特許第6554610号(P6554610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6554610-DC変換器バルブのための組立て方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6554610
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】DC変換器バルブのための組立て方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/04 20060101AFI20190722BHJP
【FI】
   H02M7/04 D
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-524517(P2018-524517)
(86)(22)【出願日】2016年7月13日
(65)【公表番号】特表2018-530304(P2018-530304A)
(43)【公表日】2018年10月11日
(86)【国際出願番号】CN2016089944
(87)【国際公開番号】WO2017016392
(87)【国際公開日】20170202
【審査請求日】2018年4月10日
(31)【優先権主張番号】201510452757.9
(32)【優先日】2015年7月28日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517377536
【氏名又は名称】エヌアール エレクトリック カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NR ELECTRIC CO., LTD
(73)【特許権者】
【識別番号】517377547
【氏名又は名称】エヌアール エンジニアリング カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NR ENGINEERING CO., LTD
(73)【特許権者】
【識別番号】518031295
【氏名又は名称】エヌアール エレクトリック パワー エレクトロニクス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NR ELECTRIC POWER ELECTRONICS CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【弁理士】
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 洋之
(72)【発明者】
【氏名】ヂァン,シャン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ファン
(72)【発明者】
【氏名】バイ,グォシン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ヂァオ
(72)【発明者】
【氏名】リゥー,リアン
(72)【発明者】
【氏名】シー,シャオドン
【審査官】 佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−322111(JP,A)
【文献】 特開昭53−101818(JP,A)
【文献】 特開平07−224529(JP,A)
【文献】 特開平05−058583(JP,A)
【文献】 特開平07−264856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00,3/00,7/04
E04G 21/14
B23P 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
DC変換器バルブのための組立て方法であって、
上面遮蔽ケースを組み立てるステップであって、昇降プラットフォームによって前記上面遮蔽ケースを指定の高さまで持ち上げ、その後、インシュレータの下端に前記上面遮蔽ケースを固定して連結することであって、前記インシュレータの上端はトラス1に固定的に連結され、前記トラス1はバルブホールの上面に位置するステップと、
バルブ層を組み立てるステップであって、前記昇降プラットフォームによって上面から底面まで順番にそれぞれ指定の位置までバルブ層を持ち上げ、第1のバルブ層が前記昇降プラットフォームによって指定の位置まで持ち上げられると、前記第1のバルブ層を前記上面遮蔽ケースに連結し、サスペンションインシュレータを介して前記第1のバルブ層を前記上面遮蔽ケースの下に吊り下げ、隣接する次のバルブ層が前記昇降プラットフォームによって指定の位置まで持ち上げられると、前記隣接する次のバルブ層を隣接する前のバルブ層に連結し、前記サスペンションインシュレータを介して前記隣接する前のバルブ層の下に前記隣接する次のバルブ層を吊り下げ、最下バルブ層が隣接する前のバルブ層に連結されて前記隣接する前のバルブ層の下に吊り下げられるまで上記ステップを繰り返すステップと、
底面遮蔽ケースを組み立てるステップであって、前記昇降プラットフォームによって前記底面遮蔽ケースを指定の高さまで持ち上げ、前記底面遮蔽ケースを前記最下バルブ層に連結し、前記サスペンションインシュレータを介して前記最下バルブ層の下に前記底面遮蔽ケースを吊り下げるステップと、を備え、
前記バルブホールの上面に位置する前記トラス1の直下で、前記各ステップごとに、前記昇降プラットフォームを前記の指定の高さまたは位置まで持ち上げ、降ろすように制御する、DC変換器バルブのための組立て方法。
【請求項2】
前記昇降プラットフォームの面積は、前記上面遮蔽ケースの面積、前記バルブ層の面積、および前記底面遮蔽ケースの面積よりもそれぞれ大きく、各バルブ層によって必要な数量のサスペンションインシュレータは前記昇降プラットフォームに同時に載置することができ、そこに作業員が乗ることができる、請求項1に記載のDC変換器バルブのための組立て方法。
【請求項3】
前記昇降プラットフォームは底面にローラが設けられ、前記昇降プラットフォームの各持上げ前に、前記昇降プラットフォームは適当な位置へ地上で水平に移動され、前記上面遮蔽ケース、前記バルブ層、または前記底面遮蔽ケースは、巻上げ装置によって前記昇降プラットフォームに載置される、請求項1または2に記載のDC変換器バルブのための組立て方法。
【請求項4】
前記サスペンションインシュレータも前記昇降プラットフォームに載置される、請求項3に記載のDC変換器バルブのための組立て方法。
【請求項5】
前記昇降プラットフォームの持上げ中、前記上面遮蔽ケース、前記バルブ層、または前記底面遮蔽ケースは、前記昇降プラットフォームの中央に位置し、前記サスペンションインシュレータは、前記上面遮蔽ケース、前記バルブ層、または前記底面遮蔽ケースの周囲に均等に配置される、請求項4に記載のDC変換器バルブのための組立て方法。
【請求項6】
前記上面遮蔽ケース、前記バルブ層、または前記底面遮蔽ケースの設置および固定が完了すると、前記昇降プラットフォームは、次の持上げおよび設置のために地面へ降ろされる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のDC変換器バルブのための組立て方法。
【請求項7】
前記昇降プラットフォームの昇降は、吊りケーブルおよび滑車8を介して制御される、請求項1〜5のいずれか1項に記載のDC変換器バルブのための組立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DC変換器バルブの分野に関し、特に、DC変換器バルブのための組立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な直流送電線において使用されるサイリスタ変換器バルブタワーは通常、バルブホールの上面におけるトラスに吊り下げられ、層は絶縁プルロッドまたはインシュレータを介して連結される。しかし、トラスが高く、バルブ層は重く、層間の絶縁体は支持力ではなく引張力のみを負担し得るので、バルブタワー全体を吊下げ前に地面に組み立てることができず、地上高くで組み立てる必要がある。その結果、多大な困難が生じる。
現在、ある種の吊下げおよび組立て方法が存在し、まず、全てのサスペンションインシュレータまたは絶縁プルロッドおよび各バルブ層のベアリングビームが装置を介して地上高くに持ち上げられて組み立てられ、組立て後にバルブタワー全体の骨組みが形成される。その後、各バルブ層におけるサイリスタモジュールおよびリアクタモジュールが1つずつ地上高くに持ち上げられ、対応する箇所に設置される。この方法の利点は、各持上げ重量が大きくなく、装置の要件が比較的低いことである。しかし、その都度1つのみのモジュールを持ち上げ組み立てるため、バルブタワー全体の設置に時間がかかり、比較的効率が低いという主な欠点が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、操作が便利であり、少ない数量の装置が使用され、安全性および信頼性が高く、特に高圧DC変換器バルブタワーに適したDC変換器バルブのための組立て方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を実現するために、本発明において以下の技術的解決策が用いられる。DC変換器バルブのための組立て方法は、
上面遮蔽ケースを組み立てるステップであって、昇降プラットフォームによって上面遮蔽ケースを指定の高さまで持ち上げ、その後、インシュレータの下端に上面遮蔽ケースを固定して連結することであって、インシュレータの上端はトラス1に固定的に連結され、トラス1はバルブホールの上面に位置するステップと、
バルブ層を組み立てるステップであって、昇降プラットフォームによって上面から底面まで順番に指定の位置までバルブ層を持ち上げ、第1のバルブ層が昇降プラットフォームによって指定の位置まで持ち上げられると、第1のバルブ層を上面遮蔽ケースに連結し、サスペンションインシュレータを介して上面遮蔽ケースの下に第1のバルブ層を吊り下げ、隣接する次のバルブ層が昇降プラットフォームによって指定の位置まで持ち上げられると、隣接する次のバルブ層を隣接する前のバルブ層に連結し、サスペンションインシュレータを介して隣接する前のバルブ層の下に隣接する次のバルブ層を吊り下げ、最下バルブ層が隣接する前のバルブ層に連結されて隣接する前のバルブ層の下に吊り下げられるまで上記ステップを繰り返すステップと、
底面遮蔽ケースを組み立てるステップであって、昇降プラットフォームによって底面遮蔽ケースを指定の高さまで持ち上げ、底面遮蔽ケースを最下バルブ層に連結し、サスペンションインシュレータを介して最下バルブ層の下に底面遮蔽ケースを吊り下げるステップとを備えることを特徴とする。
本発明の改善された技術的解決策として、昇降プラットフォームの面積は、上面遮蔽ケースの面積、バルブ層の面積、および底面遮蔽ケースの面積よりもそれぞれ大きく、各バルブ層によって必要な数量のサスペンションインシュレータは昇降プラットフォームに同時に載置することができ、そこに作業員が乗ることができる。
本発明の改善された技術的解決策として、昇降プラットフォームは底面にローラが設けられ、昇降プラットフォームの各持上げ前に、昇降プラットフォームは適当な位置へ地上で水平に移動され、上面遮蔽ケース、バルブ層、または底面遮蔽ケースは、巻上げ装置によって昇降プラットフォームに載置される。
本発明の改善された技術的解決策として、サスペンションインシュレータも昇降プラットフォームに載置される。
本発明の改善された技術的解決策として、昇降プラットフォームの持上げ中、上面遮蔽ケース、バルブ層、または底面遮蔽ケースは、昇降プラットフォームの中央に位置し、
サスペンションインシュレータは、上面遮蔽ケース、バルブ層、または底面遮蔽ケースの周囲に均等に配置される。
本発明の改善された技術的解決策として、上面遮蔽ケース、バルブ層、または底面遮蔽ケースの設置および固定が完了すると、昇降プラットフォームは、次の持上げおよび設置のために地面へ降ろされる。
本発明の改善された技術的解決策として、昇降プラットフォームの昇降は、吊りケーブルおよび滑車8を介して制御される。
遮蔽ケースまたはバルブ層の面積よりも大きい面積を有する昇降プラットフォームが使用されることを特徴とする、本発明のDC変換器バルブのための組立て方法において、上面遮蔽ケース、バルブ層、および底面遮蔽ケースは、実際の吊下げ中にバルブタワーの上から下へ順番に指定の高さまで持ち上げられ、その後、上面遮蔽ケース、バルブ層、および底面遮蔽ケースは、サスペンションインシュレータを介して吊り下げられ固定される。昇降プラットフォームの面積は、バルブタワー遮蔽ケースの面積およびバルブ層の面積よりも大きく、各バルブ層によって必要とされる数量のサスペンションインシュレータは昇降プラットフォームに同時に載置することができ、少なくとも4人の作業員がそこに乗ることができる。バルブタワーの層を持ち上げるために昇降プラットフォームが使用される時、1度に1つの遮蔽ケースまたは1つのバルブ層しか持ち上げられず、実際の吊下げ中、バルブタワーの上から下までの位置の順に従う順番で持上げが実行される。昇降プラットフォームは底面にローラが設けられる。各持上げの前に、昇降プラットフォームは適当な位置へ地面を水平に移動され、遮蔽ケースまたはバルブ層は巻き上げ装置によって昇降プラットフォームに載置され、必要なサスペンションインシュレータが昇降プラットフォームに載置される。持上げ中、遮蔽ケースまたはバルブ層は、昇降プラットフォーム全体の中央に位置し、サスペンションインシュレータは、遮蔽ケースまたはバルブ層の周囲に均等に配置される。昇降プラットフォームが指定の高さまで持ち上げられると、作業員は遮蔽ケースまたはバルブ層およびサスペンションインシュレータを設置して固定し、設置および固定が完了すると、昇降プラットフォームは次の持上げおよび設置のために地面へ降ろされる。
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
1.遮蔽ケースまたはバルブ層を吊下げおよび組立てのために地上高くまで持ち上げるために、遮蔽ケースの面積およびバルブ層の面積よりも大きい面積を有する昇降プラットフォームが使用され、数回の持上げのみでバルブタワー全体を組み立てることができ、効率が非常に良い。
2.作業中、作業員は昇降プラットフォームに乗り、吊り金具によって上層遮蔽ケースまたはバルブ層にインシュレータを固定する。組立てプロセス全体において、少ない数量の装置が使用される。操作が便利であり、信頼性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】吊り下げられる上面遮蔽ケースの概略図である。
図2】吊り下げられる第1のバルブ層の概略図である。
図3】吊り下げられる上面遮蔽ケースの45度の図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、添付図面および特定の実施形態を詳しく参照して本発明を詳細に説明する。
図1に示すように、トラス1はバルブホールの上面に位置し、バルブタワー全体を吊り下げるために使用されるインシュレータ7がトラス1の下に吊り下げられる。上面遮蔽ケース2が設置される時、まず昇降プラットフォーム6がボトムローラによって地上で適当な位置へ移動され、次に上面遮蔽ケース2が巻上げ装置によって昇降プラットフォーム6に載置され、次に昇降プラットフォーム6がボトムローラによって吊りケーブル3の真下の位置へ移動され、吊りケーブル3が昇降プラットフォーム6に連結され、吊りケーブル3が、滑車8によってインシュレータ7の下の位置まで昇降プラットフォーム6を持ち上げる。作業員は別の装置によって同じ高さまで持ち上げられ、その後プラットフォーム6に登る。昇降プラットフォーム6の位置は、吊りケーブル3を制御することによって調整される。吊下げ点の位置が合わせられた後、作業員は、インシュレータ7から上面遮蔽ケース2を吊り下げる。その結果、上面遮蔽ケースは完全に設置される。
上面遮蔽ケース2が完全に設置されると、昇降プラットフォーム6は地面に降ろされ、第1のバルブ層5の設置が開始する。図2に示すように、同様に、昇降プラットフォームがボトムローラによって適当な位置へ移動される。巻上げ装置によってバルブ層5が昇降プラットフォーム6に載置され、また上面遮蔽ケースと第1のバルブ層5との間のサスペンションインシュレータ4も昇降プラットフォームに載置される。その後、昇降プラットフォーム6は吊りケーブル3の真下の位置へ水平に移動され、吊りケーブル3が昇降プラットフォーム6に連結された後、吊りケーブル3は、滑車8によって上面遮蔽ケースの下の位置まで昇降プラットフォーム6を持ち上げる。まず、サスペンションインシュレータ4は、上面遮蔽ケースにおける対応する吊下げ点に固定される。次に、吊りケーブル3を制御することによって昇降プラットフォーム6の位置が調整され、サスペンションインシュレータ4の吊下げ点およびバルブ層5の吊下げ点が位置を合わせられた後、作業員がインシュレータ4からバルブ層5を吊り下げる。これをもって、第1のバルブ層5の設置が完了する。
他のバルブ層および底面遮蔽ケースの吊下げおよび設置は上記と同じであり、ここでは詳細を繰り返し説明しない。
本発明は、特定の典型的な実施形態に従って説明された。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく適当な代替または修正をなし得ることが明らかである。典型的な実施形態は、本発明の範囲を限定するものではなく、例示のみを目的としたものである。本発明の範囲は、以下に示す特許請求の範囲に従う。

図1
図2
図3