(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、通常、自動倉庫では、例えば荷物の出庫が続く場合において、出庫ステーションが荷物を出庫させる出庫動作中であると、次の荷物を出庫ステーションへ荷卸できない。このため、搬送台車は、当該次の荷物の搬送に係る動作を開始せずに待機することとなり、その結果、出庫に要する時間が長くなってしまう可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、出庫に要する時間を短縮できる自動倉庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の自動倉庫は、荷物が載置される棚を複数有するラックと、荷物を出庫させる出庫ステーションと、複数の棚から出庫ステーションへ荷物を搬送可能な搬送台車と、少なくとも搬送台車の動作を制御するコントローラと、を備え、コントローラは、出庫ステーションにおける第1の荷物の出庫動作中に、第1の荷物の後に当該出庫ステーションから出庫させる第2の荷物が載置された棚へ向けて、搬送台車を走行させる。
【0007】
この自動倉庫によれば、例えば荷物の出庫が続く場合において、出庫ステーションから第1の荷物が出庫される出庫動作中に、搬送台車は、第2の荷物が載置された棚へ向けて走行する。よって、第1の荷物の出庫動作を行う時間を、第2の荷物が載置された棚へ向けた搬送台車の走行に充てることができ、当該出庫動作中に搬送台車が待機する待機時間を低減することができる。したがって、出庫に要する時間を短縮することが可能となる。
【0008】
本発明の自動倉庫において、自動倉庫は、出庫ステーションへの荷卸が可能か否かを検出する検出装置を備え、コントローラは、第2の荷物を棚から搬送台車に移載する前に、検出装置の検出結果に基づいて出庫ステーションへの荷卸が可能か否かを確認し、出庫ステーションへの荷卸が可能であることが確認された場合に、搬送台車により第2の荷物を出庫ステーションへ搬送させてもよい。この構成によれば、第2の荷物を出庫ステーションへ搬送したものの出庫ステーションへ荷卸できないということを、確実に回避することが可能となる。
【0009】
本発明の自動倉庫において、コントローラは、出庫ステーションへの荷卸が可能であることが確認されない場合に、第2の荷物を棚から搬送台車に移載可能な位置において搬送台車による当該移載を待機させてもよい。この構成によれば、出庫ステーションが未だ荷卸できない状況である場合に、棚から搬送台車へ第2の荷物を移載させずに、第2の荷物が載置された棚の直近にて搬送台車を待機させておき、例えば、その後に出庫ステーションへの荷卸が可能となったときに速やかに、棚から搬送台車へ第2の荷物を移載させることが可能となる。
【0010】
本発明の自動倉庫において、出庫ステーションは、第1の出庫ステーション及び第2の出庫ステーションを有し、コントローラは、第1の出庫ステーションにおける第1の荷物の出庫動作中に、第1の荷物の後に第1の出庫ステーションから出庫させる第2の荷物が載置された棚へ向けて、搬送台車を走行させ、第2の荷物を棚から搬送台車に移載する前に、検出装置の検出結果に基づいて第1の出庫ステーション及び第2の出庫ステーションへの荷卸が可能か否かを確認し、第1の出庫ステーションへの荷卸が可能であることが確認されず、且つ、第2の出庫ステーションへの荷卸が可能であることが確認された場合に、第3の荷物が載置された棚に向けて、搬送台車を走行させ、搬送台車により第3の荷物を第2の出庫ステーションへ搬送させてもよい。この構成によれば、第1の出庫ステーションへ荷卸できない一方で、第2の出庫ステーションへの荷卸は可能である場合、搬送振替え、すなわち、第1の出庫ステーションへの第2の荷物の搬送に代えて、第2の出庫ステーションへの第3の荷物の搬送を実施することが可能となる。よって、出庫が滞ることを抑制し、出庫に要する時間を一層短縮することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、出庫に要する時間を短縮できる自動倉庫を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
図1及び
図2に示されるように、自動倉庫50は、搬入された荷物Lを自動的に格納し、また、格納している荷物Lを自動的に搬出可能な装置である。自動倉庫50は、ラック51、入庫ステーション54、出庫ステーション55、自動倉庫コントローラ11、及びスタッカクレーン1を備えている。
【0015】
ラック51は、荷物Lが載置される棚52を複数有する。棚52は、ラック51に複数段複数列設けられており、各棚52は、一対の支持部材52aを有している。棚52に収納される荷物Lは、パレットPに載置された状態で、一対の支持部材52a上に配置される。ラック51は、スタッカクレーン1が走行する軌道53に沿って、軌道53の左右両側に設置されている。
【0016】
入庫ステーション54は、荷物Lを入庫させる装置である。入庫ステーション54には、ラック51に入庫すべき荷物LがパレットPに載置された状態で配置される。入庫ステーション54は、当該入庫ステーション54へ荷物Lを運び込むためのコンベア56を備えている。出庫ステーション55は、荷物Lを出庫させる装置である。出庫ステーション55には、ラック51から出庫すべき荷物LがパレットPに載置された状態で配置される。出庫ステーション55は、当該出庫ステーション55から荷物Lを払い出すためのコンベア56を備えている。図示する例では、入庫ステーション54及び出庫ステーション55は、それぞれ2箇所設置されており、ラック51の手前側及び奥側(軌道53の一端側及び他端側)において、軌道53を介して互いに対向するように設置されている。なお、以下において、手前側を第1の出庫ステーション55Aとし、奥側を第2の出庫ステーション55Bとする。
【0017】
自動倉庫コントローラ11は、例えばCPU、ROM、RAM等からなる電子制御ユニットを備えている。自動倉庫コントローラ11は、ROMに格納されているプログラムをRAM上にロードしてCPUで実行することによって、各種の機能を実行する。自動倉庫コントローラ11は、自動倉庫50の動作全体を制御する。
【0018】
自動倉庫コントローラ11は、後述のリミットスイッチ58及び光電センサ59からの検知信号に基づいて、第1及び第2の出庫ステーション55A,55Bへの荷卸が可能か否かの確認(以下、単に「荷卸可否確認」という)を行う。自動倉庫コントローラ11は、スタッカクレーン1に対して、荷卸可否確認の結果を出力する。また、自動倉庫コントローラ11は、出庫ステーション55における第1の荷物Lの出庫動作中に、第1の荷物Lの次に当該出庫ステーション55から出庫させる第2の荷物Lの出庫に係る搬送を開始させる搬送開始指示を、スタッカクレーン1に対して出力する。自動倉庫コントローラ11の処理については、詳しくは後述する。
【0019】
なお、自動倉庫コントローラ11では、複数の搬送オーダが予め設定されている。搬送オーダは、例えば、各荷物Lを第1の出庫ステーション55A及び第2の出庫ステーション55Bの何れから出庫させるかについての要求を含んでいる。
【0020】
スタッカクレーン1は、入庫ステーション54からラック51の複数の棚52へ荷物Lを搬送可能、且つ、複数の棚52から出庫ステーション55へ荷物Lを搬送可能な搬送台車である。スタッカクレーン1は、軌道53に沿って走行する走行台車2と、スライドフォーク3を有する昇降台4と、スタッカクレーン1の動作を制御するクレーンコントローラ10と、を備えている。
【0021】
走行台車2には、上下方向に延在するマスト5が前後一対設けられており、各マスト5の上端部は、連結部6を介して互いに連結されている。昇降台4は、一対のマスト5間に配置されており、マスト5に沿って昇降自在となっている。スライドフォーク3は、左右両側のラック51の各棚52に対して進退自在となっている。具体的には、スライドフォーク3は、各棚52の一対の支持部材52a間に進退自在となっている。これにより、スライドフォーク3は、荷物Lが載置されたパレットPをラック51の棚52に対して移載することができる(すなわち、棚52に荷物Lを導入すると共に、棚52から荷物Lを導出することができる)。
【0022】
なお、軌道53は、自動倉庫50の床及び天井に敷設されたガイドレール53a,53bを有している。スタッカクレーン1は、走行台車2がガイドレール53aに案内され且つ連結部6がガイドレール53bに案内されつつ、軌道53に沿って走行する。スタッカクレーン1は、走行台車2を走行させる走行モータ、昇降台4を昇降させる昇降モータ、スライドフォーク3を進退させる進退モータを有している。
【0023】
クレーンコントローラ10は、例えばCPU、ROM、RAM等からなる電子制御ユニットを備えている。クレーンコントローラ10は、自動倉庫コントローラ11からの出力を受けて、その出力の内容に応じた動作を実行するようにスタッカクレーン1の各モータを駆動する。クレーンコントローラ10は、自動倉庫コントローラ11から搬送開始指示が出力された場合、走行モータの駆動を制御し、次の荷物L(第2の荷物L)が載置された棚52へ向けてスタッカクレーン1を走行させる。またこの場合、昇降モータの駆動を制御し、第2の荷物Lをスライドフォーク3で移載可能な位置(つまり、第2の荷物Lの棚52に近接する位置、換言すると、第2の荷物Lが載置された棚52に対向する位置)まで昇降台4を昇降させる。クレーンコントローラ10は、自動倉庫コントローラ11から荷卸可否確認の結果が出力された場合、当該荷卸可否確認の結果に応じて、走行モータ、昇降モータ及び進退モータのうち少なくとも何れかを制御し、「待機」、「第2の荷物Lの搬送」、及び「第2の荷物Lの次の荷物L(第3の荷物L)の搬送」の何れかを実行する。クレーンコントローラ10の処理については、詳しくは後述する。
【0024】
図3に示されるように、出庫ステーション55は、コンベア56と、リフタ57と、リミットスイッチ58と、光電センサ59と、を備えている。コンベア56は、出庫ステーション55に荷卸された荷物Lを払い出す。リフタ57は、コンベア56上において荷物Lを上昇及び下降させる装置である。リフタ57は、コンベア56の下方からコンベア56の上方へ突出可能な複数のアームを有する。リフタ57は、駆動部(不図示)により昇降可能とされている。リフタ57は、上昇時にはアームがコンベア56の上方へ突出する。これにより、リフタ57のアーム上端にスライドフォーク3で荷物Lを載置可能な状態(すなわち、「荷卸可」である状態)となる。一方、リフタ57は、下降時にはアームがコンベア56の上面より低い位置まで没入する。これにより、アーム上端に載置されていた荷物Lは、コンベア56上面に載置された状態となる。
【0025】
リミットスイッチ58及び光電センサ59は、出庫ステーション55への荷卸が可能か否かを検出する検出装置を構成する。リミットスイッチ58は、出庫ステーション55においてリフタ57が上昇しているか否かを検知する。なお、リミットスイッチ58としては、特に限定されず、あらゆるリミットスイッチを適用することができる。光電センサ59は、出庫ステーション55においてコンベア56に荷物Lが載置されているか否かを検知する。光電センサ59は、投光部及び受光部を有する。光電センサ59は、投光部から発せられた光が荷物Lによって遮られ、受光部において当該光を検知できない状態(リフタ57上に荷物Lが載置されている状態)のとき、ONの検知信号を自動倉庫コントローラ11へ出力する。また、光電センサ59は、投光部から発せられた光が荷物Lによって遮られることなく、受光部において当該光を検知できる状態(リフタ57上に荷物Lが載置されていない状態)のとき、OFFの検知信号を自動倉庫コントローラ11へ出力する。なお、光電センサ59としては、特に限定されず、あらゆる光電センサを適用することができる。一例として、光電センサ59は、投光部及び反射部が一体とされ、投光部から発せられた光を受光部へ向けて反射する反射部を更に備える構成であってもよい。
【0026】
例えば、出庫ステーション55から荷物Lが払い出されてリフタ57が上昇位置にある状態(上記「荷卸可」である状態)のとき、リミットスイッチ58及び光電センサ59は、ともにOFFの検知信号を自動倉庫コントローラ11へ出力する。一方、出庫ステーション55に荷物Lが存在するとき、光電センサ59は、投光部から発せられた光が荷物Lによって遮られ、ONの検知信号を自動倉庫コントローラ11へ出力する。リフタ57が下降位置にあるとき、リミットスイッチ58は当該リフタ57で押圧され、ONの検知信号を自動倉庫コントローラ11へ出力する。
【0027】
このような出庫ステーション55では、スタッカクレーン1により、上昇したリフタ57に荷物Lが載置される(すなわち、荷物Lが出庫ステーション55に荷卸される)。また出庫ステーション55は、荷卸された荷物Lを出庫させる出庫動作を行う。具体的には、出庫ステーション55は、荷物Lが載置されたリフタ57を下降させて荷物Lをコンベア56上面に載置する。続いて、コンベア56により荷物Lを下流側へ払い出す。そして、リフタ57を上昇させ、これにより、出庫動作が完了し、出庫ステーション55は「荷卸可」の状態となる。
【0028】
次に、自動倉庫50における出庫時の動作の各例について、
図4〜
図6を用いて詳細に説明する。以下の各例では、自動倉庫50から荷物Lが続けて出庫される場合(出庫のみが行われる場合)を例示する。
【0029】
図4に示される第1例においては、まず、クレーンコントローラ10によりスタッカクレーン1のスライドフォーク3を制御し、第1の出庫ステーション55Aのリフタ57上に第1の荷物Lを移載して荷卸する。その後直ちに、自動倉庫コントローラ11はクレーンコントローラ10に搬送開始指示を出力する。例えば、出庫ステーション55における第1の荷物Lの上記出庫動作を開始する前に、自動倉庫コントローラ11はクレーンコントローラ10に搬送開始指示を出力する。これにより、スタッカクレーン1は、搬送開始指示を受けて、第2の荷物Lが載置された棚52へ向けて走行を開始する。そして、第1の出庫ステーション55Aにおいて、第1の荷物Lの上記出庫動作を開始する。つまり、スタッカクレーン1は、第1の出庫ステーション55Aの第1の荷物Lの出庫動作中に走行する。
【0030】
第2の荷物Lをスライドフォーク3で移載可能な位置にスタッカクレーン1が到着したとき、自動倉庫コントローラ11は、リミットスイッチ58及び光電センサ59からの検知信号に基づいて、第1の出庫ステーション55Aが「荷卸可」の状態であるか否かを確認する荷卸可否確認を行う。換言すると、第2の荷物Lを棚52からスタッカクレーン1に荷積する直前において、自動倉庫コントローラ11は、第1の出庫ステーション55Aの出庫準備が整っているか否か(第1の荷物Lが存在せず且つリフタ57が上昇しているか否か)を確認する。
【0031】
図4中の例では、自動倉庫コントローラ11による確認時に、第1の出庫ステーション55Aが「荷卸可」の状態となっている。よって、自動倉庫コントローラ11は、荷卸可否確認の確認結果が「荷卸可」であると確認でき、その確認結果をクレーンコントローラ10へ出力する。自動倉庫コントローラ11からの当該確認結果の出力に応じて、クレーンコントローラ10は、スタッカクレーン1の動作を制御し、第2の荷物Lの搬送を開始させる。具体的には、クレーンコントローラ10は、第2の荷物Lを棚52からスライドフォーク3に移載させて荷積する。第2の荷物Lを荷積した状態で第1の出庫ステーション55Aへ向けてスタッカクレーン1を走行させる。そして、スライドフォーク3から第1の出庫ステーション55Aのリフタ57上に第2の荷物Lを荷卸する。
【0032】
図5に示される第2例においては、まず、クレーンコントローラ10によりスタッカクレーン1のスライドフォーク3を制御し、第1の出庫ステーション55Aのリフタ57上に第1の荷物Lを移載して荷卸する。その後直ちに、自動倉庫コントローラ11はクレーンコントローラ10に搬送開始指示を出力する。これにより、スタッカクレーン1は、搬送開始指示を受けて、第2の荷物Lが載置された棚52へ向けて走行を開始する。そして、第1の出庫ステーション55Aにおいて、第1の荷物Lの上記出庫動作を開始する。第2の荷物Lをスライドフォーク3で移載可能な位置にスタッカクレーン1が到着したとき、自動倉庫コントローラ11は、リミットスイッチ58及び光電センサ59からの検知信号に基づいて、第1の出庫ステーション55Aの荷卸可否確認を行う。
【0033】
図5中の例では、自動倉庫コントローラ11による1回目の確認時に、第1の出庫ステーション55Aが「荷卸可」の状態になっていない。よって、自動倉庫コントローラ11は、荷卸可否確認の確認結果が「荷卸可」であると確認できないとし、その確認結果をクレーンコントローラ10へ出力する。自動倉庫コントローラ11からの当該確認結果の出力に応じて、クレーンコントローラ10は、スタッカクレーン1の動作を制御し、現状の位置(第2の荷物Lを移載可能な位置)にてスタッカクレーン1による荷積を待機させる。そして、所定時間経過した後、自動倉庫コントローラ11は、リミットスイッチ58からの検知信号に基づいて、荷卸可否確認を再度行う。
【0034】
自動倉庫コントローラ11は、荷卸可否確認の確認結果が「荷卸可」であると確認できると、その確認結果をクレーンコントローラ10へ出力し、これに応じて、クレーンコントローラ10は、スタッカクレーン1の動作を制御し、第2の荷物Lを搬送させる。そして、スライドフォーク3から第1の出庫ステーション55Aのリフタ57上に第2の荷物Lを荷卸する。なお、
図5に示す例では、2回目の荷卸可否確認において「荷卸可」であると確認できているが、「荷卸可」であると確認できない場合には、所定時間経過後に荷卸可否確認を再度行う処理を「荷卸可」であると確認できるまで繰り返してもよい。
【0035】
図6に示される第3例においては、まず、クレーンコントローラ10によりスタッカクレーン1のスライドフォーク3を制御し、第1の出庫ステーション55Aのリフタ57上に第1の荷物Lを移載して荷卸する。その後直ちに、自動倉庫コントローラ11はクレーンコントローラ10に搬送開始指示を出力する。これにより、スタッカクレーン1は、搬送開始指示を受けて、第2の荷物Lが載置された棚52へ向けて走行を開始する。そして、第1の出庫ステーション55Aにおいて、第1の荷物Lの上記出庫動作を開始する。
【0036】
第2の荷物Lをスライドフォーク3で移載可能な位置にスタッカクレーン1が到着したとき、自動倉庫コントローラ11は、リミットスイッチ58及び光電センサ59からの検知信号に基づいて、第1及び第2の出庫ステーション55A,55Bのそれぞれについて「荷卸可」の状態であるか否かを確認する荷卸可否確認を行う。
【0037】
図6中の例では、自動倉庫コントローラ11による確認時には、第1の出庫ステーション55Aが「荷卸可」の状態になっていない一方で、第2の出庫ステーション55Bが「荷卸可」の状態になっている。よって、自動倉庫50において搬送振替えを実施する。搬送振替えとは、一の荷物Lを一の出庫ステーション55へ搬送する搬送オーダに代えて、他の荷物Lを他の出庫ステーション55へ搬送する別の搬送オーダを実施することをいう。
【0038】
ここでは、第2の荷物Lの第1の出庫ステーション55Aへの搬送に代えて、第3の荷物Lの第2の出庫ステーション55Bへの搬送を実施する。具体的には、クレーンコントローラ10によりスタッカクレーン1の動作を制御し、第3の荷物Lが載置された棚52へ向けて、スタッカクレーン1を走行させる。第3の荷物Lを棚52からスライドフォーク3に移載させて荷積する。第3の荷物Lを荷積した状態で第2の出庫ステーション55Bへ向けてスタッカクレーン1を走行させる。そして、スライドフォーク3から第2の出庫ステーション55Bのリフタ57上に第3の荷物Lを荷卸する。
【0039】
ところで、例えば
図7に示されるように、従来の自動倉庫における出庫時においては、スタッカクレーン1が第1の出庫ステーション55Aに第1の荷物Lを荷卸した後、第1の出庫ステーション55Aの出庫動作が完了するまで(第1の出庫ステーション55Aが荷卸可となるまで)、スタッカクレーン1を動作させずにその場で待機させる。よって、出庫に要する時間が長くなってしまう場合がある。
【0040】
これに対し、自動倉庫50によれば、例えば複数の荷物Lを続けて出庫させる場合において、第1の出庫ステーション55Aから第1の荷物Lを出庫させる出庫動作中に、スタッカクレーン1は、第2の荷物Lが載置された棚52へ向けて走行する。よって、第1の荷物Lの出庫動作を行う時間を、第2の荷物Lが載置された棚52へ向けたスタッカクレーン1の走行に充てることができ、当該出庫動作中にスタッカクレーン1が待機する待機時間を低減することができる。したがって、出庫に要する時間を短縮することが可能となる。待機時間を減らすことで、自動倉庫50の稼働率を向上でき、処理能力を向上することが可能となる。
【0041】
一例として、従来の自動倉庫では、スタッカクレーン1が荷物Lを荷卸してから次の荷物Lを荷卸するまでに要する時間(以下、「サイクルタイム」という)が45秒であり、出庫動作に要する出庫動作時間が15秒であるとする。この場合、従来の自動倉庫では1時間当たり60個の荷物Lを出庫可能である。これに対し、自動倉庫50においては、サイクルタイム及び出庫動作時間が従来の自動倉庫と同等であるとすると、例えば上記第1例で動作する場合、1時間当たり80個の荷物Lを出庫可能となる。したがって、自動倉庫50によれば、出庫の処理能力を約30%向上できることが確認される。
【0042】
自動倉庫50は、出庫ステーション55への荷卸が可能か否かを検出するリミットスイッチ58を備えている。第2の荷物Lを棚52からスタッカクレーン1に移載する前に、リミットスイッチ58及び光電センサ59の検出結果に基づいて第1の出庫ステーション55Aの荷卸可否確認が行われる。第1の出庫ステーション55Aが「荷卸可」であると確認された場合、スタッカクレーン1により、第2の荷物Lが棚52から第1の出庫ステーション55Aへ搬送される。これにより、第2の荷物Lを第1の出庫ステーション55Aへ搬送したものの第1の出庫ステーション55Aへ荷卸できないということを、確実に回避することができる。
【0043】
自動倉庫50では、第1の出庫ステーション55Aが「荷卸可」であると確認されない場合、第2の荷物Lを棚52からスタッカクレーン1に移載可能な位置においてスタッカクレーン1による荷積が待機される。これにより、第1の出庫ステーション55Aが未だ荷卸できない状況であると、スタッカクレーン1へ第2の荷物Lを荷積せずに、第2の荷物Lが載置された棚52の直近にてスタッカクレーン1を待機させておき、例えば、その後に第1の出庫ステーション55Aが「荷卸可」となったときに速やかに、スタッカクレーン1へ第2の荷物Lを荷積することができる。
【0044】
自動倉庫50では、第2の荷物Lをスタッカクレーン1に荷積する前に、リミットスイッチ58及び光電センサ59の検出結果に基づいて、第1及び第2の出庫ステーション55A,55Bの荷卸可否確認が行われる。第1の出庫ステーション55Aが「荷卸可」ではなく、且つ、第2の出庫ステーション55Bが「荷卸可」である場合に、搬送振替え、すなわち、第1の出庫ステーション55Aへの第2の荷物Lの搬送に代えて、第2の出庫ステーション55Bへの第3の荷物Lの搬送が実施される。これにより、出庫が滞ることを抑制し、出庫に要する時間を一層短縮することが可能となる。
【0045】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されない。上記実施形態では、検出装置としてリミットスイッチ58及び光電センサ59を用いたが、出庫ステーション55への荷卸が可能か否かを検出するものであれば特に限定されず、公知の検出装置を用いることができる。例えば検出装置としては、赤外線センサ等の各種センサを利用してもよいし、カメラ等の撮像装置を利用してもよい。赤外線センサを検出装置に利用する場合、当該検出装置は、コンベア56上面に荷物Lが載置されていることを検知可能な位置に配置される。また検出装置は、複数箇所に設置されてもよい。
【0046】
上記実施形態では、搬送台車としてスタッカクレーン1を用いたが、搬送台車はスタッカクレーン1に限定されず、ラック51の棚52から出庫ステーション55へ荷物Lを搬送可能な装置であればよい。例えば、棚52の各段それぞれに搬送台車を配置し、これらの搬送台車により棚52との間で荷物Lを移載可能とする構成であってもよい。この場合、荷物Lを払い出すコンベアを各段の棚52と対応するように複数段配置して昇降機と接続し、これらのコンベアを出庫ステーションとしてもよい。
【0047】
上記実施形態において、出庫ステーション55への荷物Lの荷卸としては、上昇したリフタ57に荷物Lを載置する態様に限定されず、例えば、コンベア56の上面と搬送台車の上面との高さを合わせ、搬送台車に載置された荷物Lをコンベア56側へ水平方向に押し出すことによって、コンベア56に荷物Lを載置する態様であってもよい。この場合、検出装置として、コンベア56に荷物Lが載置されているか否かを検知する光電センサ59のみを設け、出庫ステーション55から荷物Lが払い出された状態であることを当該光電センサ59が検知した場合に、出庫ステーション55は「荷卸可」の状態であるとしてもよい。
【0048】
上記実施形態では、第1の荷物Lの荷卸後すぐに、第2の荷物Lの棚52へ向けたスタッカクレーン1の走行を開始させたが、スタッカクレーン1の走行開始タイミングはこれに限定されない。例えば、第1の荷物Lの荷卸後で所定秒経過した後に、スタッカクレーン1の走行を開始してもよい。例えば、第1の荷物Lの荷卸後で出庫ステーション55の出庫動作時間(例えば15秒)が経過する前の時点にて、スタッカクレーン1の走行を開始してもよい。要は、出庫ステーション55における第1の荷物Lの出庫動作中に、第2の荷物Lの棚52へ向けてスタッカクレーン1を走行させればよい。
【0049】
上記において、クレーンコントローラ10及び自動倉庫コントローラ11が、特許請求の範囲のコントローラを構成する。なお、自動倉庫コントローラ11が有する機能の一部又は全部をクレーンコントローラ10が備えていてもよいし、クレーンコントローラ10が有する機能の一部又は全部を自動倉庫コントローラ11が有していてもよい。例えば、自動倉庫コントローラ11における荷卸可否確認を行う機能を、クレーンコントローラ10が有していてもよい。