特許第6554550号(P6554550)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6554550
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】アンテナ及びそれを有する移動端末
(51)【国際特許分類】
   H01Q 5/371 20150101AFI20190722BHJP
   H01Q 1/36 20060101ALI20190722BHJP
   H01Q 13/10 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   H01Q5/371
   H01Q1/36
   H01Q13/10
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-551191(P2017-551191)
(86)(22)【出願日】2016年3月28日
(65)【公表番号】特表2018-515005(P2018-515005A)
(43)【公表日】2018年6月7日
(86)【国際出願番号】CN2016077488
(87)【国際公開番号】WO2016155591
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2017年11月24日
(31)【優先権主張番号】201510145639.3
(32)【優先日】2015年3月31日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】505327398
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BYD COMPANY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】イージン・ワン
(72)【発明者】
【氏名】リェンファ・リ
(72)【発明者】
【氏名】ファピン・ワン
【審査官】 佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】 中国実用新案第203950905(CN,U)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0169497(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/22
H01Q 1/36
H01Q 5/371
H01Q 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属シェルと、励振シートと、誘電体充填層と、拡張共振分岐とを含み、
前記金属シェルに、第1のスロットと、第2のスロットとが設けられ;
前記第1のスロットが、前記金属シェルを通って貫通し、前記金属シェルの横手方向に延び、第1の端部と第2の端部とを有し、前記第1の端部及び前記第2の端部が、閉じられており;
前記第2のスロットが、前記金属シェルを通って貫通し、前記金属シェルの長手方向に延び、前記第1のスロットと連結された第1の端部と、前記金属シェルのエッジに延び、そこで開放されている第2の端部とを有し;
前記励振シートが、前記金属シェルの内側に配置され、前記第1のスロットの幅方向に前記第1のスロットをカバーし;
前記誘電体充填層が、前記励振シートと前記金属シェルとの間に配置され、前記第1のスロットと前記第2のスロットとを充填するように構成され;
前記拡張共振分岐が、前記金属シェルから離れて対向する前記誘電体充填層の表面に配置され、前記励振シートと接続されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項2】
前記第1のスロット及び前記第2のスロットが、前記金属シェルの1つのエッジに隣接して配置される請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記第1のスロットが、前記金属シェルの上部エッジに隣接して配置され、前記第2のスロットが、前記第1のスロットと連結された下部端部と、前記金属シェルの前記上部エッジに延び、そこで開放された上部端部とを有する請求項1から2のいずれかに記載のアンテナ。
【請求項4】
前記励振シートが、第1の分岐と第2の分岐とを含み、
前記第1の分岐が、前記金属シェルの前記横手方向に延び、前記金属シェルの前記長手方向において、前記第1のスロットと、前記第1のスロットに隣接した前記金属シェルの1つのエッジとの間に配置され、
前記第2の分岐が、前記金属シェルの前記横手方向に延び、前記第1の分岐と接続され、前記第1の分岐の幅よりも大きい幅を有し、前記第1のスロットの前記幅方向に前記第1のスロットをカバーする請求項1から3のいずれかに記載のアンテナ。
【請求項5】
マッチングネットワークを更に含み、前記マッチングネットワークが、前記金属シェルの前記内側に配置され、前記励振シート及び前記金属シェルのそれぞれに接続される請求項4に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記マッチングネットワークが、前記第2の分岐と接続される請求項5に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記第2の分岐に、信号線と接続するように構成される給電信号アクセスポイントが設けられている請求項4から6のいずれかに記載のアンテナ。
【請求項8】
前記誘電体充填層が、前記金属シェルと前記励振シートとの間に配置された隔離部と、前記隔離部と接続され、前記第1のスロットを充填するように構成される第1の充填部と、前記隔離部と接続され、前記第2のスロットを充填するように構成される第2の充填部とを含む請求項1から7のいずれかに記載のアンテナ。
【請求項9】
前記隔離部が、信号線を受け取るように構成されるノッチを有する請求項8に記載のアンテナ。
【請求項10】
前記誘電体充填層が、集積成型方法で形成される請求項8から9のいずれかに記載のアンテナ。
【請求項11】
前記誘電体充填層が、3未満の比誘電率を有するプラスチックからなる請求項1から10のいずれかに記載のアンテナ。
【請求項12】
前記拡張共振分岐が、インダクタ素子又はキャパシタ素子を介して、前記励振シートと接続される請求項1から11のいずれかに記載のアンテナ。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載のアンテナを含むことを特徴とする移動端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、その開示内容の全体を参照によって援用する、2015年3月31日に中華人民共和国国家知識産権局に出願の中国特許出願第201510145639.3号に対する優先権及び利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、通信機器分野、より詳細には、アンテナ及びそれを有する移動端末に関する。
【背景技術】
【0003】
従来において、アンテナは、シェルの通信領域に位置する第1のスロット及び第2のスロットと、誘電体基板と、マイクロストリップ給電部とからなる。前記第1のスロットは、前記第2のスロットと平行して並べられる。前記第1のスロットを用いて、第1の周波数帯域幅シグナルを放射し、前記第2のスロットを用いて、前記第1の周波数帯域幅シグナルよりも周波数が高い第2の周波数帯域幅シグナルを放射し、前記誘電体基板は、前記第1のスロット及び前記第2のスロットをカバーし、前記マイクロストリップ給電部を用いて、前記第1のスロット及び前記第2のスロットの放射を励振する。
【0004】
周波数シグナルは、スロットのみによって放射され、周波数シグナルは、有している帯域幅に制限があり、2つのスロットは、個別に2つの共振を生成し、2つの異なる周波数帯域幅シグナルを放射するが、4G時代における超広帯域幅通信技術の必要要件を満たすことができない。更に、スロットは、周波数通信における音波透過孔として用いられることができないため、移動端末の外観に影響を及ぼすだけではなく、塵が入り込む傾向もある。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態は、関連技術に存在する問題の少なくとも1つを少なくともある程度にまで解決することを図る。これについては、本開示は、2G、3G、及び4Gの通信要件を満たす広い周波数帯域、すっきりとした美しい外観、及び良好な防塵性能など複数の利点を有するアンテナを提供する。
【0006】
本開示は、前記アンテナを有する移動端末を更に提供する。
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の第1の態様の実施形態によれば、アンテナが提供され、前記アンテナは、金属シェルと、励振シートと、誘電体充填層と、拡張共振分岐とを含む。前記金属シェルに、第1のスロットと、第2のスロットとが設けられる。前記第1のスロットは、前記金属シェルを通って貫通し、前記金属シェルの横手方向に延び、第1の端部と第2の端部とを有し、前記第1の端部及び前記第2の端部は、閉じられている。前記第2のスロットは、前記金属シェルを通って貫通し、前記金属シェルの長手方向に延び、前記第1のスロットと連結された第1の端部と、前記金属シェルのエッジに延び、そこで開放されている第2の端部とを有する。前記励振シートは、前記金属シェルの内側に配置され、前記第1のスロットの幅方向に前記第1のスロットをカバーする。前記誘電体充填層は、前記励振シートと前記金属シェルとの間に配置され、前記第1のスロットと前記第2のスロットとを充填するように構成される。前記拡張共振分岐は、前記金属シェルから離れて対向する前記誘電体充填層の表面に配置され、前記励振シートと接続されている。
【0008】
本開示の実施形態に係るアンテナは、2G、3G、及び4Gの通信要件を満たす広い周波数帯域幅、すっきりとした美しい外観、及び良好な防塵性能など複数の利点を有する。
【0009】
更に、本開示の実施形態に係る移動端末のためのアンテナは、下記追加の技術的特徴を更に有することができる。
【0010】
実施形態においては、前記第1のスロット及び前記第2のスロットは、前記金属シェルの1つのエッジに隣接して配置される。
【0011】
実施形態においては、前記第1のスロットは、前記金属シェルの上部エッジに隣接して配置され、前記第2のスロットは、前記第1のスロットと連結された下部端部と、前記金属シェルの前記上部エッジに延び、そこで開放された上部端部とを有する。
【0012】
実施形態においては、前記第1のスロットの幅は、約0.5mm〜約5mmの範囲に亘る。
【0013】
実施形態においては、前記第2のスロットの幅は、約0.5mm〜約5mmの範囲に亘る。
【0014】
実施形態においては、前記第2のスロットと前記第1のスロットの前記第1の端部との間の距離は、前記金属シェルの前記横手方向において、約52mm〜約72mmの範囲に亘る。
【0015】
実施形態においては、前記第2のスロットと前記第1のスロットの前記第2の端部との間の距離は、前記金属シェルの前記横手方向において、約15.5mm〜約25.5mmの範囲に亘る。
【0016】
実施形態においては、前記励振シートは、第1の分岐と第2の分岐とを含む。前記第1の分岐は、前記金属シェルの前記横手方向に延び、前記金属シェルの前記長手方向において、前記第1のスロットと、前記第1のスロットに隣接した前記金属シェルの1つのエッジとの間に配置される。前記第2の分岐は、前記金属シェルの前記横手方向に延び、前記第1の分岐と接続され、前記第1の分岐の幅よりも大きい幅を有し、前記第1のスロットの前記幅方向に前記第1のスロットをカバーする。
【0017】
実施形態においては、前記アンテナは、マッチングネットワークを更に含み、前記マッチングネットワークは、前記金属シェルの前記内側に配置され、前記励振シート及び前記金属シェルのそれぞれに接続される。
【0018】
実施形態においては、前記マッチングネットワークは、前記第2の分岐と接続される。
【0019】
実施形態においては、前記第2の分岐に、信号線と接続するように構成される給電信号アクセスポイントが設けられる。
【0020】
実施形態においては、前記励振シートと前記金属シェルの内側表面との間の距離は、約0.5mm〜約2mmの範囲に亘る。
【0021】
実施形態においては、前記誘電体充填層は、前記金属シェルと前記励振シートとの間に配置された隔離部と、前記隔離部と接続され、前記第1のスロットを充填するように構成される第1の充填部と、前記隔離部と接続され、前記第2のスロットを充填するように構成される第2の充填部とを含む。
【0022】
実施形態においては、前記隔離部は、信号線を受け取るように構成されるノッチを有する。
【0023】
実施形態においては、前記誘電体充填層は、集積成型方法で形成される。
【0024】
実施形態においては、前記誘電体充填層は、3未満の比誘電率を有するプラスチックからなる。
【0025】
実施形態においては、前記拡張共振分岐は、インダクタ素子又はキャパシタ素子を介して、前記励振シートと接続される。
【0026】
実施形態においては、前記拡張共振分岐は、前記金属シェルの前記横手方向に延び、約15mm〜約25mmの範囲に亘る長さを有する。
【0027】
本開示の第2の態様の実施形態によれば、移動端末が提供され、前記移動端末は、本開示の第1の態様の実施形態に係るアンテナを含む。
【0028】
本開示の実施形態に係る移動端末は、良好なアンテナ性能、すっきりとした美しい外観、及び良好な防塵性能など複数の利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本開示の実施形態のこれら及びその他の態様及び利点は、図面を参照してなされた下記記載から明らかとなり、より容易に理解されるであろう。
【0030】
図1図1は、アンテナの金属シェルの外側からの、本開示の実施形態に係るアンテナの概略図である。
図2図2は、アンテナの金属シェルの内側からの、本開示の実施形態に係るアンテナの概略図である。
図3図3は、アンテナの金属シェルの内側からの、誘電体充填層が示されていない本開示の実施形態に係るアンテナの概略図である。
図4図4は、図2の断面線I−Iに沿った本開示の実施形態に係るアンテナの断面図である。
図5図5は、本開示の実施形態に係るアンテナの誘電体充填層の概略図である。
図6図6は、本開示の実施形態に係るアンテナの励振シート、マッチングネットワーク、及び拡張共振分岐の概略図である。
図7図7は、本開示の実施形態に係るアンテナの周波数帯域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
参照は、本開示の実施形態に詳細になされる。図面を参照して本明細書中に記載された実施形態は、説明的であり、図解的であるが、一般的には、本開示を理解するために使用される。実施形態は、本開示を制限するために解釈されないものとする。同じ又は類似のエレメント及び同じ又は類似の機能を有するエレメントは、記載中で参照番号のように示される。
【0032】
本開示の具体的な実施形態に係るアンテナは、下記図面を参照して記載される。金属シェル10の横手方向は、図1図3において、矢印Aで表され、前記金属シェル10の長手方向は、図1図4において、矢印Bで表される。本明細書中における上下方向は、垂直方向を指し、本明細書中における内外方向は、前記アンテナを含む移動端末が通常用いられる内外方向を指す。
【0033】
図1図6に示されるように、本開示の実施形態に係るアンテナは、金属シェル10と、励振シート20と、誘電体充填層30と、マッチングネットワーク40と、拡張共振分岐50とを含む。
【0034】
前記金属シェル10に、第1のスロット11及びが第2のスロット12が設けられる。前記第1のスロット11は、前記金属シェル10の前記横手方向に延び、前記第2のスロット12は、前記金属シェル10の前記長手方向に延びている。前記第1のスロット11及び前記第2のスロット12は、いずれも前記金属シェル10の厚み方向に沿って、前記金属シェル10を通って貫通する。前記第1のスロット11は、第1の端部と、第2の端部とを有し、前記第1の端部及び前記第2の端部は、閉じられている。前記第2のスロット12は、前記第1のスロット11と連結された第1の端部と、前記金属シェル10のエッジに延び、そこで開放されている第2の端部とを有する。言い換えれば、前記第1のスロット11及び前記第2のスロット12は、互いに交わり、T字型を形成する。前記励振シート20は、前記金属シェル10の内側に配置され、前記第1のスロット11の幅方向に前記第1のスロット11をカバーする。当業者であれば、前記第1のスロット11の前記幅方向が、前記第1のスロット11の短いエッジの延びている方向を指すことを理解するであろう。前記誘電体充填層30は、励振シート20と前記金属シェル10との間に配置され、それぞれ、第1のスロット11と前記第2のスロット12とを充填する。前記マッチングネットワーク40は、前記金属シェル10の前記内側に配置され、前記励振シート20及び前記金属シェル10と接続されている。前記拡張共振分岐50は、前記金属シェル10から離れて対向する前記誘電体充填層30の表面に配置され、前記励振シート20と接続されている。
【0035】
本開示の実施形態によれば、前記アンテナは、放射表面として、前記金属シェル10を用い、アンテナ信号が遮断されることから防ぎ、それによって前記アンテナのスペース利用を改善することができる。
【0036】
更に、幾つかの実施形態においては、前記金属シェル10に、互いに交わりT字型を形成する前記第1のスロット11と前記第2のスロット12とが設けられ、前記拡張共振分岐50は、前記誘電体充填層30に配置され、前記励振シート30は、前記マッチングネットワーク40と結合して設けられているため、前記アンテナ1の性能は、効果的に改善され、前記アンテナ1は、複数の周波数帯域をカバーすることができる。幾つかの実施形態においては、前記第1のスロット11に隣接する前記金属シェル10のエッジは、前記第2のスロット12によって、第1の共振分岐L1及び第2の共振分岐L2に分けられる(即ち、前記第1の共振分岐L1及び前記第2の共振分岐L2は、前記金属シェル10に属し、前記第1のスロット11及び前記第2のスロット12によって区切られる)。カップル給電方法で、前記励振シート20によって、前記第1の共振分岐L1が励振されて、共振を発生させ、低周波数帯域(約791MHz〜960MHz)をカバーし、その後前記第2の共振分岐L2、前記第1の共振分岐L1及び前記励振シート20は、共に結合することができる。更に、前記拡張共振分岐50は、追加の共振を発生させ、高い周波数帯域を拡張し、それによって高周波数帯域(約1710MHz〜2690MHz)を得ることで、本開示で提供された前記アンテナは、広い周波数帯域幅を有することができる。言い換えれば、前記アンテナは、単にスロットに依存すると言うよりは、スロット及び放射するための形成された共振分岐、並びに通信するための前記励振シート20に依存する。
【0037】
加えて、前記第1のスロット11及び前記第2のスロット12は、集積成型方法で形成される前記誘電体充填層40によって充填され、それによって前記金属シェル10から前記励振シート20を隔離するだけではなく、塵が入り込むことを防止しながら移動端末の外観を美しくする
【0038】
図7に示されるように、前記アンテナ1の周波数帯域を試験することで、前記アンテナ1の性能が優れていることが示される。したがって、本開示の実施形態に係る前記アンテナ1は、広い周波数帯域をカバーし、低周波数帯域及び高周波数帯域のそれぞれにおいて、たった1つの共振を発生させると言うよりは、低周波数帯域及び高周波数帯域のいずれにおいて複数の共振を発生させる。それによって、周波数帯域幅を拡張し、ワイヤレス広域ネットワーク(WWAN)及びロングタームエボリューション(LTE)周波数帯域をカバーすることができる。したがって、前記アンテナ1は、2G、3G、及び4Gの通信要件を満たす広い周波数帯域幅、すっきりとした美しい外観、及び良好な防塵性能などを示す。
【0039】
本開示の具体的な実施形態に係るアンテナは、下記図面を参照して記載される。
【0040】
本開示の幾つかの具体的な実施形態においては、図1図6に示されるように、本開示の実施形態に係るアンテナは、前記金属シェル10と、前記励振シート20と、前記誘電体充填層30と、前記マッチングネットワーク40と、前記拡張共振分岐50とを含む。
【0041】
幾つかの実施形態においては、図1図3に示されるように、前記第1のスロット11及び前記第2のスロット12は、前記金属シェル10の1つのエッジに隣接して並べられ、前記移動端末の液晶ディスプレイ(LCD)を避ける。
【0042】
幾つかの実施形態においては、前記第1のスロットは、前記金属シェル10の上部エッジに隣接して配置される。前記上下方向は、前記アンテナ1を含む移動端末が通常用いられる上下方向を指す。前述のとおり、本明細書中における前記上下方向は、垂直方向を指す。前記第2のスロット12は、前記第1のスロット11と連結された下部端部と、前記金属シェル10の前記上部エッジへ延び、開放されている上部端部とを有する。
【0043】
更に、前記第1のスロット11の幅は、約0.5mm〜約5mmの範囲に亘る。幾つかの実施形態においては、前記第1のスロット11の幅は、約2.5mmである。また、前記第2のスロット12の幅は、約0.5mm〜約5mmの範囲に亘る。幾つかの実施形態においては、前記第2のスロット12の幅は、約2.5mmである。
【0044】
幾つかの実施形態においては、前記第2のスロット12と前記第1のスロット11の前記第1の端部との間の距離は、前記金属シェル10の前記横手方向において、約52mm〜約72mmの範囲に亘る。幾つかの実施形態においては、前記第2のスロット12と前記第1のスロット11の前記第1の端部との間の距離は、前記金属シェル10の前記横手方向において、約62mmである。幾つかの実施形態においては、前記第2のスロット12と前記第1のスロット11の前記第2の端部との間の距離は、前記金属シェル10の前記横手方向において、約15.5mm〜約25.5mmの範囲に亘る。幾つかの実施形態においては、前記第2のスロット12と前記第1のスロット11の前記第2の端部との間の距離は、前記金属シェル10の前記横手方向において、約20.5mmである。言い換えれば、前記第1の共振分岐L1の長さは、約52mm〜約72mmの範囲に亘り、好ましくは62mmである。前記第2の共振分岐L2の長さは、約15.5mm〜約25.5mmの範囲に亘り、好ましくは、20.5mmである。
【0045】
当業者であれば、前記第1の共振分岐L1及び前記第2の共振分岐L2の長さは、前記アンテナ1の性能に応じて、適度に調節されることができることを理解するであろう。
【0046】
本開示の幾つかの実施形態においては、図2図3、及び図6に示されるように、前記第1のスロット11は、前記第2のスロット12によって、短い部分及び長い部分に分けられ、前記励振シート20は、前記第1のスロット11の前記長い部分に隣接して配置される。言い換えれば、前記励振シート20は、前記第1の共振分岐L1に隣接して配置される。
【0047】
幾つかの実施形態においては、前記励振シート20は、第1の分岐21と、第2の分岐22とを含む。前記第1の分岐21は、前記金属シェル10の前記横手方向に延びている。前記第1の分岐21は、前記金属シェル10の前記長手方向において、前記第1のスロット11と、前記第1のスロット11に隣接している前記金属シェル10の1つのエッジとの間に配置される。この実施形態においては、前記第1の分岐21は、前記第1のスロット11と前記金属シェル10の前記上部エッジとの間に配置される。前記第2の分岐22は、前記金属シェル10の前記横手方向に延び、前記第1の分岐21と接続されている。前記第2の分岐22は、前記第1の分岐21の幅よりも大きい幅を有し、前記第1のスロット11の前記幅方向において、前記第1のスロット11をカバーする。幾つかの実施形態においては、前記マッチングネットワーク40は、前記第2の分岐22と接続されている。幾つかの実施形態においては、前記第2の分岐22に、信号線24(同軸ケーブルなど)と接続するように構成される給電信号アクセスポイント23が備えられている。したがって、前記励振シート20の励振効果を確保することができる。
【0048】
幾つかの実施形態においては、前記励振シート20と前記金属シェル10の内側表面との間の距離は、約0.5mm〜2mmの範囲に亘る。幾つかの実施形態においては、前記励振シート20と前記金属シェル10の内側表面との間の距離は、約0.6mmである。
【0049】
当業者であれば、前記第1の分岐21と前記第2のスロット12との間の位置関係が、実際の用途及び要求に応じて設定されることができることを理解するであろう。前記第1の分岐21が前記第2のスロット12から離されている例としては、下記図面に示される。
【0050】
本開示の幾つかの実施形態においては、図5に示されるように、前記誘電体充填層30は、隔離部31と、第1の充填部32と、第2の充填部33とを含む。前記励振シート20から前記金属シェル10を隔離するために、前記隔離部31は、前記金属シェル10と前記励振シート20との間に配置される。幾つかの実施形態においては、前記隔離部31は、前記信号線24を受け取るように構成されるノッチ34を有する。前記第1の充填部32は、前記隔離部31と接続され、前記第1のスロット11を充填するために用いられる。前記第2の充填部33は、前記隔離部31と接続され、前記第2のスロット12を充填するために用いられる。上述のとおり、前記励振シート20と前記金属シェル10の前記内側表面との間の距離は、約0.5mm〜約2mmの範囲に亘り、好ましくは、約0.6mmである。言い換えれば、前記隔離部31の幅は、約0.5mm〜約2mmの範囲に亘り、好ましくは約0.6mmである。
【0051】
前記誘電体充填層30の隔離効果を保証するために、前記誘電体充填層30は、3未満の比誘電率を有するプラスチックからなる。
【0052】
本開示の幾つかの実施形態においては、図6に示されるように、前記拡張共振分岐50は、インダクタ素子又はキャパシタ素子51を介して、前記励振シート20と接続される。幾つかの実施形態においては、前記拡張共振分岐50は、前記インダクタ素子を介して、前記励振シート20と接続される。
【0053】
幾つかの実施形態においては、前記拡張共振分岐50は、前記金属シェル10の前記横手方向に延び、約15mm〜約25mmの範囲の長さ、好ましくは約20mmの長さを有する。
【0054】
当業者であれば、前記拡張共振分岐50の長さが、前記アンテナ1のインピーダンスに応じて調節されることができることを理解するであろう。
【0055】
本開示の実施形態に係る移動端末は、下記に記載される。本開示の実施形態に係る移動端末は、本開示の上記実施形態に係る前記アンテナ1を含む。
【0056】
本開示の上記実施形態に係るアンテナを用いることで、本開示の実施形態に係る移動端末は、良好なアンテナ性能、すっきりとした美しい外観、及び良好な防塵性能など複数の利点を有する。
【0057】
幾つかの実施形態においては、移動端末は、テーブルパーソナルコンピュータ、ラップトップ、及び携帯電話などであることができる。
【0058】
本開示の実施形態に係る移動端末の他の部品及び操作は、当業者には知られており、本明細書中では記載をしない。
【0059】
本明細書においては、「中心」、「長手方向」、「横手方向」、「長さ」、「幅」、「厚み」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「上部」、「底部」、「内側」、「外側」、「時計回り」、及び「反時計回り」等の用語は、以下に記載するか又は図面に示す配向を指すものと解釈すべきであることを理解すべきである。これら相対的な用語は、説明の便宜上用いるものであり、本開示が特定の配向で構成されたり動作したりすることを必要とするものではない。
【0060】
更に、「第1」及び「第2」等の用語は、本明細書において説明の目的で使用されるものであり、相対的な重要性又は意義を示唆又は意味するものでも、指定の技術的機構の数を意味するものでもない。このことから、「第1」及び「第2」によって規定される機構は、1以上のこの機構を含み得る。本開示の説明において、特に指定しない限り、「複数の」とは、2以上を意味する。
【0061】
本開示においては、特段の記載又は制限がない限り、「装着された」、「接続された」、「結合された」、「固定された」などの用語は、広く用いられ、例えば、固定された接続、着脱可能な接続、又は一体された接続であることができ;機械的又は電気的接続であることもでき;直接的接続又は介在する構造を介した間接的な接続であることもでき;2つのエレメントの内部の伝達であることもでき、当業者であれば特定の状況に応じて理解することができる。
【0062】
本開示においては、特段の記載又は制限がない限り、第1の部分が第2の部分の「上」又は「下」である構造は、前記第1の部分が前記第2の部分と直接接触している実施形態を含むことができ、前記第1の部分が前記第2の部分と互いに直接接触していないが、その間に形成された追加の部分を介して接触された実施形態を含むこともできる。更に、第2の部分「上」、「より上」、又は「上部」の第1の部分は、前記第1の部分が前記第2の部分「上」、「より上」、又は「上部」にまっすぐ又は斜めにある実施形態を含むことができ、単に前記第1の部分が前記第2の部分の高さより高いことを意味し;第2の部分「下」、「より下」、又は「下部」の第1の部分は、前記第1の部分が前記第2の部分「下」、「より下」、又は「下部」にまっすぐ又は斜めにある実施形態を含むことができ、単に前記第1の部分が前記第2の部分の高さより低いことを意味する。
【0063】
「実施形態」、「幾つかの実施形態」、「1つの実施形態」、「他の例」、「例」、「具体的な例」、又は「幾つかの例」など本明細書中の参照は、実施形態又は例に関連して記載される特定の部分、構造、材料、又は特徴が本開示の少なくとも1つの実施形態又は例中に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して様々な場所で記載される「幾つかの実施形態においては」、「1つの実施形態においては」、「実施形態においては」、「他の実施形態においては」、「例においては」、「具体的な例においては」、又は「幾つかの例においては」などの表現の出現は、必ずしも本開示の実施形態又は例と同じものを意味しているわけではない。更に、特定の部分、構造、材料、又は特徴は、1つ以上の実施形態又は例において任意の好適な方法で組合せてもよい。
【0064】
説明的な実施形態を示し、記載してきたが、上記実施形態を本開示を限定するように解釈することはできないこと、及び、実施形態について、本開示の精神、原理、及び範囲から逸脱することなく、変更、代替、及び改変を行うことができることが当業者によって理解されよう。
【符号の説明】
【0065】
1 アンテナ
10 金属シェル
11 第1のスロット
12 第2のスロット
20 励振シート
21 第1の分岐
22 第2の分岐
23 給電信号アクセスポイント
24 信号線
30 誘電体充填層
31 隔離部
32 第1の充填部
33 第2の充填部
34 ノッチ
40 マッチングネットワーク
50 拡張共振分岐
51 インダクタ素子又はキャパシタ素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7