(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態]
本発明の実施形態に係るゲームシステムXについて、図面を参照して説明する。
図1によると、本実施形態のゲームシステムXは、サーバ装置1及び複数のゲーム装置2にて構成される。
ゲームシステムXでは、例えば、スマートフォンやPC(Personal Computer)等のゲーム装置2にインストールされるアプリケーションソフトウェア(Application Software、ネイティブ(Native)アプリ、以下、単に「アプリ」という。)を実行することで、サーバ装置1との間で通信を行い、ユーザにゲームを実行(プレイ)させるゲームシステムXを実現する。
【0012】
本実施形態で説明されるゲームの概要について説明する。このゲームにおいては、ユーザは、複数のキャラクタオブジェクトをまとめたカードオブジェクト(プレイヤキャラクタ)を、特定の数まとめた「デッキ」を設定する。そして、設定されたデッキを用いて、複数の「ステージ」のいずれかを選択して、プレイを開始する。すると、選択されたステージの仮想空間上で、プレイヤキャラクタと、複数のモンスター(敵キャラクタ)とが戦う。戦いに勝利等し、条件を満たして攻略(以下、「クリア」という。)すると、アイテムやカードオブジェクト等(以下、単に「オブジェクト」という。)を取得することができる。このオブジェクトには、稀少(レア)アイテムやカードオブジェクト等の希少なオブジェクト(以下、「レアオブジェクト」という。)も含まれる。
つまり、本実施形態で説明されるゲームは、カード型のロールプレイングゲームの一種である。
【0013】
本実施形態において、各オブジェクトは、売却により処分(削除)することが可能である。売却時には、ゲーム内通貨等が、そのオブジェクトの価値分、与えられる。
さらに、各オブジェクトは、合成(強化)して、能力値やランクを上昇させることが可能である。合成も、他のカードオブジェクトやアイテム等と、ゲーム内通貨等を用いて行うことが可能である。
【0014】
<ハードウェア構成について>
本実施形態のゲームシステムXのハードウェア構成について説明する。
ここでは、サーバ装置1のハードウェア構成、及び、このサーバ装置1とインターネット回線等のネットワーク3を介して互いに通信接続される複数のゲーム装置2のハードウェア構成について説明する。
【0015】
・サーバ装置1のハードウェア構成
サーバ装置1は、制御部10、記憶部11、及び接続部12を備える。
記憶部11及び接続部12は、それぞれ、専用のバス及びインターフェイス等を介して、サーバ装置1の制御部10に接続される。
【0016】
制御部10は、サーバ装置1の動作を制御する。
【0017】
記憶部11は、主にRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びHDD(Hard Disk Drive)で構成される。
【0018】
接続部12は、サーバ装置1と各ゲーム装置2との間で、各種プロトコルによりデータを送受信するために、インターネット等のネットワーク3に接続される。
【0019】
・ゲーム装置2のハードウェア構成
ゲーム装置2には、操作部25、表示部26、及び音声入出力部27が備えられている。
このゲーム装置2は、アプリ用サーバからダウンロードされたゲームプログラム110及びデータに基づいてゲームを進行させる。
ゲーム装置2は、他ゲーム装置2及びサーバ装置1との間で、ネットワーク3又は近距離無線通信等を介して、互いにデータ通信をすることも可能である。
【0020】
ゲーム装置2は、制御部20、記憶部21、接続部22、画像処理部23、音声処理部24、及び操作部25を備える。
記憶部21、接続部22、画像処理部23、音声処理部24、及び操作部25は、専用のバス及びインターフェイス等を介して、制御部20に接続される。
【0021】
制御部20は、ゲーム装置2の動作を制御する。
【0022】
記憶部21は、主にRAM、ROM、及びHDDで構成される。
【0023】
接続部22は、ネットワーク3に接続され、サーバ装置1と各ゲーム装置2との間で、又はゲーム装置2同士で、データを各種プロトコルで送受信する。
【0024】
画像処理部23は、制御部20の指示に従って、仮想空間及び各オブジェクト等を含む二次元又は三次元のゲーム画像を、例えば、フレーム単位で描画(レンダリング)する。画像処理部23にて描画されたゲーム画像は、ゲーム画面として、表示部26に表示される。
【0025】
音声処理部24は、制御部20の指示に対応して、音声データを再生及び合成し、D/A(Digital to Analog)変換してゲーム音声として出力する。ゲーム音声は、音声処理部24に接続された音声入出力部27のスピーカやイヤホン出力端子等から音声出力される。音声処理部24は、音声入出力部27のマイクロフォンから入力した音声信号をA/D(Analog to Digital)変換して、入力することも可能である。
【0026】
操作部25は、タッチパネル及び各種センサにより、操作入力に関するデータを送受信することが可能である。ユーザは、操作部25により、ゲーム装置2へ操作指示を行う。
【0027】
表示部26は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機ELディスプレイ等のドットマトリクスティスプレイである。
本実施形態において、操作部25と表示部26とは、一体的に形成されており、表示部26でユーザがオブジェクト等をタッチした座標等を検知可能である。
【0028】
音声入出力部27は、スピーカ、イヤホン出力端子、マイクロフォン等である。
【0029】
上述のサーバ装置1及びゲーム装置2の各部は、本実施形態のゲームプログラム110及びゲームプログラム210を実行するハードウェア資源となる。
【0030】
・ゲームシステムXの制御の流れについて
次に、
図2により、ゲームシステムXを実現するサーバ装置1及びゲーム装置2における、ゲーム実行時の制御の流れについて説明する。
【0031】
まず、ゲーム装置2は、ユーザの操作に基づいて、ゲームアプリであるゲームプログラム210を、アプリがダウンロード可能なアプリ用サーバ(図示せず)からダウンロードする。更新(アップデート)用のゲームプログラム210が存在する場合も、このアプリ用サーバからダウンロードされ、インストールされる。
【0032】
インストール後、ゲームプログラム210が初回起動されると、ゲーム装置2とサーバ装置1とは、ネットワーク3を介して互いに通信を行う。
そして、サーバ装置1において、各ユーザには、それぞれ異なるアカウント情報212が付与される。元々、ユーザがアカウント情報212を付与されていた場合は、そのアカウント情報212を設定することも可能である。このアカウント情報212は、例えば、ID(識別符号)を含む固有の識別情報である。サーバ装置1は、各アカウントに対応付けられた、ゲームのプレイ上に必要なデータであるゲームデータ211を作成して、アカウント情報212と共にゲーム装置2へ送信する。
【0033】
ゲーム装置2は、サーバ装置1から、ゲームデータ211とアカウント情報212とを受信して、これを記憶部21に格納する。
その後、ゲーム装置2は、ゲームプログラム210及びゲームデータ211に基づいて、ゲーム進行を行う。
【0034】
ここで、アプリが起動される時、ゲーム装置2は、ネットワーク3を介してサーバ装置1と通信を開始する。通信手段203は、アカウント情報212をサーバ装置1へ送信する。これにより、サーバ装置1は、ユーザをゲームにログインさせる。
【0035】
ゲーム装置2は、操作部25によりユーザの指示を取得してゲームを実行する。この際に、ゲーム装置2は、ゲーム進行に伴うゲーム演出として、ゲーム画像及びゲーム音声を、表示部26及び音声入出力部27等に出力する。
【0036】
ここで、ゲーム装置2は、ゲームの開始時のみならず、ゲーム進行の特定タイミングでサーバ装置1にゲーム進行状況に関するデータを送信する。この特定タイミングとしては、例えば、アイテム売却、合成、消費、ステージやゲーム課題のクリア等のデータ更新時等が挙げられる。
【0037】
具体的には、本実施形態においては、ゲーム装置2は、オブジェクトの売却後、特定時間経過した後も、サーバ装置1へ、オブジェクトを売却した旨を示す売却情報を送信する。つまり、この送信も、本実施形態の特定タイミングの一つとして行われる。この際、特定時間経過しない前に、ユーザにより売却が取り消された場合には、ゲーム装置2は、サーバ装置1へデータを送信しない。
【0038】
サーバ装置1は、ゲーム進行状況に関するデータをゲーム装置2から受信して解析する。この解析されたデータは、記憶部11のアカウントDB111のアカウント設定300として、アカウント毎に格納される。サーバ装置1は、これらのサーバ用の処理を、ゲームプログラム110により実行する。
【0039】
このように、ゲームシステムXは、アプリを介して、所定のタイミングでサーバ装置1とゲーム装置2で相互に通信を行い、サーバ装置1とゲーム装置2とで同期をとってゲームを進行させる。
【0040】
<ゲームシステムXの機能的構成について>
次に、ゲームシステムXを実現するサーバ装置1の制御部10及びゲーム装置2の制御部20の機能的構成、及びデータの詳細構成について説明する。
【0041】
・サーバ装置1の制御部10の機能的構成
サーバ装置1の制御部10は、記憶部11に格納されたゲームプログラム110を実行することにより、ログイン手段100及びゲーム情報処理手段101として機能する。
【0042】
ログイン手段100は、ゲーム装置から、アカウント情報212を取得して、ユーザをゲームにログインさせる。
【0043】
ゲーム情報処理手段101は、アカウントDB111のアカウント設定300から、ゲーム進行状況に関するデータを含むゲームデータ211を作成して、ゲーム装置2へ送信する。
加えて、ゲーム情報処理手段101は、ゲーム装置2からゲーム進行状況に関するデータを取得して、アカウントDB111のアカウント設定300に設定する。この設定は、オブジェクトの売却や合成等に関するものも含む。
【0044】
・サーバ装置1の記憶部11に格納されたデータの説明
サーバ装置1は、記憶部11に、本発明のゲームシステムXを実現するためのゲームプログラム110及びアカウントDB111を格納している。
【0045】
ゲームプログラム110は、サーバ装置1を上述の機能的手段として動作させるためのプログラムである。
【0046】
アカウントDB111は、アカウント毎のアカウント設定300を格納している。アカウント設定300は、アカウント毎のアカウントのゲーム進行状況に関する情報を含む。
【0047】
図3により、アカウント設定300の一例の詳細について説明する。
アカウント設定300は、ログイン情報301、デッキデータ302、及びオブジェクトデータ303を含んでいる。
【0048】
ログイン情報301は、ユーザのID(Identification)、電子メールアドレス、パスワード、その他のログイン時のユーザ認証に必要な情報である。これに加え、ログイン情報301は、ユーザがアプリを起動した日時及び時間を示すプレイ時間情報を含んでいる。
【0049】
デッキデータ302は、ユーザが所有するカードオブジェクトのデッキ内での組み合わせ等を含む、ゲームのプレイ時に用いるデータである。
【0050】
オブジェクトデータ303は、ユーザが所有するオブジェクトのデータである。オブジェクトデータ303は、オブジェクトの種類と所持数等のデータを含んでいる。このオブジェクトは、カードオブジェクトとアイテムとを含む。
【0051】
カードオブジェクトの場合、オブジェクト毎に、キャラクタの名称、能力値、属性、ランク、特殊攻撃等のパラメータが設定されている。この能力値は、体力、攻撃力、防御力、スキルレベル及びキャラクタのランク等を含む。
アイテムの場合、武器、防具等の装備品、回復用アイテム、合成用アイテム、その他の特殊なアイテムが、種類としてIDにより設定される。また、各アイテムにはレアリティ(希少度)が設定されている。以下、レアリティが高いアイテムを「レアアイテム」という。
【0052】
これに加え、オブジェクトデータ303は、ゲーム内通貨のデータも含んでいる。
さらに、オブジェクトデータ303は、ゲームプログラム110やゲームデータ211の更新に伴い拡張される。
【0053】
・ゲーム装置2の制御部20の機能的構成
再び
図2に戻ると、ゲーム装置2の制御部20は、記憶部21に格納されたゲームプログラム210を実行することにより、変更指示取得手段200、変更タイマ手段201、変更取消手段202、及び通信手段203として機能する。
【0054】
変更指示取得手段200は、ユーザによるオブジェクトの状態変更の指示を、操作部25から取得する。本実施形態では、この状態変更は、オブジェクトの売却による削除である。
加えて、変更指示取得手段200は、ゲームのプレイ時に、ゲームデータ211を基にゲームを進行させる手段としても機能する。
【0055】
変更タイマ手段201は、変更指示取得手段200により指示を取得した場合、自装置内のゲームデータ211に対してのみ状態変更を適用した上で、特定時間、待機する。
【0056】
変更取消手段202は、変更タイマ手段201による特定時間の待機中に、指示が取り消された場合は、状態変更を取り消す。この場合、本実施形態においては、変更取消手段202は、オブジェクトの残数を元に戻して、ゲーム内通貨等の値を戻し、売却が行われなかった状態に戻す。
【0057】
通信手段203は、変更取消手段202により指示が取り消されなかった場合は、状態変更についてサーバ装置1へ送信して、サーバ装置1内のアカウント設定300に対して適用させる。加えて、通信手段203は、ゲームを実行する際に、ユーザのアカウント情報212をサーバ装置1へ送信し、ログイン処理させる。
【0058】
・ゲーム装置2の記憶部21に格納されたデータの説明
ゲーム装置2は、記憶部21に、本発明のゲームシステムXを実現するためのゲームプログラム210、ゲームデータ211及びアカウント情報212を格納している。
【0059】
ゲームプログラム210は、ゲーム装置2を上述の機能的手段として動作させるためのプログラムである。加えて、ゲームプログラム210は、各オブジェクトの画像データ、モデリングデータ、メニューやホーム画面のデータ、文字データ、音声データ等、ゲームをプレイするために必要な各種データを含んでいる。
【0060】
ゲームデータ211は、ゲームのプレイ上に必要なデータである。このゲームデータ211は、サーバ装置1により作成された、ゲーム進行状況に関するデータを含む。ゲームデータ211により、ゲームプログラム210に含まれる各種データが選択されて、ユーザのアカウント情報に対応したゲームのプレイが実現可能となる。
【0061】
アカウント情報212は、上述したように、ユーザのID(識別符号)を含む固有の識別情報等である。
【0062】
これら以外にも、記憶部21には、例えば、他ゲーム装置2に送信するアカウント情報212、フレンドに関する情報、及び他ゲーム装置2から受信した他のアカウント情報212等が含まれている。
【0063】
再び
図3により、ゲームデータ211の詳細について説明する。
ゲームデータ211は、デッキデータ322及びオブジェクトデータ323を含んでいる。これらのデータは、サーバ装置1のアカウント設定300に格納されているデッキデータ302及びオブジェクトデータ303と同様のデータである。
【0064】
<オブジェクト売却処理について>
次に、
図4〜
図5を用いて、本実施形態のゲーム装置2の変更指示取得手段200、変更タイマ手段201、変更取消手段202、及び通信手段203により実行されるオブジェクト売却処理について説明する。
本実施形態のオブジェクト売却処理では、オブジェクト売却の取り消しを許容する。ただし、無条件で取り消しを認めると処理の負荷が大きくなるため、直前の売却のみを取り消し可能とする。
【0065】
具体的には、本実施形態のオブジェクト売却処理では、サーバ装置1側へ、オブジェクトの売却情報を通知するまで、特定時間、待機する。この特定時間の経過までに、ユーザが売却の取り消しを指示した場合、オブジェクトの保有数が元に戻る。そして、サーバ装置1側への売却情報の送信を中止する。取り消されなかった場合は、売却情報をサーバ装置1へ通知する。
【0066】
以下で、
図4のフローチャートを参照して、サーバ装置1及びゲーム装置2の各処理のフローを説明する。ここでは、本実施形態のオブジェクト売却処理の詳細をステップ毎に説明する。
【0067】
(ステップS101)
まず、変更指示取得手段200が、変更指示取得処理を行う。
アプリの起動後、変更指示取得手段200は、ユーザが操作部25のタッチパネルのタッチ、スワイプ等により、オブジェクトの状態変更の指示を取得する。この指示は、本実施形態では、オブジェクトの売却の指示である。
図5(a)のゲーム画面の画面例500は、売却の指示が取得された一例を示している。この例では、ユーザが、ゲームのホーム画面から「カード売却」を選択し、「売却」のボタンを押下し、カードオブジェクトの一つである左上のアイコンを選択している。
【0068】
(ステップS102)
次に、変更タイマ手段201が、変更適用待機処理を行う。
売却の指示を取得した場合、変更タイマ手段201は、ゲームデータ211のオブジェクトデータ323に対してのみ、実際に売却した状態を適用する。
図5(b)の画面例501では、売却の状態が適用され、売却されたカードオブジェクトが画面上で削除され、ゲーム内通貨である「コイン」が増加している。
【0069】
この上で、変更タイマ手段201は、特定時間、ユーザによる売却の指示の取り消しが可能な状態で待機する。この特定時間は、例えば、10秒〜数分程度の時間であれば、ユーザがミスをしても気づくのに十分であるため好適である。
図5(b)の例では、変更タイマ手段201は、売却を取り消す「キャンセル」ボタンを、ユーザが押下できないグレーアウト状態から、押下可能な状態に変化させている。
【0070】
この状態においては、ゲームデータ211内のオブジェクトデータ323と、サーバ装置1のアカウント設定300内のオブジェクトデータ303とは、ずれが生じている。しかしながら、特定時間は短い時間であるため許容可能である。この状態でアプリが強制終了等されてしまった等の場合には、再ログイン時にサーバ装置1からゲームデータ211を取得するため、売却自体がなかったことになる。
【0071】
(ステップS103)
次に、変更取消手段202が、指示が取り消されたか否かを判断する。
変更取消手段202は、特定時間の待機中に、売却の指示が取り消されたか否かを判断する。変更取消手段202は、取り消された場合に、Yesと判断する。
図5(c)の画面例502は、ユーザが「キャンセル」ボタンを押下した例を示している。
変更取消手段202は、それ以外の場合には、Noと判断する。
Yesの場合、変更取消手段202は、処理をステップS104に進める。
Noの場合、変更取消手段202は、処理をステップS105に進める。
【0072】
(ステップS104)
売却の指示が取り消された場合、変更取消手段202が、変更取消処理を行う。
変更取消手段202は、ゲームデータ211のオブジェクトデータ323に含まれるオブジェクトの残数を元に戻して、ゲーム内通貨等も売却が行われなかった状態に戻す。これにより、オブジェクトデータ323は、売却による状態変更前の状態に戻る。
図5(d)の画面例503は、変更取消手段202が、売却されたオブジェクトを売却前と同様に戻し、「コイン」も売却前に戻した例を示す。この例において、変更取消手段202は、「売却キャンセルしました」等のメッセージも表示している。
その後、変更取消手段202は、オブジェクト売却処理を終了する。
【0073】
(ステップS105)
売却の指示が取り消されなかった場合、通信手段203が、変更通信処理を行う。
通信手段203は、特定時間の待機が完了した後、売却の指示の取り消しを不可能にする。そして、通信手段203は、ゲームデータ211のオブジェクトデータ323の差分データを作成して、サーバ装置1へ送信する。本実施形態では、この差分データは、オブジェクトを売却した旨を示す売却情報であり、売却により減少したオブジェクトと、増加したゲーム内通貨のデータとが含まれる。
サーバ装置1のゲーム情報処理手段101は、この差分データを取得して、アカウントDB111のアカウント設定300に適用する。本実施形態においては、アカウント設定300のオブジェクトデータ303が、上述の売却後のものと同期される。
以上により、本発明の実施の形態に係るオブジェクト売却処理を終了する。
【0074】
[発明の効果]
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
近年、スマートフォンやPC等で提供される、カードオブジェクトやアイテム等のオブジェクトを収集するゲームにおいては、不要なオブジェクトを売却することが可能であることが多い。
しかし、操作ミス等により間違えて重要なオブジェクトを売却してしまうことがあった。
【0075】
このように、オブジェクトを売却してしまうと、通常は、取り消すことができない。これは、近年のゲームでは、ユーザの保有するオブジェクトの情報は、サーバ装置側で管理されているためであった。つまり、従来は、オブジェクトの売却を指定した場合、即座にサーバ装置側へその情報を通知し、サーバ装置側のデータを書き換えていた。具体的には、ゲーム装置でオブジェクトの売却を指定すると、これをサーバ装置へ送信し、サーバ装置上でオブジェクトの保有数を変更し、変更がゲーム装置上で反映されるという処理が行われていた。
特許文献1の技術では、オブジェクトを売却しても限定的に復元できるものの、サーバ装置上で負荷がかかっていた。
【0076】
これに対して、本実施形態のゲームプログラムは、サーバ装置1と接続可能であり、記憶部21及び表示部26を備えるゲーム装置により実行されるゲームプログラム210であって、オブジェクトの状態変更の指示を取得する変更指示取得手段200と、変更指示取得手段200により指示を取得した場合、ゲーム装置2内のゲームデータ211に対してのみ状態変更を適用した上で、特定時間、待機する変更タイマ手段201と、変更タイマ手段201による特定時間の待機中に、指示が取り消された場合は、状態変更を取り消す変更取消手段202と、変更取消手段202により指示が取り消されなかった場合は、状態変更についてサーバ装置1へ送信する通信手段203として機能させることを特徴とする。
【0077】
このように構成し、売却をゲーム装置2側でのみ適用した上で、サーバ装置1側へ売却情報を通知するまで特定時間遅らせる。そして、特定時間の経過までにユーザがアイテム売却の取り消しを指示した場合、オブジェクトの売却を取り消し、サーバ装置側への売却情報の送信を中止する。これにより、サーバ装置1で負荷をかけることなく、オブジェクトの誤売却を取り消し可能となる。つまり、取り消しをゲーム装置2側のみで対応することにより、サーバ装置1の処理負荷を減らしつつ、ユーザがうっかり操作ミスをしてしまった場合の取り消しに対応できる。
加えて、特許文献1の技術のようにバージョンアップ等と関係なく、直前のオブジェクトの売却等を取り消しできる。
【0078】
さらに、取り消しを特定時間に限定することで、サーバ装置1側の情報とゲーム装置2側のオブジェクトの情報にずれが生じるのを最小限に抑えることができる。結果として、データの同期のためのサーバ装置1及びゲーム装置2の負荷を軽減できる。加えて、通信負荷も抑えることができる。特定時間中、ゲーム装置2にて、ユーザの意図に反してアプリが終了してまった等の場合、サーバ装置1からデータを取得することで、売却を取り消すこともできる。
これにより、ユーザの利便性を高め、ユーザの不注意での売却についての安全性を担保できる。また、ユーザが間違ってカードオブジェクト等を売却したため、ゲームを続けようとする意志がくじける、といった事態を防ぐことができる。
【0079】
本実施形態のゲームプログラムは、状態変更の指示は、オブジェクトの売却であり、変更取消手段202は、状態変更が取り消された場合、オブジェクトの残数を元に戻して、売却が行われなかった状態に戻すことを特徴とする。
このように構成することで、ユーザによるオブジェクトの状態変更として、オブジェクトを売却されても、売却を「なかったこと」にして元の状態に復元可能となる。このため、ユーザの不注意等による売却等によるユーザの不利益を抑えることができる。
【0080】
[他の実施形態]
図2〜
図5において説明した制御手段及び処理手順は一例であり、本発明の実施形態はこれらには限られない。処理手順等は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0081】
上述の実施形態では、ユーザによるオブジェクトの状態変更として、オブジェクトの売却による削除を取り消す例について記載した。しかし、本発明の実施形態はこれには限られない。
たとえば、削除として、売却によらず、単に消去するような削除を行ってもよい。この場合には、ゲーム内通貨の増加等は行わず、ただオブジェクトのデータが消去される、又は所持数が減少するようにしてもよい。
【0082】
さらに、本発明の他の実施形態において、オブジェクトの状態変更として、オブジェクトの合成を取り消すことも可能である。合成を取り消すと、合成後のオブジェクトを削除する必要があるため、例えば、サーバ装置1から合成前のデータを取得して、ゲーム装置2に適用する。
【0083】
図6により、本発明の他の実施形態に係るオブジェクト合成処理について記載する。
図6のフローチャートにおいて、
図4のオブジェクト売却処理と同一の符号のステップは、同様の処理を行う例を示す。このため、差異があるステップのみ説明する。
【0084】
(ステップS110)
ステップS103にて、ユーザの合成の指示が取り消された場合、変更取消手段202が、サーバデータ取得処理を行う。
変更取消手段202は、サーバ装置1にコマンド等を送信し、ゲーム進行状況に関するデータとして、アカウント設定300のオブジェクトデータ303を取得する。
【0085】
(ステップS111)
ここで、変更取消手段202が、データ適用処理を行う。
変更取消手段202は、記憶部21に格納されたゲームデータ211のオブジェクトデータ323を、サーバ装置1から取得したオブジェクトデータ303で置き換える。これにより、合成を取り消すことが可能となる。
【0086】
まとめると、他の実施形態のゲームプログラムにおいて、状態変更は、オブジェクトの合成であり、変更取消手段202手段は、状態変更が取り消された場合、サーバ装置1からユーザの所有するオブジェクトのデータを取得して、合成が行われなかった状態に戻すことを特徴とする。
このように構成することで、本発明を、オブジェクトの売却による削除だけではなく、オブジェクトの合成についても適用することが可能となる。
【0087】
さらに、上述の実施形態では、特定時間として定数値を用いるような例について記載した。しかし、本発明の実施形態はこれには限られない。
本発明の他の実施形態のゲームプログラムにおいて、変更タイマ手段201は、指示が特定間隔以内に連続して行われた場合、ユーザのミスと判断し、特定時間より長く待機することを特徴とする。
このように構成することで、連続タップ等において、ユーザの操作ミスを推定して、ユーザがミスに気づいたときに取り消しやすくすることができる。これにより、ユーザが売却や合成に神経を使いすぎる必要がなくなり、ユーザの心理負担を減少させて、気軽にゲームを楽しませることができる。
【0088】
上述の実施形態には、オブジェクトとしてプレイヤキャラクタを例にして記載されているが、本発明の実施形態はこれには限られない。例えば、オブジェクトは、アイテム等のゲーム媒体であってもよい。
【0089】
上述の実施形態には、スマートフォンやPC用のカード型ロールプレイングゲームのようなアプリを例にして記載されているが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、アクションゲーム、シューティングゲーム、シミュレーションゲーム、ボードゲーム、及びパズルゲーム等、様々な種類のゲームに適用することができる。
【0090】
・ハードウェア構成のバリエーション
なお、制御部10、20は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Processor、特定用途向けプロセッサー)等を含む情報処理部であってもよい。
【0091】
記憶部11は、一時的でない記録媒体であり、RAMとしては、主記憶部として、DRAMやSRAM等を用いてもよい。ROMは、補助記憶部として、EEPROM、フラッシュメモリ、3D Xポイント等の各種不揮発性で書き換え可能な半導体メモリを用いてもよい。加えて、補助記憶部として、HDDの代わりに、SSD(Solid State Drive)やeMMC(embedded Multi Media Card)を用いることも可能である。
【0092】
接続部12、22は、LAN、無線LAN、WAN、携帯電話網等のネットワーク3に接続するためのLANボードや無線送受信機等を含むネットワーク接続部である。
【0093】
画像処理部23は、GPU(Graphics Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等の情報処理部であってもよい。画像処理部23は、専用のメモリを備えていてもよい。
【0094】
操作部25は、専用又は汎用のコントローラと接続されてもよい。コントローラに設けられたスティックやボタンやタッチパッド等を操作することにより、操作部25を介して、ゲーム装置2へ操作信号が入力される。このコントローラと操作部25とは、無線又は有線で接続される。この無線又は有線の接続は、USB、Bluetooth(登録商標)等であってもよい。
【0095】
なお、ゲーム装置において、制御部20及び画像処理部23は、GPU内蔵CPU等やチップ・オン・モジュールパッケージのように、一体的に形成されていてもよい。
また、制御部10、制御部20、及び画像処理部23は、RAMやROMやフラッシュメモリ等を内蔵していてもよい。
【0096】
上述の実施形態では、本実施形態のゲームプログラム210がネイティブアプリケーションである例について記載されたものの、ウェブアプリとして構成されていてもよい。すなわち、ゲームプログラム210は、ウェブブラウザー等で実行可能なアプリであってもよい。この場合は、記憶部21に格納されるゲームプログラム210及びゲームデータ211は、毎回、RAM等に一時的に格納されてもよい。
さらに、上述の実施形態では、ゲーム装置2において、ゲームプログラム210自体はアプリ用サーバからダウンロードするように記載した。しかしながら、ゲームプログラム210をサーバ装置1からダウンロードするようにしてもよい。また、ゲームプログラム210は、ゲーム装置2において、光学記録媒体やその他の記録媒体から読み込まれ、記憶部21にインストールされてもよい。
【0097】
上述の実施形態には、ゲーム装置2としてスマートフォン等の携帯端末装置やPCを用いた例が記載されているが、本発明の実施形態はこれには限られない。たとえば、ゲームセンター等に提供されるアーケードゲーム筐体を用いて本発明を実現することもできる。また、ゲーム装置2として、家庭用(コンシューマ)のゲーム装置を用いて本発明を実現することもできる。
【0098】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本発明の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、及び他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【0099】
また、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
【解決手段】変更指示取得手段200は、オブジェクトの状態変更の指示を取得する。変更タイマ手段201は、変更指示取得手段200により指示を取得した場合、自ゲーム装置2内のデータに対してのみ状態変更を適用した上で、特定時間、待機する。変更取消手段202は、変更タイマ手段201による特定時間の待機中に、指示が取り消された場合は、状態変更を取り消す。通信手段203は、変更取消手段202により指示が取り消されなかった場合は、状態変更についてサーバ装置1へ送信してサーバ装置1内のデータに対して適用させる。