(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0015】
(実施の形態1)
本実施の形態においては、クラックレス状態を伴わない通常の方法によってスクライブラインが形成される場合について説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態におけるスクライブラインの検査方法の構成を概略的に示すフロー図である。以下、
図1を参照しつつ、スクライブラインの検査方法について説明する。
【0017】
図2および
図3を参照して、まず、平坦な上面SF1(第1の面)と、平坦な下面SF2(第1の面と反対の第2の面)とを有するガラス基板4(脆性基板)が準備される(
図1:ステップS10)。上面SF1上にはスクライブラインSLが設けられている。
【0018】
スクライブラインSLは、トレンチラインTLと、トレンチラインTLの直下でトレンチラインTLに沿って延びるクラックラインCLとを有している。トレンチラインTLは、延在方向(
図2における横方向)に延在している。なお、トレンチラインTLは典型的には直線状であるが、曲線状のトレンチラインが形成されてもよく、この場合、トレンチラインは、上面SF1上の少なくとも一の位置において一の延在方向に延在している。クラックラインCLは、トレンチラインTLのくぼみからガラス基板4中へ、上面SF1に垂直な厚さ方向DTに伸展したクラックである。
【0019】
クラックラインCLによってトレンチラインTLの直下においてガラス基板4はトレンチラインTLの延在方向と交差する方向DC(
図3)において連続的なつながりが断たれている。ここで「連続的なつながり」とは、言い換えれば、クラックによって遮られていないつながりのことである。なお、上述したように連続的なつながりが断たれている状態において、クラックラインCLのクラックを介してガラス基板4の部分同士が接触していてもよい。
【0020】
本実施の形態においては、スクライブラインSLは、通常のスクライブ方法によって形成され得る。具体的には、ダイヤモンドカッタなどのカッティング器具がガラス基板4の上面SF1上を摺動または転動することで、ガラス基板4上に塑性変形によるトレンチが形成されると同時に、このトレンチの直下には垂直クラックが形成される。
【0021】
場合によっては、何らかの要因により、正常なクラックラインCLを有するスクライブラインSL(
図3)が上面SF1上に形成されていない場合があり得る。具体的には、
図4に示すように、垂直性が乱れた(湾曲、あるいは傾斜した)クラックラインCAを有するスクライブラインSAが形成されていることがあり得る。あるいは、
図5に示すように、スクライブラインがクラックラインCL(
図3)を欠いていることがあり得る。そこで、スクライブラインSLが適切に形成されているか否かを判別するための検査が行われる。
【0022】
図6を参照して、上記検査の目的で検査装置40が準備される。検査装置40は、反射部材10と、基板押さえ11と、テーブル12と、レーザヘッド20と、ヘッド位置調整部28と、アンプ29とを有している。レーザヘッド20は光源21およびセンサ22を有している。
【0023】
テーブル12は、反射部材10を介してガラス基板4を支持するものである。またテーブル12は、ガラス基板4を変位させるものであり、たとえば、図中矢印A1およびA2のそれぞれに示すように、ガラス基板4の水平位置および傾斜角を調整するものである。基板押さえ11は、ガラス基板4をテーブル12上へ押さえつけるものである。基板押さえ11によって押さえつけられることにより、ガラス基板4のたわみが矯正され得る。これにより、ガラス基板4および反射部材10が互いにより密着させられる。よって両者の間に隙間が形成されにくくなる。
【0024】
光源21は、検査対象であるガラス基板4への入射光LIとして、レーザによる光を放射するものである。レーザの波長は、入射光LIがガラス基板4を透過しやすくなるように選択される。本実施の形態のように検査対象がガラス基板4である場合、たとえば、可視光域の波長を用いることができる。センサ22は、ガラス基板4からの出射光LOを検出するものである。センサ22によって検出された信号がアンプ29によって処理されることにより、出射光LOの強度が測定される。ヘッド位置調整部28は、レーザヘッド20を変位させるものであり、たとえば、図中矢印A3に示すように、ガラス基板4の厚さ方向に平行な高さ位置を調整するものである。レーザヘッド20が変位されることにより、それが有する光源21およびセンサ22は一緒に移動させられる。
【0025】
反射部材10は、光源21からのレーザ光を効率的に反射することができる表面を有している。このため、反射部材10の表面は、平坦な形状と、上記レーザ光の波長域での高い反射率とを有していることが好ましい。可視光域のレーザ光が用いられる場合、反射部材10として、たとえば、研磨面を有するシリコンウエハを用い得る。
【0026】
図7および
図9は、検査装置40(
図6)を用いた検査の様子を示す断面図である。
図8および
図10のそれぞれは、
図7および
図9の工程を概略的に示す上面図である。なお
図8および
図10においては5つのスクライブラインSLが例示されているが、
図7および
図9においては簡略化のためにそのうち1つのみが図示されている。
【0027】
図7を参照して、まずガラス基板4の下面SF2が反射部材10上に載せられる。次に、基板押さえ11によってガラス基板4が反射部材10を介してテーブル12に押し付けられる。ガラス基板4への入射光LIが光源21から放射される。これによりガラス基板4の上面SF1上に局所的に入射光LIのスポット光SP(
図7および
図8)が当てられる。入射光LIの光軸方向は、上面SF1に垂直な方向(
図7における縦方向)を基準として、上面SF1上においてトレンチラインTLの延在方向(
図7における紙面に垂直な方向)に垂直な方向(
図7における横方向)への傾斜成分を有している。好ましくは、入射光LIの光軸方向は、上面SF1に垂直な方向(
図7における縦方向)を基準として、上面SF1上においてトレンチラインTLの延在方向(
図7における紙面に垂直な方向)に垂直な方向(
図7における横方向)へ向かって傾斜している。
【0028】
トレンチラインTLと交差する方向(
図9における横方向、
図10における走査方向SC)に沿って、入射光LIのスポット光SPで上面SF1が走査される。これにより、ガラス基板4の外部から上面SF1を経由して、上面SF1の、トレンチラインTLが延在方向に延在している一の位置の直下へ入射光LIが照射される(
図1:ステップS20)。これにより生じる現象について、以下、3つの場合に分けて説明する。
【0029】
図11を参照して、第1に、上面SF1にほぼ垂直である正常なクラックラインCLが形成されている場合、クラックラインCLが入射光LIを反射することによって、下面SF2へ向かう反射光LRが生じる。なお入射光LIの一部が透過光LTとしてクラックラインCLを透過してもよい。下面SF2に配置された反射部材10が反射光LRを反射することによって、下面SF2から上面SF1を経由してガラス基板4の外へと向かう出射光LOが発生させられる(
図1:ステップS30)。出射光LOがセンサ22(
図9)によって検出されることにより、出射光LOの強度が測定される(
図1:ステップS40)。クラックラインCLの存在により、この強度は十分に高いものとなる。
【0030】
図12を参照して、第2に、垂直性が乱れた(湾曲した)クラックラインCAが形成されている場合、クラックラインCAが入射光LIを拡散するので、
図11の場合ほど十分に高い反射光LRは得られない。この結果、測定される出射光LOの強度は、クラックラインCL(
図11)が形成されている場合に比して小さくなる。同様に、傾斜したクラックラインが形成されている場合には、正常なクラックラインCLが形成されている場合と比較して反射角度が異なる反射光が生じる。この場合、出射光は正常なクラックラインCLの反射光を受光するように設定されたセンサ22には受光されず、測定される出射光LOの強度は、クラックラインCL(
図11)が形成されている場合に比して小さくなる。
【0031】
図13を参照して、第3に、トレンチラインTLの直下にクラックラインCLを欠く場合、反射光LR(
図11)は生じない。この結果、測定される出射光LOの強度は実質的にゼロとなる。
【0032】
本実施の形態によれば、
図11〜
図13を参照して上述したように、反射光LRから得られる出射光LOの強度は、反射光LRを生じさせるクラックラインCL(
図11)が適切に形成されているか否かに依存する。よって、出射光LOの強度を測定することによって、クラックラインCLが適切に形成されているか否かを判別することができる。これにより、クラックラインCLの形成工程を管理することができる。適切なクラックラインCLが形成されることにより、その後に行われるクラックラインCLに沿ったガラス基板4の分断、すなわちブレイク工程、の歩留まりを高めることができる。
【0033】
入射光LIを照射する工程は、スクライブラインSLと交差する方向に沿って入射光LIのスポット光SP(
図10)で上面SF1を走査することによって行われ得る。これにより、入射光LIをトレンチラインTLの直下に位置するクラックラインCLへ確実に入射することができる。
【0034】
レーザヘッド20に含まれる光源21およびセンサ22(
図6)は、レーザヘッド20の移動によって一緒に移動させ得る。この場合、入射光LIの発生位置と、出射光LOの観測位置との相対関係が保たれる。よって、光学測定系において所定の光の経路を容易に維持することができる。よって、安定した測定が容易に行われ得る。
【0035】
なお基板押さえ11(
図6)に代わり、他の手段によってガラス基板4が固定されてもよい。たとえば、真空吸着または粘着テープが用いられてもよい。また光路の乱れが問題とならない限り、ガラス基板4と反射部材10との間に間隔が設けられてもよい。またレーザヘッド20およびテーブル12の変位は、両者の間の相対位置を調整するために行われるものである。よって、レーザヘッド20およびテーブル12の一方の変位の一部または全部を他方の変位によって代替させることが可能である。
【0036】
(実施の形態2)
本実施の形態においては、スクライブラインSL(
図3)を有するガラス基板4が準備される工程(
図1:ステップS10)が、クラックレス状態を伴う工程(
図14)を含む場合について説明する。
【0037】
図15および
図16を参照して、まず、クラックレス状態のトレンチラインTL(
図5)を形成する(
図14:ステップS11)ためのカッティング器具50について説明する。カッティング器具50は、刃先51およびシャンク52を有している。
【0038】
刃先51は、そのホルダとしてのシャンク52に固定されることによって保持されている。刃先51には、天面SD1と、天面SD1を取り囲む複数の面とが設けられている。これら複数の面は側面SD2および側面SD3を含む。天面SD1、側面SD2およびSD3は、互いに異なる方向を向いており、かつ互いに隣り合っている。刃先51は、天面SD1、側面SD2およびSD3が合流する頂点を有し、この頂点によって刃先51の突起部PPが構成されている。また側面SD2およびSD3は、刃先51の側部PSを構成する稜線をなしている。側部PSは突起部PPから線状に延びている。また側部PSは、上述したように稜線であることから、線状に延びる凸形状を有する。刃先51はダイヤモンドポイントであることが好ましい。すなわち刃先51は、硬度および表面粗さを小さくすることができる点からダイヤモンドから作られていることが好ましい。より好ましくは刃先51は単結晶ダイヤモンドから作られている。さらに好ましくは結晶学的に言って、天面SD1は{001}面であり、側面SD2およびSD3の各々は{111}面である。この場合、側面SD2およびSD3は、異なる向きを有するものの、結晶学上、互いに等価な結晶面である。なお単結晶でないダイヤモンドが用いられてもよく、たとえば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法で合成された多結晶体ダイヤモンドが用いられてもよい。あるいは、微粒のグラファイトや非グラファイト状炭素から、鉄族元素などの結合材を含まずに焼結された多結晶体ダイヤモンド粒子を鉄族元素などの結合材によって結合させた焼結ダイヤモンドが用いられてもよい。
【0039】
シャンク52は軸方向AXに沿って延在している。刃先51は、天面SD1の法線方向が軸方向AXにおおよそ沿うようにシャンク52に取り付けられることが好ましい。
【0040】
次に、カッティング器具50を用いたトレンチラインTLの形成(
図14:ステップS11)について、以下に説明する。
【0041】
図17を参照して、まず、トレンチラインTLが形成されることになるガラス基板4が準備される。ガラス基板4は平坦な上面SF1を有する。上面SF1を囲む縁は、互いに対向する辺ED1および辺ED2を含む。
図17で示す例においては、縁は長方形状である。よって辺ED1およびED2は互いに平行な辺である。また
図17で示す例においては辺ED1およびED2は長方形の短辺である。
【0042】
次に、上面SF1に刃先51(
図15)が位置N1(
図17)で押し付けられる。位置N1の詳細は後述する。刃先51の押し付けは、
図15を参照して、ガラス基板4の上面SF1上で刃先51の突起部PPが辺ED1および側部PSの間に配置されるように、かつ刃先51の側部PSが突起部PPと辺ED2の間に配置されるように行なわれる。
【0043】
次に、上面SF1上でのカッティング器具50の摺動が行われる。この摺動は、位置N1および位置N3の間で行なわれる。位置N1およびN3の間には位置N2が位置する。よってトレンチラインTLは、位置N1およびN2の間と、位置N2およびN3の間とに形成される。位置N1およびN3は、
図17に示すようにガラス基板4の上面SF1の縁から離れて位置してもよく、あるいは、その一方または両方が上面SF1の縁に位置してもよい。形成されるトレンチラインTLは、前者の場合はガラス基板4の縁から離れており、後者の場合はガラス基板4の縁に接している。位置N1およびN2のうち位置N1の方が辺ED1により近く、また位置N1およびN2のうち位置N2の方が辺ED2により近い。なお
図17に示す例では、位置N1は辺ED1およびED2のうち辺ED1に近く、位置N2は辺ED1およびED2のうち辺ED2に近いが、位置N1およびN2の両方が辺ED1またはED2のいずれか一方の近くに位置してもよい。
【0044】
本実施の形態においては、位置N1から位置N2へ刃先51が変位させられ、さらに位置N2から位置N3へ変位させられる。すなわち、
図15を参照して、刃先51が、辺ED1から辺ED2へ向かう方向である方向DAへ変位させられる。方向DAは、側部PSを上面SF1上に射影した方向におおよそ平行であり、刃先51からシャンク52へ延びる軸方向AXを上面SF1上へ射影した方向をおおよそ向いている。この場合、刃先51はシャンク52によって上面SF1上を引き摺られる。すなわち、押し付けられた刃先51がガラス基板4の上面SF1上で摺動させられる(
図17における矢印参照)。この摺動によってガラス基板4の上面SF1上に塑性変形が発生させられる。この塑性変形により上面SF1上に、溝形状を有するトレンチラインTLが形成される。この際にガラス基板4が若干削れてもよいが、それに伴って破片が生じ得ることから、そのような削れはなるべく少ないことが好ましい。
【0045】
トレンチラインTLを形成する上記工程は、トレンチラインTLの直下においてガラス基板4がトレンチラインTLの延在方向と交差する方向DC(
図5)において連続的につながっている状態であるクラックレス状態が得られるように行なわれる。クラックレス状態においては、塑性変形によるトレンチラインTLは形成されているものの、それに沿ったクラックは形成されていない。よって従来のブレイク工程のようにガラス基板4に単純に曲げモーメントなどを発生させる外力を加えても、トレンチラインTLに沿った分断は容易には生じない。このためクラックレス状態においてはトレンチラインTLに沿った分断工程は行われない。クラックレス状態を得るために、刃先51に加えられる荷重は、クラックが発生しない程度に小さく、かつ塑性変形が発生する程度に大きくされる。
【0046】
クラックレス状態は、必要な時間に渡って維持される(
図14:ステップS12)。クラックレス状態の維持のためには、トレンチラインTLにおいてガラス基板4に対して過度の応力が加わるような操作、たとえば基板に破損を生じるような大きな外部応力の印加または大きな温度変化を伴う加熱、が避けられればよい。クラックレス状態が維持されている間、ガラス基板4が搬送されてもよく、またガラス基板4が加工されてもよい。
【0047】
図18を参照して、クラックレス状態が維持された後、言いかえれば、トレンチラインTLの形成から時間差を置いて、トレンチラインTLに沿って厚さ方向DT(
図3)におけるガラス基板4のクラックが伸展させられる。具体的には、トレンチラインTLに沿って位置N2から位置N1の方へ(図中、破線矢印参照)、厚さ方向DTにおけるガラス基板4のクラックが伸展させられる。これによって、トレンチラインTLに沿って延びるクラックラインCLが形成される(
図14:ステップS13)。クラックラインCLの形成は、アシストラインALおよびトレンチラインTLが位置N2で互いに交差することによって開始される。この目的で、トレンチラインTLを形成した後にアシストラインALが形成される。アシストラインALは、厚さ方向DTにおけるクラックを伴う通常のスクライブラインであり、トレンチラインTL付近の内部応力の歪みを解放するものである。アシストラインALの形成方法は、特に限定されないが、
図18に示すように、上面SF1の縁を基点として形成されてもよい。
【0048】
なお位置N2から位置N1への方向に比して、位置N2から位置N3への方向へは、クラックラインCLが形成されにくい。つまりクラックラインCLの伸展のしやすさには方向依存性が存在する。よってクラックラインCLが位置N1およびN2の間には形成され位置N2およびN3の間には形成されないという現象が生じ得る。本実施の形態は位置N1およびN2間に沿ったガラス基板4の分断を目的としており、位置N2およびN3間に沿ったガラス基板4の分離は目的としていない。よって位置N1およびN2間でクラックラインCLが形成されることが必要である一方で、位置N2およびN3間でのクラックラインCLの形成されにくさは問題とはならない。
【0049】
上述したように、クラックラインCLの形成を意図してアシストラインALが形成される。しかしながら、アシストラインALが形成されてもクラックラインCLが形成されなかったり、異常なクラックラインCL(
図4)が形成されたりする場合があり得る。このため、アシストラインALを形成した後に、実施の形態1で説明したように、スクライブラインの検査方法が行われる。本実施の形態のようにクラックレス状態が維持された後にクラックラインCLが形成される場合は、クラックレス状態を経ずにクラックラインCLが形成される場合に比して、クラックラインCLの形成の確実性が低下する。このような形成不良の有無を、実施の形態1で説明したスクライブラインの検査方法によって、容易に判別することができる。
【0050】
なおトレンチラインTLの形成に際して、
図17の矢印に示すように刃先51が位置N1から位置N3へ変位させられる代わりに、位置N3から位置N1へ変位させられてもよい。この場合、刃先51は、
図15において方向DAに代わり方向DBへ変位させられる。またトレンチラインTLを形成するための器具は、刃先51(
図15)に限定されるものではなく、円錐状の刃先が用いられてもよい。また、摺動させられる刃先に代わり、転動させられる刃先が用いられてもよい。この場合、転動方向は方向DB(
図15)に相当する方向とされることが好ましい。
【0051】
またクラックラインCLは、トレンチラインTL上においてガラス基板4に、トレンチラインTL付近の内部応力の歪みを解放するような応力を印加することによって開始され得る。より大きな応力を発生させるために、アシストラインALに沿ったガラス基板4の分断が行われてもよい。またアシストラインALの形成に代わり、たとえば、形成されたトレンチラインTL上あるいはその近傍に再度刃先を押し付けることによる外部応力の印加、または、レーザ光の照射などによる加熱が行われてもよい。
【0052】
またガラス基板4の縁の辺ED1およびED2は
図17において長方形の短辺であるが、長方形の長辺であってもよい。また縁の形状は長方形に限定されるものではなく、たとえば正方形であってもよい。また辺ED1およびED2は直線状のものに限定されるものではなく曲線状であってもよい。またガラス基板4の上面SF1は、平坦なものに限定されるわけではなく、湾曲していてもよい。
【0053】
また脆性基板としてガラス基板4が用いられる場合について詳述したが、脆性基板はガラス基板に限定されるものではなく、たとえば、セラミックス、シリコン、化合物半導体、サファイア、または石英の基板が用いられてもよい。レーザ光の波長と、反射部材10の材料とは、脆性基板の材料に応じて適宜選択され得る。たとえば脆性基板がシリコン基板である場合、赤外線レーザを用いることが好ましい。