【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
供給される被処理物を燃焼するライザーと、前記ライザーからの流動媒体及び燃焼ガスを、連結路を介して受けてこれらを分離するサイクロンとを有し、分離した前記流動媒体は前記ライザー下部に戻し、燃焼ガスは排出する構成とした循環流動炉において、
前記流動炉から排出される燃焼ガスを駆動源として回動されるタービンと、タービンの回動に伴って回動され、加圧空気を生成するコンプレッサーとを有する過給機と:
このコンプレッサーによって生成された加圧空気を、前記ライザー内の流動媒体を流動させる一次空気及び、一次空気より上方の位置からライザー内に供給される二次空気として供給する供給路と:
前記ライザーの内部温度を検出する温度検出手段と;前記連結路及びサイクロン出口部の少なくとも一方の内部温度を検出する温度検出手段と;を含む温度検出手段と:
これらの温度検出手段からの温度信号に基づき、前記一次空気量及び二次空気量のうち少なくとも前記一次空気量を調整する空気量制御手段と:
を含むことを特徴とする加圧循環流動炉の運転方法。
【0008】
(作用効果)
供給される被処理物を燃焼するライザーと、前記ライザーからの流動媒体及び燃焼ガスを、連結路を介して受けてこれらを分離するサイクロンとを有し、分離した前記流動媒体は前記ライザー下部に戻し、燃焼ガスは排出する構成とした循環流動炉を使用する。
かかる循環流動炉を使用することにより、供給される被処理物を、フリーボード燃焼がない又は少ないので、主にライザーで安定した燃焼を図ることができる。
さらに本発明では、流動炉から排出される燃焼ガスを駆動源として回動されるタービンと、タービンの回動に伴って回動され、加圧空気を生成するコンプレッサーとを有する過給機と、そのコンプレッサーによって生成された加圧空気を、流動炉のライザーの流動媒体を流動させる一次空気及び一次空気より上方の位置からライザー内に供給
される二次空気として供給する供給路とを有する構成によって、流動媒体(流動砂)の十分な流動、および燃焼処理を図ることができる。
観点を変えていえば、被処理物を完全燃焼させた際に生じる燃焼ガスによって過給機のタービンを駆動し、コンプレッサーから排出される加圧空気によって被処理物の燃焼及び流動媒体の流動に必要な燃焼空気を全て賄う自立運転が可能となる。自立運転が可能となることで、従来、必要であった流動ブロワおよび誘引ファンが不要となり、ランニングコストが低減する。さらに、生成された加圧空気の圧力は十分に高く、二次空気より高い圧力が必要な一次空気として全量供給することも可能となる。
前記ライザーの内部温度を検出する温度検出手段と、前記連結路及びサイクロン出口部の少なくとも一方の内部温度を検出する温度検出手段とを含む温度検出手段を有する。
さらに、これらの温度検出手段からの温度信号に基づき、前記一次空気量及び二次空気量のうち少なくとも前記一次空気量を調整する空気量制御手段を有する。
その結果、温度検出手段により温度信号に基づき、一次空気量及び二次空気量のうち少なくとも一次空気量を調整することにより燃焼を安定化させることができる。
本発明においては、ライザーでの温度検出(高さ方向1箇所又は複数箇所)のほか、特に、連結路及びサイクロン出口部の少なくとも一方においても、温度検出して一次空気量及び二次空気量のうち少なくとも一次空気量を調整する。
本発明においては、要すれば、循環流動炉と過給機とを組み合せるので流動・誘引ブロワが不要となり、さらに、空気量調整で適切な温度で燃焼する。
【0009】
前記空気量制御手段により、前記一次空気を、一次空気と二次空気の和である全空気量の10%〜100%の範囲で変動
させる加圧循環流動炉の運転方法。
【0010】
(作用効果)
一次空気と二次空気の和である全空気量の10%〜100%の範囲で変動させることにより、流動媒体の流動状態及び被処理物の燃焼を適切なものとすることができる。
従来の循環流動炉では、炉内に供給する総燃焼空気流量のうち、一次空気に供給できる空気流量は、流動ブロワの能力によって制限されていた。これは一次空気が循環流動炉の流動層内に供給されるため、二次空気と比較して高い供給圧力が必要とされるからである。一方、本発明によれば、コンプレッサーから排出される加圧空気の圧力が十分に高いため設備建設後でも総燃焼空気流量に占める一次空気の割合を自由に変えることができる。
【0011】
前記一次空気量の制御により、前記ライザー内の空塔速度を3.0〜6.0m/秒と
する加圧循環流動炉の運転方法。
【0012】
(作用効果)
ライザー内の空塔速度を遅くすることにより、被処理物の安定した燃焼を図ることができる。
【0013】
前記循環流動炉は、サイクロンで分離した前記流動媒体を前記ライザー下部に戻す
戻す経路の途中に、前記流動媒体を一時的に貯留するシールポットを有し、このシールポットには貯留流動媒体を流動させて前記ライザー下部に戻すよう流動化空気供給手段を備えた構成で
ある加圧循環流動炉の運転方法。
【0014】
(作用効果)
サイクロンで分離した流動媒体をライザー下部に戻す
戻す経路の途中に、流動媒体を一時的に貯留するシールポットを設けると、ライザー下部からサイクロンへの吹き抜けを防止できる。貯留流動媒体を流動させてライザー下部に戻すために、流動媒体を戻す量を制御できる。
【0015】
前記循環流動炉が、分離した前記流動媒体を、前記ライザー下部に戻す経路にシールポットがなく連続して返送され、
戻す経路下方には、流動化空気供給手段を備えた構成で
ある加圧循環流動炉の運転方法。
【0016】
(作用効果)
サイクロンで分離された流動媒体を、ライザー下部に戻す経路にシールポットがなく連続して返送することもできる。この場合、戻す経路の下部にシールポットを設けないとしても、ライザー下部からサイクロンへの吹き抜け防止のためには、戻す経路の下部に流動媒体が必要な密度で存在することが必要となる。流動化空気は、
戻す経路での流動媒体の移動を促進する。
【0017】
前記ライザー内に脱硫剤を供給する脱硫剤供給手段を備
える加圧循環流動炉の運転方法。
【0018】
(作用効果)
燃焼ガス中に含まれる硫黄分を可能な限り除去することが望ましい。そこで、ライザー内に脱硫剤を供給することで硫黄分の除去が可能である。循環流動炉内に脱硫剤を投入する最大の利点は、脱硫剤も循環するので、未反応の脱硫剤が減少し、脱硫剤の時間当たりの使用量は少なくて足りる。
【0019】
前記脱硫剤をスラリー状態で前記脱硫剤供給手段により前記ライザー内に供給
する加圧循環流動炉の運転方法。
【0020】
(作用効果)
脱硫剤(その代表例は石灰石)は、たとえば10〜500μmの粒子で供給してもよいが、未反応の脱硫剤(特に小径の脱硫剤)が循環流動炉外へ排出されてしまう可能性があるとともに、過度に大きいと供給量当たりの総比表面積が大きくならないので、反応効率が悪い問題がある。さらに、粒子形態では、循環流動炉への供給量の調整を厳格に行うことができ難い。しかも、根本的な課題として、本発明ではライザー内を加圧状態とするので、粒子形態の供給に困難を来す。これに対し、脱硫剤をスラリー状態で脱硫剤供給手段によりライザー内に供給することで、前述の問題のすべてを解決できる。
【0021】
前記循環流動炉が、分離した前記流動媒体を、前記ライザー下部に
戻す経路にシールポットがなく連続して返送される構成であり、
前記サイクロンから排出される燃焼ガスを空気予熱器に通した後に、集塵機により集塵を行ない、集塵機で除塵された空気を前記過給機のタービンに供給し、コンプレッサーによって生成された加圧空気の一部を前記空気予熱器に通した後に、一次空気及び二次空気として使用するとともに、
加圧空気の残部は、前記空気予熱器を通さず、前記
戻す経路に設けた前記流動化空気供
給手段に直接供給
する加圧循環流動炉の運転方法。
【0022】
(作用効果)
戻す経路に設けた流動化空気吹込み手段に供給する加圧空気としては、高温であるとハンドリングなどに問題が生じるので、空気予熱器を通さず、直接、コンプレッサーによって生成された加圧空気を供給するので望ましい。
【0023】
供給される被処理物を燃焼するライザーと、前記ライザーからの流動媒体及び燃焼ガスを、連結路を介して受けてこれらを分離するサイクロンとを有し、分離した前記流動媒体は前記ライザー下部に戻し、燃焼ガスは排出する構成とした循環流動炉において、
前記流動炉から排出される燃焼ガスを駆動源として回動されるタービンと、タービンの回動に伴って回動され、加圧空気を生成するコンプレッサーとを有する過給機と、
このコンプレッサーによって生成された加圧空気を、前記流動炉のライザーに、一次空気及び二次空気として供給する供給路と、
前記ライザーと、前記連結路及びサイクロン出口部の少なくとも一方とにその内部温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段からの温度信号に基づき、前記一次空気量及び二次空気量を調整する空気量制御手段と、
を含むことを特徴とする加圧循環流動炉の運転装置。
【0024】