特許第6554902号(P6554902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6554902
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】媒体情報読取装置及び媒体取引装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/00 20190101AFI20190729BHJP
   G07D 11/14 20190101ALI20190729BHJP
   G06K 13/06 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   G07D11/00 391Z
   G07D11/14 101A
   G07D11/00 341Z
   G06K13/06 C
【請求項の数】14
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-97604(P2015-97604)
(22)【出願日】2015年5月12日
(65)【公開番号】特開2016-212748(P2016-212748A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2018年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082740
【弁理士】
【氏名又は名称】田辺 恵基
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 明宏
(72)【発明者】
【氏名】池田 恭之
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 尚宏
(72)【発明者】
【氏名】小山田 潤一
(72)【発明者】
【氏名】小堀 英樹
【審査官】 小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−191916(JP,A)
【文献】 特開2006−099647(JP,A)
【文献】 特開2012−238181(JP,A)
【文献】 実開昭61−172370(JP,U)
【文献】 特開平09−223265(JP,A)
【文献】 実開平01−173866(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/00
G06K 13/06
G07D 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を挿入方向及び排出方向に沿って挿脱する媒体口と、
前記媒体を受け渡す媒体受渡部を有し前記媒体口の前記挿入方向側に設けられ前記媒体から媒体情報を読み取る媒体情報読取部と、
前記媒体が前記媒体口から挿脱される際に可動することにより前記媒体口を開閉する媒体口開閉部と
を有し、
前記媒体受渡部は、前記媒体口と対向し該媒体口に離接する方向へ可動し、開放された前記媒体口に隙間なく嵌り込む
媒体情報読取装置。
【請求項2】
前記媒体口開閉部は、前記媒体口に嵌り込むことにより前記媒体口を閉鎖する
請求項1に記載の媒体情報読取装置。
【請求項3】
前記媒体口開閉部は、前記媒体口が形成された筐体における前記排出方向側の面と、前記媒体口開閉部における前記排出方向側の面とが面一になるよう前記媒体口に嵌り込む
請求項2に記載の媒体情報読取装置。
【請求項4】
前記媒体口開閉部は、前記媒体口に隙間なく嵌り込む
請求項2に記載の媒体情報読取装置。
【請求項5】
前記媒体口開閉部は、利用者との間で前記媒体を受け渡すときのみ前記媒体口を開放する
請求項2に記載の媒体情報読取装置。
【請求項6】
前記媒体受渡部は、利用者との間で前記媒体を受け渡すときのみ、開放された前記媒体口に隙間なく嵌り込む
請求項に記載の媒体情報読取装置。
【請求項7】
前記媒体口開閉部は、前記媒体口よりも後側へ移動することにより前記媒体口を開放する
請求項2に記載の媒体情報読取装置。
【請求項8】
媒体を挿入方向及び排出方向に沿って挿脱する媒体口と、
前記媒体口の前記挿入方向側に設けられ前記媒体から媒体情報を読み取る媒体情報読取部と、
前記媒体が前記媒体口から挿脱される際に可動することにより前記媒体口を開閉する媒体口開閉部と、
前記媒体口における前記排出方向側の下側に設けられ前記媒体をガイドするステージ上面が形成されたステージと
を有し、
前記媒体口開閉部は、開閉部下面が前記ステージ上面に当接することにより前記媒体口を閉鎖し、
前記ステージ上面と前記開閉部下面との接触面には、前記挿入方向及び前記排出方向と上下方向とに直交する一方向の端部から他方向の端部までに亘って直線状でなくなる噛合部が形成されている
媒体情報読取装置。
【請求項9】
前記噛合部は、前記ステージ上面の一部分において前記開閉部下面から離隔する方向へ凹む凹部と、前記開閉部下面の一部分において前記凹部へ嵌り込む凸部とを有する
請求項に記載の媒体情報読取装置。
【請求項10】
前記媒体は、磁気ストライプが形成されたカードであり、
前記噛合部は、前記カードにおける前記磁気ストライプと対向する箇所に形成されている
請求項に記載の媒体情報読取装置。
【請求項11】
媒体を挿入方向及び排出方向に沿って挿脱する媒体口と、
前記媒体口の前記挿入方向側に設けられ前記媒体から媒体情報を読み取る媒体情報読取部と、
前記媒体が前記媒体口から挿脱される際に可動することにより前記媒体口を開閉する媒体口開閉部と
を有し、
前記媒体口開閉部は、前記排出方向側へ回動することにより前記媒体口を開放する両開きのシャッタである
媒体情報読取装置。
【請求項12】
前記媒体口開閉部は、前記媒体口と対向する箇所に、該媒体口に嵌る突起が形成されている
請求項1に記載の媒体情報読取装置。
【請求項13】
前記媒体口開閉部は、前記挿入方向及び前記排出方向と上下方向とに直交する一方向側と他方向側とに設けられた支点を軸として開閉する
請求項1に記載の媒体情報読取装置。
【請求項14】
媒体に関する取引を受け付ける顧客応対部と、
前記媒体を挿入方向及び排出方向に沿って挿脱する媒体口と、
前記媒体を受け渡す媒体受渡部を有し前記媒体口の前記挿入方向側に設けられ前記媒体から媒体情報を読み取る媒体情報読取部と、
前記媒体が前記媒体口から挿脱される際に可動することにより前記媒体口を開閉する媒体口開閉部と
を有し、
前記媒体受渡部は、前記媒体口と対向し該媒体口に離接する方向へ可動し、開放された前記媒体口に隙間なく嵌り込む
媒体取引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は媒体情報読取装置及び媒体取引装置に関し、例えば紙幣のような紙葉状の媒体を投入して所望の取引を行う現金自動取引装置(ATM:Automated Teller Machine)等に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関や店舗等で使用される現金自動取引装置等においては、顧客との取引内容に応じて、例えば顧客に紙幣や硬貨等の現金を入金させ、また顧客へ現金を出金する。現金自動取引装置としては、例えば顧客との間で紙幣の授受を行う入出金部と、投入された紙幣の金種及び真偽を鑑別すると共に紙幣の記番号を識別する鑑別部と、投入された紙幣を一時的に保留する一時保留部と、紙幣を搬送する搬送部と、金種毎に紙幣を格納する紙幣収納庫とを有するものがある。
【0003】
このような現金自動取引装置においては、不正に取り付けられたスキミングデバイスにより、カードが挿脱される際に該カードの磁気ストライプからカード情報を不正に取得する行為であるスキミングを防止するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−103822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現金自動取引装置においては、スキミングをより一層防止し、セキュリティをより向上させることが望まれている。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、セキュリティを向上させ得る媒体情報読取装置及び媒体取引装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明の媒体情報読取装置においては、媒体を挿入方向及び排出方向に沿って挿脱する媒体口と、媒体を受け渡す媒体受渡部を有し媒体口の挿入方向側に設けられ媒体から媒体情報を読み取る媒体情報読取部と、媒体が媒体口から挿脱される際に可動することにより媒体口を開閉する媒体口開閉部とを設け、媒体受渡部は、媒体口と対向し該媒体口に離接する方向へ可動し、開放された媒体口に隙間なく嵌り込むようにした。
【0008】
また本発明の媒体取引装置においては、媒体に関する取引を受け付ける顧客応対部と、媒体を挿入方向及び排出方向に沿って挿脱する媒体口と、媒体を受け渡す媒体受渡部を有し媒体口の挿入方向側に設けられ媒体から媒体情報を読み取る媒体情報読取部と、媒体が媒体口から挿脱される際に可動することにより媒体口を開閉する媒体口開閉部とを設け、媒体受渡部は、媒体口と対向し該媒体口に離接する方向へ可動し、開放された媒体口に隙間なく嵌り込むようにした。
【0009】
本発明では、媒体口周辺にスキミングデバイスを装着されることを防止できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、媒体口周辺にスキミングデバイスを装着されることを防止できる。かくして本発明は、セキュリティを向上させ得る媒体情報読取装置及び媒体取引装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】現金自動取引装置の構成を示す斜視図である。
図2】現金自動取引装置の構成を示す右側面図である。
図3】第1の実施の形態による入出口閉鎖状態及び受渡部退避状態のカード情報読取部の構成を示す右側面図である。
図4】第1の実施の形態による入出口開放状態及び受渡部退避状態のカード情報読取部の構成を示す右側面図である。
図5】第1の実施の形態による入出口開放状態及びカード受渡状態のカード情報読取部の構成(1)を示す右側面図である。
図6】第1の実施の形態による入出口開放状態及びカード受渡状態のカード情報読取部の構成(2)を示す正面図である。
図7】第2の実施の形態による入出口閉鎖状態のカード情報読取部の構成(1)を示す右側面図である。
図8】第2の実施の形態による入出口開放状態のカード情報読取部の構成を示す右側面図である。
図9】第2の実施の形態による入出口閉鎖状態のカード情報読取部の構成(2)を示す正面図である。
図10】第3の実施の形態による入出口開放状態のカード情報読取部の構成を示す正面図である。
図11】第3の実施の形態による入出口閉鎖状態のカード情報読取部の構成を示す右側面図である。
図12】第4の実施の形態による入出口開放状態のカード情報読取部の構成を示す正面図である。
図13】第4の実施の形態による入出口閉鎖状態のカード情報読取部の構成を示す平面図である。
図14】第5の実施の形態による入出口閉鎖状態のカード情報読取部の構成(1)を示す正面図である。
図15】第5の実施の形態による入出口閉鎖状態のカード情報読取部の構成(2)を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0013】
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動取引装置の構成]
図1及び図2に示すように、現金自動取引装置1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、顧客との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行う。筐体2は、その前側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に、所定の厚みを有するフロントパネル30が設けられている。
【0014】
フロントパネル30には顧客応対部3が設けられている。顧客応対部3は、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7及びレシート発行口8が設けられており、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行う。カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入又は排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカードリーダ34が設けられている。入出金口5は、顧客が入金する紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣が排出される部分である。操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチパネルとが一体化されている。テンキー7は、「0」〜「9」の数字等の入力を受け付ける物理的なキーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。
【0015】
カードCDは、図6に示すように略長方形の薄板状に形成されており、金融機関の顧客である利用者に対して発行され、入金、出金、振込及び残高照会等の金融取引が行われる際に用いられる。またカードCDには、利用者の氏名、口座番号、暗証番号、顧客ID等の情報を格納する磁気ストライプMSが設けられている。磁気ストライプMSは、カードCDの裏面における短手方向の一端側寄りに、該カードCDの長手方向の一端から他端までに亘って所定幅で、長手方向に沿って形成されている。
【0016】
筐体2内には、現金自動取引装置1全体を統轄制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。
【0017】
以下では、現金自動取引装置1のうち利用者が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、該前側に対峙した利用者から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
【0018】
[1−2.紙幣入出金機の内部構成]
紙幣入出金機10は、図2に示すように、箱状の入出金機筐体11を中心に構成されており、紙幣制御部12が各部(入出金部16、搬送部24、鑑別部18、一時保留部20、紙幣収納庫26、リジェクト庫28及び取忘れ庫22)を統轄制御する。
【0019】
紙幣制御部12は、図示しないCPUを中心に構成されており、ROM、RAM、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部14(図1)から所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部を制御して入金取引や出金取引等の種々の処理を行う。記憶部14は、鑑別部18が紙幣を鑑別した鑑別結果及び紙幣の記番号の識別結果等を取引情報と合わせて記憶する。
【0020】
紙幣入出金機10の内部には、上側に入出金部16、紙幣の金種や真偽を判定する鑑別部18及び入金紙幣等を一時的に保留する一時保留部20等が設けられている。
【0021】
入出金部16は、顧客から投入された紙幣を1枚ずつ分離し搬送部24へ繰り出す。また入出金部16は、搬送部24へ繰り出す紙幣と、入金リジェクト紙幣として入出金部16へ戻された紙幣とを分別して保持する。
【0022】
搬送部24は、図示しないローラやベルト等により、図中太線で示す搬送路に沿って長方形の紙幣を短手方向に搬送する。搬送部24は、鑑別部18を前後方向に挿通させるように紙幣を搬送し、該鑑別部18の後側と一時保留部20及び入出金部16とをそれぞれ接続している。また搬送部24は、鑑別部18の前側と入出金部16、紙幣収納庫26、リジェクト庫28及び取忘れ庫22とを接続している。搬送部24の分岐点には、セレクタ(図示せず)が設けられており、紙幣制御部12の制御に基づき回動することにより、紙幣の搬送先を切り替える。
【0023】
鑑別部18は、その内部で紙幣を搬送しながら、光学素子や磁気検出素子等を用いて該紙幣の金種及び真偽、並びに損傷の程度等(正損)を鑑別し、その鑑別結果を紙幣制御部12へ通知する。また鑑別部18は、撮像した紙幣の画像データから、紙幣毎に付与されその紙幣の一面に予め印刷された英数字等で構成された紙幣識別情報である記番号を読み取り識別する。このとき鑑別部18は、識別した字を識別結果として紙幣制御部12へ通知する。これに応じて紙幣制御部12は、取得した鑑別結果及び識別結果に基づいて紙幣の搬送先を決定する。
【0024】
一時保留部20は、入金時に顧客が入出金部16へ投入した紙幣を一時的に保留し、鑑別部18で入金可能と鑑別された入金可能紙幣を入金が確定するまで一時的に保留する。一方、入金不可と鑑別された入金リジェクト紙幣は入出金部16へ排出される。また一時保留部20は、出金時において鑑別部18で出金不可能と鑑別された出金不可紙幣を、出金可能な紙幣が出金されるまで一時的に保留し、その後該出金不可紙幣をリジェクト庫28へ排出する。
【0025】
また紙幣入出金機10の内部には、下側に金種別の紙幣収納庫26と、鑑別部18において破損した紙幣(いわゆる損券)と鑑別された紙幣、偽造券と判別された紙幣及び5千券や2千券等の還流されない金種の紙幣を格納するリジェクト庫28と、取引時に顧客が入出金部16から取り忘れた紙幣を回収して格納する取忘れ庫22とが設けられている。紙幣収納庫26は、収納繰出機構により、搬送部24から搬送されてきた紙幣を取り込んで収納すると共に、収納されている紙幣を排出して搬送部24へ供給する。
【0026】
かかる構成において現金自動取引装置1は、鑑別部18による紙幣の鑑別結果及び識別結果等をもとに主制御部9及び紙幣制御部12が各部を制御して、紙幣の入金処理及び出金処理等を行う。
【0027】
[1−3.カード情報読取部の構成]
図3乃至図6に示すように、現金自動取引装置1の顧客応対部3には、顧客に挿入されたカードCDを搬送し該カードCDの磁気ストライプMSに格納された情報の読取、上書及び消去等を行うカード情報読取部32が設けられている。
【0028】
カード情報読取部32は、フロントパネル30においてカード入出口4を有している。このカード入出口4は、フロントパネル30の前面と後面とを貫通するよう該フロントパネル30の板厚方向に穿設されたスロット状の孔部である。またカード入出口4には、上側の内壁面において水平方向に沿う平面状の入出口上側内壁面4Uが、下側の内壁面において後方に向かうに連れて下方へ傾斜する平面状の入出口下側内壁面4Dがそれぞれ形成されている。カード入出口4は、短手方向を左右方向に沿わせた状態で前後方向である媒体挿脱方向としてのカード挿脱方向DCioの一方向であるカード挿入方向DCiに沿ってカードCDを挿入すると共に、カード挿脱方向DCioの他方向であるカード排出方向DCoに沿ってカードCDを排出する。すなわちカード入出口4は、短手方向を左右方向に沿わせた状態で、カード挿脱方向DCioに沿ってカードCDを挿入及び排出する。
【0029】
カード入出口4の後側、すなわちカード挿入方向DCi側には、カードリーダ34が設けられている。このカードリーダ34は、箱型のカードリーダ筐体36を有している。
【0030】
カードリーダ筐体36内においてカード入出口4と対向する前側には、媒体受渡部としてのカード受渡部40が設けられている。カード受渡部40は、受渡基部41と、該受渡基部41の前側に設けられた受渡先端部42とにより構成されている。受渡先端部42は、カードCDの短手方向の長さよりも僅かに長い幅だけ前面が左右方向に沿って開口すると共に該カードCDの厚さよりも僅かに長い高さだけ前面が上下方向に沿って開口するスリット状の開口部であるカード挿脱口43が形成されることにより、カード入出口4をカードCDが通過する際に該カードCDの移動をガイドする。またカード受渡部40は、主制御部9に制御される受渡部駆動モータ(図示せず)により、受渡先端部42の上面と下面とがカード入出口4のそれぞれ入出口上側内壁面4Uと入出口下側内壁面4Dとに隙間なく当接し利用者との間でカードCDを受け渡す状態であるカード受渡状態(図5)と、カード入出口4よりも後方であるカードリーダ筐体36内部に退避する状態である受渡部退避状態(図3及び図4)とに、前後方向に沿って往復移動する。すなわちカード受渡部40は、カード入出口4の後方において該カード入出口4に対し離接する方向へ移動する。
【0031】
カードリーダ筐体36の内部には、前側に上下一対の受渡搬送ローラ38が、後側に上下一対の搬送ローラ39がそれぞれ設けられている。受渡搬送ローラ38及び搬送ローラ39は、カードCDのカード挿脱方向DCioに直交する搬送幅方向(左右方向)にカードCDの短手方向の長さよりも短い間隔を開けて左右に並び2組ずつ設けられている。また受渡搬送ローラ38及び搬送ローラ39は、上下一対のローラの接触箇所が、カード挿脱口43の後方の延長線上に位置している。この受渡搬送ローラ38及び搬送ローラ39は、側面視で時計回り及び反時計回りに回転可能に設けられており、引込回転方向に回転することにより、カード挿脱口43から挿入されたカードCDをカード挿入方向DCiに沿って磁気ストライプMSが磁気ヘッド44の上方を通過するよう搬送すると共に、繰出回転方向に回転することにより、カードCDをカード排出方向DCoに沿って搬送しカード挿脱口43から排出する。
【0032】
カードリーダ筐体36内部には、磁気ストライプMSからカード情報を読み出す磁気ヘッド44が、カードCDの磁気ストライプMSと対向するように固定されている。カードリーダ34は、長手方向をカード挿入方向DCiに沿わせた状態でカードCDを搬送し、磁気ストライプMSに磁気ヘッド44の上側を通過させることにより、カードCDのカード情報を読み取るカード情報読取動作を行う。またカード情報読取部32は、カード受渡部40からカードCDが挿入されたか、又は該カード受渡部40からカードCDが取り出されたかを検出するカード検出センサ(図示せず)が設けられており、カードCDの検出結果を主制御部9へ送出する。
【0033】
カード情報読取部32には、上下左右方向に延びる平板状の板状部材であるシャッタ46が設けられている。シャッタ46は、前面において上下方向に沿う平面状のシャッタ前面46Fが、上面において入出口上側内壁面4Uと平行に水平方向に沿う平面状のシャッタ上面46Uが、下面において入出口下側内壁面4Dと平行に後方に向かうに連れて下方へ傾斜する平面状のシャッタ下面46Dが形成されており、フロントパネル30の板厚とほぼ同様の厚さを有し、カード入出口4に嵌まり込む大きさに形成されている。またシャッタ46は、主制御部9に制御されるシャッタ駆動モータ(図示せず)により、利用者との間で取引を行わないアイドル状態の際にカード入出口4に嵌まり込み該カード入出口4を閉鎖する状態である入出口閉鎖状態(図3)と、利用者との間で取引を行う取引状態の際にフロントパネル30の後方におけるカード入出口4の下方に位置し該カード入出口4を開放する状態である入出口開放状態(図4図5及び図6)とに、ほぼ前後方向に沿って往復移動する。
【0034】
入出口閉鎖状態においてシャッタ46は、それぞれシャッタ上面46Uが入出口上側内壁面4Uに、シャッタ下面46Dが入出口下側内壁面4Dに隙間なく当接し、さらにシャッタ前面46Fがフロントパネル30の前面と段差なく面一となっている。
【0035】
かかる構成において現金自動取引装置1は、アイドル状態から取引状態に移行し、カードCDからのカード情報の読み取りが必要と判断した場合、磁気ストライプMSがカードCDの下面側に位置する状態でカードCDをカード入出口4に入れるよう利用者に促す案内を操作表示部6に表示する。続いてカード情報読取部32は、シャッタ46を下後方であるシャッタ開放方向へスライド移動させ入出口閉鎖状態(図3)から入出口開放状態(図4)へ移行させることによりカード入出口4を開放すると共に、カード受渡部40を前方へ移動させることにより受渡部退避状態(図4)からカード受渡状態(図5)へ移行させ、カードCDの挿入を待ち受ける。利用者は、カードCDをカード挿入方向DCiに沿ってカード受渡部40に挿入する。
【0036】
カード情報読取部32は、受渡搬送ローラ38でカードCDの後端を把持すると、受渡搬送ローラ38及び搬送ローラ39を引込回転方向に回転させることにより、カード挿入方向DCiに沿ってカード受渡部40を通過させて該カードCDを引き込むよう搬送する。カードCD全体がカード受渡部40よりも後方に位置すると、カード情報読取部32は、カード受渡部40を後方へ移動させることによりカード受渡状態から受渡部退避状態へ移行させると共に、シャッタ46を上前方であるシャッタ閉鎖方向へスライド移動させ入出口開放状態から入出口閉鎖状態へ移行させることによりカード入出口4を閉鎖する。続いてカード情報読取部32は、カードCDをカード挿入方向DCiに沿って搬送し、カード情報読取動作を行う。
【0037】
続いてカード情報読取部32は、シャッタ46をシャッタ開放方向へスライド移動させ入出口閉鎖状態から入出口開放状態へ移行させることによりカード入出口4を開放すると共に、カード受渡部40を前方へ移動させることにより受渡部退避状態からカード受渡状態へ移行させることにより、カードCDを排出可能な状態とする。続いてカード情報読取部32は、受渡搬送ローラ38及び搬送ローラ39を繰出回転方向に回転させることにより、カード排出方向DCoに沿ってカード受渡部40を通過させて該カードCDを排出するよう搬送する。カードCDのほぼ全体がカード受渡部40よりも前方に繰り出されカード取出待ち状態になった際、現金自動取引装置1は、カード受渡部40からカードCDを取り出すよう利用者に促す案内を操作表示部6に表示する。利用者は、カードCDの前端を摘み、カード受渡部40からカードCDをカード排出方向DCoに沿って移動させ、該カードCDを取り出す。
【0038】
利用者によりカードCDが取り出されると、カード情報読取部32は、カード受渡部40を後方へ移動させることによりカード受渡状態から受渡部退避状態へ移行させると共に、シャッタ46をシャッタ閉鎖方向へスライド移動させ入出口開放状態から入出口閉鎖状態へ移行させることによりカード入出口4を閉鎖し、取引状態からアイドル状態に移行する。
【0039】
[1−4.効果等]
以上の構成においてカード情報読取部32は、入出口閉鎖状態においてそれぞれシャッタ上面46Uを入出口上側内壁面4Uに、シャッタ下面46Dを入出口下側内壁面4Dに隙間なく当接させると共に、シャッタ前面46Fをフロントパネル30の前面と段差なく面一とするようにした。これによりカード情報読取部32は、アイドル状態の際に入出口上側内壁面4U及び入出口下側内壁面4Dを外部に露出しないようにできるため、該入出口上側内壁面4U及び該入出口下側内壁面4Dにスキミングデバイスを装着されないようにできる。
【0040】
またカード情報読取部32は、仮に入出口上側内壁面4U又は入出口下側内壁面4Dにスキミングデバイスを装着された場合、シャッタ46がカード入出口4に嵌まり込まなくなり、カード入出口4が閉鎖されなくなる。このためカード情報読取部32は、図示しない光学式のシャッタ検出センサでシャッタ46の位置を検出し、入出口閉鎖状態となるべき状態においてカード入出口4が閉鎖しなかった場合、スキミングデバイスが装着されたと判断することができる。
【0041】
またカード情報読取部32は、アイドル状態においてシャッタ前面46Fをフロントパネル30の前面と面一とするようにした。このためカード情報読取部32は、仮にカード入出口4周辺のフロントパネル30にスキミングデバイスが取り付けられた場合、該スキミングデバイスだけがフロントパネル30から前方に突出するため利用者に該スキミングデバイスを発見させやすくできる。
【0042】
またカード情報読取部32は、アイドル状態においては受渡部退避状態とし、取引状態のときのみカード受渡状態とするようにした。これによりカード情報読取部32は、カード受渡部がフロントパネル30の前方に固定されている場合と比べて、アイドル状態においてカード受渡部を外部に露出しないようにできるため、該カード受渡部40にスキミングデバイスを装着されないようにできる。
【0043】
さらにカード情報読取部32は、入出口開放状態且つカード受渡状態においてそれぞれ受渡先端部42の上面を入出口上側内壁面4Uに、受渡先端部42の下面を入出口下側内壁面4Dに隙間なく当接させるようにした。これによりカード情報読取部32は、カード情報読取動作時に入出口上側内壁面4U及び入出口下側内壁面4Dを外部に露出しないようにできるため、該入出口上側内壁面4U及び該入出口下側内壁面4Dにスキミングデバイスを装着されないようにできる。
【0044】
またカード情報読取部32は、カード情報読取動作中は入出口閉鎖状態且つ受渡部退避状態とするようにした。これによりカード情報読取部32は、カード情報読取動作中にカード入出口4及びカード受渡部40の内側にスキミングデバイスを装着されることを防ぐことができる。
【0045】
またカード情報読取部32は、入出口開放状態においてシャッタ46をフロントパネル30の奥側(後側)に位置させるようにした。これによりカード情報読取部32は、入出口開放状態においてシャッタ46をフロントパネル30の手前側(前側)に位置させる場合と比べて、利用者に対しシャッタ46にアクセスし難くすることができ、該シャッタ46にスキミングデバイスを取り付けられ難くすることができる。
【0046】
このようにカード情報読取部32は、カード入出口4の周辺、カード受渡部40の周辺、フロントパネル30及びシャッタ46等、該カード情報読取部32におけるいかなる場所にもスキミングデバイスを実装するスペースを無くし、スキミング被害を防止することができる。
【0047】
またカード情報読取部32は、シャッタ46をカード入出口4からフロントパネル30の後方へ移動させつつ下側へスライド移動させ入出口閉鎖状態から入出口開放状態へ移行させるようにした。これによりカード情報読取部32は、カード入出口4からシャッタ46をフロントパネル30の前方へ移動させつつ下側へスライド移動させる場合と比べて、利用者の手に該シャッタ46が接触してしまうことを防止できる。
【0048】
以上の構成によれば現金自動取引装置1は、アイドル状態においてそれぞれシャッタ上面46Uを入出口上側内壁面4Uに、シャッタ下面46Dを入出口下側内壁面4Dに隙間なく当接させると共に、シャッタ前面46Fをフロントパネル30の前面と段差なく面一とし、取引状態においてシャッタ46を移動させてカード入出口4を開放し、カード入出口4よりも奥側に退避した状態のカード受渡部40を該カード入出口4に隙間なく嵌まり込むよう手前側に移動させ、該カード受渡部40を介しカードCDを挿脱するようにした。これにより現金自動取引装置1は、カード入出口4、カード受渡部40、フロントパネル30及びシャッタ46にスキミングデバイスを装着され難くすることができる。
【0049】
[2.第2の実施の形態]
[2−1.現金自動取引装置の構成]
図1及び図2に示すように、第2の実施の形態による現金自動取引装置101は、第1の実施の形態による現金自動取引装置1と比べて、カード情報読取部132がカード情報読取部32と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
【0050】
[2−2.カード情報読取部の構成]
図3と対応する図7と、図5と対応する図8とに示すように、カード情報読取部132は、カード入出口104が、カード入出口4よりも上下方向の開口幅が狭く形成されている。このカード入出口104は、カードCDの短手方向の長さよりも僅かに長い幅だけ左右方向に沿って開口すると共に該カードCDの厚さよりも僅かに長い高さだけ上下方向に沿って開口するスリット状の孔部である。
【0051】
カードリーダ134のカードリーダ筐体36の前側においてカード入出口104と対向する箇所には、カード受渡部140が固定されている。カード受渡部140は、カード入出口104と同じ大きさで開口するスリット状の開口部であるカード挿脱口143が形成されることにより、カード入出口104とカードリーダ筐体36との間をカードCDが通過する際に該カードCDの移動をガイドする。
【0052】
フロントパネル30におけるカード入出口104の下側には、側面視台形状のステージ50が固定されている。ステージ50は、水平方向に沿う平面状に形成された上面であるステージ上面50Uが、入出口下側内壁面104Dと面一となっている。ステージ50は、ステージ上面50Uにより、カード入出口104にカードCDが挿入される際に該カードCDの移動をガイドする。図9に示すように、ステージ50のステージ上面50Uにおいて、カードCDが通過する際に該カードCDの磁気ストライプMSと対向する箇所には、平面状の平面部50Ufから下方に向かって正面視で四角形状に切り欠かれた凹部50Ucが形成されている。
【0053】
カード情報読取部132には、湾曲形状の板状部材でありカード入出口104を覆うシャッタ146が設けられている。シャッタ146は、カード入出口104の上方においてフロントパネル30に穿設された孔部を介し、フロントパネル30の後方から前方に向かってその一部分を突出させており、回動して移動可能に構成されている。またシャッタ146は、主制御部9に制御されるシャッタ駆動モータ(図示せず)により、アイドル状態の際に下端面である開閉部下面としてのシャッタ下面146Dがステージ上面50Uに当接しカード入出口104を閉鎖する状態である入出口閉鎖状態(図7)と、アイドル状態の際にシャッタ下面146Dがステージ上面50Uよりも上方へ離隔しカード入出口104を開放する状態である入出口開放状態(図8)とに、湾曲面が湾曲する方向に沿って回動するよう往復移動する。
【0054】
シャッタ146の上端には、板状の検出部52が設けられている。また図9に示すように、シャッタ下面146Dにおいて、カードCDが通過する際に該カードCDの磁気ストライプMSの裏面と対向する箇所、すなわちステージ50の凹部50Ucと対向する箇所には、凹部50Ucの切り欠き形状と同様の形状且つほぼ同様の大きさで、平面状の平面部146Dfから下方に向かって正面視で四角形状に突出する凸部146Dvが形成されている。
【0055】
入出口閉鎖状態(図7及び図9)においては、シャッタ146の凸部146Dvがステージ50の凹部50Ucに隙間なく嵌まり込むと共に、シャッタ146の前面であるシャッタ前面146Fの下端部がステージ50の前面であるステージ前面50Fの上端部と面一になっている。このシャッタ146の凸部146Dvとステージ50の凹部50Ucとにより、シャッタ下面146Dとステージ上面50Uとの接触面において、左端から右端に亘って左右方向に沿って直線状ではなくなる噛合部55が形成されている。すなわち噛合部55は、通過するカードCDが延びる面方向である水平方向と平行でない方向に延びる面を形成している。
【0056】
シャッタ146の検出部52の移動経路上には、該シャッタ146の開閉状態を検出する光学式のシャッタ検出センサ54が設けられており、シャッタ146の検出結果を主制御部9へ送出する。入出口閉鎖状態(図7)においては、シャッタ146の検出部52がシャッタ検出センサ54の光軸を遮るため、該シャッタ検出センサ54は、オン状態を主制御部9へ送出する。一方入出口開放状態(図8)においては、シャッタ146の検出部52がシャッタ検出センサ54の光軸を遮らないため、該シャッタ検出センサ54は、オフ状態を主制御部9へ送出する。
【0057】
かかる構成において現金自動取引装置101は、アイドル状態において入出口閉鎖状態となり、シャッタ検出センサ54がオン状態を検出する。また現金自動取引装置101は、アイドル状態から取引状態に移行し、カードCDからのカード情報の読み取りが必要と判断した場合、カードCDをカード入出口104に入れるよう利用者に促す案内を操作表示部6に表示する。続いてカード情報読取部132は、シャッタ46を後方であるシャッタ開放方向へ回動させ入出口閉鎖状態(図7)から入出口開放状態(図8)へ移行させることによりカード入出口104を開放し、カードCDの挿入を待ち受ける。この入出口開放状態においてシャッタ検知センサは、オフ状態を検出する。利用者は、カードCDをカード挿入方向DCiに沿ってカード受渡部140に挿入する。
【0058】
カード情報読取部132は、受渡搬送ローラ38でカードCDの後端を把持すると、受渡搬送ローラ38及び搬送ローラ39を引込回転方向に回転させることにより、カード挿入方向DCiに沿ってカード受渡部140を通過させて該カードCDを引き込むよう搬送する。カードCD全体がカード受渡部140よりも後方に位置すると、カード情報読取部132は、シャッタ146を前方であるシャッタ閉鎖方向へ回動させ入出口開放状態から入出口閉鎖状態へ移行させることによりカード入出口104を閉鎖する。続いてカード情報読取部132は、カードCDをカード挿入方向DCiに沿って搬送し、カード情報読取動作を行う。
【0059】
続いてカード情報読取部132は、シャッタ146をシャッタ開放方向へ回動させ入出口閉鎖状態から入出口開放状態へ移行させることによりカード入出口104を開放することにより、カードCDを排出可能な状態とする。続いてカード情報読取部132は、受渡搬送ローラ38及び搬送ローラ39を繰出回転方向に回転させることにより、カード排出方向DCoに沿ってカード受渡部140を通過させて該カードCDを排出するよう搬送する。カードCDのほぼ全体がカード受渡部140よりも前方に繰り出されカード取出待ち状態になった際、現金自動取引装置101は、カード受渡部140からカードCDを取り出すよう利用者に促す案内を操作表示部6に表示する。利用者は、カードCDの前端を摘み、カード受渡部140からカードCDを取り出す。
【0060】
利用者によりカードCDが取り出されると、カード情報読取部132は、シャッタ46をシャッタ閉鎖方向へ回動させ入出口開放状態(図8)から入出口閉鎖状態(図7)へ移行させることによりカード入出口104を閉鎖し、取引状態からアイドル状態に移行する。
【0061】
[2−3.効果等]
以上の構成においてカード情報読取部132は、入出口閉鎖状態においてシャッタ下面146Dをステージ上面50Uに隙間なく当接させるようにした。これによりカード情報読取部132は、アイドル状態においてステージ上面50U及びカード入出口104を外部に露出しないようにできるため、ステージ上面50U、入出口上側内壁面104U及び入出口下側内壁面104Dにスキミングデバイスを装着されないようにできる。
【0062】
また仮に、取引状態において露出しているステージ上面50Uやカード入出口104周辺にスキミングデバイスが装着された場合、入出口開放状態から入出口閉鎖状態へ移行しようとしても、該スキミングデバイスがシャッタ146に干渉するため、該シャッタ146のシャッタ下面146Dがステージ50のステージ上面50Uに当接しなくなる。このためカード情報読取部132は、入出口閉鎖状態へ移行しているにも拘らずシャッタ検出センサ54でオフ状態を検出し続けた場合、エラーとして判断することにより、スキミングデバイスが装着されたことを発見できる。
【0063】
また仮に、スキミングデバイスが取り付けられた不正なカード挿脱ガイドが、アイドル状態においてシャッタ146やステージ50を覆うように装着された場合、入出口閉鎖状態から入出口開放状態へ移行しようとしても、該カード挿脱ガイドがシャッタ146に干渉するため、該シャッタ146がシャッタ開放方向へ回動できなくなる。このためカード情報読取部132は、入出口開放状態へ移行しているにも拘らずシャッタ検出センサ54でオン状態を検出し続けた場合、エラーとして判断することにより、不正なカード挿脱ガイドが装着されたことを発見できる。
【0064】
ここで仮に、シャッタ下面146Dとステージ上面50Uとが全体に亘って平面形状で構成されており、上下方向に薄いスキミングデバイスがステージ上面50Uに装着された場合、シャッタ146とステージ50との製造精度によっては、シャッタ下面146Dがステージ上面50Uにほぼ当接するまでシャッタ146が回動してしまう可能性がある。この場合カード情報読取部132は、シャッタ検出センサ54でオン状態を検出し、入出口閉鎖状態へ移行したと判定してしまい、スキミングデバイスが装着されたことを発見できなくなってしまう。
【0065】
これに対しカード情報読取部132は、入出口閉鎖状態において、カードCDの磁気ストライプMSに対応した位置に配されるシャッタ146の凸部146Dvがステージ50の凹部50Ucに隙間なく嵌まり込むようにした。このため、シャッタ下面146Dとステージ上面50Uとの接触面は、左右方向に沿って直線状ではなくなる。このため上下方向に薄いスキミングデバイスがステージ上面50Uに装着された場合、シャッタ146の凸部146Dvが該スキミングデバイスに当接することとなり、シャッタ下面146Dにおける平面部146Dfが、ステージ上面50Uに対し大きく隙間を空けて位置することとなる。これによりカード情報読取部132は、シャッタ検出センサ54でオフ状態を検出することができ、スキミングデバイスがステージ上面50Uに装着されたことを確実に発見できる。またカード情報読取部132は、ステージ上面50Uにスキミングデバイスが取り付けられた場合、シャッタ下面146Dとステージ上面50Uとの間に隙間が形成されるため、利用者に違和感を与え、該利用者に該スキミングデバイスを発見させやすくできる。
【0066】
さらにカード情報読取部132は、ステージ上面50Uの大部分を平面形状の平面部50Ufとし、一部分に凹部50Ucを形成するようにした。このためカード情報読取部132は、仮に凹部50Ucに代えてステージ上面50Uに凸部を形成する場合と比較して、ステージ上面50Uの大部分を占める平面形状の平面部50Ufにより、カードCDがステージ上面50Uに引っ掛かることを防ぎ、カードCDの移動をスムーズにガイドすることができる。
【0067】
またカード情報読取部132は、アイドル状態においてシャッタ前面146Fをステージ前面50Fと面一とするようにした。これによりカード情報読取部132は、アイドル状態の際にステージ上面50Uにスキミングデバイスを装着されないようにできると共に、仮にステージ前面50F周辺にスキミングデバイスが取り付けられた場合、該スキミングデバイスだけがステージ前面50F及びシャッタ前面146Fから前方に突出するため利用者に該スキミングデバイスを発見させやすくできる。
【0068】
このようにカード情報読取部132は、カード入出口104の周辺、フロントパネル30、ステージ50の周辺及びシャッタ146等、該カード情報読取部132におけるいかなる場所にもスキミングデバイスを実装するスペースを無くし、スキミング被害を防止することができる。
【0069】
以上の構成によれば現金自動取引装置101は、アイドル状態においてそれぞれシャッタ下面146Dをステージ上面50Uに隙間なく当接させると共に、シャッタ前面146Fをステージ前面50Fと段差なく面一とし、取引状態においてシャッタ146を回動させてカード入出口104を開放するようにした。また現金自動取引装置101は、シャッタ下面146Dとステージ上面50Uとの接触面において噛合部55を形成するようにした。これにより現金自動取引装置101は、カード入出口104、フロントパネル30、ステージ50及びシャッタ146にスキミングデバイスを装着され難くすることができる。
【0070】
その他第2の実施の形態によるカード情報読取部132は、第1の実施の形態によるカード情報読取部32とほぼ同様の作用効果を奏する。
【0071】
[3.第3の実施の形態]
[3−1.現金自動取引装置の構成]
図1及び図2に示すように、第3の実施の形態による現金自動取引装置201は、第2の実施の形態による現金自動取引装置101と比べて、カード情報読取部232がカード情報読取部132と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
【0072】
[3−2.カード情報読取部の構成]
図8と対応する図10と、図11とに示すように、カード情報読取部232は、カード入出口204が、カード入出口104よりも上下方向の開口幅が広く形成されている。このカード入出口204は、カードCDの短手方向の長さよりも長い内径で円形状に開口している。
【0073】
カード情報読取部232には、円板状部材でありカード入出口204を覆うシャッタ246が設けられている。シャッタ246は、シャッタ前側部66F、シャッタ中央部66C及びシャッタ後側部66Bにより構成されている。シャッタ前側部66Fは、シャッタ246の前部においてカード入出口204の内径よりも大きい外径を有する円柱形状であり、後面がフロントパネル30の前面と僅かな隙間を空けている。シャッタ後側部66Bは、シャッタ246の後部においてカード入出口204の内径よりも大きい外径を有する円柱形状であり、前面がフロントパネル30の後面と僅かな隙間を空けている。またシャッタ後側部66Bは、歯車状であり、外周面(周側面)において円周方向(回転方向)に沿って所定ピッチで歯部66Gが形成されている。シャッタ中央部66Cは、シャッタ前側部66Fとシャッタ後側部66Bとの間においてカード入出口204の内径よりも小さい外径を有する円柱形状であり、外周面がカード入出口204と僅かな隙間を空けている。
【0074】
シャッタ246の正面視中央部には、カードリーダ134のカード受渡部140のカード挿脱口143と同じ大きさで開口するスリット状の開口部である開閉部貫通孔としてのシャッタ貫通孔66Hが、シャッタ前側部66Fの前面であるシャッタ前面246Fからシャッタ後側部66Bの後面であるシャッタ後面246Bまでを貫通するよう穿設されている。またシャッタ前面246Fは、細かい凹凸面となっていることにより、該シャッタ前面246Fにスキミングデバイスを装着され難くなっている。シャッタ246のシャッタ後側部66Bの周側面からは、板状の検出部252が放射状に突出している。
【0075】
このシャッタ246は、主制御部9に制御されるモータ及び該モータの出力軸に固定された歯車であるシャッタ駆動部260と、歯部66Gとが噛合しており、円板形状の中心を軸としてカード挿脱口143を開放する回転方向であるシャッタ開放方向と、カード挿脱口143を閉鎖する回転方向であるシャッタ閉鎖方向とに回転可能に構成されている。すなわちシャッタ246は、アイドル状態の際にシャッタ貫通孔66Hにおける正面視の長手方向がカード挿脱口143における正面視の長手方向に直交し該カード挿脱口143を閉鎖する状態である入出口閉鎖状態(図11中実線で示す)と、取引状態の際にシャッタ貫通孔66Hにおける正面視の長手方向がカード挿脱口143における正面視の長手方向と平行になりカード挿脱口143を開放する状態である入出口開放状態(図11中一点鎖線で示す)とに90度回動する。この入出口開放状態においては、シャッタ貫通孔66Hがカード挿脱口143の正面に位置することによりシャッタ前面246Fからカード挿脱口143までが挿通され、シャッタ貫通孔66Hを介しカードCDが挿脱可能な状態となる。
【0076】
シャッタ246の検出部252の移動経路上であり該シャッタ246のシャッタ後側部66Bの下方には、シャッタ246の開閉状態を検出する光学式のシャッタ検出センサ254が設けられており、シャッタ246の検出結果を主制御部9へ送出する。入出口閉鎖状態においては、シャッタ246の検出部252がシャッタ検出センサ254の光軸を遮るため、該シャッタ検出センサ254は、オン状態を主制御部9へ送出する。一方入出口開放状態においては、シャッタ246の検出部52がシャッタ検出センサ254の光軸を遮らないため、該シャッタ検出センサ254は、オフ状態を主制御部9へ送出する。
【0077】
[3−3.効果等]
以上の構成においてカード情報読取部232は、入出口閉鎖状態においてシャッタ貫通孔66Hをカード挿脱口143に直交させることにより、該シャッタ貫通孔66Hの全体と該カード挿脱口143の全体とを連通させないようにし、シャッタ246でカード挿脱口143を閉鎖するようにした。これによりカード情報読取部232は、アイドル状態においてカード挿脱口143を外部に露出しないようにできるため、カード挿脱口143周辺にスキミングデバイスを装着されないようにできる。一方カード情報読取部232は、入出口開放状態においてシャッタ貫通孔66Hをカード挿脱口143と平行にすることにより、該シャッタ貫通孔66Hの全体と該カード挿脱口143の全体とを連通させ、カード挿脱口143を開放するようにした。これによりカード情報読取部232は、取引状態の際にカード挿脱口143を外部に露出させることができるため、カードCDをカードリーダ134に対し挿脱することができる。
【0078】
またカード情報読取部232は、カード挿脱口143の前方の近傍でシャッタ246を回転移動させるようにした。これによりカード情報読取部232は、仮にカード挿脱口143周辺にスキミングデバイスを装着された場合、該スキミングデバイスがシャッタ246に干渉するため、シャッタ246がシャッタ閉鎖方向及びシャッタ開放方向へ回転できなくなる。このためカード情報読取部232は、シャッタ246がシャッタ閉鎖方向又はシャッタ開放方向へ回転しないことをシャッタ検出センサ254で検出した場合、スキミングデバイスが装着されたと判断することができる。
【0079】
以上の構成によれば現金自動取引装置201は、カード挿脱口143の前方でありカード入出口204の内側に回転可能な円板状のシャッタ246を設け、アイドル状態においてシャッタ246のシャッタ貫通孔66Hをカード挿脱口143と直交させ該カード挿脱口143を閉鎖すると共に、取引状態においてシャッタ246のシャッタ貫通孔66Hをカード挿脱口143と平行にして該カード挿脱口143を開放するようにした。これにより現金自動取引装置201は、フロントパネル30、カード受渡部140及びシャッタ246にスキミングデバイスを装着され難くすることができる。
【0080】
その他第3の実施の形態によるカード情報読取部232は、第2の実施の形態によるカード情報読取部132とほぼ同様の作用効果を奏する。
【0081】
[4.第4の実施の形態]
[4−1.現金自動取引装置の構成]
図1及び図2に示すように、第4の実施の形態による現金自動取引装置301は、第2の実施の形態による現金自動取引装置101と比べて、カード情報読取部332がカード情報読取部132と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
【0082】
[4−2.カード情報読取部の構成]
図12及び図13に示すように、カード情報読取部332は、平板状の板状部材でありカード受渡部140のカード挿脱口143全体を覆うシャッタ346が設けられている。シャッタ346は、いわゆる両開き扉であり、右側に位置するシャッタ346R及び左側に位置するシャッタ346Lにより構成されている。以下ではシャッタ346R及び346Lをまとめてシャッタ346とも呼ぶ。シャッタ346Rは、右端に設けられたシャッタ駆動部60Rを支点としてカード挿脱口143を開放する手間側への回動方向であるシャッタ開放方向と、カード挿脱口143を閉鎖する奥側への回動方向であるシャッタ閉鎖方向とに回動可能に構成されている。またシャッタ346Lは、左端に設けられたシャッタ駆動部60Lを支点としてシャッタ開放方向及びシャッタ閉鎖方向に回動可能に構成されている。以下ではシャッタ駆動部60R及び60Lをまとめてシャッタ駆動部60とも呼ぶ。
【0083】
シャッタ346においてカード挿脱口143と対向する箇所には、カード挿脱口143の開口部の大きさよりも外形が僅かに小さく構成された突起である嵌合突起58が、該カード挿脱口143に向かって突設している。
【0084】
またシャッタ346は、主制御部9に制御されるシャッタ駆動部60により、アイドル状態の際にフロントパネル30と平行になりカード挿脱口143を閉鎖する状態である入出口閉鎖状態(図13中実線で示す)と、取引状態の際にフロントパネル30に直交しカード挿脱口143を開放する状態である入出口開放状態(図12と、図13中一点鎖線で示す)とに回動する。
【0085】
入出口閉鎖状態においては、シャッタ346の嵌合突起58がカード挿脱口143に隙間なく嵌まり込むと共に、シャッタ346の前面であるシャッタ前面346Fがフロントパネル30と面一になっている。
【0086】
カード情報読取部332は、シャッタ346の開閉状態を検出するシャッタ検出センサ(図示せず)が設けられており、シャッタ346の検出結果を主制御部9へ送出する。
【0087】
[4−3.効果等]
以上の構成においてカード情報読取部332は、入出口閉鎖状態において左右両開き扉であるシャッタ346でカード挿脱口143を閉鎖するようにした。これによりカード情報読取部332は、アイドル状態においてカード挿脱口143を外部に露出しないようにできるため、カード挿脱口143周辺にスキミングデバイスを装着されないようにできる。
【0088】
またカード情報読取部332は、入出口閉鎖状態においてシャッタ346の嵌合突起58をカード挿脱口143に嵌め込むようにした。これによりカード情報読取部332は、仮にカード挿脱口143にスキミングデバイスを装着された場合、シャッタ346の嵌合突起58がカード挿脱口143に嵌まり込まなくなる。このためカード情報読取部332は、図示しないシャッタ検出センサでシャッタ346の位置を検出し、入出口閉鎖状態となるべき状態においてシャッタ346が閉鎖しなかった場合、スキミングデバイスが装着されたと判断することができる。
【0089】
また仮に、シャッタ346R及び346Lの両方に亘るようにシャッタ前面346Fにスキミングデバイスが装着された場合、入出口閉鎖状態から入出口開放状態へ移行しようとしても、該スキミングデバイスがシャッタ346に干渉するため、シャッタ346がシャッタ開放方向へ回動できなくなる。このためカード情報読取部332は、入出口開放状態へ移行しようとしているにも拘らずシャッタ346がシャッタ開放方向へ移動しないことを図示しないシャッタ検出センサで検出した場合、スキミングデバイスが装着されたと判断することができる。
【0090】
また仮に、シャッタ346R又は346Lの何れか一方のシャッタ前面346Fにスキミングデバイスが装着された場合、入出口閉鎖状態から入出口開放状態へ移行すると、シャッタ開放方向へのシャッタ346の回動に応じて該スキミングデバイスも該シャッタ346と共に移動しカードCDの移動経路上から外れることとなる。これによりカード情報読取部332は、仮にシャッタ346R又は346Lの一方にスキミングデバイスが装着されたとしても、カードCDからカード情報を不正に取得されないようにできる。
【0091】
以上の構成によれば現金自動取引装置301は、カード挿脱口143の前方に左右両開き扉であるシャッタ346を設け、アイドル状態においてシャッタ346をフロントパネル30と平行にしてカード挿脱口143を閉鎖すると共に、取引状態においてシャッタ346を手前側に回動することによりカード挿脱口143を開放するようにした。これにより現金自動取引装置301は、フロントパネル30、カード受渡部140及びシャッタ346にスキミングデバイスを装着され難くすることができる。
【0092】
その他第4の実施の形態によるカード情報読取部332は、第2の実施の形態によるカード情報読取部132とほぼ同様の作用効果を奏する。
【0093】
[5.第5の実施の形態]
[5−1.現金自動取引装置の構成]
図1及び図2に示すように、第5の実施の形態による現金自動取引装置401は、第4の実施の形態による現金自動取引装置301と比べて、カード情報読取部432がカード情報読取部332と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
【0094】
[5−2.カード情報読取部の構成]
図12と対応する図14と、図13と対応する図15とに示すように、カード情報読取部432は、平板状の板状部材でありカード受渡部140のカード挿脱口143全体を覆うシャッタ446が設けられている。シャッタ446は、いわゆるスライド扉であり、カード挿脱口143を開放する右方向であるシャッタ開放方向と、カード挿脱口143を閉鎖する左方向であるシャッタ閉鎖方向とに往復移動可能に構成されている。
【0095】
またシャッタ446は、該シャッタ446の上端の後方に左右方向に沿って設けられ主制御部9に制御されるシャッタ駆動部460により、アイドル状態の際にカード挿脱口143の前方に位置し該カード挿脱口143を閉鎖する状態である入出口閉鎖状態(図14及び図15中実線で示す)と、取引状態の際にカード挿脱口143の前方且つ右側に位置し該カード挿脱口143を開放する状態である入出口開放状態(図14及び図15中一点鎖線で示す)とに左右方向に沿って往復移動する。
【0096】
シャッタ446及びシャッタ駆動部460には、シャッタ446の開閉状態を検出する光学式のシャッタ検出センサ454が設けられており、シャッタ446の検出結果を主制御部9へ送出する。シャッタ検出センサ454は、発光素子62及び受光素子63により構成されている。発光素子62は、シャッタ446の後面に設けられており、受光素子63に向けて定期的に検出光を照射する。受光素子63は、シャッタ駆動部460の前面における、入出口閉鎖状態において発光素子62と対向する箇所に設けられており、発光素子62が照射した検出光を受光する。これらの発光素子62及び受光素子63は、図示しないケーブルにより主制御部9と接続されている。
【0097】
入出口閉鎖状態においては、発光素子62が照射した検出光を受光素子63が受光するため、シャッタ検出センサ454は、オン状態を主制御部9へ送出する。一方入出口開放状態においては、発光素子62が照射した検出光を受光素子63が受光しないため、シャッタ検出センサ454は、オフ状態を主制御部9へ送出する。
【0098】
[5−3.効果等]
以上の構成においてカード情報読取部432は、入出口閉鎖状態において左右スライド扉であるシャッタ446でカード挿脱口143を閉鎖するようにした。これによりカード情報読取部432は、アイドル状態においてカード挿脱口143を外部に露出しないようにできるため、カード挿脱口143周辺にスキミングデバイスを装着されないようにできる。
【0099】
またカード情報読取部432は、カード挿脱口143の前方の近傍でシャッタ446をスライド移動させるようにした。これによりカード情報読取部432は、仮に取引状態の際にシャッタ446が入出口開放状態で保持されカード挿脱口143周辺にスキミングデバイスを装着された場合、入出口開放状態から入出口閉鎖状態へ移行しようとしても、該スキミングデバイスがシャッタ446に干渉するため、シャッタ446がシャッタ閉鎖方向へ移動できなくなる。このためカード情報読取部432は、入出口閉鎖状態へ移行しようとしているにも拘らずシャッタ446がシャッタ閉鎖方向へ移動しないことをシャッタ検出センサ454で検出した場合、スキミングデバイスが装着されたと判断することができる。
【0100】
またカード情報読取部432は、シャッタ446の開閉状態を検出するシャッタ検出センサ454を設けるようにした。このためカード情報読取部432は、仮に取引状態の際にシャッタ446が入出口開放状態で保持されカード挿脱口143周辺にスキミングデバイスを装着されようとした場合、取引状態においてシャッタ検出センサ454でオフ状態を所定時間以上検出し続けた場合、エラーとして判断することにより、スキミングデバイスが装着されることを防止できる。
【0101】
以上の構成によれば現金自動取引装置401は、カード挿脱口143の前方に左右スライド扉であるシャッタ446を設け、アイドル状態においてシャッタ446をカード挿脱口143の前方に位置させ該カード挿脱口143を閉鎖すると共に、取引状態においてシャッタ446をカード挿脱口143よりも右側にスライドさせることによりカード挿脱口143を開放するようにした。これにより現金自動取引装置401は、フロントパネル30、カード受渡部140及びシャッタ446にスキミングデバイスを装着され難くすることができる。
【0102】
その他第5の実施の形態によるカード情報読取部432は、第4の実施の形態によるカード情報読取部332とほぼ同様の作用効果を奏する。
【0103】
[6.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、カード情報読取動作中は入出口閉鎖状態且つ受渡部退避状態とする場合について述べた。本発明はこれに限らず、カード情報読取動作中は入出口開放状態且つカード受渡状態としても良い。
【0104】
また上述した第1の実施の形態においては、シャッタ46をほぼ上下方向に沿って、カード入出口4と、フロントパネル30の後方における該カード入出口4の下方との間をスライドするよう往復移動させることにより入出口開放状態と入出口閉鎖状態とを遷移する場合について述べた。本発明はこれに限らず、シャッタを左右方向に沿ってスライドするよう往復移動させたり、シャッタをカード入出口4と、フロントパネル30の前方における該カード入出口4の下方との間をスライドして往復移動させたり、シャッタを回転させたりする等、種々の移動方法により入出口開放状態と入出口閉鎖状態とを遷移しても良い。
【0105】
さらに上述した第1の実施の形態においては、入出口閉鎖状態においてシャッタ前面46Fをフロントパネル30の前面と面一にする場合について述べた。本発明はこれに限らず、入出口閉鎖状態においてシャッタ前面46Fをフロントパネル30の前面よりも前方又は後方に位置させても良い。
【0106】
さらに上述した第1の実施の形態においては、アイドル状態においてシャッタ46を静止する場合について述べた。本発明はこれに限らず、アイドル状態において定期的にシャッタ46を僅かに移動させても良く、又はアイドル状態において人が現金自動取引装置1に近づいて来たときのみシャッタ46を僅かに移動させても良い。その場合、シャッタ46にスキミングデバイスを装着させ難くすることができる。第2乃至第5の実施の形態においても同様である。
【0107】
さらに上述した第1の実施の形態においては、シャッタ46の開閉状態を検出する光学式のシャッタ検出センサを設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、磁気式等、種々の方式のセンサによりシャッタ46の開閉状態を検出しても良い。第2乃至第5の実施の形態においても同様である。
【0108】
さらに上述した第2の実施の形態においては、カード情報読取動作中は入出口閉鎖状態とする場合について述べた。本発明はこれに限らず、カード情報読取動作中は入出口開放状態としても良い。第3乃至第5の実施の形態においても同様である。
【0109】
さらに上述した第2の実施の形態においては、シャッタ146の凸部146Dvとステージ50の凹部50Ucとにより噛合部55を形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、シャッタ下面146Dに形成した凹部と、ステージ上面50Uに形成した凸部とにより噛合部を形成しても良い。
【0110】
さらに上述した第2の実施の形態においては、カードCDの磁気ストライプMSが配された箇所に噛合部55を形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、シャッタ下面146Dとステージ上面50Uとにおける任意の箇所に噛合部を形成しても良い。
【0111】
さらに上述した第2の実施の形態においては、正面視で四角形状の凸部146Dv及び凹部50Ucにより噛合部55を形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、正面視で半円形状や三角形状等、種々の形状の凸部及び凹部で噛合部を形成しても良い。要はスキミングデバイスがステージ上面50Uに装着された際に、シャッタ146の平面部146Dfと該ステージ上面50Uとの間に隙間が形成されれば良い。
【0112】
さらに上述した第3の実施の形態においては、入出口開放状態と入出口閉鎖状態との間でシャッタ246を90度回転させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、30度等、種々の回転角度だけ回転させても良い。要は、入出口閉鎖状態においてシャッタ貫通孔66Hの長手方向がカード挿脱口143の長手方向と平行にならず異なる方向に沿うことにより、該カード挿脱口143全体を外部に露出しなければ良い。
【0113】
さらに上述した第3の実施の形態においては、入出口開放状態と入出口閉鎖状態との間でシャッタ246を回転させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、シャッタ246を上下方向や左右方向等にスライド移動させても良い。要は入出口開放状態と入出口閉鎖状態とでシャッタ246のシャッタ貫通孔66Hの上下位置、左右位置や回転位置等が異なっていれば良い。
【0114】
さらに上述した第4の実施の形態においては、左右に両開きする扉であるシャッタ346によりカード挿脱口143を外部に対し開閉する場合について述べた。本発明はこれに限らず、上下に両開きする扉であるシャッタによりカード挿脱口143を外部に対し開閉しても良い。
【0115】
さらに上述した第5の実施の形態においては、左右にスライドするシャッタ446によりカード挿脱口143を外部に対し開閉する場合について述べた。本発明はこれに限らず、上下にスライドするシャッタによりカード挿脱口143を外部に対し開閉しても良い。
【0116】
さらに上述した第5の実施の形態においては、入出口閉鎖状態においてシャッタ446によりカード挿脱口143全体を覆う場合について述べた。本発明はこれに限らず、入出口閉鎖状態においてシャッタ446によりカード挿脱口143の一部のみを覆うようにしても良い。要はカード挿脱口143にスキミングデバイスを装着され難くなれば良い。
【0117】
さらに上述した第5の実施の形態において、発光素子62が照射する照射光の発光パターン(点滅パターン)を制御し、受光素子63で受光した照射光の発光パターンが、予め設定されたものであるか否かを判定しても良い。その場合、偽物の発光素子を装着されたとしても、照射光の発光パターンが予め設定されたものでない場合、偽物の発光素子が装着されたことを発見できるため、実際には入出口開放状態であるにも拘らず入出口閉鎖状態であると判定してしまうことを防止できる。
【0118】
さらに上述した第5の実施の形態において、カード情報読取部332のシャッタ346のようにカード挿脱口143に隙間なく嵌まり込む嵌合突起をシャッタ446に設けても良い。その場合、入出口閉鎖状態から入出口開放状態へ移行する際、シャッタを前方へ移動させて嵌合突起をカード挿脱口143から外してからシャッタ開放方向へ移動すれば良い。
【0119】
さらに上述した第5の実施の形態においては、1枚のシャッタ446によりカード挿脱口143を開閉する場合について述べた。本発明はこれに限らず、右側に位置し左右方向にスライドする右側シャッタと、左側に位置し左右方向にスライドする左側シャッタとの2枚のシャッタにより、カード挿脱口143を開閉しても良い。
【0120】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【0121】
さらに上述した実施の形態においては、顧客との間で媒体としての紙幣に関する取引処理を行う現金自動取引装置1の紙幣入出金機10に本発明を適用する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば各種金券や証券等、或いは入場券や乗車券のような種々の紙葉状の媒体を取り扱う種々の装置に本発明を適用しても良い。
【0122】
さらに上述した実施の形態においては、媒体口としてのカード入出口4と、媒体情報読取部としてのカードリーダ34と、媒体口開閉部としてのシャッタ46とによって、媒体情報読取装置としてのカード情報読取部32を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる媒体口と、媒体情報読取部と、媒体口開閉部によって、媒体情報読取装置を構成するようにしても良い。
【0123】
さらに上述した実施の形態においては、顧客応対部としての顧客応対部3と、媒体口としてのカード入出口4と、媒体情報読取部としてのカードリーダ34と、媒体口開閉部としてのシャッタ46とによって、媒体取引装置としての現金自動取引装置1を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる顧客応対部と、媒体口と、媒体情報読取部と、媒体口開閉部とによって、媒体取引装置を構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明は、顧客との間で紙幣の入出金に関する取引処理を行う現金自動取引装置等でも利用できる。
【符号の説明】
【0125】
1、101、201、301、401……現金自動取引装置、2……筐体、3……顧客応対部、4、104、204……カード入出口、4U、104U……入出口上側内壁面、4D、104D……入出口下側内壁面、5……入出金口、6……操作表示部、7……テンキー、8……レシート発行口、9……主制御部、10……紙幣入出金機、11……入出金機筐体、12……紙幣制御部、14……記憶部、16……入出金部、18……鑑別部、20……一時保留部、22……取忘れ庫、24……搬送部、26……紙幣収納庫、28……リジェクト庫、30……フロントパネル、32、132、232、332、432……カード情報読取部、34、134……カードリーダ、36……カードリーダ筐体、38……受渡搬送ローラ、39……搬送ローラ、40、140……カード受渡部、41……受渡基部、42……受渡先端部、43、143……カード挿脱口、44……磁気ヘッド、46、146、246、346、446……シャッタ、46F、146F、246F、346F……シャッタ前面、46U……シャッタ上面、46D、146D……シャッタ下面、246B……シャッタ後面、146Df……平面部、146Dv……凸部、50……ステージ、50U……ステージ上面、50F……ステージ前面、50Uc……凹部、50Uf……平面部、52、252……検出部、54、254、454……シャッタ検出センサ、55……噛合部、58……嵌合突起、60、260、460……シャッタ駆動部、62……発光素子、63……受光素子、66F……シャッタ前側部、66C……シャッタ中央部、66B……シャッタ後側部、66H……シャッタ貫通孔、66G……歯部、CD……カード、MS……磁気ストライプ、DCio……カード挿脱方向、DCi……カード挿入方向、DCo……カード排出方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15