特許第6555004号(P6555004)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6555004
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】フェンダー構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/16 20060101AFI20190729BHJP
   B62D 25/18 20060101ALI20190729BHJP
   B62D 25/22 20060101ALI20190729BHJP
   B62D 33/06 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   B62D25/16 C
   B62D25/18 C
   B62D25/22
   B62D33/06 B
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-163197(P2015-163197)
(22)【出願日】2015年8月20日
(65)【公開番号】特開2017-39417(P2017-39417A)
(43)【公開日】2017年2月23日
【審査請求日】2018年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128509
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 晴久
(74)【代理人】
【識別番号】100119356
【弁理士】
【氏名又は名称】柱山 啓之
(72)【発明者】
【氏名】増島 雄三
(72)【発明者】
【氏名】宇野 雄一郎
【審査官】 梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−034779(JP,U)
【文献】 実開昭55−099909(JP,U)
【文献】 実開平02−092386(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/16
B62D 25/18
B62D 25/22
B62D 33/06
B62D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪タイヤの上方に位置するキャブボディ側面に、開口部を有するフェンダーを取り付けると共に前記開口部内に車幅方向外側から移動用ステップを埋め込んで取り付けるフェンダー構造であって、
前記キャブボディに、前記移動用ステップの踏み板部を支持する支持ブラケットを設け、前記支持ブラケットに、前記前輪タイヤに対して前記開口部の下縁を覆う泥除けブラケットを下方に延びて設けたことを特徴とするフェンダー構造。
【請求項2】
前記開口部より下方のフェンダーの車幅方向内側の面には、前記開口部の下縁に沿って延びるリブが形成され、前記泥除けブラケットは、前記リブより下方に延びて形成された請求項1に記載のフェンダー構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前輪タイヤの上方に位置するキャブボディ側面に、フェンダー及び移動用ステップを配設するフェンダー構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、大型車のキャブは、軽量化等のためにフェンダーが樹脂成形品とされているものがある。キャブの軽量化は、キャブをチルト可能に支持する支持機構の軽量化にもつながり、最大積載量が増加できる等の種々のメリットが期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60−137679号公報
【特許文献2】実開平05−044772号公報
【特許文献3】実開昭63−034779号公報
【特許文献4】実開昭62−091778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本出願人は、フェンダーとキャブ後方へ移動するための移動用ステップとを別体で樹脂形成し、必要に応じてフェンダーに移動用ステップを後付けする構造を発明した(未公開)。かかる構造によれば、移動用ステップがあるタイプのキャブと移動用ステップがないタイプのキャブとで共通のフェンダーを用いることができ、コストダウンを図ることができる。
【0005】
しかしながら、フェンダー及び移動用ステップは、前輪タイヤの上方に位置し、フェンダーには、移動用ステップを埋め込むための開口が形成されるため、前輪タイヤから跳ね上げられた泥がフェンダー裏面に付くと、その泥がフェンダーの開口縁と移動用ステップの隙間を伝ってフェンダー表面に染み出し、フェンダー表面で垂れてしまう虞があるという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、前輪タイヤから跳ね上げられた泥がフェンダーの開口部と移動用ステップとの隙間を伝ってフェンダー表面で垂れるのを防ぐことができるフェンダー構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明は、前輪タイヤの上方に位置するキャブボディ側面に、開口部を有するフェンダーを取り付けると共に前記開口部内に車幅方向外側から移動用ステップを埋め込んで取り付けるフェンダー構造であって、前記キャブボディに、前記移動用ステップのステップ面を支持する支持ブラケットを設け、前記支持ブラケットに、前記前輪タイヤに対して前記開口部の下縁を覆う泥除けブラケットを下方に延びて設けたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のステップ構造によれば、前輪タイヤから跳ね上げられた泥がフェンダーの開口部と移動用ステップとの隙間を伝ってフェンダー表面で垂れるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態に係るフェンダー構造の背面断面図である。
図2図1の要部拡大図である。
図3】キャブボディ側面、フェンダー及び移動用ステップの斜視説明図である。
図4】リアフェンダーを表面側から視た側面図である。
図5】キャブの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。なお、後述する実施の形態における前後左右は、車両の走行方向を基準とする。例えば、前方は車両走行方向前方とし、後方は車両走行方向後方とする。
【0011】
図5に示すキャブ1は、大型車のものであり、キャブボディ11(図3参照)の側面に配置される金属製の側板2と、側板2の下縁と隣接して配置されると共にキャブボディ11の側面に配置されるフェンダー3と、フェンダー3の下縁と隣接して配置されると共に前輪タイヤ4を覆うように配置されるマッドフェンダー5とを備える。
【0012】
フェンダー3は、ABS樹脂等の樹脂からなり、前方に配置されるフロントフェンダー6と、フロントフェンダー6の後端に隣接して配置され前輪タイヤ4の上方に位置するリアフェンダー7とからなる。
【0013】
図1及び図4に示すように、リアフェンダー7は、キャブ1の外装面を形成するフェンダー面部9と、フェンダー面部9の裏面に設けられたリブ10と、フェンダー面部9に設けられキャブボディ11の取付ブラケット12等にリアフェンダー7をボルト締めするための第一締結部13と、フェンダー面部9に形成され移動用ステップ8を埋め込んで設けるための開口部19と、開口部19の周囲に設けられフェンダー面部9に移動用ステップ8を締結するための第二締結部15とを備える。
【0014】
リブ10は、開口部19より下方のリアフェンダー7に車長方向に延びて形成されると共に高さ方向に間隔を隔てて複数形成されている。特に、最上段に位置するリブ10は、開口部19の下縁に沿って形成されると共に、フェンダー面部9の表面と後述する移動用ステップ8のフランジ部23とが当接する位置(高さ)に形成されており、フランジ部23を受けるようになっている。
【0015】
第一締結部13は、裏面から車幅方向内側に突出して形成されており、ナット(図示せず)が内蔵されている。第二締結部15は、後述する移動用ステップ8側から車幅方向内側に延びる取付ボルト(図示せず)を上下に移動可能に挿通させるようになっている。
【0016】
図3及び図5に示すように、移動用ステップ8は、図示しない座席空間から架装まで地上に降りることなく移動できるようにするためのものであり、上縁部がリアフェンダー7の第二締結部15に下方に微少移動可能に取り付けられると共に、下部が支持ブラケット30の外延部32に設けられる。
【0017】
図1及び図3に示すように、移動用ステップ8は、リアフェンダー7の開口部19に車幅方向外側から内側に埋め込まれるステップ本体22と、ステップ本体22の外周に形成されると共に開口部19周縁のフェンダー面部9と当接するように形成されたフランジ部23とを有する。ステップ本体22は、車幅方向内側に窪む凹状に形成されており、略水平に形成されると共に前後に長く形成された踏み板部24を有する。フランジ部23は、開口部19を車幅方向外側から覆うようにステップ本体22から外周方向に延びると共に車幅方向内側に湾曲して形成されており、外周端がフェンダー面部9の外面に沿う形状に形成されている。
【0018】
また、キャブボディ11には、リアフェンダー7を取り付けるための取付ブラケット12が設けられると共に、移動用ステップ8の踏み板部24を載置させて支持するための支持ブラケット30が設けられている。取付ブラケット12は、上下に延びて形成されており、キャブボディ11の後側部から下方に一対並行に延びて設けられる。支持ブラケット30は、車長方向に長く形成されると共に、一対の取付ブラケット12に跨がって配置される。支持ブラケット30は、キャブボディ11の後側部から下方に延びる下延部31と、下延部31の下端から車幅方向外側に延びる外延部32とを備える。外延部32は、移動用ステップ8の踏み板部24の底面に当接することで踏み板部24を下方から支持するようになっている。
【0019】
また、一対の取付ブラケット12間に位置する支持ブラケット30には、前輪タイヤ4に対して開口部19の下縁を覆うための泥除けブラケット33が設けられている。
【0020】
図1及び図2に示すように、泥除けブラケット33は、金属板を略L字状に屈曲して形成される。具体的には、泥除けブラケット33は、外延部32の底面に重ねて配置され外延部32に締結される締結板部35と、締結板部35から屈曲されて下方に延びる泥除け板部36とを備える。
【0021】
泥除け板部36は、フェンダー面部9の裏面から微少間隔を隔てて配置されると共にフェンダー面部9の裏面に対して平行に配置されている。また、泥除け板部36は、フェンダー面部9の表面とフランジ部23とが当接する高さ位置に形成されたリブ10より下方に延びて形成されている。これにより、リブ10が泥除け板部36とリアフェンダー7との間を塞ぐこととなり、前輪タイヤ4から跳ね上げられた泥Mが開口部19に至るのをより確実に防ぐことができる。
【0022】
なお、泥除けブラケット33は、リアフェンダーの一部形状を避けるために車長方向に分割されているが、泥除けブラケット33の設置位置に障害物がない場合、泥除けブラケット33を車長方向に分割しなくともよい。
【0023】
泥除けブラケット33は、泥を防ぐ構造であれば金属でなくてもよく、形状も略L字状に限るものではない。また、配置もフェンダー面部9の裏面に対して平行でなくてもよい。
【0024】
次に本実施の形態の作用を述べる。
【0025】
図1に示すように、前輪タイヤ4からの泥Mが泥除けブラケット33より車幅方向内側の支持ブラケット30に付いた場合、泥Mは支持ブラケット30の裏面(車幅方向内側の面)を伝って下方に垂れ、泥除けブラケット33に至るが泥除けブラケット33は下方に延びているため泥除けブラケット33を越えて支持ブラケット30の車幅方向外側に至ることはない。泥除けブラケット33に至った泥Mは、泥除けブラケット33の裏面を伝って下方に垂れ、前輪タイヤ4上又は前輪タイヤ4より前後の位置に落ちる。また、前輪タイヤ4からの泥Mが泥除けブラケット33の裏面に付いた場合も同様に泥Mは前輪タイヤ4上又は前輪タイヤ4より前後の位置に落ちる。
【0026】
また、前輪タイヤ4からの泥Mが泥除けブラケット33とリアフェンダー7との間に飛んだ場合、泥Mはリブ10によって上方への移動を阻止され泥除けブラケット33又はリブ10より下方のリアフェンダー7裏面を伝って下方に落ちる。
【0027】
このように、支持ブラケット30に、前輪タイヤ4に対して開口部19の下縁を覆う泥除けブラケット33を下方に延びて設けたため、前輪タイヤ4から跳ね上げられた泥Mがリアフェンダー7の開口部19に至るのを防ぐことができ、泥Mが開口部19と移動用ステップ8との隙間を伝ってフェンダー表面で垂れるのを防ぐことができる。
【0028】
また、開口部19より下方のリアフェンダー7の裏面には、開口部19の下縁に沿って延びるリブ10が形成され、泥除けブラケット33は、リブ10より下方に延びて形成されるものとしたため、前輪タイヤ4から跳ね上げられた泥Mがリアフェンダー7の開口部19に至るのをより確実に防ぐことができる。
【0029】
なお、フェンダー3は、前後別々に樹脂成形するものとしたが、これに限るものではない。リアフェンダー7は、フロントフェンダー6と一体に形成されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0030】
4 前輪タイヤ
7 リアフェンダー
8 移動用ステップ
11 キャブボディ
19 開口部
24 踏み板部
30 支持ブラケット
33 泥除けブラケット
図1
図2
図3
図4
図5