特許第6554969号(P6554969)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6554969
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】取引装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/00 20190101AFI20190729BHJP
   G07D 11/60 20190101ALI20190729BHJP
【FI】
   G07D11/00 341Z
   G07D11/60 101
   G07D11/60 121Z
   G07D11/00 131C
【請求項の数】9
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-146959(P2015-146959)
(22)【出願日】2015年7月24日
(65)【公開番号】特開2017-27457(P2017-27457A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100090620
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 宣幸
(72)【発明者】
【氏名】酒井 裕之
【審査官】 木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−282309(JP,A)
【文献】 特開平5−265632(JP,A)
【文献】 特開2000−339515(JP,A)
【文献】 特開2014−225050(JP,A)
【文献】 特開2008−262509(JP,A)
【文献】 特開2005−149473(JP,A)
【文献】 特開2014−206798(JP,A)
【文献】 特開平9−128588(JP,A)
【文献】 特開2013−250654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00−13/00
G07F 19/00
G06Q 40/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のキーを備える入力部と、
少なくとも複数の上記キーが同時に押下された二重押し状態、又はいずれかの上記キーが所定時間以上継続して押下された長押し状態のいずれか一方を監視し、二重押し状態又は長押し状態のいずれかを検知した場合に不正入力が行われたと判断する判断手段と、
上記判断手段で、不正入力が行われたと判断された場合の処理内容を示す設定情報を記録する記録部と、
上記入力部を用いて顧客との取引処理を行うものであって、上記判断手段で、不正入力が行われたと判断された場合に、上記記録部で記録された設定情報に従った動作を行う取引処理手段と、
を有することを特徴とする取引装置。
【請求項2】
上記記録部の設定情報の変更を受付ける設定変更手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の取引装置。
【請求項3】
上記設定情報には、上記判断手段で、不正入力が行われたと判断された場合の処理内容に対応する不正入力対応設定値が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の取引装置。
【請求項4】
上記設定情報には、上記判断手段で、不正入力が行われたと判断された場合の処理内容に対応する不正入力対応設定値と、当該不正入力対応設定値を適用する期間との組み合わせが設定されていることを特徴とする請求項1に記載の取引装置。
【請求項5】
不正入力対応設定値は、上記入力部の上記キーを用いた入力を無効とする第1の動作、受付中の取引を終了する第2の動作、又は障害が発生したものとして取引の受付けを停止する第3の動作のいずれかの動作に対応する値であることを特徴とする請求項3又は4に記載の取引装置。
【請求項6】
顧客に取引に関する情報を表示する表示部をさらに備え、
上記取引処理手段は、上記判断手段で不正入力が行われたと判断された場合に、上記表示部に不正入力に関する確認を促す情報を出力させる
ことを特徴とする請求項1に記載の取引装置。
【請求項7】
スピーカをさらに備え、
上記取引処理手段は、上記判断手段で不正入力が行われたと判断された場合に、上記スピーカから警告音を出力させる
ことを特徴とする請求項1に記載の取引装置。
【請求項8】
スピーカをさらに備え、
上記取引処理手段は、上記判断手段で不正入力が行われたと判断された場合に、上記スピーカから、不正入力に関する警告メッセージの音声を出力させる
ことを特徴とする請求項1に記載の取引装置。
【請求項9】
フリッカをさらに備え、
上記取引処理手段は、上記判断手段で不正入力が行われたと判断された場合に、上記フリッカを点滅させる
ことを特徴とする請求項1に記載の取引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取引装置に関し、例えば、金融機関やコンビニエンスストア等に設置される自動取引装置(ATM:Automated Teller Machine)に適用し得る。
【背景技術】
【0002】
従来の自動取引装置では、ユーザインタフェースとして、操作画面(例えば、ソフトウェアキーを含むGUI)を表示するディスプレイに加えて、ハードウェアキー(例えば、ファンクションキー)を備える装置が存在する(特許文献1参照)。
【0003】
従来の自動取引装置では、顧客との取引時に、例えば、タッチパネルディスプレイ上に表示されたソフトウェアキー(例えば、操作画面上に表示されたテンキー)やハードウェアキー(例えば、PINPAD等のハードウェアのテンキー)を用いて、暗証番号や金額等の情報入力を受け付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−32833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の自動取引装置では、暗証番号や金額等の数字入力を受け付ける場合、ソフトウェアキー(タッチパネルディスプレイ)とハードウェアキーで両方同時に入力受付を開始する。そして、従来の自動取引装置では、通常ソフトウェアキーとハードウェアキーの両方について入力が行われた場合は、入力が無効状態(キーを押下したも反応がない状態)となる。すなわち、従来の自動取引装置において、ソフトウェアキーとハードウェアキーの両方で入力が行われた場合、後から入力が開始されたデバイスについては操作を行っても操作画面上で反応がないという結果となる。
【0006】
したがって、例えば、正規利用者に対して不正取引を考えている第三者が何れかのソフトウェアキー又はハードウェアキー(ファンクションキー)を押下した状態とすると、正規利用者がキーを押下してもキーの反応が無いという状態となる。この場合、正規利用者がキーを押下してもキーの反応が無く、自動取引装置が無応答状態に見える状態となる。そのような状態になると、不正取引を考えている第三者は正規利用者に対して、自動取引装置の故障のため行員を呼びに行かせて、その場を離れている間に、不正取引を考えている第三者が改めて支払い金額を入力し、現金を受け取り、支払い取引を完了させてしまうことが可能となる場合がある。また、正規利用者がカードや通帳を挿入したまま、自動取引装置の傍から離れる場合、そのカードや通帳は、不正行為者に持ち去られる可能性がある。
【0007】
一方で、ソフトウェアキーとハードウェアキーの両方について同時に入力可能とした場合、誤操作により顧客が意図しない数字入力が行われてしまい、利便性を損なう可能性がある。
【0008】
以上のような問題に鑑みて、複数のキーを用いた入力を受付ける際に、取引の安全性(セキュリティ)を向上させる取引装置(例えば、自動取引装置)が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の取引装置は、(1)複数のキーを備える入力部と、(2)少なくとも複数の上記キーが同時に押下された二重押し状態、又はいずれかの上記キーが所定時間以上継続して押下された長押し状態のいずれか一方を監視し、二重押し状態又は長押し状態のいずれかを検知した場合に不正入力が行われたと判断する判断手段と、(3)上記判断手段で、不正入力が行われたと判断された場合の処理内容を示す設定情報を記録する記録部と、(4)上記入力部を用いて顧客との取引処理を行うものであって、上記判断手段で、不正入力が行われたと判断された場合に、上記記録部で記録された設定情報に従った動作を行う取引処理手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数のキーを用いた入力を受付ける際に、取引の安全性を向上させる取引装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る自動取引装置の機能的構成について示したブロック図である。
図2】第1の実施形態に係る自動取引装置の外観について示した図である。
図3】第1の実施形態に係る自動取引装置を構成するPINPAD部の平面図である。
図4】第1の実施形態に係るキー設定情報の構成例について示した説明図である。
図5】第1の実施形態に係るキー設定情報の入力処理の動作について示したフローチャートである。
図6】第1の実施形態に係る自動取引装置で表示される不正入力対応設定値入力画面の構成例について示した説明図である。
図7】第1の実施形態に係る自動取引で出金取引が行われる場合の動作について示したフローチャートである。
図8】第1の実施形態に係る自動取引装置で表示される出金金額入力画面の構成例について示した説明図である。
図9】第2の実施形態に係るキー設定情報の構成例について示した説明図である。
図10】第2の実施形態に係るキー設定情報の入力処理の動作について示したフローチャートである。
図11】第2の実施形態に係る自動取引装置で表示される時間帯入力画面の構成例について示した説明図である。
図12】第2の実施形態に係る自動取引で出金取引が行われる場合の動作について示したフローチャートである。
図13】第3の実施形態に係るキー設定情報の構成例について示した説明図である。
図14】第3の実施形態に係るキー設定情報の入力処理の動作について示したフローチャートである。
図15】第3の実施形態に係る確認画面設定値入力画面の構成例について示した説明図である。
図16】第3の実施形態に係る自動取引で出金取引が行われる場合の動作について示したフローチャートである。
図17】第3の実施形態に係る自動取引装置で表示される不正入力確認画面の構成例について示した説明図である。
図18】第4の実施形態に係る自動取引装置の機能的構成について示したブロック図である。
図19】第4の実施形態に係る自動取引装置の外観の斜視図について示した図である。
図20】第4の実施形態に係るキー設定情報の構成例について示した説明図である。
図21】第4の実施形態に係るキー設定情報の入力処理の動作について示したフローチャートである。
図22】第4の実施形態に係る警告音設定値入力画面の構成例について示した説明図である。
図23】第4の実施形態に係る警告メッセージ設定値入力画面の構成例について示した説明図である。
図24】第4の実施形態に係るフリッカ設定値入力画面の構成例について示した説明図である。
図25】第4の実施形態に係る自動取引で出金取引が行われる場合の動作について示したフローチャート(その1)である。
図26】第4の実施形態に係る自動取引で出金取引が行われる場合の動作について示したフローチャート(その2)である。
図27】第1の実施形態の変形実施例に係る自動取引装置の外観を示す斜視図である。
図28】第1の実施形態の変形実施例に係る表示操作部で表示される操作画面の例について示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(A)第1の実施形態
以下、本発明による取引装置の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。以下では、本発明の取引装置を自動取引装置に適用する例について説明する。
【0013】
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、第1の実施形態の自動取引装置1の機能的構成及び周辺装置の接続構成について示したブロック図である。図2は、自動取引装置1の外観を示す図である。図2(a)は、自動取引装置1を正面側から見た場合の斜視図である。図2(b)は、自動取引装置1を背面側から見た場合の図(背面図)である。
【0014】
自動取引装置1は、取引処理を行う顧客の操作や、ホストコンピュータ2との通信を伴う協働処理(例えば、トランザクション処理)により、当該顧客との取引処理(例えば、当該顧客の口座からの現金の出金等)を行うものである。
【0015】
自動取引装置1は、ネットワークNを介してホストコンピュータ2と接続されている。ネットワークNは、例えば、公衆電話網、デジタル専用回線、インターネット等の種々のネットワーク接続を適用することができる。
【0016】
自動取引装置1は、制御部10、記録部としてのデータ記録部20、表示操作部30、カード処理部40、紙幣入出金部50、硬貨入出金部60、ジャーナル記録部70、通帳処理部80、明細票発行部90、係員操作部100、及びキー入力操作部110を有している。
【0017】
制御部10は、自動取引装置1の各部の動作を制御する機能を担っている。また、データ記録部20は、制御部10が情報処理を行うために必要な各種情報等を格納するデータ記憶手段であり、例えば、各種メモリ等により構成することができる。なお、この実施形態のデータ記録部20では、少なくとも設定情報としてのキー設定情報21を記録しているものとする。データ記録部20の詳細については後述する。
【0018】
制御部10は、例えば、プロセッサ等を含むプログラムの実施構成(コンピュータ)に実施形態の制御プログラム(図1に示す制御部10内部の各構成要素に係るプログラムを含む)等をインストールすることにより実現することができる。上述のプログラムは、例えば、データ記録部20に記憶しておき、自動取引装置1が起動したときに、制御部10が読み込んで実行するようにしても良い。
【0019】
表示操作部30は、顧客とのインタフェースを構成するデバイスであり、ここでは、タッチパネルディスプレイ(タッチパネル付の液晶ディスプレイ)を用いて構成されているものとする。表示操作部30は、制御部10の制御に応じた操作画面を表示して、情報出力及び操作受付(情報入力の受付け)を行うことが可能である。言い換えると、表示操作部30は、顧客に表示出力(例えば、取引の内容等を表示出力)する表示部の機能と、顧客からの操作(例えばソフトウェアキーを用いた操作)を受付ける入力部の一部の機能を担っており、具体的なデバイス構成については限定されないものである。
【0020】
カード処理部40は、顧客からカード挿入排出口401に挿入されたキャッシュカードの処理を行うものである。
【0021】
紙幣入出金部50は、制御部10の制御に応じて、顧客から入金された紙幣を収納する機能と、収納されている紙幣を顧客に出金する機能を担っている。この実施形態では、紙幣入出金部50は、紙幣入出金口501から紙幣の入出金を行うことが可能であるものとする。
【0022】
硬貨入出金部60は、制御部10の制御に応じて、顧客から入金された硬貨を収納する機能と、収納されている硬貨を顧客に出金する機能を担っている。この実施形態では、硬貨入出金部60は、硬貨入出金口601から硬貨の入出金を行うことが可能であるものとする。
【0023】
ジャーナル記録部70は、制御部10の制御に応じて、取引の内容をジャーナル用紙(例えばロール紙等)に印字記録する処理を行う。
【0024】
通帳処理部80は、顧客から通帳挿入排出口801に挿入された通帳の処理を行うものである。
【0025】
明細票発行部90は、制御部10の制御に応じて、当該自動取引装置1で行われた取引結果について印刷用紙に印字して、明細票排出口901から排出を行うものである。
【0026】
係員操作部100は、当該自動取引装置1が設置された店舗の係員や保守員等(以下、「オペレータ」とも呼ぶ)とのインタフェースを構成するデバイスであり、ここでは、タッチパネルディスプレイ(タッチパネル付の液晶ディスプレイ)を用いて構成されているものとする。係員操作部100は、制御部10の制御に応じた操作画面を表示して、情報出力及び操作受付(情報入力の受付け)を行うことが可能である。言い換えると、係員操作部100は、オペレータに表示出力(例えば、取引の内容等を表示出力)するオペレータ表示部の機能と、オペレータからの操作を受付けるオペレータ操作部の機能を担っており、具体的なデバイス構成については限定されないものである。係員操作部100の配置位置は限定されないものであるが、オペレータ以外がアクセスできない位置(例えば、図示しない施錠された扉内等)に配置されている。この実施形態の例では、係員操作部100は、図2(b)に示すように、係員操作部100は、自動取引装置1の背面側に配置されているものとする。また、この実施形態では、表示操作部30と係員操作部100とは別個のデバイスであるものとして説明するが、共通するデバイスを用いて顧客用とオペレータ用で動作モードを切り替えて使用可能とする構成としてもよい。
【0027】
キー入力操作部110は、ハードウェアキーにより顧客からの操作入力を受付けるものである。キー入力操作部110を構成するハードウェアキーの数や配置、各ハードウェアキーの機能については限定されないものである。この実施形態のキー入力操作部110は、ファンクションキー部111とPINPAD部112とを有している。
【0028】
ファンクションキー部111は、制御部10の制御に応じた機能(ファンクション)が割り振られる複数のハードウェアキー(以下、「ファンクションキー」と呼ぶ)を有している。この実施形態では、ファンクションキー部111は、8つのファンクションキー113−1〜113−8を有している。この実施形態では、図2(a)に示すように、表示操作部30の左側にファンクションキー113−1〜113−4が配置されており、表示操作部30の右側にファンクションキー113−5〜113−8が配置されている。制御部10(取引処理部11)は、表示操作部30に表示する操作画面の構成に応じた機能を各ファンクションキー113に割当てて顧客からの操作を受付ける。
【0029】
PINPAD部112は、暗証番号や取引金額等の数字入力を受付けることが可能なハードウェアキーを備えるデバイスである。
【0030】
図3は、PINPAD部112の平面図である。
【0031】
図3に示すPINPAD部112には、0〜9の各数字に対応したハードウェアキーを有するテンキー部112aと、Cancelキー112bと、Clearキー112cとEnterキー112dとが配置されている。制御部10(取引処理部11)は、表示操作部30に表示する操作画面の構成に応じてPINPAD部112の各キーからの操作入力を受付ける。
【0032】
以上のように、自動取引装置1では、ソフトウェアキーを含む操作画面を表示可能な表示操作部30と、ハードウェアキーにより構成されたキー入力操作部110を含む構成により、顧客からの入力(複数のキーを用いた入力)を受付ける入力部が構成されている。
【0033】
取引処理部11は、顧客との取引に係る処理を行う。取引処理部11は、例えば、表示操作部30及びキー入力操作部110を介した操作受付(例えば、操作画面を用いた操作受付)や、顧客から入力された情報に基づいたホストコンピュータ2とのデータ処理(例えば、取引に係るトランザクション処理)や、紙幣入出金部50及び硬貨入出金部60に対する現金処理制御等の処理を行う。
【0034】
取引処理部11は、表示操作部30に表示されたソフトウェアキーや、係員操作部100のハードウェアキーについて所定の操作が行われた場合、当該操作を不正入力(不正入力の蓋然性が高い操作)として検出する処理を行う。例えば、取引処理部11は、取引金額等の入力を受付ける際に、複数のキー(ハードウェアキーであるかソフトウェアキーであるかを限定しない)を同時押下した状態(以下、この状態を「二重押し状態」とも呼ぶ)又は、いずれかのキーを所定時間以上(例えば、5秒以上)継続して押下した状態(以下、この状態を「長押し状態」とも呼ぶ)のいずれかの状態となった場合に不正入力(例えば、顧客以外の第三者によるキーの押下)が行われたものとして判断する。すなわち、取引処理部11は、不正入力を検知する判断手段としても機能する。
【0035】
そして、この実施形態の取引処理部11は、不正入力が行われたと検知した場合、データ記録部20に記録されたキー設定情報21の設定に従った所定の動作を行う。
【0036】
図4は、第1の実施形態に係るキー設定情報21の構成例について示した説明図である。
【0037】
図4に示すキー設定情報21では、「不正入力対応設定値」の項目について値(パラメータ)が設定されている。「不正入力対応設定値」は、不正入力が行われたと検知された場合に取引処理部11が行う動作の内容を示す値が設定される項目である。
【0038】
この実施形態では、「不正入力対応設定値」には1〜3のいずれかの値が設定されるものとして説明する。なお、「不正入力対応設定値」の値に対応する処理の数や各設値に対応する処理の内容については限定されないものである。
【0039】
この実施形態では、キー設定情報21の不正入力対応設定値に「1」が設定されていた場合、取引処理部11は、不正入力が解除されるまでの(例えば、二重押し状態や長押し状態が解除されるまでの期間)何もしない(さらに他のキー入力があっても入力を無効とする)ものとする。
【0040】
また、この実施形態では、キー設定情報21の不正入力対応設定値に「2」が設定されていた場合、取引処理部11は、受付中の取引をキャンセル(中止)する処理(例えば、取消キー(キャンセルキー)が押下された場合と同様の処理;以下「取引キャンセル」とも呼ぶ)を行うものとする。
【0041】
さらに、この実施形態ではキー設定情報21の不正入力対応設定値に「3」が設定されていた場合、取引処理部11は、障害が発生したものとして取引を終了する処理(以下、「取引障害終了」とも呼ぶ)を行うものとする。以取引障害終了とした場合、制御部10(取引処理部11)は、後の取引受付を行わない状態となる。また、取引障害終了とした場合、制御部10(取引処理部11)は、外部装置(例えば、ホストコンピューや監視装置等の外部装置)にアラーム(警報)を通知して、係員を呼ぶ等の処理を行うようにしてもよい。
【0042】
保守処理部12は、当該自動取引装置1の保守(システム)に係る処理を実行する機能を担っている。保守処理部12は、例えば、係員操作部100を介した操作受付(例えば、操作画面を用いた操作受付)を行い、受付けた操作に応じた処理を実行する。この実施形態の保守処理部12は、少なくとも、キー設定情報21の変更を受け付ける設定変更手段として機能するものとする。
【0043】
なお、保守処理部12は、オペレータからの操作だけでなく、外部装置(例えば、ホストコンピュータ2等)から通信によりキー設定情報21の変更受付けを行うようにしてもよい。
【0044】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態の自動取引装置1の動作を説明する。
【0045】
まず、ここでは、第1の実施形態の自動取引装置1において、キー設定情報21が設定される場合の動作について図5を用いて説明する。
【0046】
まず、自動取引装置1の係員操作部100において、オペレータからの操作を受付け、キー設定情報21の入力(変更)を受け付ける処理(以下、「キー設定」と呼ぶ)が選択されたものとする。これにより、制御部10の保守処理部12は、キー設定を受付ける処理を開始し、係員操作部100に、キー設定情報21を構成する不正入力対応設定値を受け付けるための操作画面(以下、「不正入力対応設定値入力画面」と呼ぶ)を表示させる(S101)。
【0047】
図6は、不正入力対応設定値入力画面の例について示した説明図である。
【0048】
図6に示す不正入力対応設定値入力画面では、不正入力対応設定値(1〜3のいずれかの値)の入力を受け付けるためのフィールドF101と、フィールドF101に入力された不正入力対応設定値の確定を受け付ける確定キーB101と、入力された不正入力対応設定値を取消して前画面等(例えば、機能の選択メニュー等)に戻るための取消キーB102とが配置されている。ここでは、図6に示す不正入力対応設定値入力画面でフィールドF101に設定値が入力された後確定キーB101が押下されたものとする。
【0049】
不正入力対応設定値入力画面で確定キーB101が押下されると、制御部10の保守処理部12は、入力された不正入力対応設定値を取得して、データ記録部20のキー設定情報21に登録し(S102)、処理を終了する。
【0050】
以上のように、第1の実施形態の自動取引装置1では、キー設定情報21の内容が登録されるものとする。
【0051】
次に、自動取引装置1が顧客と取引を行う際の処理の例について図7のフローチャートを用いて説明する。
【0052】
まず、自動取引装置1で顧客待ちの状態から顧客の操作(表示操作部30に対する操作)により、出金取引が開始され、キャッシュカード及び通帳の挿入を誘導する操作画面が表示操作部30に表示されたものとする(S201)。
【0053】
次に、顧客により、キャッシュカードがカード挿入排出口401に挿入されたものとする(S202)。
【0054】
また、このとき、顧客の必要に応じて通帳も通帳挿入排出口801に挿入される(S203)。
【0055】
次に、制御部10(取引処理部11)は、表示操作部30に暗証番号の入力を受付ける操作画面を表示して、顧客から暗証番号の入力を受付ける(S204)。
【0056】
次に、制御部10(取引処理部11)は、表示操作部30に、出金金額(取引金額)の入力を受付ける操作画面(以下、「取引金額入力画面」と呼ぶ)を表示して、顧客から出金金額の入力を受付ける(S205)。
【0057】
図8は、出金金額入力画面の構成例について示した説明図である。図8に示す出金金額入力画面では、出金金額を入力するためのソフトキーパッドK201と、入力された出金金額を表示するためのフィールドF201と、入力された出金金額で取引を続行することの確認を受付けるための確定キーB201と、取引の中止を受付けるための取消キーB202とが配置されている。ソフトキーパッドK201は、「0〜9」、「円」、「訂正」のキーにより構成されている。なお、制御部10(取引処理部11)は、出金金額入力画面を表示している状態において、出金金額入力画面上のソフトキーだけでなく、PINPAD部112からの入力も受付け可能な状態で制御する。
【0058】
そして、制御部10(取引処理部11)は、取引金額入力画面を表示すると、二重押し又は長押しの有無の監視を開始する(S206)。
【0059】
そして、制御部10(取引処理部11)は、取引金額入力画面を表示中に、二重押し又は長押しの有無を監視中に二重押し又は長押しが発生したか否かに応じてその後の動作を判断する(S207)。二重押し又は長押しが発生した場合、制御部10(取引処理部11)は、後述するステップS211の処理に移行する。一方、二重押し又は長押しが発生せずに取引金額の入力が終了した場合には、制御部10(取引処理部11)は、後述するステップS208の処理に移行することになる。
【0060】
二重押し又は長押しが発生せずに取引金額の入力が終了した場合、制御部10(取引処理部11)は、ホストコンピュータ2と通信して、出金取引に関する情報処理(例えば、トランザクション処理)を実行する(S208)。ここでは、制御部10(取引処理部11)とホストコンピュータ2との間の出金取引の処理は成功したものとして以下の説明を行う。
【0061】
次に、制御部10(取引処理部11)は、明細票発行部90を制御して、今回の出金取引の明細票を印字させる(S209)。
【0062】
次に、制御部10(取引処理部11)は、各種媒体を排出(返却)するように制御処理を行い(S210)取引処理を終了する。このとき、制御部10(取引処理部11)は、明細票発行部90を制御して印字した明細票を排出させる。また、制御部10(取引処理部11)は、カード処理部40を制御してキャッシュカードを返却(排出)させる。さらに、制御部10(取引処理部11)は、通帳が挿入されている場合、通帳処理部80を制御して、通帳に記帳させる処理を行った後、当該通帳の返却(排出)を実行させる。さらにまた、制御部10(取引処理部11)は、紙幣入出金部50及び硬貨入出金部60を制御して、今回の出金取引で出金する現金の排出を実行させる。
【0063】
一方、上述のステップS207で、取引金額入力画面を表示中に、二重押し又は長押しが発生した場合、制御部10(取引処理部11)は、キー設定情報21を参照して、不正入力対応設定値を確認する(S211)。そして、制御部10(取引処理部11)は、不正入力対応設定値が「1」の場合後述するステップS212に移行し、不正入力対応設定値が「2」の場合後述するステップS213に移行し、不正入力対応設定値が「3」の場合後述するステップS214に移行する。
【0064】
不正入力対応設定値が「1」の場合、制御部10(取引処理部11)は、不正入力が解除されるまで(例えば、二重押しの状態や長押しの状態が解除されるまでの期間)何もせずに待機する(さらに他のキー入力があっても入力を無効とする)ものとする(S212)。そして、制御部10(取引処理部11)は、二重押し又は長押しが解除された後、上述のステップS207の処理に戻って動作する。
【0065】
不正入力対応設定値が「2」の場合、制御部10(取引処理部11)は、取引をキャンセル(取引の受付を中断してキャッシュカードや通帳等を返却)を行い(S213)、今回の取引処理を終了する。
【0066】
不正入力対応設定値が「3」の場合、制御部10(取引処理部11)は、取引処理部11は、不正が発生したものと認識し、障害が発生したものとして取引を終了する処理(取引障害終了)を行い(S214)、今回の取引処理を終了する。
【0067】
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0068】
第1の実施形態の自動取引装置1では、第三者によるキーの不正入力の蓋然性の高い操作(例えば、キーの二重押しや長押し)が発生した場合、キー設定情報21に応じた動作を行うことにより、不正行為を防止(例えば、顧客の口座からの不正な支払い取引を防止)する。これにより、第1の実施形態の自動取引装置1では、キーの不正操作が発生した場合でも、設置環境に応じた動作(対応)を行うことができる。例えば、係員が存在する店舗(有人店舗)に設置された自動取引装置1については、すぐに係員が駆けつけることができるため、例えば、不正入力対応設定値を「3」(障害終了)とすることで、確実に不正入力を抑止すると共にすぐに取引を再開(例えば、装置の再起動等を実行)させることができる。一方、係員が存在しない店舗(無人店舗)に設置された自動取引装置1については、すぐに係員が駆けつけることができないが、例えば、不正入力対応設定値を「2」(取引キャンセル)とすることで、不正入力を抑止しつつ取引を継続することが可能となる。
【0069】
以上のように、第1の実施形態の自動取引装置1では、複数の入力キーを用いた入力を受付ける際に、取引の際に取引の安全性を向上させつつ、顧客の利便性低下を抑制する取引装置を提供する。
【0070】
(B)第2の実施形態
以下、本発明による取引装置の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。以下では、本発明の取引装置を自動取引装置に適用する例について説明する。
【0071】
(B−1)第2の実施形態の構成
第2の実施形態の自動取引装置1の構成についても、上述の図1図2を用いて示すことができる。以下では、第2の実施形態の自動取引装置1について第1の実施形態との差異を説明する。
【0072】
第1の実施形態の自動取引装置1では、図4に示すように、キー設定情報21の内容が不正入力対応設定値をいずれかの値(1〜3のいずれかの設定値)に設定するのみであった。すなわち、第1の実施形態の自動取引装置1では、不正入力対応設定値が静的な値となっていた。これに対して、第2の実施形態の自動取引装置1では、不正入力対応設定値を時間帯に応じて動的に変更することが可能となっている。
【0073】
図9は、第2の実施形態の自動取引装置1で設定されるキー設定情報21の構成例について示した説明図である。
【0074】
図9に示すように、第2の実施形態のキー設定情報21では、時間帯と不正入力対応設定値との組合せが登録可能となっている。具体的には、図9に示すキー設定情報21では、設定値ごとに適用する時間帯が設定されている。図9に示すキー設定情報21では、不正入力対応設定値「1」に対応する時間帯を「08:00〜17:00」に設定し、不正入力対応設定値「2」に対応する時間帯を「17:00〜00:00」に設定し、不正入力対応設定値「3」に対応する時間帯を「00:00〜08:00」に設定している。
【0075】
図9に示すキー設定情報21では、時間帯と設定値の組合せを登録する例について示しているが、日時や曜日等の期間と設定値の組合せ(設定値を適用するスケジュール)を設定可能とするようにしてもよい。また、図9では、キー設定情報21は、不正入力対応設定値ごとの時間帯を入力する形式となっているが、逆に時間帯ごとに不正入力対応設定値を設定する形式としてもよい。
【0076】
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第2の実施形態の自動取引装置1の動作を説明する。
【0077】
まず、ここでは、第2の実施形態の自動取引装置1において、キー設定情報21が設定される場合の動作について図10を用いて説明する。
【0078】
まず、自動取引装置1の係員操作部100において、オペレータからの操作を受付け、キー設定が選択されたものとする。キー設定が選択されると、制御部10の保守処理部12は、係員操作部100に、キー設定情報21を構成する不正入力対応設定値ごとの時間帯入力を受付ける操作画面(以下、「時間帯入力画面」と呼ぶ)を表示させる(S301)。
【0079】
図11は、第2の実施形態における時間帯入力画面の構成例について示した説明図である。
【0080】
図11に示す時間帯入力画面では、不正入力対応設定値「1」、「2」、「3」のそれぞれに対応する時間帯入力を受付けるためのフィールドF301〜F303が配置されている。また、図11に示す時間帯入力画面では、フィールドF301〜F303に入力された内容の確定を受け付ける確定キーB301と、入力を取消して前画面(例えば、機能の選択メニュー等)に戻るための取消キーB302とが配置されている。ここでは、図11に示す内容がフィールドF301〜F303に入力された後確定キーB301が押下されたものとする。
【0081】
時間帯入力画面で確定キーB301が押下されると、制御部10の保守処理部12は、入力された不正入力対応設定の内容(設定値ごとの時間帯の情報)を取得して、データ記録部20のキー設定情報21に登録し(S302)、処理を終了する。
【0082】
以上のように、第2の実施形態の自動取引装置1では、キー設定情報21の内容が登録されるものとする。
【0083】
次に、自動取引装置1が顧客と取引を行う際の処理の例について図12のフローチャートを用いて説明する。図12のフローチャートでは、第1の実施形態のフローチャート(上述の図7のフローチャート)と同様の処理を行うステップには同一のステップ番号(符号)を付している。以下では、第2の実施形態の自動取引装置1について第1の実施形態との差異部分のみを説明する。
【0084】
第2の実施形態の自動取引装置1では、ステップS211がステップS401に置き換わっている点で第1の実施形態と異なっている。
【0085】
第2の実施形態のキー設定情報21は、上述の図9に示すように、設定値ごとに対応する時間帯が設定されている。そこで、第2の実施形態の制御部10(取引処理部11)は、ステップS401において、キー設定情報21の内容に従って現在時刻に対応する設定値を取得する。例えば、キー設定情報21の内容が図9の内容となっていた場合を想定する。例えば、現在時刻が「10:00」だった場合、キー設定情報21は現在時刻に対応する設定値として「1」を取得することになる。
【0086】
第2の実施形態の制御部10(取引処理部11)は、ステップS401において、以上のような処理で設定を取得すると、当該設定値に対応した処理(ステップS212〜S214のいずれかのステップの処理)に移行する。
【0087】
(B−3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて以下のような効果を奏することができる。
【0088】
第2の実施形態の自動取引装置1では、自動取引装置1に、不正入力対応設定値と時間帯との組み合わせを登録可能としている。これにより、第2の実施形態の自動取引装置1では、業務時間に応じて異なる不正入力対応設定値を適用可能とし、利便性や取引の安全性(セキュリティ)を高めることができる。
【0089】
(C)第3の実施形態
以下、本発明による取引装置の第3の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。以下では、本発明の取引装置を自動取引装置に適用する例について説明する。
【0090】
(C−1)第3の実施形態の構成
第3の実施形態の自動取引装置1の構成についても、上述の図1図2を用いて示すことができる。以下では、第3の実施形態の自動取引装置1について第1の実施形態との差異を説明する。
【0091】
第3の実施形態の自動取引装置1では、不正入力の発生時(例えば、キーの二重押しや長押しの発生時)に、顧客に不正入力(異常なキー操作)に関する情報を通知するための操作画面(以下、「不正入力確認画面」とも呼ぶ)を表示操作部30に表示させる処理を行う点で第1の実施形態と異なっている。また、第3の実施形態の自動取引装置1では、不正入力確認画面を表示するか否かを設定可能(キー設定情報21に設定可能)であるものとして説明する。
【0092】
図13は、第3の実施形態に係るキー設定情報21の構成例について示した説明図である。
【0093】
第3の実施形態の自動取引装置1では、キー設定情報21に、不正入力確認画面を表示するか否かを設定するためのパラメータ(以下、「確認画面設定値」と呼ぶ)が追加されている。確認画面設定値は、不正入力確認画面を表示しないことを示す「1」又は、不正入力確認画面を表示することを示す「2」のいずれかの値が設定可能であるものとする。なお、確認画面設定値の登録形式については限定されないものである。
【0094】
なお、第2の実施形態の自動取引装置1においても、確認画面設定値に応じて不正入力確認画面を表示する構成としてもよい。
【0095】
(C−2)第3の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第3の実施形態の自動取引装置1の動作を説明する。
【0096】
まず、ここでは、第3の実施形態の自動取引装置1において、キー設定情報21が設定される動作について図14を用いて説明する。
【0097】
まず、自動取引装置1の係員操作部100において、オペレータからの操作を受付け、キー設定が選択されたものとする。これにより、制御部10(保守処理部12)は、キー設定を受付ける処理を開始し、係員操作部100に、不正入力対応設定値を受け付けるための不正入力対応設定値入力画面を表示させる(S501)。なお、ステップS501の処理(不正入力対応設定値入力画面の構成等)については、第1の実施形態(上述のステップS101の処理)と同様であるため詳しい説明は省略する。
【0098】
次に、制御部10(保守処理部12)は、確認画面設定値を受付けるための操作画面(以下、「確認画面設定値入力画面」と呼ぶ)を係員操作部100に表示させる(S502)。
【0099】
図15は、第3の実施形態における確認画面設定値入力画面の構成例について示した説明図である。
【0100】
図15に示す確認画面設定値入力画面では、確認画面設定値(「1」又は「2」)の入力を受付けるためのフィールドF401と、フィールドF401に入力された確認画面設定値の確定を受け付ける確定キーB401と、確認画面設定値の入力を取消して前画面等(例えば、機能の選択メニュー等)に戻るための取消キーB402とが配置されている。ここでは、図15に示す確認画面設定値入力画面でフィールドF401に確認画面設定値が入力された後確定キーB401が押下されたものとする。
【0101】
確認画面設定値入力画面で確定キーB401が押下されると、制御部10の保守処理部12は、入力された各値を(不正入力対応設定値、及び確認画面設定値)を、キー設定情報21に登録して登録し(S503)、処理を終了する。
【0102】
以上のように、第3の実施形態の自動取引装置1では、キー設定情報21の内容が登録されるものとする。
【0103】
次に、第3の実施形態の自動取引装置1が顧客と取引を行う際の処理の例について図16のフローチャートを用いて説明する。図16のフローチャートでは、第1の実施形態のフローチャート(上述の図7のフローチャート)と同様の処理を行うステップには同一のステップ番号(符号)を付している。以下では、第3の実施形態の自動取引装置1について第1の実施形態との差異部分のみを説明する。
【0104】
第3の実施形態の自動取引装置1では、第1の実施形態において不正入力対応設定値が「1」だった場合に実行されるステップS212の前に、ステップS601、S602の処理が挿入されている点で第1の実施形態と異なっている。
【0105】
第3の実施形態の制御部10(取引処理部11)は、上述のステップS211で、不正入力対応設定値が「1」だったと確認した場合、キー設定情報21の確認画面設定値を参照する(S601)。
【0106】
制御部10(取引処理部11)は、キー設定情報21の確認画面設定値が「1」(不正入力確認画面を表示しない設定)に設定されている場合は、不正入力確認画面を表示させずにステップS212の処理に移行し、キー設定情報21の確認画面設定値が「2」(不正入力確認画面を表示する設定)に設定されている場合は、係員操作部100に不正入力確認画面を表示させる(S602)。
【0107】
図17は、不正入力確認画面の構成例について示した説明図である。
【0108】
図17に示す不正入力確認画面では、不正入力に関する情報を通知するためのメッセージ、及び顧客から確認を受付けるための確定キーB501が配置されている。不正入力確認画面で、確定キーB501が押下されると、制御部10(取引処理部11)は、次の処理(ステップS212の処理)に移行する。
【0109】
図17に示すように、不正入力確認画面では、不正入力に関する情報を通知するためのメッセージとして「キーが反応しない状態になっています。複数のキーが押下されていないか、また、周囲の状態を確認してください。また、意図しないキーが押下された状態の場合は、その場からオペレータを呼び出してください。キーが問題なく反応する場合は、「確認済み」ボタンを押下してください」というメッセージが表示されている。以上のように、不正入力確認画面では、不正入力が発生している旨や、周囲の状態に問題がないか確認することを促す等のメッセージが含まれている。
【0110】
(C−3)第3の実施形態の効果
第3実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて以下のような効果を奏することができる。
【0111】
第3の実施形態の自動取引装置1では、不正入力を検知した場合に、不正入力確認画面を表示している。これにより、第3の実施形態の自動取引装置1では、不正入力が発生していることを顧客に通知して確認させるため、顧客の取引の安全性を高めることができる。
【0112】
(D)第4の実施形態
以下、本発明による取引装置の第4の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。以下では、本発明の取引装置を自動取引装置に適用する例について説明する。
【0113】
(D−1)第4の実施形態の構成
図18は、第4の実施形態に係る自動取引装置1の機能的構成について示したブロック図である。また、図19は、第4の実施形態に係る自動取引装置1の外観の斜視図である。
【0114】
図18図19に示すように、第4の実施形態の自動取引装置1では、フリッカ120(点滅可能なランプ)と、スピーカ130が追加されている点で第3の実施形態と異なっている。
【0115】
図19に示すように、フリッカ120は、PINPAD部112の周辺に配置されており、点滅することで、例えば、顧客をPINPAD部112に注目させる等の機能を担っている。フリッカ120は、制御部10の制御に応じて点灯・点滅等の動作を行う。
【0116】
また、図19に示すように、スピーカ130は、PINPAD部112の周辺に配置されており、音声出力(鳴動)することで、例えば、顧客をPINPAD部112に注目させる等の機能を担っている。制御部10(取引処理部11)は、例えば、警告音や警告メッセージ(例えば、不正入力に関する警告メッセージ)に応じた音声ファイル(例えば、WAV形式の音声ファイル(いわゆるWAVEファイル))に基づく音声をスピーカ130から出力させるようにしてもよい。
【0117】
第4の実施形態の自動取引装置1では、不正入力の発生時(例えば、キーの二重押しや長押しの発生時)に、不正入力確認画面を表示する以外にも、他の出力処理の実行が可能な点で第3の実施形態とは異なっている。
【0118】
具体的には、第4の実施形態の制御部10(取引処理部11)は、不正入力の発生時に、設定(例えば、キー設定情報21の設定)に応じて、スピーカ130からの警告音の鳴動、スピーカ130からの警告メッセージの鳴動、及びフリッカ120の点滅等が可能となっている。
【0119】
図20は、第4の実施形態に係るキー設定情報21の構成例について示した説明図である。
【0120】
第4の実施形態のキー設定情報21では、キー設定情報21に、スピーカ130からの警告音の鳴動をさせるか否かを設定するためのパラメータ(以下、「警告音設定値」と呼ぶ)が追加されている。警告音設定値は、警告音設定値を鳴動させないことを示す「1」又は、警告音を鳴動させることを示す「2」のいずれかの値が設定可能であるものとする。なお、警告音設定値の登録形式については限定されないものである。
【0121】
また、第4の実施形態のキー設定情報21では、キー設定情報21に、スピーカ130からの警告メッセージの鳴動をさせるか否かを設定するためのパラメータ(以下、「警告メッセージ設定値」と呼ぶ)が追加されている。警告メッセージ設定値は、警告メッセージを鳴動させないことを示す「1」又は、警告メッセージを鳴動させることを示す「2」のいずれかの値が設定可能であるものとする。なお、警告メッセージ設定値の登録形式については限定されないものである。
【0122】
さらに、第4の実施形態のキー設定情報21では、キー設定情報21に、フリッカ120の点滅をさせるか否かを設定するためのパラメータ(以下、「フリッカ設定値」と呼ぶ)が追加されている。フリッカ設定値は、フリッカ120を点滅させないことを示す「1」又は、フリッカ120を点滅させることを示す「2」のいずれかの値が設定可能であるものとする。なお、フリッカ設定値の登録形式については限定されないものである。
【0123】
なお、第4の実施形態の自動取引装置1では、上述の通り、不正入力の発生時に、設定に応じて、不正入力確認画面の表示、スピーカ130からの警告音の鳴動、スピーカ130からの警告メッセージの鳴動、及びフリッカ120の点滅の4つの動作が可能となっているが、一部の動作だけを適用するようにしてもよいし、その他の動作と組み合わせて適用するようにしてもよい。
【0124】
(D−2)第4の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第4の実施形態の自動取引装置1の動作を説明する。
【0125】
まず、ここでは、第4の実施形態の自動取引装置1において、キー設定情報21が設定される動作について図21を用いて説明する。
【0126】
まず、自動取引装置1の係員操作部100において、オペレータからの操作を受付け、キー設定が選択されたものとする。これにより、制御部10(保守処理部12)は、キー設定を受付ける処理を開始し、係員操作部100に、不正入力対応設定値を受け付けるための不正入力対応設定値入力画面を表示させる(S701)。なお、ステップS701の処理(不正入力対応設定値入力画面の構成等)については、第1の実施形態(上述のステップS101の処理)と同様であるため詳しい説明は省略する。
【0127】
次に、制御部10(保守処理部12)は、確認画面設定値を受付けるための確認画面設定値入力画面を係員操作部100に表示させて確認画面設定値の入力を受付ける(S702)。なお、確認画面設定値入力画面を係員操作部100に表示させて確認画面設定値の入力を受付ける処理については上述のステップS502と同様であるため詳しい説明を省略する。
【0128】
次に、制御部10(保守処理部12)は、警告音設定値を受付けるための操作画面(以下、「警告音設定値入力画面」と呼ぶ)を係員操作部100に表示させて警告音設定値の入力を受付ける(S703)。
【0129】
図22は、第4の実施形態における警告音設定値入力画面の構成例について示した説明図である。
【0130】
図22に示す警告音設定値入力画面では、警告音設定値(「1」又は「2」)の入力を受付けるためのフィールドF501と、フィールドF501に入力された警告音設定値の確定を受け付ける確定キーB501と、警告音設定値の入力を取消して前画面等(例えば、機能の選択メニュー等)に戻るための取消キーB502とが配置されている。ここでは、図22に示す警告音設定値入力画面でフィールドF501に警告音設定値が入力された後確定キーB501が押下されたものとする。
【0131】
次に、制御部10(保守処理部12)は、警告メッセージ設定値を受付けるための操作画面(以下、「警告メッセージ設定値入力画面」と呼ぶ)を係員操作部100に表示させて警告メッセージ設定値の入力を受付ける(S704)。
【0132】
図23は、第4の実施形態における警告メッセージ設定値入力画面の構成例について示した説明図である。
【0133】
図23に示す警告メッセージ設定値入力画面では、警告メッセージ設定値(「1」又は「2」)の入力を受付けるためのフィールドF601と、フィールドF601に入力された警告メッセージ設定値の確定を受け付ける確定キーB601と、警告メッセージ設定値の入力を取消して前画面等(例えば、機能の選択メニュー等)に戻るための取消キーB602とが配置されている。ここでは、図23に示す警告メッセージ設定値入力画面でフィールドF601に警告メッセージ設定値が入力された後確定キーB601が押下されたものとする。
【0134】
次に、制御部10(保守処理部12)は、フリッカ設定値を受付けるための操作画面(以下、「フリッカ設定値入力画面」と呼ぶ)を係員操作部100に表示させてフリッカ設定値の入力を受付ける(S705)。
【0135】
図24は、第4の実施形態におけるフリッカ設定値入力画面の構成例について示した説明図である。
【0136】
図24に示すフリッカ設定値入力画面では、フリッカ設定値(「1」又は「2」)の入力を受付けるためのフィールドF701と、フィールドF701に入力されたフリッカ設定値の確定を受け付ける確定キーB701と、フリッカ設定値の入力を取消して前画面等(例えば、機能の選択メニュー等)に戻るための取消キーB702とが配置されている。ここでは、図24に示すフリッカ設定値入力画面でフィールドF701にフリッカ設定値が入力された後確定キーB701が押下されたものとする。
【0137】
次に、制御部10の保守処理部12は、入力された各値(不正入力対応設定値、確認画面設定値、警告音設定値、警告メッセージ設定値、及びフリッカ設定値)を、キー設定情報21に登録して登録し(S706)、処理を終了する。
【0138】
以上のように、第4の実施形態の自動取引装置1では、キー設定情報21の内容が登録されるものとする。
【0139】
次に、第4の実施形態の自動取引装置1が顧客と取引を行う際の処理の例について図25図26のフローチャートを用いて説明する。図25図26のフローチャートでは、第3の実施形態のフローチャート(上述の図12のフローチャート)と同様の処理を行うステップには同一のステップ番号(符号)を付している。以下では、第4の実施形態の自動取引装置1について第3の実施形態との差異部分のみを説明する。
【0140】
第4の実施形態の自動取引装置1では、第3の実施形態において不正入力対応設定値が「1」だった場合に実行されるステップS212、S601、S602の処理の後に、ステップS801〜S806が挿入されている点で第3の実施形態と異なっている。以下では、図26に示す不正入力対応設定値が「1」だった場合に実行される処理(S601、S60、S801〜S806)を中心に説明する。
【0141】
第4の実施形態の制御部10(取引処理部11)は、上述のステップS211で、不正入力対応設定値が「1」だったと確認した場合、キー設定情報21の確認画面設定値を参照する(S601)。
【0142】
制御部10(取引処理部11)は、キー設定情報21の確認画面設定値が「1」(不正入力確認画面を表示しない設定)に設定されている場合は、不正入力確認画面を表示させずに後述のステップS801の処理に移行し、キー設定情報21の確認画面設定値が「2」(不正入力確認画面を表示する設定)に設定されている場合は、係員操作部100に不正入力確認画面の表示を開始させ(S602)、後述するステップS801の処理に移行する。なお、不正入力確認画面については、上述の図17と同様であるため詳しい説明については省略する。
【0143】
ステップS801に移行すると制御部10(取引処理部11)は、キー設定情報21の警告音設定値を参照する。
【0144】
制御部10(取引処理部11)は、キー設定情報21の警告音設定値が「1」(警告音を鳴動させない設定)に設定されている場合は、警告音を鳴動させずに後述のステップS803の処理に移行し、キー設定情報21の警告音設定値が「2」(警告音を鳴動させる設定)に設定されている場合は、スピーカ130に警告音の鳴動を開始させ(S802)、後述するステップS803の処理に移行する。制御部10(取引処理部11)は、例えば、当該警告音に対応する音声ファイル(例えば、Waveファイル)に基づく音声をスピーカ130から出力させる。警告音の内容については限定されないものであるが、種々の警告音(例えば、種々のコンピュータ上でエラー表示を行う際に出力するアラーム音等)を適用することができる。
【0145】
ステップS803に移行すると制御部10(取引処理部11)は、キー設定情報21の警告メッセージ設定値を参照する。
【0146】
制御部10(取引処理部11)は、キー設定情報21の警告メッセージ設定値が「1」(警告メッセージを鳴動させない設定)に設定されている場合は、警告メッセージを鳴動させずに後述のステップS805の処理に移行し、キー設定情報21の警告メッセージ設定値が「2」(警告メッセージを鳴動させる設定)に設定されている場合は、スピーカ130に警告メッセージの鳴動を開始させ(S804)、後述するステップS805の処理に移行する。制御部10(取引処理部11)は、例えば、当該警告メッセージに対応する音声ファイル(例えば、Waveファイル)に基づく音声をスピーカ130から出力させる。警告メッセージの内容については限定されないものであるが、例えば、図17に示す確認画面に表示されるメッセージとしてもよい。
【0147】
ステップS805に移行すると制御部10(取引処理部11)は、キー設定情報21のフリッカ設定値を参照する。
【0148】
制御部10(取引処理部11)は、キー設定情報21のフリッカ設定値が「1」(フリッカ120を点滅させない設定)に設定されている場合は、フリッカ120を点滅させずにステップS212の処理に移行し、キー設定情報21のフリッカ設定値が「2」(フリッカ120を点滅させる設定)に設定されている場合は、フリッカ120の点滅を開始させ(S806)、ステップS212の処理に移行する。
【0149】
ステップS212に移行すると、制御部10(取引処理部11)は、不正入力が解除されるまで(例えば、二重押しの状態や長押しの状態が解除されるまでの期間)何もせずに待機し、不正入力が解除された後にステップS207に移行する。なお、不正入力が解除された場合、制御部10(取引処理部11)は、不正入力に伴って実行した各動作(不正入力確認画面の表示、警告音の鳴動、警告メッセージの鳴動、及びフリッカ120の点滅)について停止してからステップS207に移行するようにしてもよい。
【0150】
(D−3)第4の実施形態の効果
第4実施形態によれば、第3の実施形態の効果に加えて以下のような効果を奏することができる。
【0151】
第4の実施形態の自動取引装置1では、不正入力の発生時に、設定に応じて、不正入力確認画面以外の種々の動作(スピーカ130からの警告音の鳴動、スピーカ130からの警告メッセージの鳴動、及びフリッカ120の点滅)にも対応している。これにより、第4の実施形態の自動取引装置1では、第3の実施形態と比較して、不正入力が発生していることを、より確実に顧客に認識させ、不正な支払い取引の低減が期待できる。
【0152】
また、第4の実施形態の自動取引装置1では、キー設定情報21の設定内容に応じて、不正入力の発生時に行う動作を柔軟に設定可能とすることで、利便性を向上させている。
【0153】
さらに、第4の実施形態の自動取引装置では、不正入力の発生時に、フリッカ120やスピーカ130による出力を行うので、周囲に注意を促す事ができ、不正な支払い取引の低減が期待できる。
【0154】
(E)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0155】
(E−1)上記の各実施形態の自動取引装置1では、ソフトウェアキーを含む操作画面を表示可能な表示操作部30と、ハードウェアキーにより構成されたキー入力操作部110を含む構成により、顧客からの入力を受付ける入力部が構成されているが、キー入力操作部110を省略して全てキーをソフトウェアキーで入力部を構成するようにしてもよい。
【0156】
例えば、図27に示す自動取引装置1Aでは、キー入力操作部110(ファンクションキー部111及びPINPAD部112)が省略されている。自動取引装置1Aでは、その代わりに、表示操作部30のサイズを大きくし、図28に示すように、省略したハードウェアキーを全てソフトウェアキーとして表示可能とするようにしてもよい。図28に示す表示操作部30では、操作画面を表示するための領域31の周囲に、ソフトウェアキーで構成された8つのファンクションキー31−1〜32−8や、ソフトウェアキーで構成されたPINPAD33が配置されている。自動取引装置1Aの制御部10(取引処理部11)では、表示操作部30上に配置されたソフトウェアキーについて長押し状態や二重押し状態を検知することができる。
【0157】
(E−2)上記の各実施形態では本発明の取引装置を自動取引装置(ATM)に適用する例について説明したが、本発明の取引装置は自動販売機や自動券売機等その他の装置に適用することもできる。
【0158】
(E−3)上記の各実施形態では、制御部10(取引処理部11)は、長押し状態及び二重押し状態の両方を監視しているかいずれか一方のみを監視するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0159】
1…自動取引装置、10…制御部、11…取引処理部、12…保守処理部、20…データ記録部、30…表示操作部、40…カード処理部、401…カード挿入排出口、50…紙幣入出金部、501…紙幣入出金口、60…硬貨入出金部、601…硬貨入出金口、70…ジャーナル記録部、80…通帳処理部、801…通帳挿入排出口、90…明細票発行部、901…明細票排出口、100…係員操作部、110…キー入力操作部、111…ファンクションキー部、112…PINPAD部。
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