(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、上述の図面を参照しつつ詳細に説明する。まず、
図1を参照しながら、本発明の第1の実施例に係る医用診断支援装置1の装置構成について説明する。
【0020】
図1に示す医用診断支援装置1は、画像撮像装置4(例えばCT)により得られた生体の医用画像データに基づいて、マウスやキーボード等からなる操作装置3により選択された部位を診断するための表示を、表示装置2に行わせるものである。この医用診断支援装置1は、特に大腸等の管腔状組織の診断に好適な表示を行わせることができる点に特徴を有する。
【0021】
医用診断支援装置1は、コンピュータ等から構成されており、
図1に示すように、制御部11、データ記憶部12、表示データ出力インタフェース14、操作入力インタフェース15および画像データ入力インタフェース16を備えて構成される。
【0022】
制御部11は、各種の演算処理を行うCPUにより構成され、仮想表示手段20および位置情報表示手段21を備える(詳細は後述)。データ記憶部12は、ハードディスク、RAMまたはROM等の記憶装置により構成され、制御部11との間で各種データの送受信が可能に構成される。
【0023】
表示データ出力インタフェース14は、制御部11から出力される表示データを表示装置2に伝達するインタフェースである。操作入力インタフェース15は、操作装置3から入力される各種操作信号を制御部11に伝達するインタフェースである。画像データ入力インタフェース16は、画像撮像装置4からの医用画像データを制御部11に伝達するインタフェースである。
【0024】
次に、医用診断支援装置1の作動、すなわち、表示装置2に出力される表示データの生成手順について、
図3および
図4を参照しつつ、
図2に示すフローチャートに沿って説明する。
【0025】
以下においては、生体を仰臥位および腹臥位それぞれの体位において画像撮像装置4により断層撮影し、断層撮影して得られた断層画像群からなる医用画像データ(例えばCT値)に基づいて、診断対象である大腸を診断するための表示を表示装置2に行わせる場合について説明する。本発明に係る医用診断支援装置1は、病変の可能性がある部分の存在位置を、一目で直感的に把握できるリスト表示を行わせることができる点に特徴を有する。なお、次述する表示データの生成および表示装置2への出力手順は、本発明の一実施形態に係る医用診断支援プログラムに従って実行されるものである。
【0026】
〈1〉まず、画像撮像装置4から医用診断支援装置1に、被検体である生体を断層撮影して得られた医用画像データが入力される(医用画像データ入力ステップ;
図2のステップS10参照)。医用診断支援装置1に入力された医用画像データは、データ記憶部12に記憶される。なお、本実施形態では、生体の医用画像データを画像撮像装置4から取得する構成を想定しているが、この構成に代えて、CDやDVD等の情報記憶媒体に記憶された医用画像データを必要に応じて読み出して取得するようにしても良い。
【0027】
〈2〉制御部11の仮想表示手段20は、操作装置3から入力される診断対象を選択する操作信号(この場合は大腸を選択する操作信号)に基づいて、データ記憶部12に記憶された医用画像データを読み出し、大腸内部の仮想内視鏡画像を生成する。そして、この仮想内視鏡画像(画像データ)を表示装置2に出力し、表示装置2に仮想内視鏡画像を表示させる(仮想内視鏡表示ステップ;
図2のステップS20参照)。このとき、仰臥位の状態で撮影して得られた医用画像データに基づく仮想内視鏡画像と、腹臥位の状態で撮影して得られた医用画像データに基づく仮想内視鏡画像とを、それぞれ表示装置2に表示さ
せる。ここで、体位間における仮想内視鏡画像の表示を統一させるため、生体の背側を画像下側とし、腹側を画像上側として表示装置2に仮想内視鏡画像を表示させる。
【0028】
図3に、表示装置2に表示された大腸内部の仮想内視鏡画像の一例を示している。このうち
図3(a)および(b)は、それぞれ肛門からの距離がD1の部分であって、病変部B近傍を示す仮想内視鏡画像である。
図3(a)は、腹臥位の医用画像データに基づく仮想内視鏡画像、
図3(b)は、仰臥位の医用画像データに基づく仮想内視鏡画像である。病変部Bは腸管組織が変化したものであって、体位を変化させても腸管内で移動することはないので、
図3(a)および(b)の仮想内視鏡画像において略同一位置に表示される。
【0029】
一方、
図3(c)および(d)は、それぞれ肛門からの距離がD2の部分であって、残渣Z近傍を示す仮想内視鏡画像である。
図3(c)は、仰臥位の医用画像データに基づく仮想内視鏡画像、
図3(d)は、腹臥位の医用画像データに基づく仮想内視鏡画像であって、紙面下方を背側とし、紙面上方を腹側として表示させたものである。残渣Zは腸管表面に付着して、体位を変化さるとそれに応じて腸管内を移動し得るものなので、
図3(c)および(d)の仮想内視鏡画像において互いに異なる位置に表示される。なお、残渣Zは、体位を変化させることによって、腸管における長手方向に沿って移動したり、長手方
向に直交する面内において回転移動し得る。
【0030】
〈3〉読影者は、まず、表示装置2に表示される一方の体位(例えば仰臥位)に対応した大腸の仮想内視鏡画像を、肛門側から口側に向けて読影する。そして、大腸内部の形状に基づいて病変している可能性があると判断される部分(関心部K)を特定し、この関心部Kの肛門からの距離を、操作装置3を操作して医用診断支援装置1に入力する(位置入力ステップ;
図2のステップS30参照)。このように、一方の体位に対応した仮想内視鏡画像を基に、関心部Kの位置を入力した後、続いてもう一方の体位に対応した仮想内視鏡画像を基に、関心部Kの位置の入力が行われる。医用診断支援装置1に入力された関心部Kの肛門からの距離(位置情報)は、体位別にデータ記憶部12に記憶される。
【0031】
〈4〉制御部11の位置情報表示手段21は、データ記憶部12に記憶された位置情報を読み出して、リスト表示のための表示データを生成する(位置情報配置ステップ;
図2のステップS40参照)。
図4に、表示装置2に表示されるリスト表示の一例を示しており、この図を参照しながら、リスト表示のための表示データを生成について具体的に説明する。
【0032】
図4に示す例は、体位1(例えば仰臥位)および体位2(例えば腹臥位)毎に、入力された位置情報を、数値の小さいものから順に下から上へと並べて表示させたものである。ここで、リストの下端位置を肛門の位置(表示基準位置)とし、この表示基準位置に対する位置情報の表示位置を、位置情報を示す数値に対応させている。例えば体位1のリストに「10cm」の位置情報を表示させる場合、リスト下端位置から上方に10cmに対応する距離dだけ離れた位置に、「10cm」の位置情報を配置する。また、体位1の「23cm」の位置情報は、10cmに対して2.3倍の距離に相当するので、リスト下端位
置から距離2.3dの位置に配置される。体位1における残りの位置情報(85cm、90cm、101cmおよび121cm)も同様にして、位置情報を示す数値に対応した上下位置に配置される。
【0033】
一方、体位2についての位置情報「15cm」は、10cmに対して1.5倍の距離に相当するので、リスト下端位置から距離1.5dの位置に配置される。体位2における残りの位置情報(22cmおよび100cm)も同様にして、位置情報を示す数値に対応した上下位置に配置される。このようにして、読影者によって入力された位置情報を基にして、リスト表示のための表示データが生成される。
【0034】
〈5〉制御部11の位置情報表示手段21は、ステップS40において生成した表示データを表示装置2に出力して、表示装置2にリストを表示させる(リスト表示ステップ;
図2のステップS50参照)。このとき、体位を変化させても腸管に対する病変部Bの位置は変化しないため、表示されたリストにおいて、異なる体位間で表示位置が左右方向に一致もしくはほぼ一致する場合、その位置情報が示す部分は病変部Bである可能性が高い。一方残渣Zは、体位を変化させると腸管内を移動し得る。このため、表示されたリストにおいて、異なる体位間で表示位置が上下方向にずれた位置情報が存在する場合、その位置情報が示す部分は残渣Zである可能性が高い。
【0035】
なお、異なる体位間において、左右方向に対応する位置情報が存在しない場合があり得る。ここで、体位を変化させることによって、腸管T内の残渣が腸管Tに繋がる小腸に移るほど移動することの可能性は必ずしも多くはないと考えられる。よって、このような位置情報は、CTにより被検体を撮影するときのノイズ成分、もしくは医用画像データから仮想内視鏡画像を生成するときの変換誤差に応じた偽形状に基づいて、誤検出されたものである可能性も大きいと考えられる。
【0036】
このため、読影者は、表示装置2に表示されたリストをながめて、異なる体位間で表示位置が左右方向に一致もしくはほぼ一致する位置情報の有無を確認することにより、一目で直感的に大腸の簡易的な診断を行うことができる。例えば
図4に示すリストが表示装置2に表示された場合、体位1と体位2との間で左右方向に表示位置が一致もしくはほぼ一致する位置情報として、101cm(100cm)および23cm(22cm)の位置情報を一目で直感的に特定できる。そして、これらの位置情報が示す、肛門から101cm(100cm)および23cm(22cm)の部分が、病変している可能性があると判断できる。なお、体位間における例えば1cm程度のずれは、測定誤差として許容する。
【0037】
なお、
図4において、体位1の「10cm」と体位2の「15cm」との表示位置は、体位1の「23cm」と体位2の「22cm」との表示位置ほどは左右方向に一致しておらず、上下方向にずれている。このため、この位置情報は、体位変化によって腸管T内を移動した残渣Z、あるいはノイズや誤差に基づく誤検出を示すものである可能性が高いと判断することができる。また、体位1の「121cm」、「90cm」および「85cm」は、左右方向に対応する位置情報が体位2に存在しない。よって、これらの位置情報は、ノイズもしくは変換誤差に基づく形状に基づいて、誤検出されたものである可能性が高いと判断することができる。以上のことから、表示されたリストをながめて行う診断においては、左右方向に表示位置が一致もしくはほぼ一致する位置情報のみに注目すれば良く、読影者の負担が軽減される。
【0038】
上述の医用診断支援装置1において、関心部Kの肛門からの距離に加えて、腸管の長手方向に直交する断面(以下、直交断面と称する)における関心部Kの位置を反映させたリスト表示を行えば、一層精度良く大腸の簡易的な診断を行うことが可能になる。この構成を備えた医用診断支援装置1´について、
図5を追加参照して、医用診断支援装置1とは異なる部分を中心に説明する。
【0039】
図5は、背側を紙面下側とし、腹側を紙面上側とした直交断面内における腸管Tの断面と、この直交断面に対応させて設定された色相環Cとを併記したものである。この色相環Cは、腸管Tの芯線Aから腹側(紙面上方)に向かう角度が基準角度(0度)として設定されている。そして、この基準角度からの所定角度毎に、それぞれ対応する色彩が設定されている。なお、
図5には対応する色彩を45度毎に大まかに示しているが、例えば0度と45度の間において、0度から45度に近づくに従って徐々に水色から緑色に切り替わる色彩が角度に応じて表示されるように設定されている。このことは、他の角度範囲(4
5度〜360度)においても同様である。勿論、各角度範囲に対して、各々対応する一定の色彩が付されるように設定しても良い。
【0040】
医用診断支援装置1´の作動について、
図2に示すフローチャートに沿って説明する。医用診断支援装置1´では、医用診断支援装置1において実行されるステップS10〜S50に加えて、二点鎖線で示すステップS31およびステップS41が実行される。すなわち、ステップS30とステップS31とが実行された後にステップS40が実行され、また、ステップS40とステップS41とが実行された後にステップS50が実行されるようになっている。このため、ここでは、二点鎖線で示すステップS31およびステップS41を中心に説明する。
【0041】
ステップS20で表示された仮想内視鏡画像を読影者が読影する際、例えば仮想内視鏡画像に表示された関心部Kの位置にポインタを合わせてマウスをクリックすることにより、直交断面内における基準角度から関心部Kまでの角度を入力する(角度入力ステップ;
図2のステップS31参照)。具体的には、例えば
図5において、関心部Kの位置にポインタを合わせてマウスをクリックすることで、基準角度から関心部Kまでの角度、すなわち180度という角度がデータ記憶部12に記憶される。このステップS31で入力された角度は、ステップS30で入力された肛門からの距離に対応付けられて、データ記憶部
12に記憶される。なお、マウスをクリックして基準角度から関心部Kまでの角度を入力する方法に代えて、読影者が仮想内視鏡画像を基に、基準角度から関心部Kまでの角度を読み取って直接入力しても良い。
【0042】
そして、ステップS40により、肛門からの距離に応じた上下位置に位置情報を配置した後、
図5に示す色相環Cに基づいて、各位置情報を基準角度からの角度に応じた色彩により表示させる(色彩付与ステップ;
図2のステップS41参照)。例えばステップS40において
図4に示すリスト表示が得られた後、ステップS41を実行して各位置情報に色彩を付すことにより、体位1の「101cm」が赤色、「23cm」が緑色、体位2の「100cm」が赤色、「22cm」が橙色に表示された場合を想定する。
【0043】
このように色彩が付されたリスト表示をながめて診断を行うとき、まず、体位1と体位2との間で紙面左右方向に表示位置がほぼ一致する、肛門から101cm(100cm)および23cm(22cm)の部分が病変している可能性があると判断できる。左右に並んで表示された体位1の「101cm」および体位2の「100cm」は、両者とも赤色で表示されていることから、直交断面内における関心部Kの位置が同一であることが直感的に一目で判断できる。このように、肛門から101cm(100cm)の部分の関心部Kは、体位1と体位2との間で、直交断面内における位置も同一であるので、この関心部Kは病変部である可能性が非常に高いと判断できる。
【0044】
一方、左右に並んで表示された体位1の「23cm」と体位2の「22cm」とは、表示の色彩が緑色と橙色とで互いに異なっている。このため、位置情報を表示する色彩に基づいて、肛門から23cm(22cm)の位置の関心部Kは、両体位間で直交断面内における位置が異なることを直感的に把握することができる。この場合、体位を変化させたときに、腸管の長手方向に移動せずに直交断面内において移動した残渣Zを検出したものと判断することができる。以上のように、医用診断支援装置1´によれば、色相環Cに基づいて位置情報を色彩表示したリストを表示させることにより、大腸の簡易的な診断の精度を向上させることができる。
【0045】
次に、
図6および
図7を参照しながら、本発明の第2の実施例に係る医用診断支援装置100について説明する。なお、上述した医用診断支援装置1と同一部分には同一番号を付して、その説明を省略する。
【0046】
医用診断支援装置100は、
図6に示すように、制御部111を備える。この制御部111は、関心部特定手段120、位置情報算出手段121、および位置情報表示手段21から構成されている。
【0047】
医用診断支援装置100の作動について、
図7に示すフローチャートに沿って説明する。なお、
図7に示すステップのうちで、
図2に示すステップのいずれかに対応するものについては、
図2における対応するステップを括弧書きで示し、その説明を省略する。
【0048】
〈1〉まず、医用診断支援装置1に医用画像データが入力される(医用画像データ入力ステップ;
図7のステップS110参照)。このステップS110では、上述のステップS10と同様に、仰臥位の状態を撮影した医用画像データと、腹臥位状態を撮影した医用画像データとが、それぞれ入力される。
【0049】
〈2〉制御部111の関心部特定手段120により、入力された医用画像データを基にして、体位毎に診断対象(大腸)内の関心部Kが自動で特定される(関心部特定ステップ;
図7のステップS120参照)。ここで、腸管と病変部BとではCT値が異なるため、例えばCT値に閾値を設定しておくことにより、医用画像データを基にして病変部B(関心部K)を特定することができる。しかし、腸管内に残渣Zが存在する場合、このステップS120において、残渣Zも病変部Bとともに関心部Kとして特定される可能性がある。このため、後述するステップS130およびステップS140が必要となる。
【0050】
〈3〉制御部111の位置情報算出手段121により、ステップS120において特定された関心部Kの、腸管の長手方向における位置が自動で算出される(位置算出ステップ;
図7のステップS130参照)。このステップS130では、各関心部Kの肛門からの距離(位置情報)が算出され、体位別にデータ記憶部12に記憶される。
【0051】
〈4〉制御部111の位置情報表示手段21は、データ記憶部12に記憶された位置情報を読み出して、リスト表示のための表示データを生成する(位置情報配置ステップ;
図7のステップS140参照)。なお、このステップS140の実行内容は、上述したステップS40の実行内容と同一である。
【0052】
〈5〉制御部111の位置情報表示手段21は、ステップS140において生成した表示データを表示装置2に出力して、表示装置2にリストを表示させる(リスト表示ステップ;
図7のステップS150参照)。読影者は、表示装置2に表示されたリストをながめて、異なる体位間で表示位置が左右方向に一致もしくはほぼ一致する位置情報の有無を確認することにより、大腸の簡易的な診断を簡単且つ精度良く行うことができる。
【0053】
上述の医用診断支援装置100において、関心部Kの肛門からの距離に加えて、直交断面内における関心部Kの位置を反映させたリスト表示(
図5に示す色相環Cに基づく色彩表示)を行えば、一層精度良く大腸を診断することが可能になる。この構成を備えた医用診断支援装置100´について、医用診断支援装置1、1´、100とは異なる部分を中心に説明する。
【0054】
医用診断支援装置100´の作動について、
図7に示すフローチャートに沿って説明する。医用診断支援装置100´では、医用診断支援装置100で実行されるステップS110〜S150に加えて、二点鎖線で示すステップS131およびステップS141が実行される。すなわち、ステップS130とステップS131とが実行された後にステップS140が実行され、また、ステップS140とステップS141とが実行された後にステップS150が実行されるようになっている。このため、ここでは、二点鎖線で示すステップS131およびステップS141を中心に説明する。
【0055】
制御部111の位置情報算出手段121は、医用画像データを基にして、直交断面内における基準角度から関心部Kまでの角度を算出する(角度算出ステップ;
図7のステップS131参照)。このステップS131で算出された角度は、ステップS130で算出された肛門からの距離に対応付けられて、データ記憶部12に記憶される。
【0056】
続いて、ステップS140により、肛門からの距離に応じた上下位置に位置情報を配置した後、
図5に示す色相環Cに基づいて、各位置情報を基準角度からの角度に応じた色彩により表示させる(色彩付与ステップ;
図7のステップS141参照)。このように、医用診断支援装置100´は、色相環Cに基づいて位置情報を色彩表示したリストを表示させることにより、大腸の簡易的な診断の精度を向上させることができる。
【0057】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々に態様を変更することが可能である。
【0058】
上述の実施形態において、
図4に示すリスト表示を例示して説明したが、これに代えて、
図8に示すリストを表示させるようにしても良い。
図8に示すリストは、
図4に示すリストに対して、位置情報のそれぞれに、当該位置情報が示す部分が病変している可能性の高低を表すマークMを付記したものである。例えば、体位間で1cm以内の対応する位置情報が存在する場合、この位置情報が示す部分が病変している可能性が高いとして「○」のマークMが付記される。また、体位間で1cmより大きく5cm以内の対応する位置情報が存在する場合、この位置情報が示す部分が病変している可能性がそれほど高くないと
して「△」のマークMが付記される。さらに、体位間で5cm以内の対応する位置情報が存在しない場合、この位置情報が示す部分は残渣の可能性が高いとして「×」のマークMが付記される。このように、マークMを付記したリスト表示を行えば、マークMに基づいてより直感的に病変している可能性が高い部分を把握することができる。
【0059】
上述の実施形態において、
図4に示すような、体位毎に位置情報を上下に並べたリスト表示を例示して説明したが、これに代えて、位置情報を左右に並べたリスト表示も可能である。
【0060】
上述の実施形態において、
図9(a)に示すように、腸管Tの長手方向に沿って関心部Kが存在する場合の位置情報の表示方法として、次の3つの方法のいずれかを選択可能である。第1の方法として、長手方向における関心部Kの中心位置(101cm)を、位置情報として表示させることが可能である。第2の方法として、長手方向における関心部Kの始点位置(99cm)と終点位置(103cm)を、位置情報として表示させることが可能である。第3の方法として、上記第1と第2とを組み合わせた方法、すなわち、始点位置および終点位置の表示とともに中心位置を併せて表示させる方法も可能である。
【0061】
また、
図9(b)に示すように、直交断面内において腸管内側に沿って関心部Kが存在する場合の、色相環Cに基づく色彩表示として、次の2つの方法のいずれかを選択可能である。第1の方法として、関心部Kの中心位置(135度)に基づく色彩(黄色)により、位置情報を表示させることが可能である。第2の方法として、関心部Kの始点位置(90度)から終点位置(180度)に至る色彩、すなわち、黄緑色〜黄色〜赤色へと徐々に変化する色彩により、位置情報を表示させることが可能である。
【0062】
上述の実施形態では、直交断面内における関心部Kの位置に基づいた色彩(色相環Cに基づく色彩)により、位置情報を表示させる例(医用診断支援装置1´,100´)について説明した。これに代えて、各位置情報を囲む枠を位置情報とともに表示させる構成とし、当該枠を、直交断面内における関心部Kの位置に基づいた色彩により表示させるようにしても良い。また、位置情報の表示背景を、直交断面内における関心部Kの位置に基づいた色彩により表示させる構成も可能である。さらに、色彩表示のためのマークを各位置情報に隣接させて設け、当該マークを、直交断面内における関心部Kの位置に基づいた色彩で着色して表示するようにしても良い。
【0063】
上述の実施形態において、残渣Zを腸管内で移動させて病変部Bと残渣Zとを区別するために、仰臥位と腹臥位との間で体位を変化させる場合について説明した。これらの体位(仰臥位および腹臥位)は一例であって、腸管内で残渣Zを移動させることができれば、他の体位間において変化させるようにしても良い。
【0064】
上述の実施形態において、CTにより撮像された医用画像データを用いる場合を例示したが、MRIや内視鏡により得られた医用画像データを用いることも可能である。また、例えば、仰臥位の医用画像データをCTにより取得し、一方で腹臥位の医用画像データを内視鏡により取得し、これらの医用画像データを基にして得られる位置情報を、体位毎に並べてリスト表示させることも可能である。
【0065】
上述の実施形態においては、体位を仰臥位と腹臥位との間で変化させて医用画像データを取得し、これら2つの体位毎の位置情報をリスト表示させる構成について説明した。この構成に代えて、例えば互いに異なる3つ以上の体位において医用画像データを取得し、これら3つ以上の体位毎の位置情報をリスト表示させる構成も可能である。
【0066】
上述の実施形態においては、関心部Kの肛門からの距離を位置情報としてリスト表示させる構成例について説明したが、この構成に代えて、大腸の他の部分(例えば、口側の端部)からの距離を位置情報としてリスト表示させる構成でも良い。
【0067】
上述の実施形態においては、大腸を診断対象とした場合の例について説明したが、本発明を適用して大腸以外の管腔状組織、例えば気管支、リンパ管、小腸および脊椎等の診断を行うことが可能である。