特許第6554829号(P6554829)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6554829
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】液面検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/36 20060101AFI20190729BHJP
【FI】
   G01F23/36
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-45516(P2015-45516)
(22)【出願日】2015年3月9日
(65)【公開番号】特開2016-166742(P2016-166742A)
(43)【公開日】2016年9月15日
【審査請求日】2018年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】坂牧 明
【審査官】 山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−139517(JP,A)
【文献】 米国特許第05765435(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 23/32−23/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液面に追従して動作するフロートを一端に備えるとともに他端に軸部を備えたフロートアームと、前記フロートアームを保持する係止部を備えるとともに前記フロートアームの動きに伴って回動するホルダと、前記軸部を回転可能に支持する軸受部によって前記ホルダを回転可能に支持するフレームと、前記ホルダまたは前記フレームに固定される回路基板と、前記フレームまたは前記ホルダに固定されるとともに前記回路基板の電極部と接触する接点を備えた端子と、を備えた液面検出装置において、
前記ホルダの回転軌跡に沿うように前記フレームに設けられたガイドレール部と、前記ホルダが前記ガイドレール部に沿って移動可能となるように前記ホルダに設けられたスライド部とを設け、
前記ホルダは、前記ホルダの外周の一端部から下方側へ垂れ下がるように延長形成され前記フレームと当接することで前記ホルダの回動範囲を規定する度当り部を備え、
前記度当り部は、前記ホルダの基部の板面方向に沿って突出した突出片を備え、
前記スライド部は、前記ガイドレール部を、前記突出片と、前記突出片と対向する前記基部の一部とで挟み込んでなるこ
を特徴とする液面検出装置。
【請求項2】
前記突出片は、前記軸部と前記係止部を直線状に結ぶ前記フロートアームと離間して設けられてなることを特徴とする請求項1に記載の液面検出装置。
【請求項3】
前記ホルダは前記ガイドレール部と対向するスライド部の対向面に突設部を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の液面検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の燃料タンク内の燃料の液面を検出する液面検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の液面検出装置は、液面の変動に伴い動くフロートアームと回路基板とを保持するホルダと、前記回路基板に設けた複数の電極にそれぞれ摺動接触する接点と、前記接点を保持するとともに前記フロートアームを回転可能に支持するフレームとを備え、前記フロートアームの変動に伴い前記接点が前記複数の電極の少なくとも1つと接触することにより抵抗値を変化させた電気信号を出力するものであった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−38550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、コストを削減する手段として、前記フロートアームの直径を細くし、原材料費を削減することが提案されている。しかし、前記フロートアームの直径を細くしたことによって、前記フロートアームの強度が弱くなり、前記フロートアームが変形し易くなった。前記フロートアームの変形によって前記フロートアームを保持している前記ホルダが変形し、前記回路基板と前記接点との接触状態に影響が及び、前記回路基板と前記接点との電気的接続の信頼性の低下が懸念されるといった問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、前記の問題点に着目し、フロートアームの変形によるホルダの変形を抑制し、回路基板と接点との電気的接続の信頼性の低下を抑制することが可能な液面検出装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、液面に追従して動作するフロートを一端に備えるとともに他端に軸部を備えたフロートアームと、前記フロートアームを保持する係止部を備えるとともに前記フロートアームの動きに伴って回動するホルダと、前記軸部を回転可能に支持する軸受部によって前記ホルダを回転可能に支持するフレームと、前記ホルダまたは前記フレームに固定される回路基板と、前記フレームまたは前記ホルダに固定されるとともに前記回路基板の電極部と接触する接点を備えた端子と、を備えた液面検出装置において、前記ホルダの回転軌跡に沿うように前記フレームに設けられたガイドレール部と、前記ホルダが前記ガイドレール部に沿って移動可能となるように前記ホルダに設けられたスライド部とを設け、前記ホルダは、前記ホルダの外周の一端部から下方側へ垂れ下がるように延長形成され前記フレームと当接することで前記ホルダの回動範囲を規定する度当り部を備え、前記度当り部は、前記ホルダの基部の板面方向に沿って突出した突出片を備え、前記スライド部は、前記ガイドレール部を、前記突出片と、前記突出片と対向する前記基部の一部とで挟み込んでなるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、所期の目的を達成でき、フロートアームの変形によるホルダの変形を抑制し、回路基板と接点との電気的接続の信頼性の低下を抑制することが可能な液面検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態の液面検出装置の斜視図。
図2】同実施形態の液面検出装置のフレームの斜視図。
図3図1中矢印X方向から見た液面検出装置の側面図。
図4】同実施形態の液面検出装置のホルダの斜視図。
図5】同実施形態の液面検出装置のホルダの背面側からみた斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
【0010】
本発明の実施形態による液面検出装置Fは、フロートアーム1と、ホルダ2と、フレーム3と、回路基板4と、端子5と、電気コード6から主に構成されている。
【0011】
フロートアーム1は、細長い硬鋼線からなり、その一端に液面に追従して動作する図示しないフロートを備えるとともに、ホルダ2に装着するために所定形状に折り曲げ形成されている。本実施形態では、ホルダ2をフレーム3に回転可能に支持するために、他端に軸部1Aを備えている。
【0012】
なお、図示しないフロートは、NBR/フェノール発泡体からなり、例えば、円柱形状をしている。前記フロートは、液面に浮いて、液面に追従して動作するものである。
【0013】
ホルダ2は、フロートアーム1の動きに伴って回動するものであり、例えば、ポリアセタール樹脂からなり、板状形状の基部2Aと、フレーム3の軸受部34を挟むL字状の保持部2Bと、フロートアーム1を保持する係止部2C1、2C2と、フレーム3のストッパ部32に当接させる度当り部2Dと、スライド部2Eとを備えている。
【0014】
基部2Aは、フレーム3との対向する側に、回路基板4を保持している。回路基板4は、基部2Aに設けた複数のフック部2A1によって、回路基板4の外周部を固定されている。そして、回路基板4は、回路基板4に形成された電極部が、フレーム3と対向するように配置されている。また、基部2Aの回路基板4を設けた側とは反対側には、係止部2C1、2C2が設けられており、また、基部2Aには、フロートアーム1の軸部1Aが挿通する第1挿通孔2A2が設けられている。
【0015】
保持部2Bは、端部2B1と連結部2B2とで構成されている。端部2B1は、基部2Aと平行であり、連結部2B2は、端部2B1と基部2Aとを連結している。端部2B1には、フロートアーム1の軸部1Aが挿通する第2挿通孔2B3が設けられている。
【0016】
基部2Aと端部2B1との間に、フレーム3の軸受部34を配置するとともに、第1挿通孔2A2、第2挿通孔2B3および軸受部34に設けた軸受孔34Aとに、フロートアーム1の軸部1Aを挿通することで、フロートアーム1の軸部1Aを回転中心として、ホルダ2がフレーム3に対して回動可能に配置される。
【0017】
係止部2C1、2C2は、第1係止部2C1と、第2係止部2C2とをホルダ2の基部2Aの表面側に備えている。
【0018】
第1係止部2C1は、ホルダ2の基部2Aの中央部に設けられており、フロートアーム1をホルダ2の基部2Aの板面方向から嵌め込み可能なようにC字状形状をなしている。
【0019】
第2係止部2C2は、フロートアーム1を第1係止部2C1に装着した後、フロートアーム1が第1係止部2C1から外れないようにするものであり、ホルダ2の回転軸方向に弾性変形可能なように構成している。したがって、フロートアーム1を第1係止部2C1に嵌め込む際に第2係止部2C2が下方側に変形しフロートアーム1を第1係止部2C1へ誘導可能とし、フロートアーム1が第1係止部2C1に嵌った後、第2係止部2C2が元の位置に復帰することによって、フロートアーム1を第1係止部2C1の係合位置に止めるように作用する。
【0020】
度当り部2Dは、基部2Aの外周の一部分から下方側へ垂れ下がるように延長形成されており、フレーム3の後述する第1、2ストッパ32A、32Bとそれぞれ当接する当接面2D1、2D2を有している。
【0021】
スライド部2Eは、後述する。
【0022】
フレーム3は、例えば、ポリアセタール樹脂からなり、枠形状をなしており、ベース部31と、ストッパ部32と、フック部33と、軸受部34と、ガイドレール部36とを一体に備えている。
【0023】
ベース部31は、3つの矩形状の貫通3A、3B、3Cを有しており、貫通孔3A、3Bに、それぞれ、2つの端子5が露出しており、この貫通孔3A、3Bから露出した端子5の加締部5Bで電気コード6を加締めて、電気的、物理的に固定されている。また、貫通孔3Cから2つの端子5の接点5Aが、フレーム3から露出している。
【0024】
ストッパ部32は、ベース部31の側面に形成した第1ストッパ32Aと第2ストッパ32Bとから構成されており、第1、第2ストッパ32A、32Bとでホルダ2の回動角度、すなわちフロートアーム1の動作範囲を規定している。なお、第2ストッパ32Bには、スライド部2Eの後述する突出片2E1が、入り込む凹み32B1を備えている。この凹み32B1を設けたことによって、ホルダ2の当接面2D2が、第2ストッパ32Bに当接することができ、ホルダ2の回動範囲を狭めることがない。
【0025】
フック部33は、3つ設けられており、図示しない取付部材に取り付けることができる。
【0026】
軸受部34は、フロートアーム1の軸部1Aが挿通する軸受孔34Aを備えている。軸受部34は、ホルダ2の基部2Aと端部2B1との間に位置し、第1挿通孔2A2、軸受孔34A、第2挿通孔2B3を軸部1Aが挿通する。軸受部34によって、軸部1Aを回転可能に支持し、ホルダ2がフレーム3に対して回転可能に支持される。
【0027】
ガイドレール部36は、ベース部31の側面で、ホルダ2の回転軌跡に沿うように、第1ストッパ32Aと第2ストッパ32B間に形成されている。また、ガイドレール部36は、ベース部31の上面と同一面となるように形成されている。このように、ガイドレール部36をベース部31の上面と同一面となるように形成したことによって、ホルダ2に形成するスライド部2Eを、ホルダ2の基部2Aに近接させて設けることができ、スライド部2Eの強度を確保することができる。
【0028】
回路基板4は、導体材料と抵抗材料が絶縁基板上に印刷・焼成により形成されている部品であり、端子5が接触する電極部を備えている。本実施形態では、ホルダ2に取付けられており、液面に追従して動作する前記フロートに連動するものである。
【0029】
端子5は、例えば洋白材からなるものであり、フレーム3にインサート成形によって肯定されており、接点5Aと加締部5Bとを一体に備えている。
【0030】
接点5Aは、回路基板4の電極部に接触するとともに、この電極部上を摺動するものである。
【0031】
加締部5Bは、電気コード6を挟んで電気的、物理的に保持するものである。
【0032】
電気コード6は、グランド線と、出力信号線の2線からなり、耐油性の架橋ポリエチレンの被覆を有するものである。
【0033】
ホルダ2に設けたスライド部2Eは、ホルダ2がフレーム3のガイドレール部36に沿って移動可能となるようにホルダ2に設けられている。本実施形態では、スライド部2Eは、度当り部2Dの下端に基部2Aの板面方向に沿って突出した突出片2E1と、この突出片2E1と対向する基部2Aの一部とで構成されており、スライド部2Eは、フレーム3のガイドレール部36を、突出片2E1と、この突出片2E1と対向する基部2Aの一部とで、挟み込んでいる。スライド部2Eが、ガイドレール部36に沿って移動することによって、ホルダ2の浮き上がりを防止することができる。
【0034】
また、スライド部2E、特に、突出片2E1は、回路基板4のホルダ2の回転軸の長手方向(言い換えれば、ホルダ2の基部2Aの板面に対して法線方向)の投影部分に位置しないように設けられている。これは、ホルダ2の基部2Aに回路基板4を収納し固定する際に、突出片2E1に遮られることなく、基部2Aの板面の法線方向から回路基板4をホルダ2の基部2Aに固定することができ、回路基板4をホルダ2に組み付ける作業が容易となる。仮に、突出片2E1が、回路基板4のホルダ2の回転軸の長手方向の投影部分に一部でも位置すると、回路基板4をホルダ2に組み付ける際に、突出片2E1を避けるために、回路基板4を基部2Aの板面方向に対して、斜め方向から固定することとなり、作業性が悪く、生産性を下げるおそれがある。
【0035】
また、ホルダ2は、スライド部Eを構成する基部2Aのガイドレール部36と対向する対向面に突設部2E2を備えている。この突設部2E2は、基部2Aの回路基板4を保持するフック部2A1などがフレーム3に接触することを防止するものである。
【0036】
以上のように、本発明の液面検出装置Fは、液面に追従して動作するフロートを一端に備えるとともに他端に軸部1Aを備えたフロートアーム1と、フロートアーム1を保持する係止部2Cを備えるとともにフロートアーム1の動きに伴って回動するホルダ2と、ホルダ2を回転可能に支持するフレーム3と、ホルダ2またはフレーム3に固定される回路基板4と、フレーム3またはホルダ2に固定されるとともに回路基板4の電極部と接触する接点5Aを備えた端子5と、を備えた液面検出装置Fにおいて、ホルダ2の回転軌跡に沿うようにフレーム3に設けられたガイドレール部36と、ホルダ2がガイドレール部36に沿って移動可能となるようにホルダ2に設けられたスライド部2Eとを設けたことによって、フロートアーム1の変形によるホルダ2の変形を抑制し、回路基板4と接点5Aとの電気的接続の信頼性の低下を抑制することが可能な液面検出装置Fを提供することができる。
【0037】
また、回路基板4は、ホルダ2に固定されるとともに、スライド部2Eは、回路基板4のホルダ2の回転軸の長手方向の投影部分に位置しないことによって、回路基板4をホルダ2への組み付け作業性を損なうことがない。
【0038】
また、ホルダ2はガイドレール部36と対向するスライド部2Eの少なくとも一方の対向面に突設部2E2を設けたことによって、ガイドレール部36とスライド部2E以外のホルダ2とフレーム3との接触を防止し、ホルダ2の良好な回動を維持することが可能となる。
【0039】
なお、前記実施形態では、回路基板4が、ホルダ2に固定され、端子5が、フレーム3に固定されていたが、前記実施形態に限定されるものではなく、回路基板4が、フレーム3に固定され、端子5が、ホルダ2に固定されるものであってもよい。なお、この場合、回路基板4は、電気コード6と電気的に接続する必要があるとともに、端子5は、互いに電気的に接続した状態で、ホルダ2に固定される必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、自動車の燃料タンク内の燃料の液面を検出する液面検出装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
F 液面検出装置
1 フロートアーム
1A 軸部
2 ホルダ
2C1 第1係止部
2C2 第2係止部
2E スライド部
2E1 突出片
2E2 突設部
3 フレーム
4 回路基板
5 インサート端子
5A 接点
6 電気コード
34 軸受部
36 ガイドレール部

図1
図2
図3
図4
図5