(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数枚の基板が積層されてなる積層基板からなり、前記積層基板の表面にガス入口及びガス出口が設けられているとともに、前記積層基板の内部に、前記積層基板の内部では互いに連通しない複数の抵抗流路が内部流路として設けられている流路アセンブリと、
前記流路アセンブリの表面に設けられた穴を介して前記内部流路と接続された圧力センサと、
前記流路アセンブリの表面に設けられた穴を介して前記内部流路に接続された圧力制御バルブと、を備え、
前記ガス入口から前記ガス出口までが流量制御流路として連通し、その流量制御流路上に前記圧力センサ及び前記圧力制御バルブが搭載されているとともに、該流量制御流路の流路抵抗が所望の流路抵抗となるように選択された少なくとも1つの前記抵抗流路が該流量制御流路内に接続されているフローコントローラ。
前記流路アセンブリは、前記ガス入口及び前記ガス出口をそれぞれ複数備え、該フローコントローラが適用される検出器で使用するガスの種類に応じて選択された前記ガス入口と前記ガス出口との間が前記流量制御流路として連通している請求項1に記載のフローコントローラ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るフローコントローラの実施形態を図面を参照して説明する。
【0013】
図1は種々の検出器用のフローコントローラに共通で用いられる流路アセンブリ1の内部構成を示す平面図である。この流路アセンブリ1は複数の金属板が積層されて構成されるものであり、それらの金属板の内部接合面に複数の内部流路が設けられている。
図1においては、流路アセンブリ1の内部接合面に設けられている内部流路のすべてを同一平面内(同一接合面内)にあるかのように示しているが、これらの内部流路は必ずしも同一平面内(同一接合面内)に設けられている必要はなく、複数の接合面に設けられていてもよい。また、内部流路とは別に実線で描かれている円は、この流路アセンブリ1に別の流路板、圧力制御バルブ、圧力センサなどを固定するためのボルトを貫通させる穴を示している。
【0014】
流路2、4、6、8、10、12、14、16、20、22、24、26、28、30及び32と、抵抗流路R
A(流路抵抗値:R
A)、R
B(流路抵抗値:R
B)、R
C(流路抵抗値:R
C)、R
D(流路抵抗値:R
D)及びR
E(流路抵抗値:R
E)が、内部流路として設けられている。破線円2a、2b、4a、4b、6a、6b、8a、8b、12a、12b、14a、14b、20a、22a、24a、26a、28a、30a及び32aは、それらの内部流路の端部に通じる流路アセンブリ2の表面又は裏面に設けられた穴を示している。外部の配管、別の流路板、圧力制御バルブ、圧力センサなどは、これらの穴を通じて流路アセンブリ1の内部流路と接続される。
【0015】
この実施例の流路アセンブリ1は3種類のガスの流量を同時に制御するフローコントローラに適用することができる。すなわち、上記の内部流路を組み合わせて互いに独立した3つの流量制御流路を構成することができる。
【0016】
第1の流量制御流路は、流路2、流路8、流路10、抵抗流路R
A及び流路20によって構成され、必要に応じて、それらの流路に流路28、抵抗流路R
E及び流路26が追加される。流路2の一端に通じる穴2aはガス入口であり、所定のガスを供給する外部配管が接続される。
【0017】
流路2の他端と流路8の一端にはそれぞれ穴2b、8aを介して圧力制御バルブの入口及び出口が接続され、流路2と流路8との間に圧力制御バルブが介在するようになっている。流路8の他端には、穴8bを介して圧力センサが接続されるようになっている。流路8の他端と流路10の一端は互いに接続されている。流路10の他端に抵抗流路R
Aの一端が接続されている。
【0018】
抵抗流路R
Aの他端は流路20の一端と接続されている。流路20の他端は穴20aを介して外部の配管又は別の流路板が接続されるようになっている。流路20の他端と流路28の一端は、必要に応じて別の流路板によって互いに接続されるようになっている。流路20の他端と流路28の一端が接続されない場合、流路20の他端には穴20aを介して外部配管が接続され、穴20aは第1の流量制御流路からガスを排出するためのガス出口となる。
【0019】
流路28の他端に抵抗流路R
Eの一端が接続されている。抵抗流路R
Eの他端は流路26の一端に接続されている。流路26の他端は穴26aを介して外部配管が接続されるようになっている。流路20の他端と流路28の一端が接続されている場合には、流路26の他端に通じる穴26aが、第1の流量制御流路からガスを排出するためのガス出口となる。
【0020】
第2の流量制御流路は、流路4、流路12、抵抗流路R
B及び流路22によって構成される。流路4の一端に通じる穴4aはガス入口であり、所定のガスを供給する外部配管が接続される。
【0021】
流路4の他端と流路12の一端にはそれぞれ穴4b、12aを介して圧力制御バルブの入口及び出口が接続され、流路4と流路12との間に圧力制御バルブが介在するようになっている。流路12の他端には、穴12bを介して圧力センサが接続されるようになっている。流路12の他端に抵抗流路R
Bの一端が接続されている。
【0022】
抵抗流路R
Bの他端は流路22の一端と接続されている。流路22の他端は穴22aを介して外部の配管が接続されるようになっており、穴20aは第2の流量制御流路からガスを排出するためのガス出口となる。
【0023】
第3の流量制御流路は、流路6、流路14、流路16、抵抗流路R
C及び流路24によって構成され、必要に応じて、それらの流路に流路30、抵抗流路R
E及び流路32が追加される。流路6の一端に通じる穴6aはガス入口であり、所定のガスを供給する外部配管が接続される。
【0024】
流路6の他端と流路14の一端にはそれぞれ穴6b、14aを介して圧力制御バルブの入口及び出口が接続され、流路6と流路14との間に圧力制御バルブが介在するようになっている。流路14の他端には、穴14bを介して圧力センサが接続されるようになっている。流路14の他端と流路16の一端は互いに接続されている。流路16の他端に抵抗流路R
Cの一端が接続されている。
【0025】
抵抗流路R
Cの他端は流路24の一端と接続されている。流路24の他端は穴24aを介して外部の配管又は別の流路板が接続されるようになっている。流路24の他端と流路30の一端は、必要に応じて別の流路板によって互いに接続されるようになっている。流路24の他端と流路30の一端が接続されない場合、流路24の他端には穴24aを介して外部配管が接続され、穴24aは第3の流量制御流路からガスを排出するためのガス出口となる。
【0026】
流路30の他端に抵抗流路R
Dの一端が接続されている。抵抗流路R
Dの他端は流路32の一端に接続されている。流路32の他端は穴32aを介して外部配管が接続されるようになっている。流路24の他端と流路30の一端が接続されている場合には、流路32の他端に通じる穴32aが、第3の流量制御流路からガスを排出するためのガス出口となる。
【0027】
図2から
図5は、それぞれ上記流路アセンブリ1を用いて水素炎イオン化検出(FID)、熱伝導度検出器(TCD)、炎光光度検出器(FPD)、アルカリ熱イオン化検出器(FTD)のためのフローコントローラを構成する場合の流路構成図である。以下、検出器ごとに説明する。
【0028】
<FID>
FIDでは水素ガス(H
2)、無機ガス(MU)、エアーを用いる。FIDにおいて、水素ガス、無機ガス、エアーの流量を制御するために必要な流路抵抗は、それぞれR
A、R
B、R
Cである。そのため、
図2に示されているように、FID用のフローコントローラ100は第1の流量制御流路を用いて水素ガスの流量を制御し、第2の流量制御流路を用いて無機ガスの流量を制御し、第3の流量制御流路を用いてエアーの流量を制御する。第1から第3の流量制御流路を構成するために、穴2bと8aの位置、穴4bと12aの位置、穴6bと14aの位置にそれぞれ圧力制御バルブ33、36、40が搭載され、穴8bの位置、穴12bの位置、穴14bの位置にそれぞれ圧力センサ34、38、42が搭載されている。
【0029】
水素ガスは、ガス入口2aから第1の流量制御流路に導入され、流路2、圧力制御バルブ33、流路8、流路10、抵抗流路R
A、流路20を通って、ガス出口20aから排出される。この第1の流量制御流路により、FIDに供給される水素ガスの流量を制御するために必要な流路抵抗R
Aが得られる。水素ガスの流量は、圧力センサ34による検出値に基づいた圧力制御バルブ33のフィードバック制御により制御される。
【0030】
無機ガスは、ガス入口4aから第2の流量制御流路に導入され、流路4、圧力制御バルブ36、流路12、抵抗流路R
B、流路22を通って、ガス出口22aから排出される。この第2の流量制御流路により、FIDに供給される無機ガスの流量を制御するために必要な流路抵抗R
Bが得られる。無機ガスの流量は、圧力センサ38による検出値に基づいた圧力制御バルブ36のフィードバック制御により制御される。
【0031】
エアーは、ガス入口6aから第3の流量制御流路に導入され、流路6、圧力制御バルブ40、流路14、流路16、抵抗流路R
C、流路24を通って、ガス出口24aから排出される。この第3の流量制御流路により、FIDに供給されるエアーの流量を制御するために必要な流路抵抗R
Cが得られる。エアーの流量は、圧力センサ42による検出値に基づいた圧力制御バルブ40のフィードバック制御により制御される。
【0032】
<TCD>
TCDは無機ガスのみを用いる。無機ガスの流量を制御するために必要な流路抵抗はR
Aである。そのため、TCD用のフローコントローラ200では、
図3に示されているように、第1の流量制御流路を用いて無機ガスの流量を制御する。穴2bと8aの位置に圧力制御バルブ33が搭載され、穴8bの位置に圧力センサ34が搭載されて第1の流量制御流路が構成されている。
【0033】
無機ガスは、ガス入口2aから第1の流量制御流路に導入され、流路2、圧力制御バルブ33、流路8、流路10、抵抗流路R
A、流路20を通って、ガス出口20aから排出される。この第1の流量制御流路により、TCDに供給される無機ガスの流量を制御するために必要な流路抵抗R
Aが得られる。無機ガスの流量は、圧力センサ34による検出値に基づいた圧力制御バルブ33のフィードバック制御により制御される。
【0034】
<FPD>
FPDでは水素ガスとエアーを用いる。FPDにおいて、水素ガス、エアーの流量を制御するための流路抵抗は、それぞれR
A、R
C+R
Dである。そのため、
図4に示されているように、FID用のフローコントローラ300は第1の流量制御流路を用いて水素ガスの流量を制御し、第3の流量制御流路を用いてエアーの流量を制御する。第1の流量制御流路と第3の流量制御流路を構成するために、穴2bと8aの位置と穴6bと14aの位置にそれぞれ圧力制御バルブ33と40が搭載され、穴8bの位置と穴14bの位置にそれぞれ圧力センサ34と42が搭載されている。さらに、第3の流量制御流路の流路抵抗をR
C+R
Dとするために、穴24aと穴30aとの間を連通させるバイパス流路46を備えた流路板44が流路アセンブリ1に搭載されている。
【0035】
水素ガスは、ガス入口2aから第1の流量制御流路に導入され、流路2、圧力制御バルブ33、流路8、流路10、抵抗流路R
A、流路20を通って、ガス出口20aから排出される。この第1の流量制御流路により、FIDに供給される水素ガスの流量を制御するために必要な流路抵抗R
Aが得られる。水素ガスの流量は、圧力センサ34による検出値に基づいた圧力制御バルブ33のフィードバック制御により制御される。
【0036】
エアーは、ガス入口6aから第3の流量制御流路に導入され、流路6、圧力制御バルブ40、流路14、流路16、抵抗流路R
C、流路24、バイパス流路46、流路30、抵抗流路R
D、流路32を通ってガス出口32aから排出される。この第3の流量制御流路により、FPDに供給されるエアーの流量を制御するために必要な流路抵抗R
C+R
Dが得られる。エアーの流量は、圧力センサ42による検出値に基づいた圧力制御バルブ40のフィードバック制御により制御される。
【0037】
<FTD>
FTDでは水素ガス(H
2)、無機ガス(MU)、エアーを用いる。FTDにおいて、水素ガス、無機ガス、エアーの流量を制御するために必要な流路抵抗は、それぞれR
A+R
E、R
B、R
C+R
Dである。そのため、
図5に示されているように、FTD用のフローコントローラ400は第1の流量制御流路を用いて水素ガスの流量を制御し、第2の流量制御流路を用いて無機ガスの流量を制御し、第3の流量制御流路を用いてエアーの流量を制御する。第1から第3の流量制御流路を構成するために、穴2bと8aの位置、穴4bと12aの位置、穴6bと14aの位置にそれぞれ圧力制御バルブ33、36、40が搭載され、穴8bの位置、穴12bの位置、穴14bの位置にそれぞれ圧力センサ34、38、42が搭載されている。さらに、第1の流量制御流路の流路抵抗をR
A+R
Eとするため、穴20aと28aの間を連通させるバイパス流路50を備えた流路板48が流路アセンブリ1に搭載されている。さらに、第3の流量制御流路の流路抵抗をR
C+R
Dとするために、穴24aと穴30aとの間を連通させるバイパス流路46を備えた流路板44が流路アセンブリ1に搭載されている。
【0038】
水素ガスは、ガス入口2aから第1の流量制御流路に導入され、流路2、圧力制御バルブ33、流路8、流路10、抵抗流路R
A、流路20、バイパス流路50、流路28、抵抗流路R
E、流路26を通って、ガス出口26aから排出される。この第1の流量制御流路により、FTDに供給される水素ガスの流量を制御するために必要な流路抵抗R
A+R
Eが得られる。水素ガスの流量は、圧力センサ34による検出値に基づいた圧力制御バルブ33のフィードバック制御により制御される。
【0039】
無機ガスは、ガス入口4aから第2の流量制御流路に導入され、流路4、圧力制御バルブ36、流路12、抵抗流路R
B、流路22を通って、ガス出口22aから排出される。この第2の流量制御流路により、FIDに供給される無機ガスの流量を制御するために必要な流路抵抗R
Bが得られる。無機ガスの流量は、圧力センサ38による検出値に基づいた圧力制御バルブ36のフィードバック制御により制御される。
【0040】
エアーは、ガス入口6aから第3の流量制御流路に導入され、流路6、圧力制御バルブ40、流路14、流路16、抵抗流路R
C、流路24、バイパス流路46、流路30、抵抗流路R
D、流路32を通ってガス出口32aから排出される。この第3の流量制御流路により、FPDに供給されるエアーの流量を制御するために必要な流路抵抗R
C+R
Dが得られる。エアーの流量は、圧力センサ42による検出値に基づいた圧力制御バルブ40のフィードバック制御により制御される。
【0041】
以上において説明したように、流路アセンブリ1内には、該流路アセンブリ1の内部においては互いに連通していない複数の抵抗流路抵抗流路R
A(流路抵抗値:R
A)、R
B(流路抵抗値:R
B)、R
C(流路抵抗値:R
C)、R
D(流路抵抗値:R
D)及びR
E(流路抵抗値:R
E)が設けられており、フローコントローラの種類(それが用いられる検出器の種類)に応じて必要な抵抗流路が追加的に流量制御流路内に組み込まれるようになっているので、共通の流路アセンブリを用いて各種フローコントローラを構成することができる。