特許第6554543号(P6554543)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6554543
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】通風装置の空気吐出口
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/06 20060101AFI20190722BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20190722BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   F24F13/06 A
   F24F13/06 B
   F24F1/0007 401B
   E04F13/08 101W
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-533305(P2017-533305)
(86)(22)【出願日】2015年4月16日
(65)【公表番号】特表2018-503050(P2018-503050A)
(43)【公表日】2018年2月1日
(86)【国際出願番号】EP2015000797
(87)【国際公開番号】WO2016112928
(87)【国際公開日】20160721
【審査請求日】2017年8月21日
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2015/000036
(32)【優先日】2015年1月13日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516323747
【氏名又は名称】クナーフ ギプス カーゲー
【氏名又は名称原語表記】KNAUF GIPS KG
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ベルネト,クラウス−ペーター
(72)【発明者】
【氏名】フィーバーン,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】シュトックライン,ペトラ
(72)【発明者】
【氏名】ハーゲドルン,マルク
【審査官】 佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭53−080951(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0188175(US,A1)
【文献】 特開平06−011178(JP,A)
【文献】 特開2009−257713(JP,A)
【文献】 特開2003−207198(JP,A)
【文献】 実開平05−032943(JP,U)
【文献】 特開2006−132823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/06
E04F 13/08
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通風装置の空気吐出口であって、
該通風装置は、少なくとも、空気吐出口、空気供給手段及び空気案内装置を備え、
前記空気吐出口は、複数の空気吐出開口を有するプレートを含み、
前記空気吐出口は、インテリアパネルから折り開き得ることで前記空気吐出口の後ろの空間にアクセスできるように、組み込まれた状態において前記インテリアパネルに格納自在に取り付けられており、
前記プレートは、前記複数の空気吐出開口を少なくとも部分的に覆うカバーフレームを有し、
前記カバーフレームが、前記通風装置の側方に配置される前記複数の空気吐出開口を封じるように配されており、且つ、前記カバーフレームが、前記プレート上に近接したフレームの様式で配されている、空気吐出口。
【請求項2】
前記インテリアパネルが、乾式壁天井又は乾式壁壁材である、請求項1に記載の空気吐出口。
【請求項3】
前記カバーフレームが、前記通風装置に面する前記プレートの面に配されている、請求項1乃至のいずれか1項に記載の空気吐出口。
【請求項4】
前記カバーフレームが、前記通風装置に面する端縁に配されている面取部を備える、請求項1乃至のいずれか1項に記載の空気吐出口。
【請求項5】
前記面取部が、45°の面取部である、請求項に記載の空気吐出口。
【請求項6】
前記プレートが、周りを囲むインテリアパネルよりも小さい厚みを有し、
前記プレートとインテリアパネルとの間の厚みの差がスペーサーにより埋められていることにより、固定された状態において、前記プレートの下端縁が、周りを囲むインテリアパネルの下端縁と同一平面上にある、請求項1乃至のいずれか1項に記載の空気吐出口。
【請求項7】
前記プレートが、脱着可能ロック装置を有し、
前記プレートが、前記脱着可能ロック装置を有することにより、前記インテリアパネルに脱着可能に固定されている、請求項1乃至のいずれか1項に記載の空気吐出口。
【請求項8】
見る人に視認可能な前記プレートの面が、前記インテリアパネルと比較して同じデザインを有し、
前記プレートが、前記デザインに関して視覚的に異ならず、且つ、周りを囲むインテリアパネルに継ぎ目なく調和する、請求項1乃至のいずれか1項に記載の空気吐出口。
【請求項9】
前記プレートは、見る人に視認可能な面が石膏ボードのライナー又はフリースにより覆われており、該石膏ボードのライナー又はフリースが下塗りされて、塗料により処理され得る、請求項1乃至のいずれか1項に記載の空気吐出口。
【請求項10】
複数の金属製形材のサブ構造、該金属製形材に取り付けられるインテリアパネル及び少なくとも一つの通風装置を備える乾式壁天井であって、
前記通風装置は、少なくとも一つの空気供給手段、空気案内手段及び空気吐出口を備え、
前記空気吐出口は、インテリアパネルから折り開き得ることで前記空気吐出口の後ろの空間にアクセスできるように、組み込まれた状態において前記インテリアパネルに格納自在に取り付けられており、
前記空気吐出口は、複数の空気吐出開口を有するプレートを含み、
前記プレートは、前記複数の空気吐出開口を少なくとも部分的に覆うカバーフレームを有し、
前記カバーフレームが、前記通風装置の側方に配置される前記複数の空気吐出開口を封じるように配されており、且つ、前記カバーフレームが、前記プレート上に近接したフレームの様式で配されている乾式壁天井。
【請求項11】
前記インテリアパネルが、石膏ボードを備える、請求項10に記載の乾式壁天井。
【請求項12】
前記石膏ボードが、穿孔石膏ボードである、請求項11に記載の乾式壁天井。
【請求項13】
前記穿孔石膏ボードが、穿孔パターンを有し、
前記プレートの前記複数の空気吐出開口が、前記穿孔石膏ボードの前記穿孔パターンと同じパターンを有し、前記穿孔石膏ボードの前記穿孔パターンを広げる、請求項12に記載の乾式壁天井。
【請求項14】
前記穿孔石膏ボードから前記プレートにおける前記複数の空気吐出開口への変わり目における穿孔間の距離が、前記穿孔石膏ボードの隣り合う穿孔間の距離と比較して同じである、請求項13に記載の乾式壁天井。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通風装置の空気吐出口及び通風装置の空気吐出口を備える乾式壁天井に関する。特に、本発明は、インテリアパネル(すなわちインテリア乾式壁パネル)に組み込まれている空気吐出口に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、部屋の通風及び空調のための通風装置が知られている。それらは部屋の空調又は温度調節に使用され、言い換えれば、調節された空気、すなわち、暖められ、冷やされ、乾燥され及び/又は湿らされた空気の供給に使用される。
【0003】
一般的に、通風装置は、少なくとも、空気供給手段、空気案内装置及び空気吐出口を備える。前記空気案内装置は、前記通風装置から排出される空気の流れの方向を制御することによって、気流の好適な環境を達成するために使用される。通風は、空気の流れを知覚できないように行われるべきである。空気が冷やされる場合、部屋の天井に設置された空気吐出口から空気が垂直に下方へ流れ、冷たい空気の不快な強い流れが生じることを防止するべきである。
【0004】
これを回避するために、高く設置された空気吐出口の場合、外から来る空気の流れが部屋のそれぞれの方向において天井に沿って流れるように、空気吐出口の流れの方向に分配される。いわゆるコアンダ効果が利用されている。天井の吐出口においてこれを達成するためには、天井の吐出口からの空気の水平な排出が必須である。
【0005】
気流の排出角度は、通風装置のいくつかの構成部分により影響される。空気は、流れが供給される方向に排出手段へ供給され、その後は、通常、通風される部屋へ空気吐出開口を通して流れるために偏向される必要がある。これは、多くの場合、偏向及び/又は衝突チャンバー内において生じる。
【0006】
排出される空気の流れの正確で且つ柔軟な制御を可能にするために、吐出口の装置には、追加的な空気案内要素が付与され得る。該空気案内要素は、使用者が排出される空気の流れの方向及び/又は強さを個々に調節することができるように、移動可能に配され得る。
【0007】
通風装置の他の要素は、空気通路である。該空気通路は、本質的には、通風装置の下方にあるカバーである。このため、末端使用者にとって、前記カバーは、通風装置の外観を明らかに支配する。しかし、このカバープレートは、排出される空気の方向及び気流挙動にも影響する。これは空気案内に使用され得る。一方、空気吐出口として後述するカバープレートは、出て行く気流に最小の影響を及ぼすようなデザインをさらに採り得る。このため、従来技術の空気吐出口は、多くの場合、塗装された金属又はシート状の金属で作製された格子プレート、薄い穿孔プレート又は薄いスリットプレートである。
【0008】
実質的には、視認可能な空気吐出口のデザインは、機能によって決定され、多くの場合、見る人には魅力的でない。さらに、空気吐出口を備える通風装置は、他の点では、天井又は壁の均質な全体にわたる建築上の外観に異物を形成する。従って、全体にわたる建築上の外観への視覚的な妨害が最小となるように組み込まれて、環境に融合する空気吐出口が要望されている。しかし、前記空気通路の機能性は、特に空気通路が空気吐出口である場合には、損なわれるべきではない。
【0009】
特にこの問題は、吊りインテリア乾式壁パネルに挿入される通風装置において明らかである。しかし、支持用形材に取り付けられる乾式壁パネル(すなわち石膏ボード)の構築は、壁又はむき出しの天井と乾式壁パネルとの間に空間を与える。この空間は、通風装置の視認できない部分を収容するために使用され得る。しかし、乾式壁パネルが比較的大きい厚みを有することは、薄いプレートにより作製される空気吐出口が、乾式壁パネルの外側端縁と同一平面上に仕上がらないことを意味する。
【0010】
石膏ボードで作製された乾式壁パネルが乾式壁の要素として使用される場合、石膏ボードは典型的には約12.5mmの厚みを有し、一方で、従来技術として知られている空気通路は、多くの場合、数ミリメーターの厚みの金属製プレートである。
【0011】
石膏ボードは、空間を覆ったり仕切ったりすることとは別に、他の機能を可能にする有利な点を有する。例えば、穿孔石膏ボードを用いて、音響ノイズを低減する部屋が建築され得る。そこには様々な穴又は溝のデザインを備える穿孔石膏ボードが存在する。全体にわたる建築上の様相が、空気通路により影響されないように、これらのデザインにできるだけ多く適合することができる該空気通路が要望されている。
【0012】
一般的に、空気通路として、穿孔石膏ボードの穴又は穿孔を使用することは可能である。そうした場合、空気吐出口は天井の残りの部分の見た目と異ならないこととなる。しかし、石膏ボードの比較的大きい厚みが、水平な角度の空気の流出を妨げるため、この解決策により、消費者に提供される快適さは不十分である。
【0013】
通風システムを乾式壁構築物と組み合わせることによるさらなる不利がある。現状、通風システムは、乾式壁構築システムの一部ではない。これは、通風装置が乾式壁構築の完了後に組み込まれ、多くの場合、組立済みの乾式壁構築物の損傷をともなって組み込まれることを意味する。一方では乾式壁構築の、他方では通風システムの、独立した計画及び製造者における関心の異なる焦点によることは、天井の吊り高さが低いような、実際の工事現場の要求にはほとんど合致し得ない。
【0014】
従来型の天井通路は、乾式壁天井に組み込まれる。乾式壁構築及び通風システムの製造者は、それぞれが相互理解しないため、以前から知られているデザイン解決策はさほど魅力的でない。一般的に、吐出開口は塗装されたシート状の金属で作製される。これは、どれだけ全ての品質が良くても、前記通路はいつも視覚的に見えており、乾式壁天井のデザインを妨害することを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、本発明の課題は、通風システムの容易な組み込み及び容易な補修を可能にする通風装置の空気通路及び空気吐出口を提供することである。空気吐出口は、特に乾式壁構築に使用されて、視覚的にインテリアデザインに調和し得る。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題は、請求項1の特徴を備える空気吐出口及び請求項10の特徴を備える乾式壁天井により解決される。有利な形態は、独立請求項に規定される特徴により規定される。
【0017】
本発明に係る通風装置の空気吐出口は、複数の空気吐出開口を有するプレートを備え、前記空気吐出口は、インテリアパネルに組み込まれたときに、後ろにアクセスできる空間を設けるために、前記インテリアパネルから折り開き得るような様式で固定されている。少なくとも一つの空気吐出口のほかに、前記通風装置は、空気供給手段及び空気案内装置を備える。
【0018】
前記インテリアパネルから折り開くことができる前記空気吐出口の構築は、インテリアのための乾式壁構築が乾式壁構築の職人(乾式壁を作り上げる専門家)によって通風装置のための開口を備え得る、という有利性を有する。その後、通風の職人による前記通風装置の組み込みが、前記インテリアパネルの前記開口を通して容易に可能となる。通風の職人は、乾式壁構築において、最初に適当な開口(通常、素人仕事による開口)を形成する必要がなく、乾式壁構築の専門家によりその仕事がすでになされていることに気づく。前記通風装置の組み込み後、前記開口は、乾式壁製造業者により生産される、カスタマイズされ又は標準化された空気吐出口により脱着可能に見えなくさせ得る。これは、簡単に作製される前記インテリアパネルのきれいでまっすぐなデザインを確実にし、前記現場の要求に容易に合致し得る。
【0019】
加えて、その後の前記通風装置の補修が、前記インテリアパネルから単に前記空気吐出口を折り開くことによる該空気吐出口の脱着により、行われ得る。
【0020】
本発明に係るインテリアパネルは、とりわけ乾式壁天井及び/又は乾式壁構築壁材、すなわち乾式隔壁の意味に理解される。空気通路という語句は、空気吐出口及び空気吸入口を含む。空気吐出口により、空気は通風装置から出て部屋の中へ流れ、一方、部屋の空気は空気吸入口を通して部屋から通風装置に流れる。空気吐出口の場合、部屋に空気を供給する機能とは別の、他の機能が必要であるため、以下、空気吐出口を参照して本発明について説明する。空気吸入口については、このような場合はない。もちろん、本発明は、それゆえに空気吸入口としても使用され得る。
【0021】
特に好ましい態様として、前記空気吐出口の前記プレートは、カバーフレームを備え、該カバーフレームは、前記プレートにおける前記空気吐出口を少なくとも部分的に覆う。特に好ましくは、前記カバーフレームは、前記プレートに配された前記通風装置によって覆われていない該通風装置の側方に配置された前記複数の空気吐出開口を封じるように、配されている。これによると、前記空気吐出口は、例えば、前記通風装置よりも大きくなるように、必要とされるよりも大きく作製され得る。これにより、前記通風装置の組み込みのための十分な空間が確保され、将来的な補修のための空間も設けられる。
【0022】
前記カバーフレームは、通風に必要のない前記複数の空気吐出開口における、天井又は壁とインテリアパネルとの間の空間へ逆戻りする空気の流れを封じるために使用される。これは特に、極めて水平な排出を実現する必要があるときに、有用である。極めて水平な排出角度は、天井又は壁と空気の流れの流れ方向との間の25°未満、好ましくは15°未満の角度である。前記角度は、コアンダ効果を発揮させるために、すなわち、気流が天井によって引きつけられて、部屋の遠くまで天井に沿って流れるようにするために、十分小さくする必要がある。
【0023】
前記カバーフレームは、好ましくは、前記通風装置の全ての面に面するように近接したフレームの様式でデザインされ得る。これによると、前記通風装置に備えられる前記空気吐出口は、例えば、前記プレートの中心に配され、バイザーのような近接したフレームによって対称に囲まれ得る。
【0024】
前記カバーフレームが、前記通風装置に面する前記プレートの面に配置されている場合、視覚的にカバーフレームにより妨げられることなく、見る人に視認可能な前記プレートの面が自由にデザインされ得る。見る人に視認可能な前記プレートの面に、デザインの要素として前記カバーフレームを配することもできる。
【0025】
前記カバーフレームが、前記プレートにおける前記通風装置に面する面に配置されている場合、少なくとも、前記プレートにおける前記空気通風開口を通して視認可能な前記カバーフレームの部分が黒色のような暗色であることにより、前記空気通風開口が穿孔プレートの他の領域及び/又はインテリアパネルと視覚的に区別されなくなる有利性があり得る。
【0026】
前記カバーフレームは、有利には、前記プレートの端縁で該プレートに結合され得る。例えば、前記プレートが前記カバーフレームを付与される場合、このフレームの取り付けが、前記プレートの視認可能な表面を視覚的に損なうことなく、容易に実現され得る。
【0027】
本発明の特に好ましい態様として、前記フレームは、前記通風装置に対して面取部を有する。前記面取部は、45°の面取部であり得る。前記面取部は、前記通風装置、前記フレーム及び前記プレートの前記複数の空気吐出開口を側方に整列するために使用される。前記プレートは、前記フレームに固定されており、本質的にはスライドすることができないように前記インテリアパネルに組み込まれているため、整列は前記通風装置を動かすことによってなされなければならない。前記通風装置は、前記インテリアパネルの支持梁にのみ支えられ、それ以上固定されていないため、労せずしてこのような設置が可能となる。
【0028】
前記通風装置の外側端縁は、前記空気吐出口における前記プレートに据え付けられる。前記通風装置の端縁が、前記複数の空気吐出開口と、重なりがなく又は少なくとも最小限の重なりのみとなるように、前記プレートの網状部分に据え付けられる場合、視覚的に有利である。このため、前記プレートへの前記通風装置の整列は必須である。前記通風装置の外側端縁が複数の空気吐出開口と重なる場合、下からの視認性は除外されない。
【0029】
ここで、前記通風装置が、前記カバーフレームの面取部に接触する接触端縁における面取部を備える場合、前記カバーフレームに対する前記通風装置の容易な整列が、相互に補完する面取部端縁同士のスライドにより、可能となる。
【0030】
前記カバーフレームは、木、アルミニウム、シート状のスチール又はプラスチックのような、様々な材料から作製され得る。さらに、前記カバーフレームは、中実材料であっても一体型形材であってもよい。好ましくは、U字状のシート状スチール形材が使用される。
【0031】
前記インテリアパネルにおける前記空気吐出口の容易で、安定した且つ耐久性のある取り付けを可能にするために、前記空気吐出口は、取付フレーム装置を装備し得る。前記取付フレーム装置は、好ましくは、二つの部分からなり、外側取付フレームと内側取付フレームとを含む。前記外側取付フレームはインテリアパネルに固定され、前記内側取付フレームは前記空気吐出口の前記プレートに据え付けられる。好ましくは、両取付フレームは、それぞれ周状に形成され、且つ、少なくとも部分的に、前記プレートの端縁又は前記インテリアパネルの開口を含む。
【0032】
前記空気吐出口の前記プレートは、インテリア(乾式壁)パネルの要素(乾式壁パネル)よりも小さい厚みを有し得る。厚みの違いは、固定された状態における前記プレートの底端縁が、取り囲んでいるインテリアパネルの底端縁と同一平面上にあるように、スペーサーにより調整され得る。このように、共通の又は異なるが同じような支持要素上に、一様の取付が可能となる。
【0033】
このような、前記インテリアパネルにおける視認可能な表面の同一平面上の組み込みは、異なる厚みを有する異なる材料が使用される場合でも達成され得る。例として、前記インテリアパネルとして12.5mmの厚みを備える石膏ボードについて述べると、該石膏ボードは、視認可能な面に出っ張りを作っておく必要がなく又は複雑な組み立ての調整がなされる必要なく、前記空気吐出口を最適化するための1.5mmの厚みのプレートに結合され得る。
【0034】
また、前記カバーフレームが、好ましくは前記取付装置の前記内側取付フレームに固定されるように、前記空気吐出口の前記プレートの厚みが、前記カバーフレームの厚みと前記インテリアパネルの厚みとの比率により調整され得る。
【0035】
前記空気吐出口の前記プレートの厚みは、好ましくは、3mm未満であり、より好ましくは、2mm未満であり、さらに好ましくは1.5mm未満又は1.5mmに等しい。前記プレートの小さい厚みは、前記空気案内に最小限の影響しか与えない。前記プレートに使用される材料及び前記プレートの寸法に依っては、前記プレートの異なる厚みが十分な安定性のために必要となる。前記プレートは、できるだけ薄く作製されるべきである。
【0036】
前記インテリアパネルから前記空気吐出口を折り開くために、ヒンジ又はヒンジシステムの使用が提供される。好ましくは、ヒンジ又はヒンジ接合の構成要素が、前記空気吐出口の前記プレートに配され得る。前記プレートが、軸の周りを回転し又は旋回し得るように、例えば、前記インテリアパネルの天板において回転自在に支持され得る小さい逆ボルト(opposite small bolts)が付与され得る。
【0037】
加えて、有利には、前記プレートは、少なくとも脱着可能なロック装置部を備え、前記インテリアパネルに脱着可能に固定され得る。特に好ましくは、ロック手段であり、該ロック手段は、前記空気吐出口の前記プレート(すなわち前記プレートの特定の部分)上を押圧することにより脱着され、例えばバネシステムを基礎とするロック手段である。このようなバネを基礎とするロックシステムは、前記空気吐出口を含む前記インテリアパネルの視認可能な面を視覚的に損なわないので、特に好ましい。基本的には、他のロックシステムも使用することができ、該他のロックシステムは、例えば、電子的に制御された装置である。
【0038】
前記インテリアパネルの均一又は一様の視覚的外観を達成するために、前記プレートが、視覚的に、周囲のインテリアパネルから区別されず、且つ、デザイン及び好ましく使用される材料に関するこの周囲に継ぎ目なく調和するように、前記プレートは、見る人に視認可能な前記インテリアパネルと同じデザインを有し得る。これは、例えば、石膏ボード用原紙により、又は、例えば石膏ボードの表面に類似する裏張りにより、視認可能な面を覆うことにより達成され得る。石膏ボードのライナー又は裏張りは、例えば、石膏ボードのような前記インテリアパネルの要素と同じ様式に、さらに加工され得る。例えば、それらは、好ましくはローラーの使用により、下塗り塗料で塗装されてインテリア塗料で塗装され得る。
【0039】
前記通風装置の空気吐出口に加えて、本発明は、乾式壁天井に関し、該乾式壁天井は、複数の金属形材の支持構造、前記金属形材に取り付けられるインテリアパネル、及び少なくとも一つの通風装置を備え、該通風装置は、少なくとも一つの空気供給部、空気案内装置並びに空気吐出口を有する。該空気吐出口は、複数の空気吐出開口を有するプレートを備える。前記空気吐出口は、インテリアパネルに組み込まれた状態において、後ろの空間にアクセスし易くするために前記インテリアパネルから折り開くことができるように取り付けられている。
【0040】
より好ましくは、前記インテリアパネルは石膏ボードにより作製され、特に、防音パネルといわれる穿孔石膏ボードにより作製される。穿孔石膏ボードは、音を吸収するための建築材料として広く使用されており、特に関心があるのは、穿孔石膏ボードはすでに穿孔パターンを有するからである。前記空気吐出口における前記プレートの穿孔パターンは、穿孔石膏ボードにおける穿孔パターンに適合し得るため、該パターンは視覚的に知覚の妨げ、すなわち、大きさ、スペース及び/又は材料に関して知覚干渉することなく連続する。前記空気吐出口における前記プレートの前記複数の空気吐出開口は、穿孔石膏パネルの穿孔パターンと同じデザインを有し、このパターンをさらに広げる。それらは、例えば、円形状又は四角形状であり、また、規則的な又は不規則なパターンに配列され得る。
【0041】
これは、前記パターンが、前記穿孔石膏ボードから前記空気吐出口の前記プレートにおける前記複数の空気吐出開口への変わり目における、隣り合う穴の間が同じ距離を備え、干渉(避けられない構造上の干渉を除いて)することなく連続することを意味する。前記プレートにおける隣り合う穴と前記穿孔石膏ボード並びに前記プレートにおける隣り合う穿孔との間の距離は同じである。言い換えれば、これは、前記プレートにおける端縁の前の最後の開口の中心と該端縁との距離が、前記穿孔パターンの隣り合う開口の中心の間の距離の半分と同じ距離であることを意味する。前記石膏ボードの穿孔と前記プレートの開口とが並行して配される場合、一様の間隔となる。
【0042】
次に、図面を参照しながら例示することにより、本発明をより詳細に説明する。図面を通して、同様の参照符号は同様の特徴を示す。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】通風装置を備える乾式壁天井の上面図
図2】通風装置を備える乾式壁天井の底面図
図3】通風装置を備える乾式壁天井の断面図
図4】空気吐出口を備える乾式壁天井の通風装置なしの断面図
図5図4の拡大した断面図
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、天井から床の方に見るときの上面図において、はめ込まれた通風装置を備える本発明に係る乾式壁天井1の実施形態における構築物を示す。乾式壁天井1は、つり天井の様式で据え付けられている。複数のベース形材41が、むき出しの天井に取り付けられている。これらのベース形材41に対して直角になるように、キャリア形材42がベース形材41に取り付けられ、建築パネル2、ここでは穿孔石膏ボード2、が取り付けられる骨組みを逐次構成する。前記穿孔石膏ボードは、裏張りにより上面が覆われており、この場合、黒色のフリースがその上面に敷かれている。このため、図1の平面図において、穿孔石膏ボード2の穴21は視認できない。
【0045】
穿孔石膏ボード2は、通風装置8が挿入される開口(図示せず)を有する。この例において、通風装置8は散気装置を備える。散気装置8は、梁6を備え、それによって、二つの支持形材42の上に支持されている。散気装置8は、支持形材42の上を自由に動かすことができ、それ以上は固定されていない。
【0046】
穿孔石膏ボード2の開口は、空気吐出口3により封じられている。図1において、散気装置8が空気吐出口3の中央部分を覆うために、空気吐出口3の外側端縁だけが見え得る。空気吐出口3は、空気開口を備えるプレートを有し、この場合、該プレートは、大きさ600×600mm、厚み1.5mmの穿孔プレート12(図示せず)であり、空気吐出口3は、内側取付フレーム20によりその端縁において周状に囲まれている。前記内部取付フレームは、アルミニウム製の形材である。
【0047】
空気吐出口3が共通の軸を中心にして乾式壁天井から折り開くことができるように、内部取付フレーム20にヒンジ22が取り付けられている。前記端縁において、ヒンジ22に対向して配されるように、バネ機構24が配されている。該バネ機構24は、穿孔石膏ボード2の開口において空気吐出口3を固定する。固定構造は、空気吐出口3の下側から押すことによって脱着され得る。穿孔石膏ボード2の開口からの空気吐出口3の急な降下を防止するために、さらに内部取付フレーム20にはキャッチフック28が付与されている。キャッチフック28は、空気吐出口3が脱着した後、半開の位置で空気吐出口3を保持する。
【0048】
図2は、図1に示した乾式壁天井1の同じ部分を示すが、ここでは底面図であり、すなわち、床から天井を見る観察者の視点からの底面図である。この図において、黒色のフリースを備える穿孔石膏ボード2の穿孔21が見えている(黒色の四角)。穿孔プレート12において、空気吐出口3が穿孔石膏ボード2に調和して、視覚的に穿孔石膏ボード2と異ならないことがさらに理解されることとなる。単純なそれらの構築によると、穿孔石膏ボード2における穿孔の端縁とプレートの空気吐出開口3とが隣り合うことが認められる。
【0049】
穿孔石膏ボード2とプレート12の穴との間の視覚的統一を達成するために、開口を備えるプレート12は、石膏ボードのライナーにより視認可能な面が覆われ(接着され)、プレート12における開口に一致する開口を備える。プレート12の石膏ボードのライナーは、その後、下塗りされて周囲の穿孔石膏ボードと同じ塗料により塗装される。
【0050】
このように、穿孔石膏ボード2と開口12を備えるプレートの視認可能な面の表面は、同じ材料(穿孔石膏ボードのライナー)であり、さらに同じように(下塗り、塗装)処理されている。穿孔石膏ボード2と開口2を備えるプレートのパターンは、形状、大きさ及び間隔において同一である。前記パターンは、調和するように連続している。穿孔石膏ボードと空気吐出口のデザインは、何等異ならない。
【0051】
図3は、乾式壁天井1の断面図を示す。この描写において、空気吐出口3における開口13を備えるプレート上に空気供給部10を備える通風装置8の配置が示される。乾式天井の見る人のいる側とは反対側に、カバーフレーム14が、プレート12の複数の空気吐出開口13を囲むように配されている。前記フレームは、見る人に向かって下側が黒色に塗装され(図示せず)、プレート開口12を通して見るときに、穿孔石膏ボードに用いられた黒色のフリースと視覚的に区別されないようになっている。カバーフレーム14は、シート状のスチール製形材から作製され、598×598の外寸、45mmのフレーム幅及び12mmの厚みを有する。
【0052】
カバーフレーム14は、取付フレーム装置18、20の内側取付フレーム20に固定されて、空気吐出口の複数の空気吐出開口を側方で封じる。散気装置を向いているカバーフレーム14の内側周端縁は、45°の面取部を有する。そこに形状固定するために、散気装置8は、下端縁に周面取部16を有し、該周面取部16は、この実施形態において、散気装置8の下端縁に取り付けられたアングルプレートにより形成されている。カバーフレーム14及び散気装置8の45°の面取部同士を一致させることにより、散気装置8は、単に梁6を動かすことにより、空気吐出口3に一致するように支持形材42上に整列され得る。
【0053】
図4において、さらに明瞭にするために、断面図により同じ乾式壁天井1が示されているが、ここでは、はめ込まれる通風装置は示されていない。空気吐出口3は固定されている状態である。
【0054】
図5は、図4の拡大図を示す。この拡大において、外側取付フレーム18及び内側取付フレーム20を備える取付フレーム装置の配置が、はっきりと見えている。外側取付フレーム18と内側取付フレーム20の両方は、周状に連続するアルミニウム製形材により構成されている。内側フレーム20によって、カバーフレーム14は開口12を備えるプレートに固定されている。要素としての「穿孔石膏ボード」2及び「空気吐出口」3は等しい厚みとなるように、カバーフレーム14が、穿孔石膏ボード2と開口12を備えるプレートとの間の厚みの差を補う。
【0055】
穿孔石膏ボードにおける隣り合う穿孔21間の距離aは、穿孔石膏ボード2から穿孔プレート12の複数の空気吐出開口13への変わり目における開口21間の距離bと同じ大きさである。破線は、穿孔石膏ボードの穴、又は、穿孔プレートの複数の空気吐出開口13における穴、の円筒軸の位置を示す。
【符号の説明】
【0056】
1:乾式壁天井、2:建築パネル、21:建築パネルの穿孔、3:空気吐出口、41:ベース形材、42キャリア形材:、6:通風装置を支持する梁、8:通風装置(散気装置)、10:空気供給部、12:開口を備える金属シート、13:複数の空気吐出開口、14:カバーフレーム、16:通風装置の面取部分、18:外側取付フレーム、20:内側取付フレーム、22:ヒンジ、24:バネ機構、26:スペーサー、28:キャッチフック
図1
図2
図3
図4
図5