(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の実施形態の例を、図面を用いて説明する。なお、下記実施形態において共通する構成要素については、前出の符号と同様な符号を付し説明を省略することがある。また、構成要素等の形状、位置関係等に言及する場合は、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。
【0023】
<実施形態1>
図1は、本発明の実施形態1による微弱電流器具1の一例を示している。
【0024】
図1に示すように、微弱電流器具1は、持ち手部2と、作用部3とを有している。持ち手部2は、片手で握りやすい形状であって、全体としては概略L字形の形状を有している。作用部3は、持ち手部2の先端部に接合している。作用部3は板状の形状を有し、背面で持ち手部2の先端部に固定され、使用時は前面(肌接触面)を肌に押し当てて(接触させて)使用する。作用部3の平面的形状は任意の形状にすることができるが、
図1の例では三日月形の形状を有している。三日月形の形状は目の下や頬等に当てるのに好適である。
【0025】
作用部3は底面(後面)に基部16を有し、その前面に導電部4を有している。導電部4の上には、正電極部5と負電極部6が設けられている。
【0026】
導電部4は、導電性を有するシート状のものである。導電部4は導電性を有していればよく、アルミ板を含む金属シート、金属膜や金属シートを含む樹脂シート、金属や炭素粉末などを混入した導電体や導電性繊維を混入させた樹脂シート、金属膜や金属シートを設けたゴム等を用いることができる。また、スポンジのような弾力のある素材でも良い。また、導電部4は、剛性のある板材を用い、基部16を兼ねるようなものでも良い。また、導電部4は、板でなくてもよく、網状のシートや格子状のシートを含む概念である。
【0027】
正電極部5と負電極部6は、電位差を有する金属からなり、導電部4に電気的に接合し、互いに離間して配置されている。正電極部5と負電極部6は、それぞれの極性ごとに少なくとも1個あり、全体として少なくとも2個の正電極部5と負電極部6が正負交互に配置されているのが望ましい。正電極部5と負電極部6は、形態としては薄膜でも薄い金属片でもよい。また、正電極部5と負電極部6は、導電部4に蒸着やスパッタリングやメッキによって導電部4上に形成した金属層や金属粒子をバインダーで混ぜたものでもよい。
【0028】
また、導電部4は必ずしも平面でなくともよく、凸面を構成し、正電極部5と負電極部6をその曲面に沿って配置することにより、両電極部が肌に触れやすくすることができる。また、凸面とすることで局部押圧効果も期待できる。また、導電部4は凹面を構成し、正電極部5と負電極部6をその曲面に沿って配置してもよい。さらに、基部16が凸面または凹面を構成し、導電部4と正電極部5と負電極部6をその曲面に沿って配置してもよい。
【0029】
さらに、両電極部の表面を凸または凹形状としたり、凸状のパターン模様をつけたりすることで肌面に対する刺激の変化を与えることができる。さらに、大きな凸部の表面に小さな凸部を設けることで、肌の凸凹に対する細かな密着を高めることができる。
【0030】
凸面の高さは毛穴や肌を考慮し0.2mmから5mmとし、好ましくは0.3mmから3mmとする。
【0031】
また、凸面表面に凸面を設けるときの大きさは毛穴などを考慮し0.2mmから3mmの範囲、好ましくは0.3mmから2mmとする。
【0032】
正電極部5と負電極部6の間には、絶縁部7が設けられている。絶縁部7は、正電極部5と負電極部6の間の導電部4の露出部を覆っている。絶縁部7は、絶縁体(材)からなり、シート状のものやテープ状のものを用いることができ、塗料のようにして形成した膜や層のようなものでもよい。絶縁部7について、
図2を用いてさらに詳しく説明する。
【0033】
図2(a)は微弱電流器具1の作用部3の横断面を示している。
図2(b)、
図2(c)は、
図2(a)の部分拡大図である。
【0034】
図2(a)に示すように、作用部3は、底面に基部16を有し、その上に導電部4を有し、さらにその上に正電極部5と負電極部6を設けている。正電極部5と負電極部6は、正負交互に、互いに離間して配置されている。絶縁部7は、正電極部5と負電極部6の間の導電部4の露出部を覆っている。例えば、覆う幅d3,d1は、1mmから10mm、好ましくは2mm〜8mmである。さらに、正電極部5を構成する箔と負電極部6を構成する箔の対向する縁部の各箔の内側の所定位置まで延在している。絶縁部7が正電極部5と負電極部6の縁部に重なることにより、正負電極部5,6と導電部4の間に短絡的な電流が流れることを防止することができる。
【0035】
重なり部分の幅d4,d2は、例えば、0.5mm〜10mm、好ましくは、1mm〜5mmである。
【0036】
絶縁部7は、第1絶縁部710とこれとは異なる第2絶縁部720とを含み、第2絶縁部720が肌接触面の縁部に位置し、第1絶縁部710が肌接触面の縁部以外の位置に位置する。
図2(b)に示すように、第1絶縁部710は、正電極部5の縁部を上から覆う第1被覆部711と、負電極部6の縁部を上から覆う第2被覆部712と、正電極部5と負電極部6との間の導電部4の露出部を上から覆う第3被覆部713とを含む。第1被覆部711及び第2被覆部712の幅が上記幅d4、第3被覆部713の幅がd3である。ここでは、第3被覆部713は、正電極部5と負電極部6との間の導電部4の露出部全体を上から覆っている。
【0037】
図2(c)に示すように、第2絶縁部720は、正電極部又は負電極部の縁部を上から覆う第1被覆部721と導電部4の露出部を上から覆う第2被覆部722と、を含む。第1被覆部721の幅が上記幅d2、第2被覆部722の幅がd1である。ここでは、第2被覆部722は、肌接触面の縁部における導電部4の露出部全体を上から覆っている。
【0038】
図2(a)に示すように、正電極部5と負電極部6は、電位差を有しているため、皮膚に当てると、電池回路を形成する。すなわち、負電極部6から正イオンが電離し、電子が正電極部5に移動し、正電極部5と負電極部6に電位差が生じる。この電位差によって、皮膚に微弱な電流が流れる。この微弱電流は、小さな電流であるため、皮膚の表面の組織を損傷させずに皮膚の真皮層に入り、人間の細胞組織のイオン配列を整え、皮膚に対しては美容効果を有し、ツボに働けば人体の生体活動を活性化し、病気の治癒や予防に効果を有する。
【0039】
これらは、異種金属接触腐食や局部電池とも呼ばれ、正電極部5はカソード部品とも呼ばれ、例えば金(Au+)、原子量197.2、標準電極電位は+1.50ボルト、負電極部6はアノード部品とも呼ばれ、例えば、アルミニウム(Al+++)、原子量26.97、標準電極電位は−1.337ボルト、亜鉛(Zn++)、原子量65.38、標準電極電位は−0.762ボルト、となる。導電部4上に形成しやすく、肌に障害のない金属を適宜選択することが有用である。なお、上記は一例であり、アルミニウムのように金属自体が酸化し酸化被膜を形成する場合、標準電極電位で示された電位と異なることもある。また、両電極間の配置間隔や、電極の面積、肌の密着度、及び状態などにより発生する電流の量は異なる。
【0040】
これらの各電極の表面に小さな凸凹を設けることで、肌との接触を滑らかにしたり、肌との接触を促進したり、均一にする事が出来る。凸凹は、例えばサンドブラスト仕上げの様なものや、筋状や、網状、イボ状などの模様を設けても良い。
【0041】
正電極部5と負電極部6が完全に絶縁されていることにより、正電極部5と負電極部6と導電部4の間の短絡電流が遮断され、電流の全部が皮膚に流れ、効率的に微弱電流が利用される。正電極部5と負電極部6の電位差によって生じる電流が微弱であるため、効率よく電流が利用されることは重要である。
【0042】
ここで、上記の電池回路を生成する生体電池について
図3を用いて説明する。
【0043】
生体電池55とは生体に接触することにより生体との間で電池回路を形成する構成をいい、導電部56と、正電極部57と、負電極部58と、絶縁部59,59’とを有している。
【0044】
導電部56とは、導電性材料からなり、正電極部57と負電極部58の間を電気的に接続するものである。上述したように、導電部56は、金属シート、金属膜や金属シートを含む樹脂シート、導電体や導電性繊維を混入させた樹脂シート、金属膜や金属シートを設けたゴム等を用いることができる。正電極部57とは、生体電池55の中で正電極として働く部分をいう。正電極部57は、標準電極電位より高い電位を有する金属、導電体等を用いることができる。負電極部58とは、生体電池55の中で負電極としては働く部分をいう。負電極部58は、標準電極電位より低い電位を有する金属、導電体等を用いることができる。絶縁部59,59’とは、絶縁性を有するものであればよく、例えば
図3(a)の絶縁部59のように絶縁部材からなるものでもよいし、または、
図3(b)の絶縁部59’のように空間からなるものでもよい。ただし、絶縁部59,59’は、正電極部57と負電極部58を導電部56以外は互いに分離するように、正電極部57と負電極部58の間を絶縁する。また、絶縁部59,59’は、正電極部57と負電極部58とそれぞれの近傍の導電部56との間で短絡的に電流が流れないように、正電極部57と負電極部58と導電部56の間を絶縁する。
【0045】
図3(b)は、絶縁部59’が空間からなる場合を示している。
図3(b)において、正電極部57と負電極部58は肌面方向(肌接触面方向)すなわち人体60の方向に向かって突出しており、これにより、正電極部57と負電極部58との間に空間が形成され、この空間が絶縁部59’になっている。
【0046】
ここで、正電極部57は、標準電極電位より高い電位を有する金属、導電体等を用いることができる。負電極部58とは、標準電極電位より低い電位を有する部分としているが、正電極部57と負電極部58間に電位差が発生すれば良いものである。
【0047】
かかる構成の生体電池55を生体、たとえば人体60に接触させると、絶縁部59,59’で絶縁されて互いに分離した正電極部57と負電極部58が人体60に接触する。正電極部57と負電極部58は、人体60に接触すると電位差を有しているため、正電極57から電子e−が、また、負電極58から正イオン+が同時に体内に注入される。注入された電子e−は体内のイオンを還元し、また、正イオン+は体内イオンを酸化する結果、イオン電流62が発生して体内を流れる。このイオン電流62が前述したように体内組織を刺激して治癒効果などを発揮すると考えられる。
【0048】
このように、微弱電流器具1は、体内電流を整える効果や繊維細胞に刺激を与え活性化を促す効果が期待できる。皮膚は体の表面を覆ており、表皮と真皮の厚さは0.6mmから3mmであり、その下に皮下組織、脂肪組織、神経、血管、筋肉、骨や内臓などが存在するとされる。皮膚はバリア機能を有し、皮膚組織は横方向(表皮方向)に電気抵抗が高く、縦方向(皮膚と直角方向)に電気抵抗が低くなる傾向があることから、皮膚に接触させる微弱電流器具の両電極間の最短距離(2mm〜25mm、好ましくは3mm〜15mm)を皮膚の厚さ以上に設けることで、体内の神経や筋肉、血管などにも電流が届きやすくなる。
【0049】
図4(a)、
図4(b)は、
図1の微弱電流器具1のうち、作用部3の変形例を示している。
【0050】
図4(a)に示すように、作用部3aは、基部16の上に導電部4を設け、導電部4の上に負電極部6aを配置している。負電極部6aの上にさらに正電極部5aを設けている。負電極部6aを構成する箔は好ましくは細長形状を有し、正電極部5aを構成する箔は負電極部6aを構成する箔と交差して配置されている。負電極部6aを構成する箔の縁部と導電部4の接合する部分、および、正電極部5aを構成する箔の縁部と負電極部6aを構成する箔の接合する部分は絶縁部7aによって覆われている(絶縁されている)。絶縁部7aによって、電極部間の間隔を定めることもできる。
【0051】
上記電極部の極性は反対でもよい。すなわち、導電部4の上に正電極部5aを配置し、その上に負電極部6aを配置してもよい。
【0052】
正電極部5aを構成する箔と負電極部6aを構成する箔の縁部の接合する部分が絶縁されているため、正電極部5aと負電極部6aは、肌に接触すると電極部として電位差を生じ、電池回路を形成することができる。既述したように、電池回路による微弱電流が生じ、人体に対して種々の効果を奏することができる。
【0053】
図4(b)に示すように、正電極部5aは、導電性の接着剤8a(粘着剤等を含む)で貼り付けてもよい。これによって、簡易に製造でき、また、接着剤に電気抵抗を持たせて過電流を防止することもできる。
【0054】
図5(a)は、
図1の微弱電流器具1のうち、作用部3の変形例を示している。
図5(b)及び
図5(c)は、
図5(a)の部分拡大図である。
【0055】
本変形例は、導電部4の一部を負電極部6bとしたものである。
【0056】
例えば、導電部4を亜鉛として、正電極部に金を使用し、一方導電部4の亜鉛をそのままを利用して負電極部6bとすることができる。導電部4の一部を利用することにより、新たに負電極部6bを形成することを不要とすることができる。導電部4には、アルミニウムやチタン等が用いられてもよい。
【0057】
また、導電部4(負電極部6b)の周辺を絶縁部7bで覆う事で周辺からの電流の漏れを防ぐ事で、肌への周辺角の圧力での角からの電流の増大を防止している。
【0058】
図5(b)に示すように、第1絶縁部710bは、正電極部5bの縁部を上から覆う第1被覆部711bと、導電部4(負電極部6b)の正電極部5bとの隣接部を上から覆う第2被覆部712bとを含む。また、
図5(c)に示すように、第2絶縁部720bは、導電部4(負電極部6b)の縁部を上から覆う第1被覆部721bと基部16の縁部を上から覆う第2被覆部722bと、を含む。
【0059】
また、正電極部5bを例えば、銀(Ag+)原子量107.88、標準電極電位は+0.799ボルトや、銅(Cu++)原子量63.54、標準電極電位+0.345ボルトを電極部として構成することで、正電極部を導電部4で賄うことで新たに正電極部5bを形成することを不要とすることもできる。
【0060】
なお、これらの各部位の金属に適度に他の金属を混ぜ、合金とすることで、正負電極部間の電位差を調整する事が出来る。例えば歯科材料として金パラジウム合金(金12%、銀46%、パラジウム20%、銅20%、その他)などがある。これらの合金の割合を変える事で電位差を変更しても良い。
【0061】
図6は、本発明実施形態1による微弱電流器具の作用部を分解して示している。
【0062】
図6の作用部は、基部16に対して作用部分aを付け替え可能にしたものである。作用部分aは、例えば
図2、
図4や
図5のような導電部と正負の電極部と絶縁部を薄く形成した電極シート9を有している。電極シート9の肌接触面(電極部が露出している面)には保湿シート10が設けられている。保湿シート10のさらに上面には剥離紙11が設けられている。
【0063】
電極シート9の電極面と反対側の面には接着剤層12を介して緩衝材13が設けられている。緩衝材13の下側には接着剤層14が設けられている。接着剤層14のさらに下側には剥離紙15が設けられている。作用部分aは剥離紙11,15を有することにより、取替用の部品として便利に保管・販売等することができる。また、剥離紙15により、基部16に対して作用部分aを着脱可能に装着することができる。装着するときは、剥離紙15を剥がし、接着剤層14を介して基部16に取り付けることができる。
【0064】
使用するときは、剥離紙11を剥がし、保湿シート10を介して電極シート9を肌に当てるようにする。保湿シート10は導電性を有し、肌に密着し、電極シート9の微弱電流を肌に伝えることができる。これにより、既述したような効果を奏することができる。
【0065】
図7は、実施形態1の他の例による作用部3cの正面(肌接触面)を示している。
【0066】
作用部3cは、図示しない導電板の上に細長形状の正電極部5cを構成する箔と負電極部6cを構成する箔を有している。正電極部5cと負電極部6cは、極性ごとに少なくとも1個の電極部を有し、全体として少なくとも2個の電極部が、正負交互にほぼ平行に配置されている。
【0067】
正電極部5cと負電極部6cの上には絶縁部7cが配置され、絶縁部7cは開口部17を有している。開口部17は、正電極部5cを構成する箔および負電極部6cを構成する箔と直交する方向に列状に配列され、正電極部5cと負電極部6cに直交する方向に見て、開口部17を介して正電極露出部18と負電極露出部19が交互に露出するようになっている。
【0068】
なお、別の方法で、正電極露出部18と負電極露出部19を形成してもよい。すなわち、正電極部5cと負電極部6cの間の部分を細長形状のシート状の絶縁部7cでシールし、さらに、正電極部5cを構成する箔と負電極部6cを構成する箔に直交するように、細長形状のシート状の絶縁部7cを貼ることにより、格子状に正電極露出部18と負電極露出部19を形成してもよい。
【0069】
各電極露出部の形状は、ここでは四角としているが、円や楕円、長方形、多角形などでも良い。また、形状は平面でなく球面状などの凸面を形成しても良い。さらには凸面がパターンを示すものでも良い。
【0070】
<実施形態2>
図8は、実施形態2による微弱電流器具1dの一例を示している。
図9〜
図11は作用部3dを説明するための図である。微弱電流器具1dは、持ち手部2dと、作用部3dとを有している。
【0071】
持ち手部2dは、手で握る部分である握り部210dと、作用部3dを保持する部分である保持部220dとを含む。図示の持ち手部2dは、握り部210dと保持部220dとが所定角度をなして、全体として略L字形状である。ここでは、握り部210dの全体方向で使用者の把持方向であるYと、保持部220dが延びる方向である保持方向Xは、略垂直である。保持部220dは、先端に保持軸221dが設けられる。作用部3dは、この保持軸221dに回転可能に接続される。
【0072】
作用部3dの基部16dは、一例として、図示のように、円柱状である。基部16dは円柱形状の中心を貫通する保持孔161dを有し、保持孔161dに保持軸221dが嵌入されて、基部16dないし作用部3dが持ち手部2dに接続される。
【0073】
作用部3dは、保持軸221dに着脱可能な止め具310dを備えてもよい。作用部3dを保持軸221dに接続した後、止め具310dを保持軸221dの先端に取り付けることで、作用部3dが保持軸221dから外れることを防止できる。
【0074】
作用部3dは、基部16dの外周上の表面(外周面)に設けられる正電極部5dと、負電極部6dと、絶縁部7dとを含み、負電極部6dが導電部を兼ねている。なお、以下の各実施形態ないしその変形例では、負電極部が導電部を兼ねる例を説明するが、正電極部が導電部を兼ねるように構成されてもよい。
【0075】
一例として、正電極部5d、負電極部6d及び絶縁部7dのそれぞれが、帯状に基部16dの外周を囲うように設けられる。なお、ここでは、負電極部6dが外周面の略中央に帯状に1つ設けられ、その略中央に正電極部5dが1つ重ねられる例が図示されているが、正電極部5dの数は、負電極部6dのX方向の幅などを考慮して適宜な数としてもよい。また、負電極部6dは複数でもよく、この場合、正電極部5dは同数あり、負電極部6dそれぞれの略中央に重ねられる。
【0076】
図9を用いて作用部3dの形成過程の一例を説明する。まずは、
図9(a)の基部16dに、亜鉛板(箔等)を貼り付けることで、
図9(b)の負電極部(層)6dが形成される。次に、
図9(b)の負電極部6d上に、金(又は銀、白金、白金ロジウム等)の箔等を貼り付けることで
図9(c)の正電極部5dが形成される。最後に、
図9(c)の正電極部5dと負電極部6dとの境301d、及び負電極部6dと基部との境302dを、上から覆うように絶縁体(絶縁膜等)を貼り付けることで、
図9(d)の絶縁部7dが形成される。絶縁部7dが設けられることで、境301d及び境302dが直接肌に接触しないようになる。
【0077】
負電極部5dは、基部16dの外周面の一部または全体に、メッキを施すことで形成されてもよい。また、正電極部6dは、負電極部5d上にメッキを施すことで形成されてもよい。また、絶縁部7dは、印刷されて形成されて塗布されてもよい。
【0078】
ここでは、絶縁部7dの幅を調整することで、両電極部間の間隔を調整できる。例えば、微弱電流器具を顔に接触させて使用する場合、顔は皮膚が薄く、皮下組織は薄くない部位であるため、両電極部間の最短距離を皮膚の厚さ以上に設けることで(例えば1mm〜13mm、好ましくは2mm〜8mm)、皮膚や体内の神経、筋肉、血管等に充分に電流が届けられるようになる。
【0079】
図10は、負電極部6dが貼付け等で形成された場合の作用部3dの一例を示す横断面図である。第1絶縁部710dは、境301dを跨って、正電極部5dの縁部を上から覆う第1被覆部711dと、導電部である負電極部6dの、境ないし正電極部5dの縁部に隣接する部分である隣接部を上から覆う第3被覆部713dと、を含む。負電極部6dが下層(下方)で、正電極部5dが上層(上方)であるため、第1被覆部711dは上層の縁部を上から覆う部分であり、第3被覆部713dは下層の隣接部を上から覆う部分であるとも言える。図示のように、第1絶縁部710dは断面視階段状である。
【0080】
第2絶縁部720dは、境302dを跨って、負電極部6dの縁部を上から覆う第1被覆部721dと、基部16dを上から覆う第2被覆部722dと、を含む。基部16dが下層(下方)で、負電極部6dが上層(上方)であるため、第1被覆部721dは上層を上から覆う部分で、第2被覆部722dは下層を上から覆う部分であるとも言える。図示のように、絶縁部720dは階段状である。
【0081】
第1絶縁部710dの第1被覆部711dの幅d4と、第2絶縁部720dの第1被覆部721dの幅d2とは、同じ幅でもよいし、異なる幅でもよい。また、第1絶縁部710dの第3被覆部713dの幅d3と、第2絶縁部720dの第2被覆部722dの幅d1とは、同じ幅でもよいし、異なる幅でもよい。幅d4、d2は、例えば、0.5mm〜10mmで、幅d3、d1は、0.5mm〜10mmである。
【0082】
図11は、負電極部6dがメッキを施すことで形成された場合の作用部3dの一例を示す横断面図である。図示のように、基部16dの外周面全体にメッキが施された場合、外周面において負電極部6dと基部16dとの境302dが存在しないため、第2絶縁部720dを設ける必要はない。第1絶縁部710dは、上記と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0083】
微弱電流器具1dは、円柱状の基部16dを回転可能にし、それに作用部分を設けることで、作用部を回転可能に構成している。微弱電流器具1dは、転がすことで、人体の広い範囲にスムーズに接触できる。また、マッサージ効果も得られる。
【0084】
なお、上記では、負電極部6dが導電部を兼ねている例を説明したが、負電極部は、導電部と別途設けてもよい。この場合、基部上に導電部が配置され、導電部上に負電極部及び正電極部が配置されることになる。そのため、第1絶縁部は、導電部と負電極部との堺及び導電部と正電極部との堺の両方を覆うように設置される。基部と導電部との堺を覆う第2絶縁部が設けられてもよい。
【0085】
<実施形態2の変形例1>
図12は、実施形態2の変形例1による微弱電流器具1eの一例を示している。
図13〜
図15は、作用部3eを説明するための図である。微弱電流器具1eは、持ち手部2eと、作用部3eとを有している。
【0086】
持ち手部2eは、全体として略Y字形状である。保持部220eは、握り部210eの先端から枝分かれして延びる2つの保持腕230eを含む。図示しないが、2つの保持腕230eの先端には、相手方向に向かって延びる保持軸がそれぞれ設けられる。握り部210eの把持方向と、保持軸が延びる方向である保持方向は、略垂直に交差する。作用部3eは、2つの保持腕230eに回転可能に接続される。
【0087】
作用部3eの基部16eは、一例として、図示のように、略紡錘形状である。基部16eは、紡錘形状の中心を貫通する保持孔を有し、2つの保持軸がこの保持孔に嵌入されて、基部16eないし作用部3eが持ち手部2dに接続される。作用部3eは、2つの止め具310eを備えてもよい。止め具310eによって、基部16eの両端を支えることで、保持軸との接続が容易になり、強固になる。さらに、安定して力を入れることができ、平均的に圧力をかけることができる。
【0088】
作用部3eは、さらに、正電極部5eと、負電極部6eと、絶縁部7eとを含み、負電極部6eが導電部を兼ねている。作用部の形成過程は、上記と同様であり、ここでは、説明を省略する。
【0089】
図13は、作用部3eの一例を示す横断面図である。第1絶縁部710eは、上記絶縁部710dと同様であるため、ここでは、説明を省略する。
【0090】
図14(a)、
図14(b)は、作用部3eの他の例を示す横断面図である。
図14(a)に示すように、基部16eには、正電極部及び絶縁部の設置方向と平行に外周面から突出するリブ162eが設けられてもよい。言い換えれば、リブ162eは、基部16eの外周面に、周方向に延びるように凸設される。負電極部6eは、基部16eの外周面にメッキなどで設けられるため、負電極部6eがリブ162eの表面を覆っている。言い換えれば、負電極部6eは、凸状の部分によって区画されている。正電極部5eは、リブ162eによって区画された領域内、ここではリブ形状の間に設置される。そのため、正電極部5eと負電極部6eとの境301eも、この区画された領域内に位置し、第1絶縁部710eも、同領域内に設置される。なお、リブ形状は基部ではなく、負電極部6e自体に設けられてもよい。例えば、負電極部6eにチタン部材やステンレス部材等の金属部材が用いられ、これらの金属部材にリブ形状を設けてもよい。
【0091】
図14(b)に示すように、正電極部5eもリブ状に形成されてもよい。また、基部16eに、リブ162eより低いリブ165eを設けて、正電極部5eをリブ165e上の負電極部分に重ねることで、正電極部5eの基部16eからの突出高さを負電極部6eより低くしてもよい。この場合、第1絶縁部710eは、例えば、正電極部5eのリブ形状の縁部を覆う部分と、リブ162eのふもとまでの負電極部分を覆う部分とを含んで、両リブ形状の間に設置されてもよい。
【0092】
なお、ここでは、リブ形状は、基部に凸設してもよいし、負電極部に用いられる金属部材を、リブ形状以外を凹ませて図示の大きいリブと小さいリブが交互に現れる形状に形成してもよい。
【0093】
図15は、作用部3eの他の例を示す横断面図である。図示のように、正電極部5eは、断面において中央部分がドーム状、イボ状に突出するように形成されてもよい。言い換えれば、正電極部5eは、中央部分が突出してリブ状であり、周方向に延びているように形成されてもよい。
【0094】
なお、作用部3eは、導電部が負電極部とは独立して形成され、負電極部も正電極部と同様にリブ状であってもよい。また、リブの中央部分の断面形状は平面視四角状や三角状などの形状であってもよい。
【0095】
<実施形態2の変形例2>
図16は、実施形態2の変形例2による微弱電流器具1fの一例を示している。
図17は他の例を説明するための図、
図18はその作用部3fの例を説明するための図である。微弱電流器具1fは、持ち手部2dと、複数の作用部3fと、隔離具320fとを有している。なお、微弱電流器具1fは、持ち手部2dと、1つの作用部3fのみから構成されてもよい。
【0096】
作用部3fの基部16fは、略円盤状である。基部16fは、円盤形状の中心を貫通する保持孔161fを有し、この保持孔161fに保持軸221fが挿通されて、基部16fないし作用部3fが持ち手部2dに接続される。
【0097】
作用部3fは、正電極部5fと、負電極部6fと、絶縁部7fとを含み、負電極部6fが導電部を兼ねている。一例として、負電極部6fが基部16fを周方向に一周して囲うようにループ状に設けられ、その上に正電極部5fが重ねられる。正電極部5fは、周方向と垂直に設けられ、基部16fの外周面ないし負電極部6fを横切るように設けられる。
【0098】
絶縁部7fは、正電極部5fが負電極部6fの上にこれを横切るように重ねられたことによって生じる境301fを上から覆うように設けられる。絶縁部7fは、正電極部5fの縁部を覆う第1被覆部と、導電部である負電極部6fの隣接部を覆う第3被覆部と、を含んで、負電極部6fを横切るように設けられる。
【0099】
これによって、作用部3fは、肌接触面である外周面において、正、負電極部及び絶縁部が周方向に垂直な(円盤状の厚みに沿う)帯状に分布される。
【0100】
作用部3fには、設置溝が設けられてもよい。
図17及び
図18は微弱電流器具1fに設置溝が設けられる例を説明するための図で、
図17では電極部等が省略され、
図18で電極部等が示されている。
【0101】
図示のように、設置溝163fは、基部16fの外周面に凹設される。設置溝163fは、基部16fの外周面を周方向に垂直に横断するように設けられる。言い換えれば、設置溝163fは、外周面を円盤形状の厚み方向に横切るように設けられる。後述のように、設置溝163fを設けることで、正電極部や負電極部、絶縁部の設置位置を区画しやすくなり、加工しやすくなる。また、設置溝163fによって段差が生じるため、マッサージ効果が高められる。
【0102】
図18を用いて作用部3eの形成過程の一例を説明する。まずは、
図18(a)の基部16fに、亜鉛のメッキ、スパッタリング、蒸着、貼り付けなどを施すことで、負電極部(層)6fが形成される。ここでは、基部16fに設置溝163fが設けられているため、負電極部6fは、溝部分と溝部分の間の高台部分を含む形状となる。
【0103】
次に、
図18(b)の負電極部6eの所定の高台部分に、金(又は銀、白金、白金ロジウム等)を、マスキング、メッキ、スパッタリング、蒸着、貼り付けなどすることで、正電極部5fが形成される。正電極部5fは、全ての高台部分ではなく、例えば、1つ置きに設けられる。また、正電極部5fは、両端部が高台部分上に位置するように設けてもよいし、図示のように、溝部分にかかるように設けてもよい。
【0104】
次に、
図18(c)の正電極部5fの縁部と、負電極部6fの溝部分内に絶縁体(絶縁膜、絶縁層等)を貼り付けることで、第1絶縁部710fが形成される。第1絶縁部710fは、正電極部4fの端部を上から覆う第1被覆部711fと、導電部でもある負電極部の隣接部である溝部分を上から覆う第3被覆部713fと、を含んで、図示のように、例えば、断面視V字形状に設けられる。
【0105】
微弱電流器具1fは、一の作用部3fを保持軸221fに挿通させて接続した後、隔離具320fを嵌めてから、他の作用部3fを挿通させて接続し、さらに、止め部310fを保持軸221fの先端に螺合させて、完成する。なお、3つ以上の作用部3fを含んで、2つ以上の隔離具320fで隔離して構成されてもよい。
【0106】
微弱電流器具1fは、複数の作用部3fを設けることで、所定距離をおいて、人体の複数の部分に同時に接触して作用することができる。また、隔離具を用いることで、作用部3fの間隔を容易に調整できる。複数の作用部3fは、軸方向の幅が異なるものでもよい。また、複数の隔離具320fは、軸方向の幅が異なるものでもよい。微弱電流器具1fは、作用部3fの回転により正電極部と負電極部がかわりがわり皮膚表面に当たることで、電流の当たる位置と、電流の流れる方向が変化する。これにより、肌により変化のある刺激を与えることが可能である。
【0107】
<実施形態3>
図19は、実施形態3による微弱電流器具1gの一例を示している。
図20は、作用部3gを説明するための図である。微弱電流器具1gは、持ち手部2gと、作用部3gとを有している。持ち手部2gは、保持軸221gが導電部4gを兼ねる点を除き、上記持ち手部2dと同様である。保持軸221gの少なくとも一部は導電部4gを兼ねている。
【0108】
作用部3gは、正電極部5g、負電極部6g、絶縁部7g及び電極部4g(保持軸221g)を含んで構成される。正電極部5g、負電極部6g及び絶縁部7gは、それぞれが略円盤状に構成され、円盤形状の中心に保持孔501g、601g及び701gがそれぞれ設けられて、保持軸221gに挿通される。これによって、作用部3gは、回転可能になる。
【0109】
正電極部5g及び負電極部6gは、円盤状の部材に所定の金属メッキを施すこと等で構成される。正電極部5g及び負電極部6gは交互に配置され、更に両者の間には絶縁部7gが挟まれる。作用部3gの肌接触面は、この正電極部5g、負電極部6g及び絶縁部7gの外周面によって構成される。
【0110】
図20は、作用部3gの人体との接触面である肌接触面を説明するための図である。図示のように、絶縁部7gの第1絶縁部710gは、第1被覆部711gと、第2被覆部712gと、第3被覆部713gとを含む。第3被覆部713gは円盤状の本体部分である。第1被覆部711g及び第2被覆部712gは、周縁部分が厚み方向に延出してなる部分である。第1被覆部711g及び第2被覆部712gは、隣接する正電極部5g及び負電極部6gの周縁部をそれぞれ上から覆う。正電極部5g及び負電極部6gは、周縁部がC面取りされてそれぞれ面取り部502g、602gを含んでもよい。この場合、第1被覆部711g及び第2被覆部712gは、断面視において面取り部502g及び602gと対応した三角形状に形成される。
【0111】
微弱電流器具1gにおいても、肌接触面において、正電極部5gと導電部4gとの境301g、負電極部6fと導電部4gとの境301gは、第1絶縁部710gによって覆われている。
【0112】
微弱電流器具1gは、共通の基部を含めず、正電極部5g、負電極部6g及び絶縁部7gが独立して形成されるため、取替えや調整を個別に行える。また、保持軸221gを導電部として構成することで、構造を簡略化できる。
【0113】
<実施形態4>
図21は実施形態4による微弱電流器具1hの一例を示している。
図22〜
図23は、作用部3hを説明するための図である。微弱電流器具1hは、持ち手部2eと、作用部3hとを有している。
【0114】
作用部3hの基部は、上記基部16eと同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0115】
作用部3hは、正電極部5hと、負電極部6hと、絶縁部7hとを含む。図示のように、正電極部5hは、平面視円形状(又は楕円形状)であり、導電部でもある負電極部6h上に所定間隔で設置される。正電極部5hと負電極部6hとの境301hは、ここでは円形状(又は楕円形状)であり、境301hを覆う第1絶縁部710hは、環状である。第1絶縁部710hは、正電極部5hの縁部(周縁部)を覆う第1被覆部711hと、導電部でもある負電極部6eの隣接部を覆う第3被覆部713hと、を含む。
【0116】
絶縁部7hは、正電極部5hに輪状に凹みを形成し、ゴム材やプラスチック材を嵌め込んだり、塗料などやエポキシ剤などで周辺の負電極部を覆ったりして固定しても良い。
【0117】
なお、図示の正電極部5hは、負電極部6h上にリング状に列を並んで設置されているが、ランダムに設定されてもよい。また、正電極部5hは、平面視矩形や三角形、多角形の形状であってもよい。この場合、絶縁部7hも、これらの形状を囲う枠のように、同様な形状を有して形成される。
【0118】
また、正電極部5hは、中央部分が凸出してもよく、例えば、
図23に示すドーム状に形成されてもよい。また、導電部でもある正電極部上に、平面視円形状の負電極部が所定間隔で設置されてもよい。
【0119】
<実施形態4の変形例1>
図24は、実施形態4の変形例1を示すもので、作用部3iが異なる例を示している。
【0120】
作用部3iは、導電部と、導電部上に設置される正電極部5i及び負電極部6iと、絶縁部7iとを含む。ここでは、正電極部5iだけでなく、負電極部6iも円形状(楕円形状)であり、これらは所定の間隔で、導電部上に設置される。絶縁部7iの第1絶縁部710iは、正電極部5iの縁部を上から覆う第1被覆部711iと、負電極部6iの縁部を上から覆っている第2被覆部712iと、正電極部5iと負電極部6iとの間の導電部を上から覆う第3被覆部713iとを含む。
【0121】
図24のように、絶縁部7iは、第3被覆部713iが連なっている。言い換えれば、絶縁部7iは、正電極部5i及び負電極部6iの中央部分を露出させるための開口部17iを有する1つの面状のものとして形成される。なお、正電極部5i及び負電極部6iは、紡錘形状の周方向に沿って設置される所定長さのリブ状のものであってもよい。この場合、開口部17iは細長いスリット状に形成される。
【0122】
なお、
図33のように、正電極部5i及び負電極部6iは、平面視矩形や三角形、多角形の形状であってもよい。この場合、絶縁部7iの開口部17iも、これらの形状の中央部分を露出させるように、同様な形状を有して形成される。
【0123】
<実施形態5>
図25は、実施形態5による微弱電流器具1jの一例を示している。
図26〜
図27は、作用部3jを説明するための図で、
図26は作用部3jの肌接触面の一部を示す図、
図27は横断面の一部を示す図である。微弱電流器具1jは、持ち手部2eと、作用部3jとを有している。
【0124】
作用部3jの基部16jは、一例として図示のように略紡錘形状であり、持ち手部2eに回転可能に保持される。基部16jは、外周面に収容穴164jを複数有する。収容穴164jには、後述の球状の正電極部5j及び負電極部6jが収容される。収容穴164jは、所定の深さを有する有底穴であり、好ましくは、平面視円形である。収容穴164jは、直径が正電極部5jの直径より大きく、深さが正電極部5jの直径より小さい。
【0125】
作用部3jは、導電部4jと、正電極部5jと、負電極部6jと、絶縁部7jとを含み、基部16jの表面、ここでは外周面を覆うように設けられる。導電部4jは、最も下方に配置される。導電部4jは、図示のように、基部16jの外周面を覆うように所定金属のメッキ等を施すことで形成されてもよいし、基部16jが所定金属で形成されることで基部16jが導電部4jを兼ねてもよい。
【0126】
図示のように、正電極部5j及び負電極部6jは、球状であり、収容穴164jに収容される。以下では、正電極部5jを例に説明する。収容穴164jは、導電部4jに覆われている状態でも、なお、正電極部5jより直径がやや大きい。そのため、正電極部5jの周囲には収容穴164jとの間で環状の隙間が形成され、肌接触面に向けて導電部との間の堺301jが形成される。また、正電極部5jは、直径が収容穴164jの深さより大きいため、一部が収容穴164jから露出して、肌接触面において凸部を形成する。正電極部5j及び負電極部6jは、
図26に示すように、基部の周方向に交互に並んで2列設けられてもよいし、所定距離で対となってランダムに設けられてもよい。
【0127】
第1絶縁部710jは、肌接触面において、正電極部5jの収容穴164jからの露出部の縁部を覆う第1被覆部711jと、負電極部6jの収容穴からの露出部の縁部を覆う第2被覆部712jと、正電極部5jと負電極部6jとの間の導電部の露出部を覆う第3被覆部713jとを含む。言い換えれば、第1絶縁部710jは、正電極部5jと導電部4jとの堺301j及び負電極部6jと導電部4jとの堺302jとを上から覆うように形成され、これらの堺が肌と接触しないようにしている。
【0128】
第1被覆部711jは、正電極部5jの外周の所定位置に当接して、これを囲っている。第1被覆部711jは、正電極部5jの収容穴164jからの露出部の形状に対応した形状であり、ここでは、環状である。第1被覆部711jは、内径が正電極部5jの直径より小さく、断面形状が略三角形又は台形である。第3被覆部713jが導電部4jに固定されているのに対して、第1被覆部711jは遊離している。第1被覆部711jは、正電極部5jが導電部4jとの接続を維持しながら収容穴164j内で回転し、収容穴164jから抜け出さないように保持する。第2被覆部712jも同様である。
【0129】
第1絶縁部710jは、複数の開口部17jを有する面状であり、基部16jないし導電部4jの外周面に沿って配置される。
【0130】
なお、基部16jは、回転しない構成でもよく、板状等であってもよい。
【0131】
<実施形態5の変形例1>
図28〜
図29は、実施形態5の変形例1による作用部3kを示す図で、
図28は肌接触面の一部を示す図、
図29は横断面の一部を示す図である。
【0132】
作用部3は、正電極部5kと、負電極部6kと、絶縁部7kとを含み、負電極部6kが導電部を兼ねている。負電極部6kは、基部16jの全体又はその一部にその外周面を覆うように所定金属のメッキ等を施すことで形成される。収容穴164jは負電極部6kに覆われている。正電極部5kは、負電極部6kに覆われている収容穴164j内に回転可能に収容される。
【0133】
絶縁部7kの第1絶縁部710kは、正電極部5kの数だけ設けられ、平面視正電極部5kの収容穴164jからの露出部を囲うように環状に設けられる。
【0134】
第1絶縁部710kは、正電極部5kの収容穴からの露出部の縁部を覆う第1被覆部711kと、負電極部6kの隣接部を覆う第3被覆部713kと、収容穴164jの周壁部の少なくとも一部を覆う第4被覆部714kとを含む。第1絶縁部710kは、正電極部5kと負電極部6kとの堺301jを上から覆うように形成され、肌と接触しないようにしている。
【0135】
第1絶縁部710kは、断面視略T字形状である。より具体的には、第1被覆部711k及び第3被覆部713kが基部16jの周面(表面)に沿うように横設部として形成され、第1被覆部711kと第3被覆部713kの間の第4被覆部714kが周面に略垂直に延出して縦設部として形成される。第1絶縁部710kでは、第3被覆部713kが基部16jの周面における負電極部6kの隣接部に接着等で固接し、第4被覆部714kが収容穴164jの周壁部に遊離又は固定状態で当接し、第1被覆部711kが正電極部5kと遊離状態で当接している。第4被覆部714kによって、正電極部5kと収容穴164kの周壁部との摩擦が回避できる。
【0136】
<実施形態5の変形例2>
図30〜
図32は、他の例による作用部3mを示す図で、横断面の一部を示す図である。作用部3mの基部16mは、板状である。
【0137】
作用部3mは、導電部4mと、正電極部5kと、負電極部6kと、絶縁部7mとを含み、基部16mの表面を覆うように設けられる。
【0138】
図30に示すように、導電部4mは、基部を除き、最も下方に配置される。導電部4mは、基部16mの表面を覆うように所定金属のメッキ等を施すことで形成されてもよいし、基部16mが全体として所定金属で形成されてもよいし、さらには基部16mが所定金属で形成されて導電部4mを兼ねてもよい。導電部4mは、肌接触面方向に突出する突起401mを含む。突起401mは基部16m上の突起にメッキ等が施されたものでもよいし、導電部4m自体に設けられた突出部分でもよい。突起401mは、正電極部5k及び負電極部6kを合わせた数分だけ設けられる。
【0139】
導電部4mは、
図31に示すように、両端が略直角に屈折した棒状であってもよい。この場合、導電部4mは、基部16mに設けられた溝に本体部分が配置され、屈折して形成された両端が基部16mから突出して配置されて、突起401mを構成してもよい。
【0140】
導電部4mは、
図32に示すように、突起401mの先端にコイルバネ又は板バネが設けられてもよい。
【0141】
作用部3mでは、正電極部5k及び負電極部6kを収容する収容穴は、第1絶縁部710mに形成される。第1絶縁部710mは、肌接触面において正電極部5kの縁部を覆う第1被覆部711mと、負電極部6kの縁部を覆う第2被覆部712mと、正電極部5kと負電極部6kとの間の導電部の露出部を覆う第3被覆部713mと、正電極部5mを収容するための半穴部である第5被覆部715mと、負電極部6mを収容するための半穴部である第6被覆部716mとを含む。なお、
図31に図示の例では、第3被覆部713mは、正電極部5kと負電極部6kとの間の導電部の露出部と基部の露出部の双方を覆っている。
【0142】
正電極部5kを収容する収容穴は、隣接する第1絶縁部710m同士の第5被覆部715mによって形成され、負電極部6kを収容する収容穴は、隣接する第1絶縁部710m同士の第6被覆部716mによって形成される。以下では、第5被覆部715mを例に説明する。第5被覆部715mは、平面視略半円形状で中央に円弧状切欠きを有する所定厚みの半底部と、平面視半円環状の半周壁部とを含み、隣同士の第1絶縁部における半底部同士で正電極部5kの底部が構成され、半周壁部同士で周壁部が構成される。突起401mは隣同士の半底部の円弧状切欠きの間に配置される。第1被覆部711mは半周壁部の上端に形成され、第3被覆部は隣同士の半底部の間に形成される。これによって、正電極部5k及び負電極部6kは、第1絶縁部710mによって全体が導電部ないし基部から高い位置に持ち上げられ、これらから浮いて配置される。
【0143】
作用部3mは、球状の正電極部5k及び負電極部6kを収容する収容穴が絶縁部に設けられるため、絶縁部以外の部分が簡単な構造となり、低コストで製造できる。また、正電極部5k及び負電極部6kを、適切な大きさに取り替えることも容易となる。
【0144】
なお、本願では、上記実施形態(例)における構成部分の一部を他の実施形態(例)全部又は一部と組み合わせてもよい。また、
図33に示すように、持ち手部は、ドーム状の握り部に、保持軸を有する複数の柱状の保持腕を含むものでもよい。この場合、作用部は、球状又は楕円球状の基部に上記作用部分が設けられたものでもよい。正、負電極部は、平面視六角形であってもよいし、他の多角形であってもよい。握り部には、指を掛ける挟持部が設けられてもよい。また、
図34に示すように、持ち手部は、握り部が直線棒状で、握り部の延長線上に保持軸が設けられ、この保持軸に基部16が回転可能に接続されてもよい。また、
図35に示すように、持ち手部は、棒状の握り部に、先端が枝分かれしたY字状の保持部が接続され、保持部の2つの枝状の先端に2つの基部16が互いに所定角度をなして、回転可能に取り付けられてもよい。
【0145】
なお、上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
肌に接触させて使用する作用部を有する微弱電流器具であって、前記作用部は、基部と、金属からなり、互いに電位差を有する正電極部及び負電極部の2つの電極部と、前記電極部が載置される導電部と、絶縁材からなる絶縁部と、を含み、前記作用部の肌接触面において、前記絶縁部は、前記導電部上に載置されている前記電極部の縁部を上から覆うと共に、前記電極部の縁部に隣接する前記導電部の隣接部を上から覆っている第1絶縁部を含む微弱電流器具。