【文献】
第2部<技術動向>電力データを活用して需要調整や新サービスへ,日経エレクトロニクス10月13日号,日本,日経BP社,2014年10月13日,第1145号,pp.36-41,ISSN 0385-1680
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電力を取引先に提供して対価を得ることが可能な事業者によって用いられ、かつ蓄電部を備える電力システムにおいて用いられる電力管理装置における電力管理方法であって、
供給電力に関する情報、および電力の消費先となる1または複数の電力需要施設における電力消費抑制量に関する抑制量情報を取得するステップを含み、
前記電力システムにおいては、前記供給電力から各前記電力需要施設における消費電力を差し引いた余剰電力について、前記余剰電力の一部が前記蓄電部に充電された残りの電力、または前記蓄電部に蓄えられた電力の一部もしくは全部と前記余剰電力とが前記取引先に提供され、
さらに、
前記抑制量情報に基づいて、前記取引先に提供する電力量が所定の取引単位になるように前記蓄電部の蓄電残量を調整する調整制御を行うステップを含み、
前記電力システムにおいては、節電期間において電力が前記取引先に提供され、
前記調整制御を行うステップにおいては、前記節電期間の開始タイミングより前に前記調整制御を行い、
前記電力管理方法は、さらに、
前記節電期間において余剰となる電力量のうちの取引単位に満たない電力量と前記蓄電部の蓄電残量との合計である蓄電余剰合計量を、前記節電期間の開始までに前記蓄電部の蓄電残量を増加させることによって前記取引単位の整数倍にすることができると判断した場合、前記調整制御において前記蓄電部を充電すると決定するステップを含む、電力管理方法。
電力を取引先に提供して対価を得ることが可能な事業者によって用いられる電力管理装置と、電力の消費先となる1または複数の電力需要施設においてそれぞれ用いられる1または複数の需要家装置と、蓄電部とを備える電力システムにおける電力管理方法であって、
前記電力システムにおいては、供給電力から各前記電力需要施設における消費電力を差し引いた余剰電力について、前記余剰電力の一部が前記蓄電部に充電された残りの電力、または前記蓄電部に蓄えられた電力の一部もしくは全部と前記余剰電力とが前記取引先に提供され、
前記需要家装置が、前記電力需要施設における電力消費抑制量に関する抑制量情報を前記電力管理装置へ送信するステップと、
前記電力管理装置が、前記需要家装置から前記抑制量情報を受信して、受信した前記抑制量情報に基づいて、前記取引先に提供する電力量が所定の取引単位になるように前記蓄電部の蓄電残量を調整する調整制御を行うステップと、
前記需要家装置が、前記電力需要施設における電力消費抑制量の実績を示す抑制実績情報を前記電力管理装置へ送信するステップとを含み、
前記電力システムにおいては、節電期間において電力が前記取引先に提供され、
前記調整制御を行うステップにおいては、前記電力管理装置が、前記節電期間の開始タイミングより前に前記調整制御を行い、
前記電力管理方法は、さらに、
前記電力管理装置が、前記節電期間において余剰となる電力量のうちの取引単位に満たない電力量と前記蓄電部の蓄電残量との合計である蓄電余剰合計量を、前記節電期間の開始までに前記蓄電部の蓄電残量を増加させることによって前記取引単位の整数倍にすることができると判断した場合、前記調整制御において前記蓄電部を充電すると決定するステップを含む、電力管理方法。
電力を取引先に提供して対価を得ることが可能な事業者によって用いられ、かつ蓄電部を備える電力システムにおいて用いられる電力管理装置、において用いられる電力管理プログラムであって、コンピュータに、
供給電力に関する情報、および電力の消費先となる1または複数の電力需要施設における電力消費抑制量に関する抑制量情報を取得するステップを実行させるためのプログラムであり、
前記電力システムにおいては、前記供給電力から各前記電力需要施設における消費電力を差し引いた余剰電力について、前記余剰電力の一部が前記蓄電部に充電された残りの電力、または前記蓄電部に蓄えられた電力の一部もしくは全部と前記余剰電力とが前記取引先に提供され、
さらに、コンピュータに、
前記抑制量情報に基づいて、前記取引先に提供する電力量が所定の取引単位になるように前記蓄電部の蓄電残量を調整する調整制御を行うステップを実行させるためのプログラムであり、
前記電力システムにおいては、節電期間において電力が前記取引先に提供され、
前記調整制御を行うステップにおいては、前記節電期間の開始タイミングより前に前記調整制御を行い、
さらに、コンピュータに、
前記節電期間において余剰となる電力量のうちの取引単位に満たない電力量と前記蓄電部の蓄電残量との合計である蓄電余剰合計量を、前記節電期間の開始までに前記蓄電部の蓄電残量を増加させることによって前記取引単位の整数倍にすることができると判断した場合、前記調整制御において前記蓄電部を充電すると決定するステップを実行させるための、電力管理プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0023】
最初に、本発明の実施の形態の内容を列記して説明する。
【0024】
(1)本発明の実施の形態に係る電力管理装置は、電力を取引先に提供して対価を得ることが可能な事業者によって用いられ、かつ蓄電部を備える電力システムにおいて用いられる電力管理装置であって、供給電力に関する情報、および電力の消費先となる1または複数の電力需要施設における電力消費抑制量に関する抑制量情報を取得する電力情報取得部を備え、前記電力システムにおいては、前記供給電力から各前記電力需要施設における消費電力を差し引いた余剰電力について、前記余剰電力の一部が前記蓄電部に充電された残りの電力、または前記蓄電部に蓄えられた電力の一部もしくは全部と前記余剰電力とが前記取引先に提供され、さらに、前記抑制量情報に基づいて、前記取引先に提供する電力量が所定の取引単位になるように前記蓄電部の蓄電残量を調整する調整制御を行う制御部を備える。
【0025】
このような構成により、たとえば、電力需要施設における余剰電力のうち、取引単位を満たす量の電力を取引先に提供し、残りの電力を蓄電部に充電することができる。これにより、取引先から提供電力の対価を受け取ることができるとともに、取引の対象とならない電力を蓄電部に充電して保持し、その後、必要に応じてたとえば電力需要施設に供給することができるため、余剰電力を無駄なく活用することができる。また、たとえば、余剰電力の量が取引単位に満たない場合、余剰電力と蓄電部における電力とを合わせることにより、取引単位を満たす量の電力にすることができるため、少量の余剰電力でも取引先に提供することができ、取引先から提供電力の対価を受け取ることができる。したがって、余剰電力を有効に活用して節電の経済的な効果を高めることができる。
【0026】
(2)好ましくは、前記電力システムにおいては、節電期間において電力が前記取引先に提供され、前記制御部は、前記節電期間の開始タイミングより前に前記調整制御を行う。
【0027】
このような構成により、取引先に提供する電力の量を所定の取引単位にするために、余剰電力の一部を蓄電部に充電する必要があると判断した場合に、取引先に電力を供給する期間である節電期間の開始までに、蓄電部の蓄電残量を低下させて必要な空き容量を確保することができる。一方、取引先に提供する電力の量を所定の取引単位にするために、余剰電力と蓄電部における電力とを合わせる必要があると判断した場合に、節電期間の開始までに蓄電部の蓄電残量を上昇させて必要な電力量を確保することができる。
【0028】
(3)より好ましくは、前記制御部は、前記節電期間の開始タイミングまでの時間の長短に応じて、前記調整制御において前記蓄電部を充電するか放電するかを決定する。
【0029】
このような構成により、たとえば、必要な量の電力を節電期間の開始までに充電することができると判断した場合に、蓄電部を充電する調整制御を行い、また、必要な量の電力を節電期間の開始までに充電することができないと判断した場合に、逆に蓄電部の空き容量を確保するために蓄電部を放電する調整制御を行うことができる。
【0030】
(4)好ましくは、前記制御部は、電力が前記取引先に提供されている状態における前記蓄電部の蓄電残量が所定値以上となるように前記調整制御において前記蓄電残量を調整する。
【0031】
このような構成により、たとえば、抑制情報に基づいて予測した量の余剰電力が得られなかったことにより、節電期間において取引先に電力を供給している途中で蓄電部の蓄電残量がゼロになることを防ぐために、節電期間の開始までに蓄電部を多めに充電して蓄電残量に余裕を持たせることができる。
【0032】
(5)好ましくは、前記電力管理装置は、さらに、提供された電力に対して前記取引先から与えられる対価を示す対価情報を取得する対価情報取得部と、前記対価情報の示す対価および前記抑制量情報に基づいて、前記各電力需要施設の需要家に与えるべき対価を演算する対価演算部とを備える。
【0033】
このような構成により、需要家が余剰電力に基づく対価を受け取ることができるため、たとえば節電期間に節電することのインセンティブを需要家に与え、より多くの余剰電力を生じさせることができる。
【0034】
(6)好ましくは、前記電力システムにおいては、節電期間において電力が前記取引先に提供され、前記電力情報取得部は、前記節電期間において前記電力需要施設から報告される電力消費抑制量、を示す抑制実績情報を取得し、前記制御部は、前記節電期間において、前記抑制実績情報に基づいて、前記蓄電部の充電または放電を制御することにより、前記取引先に提供される電力を調整する。
【0035】
このような構成により、たとえば、取引先に提供される電力の量が取引単位となるように、蓄電部の充電量または放電量を調整することができる。また、たとえば変動の少ない安定した電力を取引先に提供することができる。
【0036】
(7)本発明の実施の形態に係る電力システムは、電力を取引先に提供して対価を得ることが可能な事業者によって用いられる電力管理装置と、電力の消費先となる1または複数の電力需要施設においてそれぞれ用いられる1または複数の需要家装置と、蓄電部とを備え、供給電力から各前記電力需要施設における消費電力を差し引いた余剰電力について、前記余剰電力の一部が前記蓄電部に充電された残りの電力、または前記蓄電部に蓄えられた電力の一部もしくは全部と前記余剰電力とが前記取引先に提供され、
前記需要家装置は、前記電力需要施設における電力消費抑制量に関する抑制量情報を前記電力管理装置へ送信し、
前記電力管理装置は、前記需要家装置から前記抑制量情報を受信して、受信した前記抑制量情報に基づいて、前記取引先に提供する電力量が所定の取引単位になるように前記蓄電部の蓄電残量を調整する調整制御を行い、
前記需要家装置は、前記電力需要施設における電力消費抑制量の実績を示す抑制実績情報を前記電力管理装置へ送信する。
【0037】
このような構成により、たとえば、電力需要施設における余剰電力のうち、取引単位を満たす量の電力を取引先に提供し、残りの電力を蓄電部に充電することができる。これにより、取引先から提供電力の対価を受け取ることができるとともに、取引の対象とならない電力を蓄電部に充電して保持し、その後、必要に応じてたとえば電力需要施設に供給することができるため、余剰電力を無駄なく活用することができる。また、たとえば、余剰電力の量が取引単位に満たない場合、余剰電力と蓄電部における電力とを合わせることにより、取引単位を満たす量の電力にすることができるため、少量の余剰電力でも取引先に提供することができ、取引先から提供電力の対価を受け取ることができる。したがって、余剰電力を有効に活用して節電の経済的な効果を高めることができる。
【0038】
(8)本発明の実施の形態に係る電力システムは、電力を取引先に提供して対価を得ることが可能な事業者によって用いられる電力管理装置と、蓄電部とを備え、供給電力から電力の消費先となる1または複数の電力需要施設の消費電力を差し引いた余剰電力について、前記余剰電力の一部が前記蓄電部に充電された残りの電力、または前記蓄電部に蓄えられた電力の一部もしくは全部と前記余剰電力とが前記取引先に提供され、前記電力管理装置は、前記取引先に提供する電力量が所定の取引単位になるように前記蓄電部の蓄電残量を調整する調整制御を行う。
【0039】
このような構成により、たとえば、電力需要施設における余剰電力のうち、取引単位を満たす量の電力を取引先に提供し、残りの電力を蓄電部に充電することができる。これにより、取引先から提供電力の対価を受け取ることができるとともに、取引の対象とならない電力を蓄電部に充電して保持し、その後、必要に応じてたとえば電力需要施設に供給することができるため、余剰電力を無駄なく活用することができる。また、たとえば、余剰電力の量が取引単位に満たない場合、余剰電力と蓄電部における電力とを合わせることにより、取引単位を満たす量の電力にすることができるため、少量の余剰電力でも取引先に提供することができ、取引先から提供電力の対価を受け取ることができる。したがって、余剰電力を有効に活用して節電の経済的な効果を高めることができる。
【0040】
(9)本発明の実施の形態に係る需要家装置は、蓄電部を備える電力システムにおいて用いられる需要家装置であって、前記電力システムにおいては、供給電力から電力の消費先となる1または複数の電力需要施設の消費電力を差し引いた余剰電力について、前記余剰電力の一部が前記蓄電部に充電された残りの電力、または前記蓄電部に蓄えられた電力の一部もしくは全部と前記余剰電力とが前記取引先に提供され、電力を取引先に提供して対価を得ることが可能な事業者によって用いられる電力管理装置から節電要請情報を受信する要請受信部と、前記要請受信部によって前記節電要請情報が受信された場合、前記電力需要施設における電力消費抑制量に関する抑制量情報を前記電力管理装置へ送信する抑制情報送信部とを備え、前記電力管理装置は、前記需要家装置から前記抑制量情報を受信して、受信した前記抑制量情報に基づいて、前記取引先に提供する電力量が所定の取引単位になるように前記蓄電部の蓄電残量を調整する調整制御を行う。
【0041】
このような構成により、たとえば、電力需要施設における余剰電力のうち、取引単位を満たす量の電力を取引先に提供し、残りの電力を蓄電部に充電することができる。これにより、取引先から提供電力の対価を受け取ることができるとともに、取引の対象とならない電力を蓄電部に充電して保持し、その後、必要に応じてたとえば電力需要施設に供給することができるため、余剰電力を無駄なく活用することができる。また、たとえば、余剰電力の量が取引単位に満たない場合、余剰電力と蓄電部における電力とを合わせることにより、取引単位を満たす量の電力にすることができるため、少量の余剰電力でも取引先に提供することができ、取引先から提供電力の対価を受け取ることができる。したがって、余剰電力を有効に活用して節電の経済的な効果を高めることができる。
【0042】
(10)本発明の実施の形態に係る電力管理方法は、電力を取引先に提供して対価を得ることが可能な事業者によって用いられ、かつ蓄電部を備える電力システムにおいて用いられる電力管理装置における電力管理方法であって、供給電力に関する情報、および電力の消費先となる1または複数の電力需要施設における電力消費抑制量に関する抑制量情報を取得するステップを含み、前記電力システムにおいては、前記供給電力から各前記電力需要施設における消費電力を差し引いた余剰電力について、前記余剰電力の一部が前記蓄電部に充電された残りの電力、または前記蓄電部に蓄えられた電力の一部もしくは全部と前記余剰電力とが前記取引先に提供され、さらに、前記抑制量情報に基づいて、前記取引先に提供する電力量が所定の取引単位になるように前記蓄電部の蓄電残量を調整する調整制御を行うステップを含む。
【0043】
このような構成により、たとえば、電力需要施設における余剰電力のうち、取引単位を満たす量の電力を取引先に提供し、残りの電力を蓄電部に充電することができる。これにより、取引先から提供電力の対価を受け取ることができるとともに、取引の対象とならない電力を蓄電部に充電して保持し、その後、必要に応じてたとえば電力需要施設に供給することができるため、余剰電力を無駄なく活用することができる。また、たとえば、余剰電力の量が取引単位に満たない場合、余剰電力と蓄電部における電力とを合わせることにより、取引単位を満たす量の電力にすることができるため、少量の余剰電力でも取引先に提供することができ、取引先から提供電力の対価を受け取ることができる。したがって、余剰電力を有効に活用して節電の経済的な効果を高めることができる。
【0044】
(11)本発明の実施の形態に係る電力管理方法は、電力を取引先に提供して対価を得ることが可能な事業者によって用いられる電力管理装置と、電力の消費先となる1または複数の電力需要施設においてそれぞれ用いられる1または複数の需要家装置と、蓄電部とを備える電力システムにおける電力管理方法であって、前記電力システムにおいては、供給電力から各前記電力需要施設における消費電力を差し引いた余剰電力について、前記余剰電力の一部が前記蓄電部に充電された残りの電力、または前記蓄電部に蓄えられた電力の一部もしくは全部と前記余剰電力とが前記取引先に提供され、前記需要家装置が、前記電力需要施設における電力消費抑制量に関する抑制量情報を前記電力管理装置へ送信するステップと、前記電力管理装置が、前記需要家装置から前記抑制量情報を受信して、受信した前記抑制量情報に基づいて、前記取引先に提供する電力量が所定の取引単位になるように前記蓄電部の蓄電残量を調整する調整制御を行うステップと、前記需要家装置が、前記電力需要施設における電力消費抑制量の実績を示す抑制実績情報を前記電力管理装置へ送信するステップとを含む。
【0045】
このような構成により、たとえば、電力需要施設における余剰電力のうち、取引単位を満たす量の電力を取引先に提供し、残りの電力を蓄電部に充電することができる。これにより、取引先から提供電力の対価を受け取ることができるとともに、取引の対象とならない電力を蓄電部に充電して保持し、その後、必要に応じてたとえば電力需要施設に供給することができるため、余剰電力を無駄なく活用することができる。また、たとえば、余剰電力の量が取引単位に満たない場合、余剰電力と蓄電部における電力とを合わせることにより、取引単位を満たす量の電力にすることができるため、少量の余剰電力でも取引先に提供することができ、取引先から提供電力の対価を受け取ることができる。したがって、余剰電力を有効に活用して節電の経済的な効果を高めることができる。
【0046】
(12)本発明の実施の形態に係る電力管理方法は、蓄電部を備える電力システムにおいて用いられる需要家装置における電力管理方法であって、前記電力システムにおいては、供給電力から電力の消費先となる1または複数の電力需要施設の消費電力を差し引いた余剰電力について、前記余剰電力の一部が前記蓄電部に充電された残りの電力、または前記蓄電部に蓄えられた電力の一部もしくは全部と前記余剰電力とが前記取引先に提供され、
電力を取引先に提供して対価を得ることが可能な事業者によって用いられる電力管理装置から節電要請情報を受信するステップと、前記節電要請情報を受信した後、前記電力需要施設における電力消費抑制量に関する抑制量情報を前記電力管理装置へ送信するステップとを含み、前記電力管理装置は、前記需要家装置から前記抑制量情報を受信して、受信した前記抑制量情報に基づいて、前記取引先に提供する電力量が所定の取引単位になるように前記蓄電部の蓄電残量を調整する調整制御を行う。
【0047】
このような構成により、たとえば、電力需要施設における余剰電力のうち、取引単位を満たす量の電力を取引先に提供し、残りの電力を蓄電部に充電することができる。これにより、取引先から提供電力の対価を受け取ることができるとともに、取引の対象とならない電力を蓄電部に充電して保持し、その後、必要に応じてたとえば電力需要施設に供給することができるため、余剰電力を無駄なく活用することができる。また、たとえば、余剰電力の量が取引単位に満たない場合、余剰電力と蓄電部における電力とを合わせることにより、取引単位を満たす量の電力にすることができるため、少量の余剰電力でも取引先に提供することができ、取引先から提供電力の対価を受け取ることができる。したがって、余剰電力を有効に活用して節電の経済的な効果を高めることができる。
【0048】
(13)本発明の実施の形態に係る電力管理プログラムは、電力を取引先に提供して対価を得ることが可能な事業者によって用いられ、かつ蓄電部を備える電力システムにおいて用いられる電力管理装置、において用いられる電力管理プログラムであって、コンピュータに、供給電力に関する情報、および電力の消費先となる1または複数の電力需要施設における電力消費抑制量に関する抑制量情報を取得するステップを実行させるためのプログラムであり、前記電力システムにおいては、前記供給電力から各前記電力需要施設における消費電力を差し引いた余剰電力について、前記余剰電力の一部が前記蓄電部に充電された残りの電力、または前記蓄電部に蓄えられた電力の一部もしくは全部と前記余剰電力とが前記取引先に提供され、さらに、コンピュータに、前記抑制量情報に基づいて、前記取引先に提供する電力量が所定の取引単位になるように前記蓄電部の蓄電残量を調整する調整制御を行うステップを実行させるためのプログラムである。
【0049】
このような構成により、たとえば、電力需要施設における余剰電力のうち、取引単位を満たす量の電力を取引先に提供し、残りの電力を蓄電部に充電することができる。これにより、取引先から提供電力の対価を受け取ることができるとともに、取引の対象とならない電力を蓄電部に充電して保持し、その後、必要に応じてたとえば電力需要施設に供給することができるため、余剰電力を無駄なく活用することができる。また、たとえば、余剰電力の量が取引単位に満たない場合、余剰電力と蓄電部における電力とを合わせることにより、取引単位を満たす量の電力にすることができるため、少量の余剰電力でも取引先に提供することができ、取引先から提供電力の対価を受け取ることができる。したがって、余剰電力を有効に活用して節電の経済的な効果を高めることができる。
【0050】
(14)本発明の実施の形態に係る電力管理プログラムは、蓄電部を備える電力システムにおいて用いられる需要家装置、において用いられる電力管理プログラムであって、前記電力システムにおいては、供給電力から電力の消費先となる1または複数の電力需要施設の消費電力を差し引いた余剰電力について、前記余剰電力の一部が前記蓄電部に充電された残りの電力、または前記蓄電部に蓄えられた電力の一部もしくは全部と前記余剰電力とが前記取引先に提供され、コンピュータに、電力を取引先に提供して対価を得ることが可能な事業者によって用いられる電力管理装置から節電要請情報を受信するステップと、前記節電要請情報を受信した後、前記電力需要施設における電力消費抑制量に関する抑制量情報を前記電力管理装置へ送信するステップとを実行させるためのプログラムであり、前記電力管理装置は、前記需要家装置から前記抑制量情報を受信して、受信した前記抑制量情報に基づいて、前記取引先に提供する電力量が所定の取引単位になるように前記蓄電部の蓄電残量を調整する調整制御を行う。
【0051】
このような構成により、たとえば、電力需要施設における余剰電力のうち、取引単位を満たす量の電力を取引先に提供し、残りの電力を蓄電部に充電することができる。これにより、取引先から提供電力の対価を受け取ることができるとともに、取引の対象とならない電力を蓄電部に充電して保持し、その後、必要に応じてたとえば電力需要施設に供給することができるため、余剰電力を無駄なく活用することができる。また、たとえば、余剰電力の量が取引単位に満たない場合、余剰電力と蓄電部における電力とを合わせることにより、取引単位を満たす量の電力にすることができるため、少量の余剰電力でも取引先に提供することができ、取引先から提供電力の対価を受け取ることができる。したがって、余剰電力を有効に活用して節電の経済的な効果を高めることができる。
【0052】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0053】
[構成および基本動作]
図1は、本発明の実施の形態に係る電力システムの概要を説明するための図である。
【0054】
図1を参照して、電力会社等の発電を行う事業者である発電事業者10は、自己の発電する電力を電力取引所20において販売することができる。
【0055】
小売事業者(事業者)30は、電力取引所20において発電事業者10から電力を購入することにより、発電事業者10から電力の供給を受ける。小売事業者30は、たとえば翌日に供給される電力を発電事業者10から購入する。
【0056】
小売事業者30は、発電事業者10から供給された電力を、自己と契約関係のある複数の需要家50の電力需要施設、具体的には、後述する
図7において示す、電力の消費先となる複数の電力需要施設52に分配する。
【0057】
需要家50は、企業等の組織または個人であり、たとえば小売事業者30から受けた電力を用いて、自己の電力需要施設52における設備を動作させる。
【0058】
取引参加者70は、電力取引所20において電力を購入することが可能な事業者であって、企業等の組織または個人である。
【0059】
事業者間の電力の受け渡しは、図示しない電力系統を用いて行われる。
【0060】
ここで、小売事業者30は、たとえば、ある期間において電力需給が逼迫することにより電力価格が高騰すると予測した場合に、当該期間を節電を行うべき期間(以下、節電期間とも称する。)として指定し、各需要家50に節電を要請する。
【0061】
需要家50は、小売事業者30から節電要請を受けた場合、節電期間において、小売事業者30から供給される電力の消費を抑制する。
【0062】
小売事業者30は、自己への供給電力から電力需要施設52における消費電力を差し引いた電力である余剰電力を取引先に提供することができる場合がある。
【0063】
詳細には、小売事業者30は、節電期間において生じる余剰電力を事前に予測し、予測した余剰電力すなわち節電期間に生じることが見込まれる余剰電力を、節電期間に提供可能な電力として電力取引所20において販売する。
【0064】
そして、たとえば取引参加者70が小売事業者30から余剰電力を購入した場合、小売事業者30は、節電期間において生じた余剰電力を取引参加者70に提供する。
【0065】
小売事業者30は、取引先である取引参加者70に電力を供給することで、提供電力対価を得ることができる。具体的には、たとえば、取引参加者70は、提供電力対価つまり電力の購入金額を小売事業者30に支払う。
【0066】
小売事業者30は、節電を行った需要家50に節電の対価を与える。具体的には、たとえば、小売事業者30は、取引参加者70から与えられた提供電力の対価を節電の対価として需要家50に配分する。
【0067】
なお、取引参加者70が小売事業者30に与える提供電力の対価および小売事業者30が需要家50に与える節電の対価は、金銭に限らず、商品券またはクーポン等であってもよい。
【0068】
ここで、電力取引所における電力の取引には、電力量で規定された取引単位が定められている。このため、電力取引所において、取引単位の整数倍の量の電力は売買することができるが、取引単位に満たない量の電力を売買することができない。
【0069】
たとえば、余剰電力の量、つまり余剰となる電力量が取引単位に満たない場合、小売事業者30は、余剰電力を電力取引所20において販売することができない。
【0070】
余剰となる電力量は、余剰電力を時間で積分することで求められる電気エネルギである。以下、電力取引所20における取引単位が1000kWhであるとして説明する。
【0071】
図2は、本発明の実施の形態に係る電力システムにおける、節電期間開始前の電力の需給関係の一例を説明するための図である。
【0072】
図2を参照して、発電事業者10は、小売事業者30との間で事前に成立した取引の内容に従って、2000kWhの電力量を小売事業者30へ供給する。
【0073】
小売事業者30は、発電事業者10から受けた2000kWhの電力量を需要家50へ供給する。
【0074】
[節電期間における電力の需給]
(本発明の実施の形態の比較例について)
図3は、本発明の実施の形態に係る電力システムの比較例における、節電期間の電力の需給関係の一例を説明するための図である。
【0075】
図3は、通常時において2000kWhの電力量を消費する需要家50が、小売事業者30からの節電要請を受けて、1200kWhの節電つまり消費電力の抑制を行う場合の電力の需給について示している。
【0076】
図3を参照して、発電事業者10は、2000kWhの電力量を小売事業者30へ供給する。
【0077】
需要家50は、通常2000kWhの電力量を消費するところ、ここでは節電を行うことにより、800kWhの電力量を消費する。
【0078】
このため、小売事業者30は、発電事業者10から受ける2000kWhの電力量のうち、需要家50において消費される800kWhの電力量を需要家50に供給する。
【0079】
小売事業者30は、需要家50に供給せずに余剰となる1200kWhの電力量のうち、電力取引所20における取引単位を満たす1000kWhの電力量を、取引参加者70に提供する。
【0080】
ここで、小売事業者30が取引参加者70に提供する電力量は、電力取引所20において小売事業者30が取引参加者70に事前に販売した電力量である。
【0081】
一方、小売事業者30は、余剰となる1200kWhの電力量から取引参加者70に提供する電力量を差し引いた電力量、つまり電力取引所20における取引単位に満たない200kWhの電力量を電力会社80に引き渡す。
【0082】
詳細には、たとえば、電力の安定供給に関する取り決めに従って、200kWhの電力量のうち、発電事業者10から供給される電力量の3%にあたる電力量、つまり2000kWhの電力量の3%にあたる60kWhの電力量は、電力会社80によって有償で引き取られる。しかしながら、200kWhの電力量のうち、残りの140kWの電力量は、電力会社80に無償で引き取られる。
【0083】
図4は、本発明の実施の形態に係る電力システムの比較例における、節電期間の電力の需給関係の他の例を説明するための図である。
【0084】
図4は、通常時において2000kWhの電力を消費する需要家50が、小売事業者30からの節電要請を受けて、800kWhの節電を行う場合の電力の需給について示している。
【0085】
図4を参照して、発電事業者10は、2000kWhの電力量を小売事業者30へ供給する。需要家50は、通常2000kWhの電力量を消費するところ、ここでは、節電を行うことにより、1200kWhの電力量を消費する。
【0086】
このため、小売事業者30は、発電事業者10から受ける2000kWhの電力量のうち、需要家50において消費される1200kWhの電力量を需要家50に供給する。したがって、残りの800kWhの電力量が余剰となる。
【0087】
余剰となった800kWhの電力量は、電力取引所20における取引単位に満たないことから、取引参加者70に提供することができない。
【0088】
ここでは、小売事業者30は、電力の安定供給に関する取り決めに従って、余剰となった800kWhの電力量を電力会社80に引き渡す。具体的には、たとえば、800kWhの電力量のうち、発電事業者10から供給される電力量である2000kWhの電力量の3%にあたる60kWhの電力量は、電力会社80によって購入される。一方、800kWhの電力量のうち、残りの740kWの電力量は、電力会社80に無償で引き取られる。
【0089】
このように、本発明の実施の形態に係る電力システムの比較例では、余剰電力のうち、電力取引所20における取引単位に満たない量の電力を安価で電力会社80に引き渡すことになるため、余剰電力を有効に活用することができない。
【0090】
そこで、本発明の実施の形態に係る電力システムでは、以下のような方法により、このような課題を解決する。
【0091】
(本発明の実施の形態について)
図5は、本発明の実施の形態に係る電力システムにおける、節電期間の電力の需給関係の一例を説明するための図である。
【0092】
図5は、
図3と同様に、通常時において2000kWhの電力を消費する需要家50が、小売事業者30からの節電要請を受けて1200kWhの節電を行う場合の電力の需給について示している。電力システム101において、小売事業者30は、たとえば自己の施設において蓄電部31を設置している。
【0093】
ここでは、余剰電力の一部が蓄電部31に充電され、残りの電力が取引参加者70に提供される。
【0094】
具体的には、たとえば、
図5を参照して、発電事業者10は、2000kWhの電力量を小売事業者30へ供給する。需要家50は、通常2000kWhの電力量を消費するところ、ここでは、節電を行うことにより、800kWhの電力量を消費する。
【0095】
このため、小売事業者30は、発電事業者10から受ける2000kWhの電力量のうち、需要家50において消費される800kWhの電力量を需要家50に供給する。したがって、残りの1200kWhの電力量が余剰となる。
【0096】
小売事業者30は、余剰となる1200kWhの電力量のうち、電力取引所20における取引単位を満たす1000kWhの電力量を取引参加者70に提供する。小売事業者30が取引参加者70に提供する電力量は、電力取引所20において小売事業者30が取引参加者70に事前に販売した電力量である。
【0097】
一方、小売事業者30は、余剰となる1200kWhの電力量から取引参加者70に提供する電力量を差し引いた電力量である200kWhの電力量を蓄電部31に充電する。
【0098】
つまり小売事業者30は、余剰となる電力量のうちの取引単位に満たない電力量を、電力会社80に引き渡さず、蓄電部31に充電する。
【0099】
これにより、小売事業者30は、蓄電部31に充電した電力を、その後、必要に応じて使用することができるため、余剰電力を有効に使用することができる。
【0100】
図6は、本発明の実施の形態に係る電力システムにおける、節電期間の電力の需給関係の他の例を説明するための図である。
【0101】
図6は、
図4と同様に、通常時において2000kWhの電力量を消費する需要家50が、小売事業者30からの節電要請を受けて800kWhの節電を行う場合の電力の需給について示している。
【0102】
ここでは、蓄電部31に蓄えられた電力の一部または全部と余剰電力とが取引参加者70に提供される。
【0103】
具体的には、たとえば、
図6を参照して、小売事業者30は、予め蓄電部31にある程度の量の電力を充電しておく。発電事業者10は、2000kWhの電力量を小売事業者30へ供給する。
【0104】
需要家50は、通常2000kWhの電力量を消費するところ、ここでは、節電を行うことにより、1200kWhの電力量を消費する。
【0105】
このため、小売事業者30は、発電事業者10から受ける2000kWhの電力量のうち、需要家50において消費される1200kWhの電力量を需要家50に供給する。したがって、残りの800kWhの電力量が余剰となる。
【0106】
余剰となる800kWhの電力量は、電力取引所20における取引単位に満たないことから、取引参加者70に提供することができない。
【0107】
そこで、小売事業者30は、蓄電部31から200kWhの電力量を取り出し、余剰となる800kWhの電力量と合わせて取引単位を満たす1000kWhの電力量にする。
【0108】
詳細には、小売事業者30は、蓄電部31から200kWhの電力量を取り出し、余剰となる800kWhの電力量と合わせて1000kWhの電力量を確保することを事前に計画し、確保する予定の電力量を電力取引所20において販売する。そして、小売事業者30は、節電期間に当該1000kWhの電力量を取引参加者70へ提供する。
【0109】
これにより、小売事業者30は、余剰となった電力量が少量である場合であっても、余剰となった電力量を取引参加者70に提供することができる。
【0110】
図7は、本発明の実施の形態に係る電力システムの構成を示す図である。
【0111】
図7を参照して、電力システム101は、発電事業者装置11と、取引所装置21と、蓄電部31と、電力管理装置32と、複数の需要家装置51と、複数の負荷61と、複数の蓄電池62と、複数の発電装置63とを備える。
【0112】
蓄電部31は、たとえば、リチウムイオン電池、レドックスフロー電池、溶融塩電池、ナトリウム硫黄電池または鉛電池等の電池を含み、大量の電力すなわち大きな電気エネルギを蓄えることができる。
【0113】
発電事業者装置11は、たとえば、発電事業者10によって運用されるサーバである。取引所装置21は、たとえば、電力取引所20によって運用されるサーバである。電力管理装置32は、たとえば、小売事業者30によって運用されるサーバである。参加者装置71は、たとえば、取引参加者70によって運用されるサーバである。
【0114】
需要家装置51は、たとえば、需要家50の電力需要施設52における電気機器の動作を制御することによって消費電力の削減を図るためのBEMS(Building Energy Management System)またはHEMS(Home Energy Management System)等のシステムにおいて用いられる装置である。需要家装置51は、たとえば電力需要施設52において設けられる。
【0115】
負荷61、蓄電池62および発電装置63は、電力需要施設52において設けられ、需要家装置51によって制御される。負荷61は、照明機器および空調機器等の電気機器である。蓄電池62は、たとえば、割安な深夜電力を充電し、充電した電力を日中に使用することにより電気料金を抑えること等を目的として設けられた蓄電池である。発電装置63は、コジェネレーションシステム、燃料電池または太陽光発電装置等の発電装置である。
【0116】
発電事業者装置11および取引所装置21間、取引所装置21および電力管理装置32間、取引所装置21および参加者装置71間、ならびに電力管理装置32および各需要家装置51間は、ネットワークを介して接続される。
【0117】
電力取引所20において行われる発電事業者10および小売事業者30間の電力の取引は、発電事業者装置11、取引所装置21および電力管理装置32を用いて行われる。
【0118】
また、電力取引所20において行われる小売事業者30および取引参加者70間の電力の取引は、電力管理装置32、取引所装置21および参加者装置71を用いて行われる。
【0119】
小売事業者30は、電力取引所20において成立した発電事業者10との取引の内容に従って、発電事業者10から電力の供給を受ける。
【0120】
電力管理装置32は、発電事業者10から小売事業者30へ供給される電力に関する供給電力情報を、取引所装置21から取得する。供給電力情報は、たとえば、小売事業者30が発電事業者10から購入した電力の量および当該電力の供給される期間を示す。
【0121】
[節電期間の開始前の動作]
電力管理装置32は、たとえば、電力需給の逼迫が予想される場合に、節電要請情報を各需要家装置51へ送信する。節電要請情報は、電力需要施設52における節電の実施を需要家50に要請するための情報であり、たとえば、節電を実施すべき期間である節電期間、および節電すべき電力量つまり節電目標を示す。節電目標は、たとえば、電力需要施設52ごとに設定される。
【0122】
需要家50は、小売事業者30から節電要請があった場合、節電要請に応じて節電を行うか否か、つまり節電に参加するか否かを判断する。具体的には、需要家装置51は、電力管理装置32から節電要請情報を受信して、受信した節電要請情報の内容を需要家50に提示する。
【0123】
需要家50は、節電要請情報の内容を確認し、たとえば、電力需要施設52が節電に参加するか否かを示す節電応答情報(抑制量情報)を電力管理装置32へ送信する。
【0124】
たとえば、需要家50は、節電要請情報の内容を確認し、節電期間において節電目標を達成できると判断した場合、節電に参加する旨の節電応答情報を需要家装置51から電力管理装置32へ送信する。
【0125】
すなわち、節電に参加する旨の節電応答情報は、電力需要施設52において、節電期間に節電目標の示す電力量の消費が抑制される予定である旨を示す。
【0126】
需要家装置51は、節電に参加する旨の節電応答情報を電力管理装置32へ送信した場合、節電期間において節電目標が達成されるように、負荷61、蓄電池62および発電装置63を制御する。
【0127】
電力管理装置32は、需要家装置51から節電に参加する旨の節電応答情報を受信すると、自己の記憶する当該電力需要施設52の節電目標を確認することにより、当該需要家50が消費を抑制する予定の電力量を認識する。
【0128】
そして、充放電制御部40は、各電力需要施設52において抑制される電力量を合計することにより、余剰電力の量を予測する。
【0129】
ここで、小売事業者30は、たとえば
図5を用いて説明したように、節電期間において、余剰となる電力のうち、取引単位に満たない量の電力を蓄電部31に充電する場合がある。また、小売事業者30は、
図6を用いて説明したように、予め蓄電部31に充電した電力を、節電期間において蓄電部31から取り出す場合がある。
【0130】
このため、蓄電部31は、節電期間において充電される場合には、節電期間の開始までに十分な空き容量を有している必要があり、節電期間において電力を取り出される場合には、節電期間の開始までに十分な電力量つまり蓄電残量を有している必要がある。
【0131】
電力管理装置32は、たとえば、経済的な観点から、節電期間において蓄電部31を充電するかまたは蓄電部31から電力を取り出すかを決定し、節電期間の開始までに蓄電部31の蓄電残量を調整する。
【0132】
具体的には、電力管理装置32は、節電期間において余剰となる電力の量を節電期間の開始前に予測し、蓄電部31の蓄電残量、および節電期間開始までの残り時間等に基づいて、蓄電部31を充電するか、または蓄電部31から電力を取り出すかを決定する。
【0133】
電力管理装置32は、節電期間において蓄電部31を充電すると決定した場合、節電期間において余剰となる電力量のうちの取引単位に満たない電力量を蓄電部31に充電することができるように、節電期間の開始までに蓄電部31に十分な空き容量を確保する。
【0134】
具体的には、たとえば、電力管理装置32は、節電期間における余剰電力の量すなわち余剰となる電力量が1200kWhであると予測した場合であって、蓄電部31の空き容量が200kWh未満である場合、節電期間の開始までに、蓄電部31の空き容量が200kWh以上となるように蓄電部31から電力を取り出して、つまり蓄電部31を放電して蓄電残量を低下させる。
【0135】
また、たとえば、電力管理装置32は、節電期間において余剰となる電力量が1200kWhであると予測した場合であって、蓄電部31の空き容量が200kWh以上である場合、節電期間の開始までの間、空き容量が200kWhを下回らないように、蓄電部31を運用する。
【0136】
小売事業者30は、たとえば、蓄電部31から取り出した電力を電力需要施設52へ供給して消費する。なお、小売事業者30は、蓄電部31から取り出した電力を、発電事業者10に提供する等、他の用途に使用してもよい。
【0137】
一方、電力管理装置32は、節電期間において蓄電部31から電力を取り出すと決定した場合、節電期間において余剰となる電力量のうちの取引単位に満たない電力量と、蓄電部31の蓄電残量との合計(以下、蓄電余剰合計量とも称する。)が取引単位の整数倍となるように、節電期間の開始までに蓄電部31を充電する。
【0138】
具体的には、たとえば、電力管理装置32は、節電期間において余剰となる電力量が800kWhであると予測した場合であって、蓄電部31の蓄電残量が200kWh未満である場合、節電期間の開始までに蓄電残量が200kWh以上となるように蓄電部31を充電する。
【0139】
また、たとえば、電力管理装置32は、節電期間において余剰となる電力量が800kWhであると予測した場合であって、蓄電部31の空き容量が200kWh以上である場合、節電期間の開始までの間、蓄電残量が200kWhを下回らないように蓄電部31を運用する。
【0140】
[節電期間における動作]
電力管理装置32は、節電期間において、定期的または不定期に、抑制している消費電力の報告を要求するための抑制報告要求を各需要家装置51へ送信する。
【0141】
需要家装置51は、電力管理装置32から抑制報告要求を受信すると、自己の電力需要施設52における電力消費の抑制量の実績値を示す抑制実績情報を電力管理装置32へ送信する。
【0142】
電力管理装置32は、各需要家装置51から受信した抑制実績情報に基づいて余剰電力を演算する。具体的には、電力管理装置32は、各抑制実績情報の示す電力消費の抑制量の実績値を足し合わせることにより、余剰電力を演算する。そして、電力管理装置32は、演算した余剰電力に基づいて蓄電部31の充電または放電を制御する。
【0143】
具体的には、電力管理装置32は、たとえば、節電期間の開始前に蓄電部31を放電した場合、つまり蓄電部31に所定の空き容量を確保した場合、節電期間において余剰電力の一部を蓄電部31に充電する。このとき、電力管理装置32は、余剰電力のうちの蓄電部31に充電した残りの電力の量が取引単位の整数倍となるように、蓄電部31を充電する。
【0144】
一方、電力管理装置32は、たとえば、節電期間の開始前に蓄電部31を充電した場合、つまり蓄電部31に所定の蓄電残量を確保した場合、節電期間において蓄電部31を放電する。このとき、電力管理装置32は、蓄電余剰合計量が取引単位の整数倍となるように、蓄電部31から取り出す電力を調整する。
【0145】
[電力管理装置]
図8は、本発明の実施の形態に係る電力管理装置の構成を示す図である。
【0146】
図8を参照して、電力管理装置32は、対価情報取得部33と、対価演算部34と、需要予測部35と、電力情報取得部36と、記憶部37と、要請作成部38と、充放電制御部(制御部)40と、節電要請送信部41とを備える。
【0147】
需要予測部35は、たとえば、取引所装置21から電力需給に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて電力需給の逼迫する期間を予測する。
【0148】
要請作成部38は、需要予測部35によって予測された期間に基づいて、節電期間を設定し、電力需要施設52ごとに節電目標を設定する。そして、要請作成部38は、電力需要施設52ごとに、節電期間および対応の節電目標を示す節電要請情報を作成し、節電要請送信部41へ出力する。また、要請作成部38は、節電期間および各電力需要施設52の節電目標を記憶部37に保存する。
【0149】
節電要請送信部41は、要請作成部38から受けた各節電要請情報を対応の需要家装置51に送信する。
【0150】
電力情報取得部36は、たとえば、供給電力に関する情報である供給電力情報を取引所装置21から取得し、たとえば記憶部37に保存する。電力管理装置32は、電力情報取得部36によって取得された供給電力情報に基づいて、たとえば発電事業者10から電力供給を受ける期間および発電事業者10から供給される電力量等を認識する。
【0151】
また、電力情報取得部36は、節電要請送信部41が節電要請情報を各需要家装置51へ送信した後、各需要家装置51から送信された節電応答情報を取得し、対価演算部34および充放電制御部40へ出力する。
【0152】
節電応答情報は、節電期間において節電目標を達成する予定であるか否か、つまり、節電目標の示す電力量の消費を抑制する予定であるか否かを示す電力消費の抑制予定量に関する情報である。
【0153】
充放電制御部40は、電力情報取得部36によって取得された各節電応答情報等に基づいて、蓄電部31の蓄電残量を調整する調整制御の計画を作成し、作成した計画に従って節電期間の開始前に調整制御を実行する。
【0154】
次に、本発明の実施の形態に係る電力管理装置32が調整制御の計画作成処理を実行する際の動作について説明する。
【0155】
電力システム101における各装置は、コンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のフローチャートおよびシーケンスの各ステップの一部または全部を含むプログラムを図示しないメモリから読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
【0156】
図9は、本発明の実施の形態に係る電力管理装置による調整制御の計画作成処理の手順を定めたフローチャートである。
【0157】
図9を参照して、まず、電力管理装置32における充放電制御部40は、たとえば、節電要請送信部41が節電要請情報を各需要家装置51に送信すると、蓄電部31の蓄電残量を確認する(ステップS11)。
【0158】
次に、充放電制御部40は、記憶部37に保存された節電期間を確認し、現在の時刻から節電期間の開始時刻までの時間である準備可能時間を確認する(ステップS12)。ここで、たとえば、充放電制御部40が時刻の確認に用いる時計は、電力取引所20において各処理に用いられる時計と定期的または不定期に同期される。
【0159】
次に、充放電制御部40は、たとえば、記憶部37に保存された節電期間および各電力需要施設52の節電目標、ならびに電力情報取得部36によって取得された各節電応答情報に基づいて、節電期間において余剰となる電力量を予測する(ステップS13)。
【0160】
具体的には、たとえば、充放電制御部40は、節電に参加する旨を示す節電応答情報の送信元の電力需要施設52を確認する。充放電制御部40は、記憶部37に保存されている各電力需要施設52の節電目標の中から、当該送信元の電力需要施設52における節電目標を検索する。充放電制御部40は、検索の結果取得した節電目標の示す電力量が、当該送信元の電力需要施設52において節電期間に節電される電力量、つまり消費が抑制される電力量であると認識する。
【0161】
そして、充放電制御部40は、各電力需要施設52において消費が抑制される電力量を合計することにより、節電期間において余剰となる電力量を予測する。
【0162】
次に、充放電制御部40は、たとえば、記憶部37に予め保存された各種情報に基づいて、節電期間における電力の価格を予測する(ステップS14)。
【0163】
具体的には、たとえば、記憶部37には、過去に電力の取引が成立した際の電力の価格、気象情報、電力の需給データおよび他の事業者における余剰電力の予測値等を予め記憶している。充放電制御部40は、たとえば小売事業者30独自のアルゴリズムを用いて、気象情報および過去の需給データ等に基づいて電力の価格を予測する。
【0164】
より具体的には、たとえば、充放電制御部40は、記憶部37に保存された各種情報に基づいて、気象情報および需給データ等をパラメータとする価格の関数を作成する。そして、充放電制御部40は、当該関数に現時点の気象情報および需給データ等を入力して予測価格を算出する。
【0165】
なお、充放電制御部40は、他社の余剰電力の予測値および節電期間における天気予報情報等をパラメータとして用いてもよい。
【0166】
また、充放電制御部40は、重回帰分析、時系列解析技術または機械学習技術等を用いて電力の価格を予測してもよい。
【0167】
次に、充放電制御部40は、ステップS11〜S14に示す動作によって取得した蓄電部31の蓄電残量、準備可能時間、余剰となる電力量の予測値、および電力量の予測価格に基づいて、電力取引所20において販売する電力量と、調整制御において充電する電力量または放電する電力量とを決定する(ステップS15)。
【0168】
たとえば、充放電制御部40は、準備可能時間の長短に応じて、調整制御において蓄電部31を充電するか放電するかを決定する。
【0169】
具体的には、たとえば、充放電制御部40は、節電期間の開始までに蓄電残量を増加させることで、節電期間の蓄電余剰合計量を取引単位の整数倍にすることができると判断した場合、調整制御において蓄電部31を充電すると決定する。
【0170】
この場合、充放電制御部40は、さらに、節電期間の蓄電余剰合計量を取引単位の整数倍にすることができるように、調整制御において充電すべき電力量を決定する。
【0171】
このとき、充放電制御部40は、電力が取引先に提供されている状態において蓄電部31の蓄電残量が所定値以上となるように、充電すべき電力量を設定する。
【0172】
具体的には、充放電制御部40は、余剰電力、および蓄電部31から取り出した電力が取引先に提供されている状態、つまり節電期間において、蓄電部31の蓄電残量が所定値以下とならないように、蓄電部31に充電すべき電力量を設定する。
【0173】
より具体的には、たとえば、充放電制御部40は、予め予測した量の余剰電力が節電期間において得られなかったことにより、取引参加者70に電力が提供されている途中で蓄電部31の蓄電残量がゼロになることを防ぐために、蓄電部31に充電すべき電力量を多めに設定する。
【0174】
一方、たとえば、充放電制御部40は、節電期間の開始までの間、蓄電部31を充電したとしても、節電期間の蓄電余剰合計量を取引単位の整数倍にすることができないと判断した場合、調整制御において蓄電部31を放電すると決定する。
【0175】
この場合、充放電制御部40は、さらに、節電期間における余剰電力のうち蓄電部31に充電された残りの電力の量を取引単位の整数倍にすることができるように、調整制御において放電すべき電力量を決定する。
【0176】
このとき、充放電制御部40は、たとえば、節電期間において余剰となる電力量が予測よりも多く、節電期間の途中で蓄電部31が満充電状態となることによって充電が継続できなくなること防ぐために、蓄電部31から放電すべき電力量を多めに設定する。
【0177】
ここで、一般に、電力需給の逼迫する期間においては、電力取引所20における電力の価格が上昇する。充放電制御部40は、このことを考量して、利益が最大となるように、電力取引所20において販売する電力量、および、調整制御において蓄電部31に充電する電力量または蓄電部31から放電する電力量を決定する。なお、このとき、充放電制御部40は、小売事業者30が需要家50に与える節電の対価等を考慮してもよい。
【0178】
次に、充放電制御部40は、調整制御の具体的な計画を作成する(ステップS16)。たとえば、充放電制御部40は、節電期間において取引先である取引参加者70に提供される電力量を取引単位の整数倍にすることができるように、調整制御の詳細な内容を決定する。
【0179】
具体的には、たとえば、充放電制御部40は、ステップS15に示す動作により、調整制御において蓄電部31を充電することおよび充電すべき電力量を決定した場合、節電期間において取引先に提供される電力量を取引単位の整数倍にすることができるように、調整制御における蓄電部31の充電開始時刻および充電速度等を決定する。
【0180】
あるいは、充放電制御部40は、ステップS15に示す動作により、調整制御において蓄電部31を放電することおよび放電すべき電力量を決定した場合、節電期間において取引先に提供される電力量を取引単位の整数倍にすることができるように、調整制御における蓄電部31の放電開始時刻および放電速度等を決定する。
【0181】
再び
図8を参照して、充放電制御部40は、抑制情報等に基づいて、取引先に提供する電力量が所定の取引単位の整数倍となるように調整制御を実行する。また、たとえば、このとき、充放電制御部40は、電力が取引先に提供されている状態における蓄電部31の蓄電残量が所定値以上となるように、調整制御において蓄電部31の蓄電残量を調整する。
【0182】
具体的には、たとえば、充放電制御部40は、抑制情報等に基づいて作成した調整制御の計画に従って調整制御を実施する。充放電制御部40は、節電期間の開始タイミングより前に調整制御を実行する。
【0183】
ここで、調整制御において蓄電部31を充電するための電力は、たとえば、発電事業者10から供給された電力のうち各需要家50で消費されなかった電力であってもよいし、発電事業者10または電力会社80から別途調達した電力であってもよいし、図示しない発電装置により発電された電力であってもよい。
【0184】
また、調整制御において蓄電部31から放電する電力は、たとえば、需要家50に供給してもよいし、発電事業者10に引き渡してもよいし、図示しない負荷において消費してもよい。
【0185】
電力管理装置32は、節電期間の開始タイミングより前に、節電期間において取引先に提供することが可能な電力を、電力取引所20において販売する。ここでは、取引参加者70が電力管理装置32から電力を購入する。
【0186】
小売事業者30は、たとえば節電期間において、取引参加者70との取引内容に従って、取引参加者70に電力を提供する。
【0187】
電力管理装置32における電力情報取得部36は、節電期間において、電力消費抑制量の報告を要求するための抑制報告要求を各電力需要施設52へ送信することにより、各電力需要施設52から抑制実績情報を取得する。抑制実績情報は、電力需要施設52における電力消費の抑制量を示す。
【0188】
充放電制御部40は、節電期間において、電力情報取得部36によって取得された各抑制実績情報に基づいて、蓄電部31の充電または放電を制御することにより、取引参加者70に提供される電力を調整する。
【0189】
具体的には、たとえば、充放電制御部40は、各抑制実績情報に基づいて、余剰電力を認識する。そして、充放電制御部40は、取引参加者70に提供される電力量が取引参加者70に販売した電力量と一致するように、つまり取引参加者70に提供される電力量が取引単位の整数倍となるように、蓄電部31の充電または放電を制御する。
【0190】
より具体的には、充放電制御部40は、調整制御において蓄電部31を充電した場合、節電期間において、余剰電力の量と蓄電部31から放電する電力の量との合計が取引参加者70に販売した電力量と一致するように蓄電部31の放電を制御する。
【0191】
一方、充放電制御部40は、調整制御において蓄電部31を放電した場合、節電期間において、余剰電力のうちの蓄電部31に充電した残りの電力の量が取引参加者70に販売した電力量と一致するように蓄電部31の充電を制御する。
【0192】
以下、取引参加者70に提供される電力量が事前に取引参加者70に販売した電力量と一致するように蓄電部31の充電または放電を制御する処理を提供時制御とも称する。
【0193】
対価情報取得部33は、たとえば、小売事業者30と取引参加者70との取引が行われる際、取引所装置21から対価情報を取得し、取得した対価情報を対価演算部34へ出力する。
【0194】
対価情報は、提供された電力に対して取引参加者70から与えられる対価を示す。対価情報は、たとえば、成立した取引に従って小売事業者30が取引参加者70に電力を供給することにより取引参加者70から小売事業者30へ与えられる対価の内容を示す。
【0195】
なお、対価情報は、取引参加者70が小売事業者30へ与える対価の内容を示す構成に限らず、小売事業者30と取引参加者70との取引の際に小売事業者30が要求した対価の内容を、取引参加者70が受け入れる旨を示してもよい。
【0196】
対価演算部34は、対価情報取得部33によって取得された対価情報の示す対価、および電力情報取得部36によって取得された節電応答情報に基づいて、各電力需要施設52の需要家50に与えるべき節電の対価を演算する。
【0197】
具体的には、たとえば、対価演算部34は、節電応答情報および記憶部37に保存されている各電力需要施設52の節電目標を用いて、当該節電応答情報の送信元の電力需要施設52において節電される電力量を確認する。
【0198】
対価演算部34は、対価情報の示す対価を、各電力需要施設52において節電される予定の電力量に応じて、各電力需要施設52に分配する。
【0199】
なお、対価演算部34は、需要家50に与えるべき対価を演算する際、調整制御によって発生するコストを考慮してもよい。また、対価演算部34は、たとえば節電期間において余剰電力の一部を蓄電部31に充電する場合において、充電した電力をその後使用することで得る収益を考慮してもよい。
【0200】
小売事業者30は、たとえば、電力需要施設52において節電目標が達成された場合に、対価演算部34により演算された節電の対価を当該電力需要施設52の需要家50に与える。
【0201】
図10は、本発明の実施の形態に係る電力システムにおける、各タイミングの関係の一例を説明するための図である。
【0202】
図10を参照して、電力管理装置32は、まず、電力需給が逼迫すると予測した(タイミングT1)後、各需要家装置51から節電応答情報を取得する等して蓄電部31の調整制御の計画を作成する(タイミングT2)。電力管理装置32は、作成した計画に従って蓄電部31の調整制御を開始する(タイミングT3)。
【0203】
電力管理装置32は、調整制御の計画を作成した(タイミングT2)後であって節電期間の開始(タイミングT6)までの間に、当該計画を作成した際に決定した量の電力を電力取引所20において販売して取引を成立させる(タイミングT4)。ここでは、取引参加者70が当該電力を購入する。
【0204】
電力管理装置32は、作成した調整制御の計画に従って、節電期間の開始(タイミングT6)より前に、蓄電部31の調整制御を終了する(タイミングT5)。
【0205】
電力管理装置32は、節電期間が始まった(タイミングT6)後において、小売事業者30が取引参加者70への電力供給を開始する時間に合わせて、提供時制御を開始する(タイミングT7)
【0206】
そして、電力管理装置32は、節電期間が終わる(タイミングT9)前において、小売事業者30が取引参加者70への電力供給を終了する時間に合わせて、提供時制御を終了する(タイミングT8)。
【0207】
なお、小売事業者30は、節電期間が終わった後に、取引参加者70への電力供給を終了してもよい。
【0208】
図11は、本発明の実施の形態に係る需要家装置の構成を示す図である。
【0209】
図11を参照して、需要家装置51は、需要家受信部(要請受信部)54と、処理部55と、設備制御部56と、需要家送信部(抑制情報送信部)57と、消費測定部58とを備える。
【0210】
需要家受信部54は、電力管理装置32から送信された節電要請情報を受信して処理部55へ出力する。
【0211】
処理部55は、需要家受信部54から節電要請情報を受けて、節電要請情報の内容、具体的には、節電期間および節電目標を提示部53へ通知する。
【0212】
提示部53は、処理部55から通知された節電要請情報の内容をたとえば需要家装置51が備える画面等に表示する。
【0213】
需要家50は、画面に表示された節電要請情報の内容を確認して、電力需要施設52が節電に参加するか否かを判断する。そして、需要家50は、提示部53を操作することにより提示部53に判断結果を入力する。
【0214】
提示部53は、需要家50による判断結果を処理部55に通知する。処理部55は、提示部53からの通知を受けて、電力需要施設52が節電に参加するか否かを示す節電応答情報を作成する。
【0215】
需要家送信部57は、処理部55によって作成された節電応答情報を電力管理装置32へ送信する。
【0216】
また、処理部55は、節電に参加する旨の節電応答情報を作成した場合、節電期間において節電目標を達成可能な節電計画を作成する。節電計画は、たとえば、電力需要施設52に設けられた設備、具体的には負荷61、蓄電池62および発電装置63の制御計画である。
【0217】
設備制御部56は、処理部55によって作成された制御計画に従って、負荷61、蓄電池62および発電装置63を制御する。
【0218】
消費測定部58は、たとえば、負荷61の消費電力と、蓄電池62の充電電力または放電電力と、発電装置63の発電電力とを測定し、測定結果を処理部55へ出力する。
【0219】
需要家受信部54は、電力管理装置32から送信された抑制報告要求を受信して、処理部55へ出力する。
【0220】
処理部55は、需要家受信部54から抑制報告要求を受けると、消費測定部58による測定結果に基づいて、電力需要施設52における電力消費の抑制量を電力管理装置32に報告するための抑制実績情報を作成する。抑制実績情報は、たとえば、電力需要施設52において節電が行われたことによって抑制した電力量を示す。なお、抑制実績情報は、節電により抑制している電力を示してもよいし、電力需要施設52において消費した電力量を示してもよいし、電力需要施設52において消費している電力を示してもよい。
【0221】
需要家送信部57は、処理部55によって作成された抑制実績情報を電力管理装置32へ送信する。
【0222】
次に、本発明の実施の形態に係る電力システム101が電力管理処理を実行する際の動作について説明する。
【0223】
図12は、本発明の実施の形態に係る電力システムにおける電力管理処理のシーケンスの一例を示す図である。
【0224】
図12を参照して、電力管理装置32は、まず、小売事業者30が発電事業者10から電力を購入するための処理を行う。具体的には、発電事業者装置11は、図示しない取引所装置21を介して電力管理装置32と通信することにより、発電事業者10が小売事業者30に電力を販売するための処理を行う(ステップS52)。電力管理装置32は、取引所装置21を介して発電事業者装置11と通信することにより、小売事業者30が発電事業者10から電力を購入するための処理を行う(ステップS52)。
【0225】
小売事業者30が発電事業者10から電力を購入したことによって、発電事業者10から小売事業者30へ電力が供給される。
【0226】
次に、電力管理装置32は、たとえば取引所装置21から取得した情報に基づいて電力需給の逼迫を予測すると(ステップS52)、節電要請情報を各電力需要施設52における需要家装置51へ送信する(ステップS53)。
【0227】
次に、需要家装置51は、電力管理装置32から節電要請情報を受信して、電力需要施設52が節電に参加するか否かを示す節電応答情報を電力管理装置32へ送信する。ここでは、電力需要施設52は、節電に参加する旨の節電応答情報を送信する(ステップS54)。
【0228】
次に、電力管理装置32は、各電力需要施設52から受信した節電応答情報等に基づいて、蓄電部31の蓄電残量の調整制御の計画作成処理を行う(ステップS55)。具体的には、たとえば、電力管理装置32は、
図9において説明した手順に従って、調整制御の計画を作成する。
【0229】
次に、電力管理装置32は、作成した調整制御の計画に従って調整制御を実施する(ステップS56)。
【0230】
次に、小売事業者30は、節電期間において提供可能な電力を、電力取引所20において取引参加者70に販売する。
【0231】
具体的には、電力管理装置32は、取引所装置21を介して参加者装置71と通信することにより、当該電力を取引参加者70に販売するための処理を行う(ステップS57)。このとき、電力管理装置32は、電力提供の対価を示す対価情報を取引参加者70から取得する。また、参加者装置71は、取引所装置21を介して電力管理装置32と通信することにより、当該電力を発電事業者10から購入するための処理を行う(ステップS58)。
【0232】
次に、電力需要施設52は、節電期間が始まると、自己の電力需要施設52における負荷61、蓄電池62および発電装置63を制御することにより電力需要施設52における電力消費を抑制する(ステップS59)。
【0233】
次に、電力管理装置32は、電力消費の抑制量の報告を要求するための抑制報告要求を各電力需要施設52へ送信する(ステップS60)。
【0234】
次に、需要家装置51は、電力管理装置32から抑制報告要求を受信して、自己の電力需要施設52における電力消費の抑制量を示す抑制実績情報を電力管理装置32へ送信する。
【0235】
次に、小売事業者30は、取引参加者70に販売した量の電力を取引参加者70に提供する。電力管理装置32は、小売事業者30が取引参加者70に電力を提供する期間に合わせて提供時制御を実施する(ステップS62)。
【0236】
また、電力管理装置32は、小売事業者30が取引参加者70に電力を提供する期間が終了するまで、定期的または不定期に各需要家装置51に抑制報告要求を送信することにより、たとえば余剰電力を監視する。そして、電力管理装置32は、余剰電力の監視結果に基づいて提供時制御を行う。
【0237】
次に、電力管理装置32は、たとえばステップS57に示す動作において取得した対価情報に基づいて、電力需要施設52に与える節電の対価を演算する(ステップS63)。
【0238】
なお、本発明の実施の形態に係る電力システム101において、需要家装置51は、電力管理装置32から節電要請情報を受けて、電力管理装置32へ節電応答情報を送信する構成であるとしたが、これに限定するものではない。
【0239】
たとえば、需要家装置51は、電力管理装置32から節電要請情報を受けて、電力管理装置32へ抑制量通知情報(抑制量情報)を送信する構成であってもよい。抑制量通知情報は、電力消費の抑制予定量に関する情報であり、たとえば、電力需要施設52が節電期間に消費を抑制する電力量の予定値を示す。
【0240】
具体的には、たとえば、電力需要施設52において、提示部53は、需要家50による操作を受けて、電力需要施設52において節電期間に節電される電力量の予定値を取得する。需要家送信部57は、提示部53が取得した当該予定値を示す抑制量通知情報を電力管理装置32に送信する。
【0241】
電力管理装置32において、記憶部37には、各電力需要施設52に設けられた負荷61、蓄電池62および発電装置63等の設備の種類を示す情報が予め保存されている。電力情報取得部36は、電力需要施設52から送信された抑制量通知情報を受信する。
【0242】
充放電制御部40は、記憶部37の記憶する情報を用いて、電力情報取得部36によって受信された抑制量通知情報の送信元の電力需要施設52における設備の種類を確認する。そして、充放電制御部40は、抑制量通知情報の示す上記予定値が妥当であるか否かを判断する。
【0243】
電力管理装置32は、当該予定値が妥当であると判断した場合、当該予定値を、送信元の電力需要施設52において節電される電力量として取得する。一方、電力管理装置32は、当該予定値が妥当でないと判断した場合、当該予定値を修正して、修正した予定値を送信元の電力需要施設52において節電される電力量として取得する。
【0244】
充放電制御部40は、各電力需要施設52において節電される電力量を合計することにより、節電期間において余剰となる電力量を予測する。
【0245】
また、本発明の実施の形態に係る電力システム101において、電力管理装置32の送信する節電要請情報は、節電期間および節電目標を示す構成であるとしたが、これに限定するものではなく、たとえば、節電要請情報は、節電目標を示し、節電期間を示さない構成であってもよい。この場合、需要家装置51は、たとえば、節電要請情報を受信した時刻から所定時間後の時刻を節電期間の開始時刻と認識する。
【0246】
また、本発明の実施の形態に係る電力システム101において、電力管理装置32の送信する節電要請情報は、節電目標として、電力需要施設52において節電すべき電力量を示す構成であるとしたが、これに限定するものではなく、節電目標として、電力需要施設52における消費電力量の目標値を示してもよい。
【0247】
ところで、電力取引所における電力の取引には、電力量で規定された取引単位が定められており、電力取引所においては、取引単位に満たない量の電力を売買することができない。
【0248】
このため、小売事業者は、電力需要施設における節電等により生じた余剰電力を有効に活用することができない場合がある。
【0249】
また、電力需要施設において節電が行われることよって生じる余剰電力は安定していないため、たとえば特許文献1に記載された技術のように、各電力需要施設に設けられた発電装置を間接的に制御した場合であっても、余剰電力の量を取引単位にすることは困難である。
【0250】
これに対して、本発明の実施の形態に係る電力管理装置では、電力情報取得部36は、供給電力に関する情報である供給電力情報、および電力の消費先となる1または複数の電力需要施設52における電力消費抑制量に関する節電応答情報(抑制量情報)を取得する。充放電制御部40は、節電応答情報に基づいて、取引参加者70に提供する電力量が電力取引所20における取引単位になるように蓄電部31の蓄電残量を調整する調整制御を行う。当該電力管理装置の用いられる電力システムにおいては、供給電力から各電力需要施設52における消費電力を差し引いた余剰電力について、余剰電力の一部が蓄電部31に充電された残りの電力、または蓄電部31に蓄えられた電力の一部もしくは全部と余剰電力とが取引参加者70に提供される。
【0251】
このような構成により、たとえば、電力需要施設52における余剰電力のうち、取引単位を満たす量の電力を取引参加者70に提供し、残りの電力を蓄電部31に充電することができる。これにより、取引参加者70から提供電力の対価を受け取ることができるとともに、取引の対象とならない電力を蓄電部31に充電して保持し、その後、必要に応じてたとえば電力需要施設52に供給することができるため、余剰電力を無駄なく活用することができる。また、たとえば、余剰電力の量が取引単位に満たない場合、余剰電力と蓄電部31における電力とを合わせることにより、取引単位を満たす量の電力にすることができるため、少量の余剰電力でも取引参加者70に提供することができ、取引参加者70から提供電力の対価を受け取ることができる。
【0252】
したがって、本発明の実施の形態に係る電力管理装置では、余剰電力を有効に活用して節電の経済的な効果を高めることができる。
【0253】
また、本発明の実施の形態に係る電力管理装置では、充放電制御部40は、節電期間の開始タイミングより前に調整制御を行う。上記電力システムにおいては、節電期間において電力が取引参加者70に提供される。
【0254】
このような構成により、取引参加者70に提供する電力の量を所定の取引単位にするために、余剰電力の一部を蓄電部31に充電する必要があると判断した場合に、取引参加者70に電力を供給する期間である節電期間の開始までに、蓄電部31の蓄電残量を低下させて必要な空き容量を確保することができる。一方、取引参加者70に提供する電力の量を所定の取引単位にするために、余剰電力と蓄電部31における電力とを合わせる必要があると判断した場合に、節電期間の開始までに蓄電部31の蓄電残量を上昇させて必要な電力量を確保することができる。
【0255】
また、本発明の実施の形態に係る電力管理装置では、充放電制御部40は、節電期間の開始タイミングまでの時間の長短に応じて、調整制御において蓄電部31を充電するか放電するかを決定する。
【0256】
このような構成により、たとえば、必要な量の電力を節電期間の開始までに充電することができると判断した場合に、蓄電部31を充電する調整制御を行い、また、必要な量の電力を節電期間の開始までに充電することができないと判断した場合に、逆に蓄電部31の空き容量を確保するために蓄電部31を放電する調整制御を行うことができる。
【0257】
また、本発明の実施の形態に係る電力管理装置では、充放電制御部40は、電力が取引参加者70に提供されている状態における蓄電部31の蓄電残量が所定値以上となるように調整制御において蓄電残量を調整する。
【0258】
このような構成により、たとえば、抑制情報に基づいて予測した量の余剰電力が得られなかったことにより、節電期間において取引参加者70に電力を供給している途中で蓄電部31の蓄電残量がゼロになることを防ぐために、節電期間の開始までに蓄電部31を多めに充電して蓄電残量に余裕を持たせることができる。
【0259】
また、本発明の実施の形態に係る電力管理装置では、対価情報取得部33は、提供された電力に対して取引参加者70から与えられる対価を示す対価情報を取得する。対価演算部34は、対価情報の示す対価および節電応答情報に基づいて、各電力需要施設52の需要家50に与えるべき対価を演算する。
【0260】
このような構成により、需要家が余剰電力に基づく対価を受け取ることができるため、たとえば節電期間に節電することのインセンティブを需要家に与え、より多くの余剰電力を生じさせることができる。
【0261】
また、本発明の実施の形態に係る電力管理装置では、電力情報取得部36は、節電期間において電力需要施設52から報告される電力消費抑制量、を示す抑制実績情報を取得する。充放電制御部40は、節電期間において、抑制実績情報に基づいて、蓄電部31の充電または放電を制御することにより、取引参加者70に提供される電力を調整する。
【0262】
このような構成により、たとえば、取引参加者70に提供される電力の量が取引単位となるように、蓄電部31の充電量または放電量を調整することができる。また、たとえば変動の少ない安定した電力を取引参加者70に提供することができる。
【0263】
また、本発明の実施の形態に係る電力システムでは、需要家装置51は、電力需要施設52における電力消費抑制量に関する節電応答情報を電力管理装置32へ送信する。電力管理装置32は、需要家装置51から節電応答情報を受信して、受信した節電応答情報に基づいて、取引参加者70に提供する電力量が電力取引所20における取引単位になるように蓄電部31の蓄電残量を調整する調整制御を行う。需要家装置51は、電力需要施設52における電力消費抑制量の実績を示す抑制実績情報を電力管理装置32へ送信する。また、供給電力から各電力需要施設52における消費電力を差し引いた余剰電力について、余剰電力の一部が蓄電部31に充電された残りの電力、または蓄電部31に蓄えられた電力の一部もしくは全部と余剰電力とが取引参加者70に提供される。
【0264】
このような構成により、たとえば、電力需要施設52における余剰電力のうち、取引単位を満たす量の電力を取引参加者70に提供し、残りの電力を蓄電部31に充電することができる。これにより、取引参加者70から提供電力の対価を受け取ることができるとともに、取引の対象とならない電力を蓄電部31に充電して保持し、その後、必要に応じてたとえば電力需要施設52に供給することができるため、余剰電力を無駄なく活用することができる。また、たとえば、余剰電力の量が取引単位に満たない場合、余剰電力と蓄電部31における電力とを合わせることにより、取引単位を満たす量の電力にすることができるため、少量の余剰電力でも取引参加者70に提供することができ、取引参加者70から提供電力の対価を受け取ることができる。
【0265】
したがって、本発明の実施の形態に係る電力システムでは、余剰電力を有効に活用して節電の経済的な効果を高めることができる。
【0266】
また、本発明の実施の形態に係る需要家装置では、需要家受信部54は、電力を取引参加者70に提供して対価を得ることが可能な小売事業者30によって用いられる電力管理装置32から節電要請情報を受信する。需要家送信部57は、需要家受信部54によって節電要請情報が受信された場合、電力需要施設52における電力消費抑制量に関する節電応答情報を電力管理装置32へ送信する。電力管理装置32は、当該需要家装置から節電応答情報を受信して、受信した節電応答情報に基づいて、取引参加者70に提供する電力量が電力取引所20における取引単位になるように蓄電部31の蓄電残量を調整する調整制御を行う。当該需要家装置の用いられる電力システムにおいては、供給電力から各電力需要施設52における消費電力を差し引いた余剰電力について、余剰電力の一部が蓄電部31に充電された残りの電力、または蓄電部31に蓄えられた電力の一部もしくは全部と余剰電力とが取引参加者70に提供される。
【0267】
このような構成により、たとえば、電力需要施設52における余剰電力のうち、取引単位を満たす量の電力を取引参加者70に提供し、残りの電力を蓄電部31に充電することができる。これにより、取引参加者70から提供電力の対価を受け取ることができるとともに、取引の対象とならない電力を蓄電部31に充電して保持し、その後、必要に応じてたとえば電力需要施設52に供給することができるため、余剰電力を無駄なく活用することができる。また、たとえば、余剰電力の量が取引単位に満たない場合、余剰電力と蓄電部31における電力とを合わせることにより、取引単位を満たす量の電力にすることができるため、少量の余剰電力でも取引参加者70に提供することができ、取引参加者70から提供電力の対価を受け取ることができる。
【0268】
したがって、本発明の実施の形態に係る需要家装置では、余剰電力を有効に活用して節電の経済的な効果を高めることができる。
【0269】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0270】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
【0271】
[付記1]
電力を取引先に提供して対価を得ることが可能な事業者によって用いられ、かつ蓄電部を備える電力システムにおいて用いられる電力管理装置であって、
供給電力に関する情報、および電力の消費先となる1または複数の電力需要施設における電力消費抑制量に関する抑制量情報を取得する電力情報取得部を備え、
前記電力システムにおいては、前記供給電力から各前記電力需要施設における消費電力を差し引いた余剰電力について、前記余剰電力の一部が前記蓄電部に充電された残りの電力、または前記蓄電部に蓄えられた電力の一部もしくは全部と前記余剰電力とが前記取引先に提供され、
さらに、
前記抑制量情報に基づいて、前記取引先に提供する電力量が所定の取引単位になるように前記蓄電部の蓄電残量を調整する調整制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、前記調整制御の内容を、前記蓄電残量、前記取引先に電力が提供されるまでの時間、前記取引先に電力が提供されている期間において余剰となる電力量の予測値、および前記取引先に電力が提供されている期間における電力の予測価格の少なくともいずれか1つに基づいて決定し、
前記蓄電部は、リチウムイオン電池、レドックスフロー電池、溶融塩電池、ナトリウム硫黄電池および鉛電池の少なくともいずれか1つを含む、電力管理装置。
【0272】
[付記2]
電力を取引先に提供して対価を得ることが可能な事業者によって用いられる電力管理装置と、
電力の消費先となる1または複数の電力需要施設においてそれぞれ用いられる1または複数の需要家装置と、
蓄電部とを備え、
供給電力から各前記電力需要施設における消費電力を差し引いた余剰電力について、前記余剰電力の一部が前記蓄電部に充電された残りの電力、または前記蓄電部に蓄えられた電力の一部もしくは全部と前記余剰電力とが前記取引先に提供され、
前記需要家装置は、前記電力需要施設における電力消費抑制量に関する抑制量情報を前記電力管理装置へ送信し、
前記電力管理装置は、前記需要家装置から前記抑制量情報を受信して、受信した前記抑制量情報に基づいて、前記取引先に提供する電力量が所定の取引単位になるように前記蓄電部の蓄電残量を調整する調整制御を行い、
前記需要家装置は、前記電力需要施設における電力消費抑制量の実績を示す抑制実績情報を前記電力管理装置へ送信し、
前記電力管理装置は、前記調整制御の内容を、前記蓄電残量、前記取引先に電力が提供されるまでの時間、前記取引先に電力が提供されている期間において余剰となる電力量の予測値、および前記取引先に電力が提供されている期間における電力の予測価格の少なくともいずれか1つに基づいて決定し、
前記蓄電部は、リチウムイオン電池、レドックスフロー電池、溶融塩電池、ナトリウム硫黄電池および鉛電池の少なくともいずれか1つを含む、電力システム。
【0273】
[付記3]
蓄電部を備える電力システムにおいて用いられる需要家装置であって、
前記電力システムにおいては、供給電力から電力の消費先となる1または複数の電力需要施設の消費電力を差し引いた余剰電力について、前記余剰電力の一部が前記蓄電部に充電された残りの電力、または前記蓄電部に蓄えられた電力の一部もしくは全部と前記余剰電力とが前記取引先に提供され、
電力を取引先に提供して対価を得ることが可能な事業者によって用いられる電力管理装置から節電要請情報を受信する要請受信部と、
前記要請受信部によって前記節電要請情報が受信された場合、前記電力需要施設における電力消費抑制量に関する抑制量情報を前記電力管理装置へ送信する抑制情報送信部とを備え、
前記電力管理装置は、前記需要家装置から前記抑制量情報を受信して、受信した前記抑制量情報に基づいて、前記取引先に提供する電力量が所定の取引単位になるように前記蓄電部の蓄電残量を調整する調整制御を行い、
前記電力管理装置は、前記調整制御の内容を、前記蓄電残量、前記取引先に電力が提供されるまでの時間、前記取引先に電力が提供されている期間において余剰となる電力量の予測値、および前記取引先に電力が提供されている期間における電力の予測価格の少なくともいずれか1つに基づいて決定し、
前記蓄電部は、リチウムイオン電池、レドックスフロー電池、溶融塩電池、ナトリウム硫黄電池および鉛電池の少なくともいずれか1つを含む、需要家装置。