(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
<導電スポンジローラ>
本発明の一例であるシリコーンスポンジローラ1は、
図1に示されるように、芯金とも称される軸体2と、軸体2の外周面に形成された弾性層3とを有する。弾性層3の表面にはフッ素樹脂層4が形成されたものでもよい。
【0018】
[軸体]
軸体2は、通常、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮等で形成されたいわゆる芯金と称される長尺状円柱体である。軸体2は装着される画像形成装置30に応じて適宜の直径及び軸線方向の長さに調整される。
【0019】
画像形成装置30にシリコーンスポンジローラ1が組み込まれる場合、軸体2は通常5.0mm以上40mm以下の直径を有し、また、一端から他端までの軸長は、通常150mm以上1000mm以下である。
【0020】
[弾性層]
弾性層3は、ミラブル型シリコーンゴムと未膨張マイクロバルーンと化学発泡剤とで形成される。
【0021】
(ミラブル型シリコーンゴム)
ミラブル型シリコーンゴムは、硬化する前の状態が天然ゴムや通常の合成ゴムの未加硫配合ゴムに類似していて、練りロール機あるいは密閉式の混合機などで可塑化・混合することができるシリコーンゴムコンパウンドである。
【0022】
好適なミラブル型シリコーンゴムは、以下に示す成分(A)から成分(E)を含有してなる。
【0023】
(A)下記平均組成式(I)で表される重合度が100以上のオルガノポリシロキサン
R
1aSiO
(4-a)/2 (I)
(式中、R
1は同一又は異種の非置換若しくは置換の一価炭化水素基を示し、aは1.95から2.05の正数である。)
(B)BET吸着法による比表面積が50m
2/g以上の補強性シリカ
(C)下記一般式(II)で示されるアルコキシシラン
R
2mSi(OR
3)
4-m (II)
(式中、R
2は独立に水素原子又は非置換若しくは置換の一価炭化水素基であり、R
3は同
一又は異種の非置換若しくは置換のアルキル基であり、mは0,1,2又は3である。)
(D)水
(E)下記一般式(III)で示されるヘキサオルガノジシラザン
R
43SiNHSiR
43 (III)
(式中、R
4は同一又は異種の一価炭化水素基を示す。)
【0024】
本発明におけるミラブル型シリコーンゴムは、例として、信越化学工業株式会社製のKE−571−U、KE−1571−U、KE−951−U、KE−541−U、KE−551−U、KE−561−U、KE−961T−U、KE−1541−U、KE−1551−U、KE−941−U、KE−971T−U等を使用することができる。
【0025】
(未膨張マイクロバルーン)
本発明のスポンジローラにおいては、弾性層の形成に未膨張マイクロバルーンを用いる。本発明における未膨張マイクロバルーンは、膨張していない樹脂マイクロバルーンを挙げることができる。
【0026】
樹脂マイクロバルーンとしては、外殻に熱可塑性樹脂を用いたものが好ましく用いられる。外殻を構成する熱可塑性樹脂としては、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体、メチルメタクリレート/アクリロニトリル共重合体、メタアクリロニトリル/アクリロニトリル共重合体等を挙げることができる。液状シリコーンゴムの硬化温度に合わせて、外殻となる樹脂の軟化温度が適当な範囲内にある樹脂マイクロバルーンを用いることが好ましい。また、内包される蒸発性物質としては、ブタン、イソブタン等の炭化水素を挙げることができる。
【0027】
(化学発泡剤)
本発明における化学発泡剤としては、従来、弾性層の形成に用いられる発泡剤であればよく、例えば、無機系発泡剤として、重炭酸ソーダ、炭酸アンモニウム等が挙げられ、有機系発泡剤として、ジアゾアミノ誘導体、アゾニトリル誘導体、アゾジカルボン酸誘導体等の有機アゾ化合物等が挙げられる。有機アゾ化合物の中でも、アゾジカルボン酸アミド、アゾビス−イソブチロニトリル等が好適に使用される。特に、アゾビス−イソブチロニトリルが好適に使用できる。
【0028】
[アスカーC硬度]
本発明に係るシリコーンスポンジローラ1は、上記ミラブル型シリコーンゴムと未膨張マイクロバルーンと化学発泡剤とから形成された弾性層3を有する。弾性層3のアスカーC硬度は、10度以上45度以下、好ましくは10度以上40度以下、更に好ましくは10度以上35度以下であるのが好ましい。低硬度とすることで、例えば、シリコーンスポンジローラ1が定着装置35に装着されたときに、定着ローラ53と加圧ローラ56とのニップ幅を大きくすることができ、高い現像剤定着性を発揮できる。
【0029】
アスカーC硬度は、JIS K6253に準拠して、本発明に係るシリコーンスポンジローラ1の表面の複数箇所を測定し、測定値を算術平均した値とすることができる。アスカーC硬度は、例えば、フッ素樹脂層4の材質及び厚さ、弾性層3を形成するゴムコンパウンド中の未膨張マイクロバルーン及び化学発泡剤の配合量並びにゴムコンパウンドの組成、硬化条件等により、調整できる。
【0030】
[平均セル径]
また、弾性層3における、未膨張マイクロバルーン及び化学発泡剤によって形成された平均セル径は、50μm以上250μm以下であることが好ましい。具体的には、未膨張マイクロバルーンによって形成された平均セル径が200μm以下、好ましくは20μm以上200μm以下、特に好ましくは30μm以上150μm以下、更に好ましくは50μm以上150μm以下であるセルと、化学発泡剤によって形成された平均セル径が300μm以下、好ましくは50μm以上300μm以下、特に好ましくは60μm以上250μm以下、更に好ましくは80μm以上250μm以下であるセルとの複合セルを有する。なお、本発明においては、化学発泡剤により形成されたセルの平均セル径は、未膨張マイクロバルーンにより形成されたセルの平均セル径よりも大きい。また、弾性層3が、化学発泡剤を含有することにより化学発泡剤により生じたセルを有するが、未膨張マイクロバルーンを含有しないことにより未膨張マイクロバルーンによるセルを有していない場合、セル径が大きくなり表面平滑性が低下する。そのため、本発明のシリコーンスポンジローラ1における弾性層3において、未膨張マイクロバルーン由来のセルによって、化学発泡剤由来のセルが大きくなることを抑制する。特に、未膨張マイクロバルーンの膨張開始温度が、併用する化学発泡剤の分解温度と同等又は低い場合、化学発泡剤の分解よりも早期に未膨張マイクロバルーンが膨張するため、化学発泡剤由来のセルが大きくなることを抑制するのに効果的である。
【0031】
[セル面積比]
また、弾性層3の中心軸線に直交する方向で弾性層3を切断したときに現れる、弾性層3の断面は、未膨張マイクロバルーンと化学発泡剤によって形成されたセルの面積比が95対5〜10対90であって、好ましくは95対5〜25対75であり、より好ましくは90対10〜40対60である。未膨張マイクロバルーンによる小径セルは、繰り返し圧縮による硬度低下は小さいが、圧縮永久歪みが大きく、一方で、化学発泡剤による大径セルは、圧縮永久歪みは小さいが、繰り返し圧縮による硬度低下が大きい。上記セル面積比が上記範囲内にあると、未膨張マイクロバルーンの影響で化学発泡剤のセル径が過度に大きくならず、表面平滑性に優れた弾性層3を得ることができる。また、未膨張マイクロバルーンと化学発泡剤との混合比率を調整し上記セル面積比を最適にすることで、繰り返し圧縮による硬度低下と圧縮永久歪みの両方を小さくすることができる。
【0032】
また、弾性層3は、未膨張マイクロバルーンの添加量と化学発泡剤の添加量とを合わせた添加量と同一の添加量の未膨張マイクロバルーンのみで形成された弾性層よりも低硬度であり、弾性層3における平均セル径は、未膨張マイクロバルーンの添加量と化学発泡剤の添加量とを合わせた添加量と同一の添加量の化学発泡剤のみで形成された弾性層における平均セル径よりも小さい。弾性層3の断面において上記セル面積比になるように、未膨張マイクロバルーンと化学発泡剤の配合比と架橋条件をコントロールすることで、未膨張マイクロバルーンのみで形成された弾性層よりも硬度が低く、かつ、化学発泡剤のみで形成された弾性層における平均セル径よりも平均セル径が小さい弾性層3を得ることができる。
【0033】
セル面積比は、弾性層3の外表面において、又は任意の方向で切断したときの切断面において、光学顕微鏡で200倍に拡大したとき、マイクロバルーンによるセルの合計面積と、化学発泡剤によるセルの合計面積との比である。未膨張マイクロバルーンによるセルの識別は、セル内部にマイクロバルーンの殻又は殻が収縮した残骸があることによって判断することができる。また、走査型電子顕微鏡(SEM)の観察によって、未膨張マイクロバルーンによって形成されたセルと、化学発泡剤によって形成されたセルの識別も可能である。平均セル径は、弾性層3の外表面において、又は任意の方向で切断したときの切断面において、光学顕微鏡で100倍から200倍に拡大したとき、ランダムに選んだセル10個の平均値である。この平均セル径は、弾性層3を形成するためのミラブル型シリコーンゴムと未膨張マイクロバルーンと化学発泡剤とを含む混合物の加硫条件を適切に設定することにより、調整することができる。また、未膨張マイクロバルーンの配合量及び化学発泡剤の配合量を、本発明に係る製造方法の説明にて記載するような量に調節するのが好ましい。
【0034】
[表面粗さ]
また、弾性層3の表面は、軸方向における表面粗さRzが5μm以上15μm以下であることが好ましい。表面粗さは、弾性層3を形成するためのミラブル型シリコーンゴムと未膨張マイクロバルーンと化学発泡剤とを含む混合物の加硫条件を適切に設定することにより、調整することができる。
【0035】
表面粗さRzは、JIS B 0601―1994(十点平均粗さ)に準じ、先端半径800μmの測定プローブを備えた表面粗さ計(商品名「SURFCOM 400D」、株式会社東京精密製)に、シリコーンスポンジローラ1をセットし、測定長5.0mm、カットオフ波長0.8mm、カットオフ種別ガウシアンにより、弾性層3における略中央部及び両端部近傍の表面を、その軸方向に沿って、少なくとも3点における表面粗さ測定し、これらの算術平均値とする。
【0036】
[圧縮永久歪み]
未膨張マイクロバルーン及び化学発泡剤によって形成されたセルを有する弾性層3の圧縮永久歪みは、以下のようにして評価することができる。
【0037】
(25%圧縮永久歪みの評価方法)
図2に示されるように、シリコーンスポンジローラ1の上下を鉄板20で挟み、万力で固定する。その際、上下の鉄板20の間にスペーサー21を挟み、鉄板20の間隔が一定の距離を保つように調整する。その状態のまま、180℃の乾燥機中で5時間放置する。その後、シリコーンスポンジローラ1を挟んでいた鉄板20を外し、室温で16時間放置する。そのシリコーンスポンジローラ1の直径を測定し、以下の式で圧縮永久歪みを計算する。
試験前のシリコーンスポンジローラ1の直径 D1
試験後のシリコーンスポンジローラ1の直径 D2
芯金の直径 L
スペーサー21の高さ H
圧縮永久歪み(%)= ( D1 − D2 )/( D1 − H )×100
圧縮率(%) = ( D1 − H )/( D1 − L )×100
【0038】
本発明の弾性層3は、25%圧縮永久歪みが16%以下であり、好ましくは3%以上16%以下である。
【0039】
[弾性層の寸法等]
弾性層3は、軸体2の外周面に円柱状に形成され、弾性層3の厚みは通常0.5mm以上30mm以下であり、好ましくは1mm以上15mm以下である。弾性層3の比重は、0.15以上0.9以下であることが好ましい。
【0040】
弾性層3には、本発明の課題を達成することができる限り、低分子シロキサンエステル、シラノール、例えば、ジフェニルシランジオール等の分散剤、酸化鉄、酸化セリウム、オクチル酸鉄等の耐熱性向上剤、接着性や成形加工性を向上させる各種カーボンファンクショナルシラン、難燃性を付与させるハロゲン化合物等を本発明の目的を損なわない範囲で含有してもよい。
【0041】
<シリコーンスポンジローラの製造方法>
本発明に係るシリコーンスポンジローラ1は、以下で説明する製造方法により製造することができる。
【0042】
本発明に係るシリコーンスポンジローラ1の製造方法においては、先ずミラブル型シリコーンゴムと、上記ミラブル型シリコーンゴム100質量部に対して未膨張マイクロバルーン0.5〜5.0質量部と、上記ミラブル型シリコーンゴム100質量部に対して化学発泡剤0.05〜5.0質量部と、架橋剤とを配合する。
【0043】
上記未膨張マイクロバルーン及び上記化学発泡剤の種類等については既に説明した。上記架橋剤としては、付加反応架橋剤、及び有機過酸化物架橋剤などを挙げることができる。
【0044】
上記付加反応架橋剤として、例えば、一分子中に二個以上のSiH基(SiH結合)を有する付加反応型の架橋剤として公知のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが好適に挙げられる。付加反応架橋剤は一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。付加反応架橋剤の配合量は、通常、ミラブル型シリコーンゴム100質量部に対して0.1質量部以上3.0質量部以下である。
【0045】
上記付加反応架橋剤を使用する場合、上記有機過酸化物架橋剤は、単独でミラブル型シリコーンゴムを架橋させることも可能であるが、付加反応架橋剤の補助架橋剤として併用すると、得られるシリコーンスポンジローラの強度、歪み等の物性をより一層向上させることができる。有機過酸化物架橋剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ビス−2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等が挙げられる。有機過酸化物架橋剤の配合量は、通常、ミラブル型シリコーンゴム100質量部に対して0.1〜5.0質量部である。有機過酸化物架橋剤は一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
【0046】
付加反応架橋剤は、付加反応触媒を併用するのが好ましい。付加反応触媒は白金黒、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等が挙げられる。なお、この付加反応触媒の配合量は触媒量とすることができる。
【0047】
混合する方法は特に限定されず、例えば、常温常圧下で、ミラブル型シリコーンゴムに未膨張マイクロバルーン、化学発泡剤、及び架橋剤を順次に、又は一挙に投入して攪拌機、混練器等で均一に混合させる方法等が挙げられる。このようにして混合物を調製する工程が完遂する。
【0048】
上記混合物には、各種の添加剤を含めることができる。各種の添加剤として、例えば鎖延長剤及び架橋剤等の助剤、触媒、分散剤、発泡剤、老化防止剤、酸化防止剤、充填材、顔料、着色剤、加工助剤、軟化剤、可塑剤、乳化剤、耐熱性向上剤、難燃性向上剤、受酸剤、熱伝導性向上剤、離型剤、溶剤等が挙げられる。これらの各種添加剤は、通常用いられる添加剤であってもよく、用途に応じて特別に用いられる添加剤であってもよい。
【0049】
上記混合物は、二本ロール、三本ロール、ロールミル、バンバリーミキサ、ドウミキサ(ニーダー)等のゴム混練機等を用いて、均一に混合されるまで、例えば、数分から数時間、好ましくは5分以上1時間以下にわたって常温又は加熱下で混練することにより、得ることができる。
【0050】
次いで、得られた混合物を、シリコーンスポンジローラ1を構成するための軸体2の外周面に、押出成形による連続加熱成形、プレス、インジェクションによる型成形等によって、加熱成形する。
【0051】
軸体2の外周面に混合物を円柱状に形成した後に、円柱状の混合物、換言すると、円柱状の成形体を、軸体2ごと加熱して加硫する。この加熱加硫を行う際の条件例えば未膨張マイクロバルーン及び化学発泡剤の種類とその添加量、架橋剤の種類と添加量、加熱温度等によって発泡後の大径セルの平均セル径及び小径セルの平均セル径を所定の範囲に調整することができる。
【0052】
上記成形体を加熱して加硫する際の加熱を以下のようにすると、特に好ましい。すなわち、一次加硫として、100℃以上300℃以下、特に150℃以上250℃以下で、5分間〜30分間加熱し、次いで二次加硫として180℃以上250℃以下、特に200℃以上230℃以下で、1時間〜10時間加熱するのが良い。このように複数の回数をもって加熱すると未膨張マイクロバルーンの膨張、化学発泡剤の分解、ミラブル型シリコーンゴムの硬化、残留する低分子シロキサンの排除、膨張したマイクロバルーンの熱収縮を必要に応じてコントロールすることが可能となって好ましい。このように複数回の加熱操作を行うことにより、未膨張マイクロバルーン由来の、平均セル径が150μm以下である小径のセルと、化学発泡剤由来の、平均セル径が300μm以下である大径のセルとを有する複合セルに調整することができる。なお、大径のセルの平均セル径が小径のセルの平均セル径よりも小さくなることはない。
【0053】
また、ミラブル型シリコーンゴムに、未膨張マイクロバルーン及び化学発泡剤を同時に添加する場合には、未膨張マイクロバルーンは、化学発泡剤の分解温度と同じ程度かそれよりも低い温度で膨張するものが好ましく、化学発泡剤がアゾビス−イソブチロニトリル(AIBN)の場合、発泡開始温度が90℃以下で、最大膨張温度が130℃以下の未膨張マイクロバルーンを用いることが好ましい。
【0054】
加硫をするに必要な加熱は、赤外線加熱炉又は熱風炉等の加熱炉、乾燥機等の加熱機等で行うことができる。
【0055】
このようにして得られるシリコーンスポンジローラ1を更に研磨工程に供しても良い。研磨工程は、軸体2の外周面に形成されたシリコーンスポンジローラ1の形状を、軸体2の軸線方向においてシリコーンスポンジローラ1の厚みを軸体2の中央に向かって徐々に増大させ、軸体2の中央から軸体2の先端に向かって徐々に減少させる形状、つまりクラウン形状、あるいは軸体2の中央から軸体2の両端に向かってシリコーンスポンジローラ1の厚み増加させる形状、つまり逆クラウン形状、あるいはストレート形状に調整する工程である。
【0056】
また、上記加硫によって得られたシリコーンスポンジローラ1、あるいは研磨工程により所定の形状に調整されたシリコーンスポンジローラ1の外表面を、チューブ、例えば、フッ素樹脂チューブで被覆してフッ素樹脂層4を形成してもよい。フッ素樹脂チューブによる被覆は、例えば、加圧下でシリコーンスポンジローラ1を圧縮してフッ素樹脂チューブに挿入する加圧挿入法、減圧下でフッ素樹脂チューブを圧縮してフッ素樹脂チューブに挿入する減圧挿入法、減圧下でフッ素樹脂チューブを半径方向に拡径させてシリコーンスポンジローラ1をその内部に挿入する減圧拡径法等によって、行うことができる。
【0057】
<画像形成装置>
本発明に係るシリコーンスポンジローラ1を備えた定着装置35を内装する画像形成装置30(以下、本発明に係る画像形成装置30と称することがある。)の一例を、
図3を参照して、説明する。
【0058】
本発明に係るシリコーンスポンジローラ1は画像形成装置30の例えば定着装置35に組み込むことができる。
【0059】
図3に示されるように、本発明に係る画像形成装置30は、静電潜像が形成される回転可能な像担持体31例えば感光体、上記像担持体31の周囲に配置された帯電手段32例えば帯電ローラ、露光手段33、現像手段40、転写手段34例えば転写ローラ、記録体の搬送方向下流側に定着装置35、被転写体36、及びクリーニング手段37を備えている。
【0060】
現像手段40は、従来の現像手段と基本的に同様に形成され、具体的には、
図3に示されるように、現像剤収納部41と、像担持体31に現像剤42を供給する現像剤担持体44と、現像剤担持体44に現像剤42を供給する現像剤供給手段43と、現像剤42を帯電させる現像剤規制部材45とを備えている。
【0061】
画像形成装置30における従来の定着装置35は、通常、定着ローラを低硬度にし、加圧ローラを高硬度にしてニップ幅及びニップ圧を確保しているが、本発明における定着装置35は、アスカーC硬度(荷重1.0Kg)が10〜45の範囲にある低硬度の定着ローラ53と、アスカーC硬度(荷重1.0Kg)が10〜45の範囲にある低硬度の加圧ローラ56とを有する加熱定着装置である。すなわち、この定着装置35は、
図3にその断面が示されるように、被転写体36を通過させる開口52を有する筐体50内に、定着ローラ53と、定着ローラ53の近傍に配置された無端ベルト支持ローラ54と、定着ローラ53及び無端ベルト支持ローラ54に巻回された無端ベルト55と、無端ベルト55を介して定着ローラ53に圧接する加圧ローラ56と、無端ベルト55に非接触となるように配置され、無端ベルト55を介して外部から定着ローラ53を加熱する加熱手段(図示しない)とを備え、無端ベルト55を介して定着ローラ53と加圧ローラ56とが互いに当接又は圧接するように回転自在に支持されて成る圧力熱定着装置である。
【0062】
無端ベルト支持ローラ54は、画像形成装置30に通常用いられるローラであればよく、例えば、シリコーンスポンジローラ1等が用いられる。無端ベルト55は、例えば、ポリアミド、ポリアミドイミド等の樹脂により、無端状に形成されたベルトであればよく、その厚さ等も適宜定着装置35に適合するように調整することができる。加圧ローラ56はスプリング等の付勢手段(図示しない)によって無端ベルト55を介して定着ローラ53に圧接している。
【0063】
定着装置35において、本発明に係るシリコーンスポンジローラ1は、定着ローラ53又は加圧ローラ56として装着されている。
【0064】
上記加熱手段(図示しない。)は、ハロゲンヒーター及び反射板等を用いた輻射加熱方法、加熱器等を直接接触させて加熱する直接接触加熱方法、並びに、誘導加熱方法等が採用される。上記加熱手段(図示しない。)は、定着ローラ53における軸線方向の長さとほぼ同じ長さを有する部材であり、定着装置35のいずれに配置されてもよいが、定着ローラ53の表面より一定の間隔を隔てて定着ローラ53に略並行に配置されるのがよい。上記誘導加熱方法には加熱用コイルが用いられ、加熱用コイルは、通常、フェライト等の強磁性体で、スイッチング電源用として用いられている代表的な形状であるI型、E型及びU型等に形成され、導線が巻かれて成る。無端ベルト55と加圧ローラ56との圧接された間を被転写体36が通過することにより、加圧と同時に加熱され、被転写体36に転写された現像剤42(静電潜像)を定着させることができる。
【0065】
本発明に係る画像形成装置30は、次のように作用する。まず、画像形成装置30において、帯電手段32により像担持体31が一様に帯電され、露光手段33により像担持体31の表面に静電潜像が形成される。次いで、現像手段40から現像剤42が像担持体31に供給されて静電潜像が現像され、この現像剤像が像担持体31と転写手段34との間に搬送される被転写体36上に転写される。この被転写体36は定着装置35に搬送され、現像剤像が永久画像として被転写体36に定着される。このようにして、被転写体36に画像を形成することができる。
【0066】
定着装置35及び画像形成装置30は、定着ローラ53又は加圧ローラ56として本発明に係るシリコーンスポンジローラ1が採用されているから、現像剤42を被転写体36に定着させる定着性に優れると共に消費電力が小さい。
【0067】
本発明に係るシリコーンスポンジローラ1、及び画像形成装置30は、上述した構成に限定されることはなく、本発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
【0068】
例えば、シリコーンスポンジローラ1において、弾性層3は、単層構造とされているが、本発明においては二層以上の複層構造とされてもよい。
【0069】
画像形成装置30は、電子写真方式とされているが、本発明において、画像形成装置30は、電子写真方式には限定されず、例えば、静電方式であってもよい。また、画像形成装置30は、現像手段40に単色の現像剤42のみを収容するモノクロ画像形成装置とされているが、本発明において、画像形成装置30は、モノクロ画像形成装置に限定されず、カラー画像形成装置であってもよい。カラー画像形成装置としては、例えば、像担持体31上に担持された現像剤像を中間転写体に順次一次転写を繰り返す4サイクル型カラー画像形成装置、各色の現像手段40を備えた複数の像担持体31を中間転写体や転写搬送ベルト上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置等が挙げられる。画像形成装置30は、例えば、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置30とされる。
【0070】
また、定着装置35及び画像形成装置30において、現像剤42は、一成分系の現像剤が有利に用いられるが、トナーと、鉄、ニッケル等のキャリアとを含む二成分系の現像剤も使用することができる。
【実施例】
【0071】
(実施例1〜6、及び比較例1〜7)
実施例1〜6及び比較例1〜7にあっては、表1に示されるベースゴム材料と、表1に示される架橋剤と、表1に示される触媒と、表1に示される未膨張マイクロバルーンと、表1に示される化学発泡剤とを、表1に示される配合量をもって、二本ロールで十分に混練して混合物を得た。
【0072】
次いで、プライマー層を形成した軸体と上記混合物とを押出成形機にて一体分出し、赤外線加熱炉(IR加熱炉)を用いて上記混合物を225℃で17分間加熱することにより1次加硫し、その後、熱風乾燥炉において225℃で7時間にわたって2次加硫することにより発泡ローラ原体を作製した。この発泡ローラ原体の円周面を、金属砥石による高速研磨を株式会社水口製作所製の研磨機により行った。
【0073】
なお実施例1〜6及び比較例1〜7で用いられたベースゴム材料は、信越化学工業株式会社製の商品名KE−551Uであるミラブル型シリコーンゴムであり、表1に記載された架橋剤は「付加架橋」と記載された信越化学工業株式会社製の商品名C−25Bと「パーオキサイド架橋」と記載された信越化学工業株式会社製のC−3との組み合わせであり、表1に記載された「触媒」は信越化学工業株式会社製の商品名C−25Aである白金触媒であり、表1に記載された「化学発泡剤」は大塚化学株式会社製の商品名AZOシリーズのAIBNである。表1に記載された未膨張マイクロバルーンは松本油脂製薬株式会社製の商品名マツモトマイクロスフェアーである。
【0074】
また、比較例1から3にあっては化学発泡剤を配合せず、未膨張マイクロバルーンのみであり、比較例5から7にあっては未膨張マイクロバルーンを配合せず、化学発泡剤のみであり、比較例4にあっては、未膨張マイクロバルーンと化学発泡剤の混合であるが、未膨張マイクロバルーンの膨張開始温度が化学発泡剤の分解温度よりも高いものである。
【0075】
実施例及び比較例にて得られたシリコーンスポンジローラは外径30mm及び軸線方向長さ340mmのストレート形状であった。
【0076】
製造されたシリコーンスポンジローラの平均セル径、スポンジ比重、研磨後の弾性層の表面硬度(アスカーC硬度)、表面粗さ(Rz94)を測定し、その結果を表1に示した。
【0077】
【表1】