特許第6554771号(P6554771)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6554771光輝性トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、画像形成方法、及び、画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6554771
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】光輝性トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、画像形成方法、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/09 20060101AFI20190729BHJP
   G03G 9/08 20060101ALI20190729BHJP
   G03G 9/097 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   G03G9/09
   G03G9/08
   G03G9/097 368
【請求項の数】6
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2014-194314(P2014-194314)
(22)【出願日】2014年9月24日
(65)【公開番号】特開2016-65965(P2016-65965A)
(43)【公開日】2016年4月28日
【審査請求日】2017年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平井 紗希子
(72)【発明者】
【氏名】杉立 淳
(72)【発明者】
【氏名】高橋 賢
(72)【発明者】
【氏名】高橋 章太郎
(72)【発明者】
【氏名】原 聡美
【審査官】 高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−163695(JP,A)
【文献】 特表2007−519982(JP,A)
【文献】 特開2010−217817(JP,A)
【文献】 特開2008−139464(JP,A)
【文献】 特開2014−021300(JP,A)
【文献】 特開2013−200521(JP,A)
【文献】 特表2013−507494(JP,A)
【文献】 特表2008−521037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/00−9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光輝性顔料と
アゾ系イエロー顔料と
マゼンタ顔料とを含み、
トナー載り量が4.0g/mのベタ画像を形成した場合の、画像の彩度が25〜55、色相角が65〜95°、明度が50〜80であり、
前記光輝性顔料が、金属顔料と、該金属顔料の表面を被覆した、シリカ、アルミナ、及びチタニアよりなる群から選択された少なくとも1種の金属酸化物を含む第一の被覆層と、該第一の被覆層の表面を被覆した、樹脂を含む第二の被覆層とを有し、
前記アゾ系イエロー顔料と前記マゼンタ顔料の質量比が3:1〜30:1であり、
前記第二の被覆層に含まれる前記樹脂が、アクリル樹脂又はポリエステル樹脂であり、
前記光輝性顔料の数平均円相当径が5〜9μmであり、
前記光輝性顔料の全個数に対し、円相当径が4.0μm以下の光輝性顔料の含有量が20個数%以下であり、
前記光輝性顔料100質量部に対し、前記アゾ系イエロー顔料と前記マゼンタ顔料の合計含有量が15〜50質量部であり、
前記アゾ系イエロー顔料と前記マゼンタ顔料の質量比が3:1〜30:1である、
光輝性トナー。
【請求項2】
前記第二の被覆層に含まれる前記樹脂が、アクリル樹脂である、請求項1に記載の光輝性トナー。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光輝性トナー、及び、キャリアを含む静電荷像現像剤。
【請求項4】
画像形成装置に着脱可能であり、請求項1または2に記載の光輝性トナーを収容するトナーカートリッジ。
【請求項5】
像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、
前記像保持体表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像工程、
前記トナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、
前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着工程、を含み、
前記トナーが請求項1または2に記載の光輝性トナーである
画像形成方法。
【請求項6】
像保持体と、
前記像保持体を帯電させる帯電手段と、
帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体表面に静電潜像を形成させる露光手段と、
トナーにより前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、
前記トナー像を前記像保持体から被転写体表面に転写する転写手段と、
前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、
前記トナーが請求項1または2に記載の光輝性トナーである
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光輝性トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、画像形成方法、及び、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法など、静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在さまざまな分野で利用されている。
従来電子写真法においては、感光体や静電記録体上に種々の手段を用いて静電潜像を形成し、この静電潜像にトナーと呼ばれる検電性粒子を付着させて静電潜像(トナー像)を現像し、被転写体表面に転写し、加熱等により定着する、という複数の工程を経て、可視化する方法が一般的に使用されている。
トナーの中でも、金属光沢のごとき輝きを有する画像を形成する目的から、光輝性のトナーが用いられている。
上記光輝性のトナーの例としては、例えば、少なくとも結着樹脂と金属光沢を呈するのに十分な金属粉末とを含有したトナーが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、着色剤として薄片状無機結晶基質上に二酸化チタンからなる薄層を被覆させた顔料を用いたトナーが知られている(例えば、特許文献2参照)。
更に、ベタ画像を形成した場合に、該画像に対し変角光度計により入射角−45°の入射光を照射した際に測定される受光角+30°での反射率Aと受光角−30°での反射率Bとの比(A/B)が2以上100以下であるトナーが知られている(特許文献3参照)。
特許文献4には、光輝性顔料とアゾ系イエロー顔料とマゼンタ顔料とを着色剤として含有する静電荷現像用トナーが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−67558号公報
【特許文献2】特開昭62−100769号公報
【特許文献3】特開2012−32765号公報
【特許文献4】特開2012−163695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、蛍光など彩度や明度の高い色の用紙や印刷物の上に印刷した場合に、画像中の彩度や明度のムラが抑制され、良好な金色画像が得られる光輝性トナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記課題は、以下の<1>、<2>及び<4>〜<7>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<3>とともに以下に記載する。
<1> 光輝性顔料とアゾ系イエロー顔料とマゼンタ顔料とを含み、トナー載り量が4.0g/mのベタ画像を形成した場合の、画像の彩度が25〜55、色相角が65〜95°、明度が50〜80であることを特徴とする光輝性トナー、
<2> 光輝性顔料とアゾ系イエロー顔料とマゼンタ顔料とを含み、前記光輝性顔料の数平均円相当径が5〜9μmであり、前記光輝性顔料の全個数に対し、円相当径が4.0μm以下の光輝性顔料の含有量が20個数%以下であり、前記光輝性顔料100質量部に対し、前記アゾ系イエロー顔料と前記マゼンタ顔料の合計含有量が15〜50質量部であり、前記アゾ系イエロー顔料と前記マゼンタ顔料の質量比が3:1〜30:1であることを特徴とする光輝性トナー、
<3> 前記光輝性顔料が、金属顔料と、該金属顔料の表面を被覆した、シリカ、アルミナ、及びチタニアよりなる群から選択された少なくとも1種の金属酸化物を含む第一の被覆層と、該第一の被覆層の表面を被覆した、樹脂を含む第二の被覆層とを有する、<1>又は<2>に記載の光輝性トナー、
<4> <1>〜<3>のいずれか1つに記載の光輝性トナー、及び、キャリアを含む静電荷像現像剤、
<5> 画像形成装置に着脱可能であり、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の光輝性トナーを収容するトナーカートリッジ、
<6> 像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記像保持体表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像工程、前記トナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着工程、を含み、前記トナーが<1>〜<3>のいずれか1つに記載の光輝性トナーである画像形成方法、
<7> 像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体表面に静電潜像を形成させる露光手段と、トナーにより前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記像保持体から被転写体表面に転写する転写手段と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、前記トナーが<1>〜<3>のいずれか1つに記載の光輝性トナーである画像形成装置。
【発明の効果】
【0006】
上記<1>に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比して、蛍光など彩度や明度の高い色の用紙や印刷物の上に印刷した場合に、画像中の彩度や明度のムラが抑制され、良好な金色画像が得られる光輝性トナーが提供される。
上記<2>に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比して、蛍光など彩度や明度の高い色の用紙や印刷物の上に印刷した場合に、画像中の彩度や明度のムラが抑制され、良好な金色画像が得られる光輝性トナーが提供される。
上記<3>に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比して、蛍光など彩度や明度の高い色の用紙や印刷物の上に印刷した場合に、より画像中の彩度や明度のムラが抑制され、良好な金色画像が得られる光輝性トナーが提供される。
上記<4>に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比して、蛍光など彩度や明度の高い色の用紙や印刷物の上に印刷した場合に、画像中の彩度や明度のムラが抑制され、良好な金色画像が得られる光輝性トナーを含む静電荷像現像剤が提供される。
上記<5>に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比して、蛍光など彩度や明度の高い色の用紙や印刷物の上に印刷した場合に、画像中の彩度や明度のムラが抑制され、良好な金色画像が得られる光輝性トナーを含むトナーカートリッジが提供される。
上記<6>に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比して、蛍光など彩度や明度の高い色の用紙や印刷物の上に印刷した場合に、画像中の彩度や明度のムラが抑制され、良好な金色画像が得られる光輝性トナーを用いた画像形成方法が提供される。
上記<7>に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比して、蛍光など彩度や明度の高い色の用紙や印刷物の上に印刷した場合に、画像中の彩度や明度のムラが抑制され、良好な金色画像が得られる光輝性トナーを含む画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態の静電荷像現像用トナーの一例を概略的に示す平面図及び側面図である。
図2】本実施形態の静電荷像現像用トナーの一例を概略的に示す断面図である。
図3】本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
図4】本実施形態のプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本実施形態について説明する。
なお、本実施形態において、「A〜B」との記載は、AからBの間の範囲だけでなく、その両端であるA及びBも含む範囲を表す。例えば、「A〜B」が数値範囲であれば、「A以上B以下」又は「B以上A以下」を表す。
【0009】
(光輝性トナー)
本実施形態の光輝性トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)の第一の態様は、光輝性顔料とアゾ系イエロー顔料とマゼンタ顔料とを含み、トナー載り量が4.0g/mのベタ画像を形成した場合の、画像の彩度が25〜55、色相角が65〜95°、明度が50〜80であることを特徴とする。
また、本実施形態の光輝性トナーの第二の態様は、光輝性顔料とアゾ系イエロー顔料とマゼンタ顔料とを含み、前記光輝性顔料の数平均円相当径が5〜9μmであり、前記光輝性顔料の全個数に対し、円相当径が4.0μm以下の光輝性顔料の含有量が20個数%以下であり、前記光輝性顔料100質量部に対し、前記アゾ系イエロー顔料と前記マゼンタ顔料の合計含有量が15〜50質量部であり、前記アゾ系イエロー顔料と前記マゼンタ顔料の質量比が3:1〜30:1であることを特徴とする。
なお、本実施形態における「光輝性」とは、トナーによって形成された画像を視認した際に金属光沢のごとき輝きを有することを表す。
【0010】
従来の着色剤含有の光輝性トナーは、光輝性顔料の微粉が多いため、画像中の顔料の配向が乱れやすく、それによって明度が低く、くすんだ色味となり彩度が低かった。このため、蛍光など彩度や明度の高い色の用紙や印刷物の上に印刷した場合に、画像中の彩度・明度にムラが生じるため、良好な金色画像が得られない問題があった。有色顔料を増やすと彩度や明度は上がるが光輝性が低下するため、彩度・明度と光輝性の両立が困難であった。
本発明者らは鋭意検討した結果、光輝性顔料とアゾ系イエロー顔料とマゼンタ顔料とを含み、トナー載り量が4.0g/mのベタ画像を形成した場合の、画像の彩度が25〜55、色相角が65〜95°、明度が50〜80であることを特徴とする光輝性トナーであれば、画像中の彩度や明度のムラが抑制され、良好な金色画像が得られる光輝性トナーを提供できることを見出した。
また本発明者らは鋭意検討した結果、光輝性顔料とアゾ系イエロー顔料とマゼンタ顔料とを含み、前記光輝性顔料の数平均円相当径が5〜9μmであり、前記光輝性顔料の全個数に対し、円相当径が4.0μm以下の光輝性顔料の含有量が20個数%以下であり、前記光輝性顔料100質量部に対し、前記アゾ系イエロー顔料と前記マゼンタ顔料の合計含有量が15〜50質量部であり、前記アゾ系イエロー顔料と前記マゼンタ顔料の質量比が3:1〜30:1であるトナーであれば、画像中の彩度や明度のムラが抑制され、良好な金色画像が得られる光輝性トナーを提供できることを見出した。
以下、トナーを構成する各成分や物性値について詳述する。
【0011】
<光輝性顔料>
本実施形態の光輝性トナーは、光輝性顔料を含有する。
光輝性顔料としては、金属顔料、パール状顔料等が挙げられる。
光輝性顔料としては、例えば、アルミニウム、黄銅、青銅、ニッケル、ステンレス、亜鉛、銅、銀、金、白金などの金属粉末、酸化チタンや黄色酸化鉄を被覆した雲母、硫酸バリウム、層状ケイ酸塩、層状アルミニウムのケイ酸塩などの被覆薄片状無機結晶基質、単結晶板状酸化チタン、塩基性炭酸塩、酸オキシ塩化ビスマス、天然グアニン、薄片状ガラス粉、金属蒸着された薄片状ガラス粉など、光輝性を有するものならば特に制限はない。中でも、コストや安定性、入手容易性、光輝性の観点から、金属顔料が好ましく、アルミニウム顔料がより好ましく、アルミニウム金属単体の金属顔料であることが特に好ましい。 なお、前記光輝性顔料100質量部に対し、前記アゾ系イエロー顔料と前記マゼンタ顔料の合計含有量が15〜50質量部であり、好ましくは20〜40質量部である。
【0012】
〔円相当径〕
光輝性顔料の数平均円相当径は5〜9μmであり、5〜8μmであることがより好ましく、6〜8μmであることが更に好ましい。
また、光輝性顔料の全個数に対し、円相当径が4.0μm以下の光輝性顔料の含有量は20個数%以下であり、15個数%以下であることが好ましく、12個数%であることがより好ましい。
光輝性顔料の形状は、鱗片状(平板状)又は扁平状であることが好ましく、鱗片状であることがより好ましく、また、光輝性顔料は、光輝性顔料の平均最大厚さよりも金属顔料の平均円相当径が長いことが好ましい。
なお、鱗片状粒子とは、略平坦な面(X−Y平面)を有し、かつ、厚み(Z)が略均一である粒子をいう。ここで、鱗片状粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZと定義する。なお、X−Y平面は、最大の投影面積を与える面である。
円相当径は、平板状粒子の略平坦な面(X−Y平面)を、当該粒子の投影面積と同じ投影面積を有する円と想定したときの、当該円の直径である。平板状粒子の略平坦な面(X−Y平面)が多角形である場合、その多角形の投影面を円に変換して得られた当該円の直径を、その平板状粒子の円相当径であるという。
円相当径は、フロー式粒子像分析装置FPIA−3000(シスメックス(株)製)を用いて測定することができる。
【0013】
〔微粉除去〕
上記光輝性顔料の円相当径は、微粉除去を行うことにより調整することができる。
微粉除去の方法としては、例えば、上記光輝性顔料、界面活性剤及び水を混合し、一定時間自然沈降させて上澄みを除去するという操作を繰り返す方法が挙げられる。
界面活性剤としては、特に限定されず、公知の界面活性剤を使用することができるが、アニオン性界面活性剤を使用することが好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、公知のものを制限無く使用することができるが、スルホン酸塩化合物、カルボン酸塩化合物、リン酸エステル塩化合物、又は、硫酸エステル塩化合物が好ましく、スルホン酸塩化合物がより好ましい。
水としては、特に限定されないが、イオン交換水が好適に用いられる。
また、水100質量部に対し、光輝性トナーは、5〜50質量部含有することが好ましく、10〜40質量部含有することがより好ましく、15〜35質量部含有することが更に好ましい。
界面活性剤の含有量は、水100質量部に対し、0.1〜3質量部であることが好ましく、0.2〜2質量部であることがより好ましく、0.3〜1質量部であることが更に好ましい。
上記各成分の混合方法は、特に限定されないが、例えば乳化分散機を用いて混合する方法が好ましく用いられる。
混合後に自然沈降させる沈降時間としては、特に限定されないが、1〜5時間程度が好ましく、1〜3時間程度がより好ましい。上記沈降時間を調整することにより、円相当径が小さい粒子の含有量を調節することが可能であるため、光輝性顔料の全個数に対し、円相当径が4.0μm以下の光輝性顔料の含有量は20個数%以下となるように、適宜沈降時間を調節することが好ましい。
【0014】
〔被覆層〕
本実施形態の光輝性顔料は、金属顔料と、該金属顔料の表面を被覆した、シリカ、アルミナ、及びチタニアよりなる群から選択された少なくとも1種の金属酸化物を含む第一の被覆層と、該第一の被覆層の表面を被覆した、樹脂を含む第二の被覆層とを有することが好ましい。
【0015】
被覆顔料を構成する第一の被覆層は、シリカ、アルミナ、及びチタニアからなる金属酸化物の群より選択されたものを含み、これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
上記の中でも、トナー粒子を製造する際の耐薬品性に優れる、また、顔料表面をより均一に近い状態で被覆しうる点から、シリカが好ましい。
なお、第一の被覆層は、上記の金属酸化物のみから形成されていてもよいが、製造の際に含まれる不純物等を含んでいてもよい。
【0016】
本実施形態においては、金属顔料中の金属Maと第一の被覆層中の金属Mbとの元素比Mb/Maが0.08以上0.20以下であることが好ましい。また、かかる元素比Mb/Maは、0.1以上0.18以下が好ましく、0.12以上0.16以下がより好ましい。
上記元素比Mb/Maが0.20以下であれば、第一の被覆層による光の反射率が低下せず、光輝性に優れる画像が形成できる。また、上記元素比Mb/Maが0.08以上である場合には、金属顔料表面への被覆が均一となることから、高温高湿下における転写性が向上する。
【0017】
上記の元素比Mb/Maを求める際の元素量は、蛍光X線解析装置(XRF)を用いて測定される。
具体的には、加圧成型機を用いて、トナー粒子5gに10tonの圧縮圧力をかけて直径5cmのディスクを作製し、これを測定試料とした。これを(株)島津製作所製の蛍光X線分析装置(XRF−1500)を使用して、測定条件を、管電圧40KV、管電流90mA、測定時間30分として、金属顔料及び第一の被覆層中の金属元素量を測定できる。
【0018】
上記の元素比Mb/Maを求める際の元素量は、蛍光X線解析装置(XRF)を用いて測定される。
具体的には、加圧成型機を用いて、トナー粒子5gに10tonの圧縮圧力をかけて直径5cmのディスクを作製し、これを測定試料とした。これを(株)島津製作所製の蛍光X線分析装置(XRF−1500)を使用して、測定条件を、管電圧40KV、管電流90mA、測定時間30分として、金属顔料及び第一の被覆層中の金属元素量を測定した。
【0019】
金属酸化物による表面の被覆方法としては、例えば、ゾルゲル法により金属顔料の表面に金属酸化物の被覆層を形成する方法、金属水酸化物を金属顔料の表面に析出させ、低温で結晶化させて金属酸化物の被覆層を形成する方法等が挙げられる。
本実施形態においては、元素比Mb/Maが0.08以上0.20以下の範囲となるように有機金属化合物を添加し、金属顔料を含有する分散液中に、加水分解触媒を添加して分散液のpHを調整することにより、金属顔料の表面に析出させるとすることが好ましい。
【0020】
第一の被覆層の被覆量は、金属顔料の質量に対して10質量%以上40質量%以下であることが好ましく、20質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
また、この第一の被覆層の被覆量は、蛍光X線解析装置(XRF)でアルミ顔料とシリカ粒子の混合物を予め測定した検量線により測定される。
【0021】
被覆顔料を構成する第二の被覆層は、樹脂による被覆層であることが好ましい。
ここで用いられる樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等、後述するような、トナー粒子の結着樹脂として公知の樹脂が用いられる。
中でも、顔料表面を均一に被覆しうる点から、アクリル樹脂が好ましい。
また、トナー粒子を製造する際の耐薬品性に優れる点や、耐衝撃性の点から、第二の被覆層が架橋された樹脂からなる層であることが好ましい。
なお、第二の被覆層は、上記の樹脂のみから形成されていてもよいが、製造の際に含まれる不純物等を含んでいてもよい。
【0022】
第二の被覆層の被覆量は、金属顔料の質量に対して5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、10質量%以上25質量%以下であることがより好ましく、15質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。
第二の被覆層の被覆量が5質量%以上であることで、結着樹脂による被覆顔料の被覆性が保たれ、高温高湿下における転写性の低下が抑制される。また、第二の被覆層の被覆量が20質量%以下であることで、第二の被覆層を構成する樹脂により正反射率が低下してしまうことを抑制し、光輝性に優れた画像が形成される。
また、この第二の被覆層の被覆量は、熱量計測定装置(TGA)を用いて、窒素気流下、30℃/minの昇温速度で30℃から600℃まで昇温したときの質量減少率により測定される。
【0023】
なお、トナー粒子中の被覆顔料における第二の被覆層について、その被覆量を測定する際には、トナー粒子から結着樹脂(及び離型剤やその他の成分)等の成分を、溶解、燃焼等の方法により取り除いた後、上記のような方法を適用すればよい。
また、トナー粒子中の結着樹脂には、離型剤やその他の成分が混在していることから、これらの混在領域と被覆顔料における第二の被覆層とを区別することで、第二の被覆層の被覆量を測定してもよい。
【0024】
第二の被覆層は、以下のようにして形成される。
即ち、第一の被覆層を形成した被覆顔料を固液分離し、必要に応じて洗浄を行った後に、溶媒に分散し、撹拌しながら重合性モノマーと重合開始剤を添加して、加熱処理を行い、金属顔料表面に樹脂を析出させる。
このようにして、第二の被覆層が形成される。
【0025】
本実施形態のトナーにおける、被覆顔料の含有量としては、後述の結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上70質量部以下が好ましく、5質量部以上50質量部以下がより好ましい。
【0026】
<アゾ系イエロー顔料>
本実施形態に用いられるアゾ系イエロー顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 74、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、5、6、49、65、73、75、97、98、111、116、130等のモノアゾ系顔料、C.I.Pigment Yellow 93、C.I.Pigment Yellow 94、95、128、166等のジスアゾ縮合系顔料、C.I.Pigment Yellow 12、13、14、17、55、63、81、83、87、90、106、113、114、121、124、126、127、136、152、170、171、172、174、176、188等のジスアゾ系顔料等が挙げられる。これらの中でも、顔料分散性の理由からC.I.Pigment Yellow 74をアゾ系イエロー顔料として用いることが望ましい。
【0027】
<マゼンタ顔料>
本実施形態に用いられるマゼンタ顔料としては、例えば、ナフトール系マゼンタ顔料、キナクリドン系マゼンタ顔料、ジケトピロロピロール系マゼンタ顔料、インジゴ系マゼンタ顔料等が挙げられる。これらの中でも、帯電性、安全性の理由からナフトール系マゼンタ顔料及びキナクリドン系マゼンタ顔料からなる群より選択される少なくとも一種をマゼンタ顔料として用いることが望ましい。
【0028】
<その他の顔料>
本実施形態においては、上記顔料以外のその他の顔料を併用してもよい。本実施形態で使用してもよいその他の顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンGK、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレート、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、酸化クロム、クロムグリーン、ピグメントグリーン、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等が挙げられる。
【0029】
本実施形態のトナーに含まれるアゾ系イエロー顔料とマゼンタ顔料との質量比は3:1〜30:1であることが望ましい。前記質量比が3:1よりもマゼンタ顔料が少なければ、本実施形態のトナーを用いてトナー画像を形成した際に良好な金色を呈する画像が得られる。トナーに含まれるアゾ系イエロー顔料とマゼンタ顔料との質量比は、5:1〜20:1が更に好ましく、7:1〜15:1が特に好ましい。
【0030】
<結着樹脂>
本実施形態のトナーは結着樹脂を含有してもよい。
本実施形態に用いられる結着樹脂としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のエチレン系樹脂;ポリスチレン、α−ポリメチルスチレン等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタアクリレート、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル系樹脂;ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂及びこれらの共重合樹脂等が挙げられる。これらの中でも、定着画像の表面の平滑性が高く、更なる光輝性に優れる画像が形成されるポリエステル樹脂を用いることが望ましい。
以下においては、特に好ましく用いられるポリエステル樹脂について説明する。
【0031】
本実施形態に係るポリエステル樹脂とは、例えば、主として多価カルボン酸類と多価アルコール類との縮重合により得られるものである。
前記多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマール酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類が挙げられ、これらの多価カルボン酸が1種又は2種以上用いられる。
これら多価カルボン酸の中でも、芳香族カルボン酸を用いることが好ましく、また良好なる定着性を確保するために架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが好ましい。
【0032】
前記多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、などの脂肪族ジオール類;シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類;ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類が挙げられる。これら多価アルコールの1種又は2種以上が用いられる。
これら多価アルコールの中でも、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、このうち芳香族ジオールがより好ましい。また、より良好な定着性を確保するため、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。
【0033】
本実施形態に係るトナーは、加熱による粘度の急激な変化がより現れる点、更に機械的強度と低温定着性との両立の観点から、結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂を含有してもよい。
本実施形態に係るトナー中における結晶性ポリエステル樹脂の含有量としては、2質量%以上30質量%以下が好ましく、4質量%以上25質量%以下がより好ましい。
【0034】
結晶性ポリエステル樹脂の融解温度は、50℃以上100℃以下の範囲であることが好ましく、55℃以上95℃以下の範囲であることが好ましく、60℃以上90℃以下の範囲であることがより好ましい。
【0035】
なお、本実施形態に係る「結晶性ポリエステル樹脂」とは、示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry;以下、「DSC」と略記することがある。)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものを指す。また、結晶性ポリエステル樹脂は、その主鎖に対して他成分を共重合したポリマーの場合、他成分が50質量%以下の場合は、この共重合体も結晶性ポリエステルと呼ぶ。
【0036】
前記結晶性ポリエステル樹脂は、酸(ジカルボン酸)成分とアルコール(ジオール)成分とから合成されるものであり、下記において、「酸由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂において、ポリエステル樹脂の合成前には酸成分であった構成部位を指し、「アルコール由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前にはアルコール成分であった構成部位を指す。
【0037】
〔酸由来構成成分〕
前記酸由来構成成分となるための酸としては、種々のジカルボン酸が挙げられるが本実施形態に係る結晶性ポリエステル樹脂における酸由来構成成分としては、直鎖型の脂肪族ジカルボン酸が望ましい。
例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、あるいはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、この限りではない。これらの中では、アジピン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸が好ましい。
【0038】
酸由来構成成分としては、その他として2重結合を持つジカルボン酸由来構成成分、スルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分等の構成成分を含有していてもよい。
上記スルホン基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でも、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩等が好ましい。
これらの脂肪族ジカルボン酸由来構成成分以外の酸由来構成成分(2重結合を持つジカルボン酸由来構成成分及び/又はスルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分)の、酸由来構成成分における含有量としては、1構成モル%以上20構成モル%以下が好ましく、2構成モル%以上10構成モル%以下がより好ましい。
【0039】
なお、本明細書において「構成モル%」とは、ポリエステル樹脂における酸由来構成成分全体中の当該酸由来構成成分、又は、アルコール由来構成成分全体中の当該アルコール構成成分を、各1単位(モル)としたときの百分率を指す。
【0040】
〔アルコール由来構成成分〕
アルコール由来構成成分となるためのアルコールとしては、脂肪族ジオールが望ましく、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9―ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ドデカンジオール、1,12−ウンデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、などが挙げられるが、この限りではない。これらの中でも、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールが好ましい。
【0041】
〔ポリエステル樹脂の製造方法〕
ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造される。例えば、直接重縮合、エステル交換法等を、モノマーの種類によって使い分けて製造する。前記酸成分とアルコール成分とを反応させる際のモル比(酸成分/アルコール成分)としては、反応条件等によっても異なるため、一概には言えないが、高分子量化するためには通常1/1程度が好ましい。
【0042】
ポリエステル樹脂の製造の際に使用し得る触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物;リン酸化合物;及びアミン化合物等が挙げられる。
【0043】
結着樹脂の分子量(重量平均分子量;Mw)は、15,000以上300,000以下が望ましく、25,000以上130,000以下が更に望ましい。
【0044】
本実施形態において、結着樹脂の重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography)により測定し、算出された値をいう。具体的には、GPCは東ソー(株)製HLC−8120を使用し、カラムは東ソー(株)製TSKgel SuperHMーM(15cm)を使用し、結着樹脂をTHF溶媒で測定した。次に、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して結着樹脂の重量平均分子量を算出した。
【0045】
<離型剤>
本実施形態のトナーは、離型剤を含有することが好ましい。
離型剤の具体例としては、例えば、エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエチレンとポリプロピレンの共重合物が好ましいが、ポリグリセリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックス、脱酸カルナバワックス、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベフェニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類などの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの、不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0046】
前記離型剤は、1種を単独で、又は、2種以上を併用してもよい。
離型剤の含有量は、結着樹脂100重量%に対して、1〜20重量%の範囲で含有することが好ましく、3〜15重量%の範囲で含有することがより好ましい。上記範囲であると、良好な定着及び画質特性の両立が可能である。
【0047】
<その他の添加剤>
本実施形態のトナーには、上記した成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の成分を添加してもよい。
【0048】
帯電制御剤としては、例えば4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。
【0049】
無機粒子としては、例えば、シリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、あるいはこれらの表面を疎水化処理した物等、公知の無機粒子を単独又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、屈折率が前記結着樹脂よりも小さいシリカ粒子が好ましく用いられる。また、シリカ粒子は種々の表面処理を施されてもよく、例えばシラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、シリコーンオイル等で表面処理したものが好ましく用いられる。
【0050】
<トナーの特性>
本実施形態の光輝性トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)の第一の態様は、トナー載り量が4.0g/mのベタ画像を形成した場合の、画像の彩度が25〜55、色相角が65〜95°、明度が50〜80である。
上記彩度としては、30〜50が好ましく、35〜45がより好ましい。
上記色相角としては、70〜90°が好ましく、75〜85°がより好ましい。
上記明度としては、55〜75が好ましく、60〜70がより好ましい。
本実施形態におけるトナーの体積平均粒子径は2μm以上20μm以下の範囲であることが望ましく、より望ましくは3μm以上15μm以下の範囲であり、更に望ましくは5μm以上10μm以下の範囲である。体積平均粒子径が2μm以上であれば、トナー流動性が向上し、各粒子の帯電性が向上しやすい。また、帯電分布が広がらないため、背景へのかぶりや現像器からのトナーこぼれ等が生じにくくなる。また2μm以上であれば、クリーニング性が困難となることがない。体積平均粒子径が20μm以下であれば、解像度が向上するため、十分な画質が得られ、近年の高画質要求が満たされる。
【0051】
なお、上記体積平均粒子径の測定は、コールターマルチサイザー(コールター社製)を用いて、50μmのアパーチャー径で行われる。この際、測定はトナーを電解質水溶液(アイソトン水溶液)に分散させ、超音波により30秒以上分散させた後に行った。
【0052】
更に、本実施形態のトナーは、形状係数SF1が110以上140以下の範囲の球状形状であることが好ましい。形状がこの範囲の球状であることにより、転写効率、画像の緻密性が向上し、高画質な画像が形成される。
上記形状係数SF1は110以上130以下の範囲であることがより好ましい。
【0053】
ここで上記形状係数SF1は、下記式(1)により求められる。
SF1=(ML/A)×(π/4)×100 ・・・ 式(1)
上記式(1)中、MLは粒子の絶対最大長、Aは粒子の投影面積を各々示す。
【0054】
前記SF1は、主に顕微鏡画像又は走査型電子顕微鏡(SEM)画像を画像解析装置を用いて解析することによって数値化され、例えば、以下のようにして算出される。すなわち、スライドガラス表面に散布した粒子の光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個の粒子の最大長と投影面積を求め、上記式(1)によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
【0055】
本実施形態の光輝性トナーは、トナーのベタ画像を形成した場合に、前記画像に対し変角光度計により入射角−45°の入射光を照射した際に測定される受光角+30°での反射率Aと受光角−30°での反射率Bとの比(A/B)が2以上100以下であることが好ましい。上記範囲であると、得られる画像の光輝性により優れる。
上記比(A/B)は、20以上100以下であることが好ましく、40以上100以下であることがより好ましく、50以上100以下であることが更に好ましく、60以上90以下であることが特に好ましい。
【0056】
・変角光度計による比(A/B)の測定
ここで、まず入射角及び受光角について説明する。本実施形態において変角光度計による測定の際には、入射角を−45°とするが、これは光沢度の広い範囲の画像に対して測定感度が高いためである。
また、受光角を−30°及び+30°とするのは、光輝感のある画像と光輝感のない画像を評価するのに最も測定感度が高いためである。
【0057】
次いで、比(A/B)の測定方法について説明する。
本実施形態においては、比(A/B)を測定するに際し、まず「ベタ画像」を以下の方法により形成する。試料となる現像剤を、富士ゼロックス(株)社製DocuCentre−III C7600の現像器に充填し、記録紙(OKトップコート+紙、王子製紙(株)製)上に、定着温度190℃、定着圧力4.0kg/cmにて、トナー載り量が4.5g/cmのベタ画像を形成する。なお、前記「ベタ画像」とは印字率100%の画像を指す。
形成したベタ画像の画像部に対し、変角光度計として日本電色工業(株)製の分光式変角色差計GC5000Lを用いて、ベタ画像への入射角−45°の入射光を入射し、受光角+30°における反射率Aと受光角−30°における反射率Bを測定する。なお、反射率A及び反射率Bは、400〜700nmの範囲の波長の光について20nm間隔で測定を行い、各波長における反射率の平均値とした。これらの測定結果から比(A/B)が算出される。
【0058】
本実施形態の光輝性トナーは、トナーの平均最大厚さCよりもトナーの平均円相当径Dが長いことが好ましい。
円相当径Mとは、投影面積が最大面となる扁平面において、投影面積をXとしたとき、以下の式で与えられる。
M=(X/π)1/2
図1に示すトナーは、最大厚さLよりも、円相当径Mが長い扁平状のトナーである。
本実施形態の光輝性トナーは、トナーの平均最大厚さCとトナーの平均円相当径Dとの比(C/D)が、0.001以上0.5以下であることが好ましく、0.01以上0.5以下であることがより好ましく、0.05以上0.1以下であることが更に好ましい。上記範囲であると、得られる画像の光輝性により優れる。
【0059】
上記平均最大厚さC及び平均円相当径Dは、以下の方法により測定される。
トナーを平滑面にのせ、振動を掛けてムラのないように分散する。1,000個のトナーについて、カラーレーザー顕微鏡「VK−9700」((株)キーエンス製)により1,000倍に拡大して最大の厚さCと上から見た面の円相当径Dを測定し、それらの算術平均値を求めることにより算出する。
また、平均長軸長及び平均短軸長は、同様にして1,000個のトナーについて、カラーレーザー顕微鏡(VK−9700)((株)キーエンス製)により1,000倍に拡大して長軸長と短軸長を測定し、それらの算術平均値を求めることにより算出する。
【0060】
本実施形態において、平均最大厚さCは、1〜6μmであることが好ましく、2〜5μmであることがより好ましい。
また、平均円相当径Dは、5〜40μmであることが好ましく、8〜30μmであることがより好ましく、10〜25μmであることが更に好ましい。
平均最大厚さC及び平均円相当径Dが上記範囲内であると、優れた光輝性が得られるので好ましい。
【0061】
また、本実施形態の光輝性トナーは、トナーの厚さ方向への断面を観察した場合に、トナーの前記断面における長軸方向と光輝性顔料の長軸方向との角度が、−30°〜+30°の範囲となる光輝性顔料の数が、観察される全光輝性顔料のうち60個数%以上であることが好ましい。
図1及び図2に示すトナーTは、厚さLよりも円相当径が長い扁平状のトナーであり、鱗片状の顔料粒子MPを含有している。
図2に示すごとく、トナーTが厚さLよりも円相当径が長い扁平状であると、画像形成の現像工程や転写工程において、トナーが像保持体や中間転写体、記録媒体等に移動する際、このトナーの電荷を最大限打ち消すように移動する傾向にあるため、付着する面積が最大となるようトナーが並ぶと考えられる。すなわち、最終的にトナーが転写される記録媒体上において、扁平状のトナーはその扁平な面側が記録媒体表面と相対するよう並ぶと考えられる。また、画像形成の定着工程においても、定着する際の圧力によって、扁平状のトナーはその扁平な面側が記録媒体表面と相対するよう並ぶと考えられる。特にフッ素樹脂粒子を外添することにより、前記のように付着する面積が最大となるようトナーが並ぶことを更に生じやすくさせるものと考えられる。
そのため、このトナー中に含有される鱗片状の顔料粒子のうち前記に示される「トナーの該断面における長軸方向と顔料粒子の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲にある」との要件を満たす顔料粒子は、面積が最大となる面側が記録媒体表面と相対するよう並ぶと考えられる。こうして形成された画像に対し光を照射した場合には、入射光に対して乱反射する顔料粒子の割合が抑制されるため、前述の比(A/B)の範囲が達成されるものと考えられる。
【0062】
前記に示すとおり、トナーの厚さ方向への断面を観察した場合に、トナーの該断面における長軸方向と顔料粒子の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲となる顔料粒子の数が、観察される全顔料粒子のうち60個数%以上であることが好ましい。更には、上記数が70個数%以上95個数%以下であることがより好ましく、80個数%以上90個数%以下であることが特に好ましい。
上記の数が60個数%以上であることにより優れた光輝性が得られやすい。
【0063】
ここで、トナー断面の観察方法について説明する。
トナーをビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と硬化剤を用いて包埋したのち、切削用サンプルを作製する。次にダイヤモンドナイフを用いた切削機(本実施形態においては、LEICAウルトラミクロトーム((株)日立ハイテクノロジーズ製)を使用)を用いて−100℃の下、切削サンプルを切削し、観察用サンプルを作製する。この観察サンプルを透過型電子顕微鏡(TEM)により倍率5,000倍前後でトナー粒子の断面を観察する。観察された1,000個のトナーについて、トナーの断面における長軸方向と顔料粒子の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲となる顔料粒子の数を、画像解析ソフトを用いて数えその割合を計算する。
【0064】
なお、「トナーの断面における長軸方向」とは、前述の平均最大厚さCよりも平均円相当径Dが長いトナーにおける厚さ方向と直行する方向を表し、また「顔料粒子の長軸方向」とは、顔料粒子における長さ方向を表す。
【0065】
(トナーの製造方法)
本実施形態のトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して外添剤を添加することで作成してもよい。
トナー粒子の製造方法は特に限定されず、公知である混練・粉砕製法等の乾式法や、乳化凝集法や懸濁重合法等の湿式法等によって作製される。
混練・粉砕製法は、着色剤を始めとする各材料を混合した後、ニーダー、押し出し機などを用いて上記材料を溶融混練して、得られた溶融混錬物を粗粉砕した後、ジェットミル等で粉砕し、風力分級機により、目的とする粒径のトナー粒子を得る方法である。
これらの方法の中でも、トナー粒子の形状やトナー粒子の粒子径を制御しやすく、コアシェル構造などトナー粒子構造の制御範囲も広い乳化凝集法が望ましい。以下、乳化凝集法によるトナー粒子の製造方法について詳しく説明する。
【0066】
本実施形態の乳化凝集法はトナー粒子を構成する原料を乳化して樹脂粒子(乳化粒子)等を形成する乳化工程と、該樹脂粒子の凝集体を形成する凝集工程と、凝集体を融合させる融合工程とを有する。
【0067】
<乳化工程>
樹脂粒子分散液の作製は一般的な重合法による樹脂粒子分散液作成、例えば乳化重合法や懸濁重合法、分散重合法などを用いる他にも、水系媒体と結着樹脂とを混合した溶液に、分散機により剪断力を与えることにより乳化して行ってもよい。その際、加熱して樹脂成分の粘性を下げて粒子を形成してもよい。また分散した樹脂粒子の安定化のため、分散剤を使用してもよい。更に、樹脂が油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば、該樹脂をそれらの溶剤に溶かして水中に分散剤や高分子電解質と共に粒子分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂粒子分散液が作製される。
【0068】
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水;アルコール類;などが挙げられるが、水のみであることが望ましい。
また、乳化工程に使用される分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤;リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機塩;等が挙げられる。
【0069】
前記乳化液の作製に用いる分散機としては、例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー、加圧ニーダー、エクストルーダー、メディア分散機等が挙げられる。樹脂粒子の大きさとしては、その平均粒子径(体積平均粒子径)は1.0μm以下が望ましく、60nm以上300nm以下の範囲であることがより望ましく、更に望ましくは150nm以上250nm以下の範囲である。60nm以上では、樹脂粒子が分散液中で不安定な粒子となりやすいため、該樹脂粒子の凝集が容易となる場合がある。また1.0μm以上であると、トナーの粒子径分布が狭くなる場合がある。
【0070】
離型剤分散液の調製に際しては、離型剤を、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質と共に分散した後、離型剤の融解温度以上の温度に加熱すると共に、強いせん断力が付与されるホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて分散処理する。このような処理を経ることにより、離型剤分散液が得られる。分散処理の際、ポリ塩化アルミニウム等の無機化合物を分散液に添加してもよい。望ましい無機化合物としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、高塩基性ポリ塩化アルミニウム(BAC)、ポリ水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム等が挙げられる。これらの中でも、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等が望ましい。上記離型剤分散液は乳化凝集法に用いられるが、トナーを懸濁重合法により製造する際にも上記離型剤分散液を用いてもよい。
【0071】
分散処理により、体積平均粒子径が1μm以下の離型剤粒子を含む離型剤分散液が得られる。なお、より望ましい離型剤粒子の体積平均粒子径は、100nm以上500nm以下である。
体積平均粒子径が100nm以上では、使用される結着樹脂の特性にも影響されるが、一般的に離型剤成分がトナー中に取り込まれやすくなる。また、500nm以下の場合には、トナー中の離型剤の分散状態が良好となる。
【0072】
着色剤(アゾ系イエロー顔料及びマゼンタ顔料)分散液の調製は、公知の分散方法が利用でき、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル、アルティマイザーなどの一般的な分散手段を採用することができ、なんら制限されるものではない。着色剤は、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質と共に分散される。分散させた着色剤粒子の体積平均粒子径は1μm以下であればよいが、80nm以上500nm以下の範囲であれば、凝集性を損なうことなくかつトナー中の着色剤の分散が良好で望ましい。
【0073】
着色剤(光輝性顔料)分散液の調製は、アゾ系イエロー顔料及びマゼンタ顔料の場合と同様にして行ってもよいし、光輝性顔料と結着樹脂とを溶剤に分散・溶解して混合し、転相乳化やせん断乳化により水中へ分散することにより、樹脂で被覆された光輝性顔料の分散液を調製してもよい。
【0074】
<凝集工程>
凝集工程においては、樹脂粒子の分散液、着色剤分散液、離型剤分散液等を混合して混合液とし、樹脂粒子のガラス転移温度以下の温度で加熱して凝集させ、凝集粒子を形成する。凝集粒子の形成は、撹拌下、混合液のpHを酸性にすることによってなされる場合が多い。pHとしては、2以上7以下の範囲が望ましく、この際、凝集剤を使用することも有効である。
なお、凝集工程において、離型剤分散液は、樹脂粒子分散液等の各種分散液とともに一度に添加・混合してもよいし、複数回に分割して添加してもよい。
【0075】
凝集剤としては、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体が好適に用いられる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に望ましい。
【0076】
前記無機金属塩としては、特に、アルミニウム塩及びその重合体が好適である。より狭い粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
本実施形態においては、アルミニウムを含む4価の無機金属塩の重合体を用いることが、狭い粒度分布を得るためには望ましい。
【0077】
また、前記凝集粒子が所望の粒子径になったところで樹脂粒子分散液を追添加することで(被覆工程)、コア凝集粒子の表面を樹脂で被覆した構成のトナーを作製してもよい。この場合、離型剤や着色剤がトナー表面に露出しにくくなるため、帯電性や現像性の観点で望ましい構成である。追添加する場合、追添加前に凝集剤を添加したり、pH調整を行ってもよい。
【0078】
<融合工程>
融合工程においては、前記凝集工程に準じた撹拌条件下で、凝集粒子の懸濁液のpHを3以上9以下の範囲に上昇させることにより凝集の進行を止め、前記樹脂のガラス転移温度以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。また、前記樹脂で被覆した場合には、該樹脂も融合しコア凝集粒子を被覆する。前記加熱の時間としては、融合がされる程度行えばよく、0.5時間以上10時間以下程度行えばよい。
【0079】
融合後に冷却し、融合粒子を得る。また冷却の工程で、樹脂のガラス転移温度近傍(ガラス転移温度±10℃の範囲)で冷却速度を落とす、いわゆる徐冷をすることで結晶化を促進してもよい。
融合して得た融合粒子は、ろ過などの固液分離工程や、必要に応じて洗浄工程、乾燥工程を経てトナー粒子とされる。
【0080】
得られたトナー粒子には、帯電調整、流動性付与、電荷交換性付与等を目的として、シリカ、チタニア、酸化アルミに代表される無機酸化物等が外添剤として添加付着されてもよい。これらは、例えばV型ブレンダーやヘンシェルミキサー、レディゲミキサー等によって行うことができ、段階を分けて付着させてもよい。外添剤の添加量は、トナー粒子100部に対して、0.1部以上5部以下の範囲が好ましく、0.3部以上2部以下の範囲がより好ましい。
更に必要に応じ、超音波篩分機、振動篩分機、風力篩分機などを使って、トナーの粗大粒子を外添後取り除いてもよい。
【0081】
また、上述した外添剤以外にも、帯電制御剤、有機粒体、滑剤、研磨剤などのその他の成分(粒子)を添加させてもよい。
【0082】
帯電制御剤としては、特に制限はないが、無色又は淡色のものが好ましく使用される。例えば、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミニウム、鉄、クロムなどの錯体、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。
【0083】
有機粒体としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等の通常トナー表面の外添剤として使用される粒子が挙げられる。なお、これらの無機粒体や有機粒体は、流動性助剤、クリーニング助剤等として使用される。
滑剤としては、例えば、エチレンビスステアリル酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩等が挙げられる。
研磨剤としては、例えば、前述のシリカ、アルミナ、酸化セリウムなどが挙げられる。
【0084】
乳化凝集法でトナー粒子を形成した場合、界面活性剤の作用によりトナー構成材料の一部である光輝性顔料、アゾ系イエロー顔料、マゼンタ顔料はそれぞれ高分散し、紙に定着されるまでその分散性は維持されると考えられる。このように、各々の顔料の分散性が維持されていれば、光輝性顔料及びマゼンタ顔料が盾となりアゾ系イエロー顔料への紫外光の直接照射が一部防がれると考えられる。また、同様の機構から光輝性顔料からの反射光も一部防がれると考えられる。
【0085】
(静電荷現像用現像剤)
本実施形態の静電荷現像用現像剤(以下、単に現像剤と称することがある。)は、本実施形態のトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態のトナーは、そのまま一成分現像剤として、あるいは二成分現像剤として用いられる。二成分現像剤として用いる場合にはキャリアと混合して使用される。
【0086】
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが用いられる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等が挙げられる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
【0087】
キャリアに使用される被覆樹脂・マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0088】
導電材料としては、金、銀、銅といった金属やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラック等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0089】
またキャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法に用いるためには、磁性材料であることが望ましい。キャリアの芯材の体積平均粒子径としては、一般的には10μm以上500μm以下の範囲にあり、望ましくは30μm以上100μm以下の範囲にある。
【0090】
またキャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前記被覆樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
【0091】
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
【0092】
前記二成分現像剤における、本実施形態のトナーと上記キャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100程度の範囲が望ましく、3:100乃至20:100程度の範囲がより望ましい。
【0093】
(トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法)
本実施形態の画像形成装置は、潜像保持体と、前記潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、前記潜像保持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、前記静電荷像を本実施形態の現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、を備えるものである。
【0094】
本実施形態の画像形成装置は、例えば、潜像保持体上に保持された各トナー像を中間転写体に順次一次転写を繰り返す画像形成装置や、各色毎の現像手段を備えた複数の潜像保持体を中間転写体上に直列に配置したタンデム型画像形成装置等であってもよい。
【0095】
なお、本実施形態の画像形成装置において、例えば、本実施形態の現像剤を収納した現像手段を含む部分が画像形成装置に対して脱着するカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよく、また、現像手段に供給する補充用のトナーとして本実施形態のトナーを収納する部分が画像形成装置に対して脱着するカートリッジ構造(トナーカートリッジ)であってもよい。
【0096】
本実施形態の画像形成装置により、潜像保持体表面を帯電する帯電工程と、前記潜像保持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、前記静電荷像を本実施形態の現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着工程と、を有する本実施形態の画像形成方法が実施される。
【0097】
以下に、図面を参照しながら本実施形態の画像形成装置について説明する。
図3は、本実施形態に係る静電荷像現像剤が適用された現像装置を含む本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
同図において、本実施形態に係る画像形成装置は、定められた方向に回転する像保持体としての感光体20を有し、この感光体20の周囲には、感光体20(像保持体の一例)を帯電する帯電装置21(帯電手段の一例)と、この感光体20上に静電荷像Zを形成する静電荷像形成装置としての例えば露光装置22(静電荷像形成手段の一例)と、感光体20上に形成された静電荷像Zを可視像化する現像装置30(現像手段の一例)と、感光体20上で可視像化されたトナー画像を記録媒体である記録紙28に転写する転写装置24(転写手段の一例)と、感光体20上の残留トナーを清掃するクリーニング装置25(クリーニング手段の一例)と、を順次配設したものである。
本実施形態において、現像装置30は、図3に示すように、トナー40を含む現像剤Gが収容される現像容器31を有し、この現像容器31には感光体20に対向して現像用開口32を開設するとともに、この現像用開口32に面してトナー保持体としての現像ロール(現像電極)33を配設し、この現像ロール33に定められた現像バイアスを印加することで、感光体20と現像ロール33とに挟まれる領域(現像領域)に現像電界を形成する。更に、現像容器31内には前記現像ロール33と対向して電荷注入部材としての電荷注入ロール(注入電極)34を設けたものである。特に、本実施形態では、電荷注入ロール34は現像ロール33にトナー40を供給するためのトナー供給ロールをも兼用したものになっている。
ここで、電荷注入ロール34の回転方向については選定して差し支えないが、トナーの供給性及び電荷注入特性を考慮すると、電荷注入ロール34としては、現像ロール33との対向部にて同方向で且つ周速差(例えば1.5倍以上)をもって回転し、電荷注入ロール34と現像ロール33とに挟まれる領域にトナー40を挟み、摺擦しながら電荷を注入する態様が望ましい。
次に、実施の形態に係る画像形成装置の作動について説明する。
作像プロセスが開始されると、先ず、感光体20表面が帯電装置21により帯電され、露光装置22が帯電された感光体20上に静電荷像Zを書き込み、現像装置30が前記静電荷像Zをトナー画像として可視像化する。しかる後、感光体20上のトナー画像は転写部位へと搬送され、転写装置24が記録媒体である記録紙28に感光体20上のトナー画像を静電的に転写する。なお、感光体20上の残留トナーはクリーニング装置25にて清掃される。この後、定着装置(定着手段の一例)によって記録紙28上のトナー画像が定着され、画像が得られる。
【0098】
<プロセスカートリッジ、トナーカートリッジ>
本実施形態に係るプロセスカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
なお、本実施形態に係るプロセスカートリッジは、上記構成に限られず、現像装置と、その他、必要に応じて、例えば、像保持体、帯電手段、静電荷像形成手段、及び転写手段等のその他手段から選択される少なくとも一つと、を備える構成であってもよい。
以下、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主用部を説明し、その他はその説明を省略する。
図4は、本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
図4に示すプロセスカートリッジ200は、例えば、取り付けレール116及び露光のための開口部118が備えられた筐体117により、感光体107(像保持体の一例)と、感光体107の周囲に備えられた帯電ロール108(帯電手段の一例)、現像装置111(現像手段の一例)、及び感光体クリーニング装置113(クリーニング手段の一例)を一体的に組み合わせて保持して構成し、カートリッジ化されている。
なお、図4中、109は露光装置(静電荷像形成手段の一例)、112は転写装置(転写手段の一例)、115は定着装置(定着手段の一例)、300は記録紙(記録媒体の一例)を示している。
【0099】
なお、図3に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ(図示せず)の着脱が自在な構成を有する画像形成装置であり、現像装置30はトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収納されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジを交換してもよい。
【実施例】
【0100】
以下に実施例及び比較例を挙げて本実施形態について更に詳述するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下に実施例において、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を意味し、「%」は「重量%」を意味する。
【0101】
(トナー1の作製)
<光輝性顔料1の作製>
(第一の被覆層の形成)
メタノール500部にアルミニウム顔料(昭和アルミニウム(株)品番2173、固形 分65%)を154部(アルミ分として100部)加え、60℃で1.5時間撹拌した。その後、スラリーにアンモニアを加えスラリーのpH値を8.0に調整した。次に、pH調整したスラリーにテトラエトキシシラン15部を加え、更に60℃で5時間撹拌した。その後、スラリーをろ過し、得られた被覆されたアルミニウム顔料を含むスラリーを110℃で3時間乾燥し、シリカで被覆された光輝性顔料1を得た。
(第二の被覆層の形成)
シリカで被覆されたアルミニウム顔料1に対し、ミネラルスピリット500部を加えて 撹拌し、窒素ガスを流入しながら、温度を80℃に昇温した。次いで、アクリル酸0.5部、エポキシ化ポリブタジエン9.8部、トリメチロールプロパントリアクリレート12.2部、ジビニルベンゼン4.4部、及びアゾビスイソブチロニトリル1.8部を添加し、80℃で5時間重合した。その後、スラリーをろ過し、得られた被覆されたアルミニウム顔料を含むスラリーを150℃で3時間乾燥した。このようにして、第一の被覆層及び第二の被覆層を有する光輝性顔料1を得た。
【0102】
<光輝性顔料分散液1の作製>
・光輝性顔料1:100部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンR):1.5部
・イオン交換水:400部
上記を混合し乳化分散機キャビトロン(太平洋機工(株)製、CR1010)を用いて1時間分散し、2時間程度静置した後、上澄み液を除去した。更にイオン交換水400部を加え、同様に乳化分散機キャビトロンで1時間分散、2時間静置、上澄み除去を行った。再度、イオン交換水400部を加え1時間分散し、光輝性顔料分散液1を作製した。
フロー式粒子像分析装置FPIA−3000(シスメックス(株)製)で顔料の円相当径を測定したところ、平均円相当径6.0μmで円相当径4.0μm以下が8.9個数%のアルミニウム顔料を得た(固形分濃度20質量%)。
【0103】
<光輝性顔料2及び光輝性顔料分散液2の作製>
・アルミニウム顔料(昭和アルミパウダー(株)製、2173EA 6μm):100部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンR):1.5部
・イオン交換水:400部
上記を混合し乳化分散機キャビトロン(太平洋機工(株)製、CR1010)を用いて1時間分散し、2時間程度静置した後、上澄み液を除去した。更にイオン交換水400部を加え、同様に乳化分散機キャビトロンで1時間分散、2時間静置、上澄み除去を行った。再度、イオン交換水400部を加え1時間分散し、光輝性顔料分散液2を作製した。
フロー式粒子像分析装置FPIA−3000(シスメックス(株)製)で顔料の円相当径を測定したところ、平均円相当径5.8μmで円相当径4.0μm以下が10.7個数%のアルミニウム顔料を得た(固形分濃度20質量%)。
【0104】
<光輝性顔料分散液3の作製>
・アルミニウム顔料(昭和アルミパウダー(株)製、2173EA):100部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンR):1.5部
・イオン交換水:400部
以上を混合し、乳化分散機キャビトロン(太平洋機工(株)製、CR1010)を用いて1時間分散して、光輝性顔料分散液3(固形分濃度:20%)を調製した。フロー式粒子像分析装置FPIA−3000(シスメックス(株)製)で顔料の円相当径を測定したところ、平均円相当径5.5μmで円相当径4.0μm以下が28.5個数%のアルミニウム顔料を得た(固形分濃度20質量%)。
【0105】
<アゾ系イエロー顔料分散液1の調製>
・C.I.Pigment Yellow74(大日精化工業(株)製:モノアゾ顔料): 50部
・イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬(株)製): 5部
・イオン交換水: 192.9部
上記成分を混合し、アルティマイザ((株)スギノマシン製)により240MPaで10分処理し、アゾ系イエロー顔料分散液を得た(固形分濃度:20質量%)。
【0106】
<アゾ系イエロー顔料分散液2の調整>
アゾ系イエロー顔料分散液1の調整で用いた顔料をC.I.Pigment Yellow12(大日精化工業(株)製:ジスアゾ顔料)に変更した以外はアゾ系イエロー顔料分散液1の調整と同様の方法でアゾ系イエロー顔料分散液2を得た(固形分濃度:20質量%)。
【0107】
<アゾ系イエロー顔料分散液3の調整>
アゾ系イエロー顔料分散液1の調整で用いた顔料をC.I.Pigment Yellow95(大日精化工業(株)製:縮合アゾ顔料)に変更した以外はアゾ系イエロー顔料分散液1の調整と同様の方法でアゾ系イエロー顔料分散液3を得た(固形分濃度:20質量%)。
【0108】
<マゼンタ顔料分散液1の調製>
顔料をナフトール系マゼンタ顔料であるC.I.Pigment Red 238(山陽色素(株)製)に変更した以外は、アゾ系イエロー顔料分散液1の調製と同様の方法でマゼンタ顔料分散液1を得た(固形分濃度:20質量%)。
【0109】
<マゼンタ顔料分散液2の調整>
顔料をキナクリドン系マゼンタ顔料であるC.I.Pigment Red 122(大日精化工業(株)製)に変更した以外は、アゾ系イエロー顔料分散液1の調製と同様の方法でマゼンタ顔料分散液2を得た(固形分濃度:20質量%)。
【0110】
<結着樹脂の合成>
・アジピン酸ジメチル:74部
・テレフタル酸ジメチル:192部
・ビスフェノールAエチレンオキシド付加物:216部
・エチレングリコール:38部
・テトラブトキシチタネート(触媒):0.037部、
上記成分を加熱乾燥した二口フラスコに入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち撹拌しながら昇温した後、160℃で7時間共縮重合反応させ、その後、10Torrまで徐々に減圧しながら220℃まで昇温し4時間保持した。一旦常圧に戻し、無水トリメリット酸9部を加え、再度10Torrまで徐々に減圧し220℃で1時間保持することにより結着樹脂を合成した。
結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計((株)島津製作所製:DSC−50)
を用い、室温(25℃)から150℃まで昇温速度10℃/分の条件下で測定することにより求めた。なお、ガラス転移温度は吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインの延長線の交点の温度とした。結着樹脂のガラス転移温度は63.5℃であった。
【0111】
<樹脂粒子分散液の調製>
・結着樹脂:160部
・酢酸エチル:233部
・水酸化ナトリウム水溶液(0.3N):0.1部
上記成分を1,000mlのセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモーター(新東科学(株)製)により撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液を更に90rpmで撹拌しながら、徐々にイオン交換水373部を加え、転相乳化させ、脱溶剤することにより樹脂粒子分散液(固形分濃度:30%)を得た。樹脂粒子分散液の体積平均粒子径は、162nmであった。
【0112】
<離型剤分散液の調製>
・カルナバワックス(東亜化成(株)製、RC−160):50部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):1.0部
・イオン交換水:200部
以上を混合して95℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社製)で360分間の分散処理をして、体積平均粒子径が0.23μmである離型剤粒子を分散させてなる離型剤分散液(固形分濃度:20%)を調製した。
【0113】
<トナー1の作製>
・結着樹脂分散液:411部
・離型剤分散液:63.9部
・光輝性顔料分散液1:183.5部
・アゾ系イエロー顔料分散液1:50部
・マゼンタ顔料分散液1:5部
・ノニオン性界面活性剤(IGEPAL CA897):1.40部
上記原料を2Lの円筒ステンレス容器に入れ、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)により4,000rpmでせん断力を加えながら10分間分散して混合した。次いで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液1.75部を徐々に滴下して、ホモジナイザーの回転数を5,000rpmにして15分間分散して混合し、原料分散液とした。
その後、層流を形成するための2枚パドルの撹拌翼を用いた撹拌装置、及び温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、撹拌回転数を810rpmにしてマントルヒーターにて加熱し始め、54℃にて凝集粒子の成長を促進させた。またこの際、0.3Nの硝酸や1Nの水酸化ナトリウム水溶液で原料分散液のpHを2.2〜3.5の範囲に制御した。上記pH範囲で2時間ほど保持し、凝集粒子を形成した。
次に、結着樹脂分散液:200部を追添加し、前記凝集粒子の表面に結着樹脂の樹脂粒子を付着させた。更に56℃に昇温し、光学顕微鏡及びマルチサイザーIIで粒子径を確認しながら凝集粒子を整えた。その後、凝集粒子を融合させるためにpHを8.0に上げた後、67.5℃まで昇温させた。光学顕微鏡で凝集粒子が融合したのを確認した後、67.5℃で保持したままpHを6.0まで下げ、1時間後に加熱を止め、1.0℃/分の降温速度で冷却した。その後20μmメッシュで篩分し、水洗を繰り返した後、真空乾燥機で乾燥してトナー粒子を得た。得られたトナー粒子1の体積平均粒子径は12.2μmであった。
得られたトナー粒子100部に対して疎水性シリカ(日本アエロジル(株)製、RY50)1.5部を、ヘンシェルミキサーを用いて周速20m/秒で3分間混合した。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分してトナー1を調製した。
【0114】
<キャリアの作成>
・トルエン:14部
・スチレン−メチルメタクリレート共重合体(成分比:80/20、重量平均分子量:70,000):2部
・MZ500(酸化亜鉛、チタン工業(株)):0.6部
上記成分を混合し、10分間スターラーで撹拌させて酸化亜鉛が分散した被覆層形成用溶液を調製した。次に、この被覆液とフェライト粒子(体積平均粒径:38μm)100部とを真空脱気型ニーダーに入れて、60℃において30分撹拌した後、更に加温しながら減圧して脱気し、乾燥させることによりキャリアを作成した。
【0115】
<現像剤の作成>
得られたキャリアとトナーを、それぞれ100部:8部の割合で2リッターのVブレンダーで混合し、現像剤1を作製した。
【0116】
<分析>
〔トナー中光輝性顔料分析〕
トナー20gとトルエン200ccを混合撹拌し、十分にトナー樹脂が溶媒中に溶解した後、固液分離し光輝性顔料のみを取り出した。これを水中に分散し、FPIA−3000(シスメックス(株)製)で円相当径を測定した。
【0117】
〔トナー中アゾ系イエロー顔料・マゼンタ顔料分析〕
トナー約10mgを正確に秤量し、これをトルエンに溶解し、10ccのトルエン溶液を作製した。12時間以上静置し光輝性顔料を沈殿させ、その上澄み液の一部を留去したのち、残留物の赤外吸収スペクトルから顔料の種類を特定した。より具体的にはアゾ系イエロー顔料とマゼンタ顔料の固有の吸収波長を予め測定しておき、前記残留物中の顔料の種類を特定した。またその量については前記上澄み液の紫外吸収スペクトルを測定することによりランベルト・ベールの法則より求めた。より具体的には各顔料について特定波長の吸収ピークの強度と濃度の関係から吸光係数を測定し、次に試料の紫外吸収スペクトルを求めることにより、波長の高さから顔料の濃度を測定した。
【0118】
<トナー2〜65の作製>
結着樹脂分散液、離型剤分散液、光輝性顔料分散液1、アゾ系イエロー顔料分散液1、マゼンタ顔料分散液1、追添加する結着樹脂分散液を表1又は2に示すように変更した以外はトナー1と同様にしてトナー1〜65、現像剤1〜65を作製した。
【0119】
<トナー66〜104の作製>
結着樹脂分散液、離型剤分散液、光輝性顔料分散液1、アゾ系イエロー顔料分散液、マゼンタ顔料分散液、追添加する結着樹脂分散液を表3に示すように変更した以外はトナー1と同様にしてトナー66〜104、現像剤66〜104を作製した。
【0120】
<トナー105の作製>
光輝性顔料分散液2を用いる以外はトナー1と同様の方法でトナー105、現像剤105を作製した。
【0121】
<トナー106の作製>
光輝性顔料分散液3を用いる以外はトナー1と同様の方法でトナー106、現像剤106を作製した。
【0122】
【表1】
【0123】
【表2】
【0124】
【表3】
【0125】
(評価)
試料となる現像剤1〜106を、富士ゼロックス(株)製DocuCentre−III C7600の現像器に充填し、記録紙(OKトップコート紙、王子製紙(株)製)上に、定着温度180℃、定着圧力4.0kgf/cmにて、トナー載り量が4.0g/mのベタ画像を形成した。
【0126】
<明度、彩度・色相角評価>
X−Rite939(アパーチャー4mm、X−Rite社製)を用いて、画像面内をランダムに10回測定し平均値を色域(L*a*b*)とした。得られた色域(L*a*b*)から、彩度(C*)及び色相角(H)を、以下の式にて算出した。
C*=((a*)+(b*)1/2
H=tan-1(b*/a*)
評価結果は表4又は表5に記載した。
【0127】
<光輝性評価>
JIS K5600−4−3:1999「塗料一般試験方法−第4部:塗膜の視覚特性−第3節:色の目視比較」に準じた色観察用照明(自然昼光照明)下で目視にて光輝性を評価した。なお評価は、粒子感(キラキラと輝く光輝性の効果)、光学的効果(見る角度による色相の変化)を評価し、下記段階とした。2以上が実際に使用可能なレベルである。評価結果は表4又は表5に記載した。
4:粒子感と光学的効果が調和している。
3:やや粒子感、光学的効果がある。
2:普通の感覚。
1:全く粒子感、光学的効果がない。
【0128】
<金色再現性評価>
試料となる現像剤を、富士ゼロックス(株)社製DocuCentre−III C7600の現像器に充填し、蛍光イエローの紙上に、定着温度180℃、定着圧力4.0kgf/cmにて、トナー載り量が3.5g/mのベタ画像を形成した。
JIS K 5600−4−3:1999「塗料一般試験方法−第4部:塗膜の視覚特性−第3節:色の目視比較」に準じた色観察用照明(自然昼光照明)下で目視にて金再現性を官能的に評価した。2以上が実際に使用可能なレベルである。評価結果は表4又は表5に記載した。
3:鮮やかな金色。
2:普通の金色。
1:赤又は黄色味が強い、又は鮮やかさに欠けた金色。
【0129】
【表4】
【0130】
【表5】
【符号の説明】
【0131】
T:トナー、MP:金属顔料、L:トナーの厚さ、R1:トナーの長径、R2:トナーの短径、Z:静電荷像、20:感光体、21:帯電装置、22:露光装置、24:転写装置、25:クリーニング装置、28:記録紙、30:現像装置、31:現像容器、32:現像用開口、33:現像ロール、34:注入ロール、40:トナー、107:感光体、108:帯電ロール、109:露光装置、111:現像装置、112:転写装置、113:感光体クリーニング装置、115:定着装置、116:取り付けレール、117:筐体、118:開口部、200:プロセスカートリッジ、300:記録紙
図1
図2
図3
図4