置部12が内側本体部5の底部に着脱自在に設けられる構成とされている。
【0038】
より具体的には、本実施例の燻煙材載置部12は、メッシュ皿に形成され、内側本体部5の底部に高さ位置調整自在に設けられている。
【0039】
具体的には、本実施例は、燻煙材載置部用掛け止め部13が、形成位置が上側に形成される上側燻煙材載置部用掛け止め部13Aと、下側に形成される下側燻煙材載置部用掛け止め部13Bとから成る構成とされ、燻煙材載置部12を上側燻煙材載置部用掛け止め部13A掛け止めした場合は、燻煙材載置部12が燻製器本体1の底部から浮上している状態で設けられ、下側燻煙材載置部用掛け止め部13に掛け止めした場合は、燻煙材載置部12の底部(燻煙材Sが載置される載置面)が燻製器本体1の底面と接触又は近接する状態で設けられるように構成されていて、上側燻煙材載置部用掛け止め部13Aは、燻煙材Sにスモークウッドを用いる場合に適し、下側燻煙材載置部用掛け止め部13Bは、燻煙材Sにスモークチップを用いる場合に適している。
【0040】
すなわち、本実施例は、燻煙材Sとしてスモークチップを使用する場合は、このスモークチップを加熱する熱源を燻製器本体1の外部(燻製器本体1の底面の下方)に設置し、燻製器本体1の底面を加熱することで、燻製器本体1内のスモークチップを加熱する構成とされていて、本実施例は、このスモークチップが外部に設置された熱源により加熱され易いように、燻煙材載置部12が底部に接するように配置され、効率よくこの燻煙材載置部12内のスモークチップが加熱されるように構成され、また、燻煙材Sとしてスモークウッドを使用する場合は、燻煙材載置部12を燻製器本体1の底部から浮かせることで燻煙材載置部12の下方に空間が形成され、メッシュ皿の燻煙材載置部12の下方側からも空気が供給されて良好にスモークウッドが燃焼できるように構成されている。
【0041】
また更に、本実施例の内側本体部5は、周面部内側の上部側に、内方(内側本体部5の中心方向)に向かって突出する支持片14が設けられており、本実施例は、この内側本体部5内に収容される被燻製物セット部3を、この支持片14で支持する構成とされている。
【0042】
また、被燻製物セット部3は、縦長フレーム状に形成され、燻製器本体1に挿脱自在に収容される構成とされている。
【0043】
具体的には、本実施例の被燻製物セット部3は、L字状に形成される四本の縦フレーム部3Aと、これを位置決め状態に連結する二体の十字形連結部3Bとで形成される平面視十字形の縦長フレーム体に形成され、被燻製物Aを載置する食材用載置皿15や被燻製物Aから排出される脂分などを受け止める受皿16を支持する皿体支持部17と、前述した内側本体部5に設けられる支持片14に係合する支持片係合部18が設けられていると共に、上部に蓋体2が一体に設けられている構成とされている。
【0044】
具体的には、皿体支持部17は、L字状の縦フレーム部の面方向が被燻製物セット部3の中心方向に向けて設けられるフレーム片の長手方向に亘って複数設けられている。
【0045】
また、支持片係合部18は、複数の支持片係合溝18Aで構成されていて、この皿体支持部17が設けられたフレーム片と直交するもう一方のフレーム片の上部側に設けられている構成とされている。
【0046】
具体的には、本実施例の支持片係合部18は、支持片係合溝18Aが上下方向に並設され櫛歯状に形成されていて、被燻製物セット部3の回転操作により内側本体部5に突設される支持片14に水平方向から係合するように構成されると共に、支持片14と係合させる支持片係合溝18Aを変更することで、被燻製物セット部3の燻製器本体1に対する高さ位置が変更されるように構成され、本実施例は、この被燻製物支持部3の高さ位置の変更によりこの被燻製物支持部3の上部に設けられる蓋体2の燻製器本体1の上部開口部(上縁部)に対する離間距離(開口度)を調整し得る構成とされている。
【0047】
すなわち、本実施例は、前述した内側本体部5に設けられる支持片14と、この被燻製物セット部3に形成される支持片係合部18とが、蓋体2を燻製器本体1の上部開口部から上方に離間移動させると共に、この離間状態を保持する蓋体離間状態保持機構であり、この蓋体離間状態保持機構により、本実施例の蓋体2は、燻製器本体1の上部開口部との離間距離を自在に調整できるように構成されている。
【0048】
また、このように構成される本実施例の蓋体2は、燻製器本体1(内側本体部5)内で発生する燻煙を外部に排出する排気孔8が設けられており、具体的には、本実施例の蓋体2には、この排気孔8を開閉自在に閉塞する開閉板8Aが設けられていて、この開閉板8Aの操作により、排気孔8の開口度を調整できるように構成されている。
【0049】
また更に、本実施例の蓋体2は、取手部10と前述した外側本体部4に設けられる蓋係止部9と係合係止する蓋側係合部11が設けられており、具体的には、蓋側係合部11は、蓋係止部9の係止凸部9Aが嵌入し得る凹部に形成され、本実施例は、この蓋体2の蓋側係合部11と外側本体部4の蓋係止部9とが嵌合し係止することで、蓋部2が燻製器本体1(外側本体部4)に対して係止状態になり、燻製器本体1と蓋体2とが一体化され、移動時にこの取手部10を持って燻製器本体1を運搬移動することができるように構成されている。
【0050】
以上のように構成される本実施例の作用効果について以下に説明する。
【0051】
本実施例は、蓋体離間状態保持機構により燻製器本体1の上部開口部を閉塞している蓋体2を上方に移動させ燻製器本体1と離間状態にして、燻製器本体1の内周面に沿って形成される(外側本体部4と内側本体部5との間に形成される)空気導入路7の外気導入口7Aを開口状態にすることで、使用時(燻製処理時)にこの外気導入口7Aを介して空気導入路7に外気(空気)が流入し、この空気導入路7に流入した外気が内側本体部5の下部側に設けられた空気取り入れ部6から内側本体部5内に流入し、この空気取り入れ部6の近傍に設けられる燻煙材載置部12に良好に空気が供給され、これにより、例えば燻煙材Sにウッドスモークを使用する際、この燻煙材載置部12に載置収容されるウッドスモークが不完全燃焼を起こすことなく良好な燃焼が継続されることとなる。
【0052】
このように、本実施例、燻製器本体1の周面下部側に空気取り入れ口を設けなくても、燻製器本体1の底部側に空気を供給することができるので、燻製器本体1の底部側にセットされる燃焼材料や燻煙材Sを良好に燃焼させることができる。
【0053】
また、本実施例は、燻製器本体1の周面下部側に空気取り入れ口がなく、開口部は全て燻製器本体1の上部側に設けられているから、燻製器本体1の周面からの燻煙の排気がなく、よって、例えば室内で使用した場合でも、燻製器本体1から排気される燻煙が周囲に拡散せず、室内に設けられる換気扇で十分換気できるので、室内を燻煙で充満させることなく良好な環境で燻製処理を行うことができる。
【0054】
また更に、本実施例は、蓋体2で燻製器本体1の上部開口部を閉塞すると、この蓋体2と外側本体部4で、におい(燻煙臭)が付着する内側本体部5を密封収納状態にすることができ、これにより、外部へのにおい(燻煙臭)漏れが可及的に低減され、例えば車内に収容して運搬した場合でも、車内にいる人に燻煙臭による不快感を与えることがない。
【0055】
このように、本実施例は、密閉性に優れ、収納形態(不使用状態)でのにおい(燻煙臭)漏れが殆どなく、更に、周囲に拡散しやすい燻製器本体1の周面からの燻煙の排気がなく、室内で使用する場合でも、室内に設けられた換気扇で十分換気することができる実用性に優れた燻製器となる。
【0056】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0057】
1 燻製器本体
2 蓋体
3 被燻製物セット部
4 外側本体部
5 内側本体部
6 空気取り入れ部
7 空気導入路
7A 外気導入口
8 排気孔
A 被燻製物
S 燻煙材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15