(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6555311
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】ガス漏れ量推定方法及び冷凍装置の運転方法
(51)【国際特許分類】
F25B 49/02 20060101AFI20190729BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
F25B49/02 520A
F25B1/00 304G
F25B1/00 361D
F25B1/00 371B
F25B1/00 381D
F25B1/00 383
F25B1/00 396B
F25B49/02 510C
F25B49/02 510F
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-178636(P2017-178636)
(22)【出願日】2017年9月19日
(65)【公開番号】特開2019-52819(P2019-52819A)
(43)【公開日】2019年4月4日
【審査請求日】2018年7月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 明敏
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 祥吾
【審査官】
山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−198235(JP,A)
【文献】
特開昭62−228839(JP,A)
【文献】
特開2005−201532(JP,A)
【文献】
国際公開第2016/157519(WO,A1)
【文献】
特開2013−178075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 49/02
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非共沸冷媒を用いた冷媒回路(12)において、当該非共沸冷媒の飽和液の液温及び液圧に基づいてガス漏れ量を推定するガス漏れ量推定方法であって、
非共沸冷媒のうちのある成分だけが漏れたと仮定して定めた前記成分の漏れ割合と一定の液温下における飽和液の液圧との関係と、前記冷媒回路(12)の正規の冷媒充填量と、前記非共沸冷媒の正規の成分比とから、ガス漏れ量を推定する、ガス漏れ量推定方法。
【請求項2】
非共沸冷媒を用いた冷凍装置(1)の運転方法であって、請求項1に記載のガス漏れ量推定方法により推定されたガス漏れ量に応じて、温度グラウンドを補正して冷却用膨張弁(6)の開度を調整する、冷凍装置(1)の運転方法。
【請求項3】
非共沸冷媒を用いた冷凍装置(1)の運転方法であって、請求項1に記載のガス漏れ量推定方法により推定されたガス漏れ量に応じて、圧縮機(7)の周波数を小さくする、冷凍装置(1)の運転方法。
【請求項4】
非共沸冷媒を用いた冷凍装置(1)の運転方法であって、請求項1に記載のガス漏れ量推定方法により推定されたガス漏れ量に応じて、凝縮器(9)側のファン(10)の風量を大きくする、冷凍装置(1)の運転方法。
【請求項5】
非共沸冷媒を用いた冷凍装置(1)の運転方法であって、請求項1に記載のガス漏れ量推定方法により推定されたガス漏れ量に応じて、蒸発器(4)側のファン(5)の風量を小さくする、冷凍装置(1)の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス漏れ量
推定方法及び冷凍装置の運転方法に関する。さらに詳しくは、非共沸冷媒を用いた冷媒回路における当該非共沸冷媒のガス漏れ量を
推定する方法、及び非共沸冷媒を用いた冷凍装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化を抑制するために、温室効果ガスについて地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential)という指標が用いられ、基準値以下のガスを用いることが義務付けられつつある。我が国の場合、例えば、冷凍・冷蔵ユニットに用いられる冷媒については、2025年以降、地球温暖化係数が1500を超える冷媒の使用が規制されることになっている。
【0003】
このため、冷凍・冷蔵ユニットに用いる冷媒について、地球温暖化係数が1500以下であり、且つ、冷却効率がよく、低コストの冷媒が種々検討、提案されている。かかる要望を満たし得る冷媒として、複数種類の冷媒を混合した非共沸冷媒がある。主に冷凍・冷蔵ユニット用の非共沸冷媒としては、例えばR407H、R448A,R449B等が知られているが、これらはいずれもR32を成分として含んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷媒回路から冷媒が漏れると、その量によっては、所定の冷却能力を発揮することができなくなる。このため、非共沸冷媒を用いた冷媒回路において当該非共沸冷媒のガス漏れ量(非共沸冷媒においては、通常、複数成分の内、最も沸点が低い冷媒が蒸発してガスとして外部に漏れる)を検知することが望まれている。
【0005】
また、ガス漏れが発生した場合に、漏れた冷媒の補充を含むメンテナンスを短期間で行うことができるときは冷凍・冷蔵運転への影響は少ないが、例えば船舶で用いられている冷凍・冷蔵ユニットでは、航海中に前記メンテナンスを行うことが難しい。この場合、漏れた冷媒を随時補給しつつ、ある程度のガスが漏れた状態での冷凍・冷蔵運転の最適化を図ることが望まれる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、非共沸冷媒を用いた冷媒回路において当該非共沸冷媒のガス漏れ量を
推定することができるガス漏れ量
推定方法、及び、
推定されたガス漏れ量に応じて運転を最適化することができる冷凍装置の運転方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のガス漏れ量
推定方法は、
(1)非共沸冷媒を用いた冷媒回路において、当該非共沸冷媒の飽和液の液温及び液圧に基づいてガス漏れ量を
推定するガス漏れ量推定方法であって、
非共沸冷媒のうちのある成分だけが漏れたと仮定して定めた前記成分の漏れ割合と一定の液温下における飽和液の液圧との関係と、前記冷媒回路の正規の冷媒充填量と、前記非共沸冷媒の正規の成分比とから、ガス漏れ量を推定する。
【0008】
本発明のガス漏れ量
推定方法では、非共沸冷媒の飽和液の液温及び液圧に基づいてガス漏れ量を
推定している。非共沸冷媒の場合、飽和液の液温(液温度)と液圧(液圧力)との間には所定の関係がある。また、非共沸冷媒のうちのある成分(通常は、最も沸点が低い冷媒)が漏れると、当該非共沸冷媒の組成が変化し、この組成が変化した非共沸冷媒についても飽和液の液温と液圧との間には所定の関係がある。したがって、或る液温の飽和液について、漏れ量が多くなるに従い、前記変化した組成の非共沸冷媒の飽和液の液圧は小さくなる。これを利用して、飽和液の液温及び液圧に基づいて非共沸冷媒のガス漏れ量を
推定することができる。
そして、予め求めておいた或る液温(一定の液温)下における液圧と冷媒の漏れ割合との関係に基づいて、測定された飽和液の液圧から、冷媒の漏れ割合(%)を得ることができる。また、この漏れ割合と、冷媒回路の正規の冷媒充填量と、前記非共沸冷媒の正規の成分比とから、ガス漏れ量を推定することができる。具体的に、漏れた冷媒の正規の成分比をm、冷媒回路の正規の冷媒充填量をw(kg)とすると、ガス漏れ量(kg)は、漏れ割合(%)×m×w÷100で求めることができる。
【0010】
(
2)本発明の第1の観点に係る冷凍装置の運転方法は、非共沸冷媒を用いた冷凍装置の運転方法であって、上記(1
)のガス漏れ量
推定方法により
推定されたガス漏れ量に応じて、温度グラウンドを補正して冷却用膨張弁の開度を調整する。
【0011】
本発明の第1の観点に係る冷凍装置の運転方法では、ガス漏れ量が多くなるに従い、蒸発器側の冷媒の温度グラウンドの傾きが小さくなることに鑑みて、漏れ量に応じて制御する温度を変えて、運転を行うことができる。
【0012】
(
3)本発明の第2の観点に係る冷凍装置の運転方法は、非共沸冷媒を用いた冷凍装置の運転方法であって、上記(1
)のガス漏れ量
推定方法により
推定されたガス漏れ量に応じて、圧縮機の周波数を小さくする。
【0013】
本発明の第2の観点に係る冷凍装置の運転方法では、高圧側の圧力を正常運転時よりも下げることで、ガス漏れが発生している状態であっても、当該ガス漏れの程度を抑制することができる。
【0014】
(
4)本発明の第3の観点に係る冷凍装置の運転方法は、非共沸冷媒を用いた冷凍装置の運転方法であって、上記(1
)のガス漏れ量
推定方法により
推定されたガス漏れ量に応じて、凝縮器側のファンの風量を大きくする。
【0015】
本発明の第3の観点に係る冷凍装置の運転方法では、高圧側の圧力を正常運転時よりも下げることで、ガス漏れが発生している状態であっても、当該ガス漏れの程度を抑制することができる。
【0016】
(
5)本発明の第4の観点に係る冷凍装置の運転方法は、非共沸冷媒を用いた冷凍装置の運転方法であって、上記(1
)のガス漏れ量
推定方法により
推定されたガス漏れ量に応じて、蒸発器側のファンの風量を小さくする。
【0017】
本発明の第4の観点に係る冷凍装置の運転方法では、低圧側の圧力を正常運転時よりも下げることで、ガス漏れが発生している状態であっても、当該ガス漏れの程度を抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のガス漏れ量
推定方法によれば、非共沸冷媒を用いた冷媒回路において当該非共沸冷媒のガス漏れ量を
推定することができることができる。また、本発明の本発明の冷凍装置の運転方法によれば、
推定されたガス漏れ量に応じて運転を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明のガス漏れ量
推定方法が適用される冷凍装置の一例の説明図である。
【
図2】非共沸冷媒の飽和液の漏れ割合と液圧の関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明のガス漏れ量
推定方法及び冷凍装置の運転方法を詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0021】
図1は、本発明のガス漏れ量
推定方法が適用される冷凍装置1の一例の説明図である。冷凍・冷蔵ユニットである冷凍装置1は、ユニットクーラ2と、冷凍機3とで構成されている。ユニットクーラ2は、一般的な空気調和機における室内機と同等の役割を果たしており、蒸発器4と、ファン5と、冷却用膨張弁6とを備えている。一方、冷凍機3は、一般的な空気調和機における室外機と同等の役割を果たしており、インバータ圧縮機7と、四方切換弁8と、凝縮器9と、ファン10と、レシーバ11とを備えている。
【0022】
圧縮機7の吸込側には低圧センサP2が配設されており、吐出側には高圧センサP3が配設されている。冷凍装置1の通常運転時(冷却時)におけるレシーバ11の下流近傍には冷媒の飽和液の温度を測定する液温センサT1と、当該飽和液の圧力を測定する液圧センサP1とが配設されている。また、冷凍装置1の通常運転時における蒸発器4の入口側には入口温度センサT2が配設されており、蒸発器4の出口側には出口温度センサT3が配設されている。
【0023】
圧縮機7、四方切換弁8、凝縮器9、レシーバ11、冷却用膨張弁6、蒸発器4は、この順に配管で接続されており、冷媒回路12を構成している。通常運転時には、
図1において実線の矢印で示される経路を冷媒が流れ、蒸発器4において当該蒸発器4を流れる冷媒と熱交換された空気がファン5により供給される。一方、デフロスト時には、
図1において破線の矢印で示される経路を冷媒が流れ、凝縮器として機能する蒸発器4において当該蒸発器4を流れる冷媒と熱交換された空気(温風)によりデフロストが行われる。
【0024】
本実施形態に係る冷凍装置1は、冷媒として非共沸冷媒であるR407Hを用いている。非共沸冷媒は、複数種類の冷媒が混合された冷媒であり、例えばR407Hは、32.5重量%のR32、15.0重量%のR125、及び52.5重量%のR134aとで構成されており、沸点は−44.6℃で、地球温暖化係数は1495である。また、R407Cは、23.0重量%のR32、25.0重量%のR125、及び52.0重量%のR134aとで構成されており、沸点は−43.8℃で、地球温暖化係数は1770である。なお、本発明において使用可能な非共沸冷媒は、これらに限定されるものではなく、例えばR448H,R449B,R454A,R457A,R455A等を用いることもできる。
【0025】
非共沸冷媒を使用する冷凍装置1においてガス漏れが発生すると、当該非共沸冷媒を構成する複数の冷媒のうち、最も沸点が低い冷媒が蒸発しガスとして漏洩する。R407Hの場合は、まず、R32が蒸発し、ガスとして漏洩する。非共沸冷媒を構成する冷媒(最も沸点が低い冷媒)が漏洩することにより、当該非共沸冷媒を構成する冷媒の組成比又は成分比(以下、「成分比」という)が変化する。成分比が変化することで、非共沸冷媒の特性も変化する。
【0026】
本実施形態では、かかる非共沸冷媒の特性の変化を利用して、冷凍装置1における非共沸冷媒の漏れ量を検知している。非共沸冷媒の飽和液の液温と液圧との間には所定の関係があり、ある液温の飽和液の液圧は一義的に求めることができる。一方、ガス漏れが発生すると、非共沸冷媒の成分比が変化するので、前記所定の関係も変化する。
【0027】
表1は、非共沸冷媒の一例であるR407Hについて、飽和液の液温と、液圧と、漏れ割合との関係を示している。前記のように、正規のR407Hは、32.5重量%のR32、15.0重量%のR125、及び52.5重量%のR134aとで構成されている。このR407Hを用いる冷媒回路で冷媒漏れが生じると、沸点が最も低いR32が蒸発して、ガスとして外部に漏れる。
【0029】
表1では、R32が所定量(正規量)の10%、30%、及び50%漏れた場合の、飽和液の液温と液圧との関係を示している。例えば、飽和液が40℃の場合、冷媒漏れがなく、R32が正規の成分比(0.325)のとき、飽和液の液圧は1.60(MPa abs)であり、R32が正規の量から10%漏れたとき、飽和液の液圧は1.57(MPa abs)である。同様に、種々の液温について、正規の成分比のときの液圧、及び、所定割合(表1の例では、10%、30%、50%)のR32が漏れたときの液圧を求めることができる。
【0030】
図2は、液温が40.0℃のR407Hの飽和液の漏れ割合と液圧の関係を示す図である。
図2より、液温が40.0℃のR407Hの飽和液の漏れ割合と液圧の関係は一次関数で表現できることがわかる。したがって、予め種々の液温の飽和液について、飽和液の漏れ割合と液圧との関係を示す一次関数の変数を求めておくことで、冷凍装置1の冷媒回路12を流れる非共沸冷媒の飽和液の液温と液圧を測定することで、当該非共沸冷媒にどの程度のガス漏れが生じているのか、すなわちガス漏れ量を検知ないし推定することができる。レシーバ11の下流近傍では、冷媒は飽和液の状態であるので、この下流近傍に配設された液温センサT1及び液圧センサP1により、非共沸冷媒の飽和液の液温と液圧をそれぞれ測定することができ、得られる液温及び液圧に基づいて漏れ割合を求まることができ、この漏れ割合(%)からガス漏れ量を検知することができる。例えば、漏れ割合(%)をn、漏れた冷媒の正規の成分比をm、冷媒回路12の正規の冷媒充填量をw(kg)とすると、ガス漏れ量(kg)は、n×m×w÷100で求めることができる。
【0031】
冷媒回路12内に充填されている冷媒が、ある量を超えて漏洩すると、冷凍装置1の運転に支障をもたらすことになる。したがって、冷媒の漏れ量が所定の値(閾値)を超えた場合に、これを検知して警報を発することが望ましい。冷凍装置1のユーザは、この警報を受けて、漏洩箇所の探索や、漏洩した冷媒(本実施形態の場合はR32)の充填作業等を行うことができる。例えば、R407Hの場合、液温が40℃で、液圧が所定値の1.60MPaから0.21MPa低下して1.39MPaになったときに警報を発するようにすることができる。
【0032】
冷媒としてR407Hを用いる場合、ガス漏れが発生すると、前記のように、沸点が最も低いR32が蒸発して、ガスとして漏れることから、このR32を冷媒回路12の追加充填することが望ましい。しかし、R32単体のボンベがない場合、当該R32を成分として含むR407H等のボンベを逆にして、R32を冷媒回路12に充填させることも可能である。
【0033】
ガス漏れが発生した場合に、漏れた冷媒の補充を含むメンテナンスを短期間で行うことができるときは冷凍・冷蔵運転への影響は少ない。しかし、例えば、低温保存が必要な食品等を輸送する船舶で用いられている冷凍・冷蔵ユニットでは、航海中に前記メンテナンスを行うことが難しい。この場合、前記のように漏れた冷媒を随時補給しつつ、ある程度のガスが漏れた状態での冷凍・冷蔵運転の最適化を図ることが望まれる。
【0034】
本実施形態では、ガスが漏れた状態での冷凍装置1の運転の最適化を図るとともに、ガス漏れを最小限にとどめる運転を行う。
共沸冷媒の場合、蒸発器4の入口温度と出口温度は同じであり、これに所定の過熱度を加えた温度を圧縮機7の吸込みガス温度とすることができる。例えば、蒸発器4の入口温度と出口温度が10℃で、過熱度が5℃の場合、圧縮機7の吸込みガス温度は15℃となる。これに対し、非共沸冷媒の場合、温度グラウンドは傾斜しており、その傾きはガス漏れ量が多くなるに従い徐々に小さくなる。例えば、中点が10℃の場合、冷媒の漏れがないとき(
図3の太い実線参照)、蒸発器4の入口温度が7℃であるとすると、蒸発器4の出口温度は、中点+(中点−蒸発器4の入口温度)=10+(10−7)=13℃となる。これに過熱度(5℃とする)を加えた温度である18℃が圧縮機7の吸込みガス温度となる。
【0035】
冷媒が漏れると、温度グラウンドの傾き小さくなる(
図3の破線参照)。中点が10℃の場合、冷媒が漏れると、蒸発器4の入口温度は、冷媒の漏れがない場合よりも高くなり、例えば8℃となる。このとき、モリエル線図上、蒸発器4の出口温度は、10℃+(10℃−8℃)=12℃となる。本実施形態では、これに過熱度(5℃とする)を加えた温度である17℃が圧縮機7の吸込みガス温度となるように制御を行う。具体的に、冷却用膨張弁6の開度を調整する、すなわち上記例の場合は当該開度を大きくする制御を行う。これにより、漏れ量に応じて、制御する温度を変えて最適運転を行うことができる。
【0036】
また、冷媒回路12内の冷媒の圧力が高いほど、冷媒の漏れ量が多くなることに鑑み、本実施形態では、当該冷媒の圧力を下げて冷媒漏れ量を最小限にする制御を行っている。
具体的に、以下の(1)〜(3)の少なくとも1つを採用することで冷媒の圧力を下げて冷媒漏れ量を最小限にすることができる。
【0037】
(1)ガス漏れ量に応じて、圧縮機7の周波数を小さくする。圧縮機7の周波数を小さくすることで、高圧側の圧力を正常運転時よりも下げることができる。これにより、ガス漏れが発生している状態であっても、当該ガス漏れの程度を抑制することができる。
【0038】
(2)凝縮器9のファン10の風量を大きくする。凝縮器9のファン10の風量を大きくすることで、高圧側の圧力を正常運転時よりも下げることができる。これにより、ガス漏れが発生している状態であっても、当該ガス漏れの程度を抑制することができる。
【0039】
(3)蒸発器4のファン5の風量を小さくする。蒸発器4のファン5の風量を小さくすることで、低圧側の圧力を正常運転時よりも下げることができる。これにより、ガス漏れが発生している状態であっても、当該ガス漏れの程度を抑制することができる。
【0040】
〔その他の変形例〕
本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、前述した実施形態では、R407Hを例にとって、非共沸冷媒の液温と、液圧と、漏れ割合との関係について説明したが、同様のことは、R407C等の他の非共沸冷媒についても当てはまる。即ち、例えばR407Cについても、測定した飽和液の液温及び液圧に基づいてガス漏れ量を検知することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 :冷凍装置
2 :ユニットクーラ
3 :冷凍機
4 :蒸発器
5 :ファン
6 :冷却用膨張弁
7 :圧縮機
8 :四方切換弁
9 :凝縮器
10 :ファン
11 :レシーバ
12 :冷媒回路
P1 :液圧センサ
P2 :低圧センサ
P3 :高圧センサ
T1 :液温センサ
T2 :入口温度センサ
T3 :出口温度センサ