(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
受電モジュールと、個体を特定する認証コードを記憶する第1記憶回路と当該第1記憶回路に記憶した前記認証コードを送信する送信回路とを有するコード送信モジュールと、を備えた認証タグと、
前記受電モジュールに電力伝送を行う送電モジュールと、前記コード送信モジュールから送信する前記認証コードを受信する受信回路と前記認証コードに対応する記憶コードを記憶する第2記憶回路と前記認証コードと前記記憶コードとの同一性を判定して制御信号を出力する制御回路とを有するコード受信モジュールと、を備えた個体認証装置とを有し、
前記認証タグと前記個体認証装置との間で、前記個体の同一性を認証する個体認証システムであって、
前記受電モジュールと前記送電モジュールとの間では、磁気共鳴によって電力伝送が行われ、当該電力伝送が継続されている時間中には、前記コード送信モジュールから前記コード受信モジュールに連続的に前記認証コードが送信されること、
前記認証タグを有する個体が、前記受電モジュールと前記送電モジュールとの磁気共鳴範囲に入ったときに限って、前記個体認証装置は、前記認証コードと前記記憶コードとの同一性を連続的に判定して、両者が一致している場合には、必要な制御信号を連続的に出力すること、
前記個体認証装置は、車両組み立てラインにおいて作業者の歩行範囲内に配置された産業用ロボットの操作部近傍に装着され、前記認証タグは、前記産業用ロボットを操作する特定の作業者に装着されていること、
前記特定の作業者が前記産業用ロボットの操作部を操作する際には、前記特定の作業者に装着されている前記認証タグの前記受電モジュールと前記個体認証装置の前記送電モジュールとが磁気共鳴できる位置に近接すること、
前記送電モジュールと前記受電モジュールとの間で、磁気共鳴による電力伝送が行われている時間中は、前記コード送信モジュールの各回路がオン状態となり、磁気共鳴による電力伝送が行われなくなると、前記コード送信モジュールの各回路がオフ状態となることを特徴とする個体認証システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般の車両用スマートキーシステムでは、携帯機と制御器との間で送受信される電波によってエントリー制御がなされているので、その通信可能範囲が5〜10m程度に設定されている。そのため、スマートキーの携帯機を所持する特定の作業者が、通信可能範囲に居れば、特定の作業者以外の第三者が、産業用ロボット等の操作スイッチを押すことによって、産業用ロボット等の運転を開始させることができてしまうという問題があった。また、スマートキーの携帯機には、電池が内蔵されているものが多く、電池の消耗等によって送信電波の出力が低下し、通信可能範囲が変化する問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、特定の者又は物(以下、「個体」ともいう)を狭い範囲で正確かつ安定的に認証できる個体認証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る個体認証システムは、次のような構成を有している。
(1)受電モジュールと個体を特定する認証コードを記憶する第1記憶回路と当該第1記憶回路に記憶した前記認証コードを送信する送信回路とを有するコード送信モジュールとを備えた認証タグと、前記受電モジュールに電力伝送を行う送電モジュールと前記コード送信モジュールから送信する前記認証コードを受信する受信回路と前記認証コードに対応する記憶コードを記憶する第2記憶回路と前記認証コードと前記記憶コードとの同一性を判定して制御信号を出力する制御回路とを有するコード受信モジュールとを備えた個体認証装置との間で、前記個体の同一性を認証する個体認証システムであって、
前記受電モジュールと前記送電モジュールとの間では、磁気共鳴によって電力伝送が行われ、当該電力伝送が継続されている時間中には、前記コード送信モジュールから前記コード受信モジュールに連続的に前記認証コードが送信されることを特徴とする。
【0007】
本発明においては、受電モジュールと送電モジュールとの間では、磁気共鳴によって電力伝送が行われ、当該電力伝送が継続されている時間中には、コード送信モジュールからコード受信モジュールに連続的に認証コードが送信されるので、認証タグを有する個体が、受電モジュールと送電モジュールとの磁気共鳴範囲に入ったときに限って、個体認証装置は、認証コードと記憶コードとの同一性を連続的に判定して必要な制御信号を出力することができる。また、磁気共鳴範囲は、一般的に1m以内の狭い範囲に限られている。また、認証タグが受電モジュールと送電モジュールとの磁気共鳴範囲内にあれば、受電モジュールに発生する電力をコード送信モジュールへ安定して供給できるので、電池の消耗等に影響される車両用スマートキーのように、コード送信モジュールの通信可能範囲が変化することはない。その結果、認証タグを有する特定の個体を、1m以内の狭い範囲で正確かつ安定的に認証することができる。
【0008】
(2)(1)に記載された個体認証システムにおいて、
前記受電モジュールと前記送電モジュールとの磁気共鳴範囲は、10〜30cmの範囲であることを特徴とする。
【0009】
本発明においては、受電モジュールと送電モジュールとの磁気共鳴範囲は、10〜30cmの範囲であるので、認証タグを有する個体(例えば、特定の作業者)と個体認証装置を備えた設備(例えば、産業用ロボット等)との間には、他の個体(例えば、特定の作業者以外の第三者)が侵入できない程度の窮屈な空間しか生じない。そのため、認証タグを有する個体(特定の作業者)と異なる個体(第三者)が成りすまして、個体認証装置を備えた設備(産業用ロボット等)を操作することはできない。また、認証タグが装着された個体(例えば、特定の搬送物)と異なる個体(特定の搬送物以外の別搬送物)を、個体認証装置を備えた設備(例えば、搬送装置)が、誤って取扱う(例えば、搬送等する)こともない。その結果、認証タグを有する特定の個体を、成りすましや誤品等を生じない狭い範囲でより一層正確かつ安定して認証することができる。
【0010】
(3)(1)又は(2)に記載された個体認証システムにおいて、
前記個体認証装置の送電モジュールは、車両組み立てラインにおいて作業者の歩行範囲内に配置された産業用ロボットの操作部近傍に装着され、前記認証タグは、前記産業用ロボットを操作する特定の作業者に装着されていることを特徴とする。
【0011】
本発明においては、個体認証装置の送電モジュールは、車両組み立てラインにおいて作業者の歩行範囲内に配置された産業用ロボットの操作部近傍に装着され、認証タグは、産業用ロボットを操作する特定の作業者に装着されているので、当該特定の作業者が産業用ロボットの操作部を操作する際には、特定の作業者に装着されている認証タグの受電モジュールと個体認証装置の送電モジュールとが磁気共鳴できる位置に近接する。そのため、認証タグと個体認証装置との間で、個体認証が正確かつ安定して行われ、産業用ロボットの運転を認証された特定の作業者の意思に基づいて開始させることができる。なお、産業用ロボットには、汎用ロボットの他、専用ロボット又は専用機などが含まれる。
【0012】
(4)(3)に記載された個体認証システムにおいて、
前記認証タグは、前記受電モジュールと前記コード送信モジュールとを備える時計型本体部と、当該時計型本体部に連結されたベルト部とを備える腕時計型ユニットであることを特徴とする。
【0013】
本発明においては、認証タグは、受電モジュールとコード送信モジュールとを備える時計型本体部と、当該時計型本体部に連結されたベルト部とを備える腕時計型ユニットであるので、産業用ロボットを操作する特定の作業者の腕部に認証タグを簡単に装着することができる。そのため、特定の作業者が認証タグの装着忘れを防止できる。なお、時計型本体部には、時計機能を有するものの他、時計機能を有しないものが含まれる。
【0014】
(5)(3)又は(4)に記載された個体認証システムにおいて、
前記産業用ロボットには、当該産業用ロボットの作動範囲内に侵入する第三者を検出するエリアセンサが装着されていることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、産業用ロボットには、当該産業用ロボットの作動範囲内に侵入する第三者を検出するエリアセンサが装着されているので、特定の作業者が産業用ロボットの操作中に産業用ロボットの作動範囲内に第三者が侵入した場合、エリアセンサが第三者の存在を検出して、産業ロボットの動作を停止させることができ、第三者の不慮の事故を未然に防止することができる。
【0016】
(6)(1)又は(2)に記載された個体認証システムにおいて、
前記認証タグは、工場内を移動する移動体に装着され、前記個体認証装置は、前記移動体の移動経路における一時停止場所又は保管場所に配置されていることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、認証タグは、工場内を移動する移動体に装着され、個体認証装置は、移動体の移動経路における一時停止場所又は保管場所に配置されているので、工場内の移動体に対する位置確認、通過確認、誤品確認などの物流管理を正確かつ安定して行うことができる。なお、移動体としては、部品、部品を搭載する台車、部品を収納するパレットなどが該当する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、特定の者又は物(以下、「個体」ともいう)を狭い範囲で正確かつ安定的に認証できる個体認証システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明に係る実機形態である個体認証システムについて、図面を参照して詳細に説明する。はじめに、本実施形態に係る個体認証システムの回路構成について説明する。次に、本個体認証システムの実施例として、車両組み立てラインにおいて作業者の歩行範囲内に配置された産業用ロボットとその作業者との間で認証する例と、工場内の物流管理に利用する例とを説明する。
【0021】
<個体認証システムの回路構成>
まず、本実施形態に係る個体認証システムの回路構成を、
図1を用いて説明する。
図1に、本発明に係る実施形態である個体認証システムの回路構成図を示す。
【0022】
図1に示すように、本実施形態に係る個体認証システム10は、受電モジュール2と個体を特定する認証コードQQを記憶する第1記憶回路31と当該第1記憶回路31に記憶した認証コードQQを送信する送信回路35とを有するコード送信モジュール3とを備えた認証タグ1と、受電モジュール2に電力伝送を行う送電モジュール5とコード送信モジュール3から送信する認証コードQQを受信する受信回路62と認証コードQQに対応する記憶コードKKを記憶する第2記憶回路64と認証コードQQと記憶コードKKとの同一性を判定して制御信号を出力する制御回路65とを有するコード受信モジュール6とを備えた個体認証装置4との間で、個体の同一性を認証する個体認証システムである。
【0023】
また、受電モジュール2と送電モジュール5との間では、磁気共鳴によって電力伝送が行われ、当該電力伝送が継続されている時間中には、コード送信モジュール3からコード受信モジュール6に連続的に認証コードQQが送信されるように構成されている。
【0024】
より具体的には、受電モジュール2では、受電コイル21と整合回路22と整流回路23とが直列状に接続され、送電モジュール5では、送電コイル51と整合回路52と高周波発生回路53とが直列状に接続されている。受電モジュール2の受電コイル21と送電モジュール5の送電コイル51との間では、両者の離間距離が数十cm程度の範囲(より好ましくは、10〜30cm程度の範囲)である場合に限って、磁気共鳴によって電力伝送が行われるように構成されている。
【0025】
また、送電モジュール5の高周波発生回路53で発生させる周波数には、上記電力伝送に適した周波数として数十KHz〜数MHz(例えば、85KHz)の周波数が使用されている。なお、各整合回路22、52は、送り出し側回路の出力インピーダンスと受け側回路の入力インピーダンスとを合わせることによって、電力伝送効率を最大化するために設けられている。受電モジュール2の整流回路23で得られた直流電圧は、コード送信モジュール3に電源電圧として供給される。送電モジュール5と受電モジュール2との間で、磁気共鳴による電力伝送が行われている時間中は、コード送信モジュール3の各回路がオン状態となり、磁気共鳴による電力伝送が行われなくなると、コード送信モジュール3の各回路がオフ状態となる。
【0026】
コード送信モジュール3には、第1記憶回路31と送信回路35との間に制御回路32と変調回路34とが直列状に接続され、更に変調回路34に搬送波発振回路33が接続されている。また、送信回路35は、送信アンテナ36に接続されている。第1記憶回路31には、ROM等の不揮発性メモリを備えていて、所定の認証コードQQが予め記憶されている。認証コードQQは、個体を特定する暗号コードである。コード送信モジュール3に受電モジュール2の整流回路23から電源電圧が供給されると、制御回路32は、第1記憶回路31に記憶した認証コードQQを読みだして、変調回路34に出力する。変調回路34は、コード送信モジュール3からコード受信モジュール6にコード伝送するため、制御回路32から出力された認証コードQQを搬送波発振回路33から出力される搬送波に重乗させて送信回路35に出力する。送信回路35は、認証コードQQを重乗させた搬送波を増幅して送信アンテナ36に出力する。コード送信モジュール3の搬送波発振回路33から出力する搬送波の周波数は、送電モジュール5の高周波発生回路53で発生させる周波数とは異なる周波数(例えば、2.4GHz)であることが好ましい。
【0027】
コード受信モジュール6には、受信アンテナ61が受信回路62に接続され、受信回路62と制御回路65との間に復調回路63が接続されている。受信アンテナ61は、コード送信モジュール3の送信アンテナ36から出力される認証コードQQを重乗させた搬送波(電磁波)を受信し、受信回路62に出力する。受信回路62は、送信アンテナ36から出力される認証コードQQを重乗させた搬送波を増幅して復調回路63に出力する。復調回路63は、搬送波から認証コードQQを分離して制御回路65に出力する。制御回路65は、第2記憶回路64に記憶された記憶コードKKを読みだして、復調回路63から出力された認証コードQQと記憶コードKKとを比較し、両者が一致しているか否かを判定する。第2記憶回路64には、ROM等の不揮発性メモリを備えていて、所定の記憶コードKKが予め記憶されている。記憶コードKKは、認証コードQQに対応する暗号コードである。制御回路65は、認証コードQQと記憶コードKKとが一致している場合には、個体認証装置4の出力端子42から必要な制御信号を出力する。
【0028】
受電モジュール2と送電モジュール5との間では、磁気共鳴によって電力伝送が行われ、当該電力伝送が継続されている時間中には、コード受信モジュール6の制御回路65は、認証コードQQと記憶コードKKとが一致している否かを連続的(例えば、10〜20ms(ミリ秒)毎)に判定し、両者が一致している場合には、個体認証装置4の出力端子42から必要な制御信号を連続的(例えば、10〜20ms(ミリ秒)毎)に出力する。なお、本個体認証装置4の入力端子41には、各回路を作動させる電源電圧が供給されている。
【0029】
<本個体認証システムの実施例>
(車両組み立てラインへの適用例)
次に、本個体認証システムを車両組み立てラインにおいて作業者の歩行範囲内に配置された産業用ロボットとその産業ロボットを操作する特定の作業者との間で個体認証する適用例を、
図2〜
図5を用いて説明する。
図2に、
図1に示す個体認証システムを車両組み立てラインに適用した実施例を表す概略斜視図を示す。
図3に、
図1に示す個体認証システムの認証タグを内蔵する腕時計型ユニットと個体認証装置のロボット側ユニットの概略斜視図を示す。
図4に、
図1に示すコード送信モジュールの動作フロー図を示す。
図5に、
図1に示すコード受信モジュールの動作フロー図を示す。
【0030】
図2に示すように、車両組み立てライン8では、塗完ボディW1がベルトコンベア等に搭載されて矢印Fの方向に搬送されている。産業用ロボット7は、基台74と、当該基台74に対して水平方向(矢印Hの方向)に回動する本体部73と、当該本体部73の上端に連結された多関節型のアーム部71と、当該アーム部71の先端側に装着された操作部72とを備えている。産業用ロボット7の基台74は、ラインサイドの床面に据え付けられている。作業者M1が操作部72の操作スイッチ721を操作すると、アーム部71がラインサイドに一時保管されたタイヤW2(重量物)を把持して、塗完ボディW1の所定位置に搬送する。なお、操作部72は、ペンダント型であって、アーム部71に直接装着されていなくてもよい。
【0031】
本個体認証装置4は、車両組み立てライン8において作業者の歩行範囲81内に配置された産業用ロボット7の操作部72近傍に装着され、認証タグ1は、産業用ロボット7を操作する特定の作業者M1に装着されている。当該特定の作業者M1が産業用ロボット7の操作部72を操作する際には、特定の作業者M1に装着されている認証タグ1の受電モジュール2と個体認証装置4の送電モジュール5とが磁気共鳴できる位置に近接する。そのため、認証タグ1と個体認証装置4との間で、個体認証が正確かつ安定して行われ、産業用ロボット7の運転を認証された特定の作業者M1の意思に基づいて開始させることができる。
【0032】
ここでは、
図3に示すように、個体認証装置4は、送電モジュール5とコード受信モジュール6とを備え、アーム部71に装着できる小型のロボット側ユニットである。個体認証装置4の入力端子41と出力端子42は、産業用ロボット7のロボット制御部に接続されている。また、認証タグ1は、受電モジュール2とコード送信モジュール3とを備える時計型本体部1Aと、当該時計型本体部1Aに連結されたベルト部1Bとを備える腕時計型ユニットである。そのため、産業用ロボット7を操作する特定の作業者M1の腕部M2の手首付近に認証タグ1を簡単に装着することができる。また、認証タグ1が腕時計型ユニットであるので、特定の作業者M1が産業用ロボット7の操作部72を操作する際には、特定の作業者M1に装着されている認証タグ1の受電モジュール2と、操作部72近傍に装着された個体認証装置4の送電モジュール5とが確実に磁気共鳴できる位置に近接する。なお、時計型本体部1Aは、時計機能を有する物が好ましいが、時計機能のないものでも構わない。
【0033】
また、産業用ロボット7には、当該産業用ロボット7の作動範囲に侵入しようとする第三者を検出するエリアセンサ75が装着されている。エリアセンサ75は、基台74に装着され、産業用ロボット7の作動範囲境界付近を検出する扇型の検出範囲751を備えている。特定の作業者M1が産業用ロボット7の操作中に、産業用ロボット7の作動範囲内に第三者が侵入しようとした場合、エリアセンサ75が第三者の存在を検出し、検出信号を産業用ロボット7に出力する。産業用ロボット7は、エリアセンサ75からの検出信号を受けたときには、アーム部71の動作を自動的に停止させる。
【0034】
また、認証タグ1の受電モジュール2と、個体認証装置4の送電モジュール5とが磁気共鳴できる位置に近接すると、コード送信モジュール3は、
図4に示す動作フローに基づいて作動する。すなわち、受電モジュール2から供給される直流電源がオン状態となり、コード送信モジュール3が起動される(ステップ:S10)。次に、制御回路(マイコン)32は、第1記憶回路31の不揮発性メモリに記憶される所定の認証コードQQを読み出して、一旦、揮発性メモリに記憶させる(ステップ:S11)。次に、制御回路32は、揮発性メモリに記憶させた認証コードQQを変調回路34に出力し、揮発性メモリに記憶された認証コードQQを消去する(ステップ:S12)。制御回路32は、10ms(ミリ秒)の待ち時間を経過した後、次に揮発性メモリに記憶させた認証コードQQを変調回路34に出力する(ステップ:S13)。このように、コード送信モジュール3は、受電モジュール2から供給される直流電源がオン状態である限り、連続的に認証コードQQを変調回路34に出力する。
【0035】
また、認証タグ1の受電モジュール2と、個体認証装置4の送電モジュール5とが磁気共鳴できる位置に近接すると、コード受信モジュール6は、
図5に示す動作フローに基づいて作動する。すなわち、個体認証装置4の入力端子41に電源供給されたときに、コード受信モジュール6が起動する(ステップ:S20)。次に、制御回路(マイコン)65は、第2記憶回路64の不揮発性メモリに記憶される所定の記憶コードKKを読み出して、一旦、揮発性メモリに記憶させる(ステップ:S21)。次に、制御回路32は、復調回路63の出力信号を確認する(ステップ:S22)。制御回路32は、復調回路63からの出力信号に受信回路62からの受信データが有るか否か確認し(ステップ:S23)、受信データが有る場合には、受信データに含まれる認証コードQQと記憶コードKKとの一致を判定する(ステップ:S24)。認証コードQQと記憶コードKKとが一致する場合には、制御回路32は、産業用ロボット7に対してアーム部71の動作許可信号を出力する(ステップ:S25)。制御回路32は、産業用ロボット7に対してアーム部71の動作許可信号を出力した後、ステップ22に戻って、ステップ22からステップ25の動作を繰り返す。なお、ステップ23において、復調回路63からの出力信号に受信回路62からの受信データがない場合には、制御回路32は、ステップ22に戻って復調回路63の出力信号を確認する。また、ステップ24において、受信データに含まれる認証コードQQと記憶コードKKとが一致しない場合には、ステップ22に戻って復調回路63の出力信号を確認する。
【0036】
以上のように、コード送信モジュール3は、受電モジュール2から供給される直流電源がオン状態である限り、連続的に認証コードQQをコード受信モジュール6にコード伝送し、コード受信モジュール6にて認証コードQQと記憶コードKKとの一致を連続的に判定することによって、産業用ロボット7を特定の作業者M1が自らの意思に基づいて操作していることを認証するシステムを構築できる。
【0037】
(工場内の物流管理への適用例)
次に、工場内の物流管理への適用例を、
図6〜
図8を用いて説明する。
図6に、
図1に示す個体認証システムを台車に適用した他の実施例を表す概略斜視図を示す。
図7に、
図1に示す個体認証システムをパレットに適用した他の実施例を表す概略斜視図を示す。
図8に、
図1に示す個体認証システムを部品の保管棚に適用した他の実施例を表す概略斜視図
【0038】
図6〜
図8に示すように、認証タグ1は、工場内を移動する移動体9(91、93,95)に装着され、個体認証装置4は、移動体9(91、93,95)の移動経路における一時停止場所又は保管場所に配置されている。
【0039】
具体的には、
図6に示すように、認証タグ1が部品等を搭載して搬送する台車91に装着され、個体認証装置4が台車91を移動させる移動経路において一時停止させ又は保管させる場所の床面を覆う床板92の下面に装着されている。床板92には、台車91を定位置に停車させる位置決めマークが塗色されている。台車91が、床板92上の定位置に停車したときには、認証タグ1の受電モジュール2と個体認証装置4の送電モジュール5との間で、磁気共鳴による電力伝送が行われる。また、台車91が、床板92上の定位置から移動したときには、上記電力伝送が停止される。これによって、工場内を移動する台車91に対する位置確認、通過確認などの物流管理を正確かつ安定して行うことができる。
【0040】
また、
図7に示すように、認証タグ1が部品等を収容するパレット93に装着され、個体認証装置4がパレット93を移動させる移動経路において一時保管させる場所の床面を覆う床板94の下面に装着されている。床板94には、パレット93を定位置に保管させる位置決めマークが塗色されている。パレット93が、床板94上の定位置に載置されたときには、認証タグ1の受電モジュール2と個体認証装置4の送電モジュール5との間で、磁気共鳴による電力伝送が行われる。また、パレット93が、床板94上の定位置から移動したときには、上記電力伝送が停止される。これによって、工場内を移動するパレット93に対する位置確認、通過確認などの物流管理を正確かつ安定して行うことができる。
【0041】
また、
図8に示すように、認証タグ1が部品95に装着され、個体認証装置4が部品95を収納させる保管棚96の収納ケースに装着されている。部品95の種類によって収納ケースが異なる場合には、それぞれの部品に対応する認証コードQQを記憶する認証タグ1a(1)が用意され、収納ケースには、各認証タグの認証コードQQに対応する記憶コードKKを記憶する個体認証装置4a,4b,4c,4d(4)が装着されている。これによって、工場内を移動する部品95に対する位置確認、通過確認、誤品確認などの物流管理を正確かつ安定して行うことができる。
【0042】
<作用効果>
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係る個体認証システム10によれば、受電モジュール2と送電モジュール5との間では、磁気共鳴によって電力伝送が行われ、当該電力伝送が継続されている時間中には、コード送信モジュール3からコード受信モジュール6に連続的に認証コードQQが送信されるので、認証タグ1を有する個体M1、91,93,95が、受電モジュール2と送電モジュール5との磁気共鳴範囲に入ったときに限って、個体認証装置4は、認証コードQQと記憶コードKKとの同一性を連続的に判定して必要な制御信号を出力することができる。また、磁気共鳴範囲は、一般的に1m以内の狭い範囲に限られている。また、認証タグ1が受電モジュール2と送電モジュール5との磁気共鳴範囲内にあれば、受電モジュール2に発生する電力をコード送信モジュール3へ安定して供給できるので、電池の消耗等に影響される車両用スマートキーのように、コード送信モジュール3の通信可能範囲が変化することはない。その結果、認証タグ1を有する特定の個体M1、9を、1m以内の狭い範囲で正確かつ安定的に認証することができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、受電モジュール2と送電モジュール5との磁気共鳴範囲は、10〜30cm程度の範囲であるので、認証タグ1を有する個体M1(例えば、特定の作業者)と個体認証装置4を備えた設備(例えば、産業用ロボット等)との間には、他の個体(例えば、特定の作業者以外の第三者)が侵入できない程度の窮屈な空間しか生じない。そのため、認証タグ1を有する個体(特定の作業者)と異なる個体(第三者)が成りすまして、個体認証装置4を備えた設備(産業用ロボット等)を操作することはできない。また、認証タグ1が装着された個体91,93,95(例えば、特定の台車)と異なる個体(特定の台車以外の別台車)を、個体認証装置4を備えた設備(例えば、搬送装置)が、誤って取扱う(例えば、搬送等する)こともない。その結果、認証タグ1を有する特定の個体を、誤品等を生じない狭い範囲でより一層正確かつ安定して認証することができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、個体認証装置4の送電モジュール5は、車両組み立てライン8において作業者の歩行範囲内に配置された産業用ロボット7の操作部72近傍に装着され、認証タグ1は、産業用ロボット7を操作する特定の作業者M1に装着されているので、当該特定の作業者M1が産業用ロボット7の操作部72を操作する際には、特定の作業者M1に装着されている認証タグ1の受電モジュール2と個体認証装置4の送電モジュール5とが磁気共鳴できる位置に近接する。そのため、認証タグ1と個体認証装置4との間で、個体認証が正確かつ安定して行われ、産業用ロボット等の運転を認証された特定の作業者の意思に基づいて開始させることができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、認証タグ1は、受電モジュール2とコード送信モジュール3とを備える時計型本体部1Aと、当該時計型本体部1Aに連結されたベルト部1Bとを備える腕時計型ユニットであるので、産業用ロボット7を操作する特定の作業者M1の腕部M2に認証タグ1を簡単に装着することができる。そのため、特定の作業者M1が認証タグ1の装着忘れを防止できる。
【0046】
また、本実施形態によれば、産業用ロボット7には、当該産業用ロボット7の作動範囲に侵入する第三者を検出するエリアセンサ75が装着されているので、特定の作業者M1が産業用ロボット7の操作中に産業用ロボット7の作動範囲内に第三者が侵入した場合、エリアセンサ75が第三者の存在を検出して、産業用ロボット7の動作を停止させることができ、第三者の不慮の事故を防止することができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、認証タグ1は、工場内を移動する移動体9(91,93,95)に装着され、個体認証装置4は、移動体9(91,93,95)の移動経路における一時停止場所又は保管場所92,94,96に配置されているので、工場内の移動体に対する位置確認、通過確認、誤品確認などの物流管理を正確かつ安定して行うことができる。
【0048】
上述した実施形態は、本発明の要旨を変更しない範囲で変更することができる。例えば、上記実施形態では、車両組み立てラインや工場内の物流管理に適用したが、システム適用対象をこれに限ることはない。例えば、介護サービス設備に対する誤操作防止管理にも適用できる。具体的には、要介護者を支援する特定の介護支援者に認証タグ1を装着し、要介護者が使用する特殊な介護機器の操作部に本個体認証装置4を装着することによって、特殊な介護機器に対する習熟度の不十分な第三者が誤って操作すること回避できる。