特許第6555089号(P6555089)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 井関農機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6555089-精米設備 図000002
  • 特許6555089-精米設備 図000003
  • 特許6555089-精米設備 図000004
  • 特許6555089-精米設備 図000005
  • 特許6555089-精米設備 図000006
  • 特許6555089-精米設備 図000007
  • 特許6555089-精米設備 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6555089
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】精米設備
(51)【国際特許分類】
   B02B 7/00 20060101AFI20190729BHJP
【FI】
   B02B7/00 Z
   B02B7/00 101A
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-217884(P2015-217884)
(22)【出願日】2015年11月5日
(65)【公開番号】特開2017-87113(P2017-87113A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年6月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078031
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 皓一
(74)【代理人】
【識別番号】100077779
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100078260
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 レイ子
(74)【代理人】
【識別番号】100200942
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 高史
(72)【発明者】
【氏名】高橋 努
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−174255(JP,A)
【文献】 特開2006−075707(JP,A)
【文献】 特開2011−072960(JP,A)
【文献】 特開平01−317550(JP,A)
【文献】 特開2004−085023(JP,A)
【文献】 実開昭61−129065(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02B 1/00 − 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
精米機器を格納した機械室と精米機の利用者が入る客室とを仕切り壁を隔てて同じ建屋内に備える精米設備において、
建屋内を照明する照明部と、
客室内における利用者の在室を検出する人検出部と、前記精米機の運転状態を検出する運転検出部と、
前記照明部、前記人検出部及び前記運転検出部に接続された制御部を更に備え、
前記制御部は、前記人検出部が在室を検出すると前記照明部を点灯し、前記照明部が点灯中に前記人検出部が在室を検出しなくなった後に前記照明部を消灯するよう制御する第1の制御と
前記運転検出部が、前記精米機の運転を検出している間は、前記人検出部の在室の検出の有無に拘わらず前記照明部を点灯する第2の制御を備え、
さらに、前記制御部は、前記第1の制御を実行して前記照明部を点灯した後、所定の時間を経過しても前記運転検出部が前記精米機の運転を検出しない場合、前記人検出部が利用者の在室を検出していても前記照明部を消灯する第3の制御を備え、かつ、
前記第3の制御が設定時間内に所定回数連続して実行されると、前記人検出部の検出感度を下げるよう制御することを特徴とする精米設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルフ式精米設備に関する。
【背景技術】
【0002】
ユニットハウスやプレハブハウスのような建屋内に精米機器を備え、利用者が自由に建屋内に出入りし、持ち込んだ玄米の量に応じた料金をコインやクレジットカード等で支払って精米機器により精米を行う、無人のセルフ式精米設備が知られている(特許文献1)。セルフ式精米設備の建屋は、客室と機械室とに仕切られ、客室側には精米機器の操作パネル、料金投入口、玄米投入口等が、また機械室には精米用の機械類が、それぞれ配設されている。
【0003】
そして、客室側に照明が備えられている構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−297342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、セルフ式の精米設備において、設備内の照明を適切に行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、 精米機器を格納した機械室と精米機の利用者が入る客室とを仕切り壁を隔てて同じ建屋内に備える精米設備において、建屋内を照明する照明部と、
客室内における利用者の在室を検出する人検出部と、前記精米機の運転状態を検出する運転検出部と、前記照明部、前記人検出部及び前記運転検出部に接続された制御部を更に備え、
前記制御部は、前記人検出部が在室を検出すると前記照明部を点灯し、前記照明部が点灯中に前記人検出部が在室を検出しなくなった後に前記照明部を消灯するよう制御する第1の制御と前記運転検出部が、前記精米機の運転を検出している間は、前記人検出部の在室の検出の有無に拘わらず前記照明部を点灯する第2の制御を備え、さらに、前記制御部は、前記第1の制御を実行して前記照明部を点灯した後、所定の時間を経過しても前記運転検出部が前記精米機の運転を検出しない場合、前記人検出部が利用者の在室を検出していても前記照明部を消灯する第3の制御を備え、かつ、
前記第3の制御が設定時間内に所定回数連続して実行されると、前記人検出部の検出感度を下げるよう制御することを特徴とする精米設備を提供する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、制御部は、人検出部が在室を検出すると照明部を点灯し、照明部が点灯中に人検出部が在室を検出しなくなった後に照明部を消灯するよう照明部を制御するので、照明部の点灯時間は、利用者が客室に入室すると照明部が点灯し、退出すると照明が消灯される。したがって、照明部の不要な点灯を抑え、省エネ効果が得られる。
更に、制御部は、運転検出部が精米機の運転を検出している間は、人検出部が在室を検出しなくなっても、照明部の点灯を継続するよう照明部を制御する。その結果、精米機の運転中は、例えば、所用により一時的に利用者が客室外に出た場合であっても、照明が点灯する。そのため、利用者に安心感を与えることができ、利用者の利便性が向上する。
さらに、制御部は、前記第1の制御を実行して前記照明部を点灯した後、所定の時間を経過しても前記運転検出部が前記精米機の運転を検出しない場合、前記人検出部が利用者の在室を検出していても前記照明部を消灯する第3の制御を備えるので、人検知部が人を誤検出して照明部が点灯したり、精米目的以外で精米設備に入り込んだ人を人検知部が検出したりしても、所定時間の経過後に消灯するため、無駄なエネルギーの消費を抑えて、設備本来の使用目的に沿ったエネルギーの使用を促進することができる。
さらに、制御部は、第3の制御が設定時間内に所定回数連続して実行されると、前記人検出部の検出感度を下げるよう制御する。その結果、照明部の点灯後に強制消灯制御により消灯することが頻発する状況を、人検出部の検出感度が高すぎて誤検出をしていると判断して、人検出部の検出感度を下げて誤検出を防止することができるので、利用者の誤検出による照明部の不要な点灯を抑止し、電力の浪費を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態にかかるセルフ式精米設備の外観図である。
図2図1のセルフ式精米設備の縦断面図である。
図3】本発明の実施の形態にかかる照明装置のブロック図である。
図4】制御部の照明制御を示すフローチャートである。
図5図2の機械室内部を示す説明図である。
図6図2の客室内部を示す説明図である。
図7】(a)人検出部の感度を下げた場合の説明図である。(b)図7(a)の場合よりも人検出部の感度を下げた場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態にかかるセルフ式精米設備1の一例であり、客室201に通じる一般用出入口101と、機械室202に通じる業務用出入口102を備える。
【0016】
図2において、セルフ式精米設備1の建屋内は、仕切板203によって、客室201と機械室202に分かれている。客室201は精米のために利用者が出入りする建屋内の部屋であり、機械室202には、精米のための精米機器500が配設される。
【0017】
図3は、セルフ式精米設備1の照明装置300のブロック図であり、照明装置300は、客室201内における利用者の在室を検出する人検出部301、精米機506の運転状態を検出する運転検出部302、客室201と機械室203の照明する照明部304と、人検出部301、運転検出部302、照明部304に接続された制御部303を備える。
【0018】
次に各構成について説明する。
人検出部301は、客室201内の利用者の在室を検出する。人検出部301は、例えば、建屋内に配設された1以上の人感センサである。また、人検出部301は、人の在室を検出する条件として、所定間隔における人の連続検知回数を任意に定めることができ、これによって、人検出の感度を調整することができる構成とする。
【0019】
例えば、人検出部301は、100ミリ秒間隔で客室201内の人検知を行い、5回人が連続で検知されることを、客室201内の利用者の在室を検出する条件として設定することができる。そして、検出感度を上げたい場合は、人の在室を検出する条件として、所定の時間間隔における人検知の回数を減らせばよく、検出感度を下げたい場合は、人検出信号をオンとする人検知の回数を増やせばよい。
例えば、100ミリ秒間隔で客室201内の人検知を行い、5回人が連続で検知されることを、人の在室を検出する条件として設定していた場合、条件を5回よりも減らせば、人検出の感度が上がるが、感度が上がった分、誤検出の可能性は高まる。逆に、5回よりも増やせば、人検出の感度が下がるが、検出の精度は高まる。
【0020】
運転検出部302は、精米機506の運転状態を検出する。運転状態とは、運転、停止、異常停止のいずれかをいう。運転検出部302は、例えば、精米機506が備えるコインセンサやモータセンサなどの情報を組み合わせてCPUで処理し、精米機506の稼働状態や異常状態を判断することにより実現される。
【0021】
照明部304は、照明部304は客室201側の光源305と機械室202側の光源305を備え、それぞれの光源305は、制御部303により点灯または消灯するよう制御されて建屋内の照明を行う。機械室側の光源305は、機械室202側に設ける手動スイッチ(図示せず)でも点灯又は消灯可能に構成している。
【0022】
制御部303は、人検出部301と運転検出部302の検出結果に応じて、客室201で利用者が検出されるときは客室201内の光源305を点灯し、検出されないときは消灯するとともに、精米機506の運転中は、客室201で人が検出されないときであっても客室201内の光源305が点灯状態となるよう照明部304を制御する。このとき、省エネ効果の観点から、客室内201の光源305のみを点灯し、機械室の光源305は消灯する構成が望ましい。この制御部303は、例えばCPU等で構成される。
【0023】
次に、セルフ式精米設備1の機械室202に配設された精米機器500の装置各部の概要について図4を用いて説明する。
精米機器500は、利用者が客室201から玄米を投入する投入ホッパ501と、投入ホッパ501内の玄米を繰り出すロータリバルブ502と、ロータリバルブ502で繰り出された玄米を揚穀する第一昇降機503と、第一昇降機503で揚穀した玄米に混じる石を選別する石抜機504と、石抜機504を通過した玄米を揚穀する第二昇降機505と、第二昇降機505で揚穀した玄米を精米する精米機506と、精米機506で精米処理された精白米を収容する白米タンク507を設ける。投入ホッパ501の近傍には投入ホッパ501の投入口を閉鎖・開放する開閉扉508を備える。
客室201側には、料金投入口603及び精白度選択スイッチ602が設けられる。
【0024】
具体的に、制御部303の動作を、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0025】
玄米を持参した利用者が客室201へ入ると、人感センサによる人検出部301が利用者の在室を検出し(ステップS401)、客室201側の照明305が点灯する(ステップS402)。照明305が点灯してから利用者が設定時間(例えば5分)以内に料金投入口603に料金を投入すると(ステップS403)、設定時間(例えば10秒)ロータリバルブ502と第一昇降機503が駆動し、投入ホッパ501内の前の利用者の残留玄米を除去するクリーニングモードを行った後、一旦停止する(ステップS404)。次いで、開閉扉508が開いて、利用者は、持参玄米を投入ホッパ501に投入可能となる(ステップS405)。
【0026】
照明部304が点灯した後、設定時間内に利用者が料金を投入しないと、精米運転する意思無し、又は誤検出と制御部303は判定し、人検出部301が在室を検出していても照明305を消灯する(ステップS403でNo)。また、料金を投入したことを検出後、設定時間内に精米運転の開始の信号を検出しない場合には釣銭口604から投入料金が返却され、開閉扉508が閉鎖されると共に、照明部304を消灯する構成としてもよい。
【0027】
照明304の点灯後、利用者が投入ホッパ501に玄米を投入し、精白度選択スイッチ602で所望の精白度を選択すると(ステップS405)、ロータリバルブ502と第一昇降機503の運転が再開し、石抜機504及び精米機506等の装置各部の運転が開始され、投入した料金に対応する運転時間、精米運転が行われる(ステップS406)。
精米運転中は、照明部304は点灯を継続し、精米運転中に利用者が買物等の所用で客室201から離れ、人検出部301が客室201に人の在室を検出しなくなったとしても、照明301の点灯を継続する。これにより、利用者に安心感を与えることができる。
【0028】
投入ホッパ501に玄米が無くなることを玄米有無検出センサ509で検出したことによる精米運転の終了後に、利用者が客室201から離れたことを人検出部301が検出するか(ステップS413でNo)、または、人検知部301が人を検出している状態でも精米運転の終了後、設定時間(例えば5分)が経過すると照明部304は消灯する(ステップS414でNo)。また、消灯に伴い、開閉扉508の閉鎖動作が行われる。
精米運転中に、精米機506等の機器が詰まり等による異常停止信号を検出した場合(精米機異常停止)には(ステップS407でYes)、人検出部301が客室201の人を検出しなくなったとしても照明点灯を継続する(ステップS408及びステップS409)。これにより、精米設備の管理者が精米設備のメンテナンス等で機械室202内に入り、客室201に人が居なくても客室201の光源305が点灯を継続するため、消灯によるメンテナンスの妨げになることは無い。
【0029】
また、投入料金に対応する運転時間が経過し、投入ホッパ501内に玄米が残った状態で運転が停止した場合(精米運転料金切れ停止)には、利用者が追加の料金を投入すると精米運転が開始されるが(ステップS412でYes)、追加の料金を投入しない状態で、客室201の利用者の在室を検出しなくなると照明部304は消灯する(ステップS415)。また、開閉扉16の閉鎖動作が行われる。この場合、投入ホッパ501に残留した玄米は、次の利用者の利用時のクリーニングモードで除去されることになる。
なお、人検出部301の人感センサの検出の感度に関して、人を検知して照明305が点灯しているのに、精米運転信号が検出されないで消灯することが、設定時間(例えば1時間以内)に複数回連続で続くと、人感センサの感度が高すぎることによる誤検出と判定し、客室201の利用者の在室を検出する人検知の回数を増やして人検出の感度を下げても良い。すなわち、図7(a)に示されるように、人検知センサが所定時間に5回検知したことを人検出する条件としている場合は、この条件を、図7(b)に示されるように、10回の検出とすることで、人検出の検出感度を下げる。これによって、客室201内の人の検出精度は増す。その結果、誤検出か否かの判定を良好にできるため、誤検出であれば、早期に誤りを修正し消灯できる。その結果、無駄なエネルギー消費を抑え、省エネ効果が得られる。
【0030】
ここで、セルフ式精米設備1における利用者の利便性を更に高める方法として、電子マネーの決済システムを搭載したコイン精米機を配設し、タッチ式操作パネルの構成を工夫することが考えられる。ここで、利用者は、精米機508利用の流れとして、精米機508の利用前に金額の決済を行い、次に、ボタンによって、精米の白度を決定するプロセスを想定する。
【0031】
第一に、利用者が、決済ボタン601を押すと、決済後に、精米の白度を決定する精白度選択スイッチ602を点灯する構成である。これにより、使用者のボタン操作の理解を助け、利便性が向上する。
【0032】
第二に、利用者が、電子マネーでの決済を決定した場合において、決済ボタン20を操作パネルに表示し、決済ボタンを押すと、決済後に、前記決済ボタンを精米の白度を決定する白度ボタンとする構成である。これにより、白度ボタンに決済ボタンの機能を設けることで、新規に別のボタンを設ける必要がなくなり、操作パネルの操作性が向上する。
【0033】
第三に、利用者が、電子マネーでの決済を決定した場合において、まず精白度選択スイッチ602を点灯させ、操作パネルに表示し、精白度選択スイッチ602を押すと1単価分の料金を引き落とし、精米開始後においても、利用者が、更に、電子マネーでの決済を決定した場合においては、操作パネルの連続操作を可能とし、2単価目以降の引き落としタイミングで順次、連続決済を可能とする構成である。これにより、決済タイミングを限定でき、必要に応じた連続決済により利用者の利便性が向上する。
【符号の説明】
【0034】
1 セルフ式精米設備
101 客室出入口
102 機械室出入口
201 客室
202 機械室
203 仕切板
300 照明装置
301 人検出部
302 運転検出部
303 制御部
304 照明部
305 光源
500 精米機器
501 投入ホッパ
502 ロータリバルブ
503 第一昇降機
504 石抜機
505 第二昇降機
506 精米機
507 白米タンク
508 開閉扉
601 決済ボタン
602 精白度選択スイッチ
603 料金投入口
604 釣銭口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7