(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6554871
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】液面検出装置
(51)【国際特許分類】
G01F 23/36 20060101AFI20190729BHJP
【FI】
G01F23/36
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-71590(P2015-71590)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-191618(P2016-191618A)
(43)【公開日】2016年11月10日
【審査請求日】2018年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】坂牧 明
【審査官】
山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−139518(JP,A)
【文献】
特開2014−025822(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0314904(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 23/32−23/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液面に追従して動作するフロートを有するフロートアームを保持するホルダと、前記ホルダを回動可能に支持するフレームと、を備えた液面検出装置において、
前記フレームは、その外周部分に前記フロートアームの軸部を回動可能に保持する軸受部を備え、
前記ホルダは主要部とこの主要部と対向する対向片及び前記主要部と前記対向片を連結する連結部とを有し、前記主要部と前記対向片との間に前記軸受部を配置する保持部を備え、前記フロートアームが、前記主要部、前記軸受部、及び前記対向片とを貫通し、前記ホルダが、前記フレームに回動可能に保持され、
前記連結部は、前記軸受部と面していない外周面の端部又は端部近傍に補強部を有し、
前記補強部は、前記ホルダの回動中心を通り前記ホルダの前記連結部と対向する面とを最短で結ぶ直線と、前記外周面と前記直線との交点を通り前記最短で結ぶ直線に対して直交する線よりも前記ホルダの回動中心の前記軸部側
かつ前記直線に対し線対象に形成される
ことを特徴とする液面検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の燃料タンク内の燃料の液面を検出する液面検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液面検出装置は、液面に追従して動作するフロートの動きに伴って回路基板を回動させるホルダ2と、回路基板4の電極部と接触する接点部を備えた弾性片を有する端子と、端子の一部を内蔵するフレーム1と、を備えたものである(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−139518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような液面検出装置は、ホルダ2が、フレーム1に対して回動可能に支持されると共に、フレーム1を上下に挟む保持部を備え、その保持部とフレーム1とをフロートアーム3が貫通していたが、保持部2Bに形成された変形防止用の補強部が、ホルダ2の外側に向かって突出している場合、
液面検出装置を燃料タンクへの取付の際に、前記補強部を設けたことにより、前記燃料タンクの開口に前記液面検出装置が入らなくなるため、小型化が望まれているという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、前述の問題点に着目し、補強部を備えていても燃料タンクの開口に入れることが可能な小型の液面検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するために、液面に追従して動作するフロートを有するフロートアームを保持するホルダと、前記ホルダを回動可能に支持するフレームと、を備えた液面検出装置において、前記フレームは、その外周部分に前記フロートアームの軸部を回動可能に保持する軸受部を備え、前記ホルダは、主要部とこの主要部と対向する対向片及び前記主要部と前記対向片を連結する連結部とを有し、前記主要部と前記対向片との間に前記軸受部を配置する保持部を備え、前記フロートアームが、前記主要部、前記軸受部、及び前記対向片とを貫通し、前記ホルダが、前記フレームに回動可能に保持され、前記連結部は、前記軸受部と面していない外周面の端部又は端部近傍に補強部を
有し、前記補強部は、前記ホルダの回動中心を通り前記ホルダの前記連結部と対向する面とを最短で結ぶ直線と、前記外周面と前記直線との交点を通り前記最短で結ぶ直線に対して直交する線よりも前記ホルダの回動中心の前記軸部側かつ前記直線に対し線対象に形成されるものである。
【発明の効果】
【0008】
以上の構成によって、本発明は、所期の目的を達成することができ、補強部を備えていても燃料タンクの開口に入れることが可能な小型の液面検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明における実施形態の液面検出装置の正面図。
【
図3】同実施形態のホルダの下面側から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0011】
本発明の実施形態の液面検出装置Fは、
図1,3、及び5に示すように、フレーム1と、ホルダ2と、フロートアーム3と、回路基板4と、端子5と、から主に構成されている。なお、端子5には、配線コード6が固定されている。また、液面検出装置Fは、燃料ポンプや取付ステーなどの合成樹脂等からなる取付部(図示せず)に固定されている。
【0012】
フレーム1は、合成樹脂、例えば、ポリアセタールからなり、ベース部11と、ストッパ部(図示せず)と、フック部13と、軸受部14とを一体に備えている。また、フレーム1は、端子5の一部をインサート成形によって内蔵している。
【0013】
フック部13は、係止部13Aを複数備えており、この係止部13Aは、前記取付部に設けられる貫通孔などからなる係合部に係合し、フレーム1が前記取付部に固定される。
【0014】
軸受部14は、フレーム1の外周部分に設けられ、ホルダ2を回動可能に支持するものであり、フロートアーム3の軸部31が挿通する貫通孔14Aを備えている。
【0015】
図3、
図4に示すように、ホルダ2は、液面に追従して動作するフロート(図示せず)の動きに伴って回路基板4を回動させるものである。ホルダ2は、合成樹脂、例えば、ポリアセタールからなり、回路基板4を配置する板形状の回路基板収納部2Aと、フレーム1の軸受部14を間に保持するコの字状の保持部2Bと、フロートアーム3を保持する第1、第2係止部2C1、2C2と、フレーム1のストッパ部(図示せず)に当接する当接面を有する垂れ下がり部2Eを備えている。
【0016】
また、保持部2Bは、軸受部14を間に保持する回路基板収納部2Aを兼ねる主要部2A、対向片
2B2、及び主要部2Aと対向片
2B2を連結する連結部2B3と、からなり、連結部2B3の軸受部14と面していない外周面2B3aの端部に補強部2B4を有している。補強部2B4は、保持部2B、特に、ホルダ2の回転軸方向に対して垂直方向の連結部2B3の断面積を増やし、連結部2B3の剛性を補強するものである。
【0017】
保持部2Bは、主要部2Aと対向片
2B2との間に、前記軸受部を配置している。フロートアーム3の軸部31が、主要部2Aと、軸受部14と、対向片
2B2とを貫通し、ホルダ2がフレーム1に回動可能に保持される。フレーム1とホルダ2との組み付けは、主要部
2Aに設けた貫通孔と、軸受部14の貫通孔14Aとを合わせ、フロートアーム3の軸部31を貫通させる。軸部31を貫通させた後は、フロートアーム3を第1、第2係止部2C1、2C2に組み付けて保持させる。
【0018】
補強部2B4は、
図4に示すように、ホルダ2の回動中心Cを通りホルダ2の連結部2B3と対向する面Hとを最短で結ぶ直線Gと、外周面2B3aと直線Gとの交点Dを通り、最短で結ぶ線Gに対して直交する仮想線Tよりもホルダ2の
回動中心C側に形成される。また、
図2、
図5に示すように、補強部2B4は、軸受部14と面していない側(外側)の端部(回転方向の左右端部)から突出した突起が一体成形されたものである。
【0019】
また、補強部2B4は、仮想線Tよりもホルダ2の
回動中心C側に形成されていることで、補強部2B4を備えていながら、液面検出装置Fを小型化することが可能となる。
【0020】
フロートアーム3は、硬鋼線からなり、燃料タンク形状に合わせたりするために所定形状に折り曲げ形成されている。フロートアーム3には、図示しないフロートが固定されている。このフロートは、NBR/フェノール発泡体からなり、燃料などの液面に浮き、液面に追従して動作するものである。
【0021】
回路基板4は、図示しない電極部を備えており、この電極部を構成する導体材料や抵抗材料が、絶縁基板上に印刷、焼成により形成されている。この回路基板4は、ホルダ2に取り付けられて液面に追従して動作するフロートに連動するものである。
【0022】
端子5は、例えば、洋白材からなるものであり、2つ設けられている。各端子5は、回路基板4の電極部に接触する接点部5Aを備えた弾性片5Dと、配線コード6を保持する加締部5Bと、弾性片5Dと加締部5Bとを接続する中継部5Cとを一体に備えたものである。
【0023】
配線コード6は、グランド線と、出力信号線の2線からなり、銅などの金属の芯線6Aを耐油性の架橋ポリエチレンの被覆部6Bで被覆したものであり、端子5に加締めにより固定される。
【0024】
このように、本発明は、液面に追従して動作するフロートを有するフロートアーム3を保持するホルダ2と、ホルダ2を回動可能に支持するフレーム
1と、を備えた液面検出装置Fにおいて、フレーム1は、その外周部分にフロートアーム3の軸部31を回動可能に保持する軸受部14を備え、ホルダ2は、主要部2A、対向片2B2、及び主要部2Aと対向片2B2を連結する連結部2B3と、を有し、主要部2Aと対向片2B2との間に軸受部14を配置する保持部2Bを備え、フロートアーム3が、主要部2A、軸受部14、及び対向片2B2とを貫通し、ホルダ2が、フレーム1に回動可能に保持され、
連結部2B3は、軸受部14と面していない外周面2B3aの端部に補強部2B4を有することによって、補強部2B4を備えていても、燃料タンクの開口に入れることが可能な小型の液面検出装置Fを提供することができる。
【0025】
また、本発明は、補強部2B4は、ホルダ2の回動中心Cを通りホルダ2の連結部2B3と対向する面Hとを最短で結ぶ直線Gと、外周面2B3aと直線Gとの交点Dを通り最短で結ぶ直線Gに対して直交する線(仮想線T)よりもホルダ2の
回動中心Cの軸部31側に形成されることによって、補強部2B4が仮想線Tを超えて突出しないように形成されているので、補強部2B4を備えていても、燃料タンクの開口に入れることが可能な小型の液面検出装置Fを提供することができる。
【0026】
なお、本実施形態では、フレーム1に端子5が配置され、ホルダ2に収納された回路基板4が端子5と接触する構造であったが、フレーム1とホルダ2の関係が反対であってもよく、ホルダ2に端子5が配置され、フレーム1に収納された回路基板4が端子5と接触する構造でもよい。
【0027】
また、補強部2B4は、
図6に示すように、連結部2B3の軸受部14と面していない外周面2B3aの端部のみでなく端部近傍に設けられていてもよい。
【0028】
以上によって、補強部を備えていても燃料タンクの開口に入れることが可能な小型の液面検出装置を提供することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、タンク内の各種液体の液面を検出する液面検出装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0030】
F 液面検出装置
1 フレーム
2 ホルダ
2A 回路基板収納部(主要部)
2B 保持部
2B2 対向片
2B3 連結部
2B3a 外周壁(外周面)
2B4 補強部
2C1 第1係止部
2C2 第2係止部
2D 当接面
2E 垂れ下がり部
3 フロートアーム
4 回路基板
5 端子
6 配線コード
6A 芯線
6B 被覆部
7A 係合部
11 ベース部
13 フック部
13A 係止部
14 軸受部
14A 貫通孔
31 軸部
C 回動中心
D 交点
G 直線
T 仮想線(線)