(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の実施形態の例を図面を参照して説明する。なお、下記実施形態において共通する構成要素については、前出の符号と同様な符号を付し説明を省略することがある。また、構成要素等の形状、位置関係等に言及する場合は、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。
【0024】
<実施形態1>
図1〜
図2は本発明の実施形態1に係る押圧具1の一例を示す図で、
図1はその斜視図、
図2はその使用状態を説明するための図である。押圧具1は、対象部位に接触して使用するもので、対象部位を押圧する押圧シート3と、押圧シート3を対象部位に接触させるシート保持部2とを含む。
【0025】
シート保持部2は、好ましくは、伸縮性を有する。シート保持部2は、押圧シート3が対象部位と接触するようにこれを保持するものであればよく、その形状は押圧シート3の形状や対象部位などを考慮して適宜設定できる。一例として、図示のように、略矩形である。他の例として、シート保持部2は、細くやや長い帯状であってもよい。また、
図27に示すように、環状(リング状)であってもよい。環状のシート保持部2は、とりわけ、腕や足等にある対象部位に適している。
【0026】
シート保持部2には、例えば、伸縮性を有する織物や伸縮性を有する不織布等が用いられる。なお、ポリエステル、ナイロン等の合成繊維、綿、木の皮、絹等の天然素材が用いられてもよい。
【0027】
シート保持部2は、押圧シート3が設置されるシート設置部210と、肌と接触する肌接触部220とを含む。肌接触部220は、シート設置部210の周囲の少なくとも一部を囲い、一例として、図示のように、シート設置部210の周囲全体を囲う。肌接触部220は一例として、粘着剤が塗布され、押圧具1は肌接触部220によって対象部位の周囲に貼り付けられる。
【0028】
シート設置部210は、押圧シート3を上から覆う。シート設置部210は、押圧シート3全体を上から覆うため、押圧シート3と同等又はそれ以上の面積を有する。
【0029】
一例として、シート設置部210に粘着剤が塗布される。好ましくは、シート設置部210と押圧シート3との粘着力が、肌接触部220と肌との粘着力より弱い。例えば、シート設置部210の粘着力が、肌接触部220より低く、肌接触部220の粘着力の半分以下である。初期状態において押圧シート3がシート設置部210に貼り付けられる。なお、シート設置部210と肌接触部220に同様に粘着剤が塗布されるが、押圧シート3の材質や表面加工等によって、シート設置部210と押圧シート3との粘着力が、肌接触部220と肌との粘着力より弱くなっていてもよい。
【0030】
他の例として、シート設置部210は、粘着力を有しない構成でもよい。例えば、シート設置部210に粘着剤が塗布されているものの、その塗布された部分に隔離紙(材)等が設置されて、粘着性を発揮できなくなっている。または、シート設置部210には、粘着剤が塗布されていない。
【0031】
肌接触部220は、上記のように粘着力を有する構成でもよいし、シート保持部を所定の形状とすることで粘着力を有しない構成とすることもできる。例えば、
図27のシート保持部は、環状で伸縮性を有するため、肌接触部が粘着力を有しなくても、押圧シートを腕等における対象部位に接触させることができ、脱落しないように保持できる。シート保持部は、継目がない構成でもよいし、長手方向の両端部を粘着剤や面ファスナー、バックル等で接続する構成でもよい。
【0032】
押圧シート3は、概略シート状のもので、対象部位を押圧して、対象部位に対して所定の作用を及ぼす。ここでは、押圧シート3は、例えば、対象部位を押圧することで、皮膚や皮下組織、筋肉などをマッサージする。押圧シート3は、一方側の面(保持部側の面)でシート保持部2と接触し、その反対側の面(肌側の面)で対象部位の肌と接触する。
【0033】
押圧シート3は、好ましくは、可撓性又は弾性を有する。押圧シート3には、例えば、シリコン樹脂素材が用いられる。押圧シート3の弾性又は可撓性は、シート保持部2の伸縮性より弱い。なお、ポリウレタン樹脂、皮革(人口皮革を含む)が用いられてもよい。遠赤効果を有する炭素、岩石粉、鉱物粉等を含有してもよい。ゴム、発泡素材が用いられてもよい。
【0034】
押圧シート3は、表面に滑り加工が施されてもよい。滑り加工は、押圧シート3全体に施されてもよいし、保持部側の面又は肌側の面の一方のみに施されてもよいし、一方又は両方の面の一部にのみ施されてもよい。
【0035】
押圧シート3は、少なくとも一部に所定の機能部を設けてもよい。例えば、少なくとも一部に撥水加工や通気加工が施されてもよいし、小さな空気孔が複数設けられてもよい。また、少なくとも、肌側の面に、治療又は美容のための治療又は美容機能部を設けてもよい。このような治療又は美容機能部は、例えば、吸水性や吸気性等をもたせ、香料や薬剤を浸み込ませることで、形成できる。
【0036】
押圧シート3は、所定の厚みを有し、その機能や対象部位などを考慮して適宜な形状とすることができる。押圧シート3は、本体300の最大幅(直径、長手方向の幅等)が、例えば、本体の厚み(板厚)の8倍以上でる。押圧シート3は、例えば、厚みが0.5mm〜5.0mm程度で、より好ましくは1.0mm〜4.0mmである。また、最大幅が、例えば、5.0mm〜150mm程度で、より好ましくは、8.0mm〜90mmである。
【0037】
一例として、図示の押圧シート3は、略皿状(凹曲面状)で、平面視略円形状、側面視略弧形状である。押圧シート3は、押されると凹曲面が曲率半径を大きくしながら周囲に拡延し(皿形状が押し潰され)、押されなくなると元の状態に戻る。また、押圧シート3は、縁部310が本体部分より曲率半径が大きく、縁部310で肌と面接触する環状の面(環状面)を形成している。
【0038】
押圧シート3は、肌側の面に、対象部位方向に突出する凸部320が設けられてもよい。凸部320は、押圧シート3の略中央に設けられ、好ましくは、頂点が上記環状面(肌接触面)にちょうど達する高さにある。凸部320は、例えば、円錐形状である。
【0039】
図2(a)は、押圧具1の初期状態を示す図で、この状態では人体の対象部位Pは自然な状態(筋肉が弛緩している状態)にある。対象部位Pはやや凸状の凸曲面である(A−B)。押圧シート3は、対象部位Pの肌と接触しており、より具体的には、縁部310で構成される環状面、凸部320の頂点が肌と接触している。シート保持部2は、押圧シート3が上記状態にあるように、シート設置部210で押圧シート3を上から覆い、肌接触部220が肌に貼り付けられている。
【0040】
図2(b)は、押圧具1の押圧状態を示す図で、この状態では対象部位Pは筋肉が緊張している状態にある。筋肉が緊張して膨らむと、対象部位Pの肌面が膨らむ(A−Bの曲率半径が小さくなる)。そうすると、対象部位Pが押圧具1を下から押し上げ、シート保持部が肌に引っ張られて矢印C方向に伸び、凸部320が対象部位を押圧する。より具体的には、凸部320が対象部位に押し込んでピンポイントで対象部位を押圧し、押圧シート本体の凹曲面が押し潰されて拡延し、縁部310が接触面上を移動しながら押圧する。
【0041】
押圧具1は、筋肉の緊張状態の高低によって、押圧力も高低し、弛緩状態に戻ると、
図2(a)の初期状態に戻る。このように、押圧具1は、対象部位の緊張と弛緩の変化に応じて、押圧シート3が変形することで、対象部位を押圧したり、押圧力を弱めたり、解放したりする。また、人体の対象部位に貼るだけで、特別な操作を必要とすることなく、長時間に亘って使用できる。
【0042】
押圧具1は、シート保持部2のシート設置部210の粘着力が肌接触部220より弱いため、押圧シート3が効率よく押圧機能を果たせる。伸縮性で対応できる場合もあるが、例えば、対象部位Pの動きに応じて押圧シート3が姿勢を調整する必要がある場合でも、シート設置部210の粘着力が弱いため、押圧シート3が部分的にシート保持部2から一旦剥がれて姿勢の調整が可能となる。また、姿勢が調整された後は、シート保持部2が伸縮性を有するため、押圧シート3は一旦剥がれた部分を含めて新しい姿勢でシート設置部210に貼り付けられる。
【0043】
なお、押圧具1は、シート設置部210が粘着力を有しない場合、わずかに粘着力を有する場合等でも、シート保持部2が伸縮性を有するため、押圧シート3が対象部位から脱落することなく、姿勢の調整が可能である。
【0044】
<実施形態1の変形例1>
押圧具1は、押圧シート3が他の形態であってもよい。
図3(a)はその一例である押圧シート3aの肌側の面の一例を示す図、
図3(b)は側面を示す図で、
図4は肌側の面の他の例を示す図である。
【0045】
押圧シート3aは、平らなシート状である。押圧シート3aの肌側の面は、外形が図示のように、概略円形であってもよいし、楕円形や多角形等でもよい。または、星形状、花びら形状、ハート形状の外形を有してもよい。
【0046】
押圧シート3aは、押圧シート3aを厚み方向に貫通する空洞部301aと、空洞部301a以外の実肉部302aを有する。押圧シート3aは、実肉部302aが押圧部として、対象部位を押圧する。好ましくは、空洞部301aは複数設けられる。なお、押圧シート3aは、厚み方向に貫通する空洞部の代わりに、肌側の面を所定の深さまで凹ませた凹部を有してもよい。
【0047】
空洞部301aは、図示のように、複数の同心円上に分布し、同じ同心円上の空洞部301aが実肉部302aによって所定間隔で分断されてもよい。
図3(a)に示すように、空洞部301aは、複数の同心円上にそれぞれ同数分布して、同じ角度の空洞部で空洞群をなし、内側より外側の空洞部が大きく形成されてもよい。また、
図4に示すように、一の同心円上の空洞部301aが他の同心円上の空洞部の間の実肉部302aと相対するように形成されてもよい。また、
図4に示すように、中央部分に空洞部を有してもよい。
【0048】
押圧シート3aは、空洞部301aを含むことで、弾性ないし可撓性が増し、姿勢の調整がより柔軟に行える。また、複数の空洞部301aを有するものの、実肉部302aが繋がっていて面形状を保持しているため、対象部位の動きが押圧シート3a全体に伝達しやすい。
【0049】
<実施形態1の変形例2>
図5(a)は他の一例である押圧シート3bの肌側の面の一例を示す図、
図5(b)は側面を示す図である。
【0050】
押圧シート3bは、肌側の面の外形が切欠いた円形状であり、より具体的には、二つの扇状の部分が円形部分で中央で繋がる形状である。押圧シート3bは、
図3の押圧シート3aの一部が切欠いたものでもよい。押圧シート3bは、このような形状でも、空洞部301bを含み、実肉部302bが面形状を維持しているため、上記と同様な効果が得られる。
【0051】
押圧シート3bは、さらに凸部を含んでもよい。図示のように、凸部320bは、3つ設けられ、中央の円形部分とその両側の扇状の部分のそれぞれに設けられてもよい。それぞれの部分に凸部320bを設けることで、対象部位をより効果的に押圧できる。図示の凸部320bは、扇形状の略中心に設けられているが、その両端にさらに設けられてもよい。凸部320bの頂点の高さは、例えば、本体の厚みの0.5倍〜2倍である。
【0052】
<実施形態1の変形例3>
図6〜
図7は、他の一例である押圧シート3cを示す図である。
図6(a)は押圧シート3cを肌側(対象部位側)から見た図、
図6(b)は押圧シート3cの側面図、
図7は押圧シート3cを含む押圧具1cの使用状態の一例を説明する図である。
図8は押圧シート3cを含む押圧具1cの使用状態の他の例を説明する図である。
【0053】
押圧シート3cは、本体300が概略シート状で、外形が例えば図示のように略矩形である。押圧シート3cには、例えば、金属や樹脂素材が用いられる。押圧シート3cは、ばね構造を有し、例えば板ばね構造を有する。以下ではその一例を説明する。
【0054】
押圧シート3cは、厚みが例えば1.0mm〜5.0mmで、より好ましくは、1.5mm〜4.0mmである。押圧シート3cは、長手方向の幅(長さ)が、例えば、10mm〜120mmで、より好ましくは20mm〜100mmで、短手方向の幅が、例えば、長手方向の幅の1/5〜1である。
【0055】
押圧シート3cは、本体300を厚み方向に貫通する窓枠部303cを有する。窓枠部303cは、好ましくは2以上含み、互いに対向した位置にある。以下では、2つの窓枠部303cを有する例を説明する。
【0056】
窓枠部303cは、図示のように略矩形であってもよいし、円形その他の形状であってもよい。押圧シート3cは、窓枠部303cと対応した位置に、窓枠部303cと対応した数のばね部330cを有する。以下では、2つのばね部330cを有する例を説明する。
【0057】
ばね部330cは、好ましくは、窓枠部303cに対応した形状であり、ここでは、
図6(a)に図示のように平面視略矩形である。ばね部330cは、押圧シート3cに所定角度で設けられる。より具体的には、ばね部330cは、一端である基部331cが窓枠部303cの縁の一部と接続し、他端である脚部332cが押圧シート3cの一方側の面と所定角度αをなすように延びている。所定角度αは、例えば、5度〜45度であり、好ましくは、10度〜30度である。
【0058】
ばね部330cは、互いに相対している。ここでは、2つのばね部330cは、基部331c同士が対向し、脚部332c同士が対向して設けられて、
図6(b)に図示のように、側面視略八の字形状をなしている。
【0059】
ばね部330cは、互いに対向する側である内側の面で対象部位と接触する。対象部位との接触をスムーズにするために、ばね部330cの脚部332cは、互いに離間する方向に曲げられて、脚部332cの内側の面は、対象部位側に向いている。なお、脚部332cの内側面(肌接触面)に凸部が設けられてもよい。
【0060】
ばね部330cは、互いに離間する側、すなわち角度αが小さくなる方向に押されても、外力が解除されると元の状態(元の角度)に復元するように付勢されている。
【0061】
押圧シート3cは、例えば、矩形の薄板状の部材に、開口が内側に向く2つのコの字状の切り込みを入れることで、窓枠部303cを形成すると共に、切り込まれたコの字状の部分を折り曲げることでばね部330cを形成してもよい。図示のように、ばね部330cは、窓枠部303cより一回り小さく形成されてもよい。
【0062】
図7に示すように、対象部位Pの筋肉が緊張して膨らみ、肌面が膨らむと、押圧シート3cが押される。より具体的には、ばね部330cが押されて、2つの脚部332cが肌面との接触面を広げながら(開脚しながら)対象部位を摩擦し、押圧する。そして、筋肉が弛緩すると、肌面が元に戻り、ばね部330cが初期状態に復元し、対象部位に対する押圧が解除される。
【0063】
押圧具1cは、押圧シート3cにばね構造を備えることで、対象部位への押圧と押圧の解除をより容易に行える。
【0064】
なお、押圧シート3cは、上記に限定されず、板状の押圧シートに複数の屈曲部を設け(繰り返し連続曲げたものを含む)、屈曲部をばね部としてもよい。
【0065】
図8に示すように、押圧具1cは、押圧シート3cの本体300が押圧部として対象部位と接触し、ばね部330cがシート設置部210と接触してもよい。ばね部330cによって、押圧の力やタイミングが調整されるため、対象部位をよりやさしく押圧できる。また、ばね構造によって、押圧シート3cの姿勢の調整がより柔軟に行える。
【0066】
<実施形態1の変形例4>
図9は、他の一例である押圧シート3dを示す図で、
図9(a)は肌側の面を示す図、
図9(b)は横断面の一部を示す図である。
図10は押圧シート3dの他の例を示す図で横断面の一部を示す図である。
【0067】
押圧シート3dは、肌側の面に複数の球状体340dが設けられる。球状体340dは、押圧シート3dに回転可能に設けられてもよいし、固定して設けられてもよい。以下では、回転可能に設けられた例を説明する。また、球状体340d同士の間隔は、均等でなくもよく、所定数で群をなして群同士が所定間隔で配置されてもよい。
【0068】
押圧シート3dは、所定の厚みを有するシート状で、本体300が例えば略矩形に形成される。本体300は、肌側の面に、球状体340dを収容するための収容部304dを球状体340dの数分だけ有する。収容部304dは、厚み方向に凹む有底穴である。
【0069】
収容部304dは、平面視略円形で、直径が球状体340dよりやや大きい。収容部304dは、深さが球状体340dの直径より小さい。
【0070】
収容部304dは、穴底の略中央に略円錐状に突出する支点3041dを有する。また、穴の縁部に凹み方向と反対方向に突出する支持部3042dを有する。支持部3042dは、穴の縁部を囲う環状であってもよいし、対向した位置に設けられた2以上の爪状のものでもよい。支持部3042dの内側の最大幅は、球状体340dの直径よりやや小さい。
【0071】
球状体340dは、収容部304dに収容され、支点3041dを支点として回転可能である。支持部3042dは、球状体340dが収容部304dから脱落しないようにこれを回転可能に支持する。球状体340dは、本体300に例えば圧入等で取り付けられる。
【0072】
押圧シート3dは、凸状の球状体340dを備えることで、対象部位をより効率よく押圧できる。また、球状体340dが回転可能であるため、対象部位の肌面を滑らせることもできる。
【0073】
なお、押圧シート3dは、
図9(b)の図示状態を上下逆にして、押圧シート3dの本体300が押圧部として対象部位と接触し、球状体340dがシート設置部と接触してもよい。球状体340dを備えることで、押圧シート3dは所定の範囲内で移動しやすくなる。
【0074】
押圧シート3dは、
図10に示すように、保持部側の面にも球状体340dを備えてもよい。保持部側の面に球状体340dを備えることで、押圧シート3dは所定の範囲内で移動しやすくなる。言い換えれば、保持部側の面の球状体がシート設置面上で回転し、肌側の面上の球状体340dが肌面上で回転することで、押圧シート3dの本体の変形や移動等の動きに対応しやすい。例えば、肘関節付近に用いられた場合、肘の屈伸動作に対応しやすい。
【0075】
<実施形態1の変形例5>
図11は、他の一例である押圧シート3eを示す図で、その側面を示す図である。押圧シート3eは、保持部側の面と肌側の面の両方に突出するように球状体340dが設けられる。球状体340dは、押圧シート3eに回転可能に設けられてもよいし、固定して設けられてもよい。以下では、回転可能に設けられた例を説明する。
【0076】
押圧シート3eは、本体300を厚み方向に貫通する貫通孔である収容部304eを球状体304dの数分だけ有する。本体300は、厚みが球状体340dの直径より小さい。球状体340dは、収容部304eに、保持部側の面と肌側の面の両方に突出するように収容される。球状体340dは、例えば、その重心が収容部304eの略中央に位置するように収容される。
【0077】
収容部304eは、図示しないが、例えば支持部となる凸部を略中央に有してもよい。この支持部によって、球状体340dが収容部304eから脱落せず回転可能に支持される。
【0078】
押圧シート3eは、より少ない球状体で押圧シート3eを肌側の面と保持部側の面の両方で滑らせることができる。
【0079】
<実施形態1の変形例6>
図12は、他の一例である押圧シート3fを示す図で、横断面の一部を示す図である。
図13は、押圧シート3fの他の例を示す図である。押圧シート3fは、対象部位に微弱電流を流すための微弱電流部が設けられている点が主に上記実施形態1の変形例4と異なる。
【0080】
押圧シート3fは、肌側に、正電極部341fと、負電極部342fとを有する。正電極部341fは肌に接触して正電極として作用する部分を含み、負電極部342fは肌に接触して負電極として作用する部分を含む。正電極部341f及び負電極部342fは本体300によって肌側において絶縁されている。正電極部341fと負電極部342fは、交互に配置され、それぞれ少なくとも1つ以上設けられる。また、押圧シート3fは、保持部側に正電極部341fと負電極部342fを電気的に接続する導電部343fを有する。
【0081】
正電極部341fは、例えば、樹脂製の球状体に金等正電極になる素材を塗布又はメッキ等して形成される。負電極部342fは、例えば、樹脂製の球状体に銀、アルミニウム等負電極になる素材を塗布又はメッキ等して形成される。
【0082】
正電極部341f及び負電極部342fは、本体300に設けられる収容部304fに収容される。正電極部341f及び負電極部342fは、両方が回転可能であってもよいし、両方が固定されてもよいし、一方が回転可能で他方が固定されてもよい。以下では、両方が回転可能に設けられる例を説明する。
【0083】
収容部304fは、支点の代わりに、穴底の略中央に貫通孔である連通部3041fを有する。正電極部341f及び負電極部342fは、この連通部3041fを通じて導電部343fと接続する。
【0084】
収容部304fは、支持部3042dを有し、これによって収容部304fから脱落しないように、回転可能に支持される。正電極部341f及び負電極部342fは、導電部343fとの接点を支点として回転するようにしてもよい。
【0085】
押圧シート3fは、
図13に示すように、保持部側に上記実施形態1の変形例と同様に、球状体340dを備えてもよい。この場合、導電部343fは、本体300の略中央に挟まれるように設けられる。
【0086】
<実施形態1の変形例7>
図14は、他の一例である押圧シート3gを示す図で、
図14(a)は肌側の面を示す図、
図14(b)は側面を示す図である。
図15は押圧シート3gの他の例を示す図である。
【0087】
押圧シート3dは、本体300が所定の厚みを有するシート状で、例えば略矩形である。押圧シート3dは、本体300の肌側に略円柱体である複数のローラー350gが設置される。ローラー350gは、円柱形状の両端の中心軸に対応した位置に細い短軸351gを有する。ローラー350gは、中心軸が本体300と水平になるように、短軸351gによって本体300に回転可能に設けられる。好ましくは、ローラー350gは、回転の支障とならないように、周面が本体300の表面からやや離れる位置に設けられる。
【0088】
本体300は、ローラー350gを支持するための支持部305gを有する。支持部305gは、短軸351gと対応した位置に軸穴3051gを有し、この軸穴3051gに短軸351gが回転可能に支持される。
【0089】
押圧シート3gは、ローラー350gを備えることで、対象部位を効率よく押圧できる。また、ローラー350gが回転可能であるため、対象部位の肌面を滑らせることができる。なお、回転体は、略円柱状のローラーに限らず、他の形態であってもよい。
【0090】
なお、押圧シート3gは、
図14(b)の図示状態を上下逆にして、押圧シート3gの本体300が押圧部として対象部位と接触し、ローラー350gがシート設置部と接触してもよい。ローラー350gを備えることで、押圧シート3gは所定の範囲内で移動しやすくなる。
【0091】
押圧シート3gは、
図15に示すように、ローラー350gの周面に凹凸を有してもよい。一例として、
図15(a)に示すように、周面に周方向に沿ってリブ352gが設けられる。リブ352gの数や幅、高さは、ローラー350gの大きさや、押圧シート全体の大きさ等を考慮して適宜設定できる。リブ352gは、ゴム製のリング等であってもよい。
【0092】
押圧シート3gは、他の例として、
図15(b)に示すように、ローラー350gの周面に周方向に沿ってさらに凸模様353gが設けられてもよい。図示のように、凸模様353gは、リブ352g等の凸部上に設けられてもよい。
【0093】
<実施形態1の変形例8>
図16(a)及び
図16(b)は、他の例である押圧シート3hをそれぞれ示す図で、横断面の一部を示す図である。押圧シート3hは、対象部位に微弱電流を流すための微弱電流部が設けられている点が主に上記実施形態1の変形例7と異なる。微弱電流部は、ローラー350gに設けられる。
【0094】
一例として、
図16(a)に示すように、導電部357hは、ローラー350gの周面を覆うように導電性を有する素材が塗布又はメッキ等されて形成される。正電極部354h及び負電極部355hは、導電部357hを周方向に環状に囲うようにリブ状に形成される。例えば、リブ状の部材に正(負)電極となる素材を塗布又はメッキ等することで形成されてよい。正電極部354hと負電極部355hとの間には、絶縁部356hが両者の間の導電部の露出部分を覆うように設けられる。正電極部354hと負電極部355hは、交互に配置され、それぞれ少なくとも1以上設けれる。
【0095】
他の例として、
図16(b)に示すように、正電極部354h及び負電極部355hは、ローラー350gの周面上の導電部357h上に軸方向に沿ってリブ状に形成される。例えば、リブ状の部材に正(負)電極となる素材を塗布又はメッキ等することで形成されてよい。正電極部354hと負電極部355hとの間には、絶縁部356hが両者の間の導電部の露出部分を覆うように設けられる。
【0096】
なお、押圧シート3hは、隣同士のローラー350gの一方が正電極部として構成され、他方が負電極部として構成され、両者が導電部によって接続されてもよい。
【0097】
<実施形態1の変形例9>
図17〜
図18は、他の一例である押圧シート3iの一例を示す図で、
図17(a)は肌側(対象部位側)から見た図、
図17(b)は側面図である。
図18は、押圧シート3iの他の例を示す図である。
【0098】
押圧シート3iは、三日月形状であってもよい。以下では、三日月形状の例を説明する。図示の押圧シート3iは、本体300が三日月形状に形成される。
【0099】
押圧シート3iは、好ましくは、本体300の肌側の面に所定の金属粒子を含む素材がバイダーとともに塗布されて形成される金属塗布部360iを含む。金属塗布部360iは、好ましくは、本体300と同様に、三日月形状の面となるように塗布される。なお、金属塗布部360iは、
図17(b)では黒塗りで図示している(
図18以下同じ。)。所定の金属粒子は、例えば、金、銀等である。例えば、負電極となるアルミニウム、チタン、亜鉛等と、正電極となる金、銀等の貴金属とを用いて、微細な電流を発生させてもよい。
【0100】
なお、粒子を用いるのではなく、金箔等の箔を帯状、破片状に配置してもよい。
【0101】
図18に示すように、押圧シート3iは、金属塗布部360iの肌側(図示の下方)に保湿シート等の美容シート361iが設けられてもよい。美容シート361iには、例えばヒアルロン酸等の美容成分が含まれている。
【0102】
<実施形態1の変形例10>
図19は、他の一例である押圧シート3jの一例を示す図で、
図19(a)は肌側(対象部位側)から見た図、
図19(b)は側面図である。
【0103】
押圧シート3jは、本体300の肌側の面に、対象部位に微弱電流を流すための微弱電流部370jが設けられている。微弱電流部370jは、従来技術におけるものを用いることができる。なお、
図19(b)では黒塗りで図示している(
図20以下同じ。)
【0104】
一例として、微弱電流部370jは、正電極部371jと負電極部372jと絶縁部373jとを含む。正電極部371jは肌に接触して正電極として作用する部分を含み、負電極部372jは肌に接触して負電極として作用する部分を含み、絶縁部373jは肌側において正電極と負電極との間を絶縁する。正電極部371jと負電極部372jは、交互に配置され、それぞれ少なくとも1つ以上設けられる。正電極部371jと負電極部372jは、電気的に接続されている。
【0105】
押圧シート3jには、上記保湿シート等の美容シートが設けられてもよい。
【0106】
<実施形態1の変形例11>
図20〜
図21は、他の一例である押圧シート3kを示す図で、
図20(a)は斜視図、
図20(b)は側面図である。
図21(a)、
図21(b)は押圧シート3kの他の例をそれぞれ示す図である。
【0107】
正電極部371k及び負電極部372kは、対象部位側に突出する、両端に丸みを有するリブ形状に形成されてもよい。正電極部371k及び負電極部372kは、厚みが、例えば0.5mm〜8.0mm、好ましくは1.0〜5.0mmほどである。正電極部371k及び負電極部372kは、表面が凹曲面であってもよい。
【0108】
正電極部371kと負電極部372kは、導電部374kによって電気的に接続され、肌側の面では、絶縁部373kによって絶縁されている。
【0109】
また、正電極部371k及び負電極部372kは、
図21(a)の肌側の面を示す図面に示すように、対象部位側に突出する、略楕円形状に形成されてもよい。また、
図21(b)の肌側の面を示す図面に示すように、対象部位側に突出する、略円形状に形成されてもよい。
【0110】
絶縁部373kは、例えば、面状に形成され、厚み方向に貫通する窓部を複数設けられる。正電極部371k及び負電極部372kは、この窓部を通って肌側に露出して、正電極と負電極になる。
【0111】
<実施形態1の変形例12>
図22〜
図29は、実施形態1の変形例12に係る押圧具1mを示す図である。
図22(a)は、押圧具1mの肌側の面の一例を示す図、
図22(b)はシート保持部2mの一例を示す図である。
図23(a)、
図23(b)はシート保持部2mの他の例を示す図である。
図25、
図26(a)及び
図26(b)は、押圧具1mの他の例をそれぞれ示す図である。
図27は、押圧具1mの他の例を示す図である。
図28は、押圧具1mの使用状態を説明するための図である。
図29及び
図30は、押圧具1mが用いられる対象部位の例を示すものである。
【0112】
押圧具1mは、対象部位を押圧する押圧シート3jと、押圧シート3jを対象部位に接触させるシート保持部2mとを含む。押圧シート3jは上記と同様であり、説明を省略する。
【0113】
図22(a)に示すように、シート保持部2mは、伸縮性を有し、例えば図示のように角に丸みを有する矩形である。シート保持部2mは、シート設置部210mと、肌接触部220mとを有する。シート設置部210mは、押圧シート3jを上から覆い、ここでは、押圧シート2jより面積がやや大きく設けられる。肌接触部220mは、シート設置部210mの全周を囲うように設けられる。
【0114】
押圧具1mは、押圧シート3j及びシート保持部2mが別体に使用者に提供され、使用者側で押圧シート3jをシート保持部2mに貼り付けて使用してもよい。また、押圧シート3jを繰り返し使えるように、付属品としてシート保持部2mを数枚押圧具1mに付けて使用者に提供してもよい。
【0115】
このような場合には、
図22(b)に示すように、シート保持部2mは、好ましくは、剥離材230mを含む。剥離材230mは、シート保持部2mのシート設置部210mに対応するシート対応部231mと、肌接触部220mに対応するテープ対応部232mとを含む。
【0116】
シート対応部231mには、押圧シート3jの貼付方法等を示す説明文2311mや記号2312m、色彩などが印刷されてもよい。また、テープ対応部232mには、シート保持部2mの貼付方法等を示す説明文2321mや記号2322m、色彩などが印刷されてもよい。また、提供者の社名、商標、品番などを示す提供者表示2323mが印刷されてもよい。
【0117】
図23(a)に示すように、シート保持部2mは、対向する2つの方向に伸縮するものでもよい。例えば、図示のように、シート保持部2mは、本体200mが左、右方向(横方向)に伸縮する。
【0118】
図24に示すように、肌接触部220mは、横方向の左、右両端に第1端部221m、第2端部222mが配置され、その間の中央部分にシート設置部210mが配置されてもよい。
【0119】
ここでは、肌接触部220mに粘着剤が塗布され、シート設置部210mには粘着剤が塗布されない。なお、シート保持部2m全体に粘着剤が塗布され、シート設置部210mに隔離紙が設けられて、シート設置部210mが粘着力を有しない(発揮できない)ようにしてもよい。
【0120】
図25に示すように、シート保持部2mは、対向する2つの方向に第1端部221m、第2端部222mが配置され、これらと異なる第3方向に第3端部223mが配置されてもよい。
【0121】
なお、図示しないが、シート保持部2mは、各端部の先端付近にだけ粘着部分が設けられてもよい。
【0122】
図26に示すように、シート保持部2mは、押圧シート3jと同様に三日月形状であってもよい。この場合、押圧シート3jは、
図26(a)に示すように、略中央に設置されてもよいし、
図26(b)に示すように、縁の一部(内円弧306j)が肌接触部220mの縁と同位置で重なるように設置されてもよい。
【0123】
図27に示すように、シート保持部2mは、前述のように、環状(リング状)であってもよい。この場合、継目以外は、シート設置部とすることができ、適応範囲が広くなる。
【0124】
押圧具は、貼り付けられた対象部位の筋肉が大幅に動いた場合もその機能を発揮できる。
図28はその一例を示す図である。例えば、押圧具1mが腕に貼り付けられ、肘の屈伸運動によって筋肉が
図28(a)、
図28(b)、
図28(c)の順に大幅に動いた場合でも、押圧具1mは、押圧シートが貼付テープによって貼り付けられているため、対象部位の肌から脱落することはない。また、対象部位の筋肉が動いても、その動きに応じて図示のように動いて姿勢を調整できる。その際に、押圧シートはたとえその一部が移動元から離れたとしても、シート設置部によってすぐに移動先に押されるため対象部位の肌から完全に離れたり、脱落したりすることはない。
【0125】
押圧具は、筋肉の動きに応じて、
図28(a)に示す初期態様(状態)から、
図28(b)に示す筋肉が動いた後の変動態様(状態)、又は
図28(c)に示す筋肉が動いた後の変動態様(状態)に相対的に位置変動し、筋肉の動きに追随して相対位置が変わる。また、上記のように、押圧具は肌側の面に滑り加工を施したり、回転部を備えたりすることで位置変動の際に肌面をスムーズに移動し(滑り)、押圧に変化をもたらすことができる。
【0126】
押圧具は、
図29に示すように上半身の肩や胸、腰等に用いることができるし、
図30に示すように下半身の膝下や足の甲等に用いることもできる。
図22に図示の押圧具1mの場合は、これが三日月形状であるため、その内側の円弧で、手、足、肩等丸みを帯びたり、突出したりする部位(骨や筋肉、こぶ等の膨らみがある部位)の裾野に沿って貼り付けることができる。
【0127】
なお、上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【解決手段】 対象部位に接触させて使用する押圧具であって、対象部位を押圧する押圧シートと、前記押圧シートを対象部位に接触させるシート保持部と、を含み、前記シート保持部は、前記押圧シートを上から覆っており、前記押圧シートは、対象部位上で動くことができる押圧具。