特許第6555181号(P6555181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6555181
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】逆接保護回路
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20190729BHJP
   H02H 11/00 20060101ALI20190729BHJP
   H01M 2/10 20060101ALN20190729BHJP
【FI】
   H02J7/00 T
   H02H11/00 120
   !H01M2/10 N
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-85346(P2016-85346)
(22)【出願日】2016年4月21日
(65)【公開番号】特開2017-195718(P2017-195718A)
(43)【公開日】2017年10月26日
【審査請求日】2018年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100145241
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康裕
(72)【発明者】
【氏名】戸谷 彰信
【審査官】 阿部 陽
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−242441(JP,A)
【文献】 特開2005−137190(JP,A)
【文献】 特開2012−143024(JP,A)
【文献】 特開平07−007846(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0126245(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02H 11/00
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源と電気回路の間に設けられる前記直流電源の逆接保護回路であって、
前記直流電源の正極と前記電気回路の間の電路に設けられたコンタクタと、
前記コンタクタを開閉制御するコンタクタ制御装置と、
前記直流電源の正極側に接続される第1電極と、前記直流電源の負極側に接続される第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の間に電流を流すオン動作を行うか否かを切り替える制御電極と、をそれぞれ有する第1スイッチング素子および第2スイッチング素子と、
を備え、
前記第1スイッチング素子の第1電極は、前記直流電源の正極と前記コンタクタの間に接続され、
前記第1スイッチング素子の第2電極は、前記直流電源の負極に第1抵抗を介して接続され、
前記第1スイッチング素子の制御電極は、前記直流電源の正極と前記コンタクタの間に第2抵抗を介して接続されると共に、前記コンタクタと前記電気回路の間の前記電路に接続され、
前記第2スイッチング素子の第1電極は、前記直流電源の正極と前記コンタクタの間に接続され、
前記第2スイッチング素子の第2電極は、前記コンタクタ制御装置にコンタクタ駆動器を介して接続され、
前記第2スイッチング素子の制御電極は、前記第1スイッチング素子の第2電極と前記第1抵抗の間に接続される、
逆接保護回路。
【請求項2】
直流電源と電気回路の間に設けられる前記直流電源の逆接保護回路であって、
コンタクタを介して前記直流電源の正極と接続されるべき正極端子と、
前記直流電源の負極と接続されるべき負極端子と、
前記直流電源の正極と接続される第1コネクタ端子と、
前記コンタクタを開閉制御するコンタクタ制御装置にコンタクタ駆動器を介して接続される第2コネクタ端子と、
前記直流電源の正極側に接続される第1電極と、前記直流電源の負極側に接続される第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の間に電流を流すオン動作を行うか否かを切り替える制御電極と、をそれぞれ有する第1スイッチング素子および第2スイッチング素子と、
を備え、
前記第1スイッチング素子の第1電極は、前記第1コネクタ端子に接続され、
前記第1スイッチング素子の第2電極は、前記負極端子に第1抵抗を介して接続され、
前記第1スイッチング素子の制御電極は、前記第1コネクタ端子に第2抵抗を介して接続されると共に、前記正極端子と前記電気回路の間の電路に接続され、
前記第2スイッチング素子の第1電極は、前記第1コネクタ端子に接続され、
前記第2スイッチング素子の第2電極は、前記第2コネクタ端子に接続され、
前記第2スイッチング素子の制御電極は、前記第1スイッチング素子の第2電極と前記第1抵抗の間に接続される、
逆接保護回路。
【請求項3】
直流電源と電気回路の間に設けられる前記直流電源の逆接保護回路であって、
前記直流電源の正極と前記電気回路の間の電路に設けられたコンタクタと、
前記コンタクタを開閉制御するコンタクタ制御装置と、
前記コンタクタを介して前記直流電源の正極と接続されるべき正極端子と、
前記直流電源の負極と接続されるべき負極端子と、
前記直流電源の正極と接続される第1コネクタ端子と、
前記コンタクタ制御装置にコンタクタ駆動器を介して接続される第2コネクタ端子と、
前記直流電源の正極側に接続される第1電極と、前記直流電源の負極側に接続される第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の間に電流を流すオン動作を行うか否かを切り替える制御電極と、をそれぞれ有する第1スイッチング素子および第2スイッチング素子と、
を備え、
前記第1スイッチング素子の第1電極は、前記第1コネクタ端子に接続され、
前記第1スイッチング素子の第2電極は、前記負極端子に第1抵抗を介して接続され、
前記第1スイッチング素子の制御電極は、前記第1コネクタ端子に第2抵抗を介して接続されると共に、前記正極端子と前記電気回路の間の前記電路に接続され、
前記第2スイッチング素子の第1電極は、前記第1コネクタ端子に接続され、
前記第2スイッチング素子の第2電極は、前記第2コネクタ端子に接続され、
前記第2スイッチング素子の制御電極は、前記第1スイッチング素子の第2電極と前記第1抵抗の間に接続される、
逆接保護回路。
【請求項4】
前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子は、PチャネルFETであり、
前記第1電極はソースであり、前記第2電極はドレインであり、前記制御電極はゲートであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の逆接保護回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電源の逆接保護回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、直流電源(バッテリ)の電極を逆に接続されても、電気回路を保護するための保護回路が知られている。例えば、特許文献1は、バッテリに充電用電圧を供給する出力装置に対して該バッテリの電極を逆接続した際に、該出力装置および該バッテリの損傷を防止することを目的として逆接続保護回路を開示する。この逆接保護回路は、出力装置にバッテリを逆接続した場合に、該バッテリから特定のリレーコイルに流入する励磁電流を阻止するダイオードと、リレーコイルの励磁によって、出力装置の出力端と前記バッテリとを接続するリレースイッチとを具備する。この逆接続保護回路では、バッテリ接続部にバッテリが正常に接続されているときにのみリレーコイルが励磁され、これによりスイッチが閉成されるが、バッテリの逆接続時には、ダイオードの逆方向作用により励磁電流が阻止されるので、リレースイッチは開放され、短絡電流が流れなくなる。
【0003】
また、特許文献2は、簡易な構成で低コストのバッテリ逆接続保護装置を開示する。このバッテリ逆接続保護装置は、励磁コイル及びリレー接点からなる電磁リレーとダイオードとを備え、励磁コイルの一端は第1端子に接続され、他端はダイオードのカソードに接続され、ダイオードのアノードは第2端子に接続されている。また、このバッテリ逆接続保護装置では、リレー接点は常閉接点で、その一方の接点が第1端子に接続され、他方の接点が負荷側の電源ラインに接続されている。バッテリが逆に接続された場合には、ダイオードに順バイアスが印加されるので、励磁コイルに励磁電流が流れて、リレー接点が開放される。
【0004】
また、特許文献3は、逆接防止回路を用いたシステム全体のコストを低減しつつ、確実に逆接続防止を図ることができる逆接続防止回路を開示する。この逆接続防止回路は、逆接続の際に、負極入力端子からオン用寄生ダイオード、オン用逆起ノイズ除去用フライホイールダイオード、接点オフ用コイル、およびオフ用逆起ノイズ除去用フライホイールダイオードを経由して正極入力端子に電流が流れるように、ラッチリレー、第2逆接続防止用ダイオード、オン用MOSFET、およびオフ用MOSFETを接続する。これにより、この逆接続防止回路では、バッテリが逆接続防止回路に正常に接続された際に接点オフ用コイルに流れる電流と同じ向きの電流が接点オフ用コイルに流れるので、確実にラッチ部の通電を遮断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08−205411号公報
【特許文献2】特開平10−336905号公報
【特許文献3】特開2011−135633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、直流電源(バッテリ)が正接続されている場合には損失が小さく、かつ、直流電源が逆接続された場合には確実に電気回路を保護する直流電源の逆接保護回路を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、直流電源と電気回路の間に設けられる直流電源の逆接保護回路であって、直流電源の正極と電気回路の間の電路に設けられたコンタクタと、コンタクタを開閉制御するコンタクタ制御装置と、コンタクタを介して直流電源の正極と接続されるべき正極端子と、直流電源の負極と接続されるべき負極端子と、直流電源の正極と接続される第1コネクタ端子と、コンタクタ制御装置にコンタクタ駆動器を介して接続される第2コネクタ端子と、直流電源の正極側に接続される第1電極と、直流電源の負極側に接続される第2電極と、第1電極および第2電極の間に電流を流すオン動作を行うか否かを切り替える制御電極と、をそれぞれ有する第1スイッチング素子および第2スイッチング素子と、を備え、第1スイッチング素子の第1電極は、第1コネクタ端子に接続され、第1スイッチング素子の第2電極は、負極端子に第1抵抗を介して接続され、第1スイッチング素子の制御電極は、第1コネクタ端子に第2抵抗を介して接続されると共に、正極端子と電気回路の間の電路に接続され、第2スイッチング素子の第1電極は、第1コネクタ端子に接続され、第2スイッチング素子の第2電極は、第2コネクタ端子に接続され、第2スイッチング素子の制御電極は、第1スイッチング素子の第2電極と第1抵抗の間に接続される、逆接保護回路が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、直流電源が正接続されている場合には損失が小さく、かつ、直流電源が逆接続された場合には確実に電気回路を保護する直流電源の逆接保護回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る第一実施例の逆接保護回路の回路図。
図2】本発明に係る第一実施例の逆接保護回路における、直流電源を正接続した場合の説明回路図(第1段階)。
図3】本発明に係る第一実施例の逆接保護回路における、直流電源を正接続した場合の説明回路図(第2段階)。
図4】本発明に係る第一実施例の逆接保護回路における、直流電源を逆接続した場合の説明回路図。
図5】本発明に係る第一実施例の変形例の逆接保護回路の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る各実施例について説明する。
<第一実施例>
図1を参照し、本実施例における逆接保護回路100を説明する。逆接保護回路100は、直流電源Bと負荷Lの間に設けられ、直流電源Bの正極と負極が逆接続された状態から負荷Lに電力を供給する昇降圧型DCDCコンバータCV内の電気回路を保護する回路である。なお、本明細書では、直流電源Bは、48Vの高圧バッテリであり、負荷Lは、昇降圧型DCDCコンバータCVに接続された12Vバッテリとして記載するが、これに限定されるものではない。なお、昇降圧型DCDCコンバータCVは、内部に、電流モニタCM、双方向変換部TR、貫通および逆接を保護する貫通逆接保護部PPを有し、逆接保護回路100は、双方向変換部TRなどを保護する。本図は、直流電源Bの極性を誤らずに正しく接続されている状態(正接続)を示している。
【0011】
逆接保護回路100は、直流電源Bの正極と昇降圧型DCDCコンバータCVの正極側を接続するハイサイド電路LHと、直流電源Bの負極と昇降圧型DCDCコンバータCVの負極側を接続するローサイド電路LLを有する。なお、ハイサイド電路LHと接続される昇降圧型DCDCコンバータCVの正極側には電流モニタCMが設けられている。
【0012】
逆接保護回路100は、直流電源Bの正極と昇降圧型DCDCコンバータCV内の電気回路の間のハイサイド電路LH上に設けられたコンタクタCOと、コンタクタCOと昇降圧型DCDCコンバータCV内の電気回路の間のハイサイド電路LH上に正極端子PTと、直流電源Bの負極と昇降圧型DCDCコンバータCV内の電気回路の間のローサイド電路LL上に負極端子NTとを備える。すなわち、正極端子PTは、コンタクタCOを介して直流電源Bの正極と接続され、負極端子NTは、直流電源Bの負極と接続される。これは、直流電源Bが逆接保護回路100に正接続された場合の接続であり、逆接続された場合は、正極端子PTは、直流電源Bの負極と接続され、負極端子NTは、コンタクタCOを介して直流電源Bの正極と接続される。したがって、正極端子PTは、コンタクタCOを介して直流電源Bの正極と接続されるべきものであり、負極端子NTは、直流電源Bの負極と接続されるべきものである。
【0013】
逆接保護回路100は、コンタクタCOを開閉制御するコンタクタ制御装置CCと、コンタクタCOを駆動するコンタクタ駆動器CDとを備える。コンタクタ制御装置CCは、直流電源Bが正接続されている場合にはコンタクタCOの開閉を制御し、直流電源Bが逆接続された場合には、後述するように、コンタクタCOは開となり電路を遮断するので、直流電源Bから昇降圧型DCDCコンバータCV内の電気回路に電流が流れることがない。したがって、逆接保護回路100におけるコンタクタ制御装置CCは、直流電源Bが正接続された場合および逆接続された場合の両方においてコンタクタとして機能するので、正接続時の接続制御用コンタクタと逆接続時の遮断用コンタクタの2つを備える必要がない。なお、コンタクタCOは常開型のコンタクタであり、コンタクタ駆動器CDは、電流が流れた時にコンタクタCOを閉とするように駆動する所謂電磁石である。
【0014】
逆接保護回路100は、直流電源Bの正極と直接接続される第1コネクタ端子T1と、コンタクタ制御装置CCにコンタクタ駆動器CDを介して接続される第2コネクタ端子T2とを備える。第1コネクタ端子T1が直流電源Bの正極と直接接続されるとは、第1コネクタ端子T1は、コンタクタなどのスイッチ類を介さずに直流電源Bの正極と電気的に接続され、また直流電源Bが逆接続された場合であっても直流電源Bの正極と接続されることを意味する。第2コネクタ端子T2は、後述するスイッチング素子のドレインとコンタクタ駆動器CDの間に設けられ、直流電源Bが逆接続された場合であってもそのドレインとコンタクタ駆動器CDを接続することに変わりはない。このように、第1コネクタ端子T1と第2コネクタ端子T2は、直流電源Bが正接続された場合と逆接続された場合とで接続が変わらないように、両者を取り違えて逆に接続できない物理的な構造を有する。
【0015】
逆接保護回路100は、第1スイッチング素子SW1と第2スイッチング素子SW2を備える。第1スイッチング素子SW1と第2スイッチング素子SW2は、それぞれ、第1電極Sと、第2電極Dと、制御電極Gとを有する。第1電極Sは、直流電源Bの正極側に接続され、第2電極Dは、直流電源Bの負極側に接続され、制御電極Gは、第1電極Sおよび第2電極Dの間に電流を流すオン動作を行うか否かを切り替えるものである。
【0016】
なお、本実施例では、第1スイッチング素子および第2スイッチング素子は、PNP構造を有するPチャネルFET(PNP型の電界効果トランジスタ)であり、第1電極Sはソースであり、第2電極Dはドレインであり、制御電極Gはゲートである。なお、第1スイッチング素子および第2スイッチング素子は、これに限定されず、PNP構造を有するトランジスタであってもよい。この場合、第1電極はエミッタであり、第2電極はコレクタであり、制御電極はベースである。
【0017】
第1スイッチング素子SW1の第1電極Sは、第1コネクタ端子T1に接続される。すなわち、第1スイッチング素子SW1の第1電極Sは、直流電源Bの正極とコンタクタCOの間に接続され、直流電源Bの正極に直接接続される。したがって、第1スイッチング素子SW1の第1電極Sは、直流電源Bが逆接続された場合であっても、直流電源Bの正極に接続される。
【0018】
第1スイッチング素子SW1の第2電極Dは、負極端子NTに第1抵抗R1を介して接続される。すなわち、第1スイッチング素子SW1の第2電極Dは、直流電源Bが正接続された場合、直流電源Bの負極側に接続される。第1抵抗R1は、後述するように直流電源Bが逆接続された場合に電流が流れる電路上にあるので、過大な電流が流れないように適宜定められる。
【0019】
第1スイッチング素子SW1の制御電極Gは、第1コネクタ端子T1に第2抵抗R2を介して接続されると共に、正極端子PTと昇降圧型DCDCコンバータCV内の電気回路の間のハイサイド電路LHに接続される。すなわち、第1スイッチング素子SW1の制御電極Gは、直流電源Bの正極とコンタクタCOの間に第2抵抗R2を介して接続されると共に、コンタクタCOと昇降圧型DCDCコンバータCV内の電気回路の間のハイサイド電路LHに接続される。したがって、第1スイッチング素子SW1の制御電極Gは、直流電源Bが正接続された場合はHighとなり、逆接続された場合はLowとなる。第2抵抗R2は、直流電源Bが正接続された場合、第1コネクタ端子T1を有する電路はコンタクタCOをバイパスする電路となるので、過大な電流が流れないように適宜定められる。
【0020】
第2スイッチング素子SW2の第1電極Sは、第1コネクタ端子T1に接続される。すなわち、第2スイッチング素子SW2の第1電極Sは、直流電源Bの正極とコンタクタCOの間に接続され、直流電源Bの正極に直接接続される。第2スイッチング素子SW2の第1電極Sは、直流電源Bが逆接続された場合であっても、直流電源Bの正極に接続される。
【0021】
第2スイッチング素子SW2の第2電極Dは、第2コネクタ端子T2に接続される。すなわち、第2スイッチング素子SW2の第2電極Dは、コンタクタ制御装置CCにコンタクタ駆動器CDを介して接続される。したがって、第2スイッチング素子SW2の第1電極Sから第2電極Dへ流れる電流は、第2コネクタ端子T2を通り、コンタクタ駆動器CDに供給される。
【0022】
第2スイッチング素子SW2の制御電極Gは、第1スイッチング素子SW1の第2電極Dと第1抵抗R1の間に接続される。したがって、第2スイッチング素子SW2の制御電極Gは、第1スイッチング素子SW1がオフの場合にLowとなり、オンの場合にHighとなる。すなわち、第2スイッチング素子SW2は、第1スイッチング素子SW1によりオン/オフ制御される。
【0023】
図2および図3を参照して、直流電源Bが正接続された場合について説明する。図2は、正接続された場合の第1段階を示し、図3は、正接続された場合の第2段階を示す。まず、第1段階を説明する。直流電源Bが正接続された場合、コンタクタCOは常開型のコンタクタなので、この段階では正極端子PTやハイサイド電路LHには電流は流れない。一方、直流電源BにコンタクタCOを介さずに接続されている第1コネクタ端子T1、および第1コネクタ端子T1に接続されている第1スイッチング素子の第1電極Sと第2スイッチング素子の第1電極Sには、正の電位が付加される。さらに、第1スイッチング素子SW1の制御電極Gにも、第2抵抗R2により電位は下がるものの正の電位(High)が付加される。そうすると、第1スイッチング素子SW1は、PチャネルのFETなのでオフとなり、第1スイッチング素子SW1の第1電極Sと第2電極Dの間には電流が流れない。
【0024】
第1スイッチング素子SW1がオフの場合、第2スイッチング素子SW2の制御電極GはLowとなり、第2スイッチング素子SW2もPチャネルのFETなので、第2スイッチング素子SW2はオンとなる。そうすると、第2スイッチング素子SW2の第1電極Sと第2電極Dの間には電流が流れることになる(点線矢印)。第2スイッチング素子SW2の第2電極Dは、第2コネクタ端子T2を介してコンタクタ駆動器CDにも正の電位を付加することになる。
【0025】
第2段階では、コンタクタ制御装置CCがオンすることにより、順に、直流電源Bから、第1コネクタ端子T1、第1スイッチング素子SW1、第2コネクタ端子T2、コンタクタ駆動器CD、コンタクタ制御装置CC、グランドに電流が流れる。コンタクタ駆動器CDに電流が流れることにより、コンタクタ駆動器CDは、コンタクタCOをオンする。コンタクタCOがオンされると、直流電源Bから正極端子PTからハイサイド電路LHを介して、昇降圧型DCDCコンバータCVおよび負荷Lに電力が供給される。
【0026】
一方、コンタクタ制御装置CCがオフになることにより、コンタクタ駆動器CDに電流が流れなくなり、コンタクタ駆動器CDは、コンタクタCOをオフする。このように、コンタクタ制御装置CCは、直流電源Bが正接続された場合、オン/オフすることで、直流電源Bから昇降圧型DCDCコンバータCV内の電気回路への電力の供給を制御することができる。さらに、コンタクタ制御装置CCは、正接続または逆接続された場合の両方でコンタクタとして機能するので、正接続時の接続制御用コンタクタと逆接続時の遮断用コンタクタの2つを備える必要がなく、またそれらを制御する素子も少なくて済むので、回路全体の損失が少なく、小型化も可能となる。
【0027】
図4を参照して、直流電源Bが逆接続された場合について説明する。直流電源Bが逆接続された場合、正極端子PTはグランドの電位となり、負極端子NTは、コンタクタCOが常開型でオフの状態なので、正の電位は付加されていない状態である。一方、第1コネクタ端子T1は、直流電源Bが逆接続されても、直流電源Bの正極に直接接続されているから、直流電源Bの正極、第1コネクタ端子T1、および第1コネクタ端子T1に接続されている第1スイッチング素子の第1電極Sと第2スイッチング素子の第1電極Sには、正の電位が付加される。第1スイッチング素子SW1の制御電極Gは、正極端子PTを介してグランドに接続しているのでLowとなり、第1スイッチング素子SW1はオンになり、第1スイッチング素子SW1の第1電極Sと第2電極Dの間には電流が流れる。
【0028】
第1スイッチング素子SW1がオンの場合、第2スイッチング素子SW2の制御電極GはHighとなり、第2スイッチング素子SW2はオフとなり、第2スイッチング素子SW2の第1電極Sと第2電極Dの間には電流が流れない。そうすると、第2スイッチング素子SW2の第2電極Dは、コンタクタ駆動器CDにも正の電位を付加することはない。したがって、直流電源Bが逆接続された場合、コンタクタ駆動器CDには正の電位が付加されることがないので、コンタクタ制御装置CCの制御に拘わらず、コンタクタCOがオンされることがなく、直流電源Bから昇降圧型DCDCコンバータCV内の電気回路に電力が供給されることがない。このように、逆接保護回路100は、直流電源が正接続されている場合には損失が小さく、かつ、逆接続された場合には確実に電気回路を保護することができる。
【0029】
直流電源Bが逆接続された場合、第1スイッチング素子SW1がオンとなり、第1スイッチング素子SW1の第1電極Sから第2電極Dへ流れた電流は、第1抵抗R1を介して、双方向変換部TRのスイッチング素子の寄生ダイオードを流れ、ハイサイド電路LHを通ってグランドに流れる。第1抵抗R1は、電気回路側に流れる電流を考慮して適宜抵抗値は定められる。
【0030】
<第一実施例の変形例>
上記実施例の逆接保護回路100は、コンタクタCO、コンタクタ駆動器CD、コンタクタ制御装置CCを含むものであったが、これらを含まない図5に示す逆接保護回路100’は、言うまでもなく同様な効果が得られる。すなわち、直流電源Bと昇降圧型DCDCコンバータCV内の電気回路の間に設けられる逆接保護回路100’は、正極端子PTと、負極端子NTと、第1コネクタ端子T1と、第2コネクタ端子T2と、第1スイッチング素子SW1および第2スイッチング素子SW2とを備える。なお、構成要素には同じ符号を付して、それぞれの構成要素の説明を省略する。
【0031】
そして、逆接保護回路100’では、第1スイッチング素子SW1の第1電極Sは、第1コネクタ端子T1に接続され、第1スイッチング素子SW1の第2電極Dは、負極端子NTに第1抵抗R1を介して接続され、第1スイッチング素子SW1の制御電極Gは、第1コネクタ端子T1に第2抵抗R2を介して接続されると共に、正極端子PTと昇降圧型DCDCコンバータCV内の電気回路の間の電路LHに接続される。また、逆接保護回路100’では、第2スイッチング素子SW2の第1電極Sは、第1コネクタ端子T1に接続され、第2スイッチング素子SW2の第2電極Dは、第2コネクタ端子T2に接続され、第2スイッチング素子SW2の制御電極Gは、第1スイッチング素子SW1の第2電極Dと第1抵抗R1の間に接続される。
【0032】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
【符号の説明】
【0033】
100 逆接保護回路
SW1 第1スイッチング素子
SW2 第2スイッチング素子
G 制御電極
S 第1電極
D 第2電極
R1 第1抵抗
R2 第2抵抗
LH 電路(ハイサイド)
LL 電路(ローサイド)
CO コンタクタ
CC コンタクタ制御装置
CD コンタクタ駆動器
PT 正極端子
NT 負極端子
T1 第1コネクタ端子
T2 第2コネクタ端子
B 直流電源
CV 昇降圧型DCDCコンバータ
TR 双方向変換部
PP 貫通逆接保護部
L 負荷
CM 電流モニタ
図1
図2
図3
図4
図5