(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
用紙に画像を形成する画像形成装置と、当該画像形成装置により画像が形成された用紙の折り処理を行う折り処理機構と、当該折り処理機構により折り処理が行われた用紙の折り部分の押圧処理を行う用紙処理装置とを備え、
前記用紙処理装置が、請求項1乃至6の何れかに記載の用紙処理装置である画像形成システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、用紙の折り部分を筒状のロール対で挟んでこの折り部分の厚みを小さくする場合に比べ、用紙の折り部分の厚みを小さくするのに要する荷重の低減を図ることにある。また、用紙の折り部分に対してさらに折り増しする折り増しローラで挟んでこの折り部分の厚みを小さくする場合に比べ、用紙の折り部分に発生する折りシワの発生を抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、
用紙の折り部分であって一方向に延びる当該折り部分へ向け
て且つ前記用紙の面に垂直な方向
で、複数の凸部が設置され当該一方向へ延びる進出部材を進出させ、当該折り部分への当該
複数の凸部の押し当てを行う押し当て手段と、前記折り部分へ進出させた前記
進出部材を当該折り部分から前記垂直な方向で退避させた後に、当該
進出部材および前記用紙の少なくとも一方を前記一方向又は反対方向へ移動させ、
前記凸部の進出位置
であって当該用紙に対する進出位置を、当該一方向又は反対方向へずらすずらし手段と、を備え
、前記進出部材は、前記折り部分の一方向における一端部側から他端部側にかけて配置され、当該進出部材を、当該折り部分へ進出させると、当該折り部分の当該一端部側および当該他端部側の両者に、前記凸部が押し当てられる用紙処理装置である。
請求項2に記載の発明は、前記ずらし手段は、前記
進出部材を前記一方向又は反対方向へ移動させて、前記進出位置のずらしを行うことを特徴とする請求項1に記載の用紙処理装置である。
請求項
3に記載の発明は、用紙の折り部分であって一方向に延びる当該折り部分を押圧する用紙処理装置であって、各々に凸部が形成され、当該凸部が前記折り部分に押し当てられる複数の押し当て部材であって、前記一方向における当該凸部の配置位置が、当該押し当て部材毎に異なる当該複数の押し当て部材と、前記折り部分に前記凸部が押し当てられる前記押し当て部材を切り替え、当該凸部を用いて当該折り部分を押圧する押圧位置を、前記一方向又は反対方向へずらすずらし手段
であって、当該折り部分から当該押し当て部材が離間している状態で当該切り替えを行うずらし手段と、を備える用紙処理装置である。
請求項
4に記載の発明は、前記複数の押し当て部材は、前記一方向と交差する方向に並べられ、前記ずらし手段は、前記複数の押し当て部材に含まれ
前記用紙から離間している個々の押し当て部材を前記折り部分に向けて順次進出させることで、前記押圧位置のずらしを行う請求項
3に記載の用紙処理装置である。
請求項
5に記載の発明は、
用紙の折り部分であって一方向に延びる当該折り部分
に向けて、当該一方向に並んだ複数の凸部が設置され当該一方向へ延びる進出部材を進出させ、当該折り部分への当該複数の凸部の押し当てを行う押し当て手段と、前記
進出部材および前記用紙の少なくとも一方を移動させ、
前記凸部による前記折り部分の押圧位置を、前記一方向又は反対方向へずらすずらし手段と、前記折り部分を挟み前記
進出部材が設けられている側とは反対側から当該折り部分に押し当てられる
押し当て部材であって、前記一方向に並んだ複数の反対側凸部
が設置され当該一方向へ延びる押し当て部材と、を備え、
前記進出部材および前記押し当て部材は、前記折り部分の前記一方向における一端部側から他端部側にかけて設けられ、当該進出部材に設けられた前記凸部と当該押し当て部材に設けられた前記反対側凸部とによって、当該折り部分
の前記一端部側および前記他端部側の両者が挟まれる用紙処理装置である。
請求項
6に記載の発明は、
用紙の折り部分であって一方向に延びる当該折り部分
に向けて、当該一方向に並んだ複数の凸部が設置され当該一方向へ延びる進出部材を進出させ、当該折り部分への当該複数の凸部の押し当てを行う押し当て手段と、前記
進出部材および前記用紙の少なくとも一方を移動させ、
前記凸部による前記折り部分の押圧位置を、前記一方向又は反対方向へずらすずらし手段と、前記折り部分を挟み前記
進出部材が設けられている側とは反対側から当該折り部分に押し当てられる
押し当て部材であって、前記一方向に並んだ複数の反対側凸部
が設置され当該一方向へ延びる押し当て部材と、を備え、
前記進出部材および前記押し当て部材は、前記折り部分の前記一方向における一端部側から他端部側にかけて設けられ、さらに、当該進出部材に設けられた前記凸部が
当該折り部分を押圧する押圧位置と、
当該押し当て部材に設けられた前記反対側凸部が当該折り部分を押圧する押圧位置とがずれている用紙処理装置である。
請求項
7に記載の発明は、用紙に画像を形成する画像形成装置と、当該画像形成装置により画像が形成された用紙の折り処理を行う折り処理機構と、当該折り処理機構により折り処理が行われた用紙の折り部分の押圧処理を行う用紙処理装置とを備え、前記用紙処理装置が、請求項1乃至
6の何れかに記載の用紙処理装置である画像形成システムである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1、
3の発明によれば、用紙の折り部分を筒状のロール対で挟んでこの折り部分の厚みを小さくする場合に比べ、用紙の折り部分の厚みを小さくするのに要する荷重の低減を図れる。また、用紙の折り部分に対してさらに折り増しする折り増しローラで挟んでこの折り部分の厚みを小さくする場合に比べ、用紙の折り部分に発生する折りシワの発生を抑えられる。
請求項2の発明によれば、用紙側を移動させて押圧位置のずらしを行う場合に比べ、用紙の損傷などを抑制できる。
請求項
4の発明によれば、一方向又は反対方向に凸部を移動させて押圧位置をずらす構成に比べ、一方向における装置寸法を小さくできる。
請求項
5の発明によれば、押し当て側凸部と反対側凸部とによって折り部分が挟まれない構成に比べ、折り部分の一部に押圧荷重を集中させることができる。
請求項
6の発明によれば、用紙の折り部分のしごき処理を行えるようになる。
請求項
7の発明によれば、用紙の折り部分を筒状のロール対で挟んでこの折り部分の厚みを小さくする場合に比べ、用紙の折り部分の厚みを小さくするのに要する荷重の低減を図れる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態について説明する。
<画像形成システム100の説明>
図1は、本実施の形態が適用される画像形成システム100の全体構成を示した図である。
図1に示す画像形成システム100には、例えば電子写真方式によってカラー画像を形成するプリンタや複写機等の画像形成装置1、画像形成装置1によって画像が形成された用紙Sに対して後処理を施す後処理装置2が設けられている。
【0009】
画像形成装置1は、各色画像データに基づき画像を形成する画像形成部10と、原稿から画像を読み取って読取画像データを生成する画像読取部11と、画像形成部10に用紙Sを供給する用紙供給部12と、ユーザからの操作入力を受け付けるとともにユーザへの情報の提示を行う総合ユーザ・インターフェイス13と、画像形成システム100全体の動作を制御する主制御部14とを備えている。
【0010】
後処理装置2には、画像形成装置1から画像形成された用紙Sを受け入れて搬送するトランスポートユニット3、トランスポートユニット3から搬入された用紙Sに対して折り処理を施す折りユニット4、折りユニット4を通過した用紙Sに対して最終処理を施すフィニッシャユニット5、冊子の表紙等として用いられる合紙を供給するインターポーザ6が設けられている。
さらに、後処理装置2には、後処理装置2の各機能部を制御する用紙処理制御部7、後処理に関するユーザからの操作入力を受け付けるユーザ・インターフェイス(UI)15が設けられている。
【0011】
なお、本実施形態では、用紙処理制御部7が後処理装置2内に設けられた構成例を示したが、用紙処理制御部7は、画像形成装置1内に設けてもよい。また、主制御部14が、用紙処理制御部7の制御機能を兼ね備えた構成としてもよい。
また、本実施形態では、ユーザ・インターフェイス15が後処理装置2に設けられた構成例を示したが、ユーザ・インターフェイス15は、画像形成装置1に設けてもよい。また、総合ユーザ・インターフェイス13が、ユーザ・インターフェイス15の機能を兼ね備えた構成としてもよい。
【0012】
<後処理装置2の説明>
図2は、後処理装置2を説明する図である。
後処理装置2には、フィニッシャユニット5が設けられている。そして、このフィニッシャユニット5には、用紙Sに対して2穴や4穴等の穴あけ(パンチ)を施すパンチ機能部70、用紙Sを必要枚数だけ集積させて用紙束を生成し、この用紙束の端部にステープル綴じ(端綴じ)を行う端綴じ機能部40が設けられている。
【0013】
また、後処理装置2には、用紙Sを必要枚数だけ集積させて用紙束を生成し、この用紙束の中央部分に対して綴じ処理(中綴じ処理)を行い、小冊子(ブックレット)を生成する(製本作業を行う)中綴じ製本機能部30が設けられている。
また、後処理装置2の折りユニット4には、用紙Sに対して内三折り(C折り)や外三折り(Z折り)等の折りを施す折り機能部50が設けられている。
【0014】
<中綴じ製本機能部30の説明>
図3は、中綴じ製本機能部30の構成を説明する図である。
中綴じ製本機能部30には、板状に形成され、画像形成後の用紙Sを予め定められた枚数だけ集積し用紙束を形成するコンパイル用部材31が設けられている。また、コンパイル用部材31に用紙Sを一枚ずつ搬入する搬入ロール39が設けられている。さらに、コンパイル用部材31上の用紙束を下方から支持するエンドガイド32が設けられている。このエンドガイド32は、コンパイル用部材31に沿った移動が可能になっている。
【0015】
さらに、中綴じ製本機能部30には、コンパイル用部材31上に集積される用紙Sをエンドガイド32に向けて付勢し用紙Sの端部を揃える用紙揃えパドル33、コンパイル用部材31上に集積される用紙Sの幅方向における用紙Sの揃えを行う用紙幅揃え部材34が設けられている。また、中綴じ製本機能部30には、コンパイル用部材31上の用紙束に対し、ステープル針(不図示)を貫通させて綴じ処理を行うステープラ82が設けられている。
【0016】
さらに、中綴じ製本機能部30には、綴じ処理が施された用紙束に対する折り処理を行う折り処理機構35が設けられている。この折り処理機構35には、折りナイフ35aが設けられている。また、折り処理機構35には、モータ等を備え、折りナイフ35aを、コンパイル用部材31の裏面側から収容面側(z方向)に向けて進出させる進出機構35bが設けられている。
【0017】
また、中綴じ製本機能部30には、折りナイフ35aによって折りが開始された用紙束を挟み込む一対のロールからなる挟み込みロール36、挟み込みロール36を通過した用紙束の折り部分を押圧する押圧部材対37が設けられている。
ここで、本実施形態では、押圧部材対37、押圧部材対37を駆動する駆動機構81(後述)が設けられている部分は、折り部分に対する押圧処理を行う用紙処理装置として捉えることができる。
【0018】
また、本実施形態では、押圧部材対37の下流側に、製本化され冊子となった用紙束を排出する排出ロール38、排出ロール38により送られてきた用紙束を積載する冊子積載部45が設けられている。
さらに、押圧部材対37の駆動を行う駆動機構81、搬入ロール39によってコンパイル用部材31へ搬入される用紙Sを検知する用紙センサ92が設けられている。
【0019】
なお、
図3では、コンパイル用部材31の収容面における用紙Sが搬入される方向をy方向、用紙Sが搬入される方向と直交する方向(用紙Sの幅方向)をx方向、コンパイル用部材31の収容面と直交する方向をz方向とする。
【0020】
<折り処理機構35周辺の構成>
図4は、折り処理機構35周辺の構成を説明する図である。
本実施形態では、上記のとおり、綴じ処理が施された用紙束Bに対する折り処理を行う折り処理機構35が設けられている。この折り処理機構35には、折りナイフ35a、折りナイフ35aを用紙束Bに向けて進出させる進出機構35bが設けられている。
【0021】
ここで、本実施形態では、折りナイフ35aの先端が、挟み込みロール36まで達する位置まで、折りナイフ35aが進出する。これにより、用紙束Bに折り目が形成され、さらに、この折り目(折り部分)が、挟み込みロール36によって両面側から押圧される。
なお、折りナイフ35aは、コンパイル用部材31への用紙集積段階や、ステープラ82(
図3参照)による中綴じ段階、また、中綴じ後の用紙搬送段階では、コンパイル用部材31の背後に位置する。これにより、用紙Sと折りナイフ35aとの干渉が防止される。
【0022】
さらに、本実施形態では、挟み込みロール36の下流側に、用紙束Bの折り部分を押圧する押圧部材対37が設けられている。この押圧部材対37には、図中、紙面と直交する方向に沿って延びる第1押圧部材37A、同じく、図中紙面と直交する方向に沿って延びる第2押圧部材37Bが設けられている。
【0023】
第1押圧部材37Aは、板状に形成され図中紙面と直交する方向に沿って延びる基材379と、この基材379の一方の面から第2押圧部材37B側に向かって突出する凸部37Eとを備えている。なお、第2押圧部材37Bにも、第1押圧部材37Aと同様に、板状の基材379、凸部37Eが設けられている。
【0024】
さらに、本実施形態では、押圧部材対37の駆動を行う駆動機構81が設けられている。
駆動機構81には、第1押圧部材37Aを第2押圧部材37Bから離れる方向に付勢するスプリング(不図示)と、第1押圧部材37Aを第2押圧部材37B側に向けて押圧するカム382と、このカム382を回転させる第1モータM1が設けられている。なお、第2押圧部材37B側にも、同様に、スプリング、カム382、第1モータM1が設けられている。
【0025】
さらに、駆動機構81には、押圧部材対37を、図中紙面に対して直交する方向(用紙束Bの折り部分が延びる方向、および、反対方向)へ移動させる移動機構383が設けられている。
移動機構383は、既存の技術で構成でき、例えば、第2モータM2と、この第2モータM2により回転するピニオンギア(不図示)と、押圧部材対37に連動するように設けられピニオンギアによりスライド移動するラックギアとにより構成される。
【0026】
<押圧部材対37の説明>
図5は、
図4における矢印V方向から押圧部材対37を眺めた場合の図である。
上記のとおり、押圧部材対37は、第1押圧部材37A、第2押圧部材37Bにより構成されている。
第1押圧部材37Aには、板状に形成された基材379、この基材379の一方の面から第2押圧部材37B側に向かって突出する凸部37Eが設けられている。
第2押圧部材37Bにも、板状に形成された基材379、この基材379の一方の面から第1押圧部材37A側に突出する凸部37Eが設けられている。
【0027】
第1押圧部材37A、第2押圧部材37Bの各々は、用紙束Bの折り部分が延びる方向に沿うように配置されている。付言すると、用紙束Bの折り部分は、図中左右方向に延びており、第1押圧部材37A、第2押圧部材37Bの各々も、この左右方向に延びるように配置されている。
【0028】
さらに、第1押圧部材37A、第2押圧部材37Bの各々では、凸部37Eが複数設けられている。具体的には、第1押圧部材37A、第2押圧部材37Bの各々では、折り部分が延びる方向に沿って並ぶように複数の凸部37Eが設けられている。さらに説明すると、複数の凸部37Eは、第1押圧部材37A、第2押圧部材37Bの長手方向に並ぶように設けられている。
また、本実施形態では、第1押圧部材37Aに設けられた凸部37Eの各々と、第2押圧部材37Bに設けられた凸部37Eの各々とが、折り部分を挟んで対峙している。
【0029】
<押圧処理の説明>
図6(A)〜(H)は、押圧部材対37による折り部分の押圧処理を説明する図である。
図6(A)〜(H)の各々では、
図4における矢印VIから押圧部材対37、用紙束Bを眺めた場合の状態を示している。
押圧部材対37による押圧処理は、駆動機構81により押圧部材対37が駆動されることで行われる。さらに説明すると、本実施形態では、押し当て手段の一例としての駆動機構81によって押圧部材対37が駆動されることで、押圧部材対37に設けられている凸部37Eが折り部分に対して押し当てられ、これにより、折り部分の厚みが小さくなる。
【0030】
押圧処理に際しては、まず、挟み込みロール36(
図3参照)によって、用紙束Bが、押圧部材対37まで搬送され、用紙束Bの折り部分が、押圧部材対37に達すると、挟み込みロール36による用紙束Bの搬送が一旦停止される。このとき、
図6(A)に示すように、押圧部材対37では、第1押圧部材37Aと、第2押圧部材37Bとが離間している。
【0031】
次に、
図6(B)に示すように、第1押圧部材37Aおよび第2押圧部材37Bが、折り部分に向かって進出し、第1押圧部材37Aおよび第2押圧部材37Bによって、折り部分が押圧される。
【0032】
具体的には、本実施形態では、第1押圧部材37Aに設けられた一方側凸部の一例としての凸部37Eと、第2押圧部材37Bに設けられた他方側凸部の一例としての凸部37Eとが、折り部分を挟んで対峙しており、さらに、この2つの凸部37Eが、折り部分に向かって進出する。そして、この2つの凸部37Eによって、折り部分が挟まれる。
【0033】
さらに説明すると、本実施形態では、第1押圧部材37Aに設けられた押し当て側凸部の一例としての凸部37Eが、用紙束Bの一方の面に押し当てられ、さらに、第2押圧部材37Bに設けられた反対側凸部の一例との凸部37Eが、用紙束Bの他方の面に押し当てられる。これにより、本実施形態では、折り部分における、用紙束Bの膨らみが減るようになる。
【0034】
次いで、本実施形態では、同図(C)に示すように、第1押圧部材37Aおよび第2押圧部材37Bが折り部分から退避し、さらに、同図(D)に示すように、図中左方向へ(折り部分が延びる一方向へ)、また、予め定められた量だけ、第1押圧部材37Aおよび第2押圧部材37Bが移動する。
ここで、第1押圧部材37Aおよび第2押圧部材37Bの移動は、駆動機構81により行われ、駆動機構81は、凸部37Eによる折り部分の押圧位置をずらすずらし手段として捉えることができる。
【0035】
その後、再び、同図(E)に示すように、第1押圧部材37Aおよび第2押圧部材37Bが互いに接近し、第1押圧部材37Aおよび第2押圧部材37Bによる、折り部分の押圧が行われる(2回目の押圧)。
同図(E)に示す状態では、第1押圧部材37Aおよび第2押圧部材37Bのそれぞれに設けられた凸部37Eの位置が、前回の押圧(1回目の押圧、同図(B)参照)が行われた際の位置とは異なっている。付言すると、1回目の押圧と2回目の押圧とでは、折り部分が延びる方向における押圧位置が異なっている。
【0036】
次いで、本実施形態では、同図(F)に示すように、第1押圧部材37Aおよび第2押圧部材37Bが折り部分から再び退避し、さらに、同図(G)に示すように、図中左方向へ、第1押圧部材37Aおよび第2押圧部材37Bが移動する。
次いで、同図(H)に示すように、第1押圧部材37Aおよび第2押圧部材37Bが、用紙束Bの折り部分に再び進出し、第1押圧部材37Aおよび第2押圧部材37Bによる押圧(3回目の押圧)が行われる。
本実施形態では、これらの押圧処理が終了すると、折り部分の長手方向における全域に亘って、押圧処理が施された状態となる。
【0037】
その後、本実施形態では、挟み込みロール36(
図3参照)の回転が行われて、用紙束Bが下流へ移動する。そして、用紙束Bは、排出ロール38(
図3参照)に達し、その後、冊子積載部45まで搬送される。
【0038】
本実施形態の構成では、用紙束Bの膨らみを、装置の大型化を抑制しつつ、抑えられるようになる。ここで、用紙束Bの膨らみは、例えば、円筒状のロール部材の外周面で、用紙束Bの両面側から折り部分を挟むことでも抑えられるようになる。ところで、この場合、ロール部材の長手方向に沿った広い領域で折り部分を押圧することになるため(面状の部位で折り部分が押圧され、押圧面積が大きくなるため)、単位面積当たりの押圧荷重が低下しやすい。
【0039】
この押圧荷重の低下を抑えるためには、例えば、押圧のためのバネ荷重を大きくする必要が生じ、かかる場合、フレームなどの強度を上げる必要などが生じる。かかる場合、装置の大型化を招きやすい。
これに対し、本実施形態の構成では、凸部37Eを用いて用紙束Bの押圧を行うため、折り部分の特定箇所に押圧荷重を集中させることができ、バネ荷重が小さくても、折り部分の押圧を行える。そして、この場合、強度を有したフレームの省略を図れる。
さらに本実施形態の構成では、用紙束Bの膨らみを、用紙束Bの折り部分に発生する折りシワの発生を抑制しつつ、抑えられるようになる。ここで、用紙束Bの膨らみは、例えば、折り部に対してさらに折り増しする折り増しローラで挟むことでも抑えられるようになる。ところで、この場合、折り増しローラが折り部分の非常に狭い領域、かつ一か所を集中して押圧しながら、折り部分に沿って移動して、急激に折り部を押し潰すことになるため、用紙束Bの折り部分に折りシワが発生しやすくなる。
この折りシワの発生を抑えるためには、例えば、押圧時の用紙束Bの変形を少なくする必要が生じ、かかる場合、押圧のためのバネ荷重を小さくする必要などが生じて、用紙束Bの膨らみを抑える効果が減少しやすい。
一方で、本実施形態の構成では、凸部37E以外の場所でも、荷重を加えないながらも用紙束Bの膨らみを真上からある程度抑えるため、折り部分の特定箇所に押圧荷重を集中させても、折り部分に発生する折りシワの発生を抑制することができる。そして、この場合、フレームやロールの強度が許す限り、荷重を大きくすることができる。
【0040】
図7は、押圧部材対37の他の構成例を示した図である。
この構成例においては、押圧部材対37の長手方向(折り部分が延びる方向)において、第1押圧部材37Aの凸部37Eの位置と、第2押圧部材37Bの凸部37Eの位置とをずらしている。
【0041】
付言すると、この構成例では、第1押圧部材37Aに設けられた凸部37Eが折り部分を押圧する押圧位置と、第2押圧部材37Bに設けられた凸部37Eが折り部分を押圧する押圧位置とが、折り部分が延びる方向においてずれている。
かかる場合、折り部分がしごかれる形となり、互いに対峙する2つの凸部37Eで折り部分を押圧する上記構成(
図5、6にて示した構成)に比べ、押圧処理が終了した用紙束Bが再び膨らむことが起きにくくなる。
【0042】
さらに説明すると、
図7に示す構成では、第1押圧部材37Aに複数設けられた凸部37Eのうち、第1押圧部材37Aの長手方向において互いに隣接する2つの凸部37Eの間に位置する空間に向かって、第2押圧部材37Bの凸部37Eが進出する構成となっている。さらに、この構成例では、互いに隣接する上記2つの凸部37Eの中間地点よりも、図中左側に(一方の凸部37E側に)、第2押圧部材37Bの凸部37Eが寄せられている。
【0043】
なお、
図7では、中間地点よりも図中左側に、第2押圧部材37Bの凸部37Eが寄せられた構成例を説明したが、上記2つの凸部37Eの離間距離が小さい場合には、この2つの凸部37Eの中間地点に、第2押圧部材37Bの凸部37Eを進出させる構成も考えられる。
【0044】
押圧部材対37による他の処理例を説明する。
本実施形態では、押圧部材対37による折り部分の押圧の度に、折り部分に、押圧箇所が複数生じていくが、凸部37Eによる新たな押圧が行われる際、それまでに行われた押圧によって生じた押圧箇所の中間地点を押圧するようにしてもよい。
【0045】
図8(押圧部材対37による他の処理例を示した図)を参照して具体的に説明すると、本実施形態では、まず、同図(A)に示すように、1回目の押圧によって、用紙束Bの折り部分に複数の押圧箇所が生じる。
次に、この処理例では、同図(B)に示すように、複数の押圧箇所のうちの互いに隣接する2つの押圧箇所の中間地点に凸部37Eが対峙するように、押圧部材対37を移動させ、2回目の押圧を行う。
【0046】
その後、本実施形態では、同図(C)に示すように、1回目の押圧により生じた押圧箇所と、2回目の押圧により生じた押圧箇所との中間地点に、凸部37Eが位置するように、押圧部材対37を移動させる。そして、3回目の押圧を行う。
【0047】
図9は、第1押圧部材37Aに設けられた凸部37Eの他の構成例を示した図である。なお、ここでは、第1押圧部材37Aについて説明するが、第2押圧部材37B側も第1押圧部材37Aと同様に構成されている。
【0048】
上記では、全体に曲率が付与されドーム状に形成された凸部37Eを一例に説明した。ところで、この形状は一例であり、凸部37Eは、
図9に示すように構成してもよい。
図9に示す凸部37Eは、凸部37Eの頂部に、平面37Fが設けられている。この平面37Fは、第1押圧部材37Aに設けられた基材379の表面と平行となるように配置されている。また、凸部37Eには、側部37Gが設けられ、さらに、側部37Gには、曲率が付与され、側部37Gは、外側方向に膨らんでいる。
【0049】
なお、上記では、第1押圧部材37A、第2押圧部材37Bの各々に、凸部37Eが複数設けられた構成例を説明したが、第1押圧部材37A、第2押圧部材37Bの各々に設けられ凸部37Eは、単数(1個)であってもよい。
【0050】
また、上記では、第1押圧部材37A、第2押圧部材37Bの両者を、折り部分に対して進退させる構成を説明したが、第1押圧部材37A、第2押圧部材37Bの何れか一方のみを進退させるようにしてもよい。
また、上記では、第1押圧部材37A、第2押圧部材37Bによって、折り部分が一回押圧される度に、第1押圧部材37A、第2押圧部材37Bを移動させたが、1つの箇所で折り部分を複数回押圧した後に、第1押圧部材37A、第2押圧部材37Bを移動させてもよい。
【0051】
また、第1押圧部材37A、第2押圧部材37Bによる押圧処理は、第1押圧部材37A、第2押圧部材37Bを、
図6にて示したように、一方向へ順次移動させながら行ってもよいし、
図8にて示したように、一方向のみならず反対方向へ移動させて行ってもよい。
【0052】
また、上記では、第1押圧部材37A、第2押圧部材37Bの2つの押圧部材を設けたが、例えば、第1押圧部材37Aのみを設け、第2押圧部材37B側については、用紙束Bを下方から支持する支持台であってもよい。
また、上記では、折り部分に対して押圧部材対37が進出する構成を一例に説明したが、例えば、用紙束Bを例えば上方に移動させることで(上記支持台などで下方から用紙束Bを持ち上げるなどして)、折り部分に対し、第1押圧部材37Aに設けられた凸部37Eを押し当てるようにしてもよい。
【0053】
さらに、上記では、押圧部材対37を、折り部分が延びる方向に沿って移動させることで、折り部分の押圧位置を順次ずらしていったが、用紙束Bを、折り部分が延びる方向に移動させることで、折り部分の押圧位置をずらすようにしてもよい。また、押圧部材対37および用紙束Bの両者を移動させて、折り部分の押圧位置をずらしてもよい。
【0054】
図10(A)、(B)は、押圧部材対37の他の構成例を説明する図である。なお、同図(A)は、押圧部材対37等を上方から眺めた場合の状態を示した図であり、同図(B)は押圧部材対37等を側方から眺めた場合の状態を示した図である。
この構成例では、押圧部材対37が複数組設けられている。具体的には、同図(A)、(B)に示すように、第1押圧部材対371、第2押圧部材対372、第3押圧部材対373の3組の押圧部材対37が設けられている。
【0055】
第1押圧部材対371〜第3押圧部材対373は、用紙束Bの搬送方向に並べられている。付言すると、用紙束Bの折り部分が延びる方向と直交(交差)する方向に並べられている。さらに、同図(B)に示すように、第1押圧部材対371〜第3押圧部材対373の各々には、第1押圧部材37A、第2押圧部材37Bが設けられるとともに、第1押圧部材37A、第2押圧部材37Bの各々には、同図(A)、(B)に示すように、また、上記と同様、凸部37Eが設けられている。
【0056】
さらに、本実施形態では、同図(A)に示すように、折り部分が延びる方向における凸部37Eの設置位置が、押圧部材対毎に異なっている。
具体的には、第1押圧部材対371では、図中上側に凸部37Eが寄せられ、第3押圧部材対373では、図中下側に凸部37Eが寄せられている。また、第2押圧部材対372では、上下方向における中央部に凸部37Eが配置されている。
【0057】
さらに説明すると、第1押圧部材対371〜第3押圧部材対373の各々は、折り部分が延びる一方向と交差する方向に並べられ、これにより、各押圧部材対に含まれる第1押圧部材37A、第2押圧部材37Bについても、この交差する方向に並んでいる。
【0058】
そして、本実施形態では、以下で説明するように、第1押圧部材対371〜第3押圧部材対373に含まれる第1押圧部材37A、第2押圧部材37Bが、折り部分に向かって順次進出する。これにより、上記と同様、折り部分の押圧位置をずらしながら押圧処理が行われるようになる。付言すると、本実施形態でも、押し当て部材の一例としての第1押圧部材37A、第2押圧部材37Bが、用紙束Bの折り部分に押し当てられ、これにより、用紙束Bの折り部分の厚みが低減する。
【0059】
図11(A)〜(E)は、
図10にて示した構成例による押圧処理の流れを示した図である。なお、
図11では、第1押圧部材対371〜第3押圧部材対373、用紙束Bを側方から眺めた場合の状態を示している。
この処理では、上記と同様、まず、挟み込みロール36(
図3参照)によって、用紙束Bが、第1押圧部材対371まで搬送され、用紙束Bの折り部分が、この第1押圧部材対371に達する。このとき、
図11(A)に示すように、第1押圧部材対371では、第1押圧部材37Aと、第2押圧部材37Bとが離間している。
【0060】
次に、
図11(B)に示すように、第1押圧部材対371に設けられた第1押圧部材37Aおよび第2押圧部材37Bが、折り部分に向かって進出し、この第1押圧部材37Aおよび第2押圧部材37Bによって、折り部分が押圧される。
具体的には、第1押圧部材37Aに設けられた凸部37Eと、第2押圧部材37Bに設けられた凸部37Eとによって、折り部分が挟まれ、この2つの凸部37Eによって折り部分が押圧される。
【0061】
次いで、
図11(C)に示すように、第1押圧部材対371に設けられた第1押圧部材37Aおよび第2押圧部材37Bが、折り部分から退避し、その後、同図(D)に示すように、第2押圧部材対372が折り部分まで移動する。そして、この第2押圧部材対372に設けられた、第1押圧部材37Aおよび第2押圧部材37Bによって、折り部分が押圧される(同図(E))。
【0062】
その後、同様の動作が行われ、折り部分への第3押圧部材対373の移動、第3押圧部材対373に設けられた第1押圧部材37Aおよび第2押圧部材37Bによる折り部分の押圧が行われる。
次いで、上記と同様、挟み込みロール36(
図3参照)の回転が行われて、用紙束Bが下流へ移動する。そして、用紙束Bは、排出ロール38(
図3参照)に達し、その後、冊子積載部45まで搬送される。
【0063】
なお、第1押圧部材対371〜第3押圧部材対373の各々に設けられた第1押圧部材37Aおよび第2押圧部材37Bの、折り部分への進出、退避は、上記と同様、スプリングやカムにより行うことができる。また、
図11における左方向(折り部分が延びる方向と直交する方向)への、第1押圧部材対371〜第3押圧部材対373の移動は、上記と同様、モータ、ピニオンギア、ラックギアなどで行うことができる。
【0064】
なお、この例では、第1押圧部材対371〜第3押圧部材対373を移動させたが、用紙束Bを移動させたり、第1押圧部材対371〜第3押圧部材対373および用紙束Bの双方を移動させたりしてもよい。
また、第1押圧部材対371〜第3押圧部材対373の各々では、
図5のように、凸部37E同士を対峙させてもよいし、
図7のように、第1押圧部材37Aの凸部37Eと、第2押圧部材37Bの凸部37Eとをずらしてもよい。
【0065】
さらに、
図10、
図11にて示した構成例では、凸部37Eによる押圧箇所が一つの方向に順次ずれていくが、各押圧部材対における凸部37Eの配置位置を調整することで、
図8にて示したように、2つの押圧箇所の中間地点を押圧することもできる。
また、
図10、
図11にて示した構成例では、凸部37Eの配置位置(押圧部材対の長手方向における配置位置)が押圧部材毎に異なっていたが、一部の凸部については、各押圧部材対において、同じ箇所(押圧部材対の長手方向において同じ箇所)に設置してもよい。かかる場合、折り部分の同じ箇所が2回以上押圧されるようになり、例えば、特に押圧を行いたい箇所を、2回以上押圧できるようになる。
また、
図10、
図11にて示した構成例の場合、折り部分が延びる方向への押圧部材対の移動が行われないため、押圧部材対の移動が行われる上記
図5等の構成に比べ、折り部分が延びる方向における装置寸法を小さくしやすい。
【0066】
図12は、用紙処理制御部7の機能ブロック図である。
本実施形態の用紙処理制御部7は、画像形成装置1の主制御部14から、用紙束Bの処理(折り処理)についての情報が入力される。また、用紙処理制御部7には、ユーザ・インターフェイス(UI)15を介して受け付けた、処理条件などの信号が入力される。さらに、用紙処理制御部7には、用紙センサ92から、用紙Sを検出したことを示す検出信号が入力される。また、用紙処理制御部7は、上記ピニオンギアやカム382(
図4参照)を回転させる第1モータM1、第2モータM2に対して制御信号を出力する。
【0067】
用紙処理制御部7は、不図示のCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびHDD(Hard Disk Drive)を備えて構成されている。CPUでは、処理プログラムが実行される。ROMには、各種プログラム、各種テーブル、パラメータ等が記憶されている。RAMは、CPUによる各種プログラムの実行時におけるワークエリア等として用いられる。