【実施例】
【0035】
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【0036】
<製造例1: 本発明の比較用皮膚外用剤(乳化剤形)の製造方法>
下記の表1に示す処方に従い、乳化剤形の皮膚外用剤を製造した。即ち、イ、ロの成分をそれぞれ70℃に加熱し、ロにイを撹拌しながら徐々に加えた。40℃まで撹拌しながら冷やした後、ハの成分を徐々添加し均一撹拌した。30℃で冷却・撹拌を停止し乳化剤形の皮膚外用剤(乳化処方1)を得た。
【0037】
【表1】
【0038】
[実施例1]
<製造例2: 本発明のオイルゲル剤形の皮膚外用剤の製造方法1>
「シリコーンKSG−16(信越化学工業株式会社)」 60.0(g)及び「グリセリルトリイソオクタネート(ノムコートTIO)(日清オイリオ株式会社)」 5.0(g)を量り取り、均一に練り込んだ。「KSK32」 1.0(g)に「グリセリルトリイソオクタネート」 9.0(g)加え、粉砕機により粉砕したKSK32分散液を調製した。これに、「ポリメチルメタクリレート球状粉体(マイクロスフェアM330)(松本油脂製薬株式会社)」 20.0(g)、「セリサイト(セリサイトFSE、三信鉱工株式会社)」 5.0(g)を加えて練り込みオイルゲル剤形処方を製造した。斯くして、オイルゲル剤形の処方の皮膚外用剤(化粧料1)が得られた。
【0039】
<比較製造例:本発明の皮膚外用剤(グロス製剤)の製造方法>
レオパールKL2(千葉製粉株式会社)10(g)、グリセリルトリイソオクタネート(日清オイリオグループ株式会社)40(g)及びラスプラン(日本精化株式会社)45(g)を量りこみ、85℃にて加熱溶解した。「KSK32」0.5(g)に「グリセリルトリイソオクタネート(日清オイリオグループ株式会社)」4.5(g)を加え、粉砕機により粉砕したKSK32分散液を添加し、撹拌混合しながら常温に戻しグロス剤形の皮膚外用剤(比較例1)を得た。
【0040】
<試験例1: 本発明のオイルゲル剤形の皮膚外用剤の皮膚貯留性評価1>
前記の方法に従い製造した比較用皮膚外用剤(乳化処方1)、オイルゲル剤形の皮膚外用剤(化粧料1)及び比較例1(グロス製剤)に関し、KSK32の皮膚貯留性を評価した。フランツ型拡散セルに摘出ヒト皮膚(Caucasian、50歳男性、背部皮膚)をセットし、レセプター側をPBSで満たした。ドナー側に上記で調製した処方を添加し、37℃、24時間放置後、皮膚表面に付着した残留処方をふき取った後メタノールで洗浄した。洗浄した皮膚からテープを用いて角層を除去後、メタノールを用いて処理後の皮膚(角層を除いた表皮及び真皮部分)からKSK32を抽出し、HPLC(カラム;逆相系カラム(3.0×100mm)、カラム温度;室温、移動相;陰イオン系スルホン酸型界面活性剤水溶液/THF25%、pH;3、流速;0.4mL/min.、検知;240nm)により皮膚内の貯留量を算出した。結果を表2に示す。乳化処方1を用いた場合には、KSK32は検出されなかった。また、比較例1のグロス製剤では、KSK32の若干の貯留が確認された。一方、オイルゲル剤形の皮膚外用剤(化粧料1)ではKSK32の皮膚内貯留が認められ、オイルゲル剤形処方により皮膚貯留性が向上したことがわかった。
【0041】
【表2】
【0042】
[実施例2]
<製造例3: 本発明のオイルゲル剤形の皮膚外用剤の製造方法2>
「シリコーンKSG−16(信越化学工業株式会社製)」 65.0(g)及び「ノムコートTIO(日清オイリオ株式会社)」 15.0(g)を量り取り、均一に練り込んだ。「KSK32」 0.5(g)に「DC345(東レ・ダウコーニング株式会社)」 4.5(g)を加え、粉砕機により粉砕したKSK32分散液を調製した。KSG−16及びノムコートTIO組成物にKSK32分散液、「マイクロスフェアM330(松本油脂製薬株式会社)」 15.0(g)を加えて練り込みオイルゲル剤形の皮膚外用剤(化粧料2)を製造した。
【0043】
[実施例3]
<製造例4: 本発明のオイルゲル剤形の皮膚外用剤の製造方法3>
「シリコーンKSG−16(信越化学工業株式会社)」 65.0(g)及び「ノムコートTIO(日清オイリオ株式会社)」 15.0(g)、「シリコーンKF96−6(信越シリコーン株式会社)」 5.0(g)を量り取り、均一に練り込んだ。「KSK32」 0.5(g)に「DC345(東レ・ダウコーニング株式会社)」 4.5(g)を加え、粉砕機により粉砕したKSK32分散液を調製した。KSG−16及びノムコートTIO組成物にKSK32分散液、「マイクロスフェアM330(松本油脂製薬株式会社)」 10.0(g)を加えて練り込みオイルゲル剤形の皮膚外用剤(化粧料3)を製造した。
【0044】
[実施例4]
<製造例5: 本発明のオイルゲル剤形の皮膚外用剤の製造方法4>
「シリコーンKSG−16(信越化学工業株式会社)」 65.0(g)及び「ノムコートTIO(日清オイリオ株式会社)」 15.0(g)、「シリコーンKF96−6(信越化学工業株式会社製)」 7.5(g)を量り取り、均一に練り込んだ。「KSK32」 0.5(g)に「DC345(東レ・ダウコーニング株式会社)」 4.5(g)を加え、粉砕機により粉砕したKSK32分散液を調製した。KSG−16及びノムコートTIO組成物にKSK32分散液、「マイクロスフェアM330(松本油脂製薬株式会社)」 7.5(g)を加えて練り込みオイルゲル剤形の皮膚外用剤(化粧料4)を製造した。
【0045】
[実施例5]
<試験例2: 本発明のオイルゲル剤形の皮膚外用剤の皮膚貯留性評価2>
実施例3〜5に記載の方法に従い製造した配合濃度の違うマイクロスフェア配合処方(化粧料2〜化粧料4)の皮膚内貯留性を試験例1に記載の方法に従い評価した。結果を表3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】
オイルゲル剤形の皮膚外用剤(化粧料2〜4)処方中のマイクロスフェアM330含有量を増加させることにより、KSK32の皮膚貯留性が向上することが示唆された。
【0048】
[実施例6]
<製造例6: 本発明のオイルゲル剤形の皮膚外用剤の製造方法5>
「シリコーンKSG−16(信越化学工業株式会社)」 75.0(g)及び「ノムコートTIO(日清オイリオ株式会社)」 5.0(g)を量り取り、均一に練り込んだ。「KSK32」 0.5(g)に「DC345(東レ・ダウコーニング株式会社)」 4.5(g)を加え、粉砕機により粉砕したKSK32分散液を調製した。KSG−16及びノムコートTIO組成物にKSK32分散液、「マイクロスフェアM330(松本油脂製薬株式会社)」 15.0(g)を加えて練り込みオイルゲル剤形の皮膚外用剤(化粧料5)を製造した。
【0049】
[実施例7]
<製造例7: 本発明のオイルゲル剤形の皮膚外用剤の製造方法6>
「シリコーンKSG−16(信越化学工業株式会社)」 65.0(g)及び「ノムコートTIO(日清オイリオ株式会社)」 5.0(g)を量り取り、均一に練り込んだ。「KSK32」 0.5(g)に「DC345」(東レ・ダウコーニング株式会社) 4.5(g)を加え、粉砕機により粉砕したKSK32分散液を調製した。KSG−16及びノムコートTIO」組成物にKSK32分散液、「マイクロスフェアM330(松本油脂製薬株式会社)」 25.0(g)を加えて練り込みオイルゲル剤形の皮膚外用剤(化粧料6)を製造した。
【0050】
[実施例8]
<試験例3: 本発明のオイルゲル剤形の皮膚外用剤の皮膚貯留性評価3>
実施例6及び7に記載の方法に従い製造した配合濃度の違うマイクロスフェア配合処方(化粧料5及び化粧料6)の皮膚内貯留性を試験例1に記載の方法に従い評価した。結果を表4に示す。
【0051】
【表4】
【0052】
表3及び表4の結果より、球状粉体の含有量としては、15質量%付近に閾値が存することが分かり、球状粉体の含有量としては、12質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上が更に好ましく、一方、50質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましいことが分かった。
【0053】
<製造例8: 本発明のオイルゲル剤形の皮膚外用剤の製造方法7>
「シリコーンKSG−16(信越化学株式会社)」 71.0(g)及び「ポリエーテル変性シリコーン(シリコーンKF−6017、信越化学株式会社)」 2.4(g)、「DC345(東レ・ダウコーニング株式会社)」 18.3(g)、「フェノキシエタノール(四日市合成株式会社)」 0.4(g)、「エタノール(和光純薬工業株式会社)」 5.9(g)、「KSK32」 2(g)を混練し粉体未配合オイルゲル剤形の皮膚外用剤(粉体未配合の皮膚外用剤)を製造した。
【0054】
[実施例9]
<製造例9: 本発明のオイルゲル剤形の皮膚外用剤の製造方法8>
「シリコーンKSG−16(信越シリコーン株式会社製)」 60.0(g)、「マイクロスフェアM330(松本油脂製薬株式会社)」 15.0(g)を混練した。「ポリエーテル変性シリコーン(シリコーンKF−6017、信越化学株式会社)」 2.0(g)、「DC345(東レ・ダウコーニング株式会社)」 15.7(g)、「フェノキシエタノール(四日市合成株式会社)」 0.3(g)、「エタノール (和光純薬工業株式会社)」 5.0(g)、「KSK32」 2.0(g)を混練し「ポリメチルメタクリレ−ト球状粉体(マイクロスフェアM330、松本油脂製薬株式会社)」を含有するオイルゲル剤形の皮膚外用剤(化粧料7)を製造した。
【0055】
[実施例10]
<製造例10: 本発明のオイルゲル剤形の皮膚外用剤の製造方法9>
「シリコーンKSG−16(信越化学工業株式会社)」 60.0(g)、「球状ポリアミド樹脂(ナイロンSP500、東レ株式会社)」 15.0(g)を混練した。「シリコーンKF−6017(信越化学株式会社)」 2.0(g)、「DC345(東レ・ダウコーニング株式会社)」 15.7(g)、「フェノキシエタノール(四日市合成株式会社)」 0.3(g)、「エタノール(和光純薬工業株式会社)」 5.0(g)、「KSK32」 2.0(g)を混練し、球状ポリアミド樹脂粉体を含有するオイルゲル剤形の皮膚外用剤(化粧料8)を製造した。
【0056】
[実施例11]
<試験例4: 本発明のオイルゲル剤形の皮膚外用剤の皮膚貯留性評価4>
試験例1に記載の方法に従い本発明のオイルゲル剤形の皮膚外用剤(化粧料7及び化粧料8)の皮膚貯留性を評価した。結果を表5に示す。
【0057】
【表5】
【0058】
いずれの有機球状粉体においても、球状粉体未配合のものと比較して高い皮膚内貯留を示した。特にマイクロスフェアM330が高い皮膚貯留性を示した。
【0059】
<製造例11: 本発明のオイルゲル剤形の皮膚外用剤の製造方法10>
「シリコーンKSG−16(信越化学工業株式会社)」 80.0(g)及び「ノムコートTIO(日清オイリオ株式会社)」 15.0(g)を量り取り、均一に練り込んだ。「KSK32」 0.5(g)に「DC345(東レ・ダウコーニング株式会社)」 4.5(g)を加え、粉砕機により粉砕したKSK32分散液を調製した。KSG−16及びノムコートTIO組成物にKSK32分散液を加えて練り込みオイルゲル剤形の皮膚外用剤(粉体未配合の皮膚外用剤)を製造した。
【0060】
[実施例12]
<製造例12: 本発明のオイルゲル剤形の皮膚外用剤の製造方法11>
「シリコーンKSG−16(信越化学工業株式会社)」 65.0(g)及び「ノムコートTIO(日清オイリオ株式会社)」 15.0(g)を量り取り、均一に練り込んだ。「KSK32」 0.5(g)に「DC345(東レ・ダウコーニング株式会社)」 4.5(g)を加え、粉砕機により粉砕したKSK32分散液を調製した。KSG−16及びノムコートTIO組成物にKSK32分散液、「ポリメチルメタクリレート球状粉体(マイクロスフェアM330、松本油脂製薬株式会社)」 15.0(g)を加えて練り込みオイルゲル剤形の皮膚外用剤(化粧料9)を製造した。
【0061】
[実施例13]
<製造例13: 本発明のオイルゲル剤形の皮膚外用剤の製造方法12>
「シリコーンKSG−16(信越化学工業株式会社)」 65.0(g)及び「ノムコートTIO(日清オイリオ株式会社)」 15.0(g)を量り取り、均一に練り込んだ。「KSK32」 0.5(g)に「DC345(東レ・ダウコーニング株式会社)」 4.5(g)を加え、粉砕機により粉砕したKSK32分散液を調製した。KSG−16及びノムコートTIO組成物にKSK32分散液、「セリサイト(セリサイトFSE、三信鉱工株式会社)」 15.0(g)を加えて練り込みオイルゲル剤形の皮膚外用剤(化粧料10)を製造した。
【0062】
[実施例14]
<試験例5: 本発明のオイルゲル剤形の皮膚外用剤の皮膚貯留性評価5>
製造例11、実施例11及び実施例12に記載の方法に従い製造した本発明のオイルゲル剤形の皮膚外用剤(粉体未配合の皮膚外用剤、化粧料9及び10)に関し、試験例1に記載の方法に従い皮膚貯留性を評価した。結果を表6に示す。
前記で調製した粉体未配合処方とマイクロスフェア配合処方とセリサイト(ケイ酸塩鉱物)配合処方の皮膚内貯留性を上記の方法で試験して比較した。
【0063】
【表6】
【0064】
球状粉体であるマイクロスフェア含有処方の化粧料9は、板状粉体の「セリサイト」含有処方の化粧料10に比較し、高い皮膚内貯留量を示した。
【0065】
[実施例15]
<製造例14: 本発明のオイルゲル剤形の皮膚外用剤の製造方法13>
「シリコーンKSG−16(信越化学工業株式会社)」 65.0(g)及び「ノムコートTIO(日清オイリオ株式会社)」 15.0(g)を量り取り、均一に練り込んだ。「KSK32」 0.5(g)に「DC345(東レ・ダウコーニング株式会社)」 4.5(g)を加え、粉砕機により粉砕したKSK32分散液を調製した。KSG−16及びノムコートTIO組成物にKSK32分散液、球状無水珪酸(「シリカマイクロビートP1500(触媒化成工業株式会社)」 15.0(g)を加えて練り込みオイルゲル剤形の皮膚外用剤(化粧料11)を製造した。
【0066】
[実施例16]
<試験例5: 本発明のオイルゲル剤形の皮膚外用剤の皮膚貯留性評価5>
化粧料9、実施例15に従い製造した本発明のオイルゲル剤形の皮膚外用剤(化粧料11)に関し、試験例1に記載の方法に従い皮膚貯留性を評価した。結果を表7に示す。
【0067】
【表7】
【0068】
球状無機粉体の代表例として、シリカマイクロビート配合のオイルゲル剤形の皮膚外用剤(化粧料11)の皮膚貯留性を評価したところ、有機球状粉体と比較し低い皮膚貯留性を示した。