(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6555114
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
B60L 58/18 20190101AFI20190729BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20190729BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20190729BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20190729BHJP
H02H 7/18 20060101ALI20190729BHJP
B60L 3/04 20060101ALI20190729BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
B60L58/18
B60L3/00 S
H01M10/44 Q
H02J7/00 P
H02H7/18
H02J7/00 S
B60L3/04 D
H01M10/48 P
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-246073(P2015-246073)
(22)【出願日】2015年12月17日
(65)【公開番号】特開2017-112759(P2017-112759A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2018年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】小田切 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】西垣 研治
(72)【発明者】
【氏名】筒井 雄介
【審査官】
大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−50138(JP,A)
【文献】
特開2006−20380(JP,A)
【文献】
特開2000−294297(JP,A)
【文献】
特開2014−147168(JP,A)
【文献】
特開平10−271603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 3/00− 3/12,50/00−58/40
H01M 10/44,10/48
H02H 7/18
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ、直列接続される電池及びリレーを有し、互いに並列接続される複数の電池モジュールと、前記各リレーをオンまたはオフさせる制御部と、を備え、前記制御部から前記各リレーをすべてオフすべきと判断された旨を受信すると回生ブレーキを使用して走行停止処理を行い、その走行停止処理により前記電池へ回生電流が流れる車両に搭載される電池パックであって、
前記制御部は、
少なくとも1つの前記電池モジュールに異常が発生したと判断すると、前記異常の種類に基づいて、前記各リレーをすべてオフすべきか否かを判断し、
前記各リレーをすべてオフすべきと判断すると、所定時間経過後に前記各リレーをすべてオフさせ、
前記各リレーをすべてオフする必要がないと判断すると、異常となった電池モジュールが有するリレーのみをオフさせる
ことを特徴とする電池パック。
【請求項2】
請求項1に記載の電池パックであって、
前記制御部は、
前記各リレーをすべてオフすべきと判断し、かつ、前記各リレーのうちの少なくとも1つのリレーが閉固着していると判断すると、前記所定時間経過後に前記各リレーをすべてオフさせ、
前記各リレーをすべてオフすべきと判断し、かつ、前記各リレーがすべて閉固着していないと判断すると、前記所定時間経過前に前記各リレーをすべてオフさせる
ことを特徴とする電池パック。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電池パックであって、
前記所定時間は、
前記制御部が前記各リレーをすべてオフすべきと判断しその旨を前記車両の走行制御部へ送ってから前記走行制御部が前記走行停止処理を開始し、前記車両の負荷から前記電池パックへ流れる回生電流が止まるまでの時間である
ことを特徴とする電池パック。
【請求項4】
請求項1または2に記載の電池パックであって、
前記所定時間は、
前記制御部が前記各リレーをすべてオフすべきと判断しその旨を前記車両の走行制御部へ送ったのちに前記走行停止処理を開始した旨を前記走行制御部から受け取ってから始まる時間である
ことを特徴とする電池パック。
【請求項5】
それぞれ、直列接続される電池及びリレーを有し、互いに並列接続される複数の電池モジュールと、前記各リレーをオンまたはオフさせる制御部と、を備え、前記制御部から前記各リレーをすべてオフすべきと判断された旨を受信すると回生ブレーキを使用して走行停止処理を行い、その走行停止処理により前記電池へ回生電流が流れる車両に搭載される電池パックであって、
前記制御部は、
少なくとも1つの前記電池モジュールに異常が発生したと判断すると、前記異常の種類に基づいて、前記各リレーをすべてオフすべきか否かを判断し、
前記各リレーをすべてオフすべきと判断すると、前記走行停止処理を開始したのちに前記車両が停止した後、前記各リレーをすべてオフさせ、
前記各リレーをすべてオフする必要がないと判断すると、異常となった電池モジュールが有するリレーのみをオフさせる
ことを特徴とする電池パック。
【請求項6】
それぞれ、直列接続される電池及びリレーを有し、互いに並列接続される複数の電池モジュールと、前記各リレーをオンまたはオフさせる制御部と、を備え、前記制御部から前記各リレーをすべてオフすべきと判断された旨を受信すると回生ブレーキを使用して走行停止処理を行い、その走行停止処理により前記電池へ回生電流が流れる車両に搭載される電池パックであって、
前記制御部は、
少なくとも1つの前記電池モジュールに異常が発生したと判断すると、前記異常の種類に基づいて、前記各リレーをすべてオフすべきか否かを判断し、
前記各リレーをすべてオフすべきと判断すると、前記走行停止処理を開始したのちに当該電池パック全体に流れる電流が所定値以下になった後、前記各リレーをすべてオフさせ、
前記各リレーをすべてオフする必要がないと判断すると、異常となった電池モジュールが有するリレーのみをオフさせる
ことを特徴とする電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに並列接続される複数の電池モジュールを備える電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
既存の電池パックとして、ある電池モジュールが異常となっても、例えば回生電流の流入により、電池パックへの電力供給がすぐに止まらない場合において、異常となった電池モジュールだけでなく他の電池モジュールにもそれ以上の電流が流れないように、すべての電池モジュールに有するリレーをオフするものがある。
【0003】
関連する技術として、並列接続される複数の組電池ユニットにそれぞれ接続される負極側リレーが溶着しているかを判定するものがある。例えば、特許文献1参照。
また、他の関連する技術として、組電池の状態を監視する主制御部の動作に異常が生じた場合、車両の退避走行可能時間が経過するまで組電池による電力供給を継続させるものがある。例えば、特許文献2参照。
【0004】
また、さらに他の関連する技術として、モジュールリレーが遮断された電池モジュールに電流が流れていると判定された場合に、メインリレーまたはすべてのモジュールリレーを遮断するものがある。例えば、特許文献3参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−093806号公報
【特許文献2】特開2014−017901号公報
【特許文献3】特開2015−122864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のように、ある電池モジュールが異常となっても電池パックへの電力供給がすぐに止まらない場合において、すべてのリレーをオフするときに、少なくとも1つのリレーが閉固着していると、その閉固着しているリレーを有する電池モジュールに集中して電流が流れるため、その電池モジュールの電池に過電流が流れたり、その電池モジュールの電池が過充電状態になったりするおそれがある。
【0007】
そこで、本発明の一側面に係る目的は、互いに並列接続される複数の電池モジュールに有するリレーをすべてオフするときに、少なくとも1つのリレーが閉固着していても、その閉固着しているリレーを有する電池モジュールに集中して電流が流れないようにすることが可能な電池パックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る一つの形態である電池パックは、それぞれ、直列接続される電池及びリレーを有し、互いに並列接続される複数の電池モジュールと、各リレーをオンまたはオフさせる制御部とを備え、制御部から各リレーをすべてオフすべきと判断された旨を受信すると回生ブレーキを使用して走行停止処理を行い、その走行停止処理により電池へ回生電流が流れる車両に搭載される。
【0009】
制御部は、各リレーをすべてオフすべきと判断すると、所定時間経過後に各リレーをすべてオフさせる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、互いに並列接続される複数の電池モジュールに有するリレーをすべてオフするときに、少なくとも1つのリレーが閉固着していても、その閉固着しているリレーを有する電池モジュールに集中して電流が流れないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態の電池パックの一例を示す図である。
【
図2】制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図3】制御部の動作の他の例を示すフローチャートである。
【
図4】制御部の動作のさらに他の例を示すフローチャートである。
【
図5】制御部の動作のさらに他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面に基づいて実施形態について詳細を説明する。
図1は、実施形態の電池パックの一例を示す図である。
図1に示す電池パック1は、例えば、電動フォークリフトや電気自動車などの車両に搭載され、走行モータを駆動するインバータなどの負荷Loへ電力を供給する。また、車両の停止時、負荷Loから電池パック1へ回生電流が流れるものとする。
【0013】
また、電池パック1は、互いに並列接続される複数の電池モジュール2と、制御部3とを備えている。なお、制御部3は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やプログラマブルディバイスにより構成される。
【0014】
各電池モジュール2は、それぞれ、電池Bと、リレーRと、電流検出部21と、温度検出部22と、監視部23とを備えている。
電池Bは、直列接続される複数の電池(例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、または電気二重層コンデンサ)により構成される。なお、電池Bは、1つの電池により構成されてもよい。
【0015】
リレーRは、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体リレーや電磁式リレーにより構成され、電池Bに直列接続されている。すべてのリレーRがオンすると、すべての電池Bが互いに電気的に接続されるとともに負荷Loに電気的に接続される。また、すべてのリレーRがオフすると、すべての電池Bが互いに電気的に切り離されるとともに負荷Loと電気的に切り離される。なお、
図1に示す例では、リレーRが電池Bのマイナス端子側に接続されているが、リレーRが電池Bのプラス端子側に接続されてもよい。
【0016】
電流検出部21は、例えば、ホール素子により構成され、電池モジュール2(電池B)に流れる電流を検出する。
温度検出部22は、例えば、サーミスタにより構成され、電池Bの周辺温度を検出する。
【0017】
監視部23は、例えば、CPUやプログラマブルディバイスにより構成され、電池Bの電圧を検出する。また、監視部23は、制御部3から送られてくる指示により、リレーRのオン、オフを制御する。また、監視部23は、電池Bの電圧、電流検出部21により検出される電流、及び温度検出部22により検出される温度を示す電池状態情報を制御部3に送る。
【0018】
制御部3は、電池状態情報に示される電圧、電流、及び温度に基づいて、その電池状態情報の送り元の電池モジュール2が異常であるか否かを判断する。また、制御部3は、異常となった電池モジュール2に有するリレーRをオフさせることで、その電池モジュール2を他の電池モジュール2から電気的に切り離し、その異常となった電池モジュール2へ流れる電流(負荷Loから異常となった電池モジュール2の電池Bへ流れる回生電流や他の電池モジュール2の電池Bから異常となった電池モジュール2の電池Bへ流れる還流電流など)を遮断する。また、制御部3は、すべての電池モジュール2に有するリレーRをオフさせることで、すべての電池モジュール2を互いに電気的に切り離し、すべての電池モジュール2へ流れる電流(負荷Loからすべての電池モジュール2の電池Bへ流れる回生電流など)を遮断する。
<実施例1>
図2は、電池パック1の使用時(車両走行時)の制御部3の動作の一例を示すフローチャートである。なお、すべてのリレーRはオンしているものとする。
【0019】
まず、制御部3は、すべての電池モジュール2に異常が発生していないと判断すると(S21:No)、現在の状態を維持し、すべての電池モジュール2のうちの少なくとも1つの電池モジュール2に異常が発生したと判断すると(S21:Yes)、その異常の種類に基づいて、各リレーRをすべてオフすべきか否かを判断する(S22)。例えば、制御部3は、電池状態情報に示される電圧により、その電池状態情報の送り元の電池モジュール2の電池Bが過充電状態であると判断すると、各リレーRをすべてオフすべきであると判断する。または、制御部3は、電池状態情報に示される電流により、その電池状態情報の送り元の電池モジュール2の電池Bに過電流が流れていると判断すると、各リレーRをすべてオフすべきであると判断する。また、制御部3は、電池状態情報に示される温度により、その電池状態情報の送り元の電池モジュール2の電池Bが過温度であると判断すると、各リレーRをすべてオフする必要がないと、すなわち、異常となった電池モジュール2に有するリレーRのみをオフすればよいと判断する。
【0020】
次に、制御部3は、異常となった電池モジュール2に有するリレーRのみをオフすればよいと判断すると(S22:No)、異常となった電池モジュール2に有するリレーRをオフさせる(S23)。
【0021】
また、制御部3は、各リレーRをすべてオフすべきであると判断すると(S22:Yes)、所定時間経過後に(S24:Yes)、各リレーRをすべてオフさせる(S25)。例えば、制御部3は、各リレーRをすべてオフすべきであると判断すると、その旨を車両側の走行制御部4へ送る。走行制御部4は、各リレーRをすべてオフすべきであると判断した旨を受け取ると、走行停止処理を開始する。本実施形態の電池パック1は、走行制御部4が走行停止処理を開始してから車両が停止するまで負荷Loから電池パック1へ回生電流が流れ続けるような車両に対して有効である。より具体的には、リーチフォークリフトのように、制御部3から各リレーRをすべてオフすべきと判断された旨を走行制御部4が受信すると回生ブレーキを使用して走行停止処理を行い、走行停止処理により負荷Loから電池パック1の電池Bへ回生電流が流れる車両に搭載されると有効である。
【0022】
なお、所定時間とは、例えば、制御部3が各リレーRをすべてオフすべきと判断しその旨を車両側の走行制御部4へ送ってから走行制御部4が走行停止処理を開始し負荷Loから電池パック1へ流れる回生電流が止まるまでの時間とする。
【0023】
このように、実施例1の電池パック1では、各リレーRをすべてオフすべきであると判断すると、所定時間経過後に、各リレーRをすべてオフさせる構成であるため、例えば、負荷Loから電池パック1へ流れる回生電流が止まった後、各リレーRをすべてオフさせることができる。これにより、リレーRをすべてオフするときに、少なくとも1つのリレーRが閉固着していても、その閉固着しているリレーRを有する電池モジュール2に集中して電流が流れないようにすることができる。
<実施例2>
図3は、電池パック1の使用時(車両走行時)の制御部3の動作の他の例を示すフローチャートである。なお、すべてのリレーRはオンしているものとする。また、
図3に示すS31、S32、S33は、
図2に示すS21、S22、S23と同じ処理であり、説明を省略する。
【0024】
制御部3は、各リレーRをすべてオフすべきであると判断し(S32:Yes)、かつ、各リレーRがすべて閉固着していないと判断すると(S34:No)、すぐに、各リレーRをすべてオフさせる(S36)。例えば、制御部3は、電池パック1の充電開始時または電池パック1の充電終了時において、各リレーRがそれぞれ閉固着しているか否かを判断しておき、その判断結果を、S34の処理の際に使用する。また、制御部3は、リレーRをオフさせる指示を監視部23へ送っているにもかかわらず、その監視部23から送られてくる電池状態情報に示される電流がゼロでないとき、そのリレーRが閉固着していると判断する。
【0025】
また、制御部3は、各リレーRをすべてオフすべきであると判断し(S32:Yes)、かつ、少なくとも1つのリレーRが閉固着していると判断すると(S34:Yes)、所定時間経過後に(S35:Yes)、各リレーRをすべてオフさせる(S36)。
【0026】
このように、実施例2の電池パック1では、各リレーRをすべてオフすべきであると判断し、かつ、少なくとも1つのリレーRが閉固着していると判断すると、所定時間経過後に、各リレーRをすべてオフさせる構成であるため、実施例1の電池パック1と同様に、例えば、負荷Loから電池パック1へ流れる回生電流が止まった後、各リレーRをすべてオフさせることができる。これにより、リレーRをすべてオフするときに、少なくとも1つのリレーRが閉固着していても、その閉固着しているリレーRを有する電池モジュール2に集中して電流が流れないようにすることができる。
【0027】
また、実施例2の電池パック1では、各リレーRをすべてオフすべきであると判断し、かつ、すべてのリレーRが閉固着していないと判断すると、すぐに、各リレーRをすべてオフさせる構成であるため、負荷Loから各電池モジュール2へ流れる回生電流を遮断することができる。これにより、異常となっていない他の電池モジュール2が回生電流により異常となることを防止することができる。
<実施例3>
図4は、電池パック1の使用時(車両走行時)の制御部3の動作のさらに他の例を示すフローチャートである。なお、すべてのリレーRはオンしているものとする。また、
図4に示すS41、S42、S43は、
図2に示すS21、S22、S23と同じ処理であり、説明を省略する。
【0028】
制御部3は、各リレーRをすべてオフすべきであると判断すると(S42:Yes)、その旨を走行制御部4に送信し(S44)、走行停止処理を開始した旨を走行制御部4から受信した後(S45:Yes)、車両が停止した旨を走行制御部4から受信すると(S46:No)、各リレーRをすべてオフさせる(S47)。なお、走行制御部4は、各リレーRをすべてオフすべきであると判断した旨を制御部3から受信すると、走行停止処理を開始するとともに、走行停止処理を開始した旨を制御部3に送信し、その後、走行停止処理により車両が停止すると、その旨を制御部3に送信するものとする。また、車両が停止すると、負荷Loから電池パック1へ回生電流が流れなくなるものとする。
【0029】
このように、実施例3の電池パック1では、各リレーRをすべてオフすべきであると判断すると、走行停止処理を開始したのちに車両が停止した後、各リレーRをすべてオフさせる構成であるため、実施例1の電池パック1と同様に、例えば、負荷Loから電池パック1へ流れる回生電流が止まった後、各リレーRをすべてオフさせることができる。これにより、リレーRをすべてオフするときに、少なくとも1つのリレーRが閉固着していても、その閉固着しているリレーRを有する電池モジュール2に集中して電流が流れないようにすることができる。
<実施例4>
図5は、電池パック1の使用時(車両走行時)の制御部3の動作のさらに他の例を示すフローチャートである。なお、すべてのリレーRはオンしているものとする。また、
図5に示すS51、S52、S53は、
図2に示すS21、S22、S23と同じ処理であり、説明を省略する。
【0030】
制御部3は、各リレーRをすべてオフすべきであると判断すると(S52:Yes)、その旨を走行制御部4に送信し(S54)、走行停止処理を開始した旨を走行制御部4から受信した後(S55:Yes)、電池パック1全体に流れる電流が所定値以下になったと判断すると(S56:Yes)、各リレーRをすべてオフさせる(S57)。例えば、制御部3は、各電池Bにそれぞれ流れる電流の総和を、電池パック1全体に流れる電流とする。または、制御部3は、1つの電池モジュール2に流れる電流と、電池パック1に備えられる電池モジュール2の個数との乗算結果を、電池パック1全体に流れる電流とする。また、上記所定値は、例えば、電池BやリレーRの定格電流などに基づいて設定されるものとする。
【0031】
このように、実施例4の電池パック1では、各リレーRをすべてオフすべきであると判断すると、走行停止処理を開始したのちに電池パック1全体に流れる電流が所定値以下になった後、各リレーRをすべてオフさせる構成であるため、負荷Loから電池パック1へ流れる回生電流が所定値以下になった後、各リレーRをすべてオフさせることができる。これにより、リレーRをすべてオフするときに、少なくとも1つのリレーRが閉固着していても、その閉固着しているリレーRを有する電池モジュール2に集中して流れる電流を抑えることができ、その電池モジュール2の電池Bに過電流が流れることを抑えることができる。
【0032】
また、本発明は、上記実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
例えば、所定時間とは、制御部3が各リレーRをすべてオフすべきと判断しその旨を車両側の走行制御部4へ送ってからの時間に限らず、制御部3が各リレーRをすべてオフすべきと判断してからの時間でもよく、または、制御部3が判断した旨を車両側の走行制御部4へ送ったのちに走行停止処理を開始した旨を走行制御部4から受け取ってからの時間でもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 電池パック
2 電池モジュール
3 制御部
4 走行制御部
21 電流検出部
22 温度検出部
23 監視部
Lo 負荷
B 電池
R リレー