特許第6555300号(P6555300)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6555300膨張装置、立体画像形成システム、熱膨張性シートの膨張方法、乾燥方法、予熱方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6555300
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】膨張装置、立体画像形成システム、熱膨張性シートの膨張方法、乾燥方法、予熱方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20190729BHJP
   B41M 5/26 20060101ALI20190729BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20190729BHJP
   B41M 3/06 20060101ALN20190729BHJP
【FI】
   B41J2/01 121
   B41J2/01 501
   B41J2/01 305
   B41J2/01 451
   B41J2/01 401
   B41M5/26
   B41M5/00 100
   !B41M3/06 C
   !B41M3/06 F
【請求項の数】23
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2017-120267(P2017-120267)
(22)【出願日】2017年6月20日
(65)【公開番号】特開2019-1137(P2019-1137A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2018年4月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】牛込 洋一
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 稔
【審査官】 長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03836624(US,A)
【文献】 特開2017−065240(JP,A)
【文献】 特開2001−225543(JP,A)
【文献】 特開平08−025785(JP,A)
【文献】 特開平03−005629(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/111364(WO,A1)
【文献】 特開2004−164999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 1/00−3/18
B41M 5/00−5/52
B41J 2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱膨張性シートに光を照射する照射手段と、
前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させる移動手段と、
前記照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段と、
前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記膨張処理において、前記照射手段に光を照射させている間は、当該照射手段に向けた送風を停止するように前記送風手段を制御する、
ことを特徴とする膨張装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記膨張処理を実行した後、前記照射手段に光の照射を停止させてから、前記送風手段に送風を開始させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の膨張装置。
【請求項3】
熱膨張性シートに光を照射する照射手段と、
前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させる移動手段と、
前記照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段と、
前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記膨張処理後に、光の照射が停止するように前記照射手段を制御するとともに前記膨張処理時には弱めていた前記照射手段に向けた送風を強めるように前記送風手段を制御する、
ことを特徴とする膨張装置。
【請求項4】
前記移動手段は、前記照射手段を、前記熱膨張性シートに沿って移動させ、
前記制御手段は、前記移動手段によって前記照射手段を第1の方向に移動させながら前記膨張処理を実行し、前記移動手段によって前記照射手段を前記第1の方向とは逆の第2の方向に移動させながら前記送風手段に送風させる、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の膨張装置。
【請求項5】
熱膨張性シートに光を照射する照射手段と、
前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させる移動手段と、
前記照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段と、
前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御手段と、
を備え、
前記熱膨張性シートは、前記膨張処理において、規定の温度以上に加熱されることによって膨張し、
前記制御手段は、前記熱膨張性シートが前記規定の温度未満に維持されるように、前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを乾燥させる乾燥処理を前記膨張処理に先立って実行し
前記乾燥処理において、前記照射手段に光を照射させている間は、当該照射手段に向けた送風を停止するように前記送風手段を制御する、
ことを特徴とする膨張装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記熱膨張性シートを乾燥させた後、前記照射手段に光の照射を停止させてから、前記送風手段に送風を開始させる、
ことを特徴とする請求項に記載の膨張装置。
【請求項7】
熱膨張性シートに光を照射する照射手段と、
前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させる移動手段と、
前記照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段と、
前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御手段と、
を備え、
前記熱膨張性シートは、前記膨張処理において、規定の温度以上に加熱されることによって膨張し、
前記制御手段は、前記熱膨張性シートが前記規定の温度未満に維持されるように、前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを乾燥させる乾燥処理を前記膨張処理に先立って実行し、
前記乾燥処理後に、光の照射が停止するように前記照射手段を制御するとともに前記乾燥処理時には弱めていた前記照射手段に向けた送風を強めるように前記送風手段を制御する、
ことを特徴とする膨張装置。
【請求項8】
熱膨張性シートに光を照射する照射手段と、
前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させる移動手段と、
前記照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段と、
前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記膨張処理を実行する前に、前記照射手段に光を照射させることによって、前記照射手段を予備的に加熱する予熱処理を前記膨張処理に先立って実行し、
前記予熱処理において、前記照射手段に光を照射させている間は、当該照射手段に向けた送風を停止するように前記送風手段を制御する、
ことを特徴とする膨張装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記予熱処理を実行した後、前記照射手段に光の照射を停止させてから、前記送風手段に送風を開始させることによって、前記照射手段の温度を予め設定された温度に低下させる、
ことを特徴とする請求項に記載の膨張装置。
【請求項10】
熱膨張性シートに光を照射する照射手段と、
前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させる移動手段と、
前記照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段と、
前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記膨張処理を実行する前に、前記照射手段に光を照射させることによって、前記照射手段を予備的に加熱する予熱処理を前記膨張処理に先立って実行し、
前記予熱処理後に、光の照射が停止するように前記照射手段を制御するとともに前記予熱処理時には弱めていた前記照射手段に向けた送風を強めるように前記送風手段を制御する、
ことを特徴とする膨張装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の膨張装置と、
前記熱膨張性シートの表面又は裏面に、前記照射手段から照射される光を熱に変換する光熱変換層を印刷する印刷装置と、を備え、
前記制御手段は、前記印刷装置によって前記光熱変換層が印刷された前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら、前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートのうちの前記光熱変換層が印刷された部分を膨張させる、
ことを特徴とする立体画像形成システム。
【請求項12】
熱膨張性シートに光を照射する照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段を備えた膨張装置が実行する前記熱膨張性シートの膨張方法であって、
記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御ステップ、
を含み、
前記制御ステップでは、前記膨張処理において前記照射手段に光を照射させている間は、前記照射手段に向けた送風を停止するようにする、
ことを特徴とする熱膨張性シートの膨張方法。
【請求項13】
熱膨張性シートに光を照射する照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段を備えた膨張装置が実行する前記熱膨張性シートの膨張方法であって、
前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御ステップ、
を含み、
前記制御ステップでは、前記膨張処理後に、光の照射が停止するように前記照射手段を制御するとともに前記膨張処理時には弱めていた前記照射手段に向けた送風を強めるように制御する、
ことを特徴とする熱膨張性シートの膨張方法。
【請求項14】
熱膨張性シートに光を照射する照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段を備えた膨張装置が実行する前記熱膨張性シートの乾燥方法であって、
前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御ステップ、
を含み、
前記熱膨張性シートは、前記膨張処理において、規定の温度以上に加熱されることによって膨張し、
前記制御ステップは、前記熱膨張性シートが前記規定の温度未満に維持されるように、前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを乾燥させる乾燥処理を前記膨張処理に先立って実行し、
前記乾燥処理において、前記照射手段に光を照射させている間は、当該照射手段に向けた送風を停止する、
ことを特徴とする熱膨張性シートの乾燥方法。
【請求項15】
熱膨張性シートに光を照射する照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段を備えた膨張装置が実行する前記熱膨張性シートの乾燥方法であって、
前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御ステップ、
を含み、
前記熱膨張性シートは、前記膨張処理において、規定の温度以上に加熱されることによって膨張し、
前記制御ステップは、前記熱膨張性シートが前記規定の温度未満に維持されるように、前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを乾燥させる乾燥処理を前記膨張処理に先立って実行し、
前記乾燥処理後に、光の照射が停止するように前記照射手段を制御するとともに前記乾燥処理時には弱めていた前記照射手段に向けた送風を強めるように制御する、
ことを特徴とする熱膨張性シートの乾燥方法。
【請求項16】
熱膨張性シートに光を照射する照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段を備えた膨張装置が実行する前記熱膨張性シートの予熱方法であって、
前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御ステップ、
を含み、
前記制御ステップは、前記膨張処理を実行する前に、前記照射手段に光を照射させることによって、前記照射手段を予備的に加熱する予熱処理を前記膨張処理に先立って実行し、
前記予熱処理において、前記照射手段に光を照射させている間は、当該照射手段に向けた送風を停止する、
ことを特徴とする熱膨張性シートの予熱方法。
【請求項17】
熱膨張性シートに光を照射する照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段を備えた膨張装置が実行する前記熱膨張性シートの予熱方法であって、
前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御ステップ、
を含み、
前記制御ステップは、前記膨張処理を実行する前に、前記照射手段に光を照射させることによって、前記照射手段を予備的に加熱する予熱処理を前記膨張処理に先立って実行し、
前記予熱処理後に、光の照射が停止するように前記照射手段を制御するとともに前記予熱処理時には弱めていた前記照射手段に向けた送風を強める、
ことを特徴とする熱膨張性シートの予熱方法。
【請求項18】
照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段を備えたコンピュータを、
熱膨張性シートと、前記熱膨張性シートに光を照射する前記照射手段と、を相対的に移動させる移動手段、
記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御手段、
として機能させ、
前記制御手段は、前記膨張処理において、前記照射手段に光を照射させている間は、前記照射手段に向けた送風を停止するように前記送風手段を制御する、
ように機能させるためのプログラム。
【請求項19】
照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段を備えたコンピュータを、
熱膨張性シートと、前記熱膨張性シートに光を照射する前記照射手段と、を相対的に移動させる移動手段、
前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御手段、
として機能させ、
前記制御手段は、前記膨張処理後に、光の照射が停止するように前記照射手段を制御するとともに前記膨張処理時には弱めていた前記照射手段に向けた送風を強めるように前記送風手段を制御する、
ように機能させるためのプログラム。
【請求項20】
照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段を備えたコンピュータを、
熱膨張性シートと、前記熱膨張性シートに光を照射する前記照射手段と、を相対的に移動させる移動手段、
前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御手段、
として機能させ、
前記熱膨張性シートは、前記膨張処理において、規定の温度以上に加熱されることによって膨張し、
前記制御手段は、前記熱膨張性シートが前記規定の温度未満に維持されるように、前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを乾燥させる乾燥処理を前記膨張処理に先立って実行し、
前記乾燥処理において、前記照射手段に光を照射させている間は、当該照射手段に向けた送風を停止するように前記送風手段を制御する、
ように機能させるためのプログラム。
【請求項21】
照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段を備えたコンピュータを、
熱膨張性シートと、前記熱膨張性シートに光を照射する前記照射手段と、を相対的に移動させる移動手段、
前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御手段、
として機能させ、
前記熱膨張性シートは、前記膨張処理において、規定の温度以上に加熱されることによって膨張し、
前記制御手段は、前記熱膨張性シートが前記規定の温度未満に維持されるように、前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを乾燥させる乾燥処理を前記膨張処理に先立って実行し、
前記乾燥処理後に、光の照射が停止するように前記照射手段を制御するとともに前記乾燥処理時には弱めていた前記照射手段に向けた送風を強めるように前記送風手段を制御する、
ように機能させるためのプログラム。
【請求項22】
照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段を備えたコンピュータを、
熱膨張性シートと、前記熱膨張性シートに光を照射する前記照射手段と、を相対的に移動させる移動手段、
前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御手段、
として機能させ、
前記制御手段は、前記膨張処理を実行する前に、前記照射手段に光を照射させることによって、前記照射手段を予備的に加熱する予熱処理を前記膨張処理に先立って実行し、
前記予熱処理において、前記照射手段に光を照射させている間は、当該照射手段に向けた送風を停止するように前記送風手段を制御する、
ように機能させるためのプログラム。
【請求項23】
照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段を備えたコンピュータを、
熱膨張性シートと、前記熱膨張性シートに光を照射する前記照射手段と、を相対的に移動させる移動手段、
前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御手段、
として機能させ、
前記制御手段は、前記膨張処理を実行する前に、前記照射手段に光を照射させることによって、前記照射手段を予備的に加熱する予熱処理を前記膨張処理に先立って実行し、
前記予熱処理後に、光の照射が停止するように前記照射手段を制御するとともに前記予熱処理時には弱めていた前記照射手段に向けた送風を強めるように前記送風手段を制御する、
ように機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨張装置、立体画像形成システム、熱膨張性シートの膨張方法、乾燥方法、予熱方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
立体画像を形成する技術が知られている。例えば、特許文献1,2は、熱膨張性シートを使用した立体画像の形成方法を開示している。具体的に説明すると、特許文献1,2に開示された方法では、熱膨張性シートの裏面に光吸収特性の優れた材料でパターンを形成し、形成されたパターンに照射手段によって光を照射することで加熱する。これにより、熱膨張性シートにおけるパターンが形成された部分が膨張して盛り上がり、立体画像が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭64−28660号公報
【特許文献2】特開2001−150812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
照射手段が光を照射すると、照射手段の温度は上昇する。そのため、照射手段の温度を調整するために、照射手段に送風して照射手段を冷却することがある。照射手段に送風する場合、照射手段による光の照射と照射手段への送風とを同時に行うと、送風による空気の流れによって熱膨張性シートの加熱のされ方が変わって、熱膨張性シートが適切に膨張し難くなる、との課題がある。
【0005】
本発明は、以上のような課題を解決するためのものであり、熱膨張性シートを適切に膨
張させることが可能な膨張装置、立体画像形成システム、熱膨張性シートの膨張方法、乾燥方法、予熱方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る膨張装置は、
熱膨張性シートに光を照射する照射手段と、
前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させる移動手段と、
前記照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段と、
前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記膨張処理において、前記照射手段に光を照射させている間は、当該照射手段に向けた送風を停止するように前記送風手段を制御する、
ことを特徴とする。
本発明に係る膨張装置は、
熱膨張性シートに光を照射する照射手段と、
前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させる移動手段と、
前記照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段と、
前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記膨張処理後に、光の照射が停止するように前記照射手段を制御するとともに前記膨張処理時には弱めていた前記照射手段に向けた送風を強めるように前記送風手段を制御する、
ことを特徴とする。
本発明に係る膨張装置は、
熱膨張性シートに光を照射する照射手段と、
前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させる移動手段と、
前記照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段と、
前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御手段と、
を備え、
前記熱膨張性シートは、前記膨張処理において、規定の温度以上に加熱されることによって膨張し、
前記制御手段は、前記熱膨張性シートが前記規定の温度未満に維持されるように、前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを乾燥させる乾燥処理を前記膨張処理に先立って実行し、
前記乾燥処理において、前記照射手段に光を照射させている間は、当該照射手段に向けた送風を停止するように前記送風手段を制御する、
ことを特徴とする。
本発明に係る膨張装置は、
熱膨張性シートに光を照射する照射手段と、
前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させる移動手段と、
前記照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段と、
前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御手段と、
を備え、
前記熱膨張性シートは、前記膨張処理において、規定の温度以上に加熱されることによって膨張し、
前記制御手段は、前記熱膨張性シートが前記規定の温度未満に維持されるように、前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを乾燥させる乾燥処理を前記膨張処理に先立って実行し、
前記乾燥処理後に、光の照射が停止するように前記照射手段を制御するとともに前記乾燥処理時には弱めていた前記照射手段に向けた送風を強めるように前記送風手段を制御する、
ことを特徴とする。
本発明に係る膨張装置は、
熱膨張性シートに光を照射する照射手段と、
前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させる移動手段と、
前記照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段と、
前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記膨張処理を実行する前に、前記照射手段に光を照射させることによって、前記照射手段を予備的に加熱する予熱処理を前記膨張処理に先立って実行し、
前記予熱処理において、前記照射手段に光を照射させている間は、当該照射手段に向けた送風を停止するように前記送風手段を制御する、
ことを特徴とする。
本発明に係る膨張装置は、
熱膨張性シートに光を照射する照射手段と、
前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させる移動手段と、
前記照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段と、
前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記膨張処理を実行する前に、前記照射手段に光を照射させることによって、前記照射手段を予備的に加熱する予熱処理を前記膨張処理に先立って実行し、
前記予熱処理後に、光の照射が停止するように前記照射手段を制御するとともに前記予熱処理時には弱めていた前記照射手段に向けた送風を強めるように前記送風手段を制御する、
ことを特徴とする。
本発明に係る膨張方法は、
熱膨張性シートに光を照射する照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段を備えた膨張装置が実行する前記熱膨張性シートの膨張方法であって、
前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御ステップ、
を含み、
前記制御ステップでは、前記膨張処理において前記照射手段に光を照射させている間は、前記照射手段に向けた送風を停止するようにする、
ことを特徴とする。
本発明に係る膨張方法は、
熱膨張性シートに光を照射する照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段を備えた膨張装置が実行する前記熱膨張性シートの膨張方法であって、
前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御ステップ、
を含み、
前記制御ステップでは、前記膨張処理後に、光の照射が停止するように前記照射手段を制御するとともに前記膨張処理時には弱めていた前記照射手段に向けた送風を強めるように制御する、
ことを特徴とする。
本発明に係る乾燥方法は、
熱膨張性シートに光を照射する照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段を備えた膨張装置が実行する前記熱膨張性シートの乾燥方法であって、
前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御ステップ、
を含み、
前記熱膨張性シートは、前記膨張処理において、規定の温度以上に加熱されることによって膨張し、
前記制御ステップは、前記熱膨張性シートが前記規定の温度未満に維持されるように、前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを乾燥させる乾燥処理を前記膨張処理に先立って実行し、
前記乾燥処理において、前記照射手段に光を照射させている間は、当該照射手段に向けた送風を停止する、
ことを特徴とする。
本発明に係る乾燥方法は、
熱膨張性シートに光を照射する照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段を備えた膨張装置が実行する前記熱膨張性シートの乾燥方法であって、
前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御ステップ、
を含み、
前記熱膨張性シートは、前記膨張処理において、規定の温度以上に加熱されることによって膨張し、
前記制御ステップは、前記熱膨張性シートが前記規定の温度未満に維持されるように、前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを乾燥させる乾燥処理を前記膨張処理に先立って実行し、
前記乾燥処理後に、光の照射が停止するように前記照射手段を制御するとともに前記乾燥処理時には弱めていた前記照射手段に向けた送風を強めるように制御する、
ことを特徴とする。
本発明に係る予熱方法は、
熱膨張性シートに光を照射する照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段を備えた膨張装置が実行する前記熱膨張性シートの予熱方法であって、
前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御ステップ、
を含み、
前記制御ステップは、前記膨張処理を実行する前に、前記照射手段に光を照射させることによって、前記照射手段を予備的に加熱する予熱処理を前記膨張処理に先立って実行し、
前記予熱処理において、前記照射手段に光を照射させている間は、当該照射手段に向けた送風を停止する、
ことを特徴とする。
本発明に係る予熱方法は、
熱膨張性シートに光を照射する照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段を備えた膨張装置が実行する前記熱膨張性シートの予熱方法であって、
前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御ステップ、
を含み、
前記制御ステップは、前記膨張処理を実行する前に、前記照射手段に光を照射させることによって、前記照射手段を予備的に加熱する予熱処理を前記膨張処理に先立って実行し、
前記予熱処理後に、光の照射が停止するように前記照射手段を制御するとともに前記予熱処理時には弱めていた前記照射手段に向けた送風を強める、
ことを特徴とする。
本発明に係るプログラムは、
照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段を備えたコンピュータを、
熱膨張性シートと、前記熱膨張性シートに光を照射する前記照射手段と、を相対的に移動させる移動手段、
前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御手段、
として機能させ、
前記制御手段は、前記膨張処理において、前記照射手段に光を照射させている間は、前記照射手段に向けた送風を停止するように前記送風手段を制御する、
ように機能させる。
本発明に係るプログラムは、
照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段を備えたコンピュータを、
熱膨張性シートと、前記熱膨張性シートに光を照射する前記照射手段と、を相対的に移動させる移動手段、
前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御手段、
として機能させ、
前記制御手段は、前記膨張処理後に、光の照射が停止するように前記照射手段を制御するとともに前記膨張処理時には弱めていた前記照射手段に向けた送風を強めるように前記送風手段を制御する、
ように機能させる。
本発明に係るプログラムは、
照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段を備えたコンピュータを、
熱膨張性シートと、前記熱膨張性シートに光を照射する前記照射手段と、を相対的に移動させる移動手段、
前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御手段、
として機能させ、
前記熱膨張性シートは、前記膨張処理において、規定の温度以上に加熱されることによって膨張し、
前記制御手段は、前記熱膨張性シートが前記規定の温度未満に維持されるように、前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを乾燥させる乾燥処理を前記膨張処理に先立って実行し、
前記乾燥処理において、前記照射手段に光を照射させている間は、当該照射手段に向けた送風を停止するように前記送風手段を制御する、
ように機能させる。
本発明に係るプログラムは、
照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段を備えたコンピュータを、
熱膨張性シートと、前記熱膨張性シートに光を照射する前記照射手段と、を相対的に移動させる移動手段、
前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御手段、
として機能させ、
前記熱膨張性シートは、前記膨張処理において、規定の温度以上に加熱されることによって膨張し、
前記制御手段は、前記熱膨張性シートが前記規定の温度未満に維持されるように、前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを乾燥させる乾燥処理を前記膨張処理に先立って実行し、
前記乾燥処理後に、光の照射が停止するように前記照射手段を制御するとともに前記乾燥処理時には弱めていた前記照射手段に向けた送風を強めるように前記送風手段を制御する、
ように機能させる。
本発明に係るプログラムは、
照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段を備えたコンピュータを、
熱膨張性シートと、前記熱膨張性シートに光を照射する前記照射手段と、を相対的に移動させる移動手段、
前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御手段、
として機能させ、
前記制御手段は、前記膨張処理を実行する前に、前記照射手段に光を照射させることによって、前記照射手段を予備的に加熱する予熱処理を前記膨張処理に先立って実行し、
前記予熱処理において、前記照射手段に光を照射させている間は、当該照射手段に向けた送風を停止するように前記送風手段を制御する、
ように機能させる。
本発明に係るプログラムは、
照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段を備えたコンピュータを、
熱膨張性シートと、前記熱膨張性シートに光を照射する前記照射手段と、を相対的に移動させる移動手段、
前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御手段、
として機能させ、
前記制御手段は、前記膨張処理を実行する前に、前記照射手段に光を照射させることによって、前記照射手段を予備的に加熱する予熱処理を前記膨張処理に先立って実行し、
前記予熱処理後に、光の照射が停止するように前記照射手段を制御するとともに前記予熱処理時には弱めていた前記照射手段に向けた送風を強めるように前記送風手段を制御する、
ように機能させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、熱膨張性シートを適切に膨張させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る熱膨張性シートの断面図である。
図2図1に示した熱膨張性シートの裏面を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る立体画像形成システムの概略構成を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る端末装置の構成を示すブロック図である。
図5】本発明の実施形態に係る印刷装置の構成を示す斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係る膨張装置の構成を示す断面図である。
図7】本発明の実施形態に係る膨張装置の制御部の構成を示すブロック図である。
図8】本発明の実施形態に係る膨張装置が膨張処理を実行する様子を示す図である。
図9】本発明の実施形態に係る膨張装置が冷却処理を実行する様子を示す図である。
図10】本発明の実施形態における立体画像形成処理の流れを示すフローチャートである。
図11】(a)〜(e)は、図1に示した熱膨張性シートに立体画像が形成される様子を段階的に示す図である。
図12】本発明の実施形態に係る膨張装置によって実行される処理の流れを示すフローチャートである。
図13】本発明の実施形態に係る膨張装置によって実行される予熱処理の流れを示すフローチャートである。
図14】本発明の実施形態に係る膨張装置によって実行される表面及び裏面発泡処理の流れを示すフローチャートである。
図15】本発明の実施形態に係る膨張装置によって実行される表面乾燥処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図中同一又は相当する部分には同一符号を付す。
【0010】
<熱膨張性シート100>
図1に、本実施形態に係る立体画像形成システム1によって立体画像を形成するための熱膨張性シート100の構成を示す。熱膨張性シート100は、予め選択された部分が加熱により膨張することによって立体画像が形成される媒体である。立体画像とは、2次元状のシートにおいて、シートのうちの一部分がシートに垂直な方向に膨張することによって形成される3次元状の画像である。
【0011】
図1に示すように、熱膨張性シート100は、基材101と、熱膨張層102と、インク受容層103とを、この順に備えている。なお、図1は、立体画像が形成される前、すなわちどの部分も膨張していない状態における熱膨張性シート100の断面を示している。
【0012】
基材101は、熱膨張性シート100の元となるシート状の媒体である。基材101は、熱膨張層102とインク受容層103とを支持する支持体であって、熱膨張性シート100の強度を保持する役割を担う。基材101として、例えば、一般的な印刷用紙を用いることができる。或いは、基材101の材質は、合成紙、キャンバス地等の布、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のプラスチックフィルムであっても良く、特に限定されるものではない。
【0013】
熱膨張層102は、基材101の上側に積層されており、規定の温度以上に加熱されることによって膨張する層である。熱膨張層102は、バインダと、バインダ内に分散配置された熱膨張剤と、を含む。バインダは、酢酸ビニル系ポリマー、アクリル系ポリマー等の熱可塑性樹脂である。熱膨張剤は、プロパン、ブタン等の低沸点で気化する物質を、熱可塑性樹脂の外殻に内包した、粒径が約5〜50μmの熱膨張性のマイクロカプセルである。熱膨張剤は、例えば80℃から120℃程度の温度に加熱されると、内包している物質が気化し、その圧力によって発泡及び膨張する。このようにして、熱膨張層102は、吸収した熱量に応じて膨張する。熱膨張剤は、発泡剤とも呼ぶ。
【0014】
インク受容層103は、熱膨張層102の上側に積層された、インクを吸収して受容する層である。インク受容層103は、インクジェット方式のプリンタに用いられる印刷用のインク、レーザー方式のプリンタに用いられる印刷用のトナー、ボールペン又は万年筆のインク、鉛筆の黒鉛等を受容する。インク受容層103は、これらを表面に定着させるための好適な材料によって形成される。インク受容層103の材料として、例えば、インクジェット用紙に用いられている汎用的な材料を用いることができる。
【0015】
図2に、熱膨張性シート100の裏面を示す。熱膨張性シート100の裏面とは、熱膨張性シート100の基材101側の面であって、基材101の裏面に相当する。これに対して、熱膨張性シート100の表面とは、熱膨張性シート100のインク受容層103側の面であって、インク受容層103の表面に相当する。
【0016】
図2に示すように、熱膨張性シート100の裏面には、その縁部に沿って複数のバーコードBが付されている。バーコードBは、熱膨張性シート100を識別するための識別子であって、熱膨張性シート100が立体画像を形成するための専用のシートであることを示す情報である。バーコードBは、後述する立体画像形成システム1の膨張装置50によって読み取られ、膨張装置50において熱膨張性シート100の使用の可否を判定するための識別子である。
【0017】
<立体画像形成システム1>
次に、図3を参照して、熱膨張性シート100に立体画像を形成するための立体画像形成システム1について説明する。図3に示すように、立体画像形成システム1は、端末装置30と、印刷装置40と、膨張装置50と、を備える。
【0018】
端末装置30は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等の情報処理装置であって、印刷装置40及び膨張装置50を制御する制御ユニットである。図4に示すように、端末装置30は、制御部31と、記憶部32と、操作部33と、表示部34と、記録媒体駆動部35と、通信部36と、を備える。これら各部は、信号を伝達するためのバスによって接続されている。
【0019】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備える。制御部31において、CPUが、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出して、RAMをワークメモリとして用いながら、端末装置30全体の動作を制御する。
【0020】
記憶部32は、フラッシュメモリ、ハードディスク等の不揮発性メモリである。記憶部32は、制御部31によって実行されるプログラム又はデータ、及び、印刷装置40によって印刷されるカラー画像データ、表面発泡データ及び裏面発泡データを記憶する。
【0021】
操作部33は、キーボード、マウス、ボタン、タッチパッド、タッチパネル等の入力装置を備えており、ユーザから操作を受け付ける。ユーザは、操作部33を操作することによって、カラー画像データ、表面発泡データ及び裏面発泡データを編集する操作、印刷装置40又は膨張装置50に対する操作等を入力することができる。
【0022】
表示部34は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示装置と、表示装置に画像を表示させる表示駆動回路と、を備える。例えば、表示部34は、カラー画像データ、表面発泡データ及び裏面発泡データを表示する。また、表示部34は、必要に応じて、印刷装置40又は膨張装置50の現在の状態を示す情報を表示する。
【0023】
記録媒体駆動部35は、可搬型の記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出す。可搬型の記録媒体とは、CD(Compact Disc)−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM、USB(Universal Serial Bus)規格のコネクタが備えられているフラッシュメモリ等である。例えば、記録媒体駆動部35は、カラー画像データ、表面発泡データ及び裏面発泡データを、可搬型の記録媒体から読み出して取得する。
【0024】
通信部36は、印刷装置40及び膨張装置50を含む外部の装置と通信するためのインタフェースを備える。端末装置30は、フレキシブルケーブル、有線LAN(Local Area Network)等の有線、又は、無線LAN、Bluetooth(登録商標)等の無線を介して印刷装置40及び膨張装置50と接続されている。通信部36は、制御部31の制御の下、これらのうちの少なくとも1つの通信規格に従って、印刷装置40及び膨張装置50と通信する。
【0025】
<印刷装置40>
印刷装置40は、熱膨張性シート100の表面又は裏面に画像を印刷する印刷ユニットである。印刷装置40は、インクを微滴化し、被印刷媒体に対して直接に吹き付ける方式で画像を印刷するインクジェットプリンタである。
【0026】
図5に、印刷装置40の詳細な構成を示す。図5に示すように、印刷装置40は、熱膨張性シート100が搬送される方向である副走査方向D1(Y方向)に直交する主走査方向D2(X方向)に往復移動可能なキャリッジ41を備える。
【0027】
キャリッジ41には、印刷を実行する印刷ヘッド42と、インクを収容したインクカートリッジ43(43k,43c,43m,43y)が取り付けられている。インクカートリッジ43k,43c,43m,43yには、それぞれ、ブラックK、シアンC、マゼンタM、及びイエローYの色インクが収容されている。各色のインクは、印刷ヘッド42の対応するノズルから吐出される。
【0028】
キャリッジ41は、ガイドレール44に滑動自在に支持されており、駆動ベルト45に狭持されている。キャリッジ41は、モータ45mの回転により駆動ベルト45が駆動することで、印刷ヘッド42及びインクカートリッジ43と共に、主走査方向D2に移動する。
【0029】
フレーム47の下部には、印刷ヘッド42と対向する位置に、プラテン48が設けられている。プラテン48は、主走査方向D2に延在しており、熱膨張性シート100の搬送路の一部を構成している。熱膨張性シート100の搬送路には、給紙ローラ対49a(下のローラは不図示)と排紙ローラ対49b(下のローラは不図示)とが設けられている。給紙ローラ対49aと排紙ローラ対49bとは、プラテン48に支持された熱膨張性シート100を副走査方向D1に搬送する。
【0030】
印刷装置40は、フレキシブル通信ケーブル46を介して端末装置30と接続されている。端末装置30は、フレキシブル通信ケーブル46を介して、印刷ヘッド42、モータ45m、給紙ローラ対49a及び排紙ローラ対49bを制御する。具体的に説明すると、端末装置30は、給紙ローラ対49a及び排紙ローラ対49bを制御して、熱膨張性シート100を搬送させる。また、端末装置30は、モータ45mを回転させてキャリッジ41を移動させ、印刷ヘッド42を主走査方向D2の適切な位置に搬送させる。
【0031】
印刷装置40は、端末装置30から画像データを取得し、取得した画像データに基づいて印刷を実行する。具体的に説明すると、印刷装置40は、画像データとして、カラー画像データと表面発泡データと裏面発泡データとを取得する。カラー画像データは、熱膨張性シート100の表面に印刷するカラー画像を示すデータである。印刷装置40は、印刷ヘッド42に、シアンC、マゼンタM及びイエローYの各インクを熱膨張性シート100に向けて噴射させて、カラー画像を印刷する。
【0032】
これに対して、表面発泡データは、熱膨張性シート100の表面において発泡及び膨張させる部分を示すデータである。また、裏面発泡データは、熱膨張性シート100の裏面において発泡及び膨張させる部分を示すデータである。印刷装置40は、印刷ヘッド42に、カーボンブラックを含むブラックKの黒色インクを熱膨張性シート100に向けて噴射させて、黒色による濃淡画像(濃淡パターン)を印刷する。カーボンブラックを含む黒色インクは、光を熱に変換する材料の一例である。
【0033】
<膨張装置50>
膨張装置50は、熱膨張性シート100の表面又は裏面に光を照射し、熱膨張性シート100の表面又は裏面に印刷された濃淡画像を発熱させて、熱膨張性シート100のうちの濃淡画像が印刷された部分を膨張させる膨張ユニットである。
【0034】
図6に、膨張装置50の構成を模式的に示す。図6において、X方向は、膨張装置50の幅方向に相当し、Y方向は、膨張装置50の長手方向に相当し、Z方向は、鉛直方向に相当する。X方向とY方向とZ方向とは、互いに直交する。図6に示すように、膨張装置50は、筐体51と、挿入部52と、トレイ53と、換気部54と、搬送モータ55と、搬送レール56と、照射部60と、電源基板69と、制御基板70と、を備える。
【0035】
挿入部52は、開閉式の扉を備えており、立体画像を形成する対象となる熱膨張性シート100を筐体51の内部に挿入するための機構である。ユーザは、挿入部52を開き、トレイ53をスライドさせて手前側に引き出した後、熱膨張性シート100をその表面又は裏面を上に向けてトレイ53の上に設置する。このとき、ユーザは、熱膨張性シート100のバーコードBが付された端部が奥側に位置するように、熱膨張性シート100をトレイ53の上に設置する。そして、熱膨張性シート100が設置されたトレイ53を筐体51の内部に戻し、挿入部52を閉めると、熱膨張性シート100は、照射部60によって光を照射可能な位置に配置される。
【0036】
トレイ53は、熱膨張性シート100を筐体51内の適正な位置に設置するための機構である。トレイ53は、設置された熱膨張性シート100の4辺の縁部を上から押さえることで固定する。トレイ53は、熱膨張性シート100を検出するセンサを備えており、熱膨張性シート100が設置されたか否か、及び、熱膨張性シート100が設置された場合にその熱膨張性シート100のサイズを検出する。
【0037】
換気部54は、膨張装置50における奥側の端部に設けられており、膨張装置50の内部を換気する換気手段として機能する。換気部54は、少なくとも1つのファンを備えており、筐体51の内部の空気を外部に排出することで筐体51の内部を換気する。筐体51内の空気は、送風部64によって外部から供給されて、換気部54によって外部に排出される。換気部54は、送風部64によって外部から供給された空気を外部に排出することによって、筐体51の内部の空気を循環させる。
【0038】
搬送モータ55は、例えばパルス電力に同期して動作するステッピングモータであって、照射部60を熱膨張性シート100の表面又は裏面に沿って移動させる。筐体51の内部には、Y方向に、すなわち熱膨張性シート100の表面又は裏面に平行な方向に搬送レール56が設けられている。照射部60は、搬送レール56に沿って移動することができるように搬送レール56に取り付けられている。照射部60は、搬送モータ55の回転に伴う駆動力を動力源として、熱膨張性シート100との距離を一定に保ちながら、搬送レール56に沿って往復移動する。搬送モータ55は、熱膨張性シート100と照射部60とを相対的に移動させる移動手段として機能する。
【0039】
具体的に説明すると、照射部60は、熱膨張性シート100の奥側の端部に対応する第1の位置P1と、熱膨張性シート100の手前側の端部に対応する第2の位置P2と、の間で往復移動する。搬送モータ55は、照射部60を、第1の位置P1から第2の位置P2に向かう第1の方向、及び、第2の位置P2から第1の位置P1に向かう第2の方向に移動させる。第1の位置P1は、照射部60の初期位置(ホームポジション)である。照射部60は、膨張装置50が動作していない時には第1の位置P1で待機している。
【0040】
第1の位置P1は、筐体51内の挿入部52が設けられた側とは反対側の位置であり、第2の位置P2は、筐体51内の挿入部52が設けられた側の位置である。言い換えると、第1の位置P1は、第2の位置P2よりも、膨張装置50において熱膨張性シート100が挿入される側の端部から離れた位置である。このように照射部60の初期位置が筐体51内における挿入部52とは反対側に設けられていることで、熱膨張性シート100を筐体51内に挿入する際にユーザが照射部60に触れないようにできる。そのため、ユーザは、熱膨張性シート100を円滑に設置することができる。
【0041】
照射部60は、光を照射する機構であって、トレイ53の上に配置された熱膨張性シート100に光を照射する。図6に示すように、照射部60は、ランプヒータ61と、反射板62と、温度センサ63と、送風部64と、バーコードリーダ65と、を備える。
【0042】
ランプヒータ61は、例えばハロゲンランプを備えており、熱膨張性シート100に対して、近赤外領域(波長750〜1400nm)、可視光領域(波長380〜750nm)、又は、中赤外領域(波長1400〜4000nm)の光を照射する。照射部60及びランプヒータ61は、熱膨張性シート100に光を照射する照射手段として機能する。カーボンブラックを含む黒色インクによる濃淡画像が印刷された熱膨張性シート100に光を照射すると、濃淡画像が印刷された部分では、濃淡画像が印刷されていない部分に比べて、より効率良く光が熱に変換される。そのため、熱膨張性シート100のうちの濃淡画像が印刷された部分が主に加熱され、熱膨張剤が膨張を開始する温度に達すると膨張する。
【0043】
反射板62は、ランプヒータ61の上側を覆うように配置されており、ランプヒータ61から照射された光を熱膨張性シート100に向けて反射する機構である。温度センサ63は、熱電対、サーミスタ等であって、反射板62の温度を測定する測定手段として機能する。
【0044】
送風部64は、反射板62の上側に設けられている。送風部64は、少なくとも1つのファンを備えており、照射部60に送風することによって、照射部60を冷却する送風手段として機能する。具体的に説明すると、送風部64は、送風部64の上部に設けられた給気口から膨張装置50の外部の空気を吸い込んで、吸い込んだ空気を照射部60に送る。送風部64によって吸い込まれた空気は、反射板62に供給され、反射板62が空気冷却される。また、送風部64によって吸い込まれた空気は、照射部60を通って膨張装置50の内部に供給され、トレイ53に設置された熱膨張性シート100を含む筐体51内の各部が冷却される。
【0045】
バーコードリーダ65は、熱膨張性シート100の裏面に付されたバーコードBを読み取る読み取り手段として機能する。バーコードリーダ65は、熱膨張性シート100が表面を上側に向けて膨張装置50に挿入された場合、熱膨張性シート100の裏面に付されたバーコードBを、図示しないリフレクタを介して読み取る。リフレクタは、トレイ53の奥側の端部に設置されており、バーコードリーダ65がバーコードBを逆側から読み取ることができるようにするための反射鏡である。これに対して、熱膨張性シート100が裏面を上側に向けて膨張装置50に挿入された場合、バーコードリーダ65は、熱膨張性シート100の裏面に付されたバーコードBを、リフレクタを介さずに直接読み取る。
【0046】
膨張装置50は、バーコードリーダ65によってバーコードBを読み取ることができたか否かに応じて、トレイ53に設置された媒体が膨張装置50で使用可能か否かを判別する。立体画像を形成するための専用のシートではない媒体が膨張装置50に挿入されると、膨張装置50が正常に動作しない可能性がある。そのため、膨張装置50は、バーコードリーダ65によってバーコードBを読み取れなかった場合には、照射部60による光照射処理を開始しない。これにより、膨張装置50の誤動作を抑制する。
【0047】
電源基板69は、電源IC(Integrated Circuit)等を備え、膨張装置50内の各部に必要な電源を作り出して供給する。例えば、換気部54、搬送モータ55、ランプヒータ61及び送風部64は、電源基板69から電力を得て動作する。
【0048】
制御基板70は、筐体51の下部に配置された基板上に設けられており、膨張装置50の各部の動作を制御する。図7に示すように、制御基板70は、制御部71と、記憶部72と、計時部73と、通信部74と、を備える。
【0049】
制御部71は、CPU、ROM及びRAMを備えており、命令やデータを転送するための伝送経路であるシステムバスを介して膨張装置50の各部と接続されている。CPUは、例えばマイクロプロセッサ等であって、様々な処理や演算を実行する中央演算処理部である。制御部71において、CPUが、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出して、RAMをワークメモリとして用いながら、膨張装置50全体の動作を制御する。
【0050】
記憶部72は、フラッシュメモリ、ハードディスク等の不揮発性メモリである。記憶部72は、制御部71によって実行されるプログラム又はデータ、及び、制御部71が各種処理を行うことにより生成又は取得するデータを記憶する。計時部73は、RTC(Real Time Clock)等の計時デバイスを備えており、膨張装置50の電源がオフの間も計時を継続する。
【0051】
通信部74は、端末装置30と通信するためのインタフェースを備える。通信部74は、制御部71の制御の下、端末装置30と有線又は無線で通信する。例えば、通信部74は、端末装置30においてユーザから入力された光照射処理を開始する指示を、端末装置30から取得する。また、通信部74は、膨張装置50の現在の状態を示す情報を端末装置30に送信する。
【0052】
制御部71は、換気部54、搬送モータ55、照射部60及び送風部64の動作を制御する制御手段として機能する。具体的に説明すると、制御部71は、熱膨張性シート100を膨張させる膨張処理と、照射部60を冷却する冷却処理と、熱膨張性シート100を乾燥させる乾燥処理と、熱膨張性シート100を予備的に加熱する予熱処理と、を実行する。以下、順に説明する。
【0053】
<膨張処理>
制御部71は、表面又は裏面にカーボンブラックを含む濃淡画像が印刷された状態の熱膨張性シート100に光を照射することによって、熱膨張性シート100を膨張させる。具体的に説明すると、制御部71は、搬送モータ55によって照射部60を第1の方向に移動させながら、照射部60に光を照射させることによって、熱膨張性シート100を膨張させる。
【0054】
図8に、膨張装置50が膨張処理を実行する様子を示す。膨張処理において、制御部71は、照射部60に電源電圧を供給してランプヒータ61を点灯させる。そして、制御部71は、照射部60に光を照射させている状態で搬送モータ55を駆動させる。これにより、制御部71は、照射部60を、第1の位置P1から第2の位置P2に向けて、すなわち第1の方向に、規定の距離だけ移動させる。このように、制御部71は、照射部60を熱膨張性シート100の端から端まで移動させることで、熱膨張性シート100の表面又は裏面の全体に亘って光を照射させる。
【0055】
規定の距離は、熱膨張性シート100のサイズに応じて異なる。例えば、熱膨張性シート100のサイズがA3サイズであれば、規定の距離は、第1の位置P1から第2の位置P2までの距離である。或いは、熱膨張性シート100のサイズがA4サイズであれば、規定の距離は、第1の位置P1から第2の位置P2までの半分の距離である。
【0056】
照射部60によって光が照射されると、熱膨張性シート100のうちのカーボンブラックを含む濃淡画像が印刷された部分は発熱し、規定の温度にまで加熱されると膨張する。熱膨張性シート100のうちの濃淡画像が印刷された部分は、濃淡画像における黒色の濃さに応じた高さに膨張する。これによって、熱膨張性シート100に立体画像が形成される。
【0057】
規定の温度は、熱膨張層102に含まれる熱膨張剤が膨張を開始する温度であって、例えば80℃から120℃程度の温度である。制御部71は、所定の強度で光を照射している照射部60を所定の速度で移動させることによって、熱膨張性シート100のうちの濃淡画像が印刷された部分を規定の温度以上に加熱する。所定の強度及び所定の速度は、熱膨張性シート100を規定の温度以上に加熱できるように予め設定されている。
【0058】
制御部71は、このような膨張処理において、照射部60に光を照射させている間は、送風を停止するように送風部64を制御する。照射部60による光の照射と照射部60への送風とを同時に行うと、送風による空気の流れによってランプヒータ61の熱が熱膨張性シート100に伝わる。その結果、熱膨張性シート100の加熱のされ方が安定せず、例えば熱膨張性シート100が膨らみすぎる等のように、膨張の質が変化する。このような異常の発生を回避するために、制御部71は、照射部60に光を照射させている間は送風部64に送風させず、送風部64が送風している間は照射部60に光を照射させない。
【0059】
<冷却処理>
膨張処理を実行した後、制御部71は、照射部60に光の照射を停止させてから、送風部64に送風を開始させる。そして、制御部71は、照射部60を第2の方向に移動させながら、送風部64に送風させることによって、照射部60を冷却する冷却処理を実行する。
【0060】
図9に、膨張装置50が冷却処理を実行する様子を示す。膨張処理の直後、照射部60は、膨張装置50の手前側である第2の位置P2に到達している。冷却処理において、制御部71は、搬送モータ55によって照射部60を移動させながら、送風部64に送風させる。具体的に説明すると、制御部71は、照射部60に対する電源電圧の供給を停めてランプヒータ61を消灯させる。その後、制御部71は、送風部64を駆動させて、筐体51の外部の空気を照射部60及び筐体51の内部に供給する。このように、制御部71は、送風部64に送風させている状態で搬送モータ55を駆動させることによって、照射部60を、第2の位置P2から第1の位置P1に向けて、すなわち第2の方向に移動させる。
【0061】
このとき、制御部71は、換気部54を駆動させて、筐体51内の空気を外部に排出する。このように送風部64と換気部54とが駆動することによって、図9に示すように、送風部64によって外部から供給された空気は、膨張装置50の奥側に流れ、換気部54から外部に排出される。
【0062】
送風部64は、照射部60に取り付けられているため、照射部60と共に移動する。そのため、照射部60を初期位置に戻しながら送風部64に送風させることによって、照射部60だけでなく、熱膨張性シート100を含む筐体51内の全体を冷却することができる。膨張処理後の熱膨張性シート100を冷却することによって、熱膨張性シート100が熱によって変形することを抑制することができる。
【0063】
<乾燥処理>
熱膨張性シート100は、印刷装置40において塗布されたインクが十分に乾燥していないと、膨張処理において必要な温度まで加熱されずに、所望の高さまで膨張し難くなる。そのため、制御部71は、印刷装置40においてカラー画像が印刷された後、熱膨張性シート100を乾燥させる乾燥処理を実行する。
【0064】
乾燥処理において、制御部71は、熱膨張性シート100が規定の温度未満に維持されるように、搬送モータ55によって照射部60を移動させながら、照射部60に光を照射させる。具体的に説明すると、制御部71は、照射部60に電源電圧を供給してランプヒータ61を点灯させる。そして、制御部71は、照射部60に光を照射させている状態で搬送モータ55を駆動させる。これにより、制御部71は、図8に示すように、照射部60を第1の位置P1から第2の位置P2に向けて、すなわち第1の方向に、規定の距離だけ移動させる。
【0065】
このように、制御部71は、照射部60を熱膨張性シート100の端から端まで移動させることで、熱膨張性シート100の表面の全体に亘って光を照射させる。これによって、熱膨張性シート100に含まれる水分は蒸発し、熱膨張性シート100が乾燥する。
【0066】
照射部60によって光が照射されると、熱膨張性シート100のうちのカーボンブラックを含む濃淡画像が印刷された部分は発熱する。乾燥処理において、制御部71は、熱膨張性シート100を膨張させずに乾燥させる。そのため、熱膨張性シート100の移動速度及び照射部60から照射される光の強度は、熱膨張性シート100を規定の温度未満の温度に維持することができるように、言い換えると熱膨張性シート100が規定の温度以上には加熱されないように、予め設定される。
【0067】
制御部71は、このような乾燥処理において、照射部60に光を照射させている間は、送風を停止するように送風部64を制御する。照射部60による光の照射と照射部60への送風とを同時に行うと、送風による空気の流れによってランプヒータ61の熱が熱膨張性シート100に伝わる。その結果、熱膨張性シート100の加熱のされ方が安定せず、熱膨張性シート100が適切に乾燥され難くなる。このような状況を回避するために、制御部71は、乾燥処理において、照射部60に光を照射させている間は送風部64に送風させず、送風部64が送風している間は照射部60に光を照射させない。
【0068】
乾燥処理を実行した後、制御部71は、照射部60に光の照射を停止させてから、送風部64に送風を開始させる。そして、制御部71は、照射部60を第2の方向に移動させながら、送風部64に送風させることによって、照射部60を冷却する冷却処理を実行する。
【0069】
乾燥処理後の冷却処理は、膨張処理後の冷却処理と同様である。具体的に説明すると、制御部71は、送風部64に送風させながら、搬送モータ55を駆動させる。これにより、照射部60は、図9に示すように、送風部64が送風している状態で、第2の位置P2から第1の位置P1に向けて移動する。その結果、ランプヒータ61が冷却されると共に、加熱された熱膨張性シート100が冷却される。
【0070】
<予熱処理>
制御部71は、膨張処理を実行する前に、照射部60に光を照射させることによって、照射部60を予備的に加熱する予熱処理(プレヒート)を実行する。予熱処理は、膨張装置50が膨張処理を円滑に開始することができるように、ランプヒータ61を点灯して照射部60を予め加熱して温める処理である。制御部71は、例えば、膨張装置50に電源が投入された直後、又は、膨張装置50が予め定められた時間以上に亘って膨張処理を実行していない場合に、予熱処理を実行する。
【0071】
予熱処理において、制御部71は、ランプヒータ61を点灯することによって照射部60に光を照射させて、照射部60の温度を予め設定された予熱温度Tphまで上昇させる。予熱温度Tphは、予熱処理における上限温度であって、熱膨張性シート100が膨張を開始しないように、規定の温度未満の温度(例えば70℃)に設定される。
【0072】
制御部71は、照射部60の温度として、温度センサ63によって測定された反射板62の温度を参照する。そして、制御部71は、反射板62の温度が予熱温度Tphまで上昇すると、照射部60に光の照射を停止させる。なお、制御部71は、予熱処理を実行している間、熱膨張性シート100の全体を満遍なく温めるため、照射部60を第1の位置P1と第2の位置P2との間で往復移動させても良い。
【0073】
このようにして予熱処理を実行した後、制御部71は、照射部60に光の照射を停止させてから、送風部64に送風を開始させることによって、照射部60の温度を予め設定された温度に低下させる。予め設定された温度は、膨張装置50が膨張処理を開始する温度である。制御部71は、照射部60の温度が予め設定された温度に低下すると、送風部64に送風を停止させてから、照射部60に光の照射を開始させることによって、膨張処理を開始する。
【0074】
制御部71は、このような予熱処理において、照射部60に光を照射させている間は、送風を停止するように送風部64を制御する。その理由は、膨張処理及び乾燥処理と同様である。すなわち、照射部60による光の照射と照射部60への送風とを同時に行うと、送風による空気の流れによってランプヒータ61の熱が熱膨張性シート100に伝わって、熱膨張性シート100を適切に加熱し難くなる。このような状況を回避するために、制御部71は、予熱処理において、照射部60に光を照射させている間は送風部64に送風させず、送風部64が送風している間は照射部60に光を照射させない。
【0075】
<立体画像形成処理>
以上のように構成された立体画像形成システム1において実行される立体画像形成処理の流れについて、図10に示すフローチャート及び図11(a)〜(e)に示す熱膨張性シート100の断面図を参照して説明する。
【0076】
第1に、ユーザは、立体画像が形成される前の熱膨張性シート100を準備し、端末装置30の操作部33を介して、カラー画像データ、表面発泡データ及び裏面発泡データを指定する。そして、熱膨張性シート100を、その表面を上側に向けて印刷装置40に挿入する。印刷装置40は、挿入された熱膨張性シート100の表面に光熱変換層104を印刷する(ステップS1)。光熱変換層104は、光を熱に変換する材料、具体的にはカーボンブラックを含む黒色インクで形成された層である。印刷装置40は、指定された表面発泡データに従って、熱膨張性シート100の表面に、カーボンブラックを含む黒色インクを吐出する。その結果、図11(a)に示すように、インク受容層103上に光熱変換層104が形成される。
【0077】
第2に、ユーザは、光熱変換層104が印刷された熱膨張性シート100を、その表面を上側に向けて膨張装置50に挿入する。膨張装置50は、挿入された熱膨張性シート100の表面に照射部60によって光を照射する(ステップS2)。熱膨張性シート100の表面に印刷された光熱変換層104は、照射された光を吸収することによって発熱する。その結果、図11(b)に示すように、熱膨張性シート100のうちの光熱変換層104が印刷された部分が盛り上がって膨張する。
【0078】
第3に、ユーザは、表面が加熱されて膨張した熱膨張性シート100を、その表面を上側に向けて印刷装置40に挿入する。印刷装置40は、挿入された熱膨張性シート100の表面にカラーインク層105を印刷する(ステップS3)。具体的に説明すると、印刷装置40は、指定されたカラー画像データに従って、熱膨張性シート100の表面に、シアンC、マゼンタM及びイエローYの各インクを吐出する。その結果、図11(c)に示すように、インク受容層103及び光熱変換層104の上にカラーインク層105が形成される。
【0079】
なお、印刷装置40は、カラーインク層105において黒又はグレーの色の画像を印刷する場合には、シアンC、マゼンタM及びイエローYの3色のインクを混色して形成するか、或いはカーボンブラックを含まない黒色のインクを更に使用することによって形成する。これによって、カラーインク層105が形成された部分が膨張装置50において加熱されることを回避する。
【0080】
第4に、ユーザは、カラーインク層105が印刷された熱膨張性シート100を裏返して、その裏面を上側に向けて膨張装置50に挿入する。膨張装置50は、挿入された熱膨張性シート100の裏面に照射部60によって光を照射し、熱膨張性シート100を裏面から加熱する。これにより、膨張装置50は、カラーインク層105中に含まれる溶媒を揮発させて、カラーインク層105を乾燥させる(ステップS4)。カラーインク層105を乾燥させることによって、後の工程で熱膨張性シート100を膨張させ易くする。
【0081】
第5に、ユーザは、カラーインク層105が印刷された熱膨張性シート100を、その裏面を上側に向けて印刷装置40に挿入する。印刷装置40は、挿入された熱膨張性シート100の裏面に光熱変換層106を印刷する(ステップS5)。光熱変換層106は、熱膨張性シート100の表面に印刷された光熱変換層104と同様に、光を熱に変換する材料、具体的にはカーボンブラックを含む黒色インクで形成された層である。印刷装置40は、指定された裏面発泡データに従って、熱膨張性シート100の裏面に、カーボンブラックを含む黒色インクを吐出する。その結果、図11(d)に示すように、基材101の裏面に光熱変換層106が形成される。
【0082】
第6に、ユーザは、光熱変換層106が印刷された熱膨張性シート100を、その裏面を上側に向けて膨張装置50に挿入する。膨張装置50は、挿入された熱膨張性シート100の裏面に、照射部60によって光を照射する(ステップS6)。熱膨張性シート100の裏面に印刷された光熱変換層106は、照射された光を吸収することによって発熱する。その結果、図11(e)に示すように、熱膨張性シート100のうちの光熱変換層106が印刷された部分が盛り上がって膨張する。
【0083】
なお、図11(a)〜(e)では、理解を容易にするため、光熱変換層104及びカラーインク層105は、インク受容層103の上に形成されているように示されている。しかしながら、より正確には、カラーインク及び黒色インクは、インク受容層103の内部に吸収されるため、インク受容層103の中に形成される。
【0084】
以上のように、熱膨張性シート100のうちの光熱変換層104,106が形成された部分が膨張することによって、熱膨張性シート100にカラーの立体画像が形成される。光熱変換層104,106は、その濃度が濃い部分ほど大きく加熱されるため、より大きく膨張する。そのため、目標となる高さに応じて光熱変換層104,106の濃淡を調整することで、様々な形状の立体画像を得ることができる。
【0085】
なお、熱膨張性シート100を表面から加熱する処理と裏面から加熱する処理とのうちのどちらか一方を省略しても良い。例えば、熱膨張性シート100の表面のみを加熱して膨張させる場合には、図10におけるステップS5,S6は省略される。これに対して、熱膨張性シート100の裏面のみを加熱して膨張させる場合には、図10におけるステップS1,S2は省略される。また、ステップS3におけるカラー画像の印刷は、ステップS6における熱膨張性シート100を裏面から加熱する処理の後で実行されても良い。
【0086】
また、モノクロの立体画像を形成する場合には、印刷装置40は、ステップS3において、カラー画像の代わりにモノクロ画像を印刷しても良い。この場合、インク受容層103及び光熱変換層104の上には、カラーインク層105の代わりに黒インクによる層が形成される。
【0087】
<膨張装置50の動作>
次に、図12に示すフローチャートを参照して、膨張装置50によって実行されるステップS2,S4,S6の処理の詳細について説明する。
【0088】
表面発泡工程(ステップS2)において、ユーザが電源をONにする(ステップS21)と、膨張装置50は、照射部60をホームポジションにセットする(ステップS22)。これにより、照射部60の位置を初期化する。続いて、ユーザは、挿入部52を開いてトレイ53を取り出し、印刷装置40において表面に光熱変換層104が印刷された熱膨張性シート100を、その表面を上側に向けてトレイ53に設置する(ステップS23)。熱膨張性シート100が設置されたトレイ53は、筐体51の内部に挿入され、照射部60によって光を照射可能な位置に配置される。
【0089】
その後、ユーザは、端末装置30の操作部33を操作して、熱膨張性シート100を膨張させる指示を入力する。膨張装置50の制御部71は、ユーザから入力された指示を端末装置30から受信すると、熱膨張性シート100の設置を確認する(ステップS24)。熱膨張性シート100が正しく設置されていない場合、制御部71は、警告を発することで、熱膨張性シート100を正しく設置するようにユーザに要求する。
【0090】
続いて、制御部71は、バーコードリーダ65を介して熱膨張性シート100の裏面に付されたバーコードBを読み取る(ステップS25)。熱膨張性シート100に付されたバーコードBを読み取ることがでなかった場合、制御部71は、熱膨張性シート100が使用できない旨をユーザに報知して、熱膨張性シート100を適正なものに交換するようにユーザに要求する。
【0091】
バーコードBの読み取りに成功した場合、制御部71は、プレヒート(予熱処理)を実行する(ステップS26)。ステップS26におけるプレヒートの詳細については、図13に示すフローチャートを参照して説明する。
【0092】
図13に示すプレヒートを開始すると、制御部71は、ランプヒータ61をON(点灯)して、照射部60に光を照射させる(ステップS101)。ランプヒータ61を点灯すると、反射板62の温度は上昇し始める。制御部71は、温度センサ63によって測定された反射板62の温度が予熱温度Tphまで上昇したか否かを判定する(ステップS102)。
【0093】
反射板62の温度が予熱温度Tphまで上昇していない場合(ステップS102;NO)、制御部71は、ステップS102に留まる。その後、反射板62の温度が予熱温度Tphまで上昇すると(ステップS102;YES)、制御部71は、ランプヒータ61をOFF(消灯)して、照射部60に光の照射を停止させる(ステップS103)。ランプヒータ61をOFFした後、制御部71は、送風部64のファンをONして、送風部64に送風させる(ステップS104)。
【0094】
ファンを駆動させると、反射板62の温度は低下し始める。制御部71は、温度センサ63によって測定された反射板62の温度が第1の温度T1まで低下したか否かを判定する(ステップS105)。第1の温度T1は、膨張装置50が膨張処理を開始する温度であって、例えば40℃に設定される。
【0095】
反射板62の温度が第1の温度T1まで低下していない場合(ステップS105;NO)、制御部71は、ステップS105に留まる。その後、反射板62の温度が第1の温度T1まで低下すると(ステップS105;YES)、制御部71は、ファンをOFFして送風部64に送風を停止させる(ステップS106)。以上によって、図13に示した予熱処理は終了する。
【0096】
図12に示すフローチャートに戻る。プレヒートを実行した後、制御部71は、表面発泡処理を実行する(ステップS27)。表面発泡処理の詳細については、図14に示すフローチャートを参照して説明する。
【0097】
図14に示す表面発泡処理を開始すると、制御部71は、反射板62の温度が、発泡処理を開始する温度である第1の温度T1以下であるか否かを判定する(ステップS201)。
【0098】
反射板62の温度が第1の温度T1以下である場合(ステップS201;YES)、制御部71は、ランプヒータ61をONして、照射部60に光を照射させる(ステップS202)。そして、制御部71は、反射板62の温度が第2の温度T2まで上昇したか否かを判定する(ステップS203)。第2の温度T2は、第1の温度T1より高い温度であって、例えば45℃に設定される。
【0099】
反射板62の温度が第2の温度T2まで上昇していない場合(ステップS203;NO)、制御部71は、ステップS203に留まる。その後、反射板62の温度が第2の温度T2まで上昇すると(ステップS203;YES)、制御部71は、ランプヒータ61をOFFして、照射部60に光の照射を停止させる(ステップS204)。これに対して、反射板62の温度が第1の温度T1より高い場合(ステップS201;NO)、温度を上昇させる必要がないため、制御部71は、ステップS202〜S204の処理をスキップする。
【0100】
その後、制御部71は、送風部64のファンをONして、送風部64に送風させる(ステップS205)。そして、制御部71は、反射板62の温度が第1の温度T1まで低下したか否かを判定する(ステップS206)。反射板62の温度が第1の温度T1まで低下していない場合(ステップS206;NO)、制御部71は、ステップS206に留まる。その後、反射板62の温度が第1の温度T1まで低下すると(ステップS206;YES)、制御部71は、ファンをOFFして送風を停止させる(ステップS207)。このようにして、反射板62の温度は、発泡処理の開始温度である第1の温度T1に調整される。
【0101】
反射板62の温度が第1の温度T1に調整されると、制御部71は、熱膨張性シート100に光を照射して膨張させる処理を開始する。具体的に説明すると、制御部71は、ランプヒータ61をONして、照射部60に光を照射させる(ステップS208)。そして、制御部71は、ランプヒータ61をONしてから規定時間の経過を待って、ランプヒータ61を規定の距離だけ移動させる(ステップS209)。規定時間は、例えば5秒である。
【0102】
具体的に説明すると、制御部71は、照射部60に光を照射させながら、搬送モータ55を駆動させる。これにより、照射部60は、図8に示したように、光を照射しながら、第1の位置P1から第2の位置P2に向けて規定の距離だけ移動する。その結果、熱膨張性シート100のうちの濃淡画像が印刷された部分は、規定の温度以上に加熱されて膨張する。
【0103】
ランプヒータ61を移動させると、制御部71は、ランプヒータ61をOFFして、照射部60に光の照射を停止させる(ステップS210)。その後、制御部71は、加熱されたランプヒータ61及び熱膨張性シート100を冷却する処理を実行する。具体的に説明すると、制御部71は、送風部64のファンをONして、送風部64に送風させる(ステップS211)。そして、制御部71は、ランプヒータ61をホームポジションに移動させる(ステップS212)。
【0104】
具体的に説明すると、制御部71は、送風部64に送風させながら、搬送モータ55を駆動させる。これにより、照射部60は、図9に示したように、送風部64が送風している状態で、第2の位置P2から第1の位置P1に向けて移動する。その結果、ランプヒータ61が冷却されると共に、加熱された熱膨張性シート100が冷却される。
【0105】
ランプヒータ61をホームポジションに移動させた後、制御部71は、反射板62の温度が第1の温度T1以下まで低下したか否かを判定する(ステップS213)。反射板62の温度が第1の温度T1以下まで低下していない場合(ステップS213;NO)、制御部71は、ステップS213に留まる。その後、反射板62の温度が第1の温度T1以下まで低下すると(ステップS213;YES)、制御部71は、送風部64のファンをOFFして、送風部64に送風を停止させる(ステップS214)。以上によって、図14に示した表面発泡処理は終了する。
【0106】
図12に示すフローチャートに戻る。表面発泡処理を実行した後、ユーザは、挿入部52を開いてトレイ53を引き出し、熱膨張性シート100を膨張装置50から取り出す(ステップS28)。熱膨張性シート100は、印刷装置40に挿入され、その表面にカラーインク層105が印刷される。
【0107】
続いて、膨張装置50の処理は、カラーインク層105の乾燥工程(ステップS4)に移る。ユーザは、カラーインク層105が印刷された表面を上に向けて、熱膨張性シート100をトレイ53に設置する(ステップS41)。続いて、制御部71は、熱膨張性シート100の設置を確認し(ステップS42)、バーコードBを読み取る(ステップS43)。ステップS41〜S43の処理は、ステップS23〜S25の処理と同様である。
【0108】
バーコードBの読み取りに成功した場合、制御部71は、表面乾燥処理を実行する(ステップS44)。ステップS44における表面乾燥処理の詳細については、図15に示すフローチャートを参照して説明する。
【0109】
図15に示す乾燥処理を開始すると、制御部71は、ランプヒータ61をONして、照射部60に光を照射させる(ステップS301)。そして、制御部71は、熱膨張性シート100を規定の温度未満の温度に加熱させるように設定された速度で、ランプヒータ61を規定の距離だけ移動させる(ステップS302)。これにより、熱膨張性シート100の表面に印刷されたカラーインク層105が乾燥する。規定の距離は、膨張処理におけるものと同様である。
【0110】
ランプヒータ61を移動させると、制御部71は、ランプヒータ61をOFFして、照射部60に光の照射を停止させる(ステップS303)。その後、制御部71は、送風部64のファンをONして、送風部64に送風させる(ステップS304)。そして、制御部71は、ランプヒータ61をホームポジションに移動させる(ステップS305)。これにより、ランプヒータ61が冷却されると共に、加熱された熱膨張性シート100が冷却される。
【0111】
ランプヒータ61をホームポジションに移動させた後、制御部71は、送風部64のファンをOFFして、送風部64に送風を停止させる(ステップS306)。その後、制御部71は、このような乾燥処理を規定回数実行したか否かを判定する(ステップS307)。
【0112】
乾燥処理を規定回数実行していない場合(ステップS307;NO)、制御部71は、処理をステップS301に戻し、ステップS301〜S306の処理を繰り返す。これにより、制御部71は、熱膨張性シート100を十分に乾燥させる。規定回数は、例えば1〜3回に設定される。最終的に、乾燥処理を規定回数実行し終わると(ステップS307;YES)、図15に示す表面乾燥処理は終了する。
【0113】
図12に示すフローチャートに戻る。表面乾燥処理を実行した後、ユーザは、挿入部52を開いてトレイ53を引き出し、熱膨張性シート100を膨張装置50から取り出す(ステップS45)。熱膨張性シート100は、印刷装置40に挿入され、その裏面に光熱変換層106が印刷される。
【0114】
続いて、膨張装置50の処理は、裏面発泡工程(ステップS6)に移る。ユーザは、光熱変換層106が印刷された裏面を上に向けて、熱膨張性シート100をトレイ53に設置する(ステップS61)。続いて、制御部71は、熱膨張性シート100の設置を確認し(ステップS62)、バーコードBを読み取る(ステップS63)。ステップS61〜S63の処理は、ステップS23〜S25の処理と同様である。
【0115】
バーコードBの読み取りに成功した場合、制御部71は、裏面発泡処理を実行する(ステップS64)。ステップS64における裏面発泡処理の詳細については、図14に示したフローチャートにおいて、表面を裏面に置き換えることによって同様に説明される。
【0116】
図12に示すフローチャートに戻る。裏面発泡処理を実行した後、ユーザは、挿入部52を開いてトレイ53を引き出し、熱膨張性シート100を膨張装置50から取り出す(ステップS65)。以上によって、図12に示した膨張装置50の処理は終了する。これにより、所望の立体画像が形成された熱膨張性シート100が得られる。
【0117】
以上説明したように、本実施形態に係る膨張装置50は、熱膨張性シート100の表面又は裏面に沿って照射部60を移動させながら、照射部60に光を照射させることによって、熱膨張性シート100を膨張させる。その際、膨張装置50は、照射部60に光を照射させている間は、送風部64に送風させない。このように、照射部60による光の照射と照射部60への送風とを同時に行わないことで、送風によってランプヒータ61の熱が熱膨張性シート100に伝わって、熱膨張性シート100の膨張の質が変化するということを抑制することができる。その結果、異常の発生を抑制しつつ、熱膨張性シート100を適切且つ精度良く膨張させることができるため、安定した立体画像を得ることができる。
【0118】
また、本実施形態に係る膨張装置50は、乾燥処理及び予熱処理においても、照射部60に光を照射させている間は、送風部64に送風させない。これにより、的確な制御のもとで熱膨張性シート100を加熱することができるため、異常の発生を抑制しつつ、適切に乾燥処理及び予熱処理を実行することができる。
【0119】
(変形例)
以上に本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は一例であり、本発明の適用範囲はこれに限られない。すなわち、本発明の実施形態は種々の応用が可能であり、あらゆる実施形態が本発明の範囲に含まれる。
【0120】
例えば、上記実施形態では、制御部71は、膨張処理後の冷却処理、及び乾燥処理後の冷却処理を、照射部60を移動させながら実行した。しかしながら、本発明において、制御部71は、照射部60を移動させずに実行しても良い。また、制御部71は、膨張処理及び乾燥処理のそれぞれを、照射部60を第1の方向に移動させる際に実行した。しかしながら、本発明において、制御部71は、必要であれば、各処理を実行するために、照射部60を第1の位置P1と第2の位置P2との間で1回又は複数回往復させても良い。
【0121】
上記実施形態では、照射部60の初期位置(ホームポジション)は、膨張装置50の奥側であった。しかしながら、照射部60の初期位置は、膨張装置50の手前側であっても良い。照射部60の初期位置が膨張装置50の手前側である場合、第1の位置P1と第2の位置P2との位置関係を逆にすることで、上記実施形態と同様に説明することができる。また、換気部54は、膨張装置50の奥側以外の位置に設けられていても良い。
【0122】
上記実施形態では、熱膨張性シート100は、基材101と熱膨張層102とインク受容層103とを備えていた。しかしながら、本発明において、熱膨張性シート100の構成はこれに限らない。例えば、熱膨張性シート100は、インク受容層103を備えなくても良い。或いは、熱膨張性シート100は、基材101と熱膨張層102との間、又は、熱膨張層102とインク受容層103との間に、他の任意の材料による層を備えていても良い。また、熱膨張性シート100は、基材101の表側だけでなく、基材101の裏側にもインク受容層103を備えていても良い。
【0123】
上記実施形態では、端末装置30と印刷装置40と膨張装置50とは、それぞれ独立した装置であった。しかしながら、本発明において、端末装置30と印刷装置40と膨張装置50とのうちの少なくともいずれか2つが一体となっていても良い。
【0124】
上記実施形態では、膨張装置50は、照射部60を移動させる移動手段として搬送モータ55を備えており、位置が固定された熱膨張性シート100に対して、照射部60を移動させながら光を照射する方式で、熱膨張性シート100を膨張させた。しかしながら、膨張装置50は、熱膨張性シート100を搬送する搬送機構を備えており、搬送される熱膨張性シート100に対して、位置が固定された照射部60から光を照射する方式で、熱膨張性シート100を膨張させても良い。この場合、搬送機構が、熱膨張性シート100を移動させる移動手段として機能する。言い換えると、膨張装置50は、熱膨張性シート100と照射部60とを相対的に移動させることができれば、どのような方式で熱膨張性シート100を膨張させても良い。
【0125】
印刷装置40の印刷方式は、インクジェット方式に限らない。例えば、印刷装置40は、レーザー方式のプリンタであって、トナーと現像剤とによって画像を印刷しても良い。また、光熱変換層104,106は、光を熱に変換しやすい材料であれば、カーボンブラックを含む黒インク以外の材料によって形成されても良い。この場合、光熱変換層104,106は、印刷装置40以外の手段によって形成されるものであっても良い。
【0126】
上記実施形態では、制御部71は、照射部60に光を照射させている間は、送風部64に送風を停止するように制御した。しかしながら、本発明において、制御部71は、送風部64に送風を停止させることに限らず、熱膨張性シート100の膨張の質が変化しない程度に送風を弱めても良い。言い換えると、制御部71は、送風部64に送風を完全には停止させなくても良く、熱膨張性シート100の膨張の質が変化しない程度の微弱な強さの送風であれば、送風部64に送風させても良い。或いは、制御部71は、送風の強さを変更することに限らず、送風部64による送風の向きを変えても良い。送風部64による送風の向きを照射部60への向きから照射部60以外への向きに変更することによって、送風の強さを変更せずとも、照射部60に向けた送風を停止する又は弱めることができる。
【0127】
上記実施形態において、膨張装置50の制御部71は、CPUを備えており、CPUの機能によって、膨張処理、冷却処理、乾燥処理及び予熱処理を実行した。しかし、本発明に係る膨張装置50において、制御部71は、CPUの代わりに、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又は、各種制御回路等の専用のハードウェアを備え、専用のハードウェアが、膨張処理、冷却処理、乾燥処理及び予熱処理を実行しても良い。この場合、各処理を個別のハードウェアで実行しても良いし、各処理をまとめて単一のハードウェアで実行しても良い。また、各処理のうち、一部を専用のハードウェアによって実行し、他の一部をソフトウェア又はファームウェアによって実行しても良い。
【0128】
なお、本発明に係る機能を実現するための構成を予め備えた膨張装置として提供できることはもとより、プログラムの適用により、膨張装置を制御するコンピュータに、上記実施形態で例示した膨張装置50による各機能構成を実現させることもできる。すなわち、上記実施形態で例示した膨張装置50による各機能構成を実現させるためのプログラムを、既存の情報処理装置等を制御するCPU等が実行できるように適用することができる。
【0129】
このようなプログラムの適用方法は任意である。プログラムを、例えば、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納して適用できる。さらに、プログラムを搬送波に重畳し、インターネットなどの通信媒体を介して適用することもできる。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)にプログラムを掲示して配信してもよい。そして、このプログラムを起動し、OS(Operating System)の制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上記の処理を実行できるように構成してもよい。
【0130】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲とが含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記1)
熱膨張性シートに光を照射する照射手段と、
前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させる移動手段と、
前記照射手段に送風することによって、前記照射手段を冷却する送風手段と、
前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記膨張処理において、前記照射手段に光を照射させている間は、当該照射手段に向けた送風を停止する又は弱めるように前記送風手段を制御する、
ことを特徴とする膨張装置。
(付記2)
前記制御手段は、前記膨張処理を実行した後、前記照射手段に光の照射を停止させてから、前記送風手段に送風を開始させる、
ことを特徴とする付記1に記載の膨張装置。
(付記3)
前記移動手段は、前記照射手段を、前記熱膨張性シートに沿って移動させ、
前記制御手段は、前記移動手段によって前記照射手段を第1の方向に移動させながら前記膨張処理を実行し、前記移動手段によって前記照射手段を前記第1の方向とは逆の第2の方向に移動させながら前記送風手段に送風させる、
ことを特徴とする付記2に記載の膨張装置。
(付記4)
前記熱膨張性シートは、前記膨張処理において、規定の温度以上に加熱されることによって膨張し、
前記制御手段は、前記熱膨張性シートが前記規定の温度未満に維持されるように、前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを乾燥させる、
ことを特徴とする付記1から3のいずれか1つに記載の膨張装置。
(付記5)
前記制御手段は、前記熱膨張性シートを乾燥させた後、前記照射手段に光の照射を停止させてから、前記送風手段に送風を開始させる、
ことを特徴とする付記4に記載の膨張装置。
(付記6)
前記制御手段は、前記膨張処理を実行する前に、前記照射手段に光を照射させることによって、前記照射手段を予備的に加熱する予熱処理を実行し、前記予熱処理を実行した後、前記照射手段に光の照射を停止させてから、前記送風手段に送風を開始させることによって、前記照射手段の温度を予め設定された温度に低下させる、
ことを特徴とする付記1から5のいずれか1つに記載の膨張装置。
(付記7)
付記1から6のいずれか1つに記載の膨張装置と、
前記熱膨張性シートの表面又は裏面に、前記照射手段から照射される光を熱に変換する光熱変換層を印刷する印刷装置と、を備え、
前記制御手段は、前記印刷装置によって前記光熱変換層が印刷された前記熱膨張性シートと前記照射手段とを相対的に移動させながら、前記照射手段に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートのうちの前記光熱変換層が印刷された部分を膨張させる、
ことを特徴とする立体画像形成システム。
(付記8)
膨張装置が実行する熱膨張性シートの膨張方法であって、
前記熱膨張性シートに光を照射する照射部に送風することによって、前記照射部を冷却する送風ステップと、
前記熱膨張性シートと前記照射部とを相対的に移動させながら前記照射部に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御ステップと、
を含み、
前記制御ステップでは、前記膨張処理において前記照射部に光を照射させている間は、前記照射部に向けた送風を停止する又は弱めるようにする、
ことを特徴とする熱膨張性シートの膨張方法。
(付記9)
コンピュータを、
熱膨張性シートと、前記熱膨張性シートに光を照射する照射部と、を相対的に移動させる移動手段、
前記照射部に送風することによって、前記照射部を冷却する送風手段、
前記移動手段によって前記熱膨張性シートと前記照射部とを相対的に移動させながら前記照射部に光を照射させることによって、前記熱膨張性シートを膨張させる膨張処理を実行する制御手段、
として機能させ、
前記制御手段は、前記膨張処理において、前記照射部に光を照射させている間は、前記照射部に向けた送風を停止する又は弱めるように前記送風手段を制御する、
ように機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0131】
1…立体画像形成システム、30…端末装置、31…制御部、32…記憶部、33…操作部、34…表示部、35…記録媒体駆動部、36…通信部、40…印刷装置、41…キャリッジ、42…印刷ヘッド、43,43k,43c,43m,43y…インクカートリッジ、44…ガイドレール、45…駆動ベルト、45m…モータ、46…フレキシブル通信ケーブル、47…フレーム、48…プラテン、49a…給紙ローラ対、49b…排紙ローラ対、50…膨張装置、51…筐体、52…挿入部、53…トレイ、54…換気部、55…搬送モータ、56…搬送レール、60…照射部、61…ランプヒータ、62…反射板、63…温度センサ、64…送風部、65…バーコードリーダ、69…電源基板、70…制御基板、71…制御部、72…記憶部、73…計時部、74…通信部、100…熱膨張性シート、101…基材、102…熱膨張層、103…インク受容層、104,106…光熱変換層、105…カラーインク層、B…バーコード、D1…副走査方向、D2…主走査方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15