特許第6555523号(P6555523)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6555523
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】成形用金型装置及び成形方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 51/36 20060101AFI20190729BHJP
   B29C 49/04 20060101ALI20190729BHJP
   B29C 51/02 20060101ALI20190729BHJP
   B29C 51/10 20060101ALI20190729BHJP
   B29C 49/42 20060101ALI20190729BHJP
   B29C 51/26 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   B29C51/36
   B29C49/04
   B29C51/02
   B29C51/10
   B29C49/42
   B29C51/26
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-173018(P2015-173018)
(22)【出願日】2015年9月2日
(65)【公開番号】特開2017-47620(P2017-47620A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2018年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126398
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】福田 達也
【審査官】 國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−289093(JP,A)
【文献】 特開2009−023128(JP,A)
【文献】 特開平06−335956(JP,A)
【文献】 特開2012−192522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 51/00−51/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂シートをキャビティ面から真空吸引することにより金型に密着させて成形する成形用金型装置であって、
互いに対向配置される一対の金型のキャビティ面の周囲にそれぞれピンチオフ部が突出形成されており、
前記ピンチオフ部よりも外周部分にそれぞれ外枠部が一体に形成されるとともに、一方の金型サイズが他方の金型サイズよりも大であり、サイズの大きい金型には、金型を突き合わせた際にサイズの小さな金型の外枠部を収容し得る凹部が形成されており、
前記外枠部は、各金型において最も突出するように形成されていることを特徴とする成形用金型装置。
【請求項2】
樹脂シートをキャビティ面から真空吸引することにより金型に密着させて成形する成形方法であって、
互いに対向配置される一対の金型のキャビティ面の周囲にそれぞれピンチオフ部が突出形成されており、前記ピンチオフ部よりも外周部分にそれぞれ外枠部が一体に形成されるとともに、一方の金型サイズが他方の金型サイズよりも大であり、サイズの大きい金型には、金型を突き合わせた際にサイズの小さな金型の外枠部を収容し得る凹部が形成されており、前記外枠部は、各金型において最も突出するように形成されている成形用金型装置を用い、
樹脂シートを前記外枠部と接するように配置して前記真空吸引を行った後、一対の金型を型締めすることを特徴とする成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂シートを真空成形するための成形用金型装置に関するものであり、さらには、前記成形用金型装置を用いた成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば単壁構造の樹脂成形品を形成する場合、予め熱可塑性樹脂製の原反シートを用意し、これを溶融状態となるまで再加熱した後、真空吸引や空気圧によって金型キャビティに密着させる真空成形や圧空成形が行われている。真空成形や圧空成形は、多品種少量生産に向く等の特徴を有し、また、本願出願人は、2枚の樹脂シートを押し出し、これを一対の金型にそれぞれ真空吸引により密着させた後、型締めして一体化する成形技術も開発している。
【0003】
ところで、これら真空成形や圧空成形においては、加熱溶融した樹脂シートを金型のキャビティ面に確実に密着させる必要がある。樹脂シートの金型キャビティへの密着が悪いと、金型の表面形状を十分に転写することができず、所定の品質の樹脂成形品を得ることはできない。
【0004】
一方で、樹脂成形品の多様化により、金型形状も多様なものとなっており、場合によっては、樹脂シートの真空吸引が難しくなっている。金型キャビティに樹脂シートを密着させるには、金型の先端を樹脂シートに接触させた後、真空吸引を行うが、この時、金型に樹脂シートが接することで密閉空間が形成されなければならない。
【0005】
しかしながら、前記金型の多様化により、例えばパーティングラインの形状が複雑であると(3次元的に屈曲していると)、樹脂シートを金型と接するように重ねても、樹脂シートと金型の間に隙間が生じてしまい、密閉空間を作ることが困難であるという問題が生じている。
【0006】
このような状況から、金型側において、密閉空間を形成するための改良も試みられている。例えば特許文献1には、押出装置からシート状に押し出した熱可塑性樹脂を金型の周囲に位置する型枠に密着させることが可能な成形装置が開示されている。型枠の先端面が平面を構成するようにすれば、金型のパーティングラインの形状が複雑であっても、型枠に樹脂シートが接するように配置することで密閉空間が形成され、確実に真空吸引を行うことができるようになる。
【0007】
また、特許文献2には、真空成形型上にセットされ略中央部に凹面部を有する形状の基材の表面に、薄いシートからなる表皮材を真空成形と同時に貼り付けるときに用いる真空成形型が開示されており、セットされた基材の外周辺部に位置する部分の真空成形型に、基材の外縁部よりも高く突出する枠を設け、該枠上に表皮材をセットして該表皮材の真空成形時に表皮材が基材の外縁部よりも先に凹面部に接触して成形されるようにすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012−192521号公報
【特許文献2】特開平5−16218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、例えば特許文献1に記載されるような型枠を設けるような構成では、金型構造や駆動機構が複雑なものとなり、多大な設備投資が必要になるという問題がある。一方、特許文献2に記載される技術は、凹面部を有する成形品の表皮材に接着不良部分や凹みがないようにするものであり、目的が大きく異なる。また、特許文献2記載の発明は、1つの金型を用いて真空成形を行うものであり、2枚の樹脂シートを押し出し、これを一対の金型にそれぞれ真空吸引により密着させた後、型締めして一体化する成形技術は想定されていない。
【0010】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、金型構造や駆動機構を複雑なものとすることなく、確実に樹脂シートを金型キャビティに密着させることが可能な成形用金型装置を提供することを目的とし、さらには成形方法を提供することを目的とする。また、本発明は、2枚の樹脂シートを押し出し、これを一対の金型にそれぞれ真空吸引により密着させた後、型締めして一体化する成形技術に適用することが可能な成形用金型装置を提供することを目的とし、さらには成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の目的を達成するために、本発明の成形用金型装置は、樹脂シートをキャビティ面から真空吸引することにより金型に密着させて成形する成形用金型装置であって、互いに対向配置される一対の金型のキャビティ面の周囲にそれぞれピンチオフ部が突出形成されており、前記ピンチオフ部よりも外周部分にそれぞれ外枠部が一体に形成されるとともに、一方の金型サイズが他方の金型サイズよりも大であり、サイズの大きい金型には、金型を突き合わせた際にサイズの小さな金型の外枠部を収容し得る凹部が形成されており、前記外枠部は、各金型において最も突出するように形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の成形方法は、樹脂シートをキャビティ面から真空吸引することにより金型に密着させて成形する成形方法であって、互いに対向配置される一対の金型のキャビティ面の周囲にそれぞれピンチオフ部が突出形成されており、前記ピンチオフ部よりも外周部分にそれぞれ外枠部が一体に形成されるとともに、一方の金型サイズが他方の金型サイズよりも大であり、サイズの大きい金型には、金型を突き合わせた際にサイズの小さな金型の外枠部を収容し得る凹部が形成されており、前記外枠部は、各金型において最も突出するように形成されている成形用金型装置を用い、 樹脂シートを前記外枠部と接するように配置して前記真空吸引を行った後、一対の金型を型締めすることを特徴とする。
【0013】
各金型に最も高さの高い外枠部を設けておき、樹脂シートが先ず外枠部と接するようにすることで、金型の形状によらず、樹脂シートと金型キャビティ面の間の空間が密閉空間となる。この状態で真空吸引を行えば、空気が漏れることなく、樹脂シートが確実に金型キャビティ面に密着される。
【0014】
また、金型には、外枠部と対向する位置に外枠部を収容し得る凹部が形成されているので、一対の金型を突き合わせて型締めを行う際に、外枠部同士が衝突することがなく、所定の型締め状態とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、金型構造や駆動機構を複雑なものとすることなく、確実に樹脂シートを金型キャビティに密着させることが可能であり、高品質な樹脂成形品を成形することが可能である。また、本発明は、2枚の樹脂シートを押し出し、これを一対の金型にそれぞれ真空吸引により密着させた後、型締めして一体化する成形技術に適用することが可能であり、多様な樹脂成形品の成形に対応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明を適用した成形用金型装置の一実施形態を示す概略側面図である。
図2図1に示す成形用金型装置の概略平面図である。
図3】外枠部の一例を示す概略斜視図である。
図4】外枠部の他の例を示す概略斜視図である。
図5】外枠部のさらに他の例を示す概略斜視図である。
図6A】本発明を適用した成形方法の一実施形態を示すものであり、樹脂シート押し出し工程を示す概略側面図である。
図6B】樹脂シートの金型への当接工程を示す概略側面図である。
図6C】樹脂シートの真空吸引工程を示す概略側面図である。
図6D】型締め工程及び樹脂成形品取り出し工程を示す概略側面図である。
図7】表皮材を保持するピンを有する金型の一例を示す図である。
図8】表皮材を保持するピンを有する金型に本発明を適用した実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を適用した成形用金型装置及び成形方法の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
本実施形態の成形用金型装置は、一対の金型にそれぞれ樹脂シートを密着させた後、型締めを行って一体化することで、中空の樹脂成形品を成形するものである。したがって、図1及び図2に示すように、本実施形態の成形用金型装置1は、互いに突き合わされる一対の金型2,3を対向配置することにより構成されている。
【0019】
各金型2,3は、それぞれキャビティを有しており、それぞれの金型キャビティ面2a,3aに樹脂シートが密着することで、金型キャビティ面2a,3aの形状が樹脂シートに転写される。また、各金型2,3の金型キャビティ面2a,3aの周囲には、それぞれピンチオフ部2b,3bが突出形成されており、これらを突き合わせることで、2枚の樹脂シートの周囲部分が溶着され、パーティングライン(PL)が形成されて一体化される。
【0020】
このような構成の成形用金型装置1において、樹脂シートを金型キャビティ面2a,3aに密着させる真空成形を行う場合、通常は、各金型2,3において、金型キャビティ面2a,3aに真空ベントを形成しておくとともに、高さの高いピンチオフ部2b,3bに樹脂シートを接触させ、真空吸引を行う。しかしながら、例えばパーティングラインが複雑な形状である場合(例えば、ピンチオフ部2b,3bが3次元的に屈曲している場合等)、平面状体の樹脂シートを金型(ピンチオフ部2b,3b)に接するように配置しても、樹脂シートと金型の間に隙間が生じてしまい、真空吸引が難しい。
【0021】
そこで、本実施形態の成形用金型装置1では、各金型2,3の外周部分に外枠部2c,3cを形成し、この外枠部2c,3cが先ず樹脂シートと接するようにしている。外枠部2c,3cは、各金型2,3の外周部分に全周に亘って、また金型2,3に一体に枠状に形成されるものであり、金型2,3の突合せ方向において、最も突出して形成されている。すなわち、金型2,3において、外枠部2c,3cの高さが最も高い。
【0022】
また、各外枠部2c、3cの枠状の面(突合せ方向における先端面)2d,3dは、一つの面を構成するように形成されている。例えば、図3に示すように、外枠部2c,3cの突合せ方向における先端面2d,3dが矩形形状の平面を構成するように形成されている。この場合、外枠部2c,3cの高さは全周において一定(同じ)であり、これら先端面2d,3dに対して樹脂シートが接触することになる。
【0023】
外枠部2c,3cの形態としては、これに限らず、樹脂シートが接した時に隙間が形成されることのないような形状であればよく、例えば外枠部2c,3cの突合せ方向における先端面2d,3dが斜面や曲面を構成するように形成されていてもよい。図4は、外枠部2c,3cの突合せ方向における先端面2d,3dが一つの斜面を構成するように形成された例を示すものであり、図5は、外枠部2c,3cの突合せ方向における先端面2d,3dが一つの曲面を構成するように形成された例を示すものである。例えば図4に示すように先端面2d,3dが斜面を構成するようにした場合、樹脂シートは、外枠部2c,3cの下端縁に接した後、斜面に沿って先端面2d,3dと接する部分が上方に向かって拡大していき、樹脂シートを円滑に先端面2d,3d全体に接触させることができる。
【0024】
各金型2,3にこのような外枠部2c,3cを形成しておけば、樹脂シートは、先ず外枠部2c,3cの先端面2d,3dと接することになる。この時、外枠部2c,3cの先端面2d,3dは3次元的に屈曲しておらず、平坦であるため、樹脂シートの周囲と隙間なく接する。すなわち、樹脂シートと金型キャビティ面2a,3bの間の空間は、密閉空間となる。この状態で金型キャビティ面2a,3aから真空吸引すれば、空気が漏れることなく、効率的に真空吸引することができ、樹脂シートを金型キャビティ面2a,3aに確実に密着させることができる。
【0025】
ただし、各金型2,3に高さの高い外枠部2c,3cを設けると、金型2,3の型締めの際に、最も高い外枠部2c,3cが突き当たってしまい、正常な型締めができなくなる。そこで、本実施形態の成形用金型装置1では、一方の金型3を他方の金型2よりも大きくし、且つ、大きい金型3において、小さい金型2の外枠部2cと対向する位置に、外枠部2cを収容し得る枠状の凹部3eを形成している。
【0026】
このような構成とすることで、サイズの大きな金型3については、外枠部3cが金型2の外周よりも外側に位置することになり、外枠部3cが他方の金型2に突き当たることはない。また、サイズの小さな金型2については、金型3の外枠部2cと対向する位置に凹部3eが形成されているので、やはり外枠部2cが金型3に突き当たることはない。
【0027】
したがって、金型2,3の型締めにおいては、通常の金型と同様、ピンチオフ部2b,3bを突き当てて、中空の樹脂成形品を成形することが可能である。また、外枠部2c,3cは金型2,3と一体に形成されているので、金型構造が複雑化することはなく、また外枠部2c,3cを別途駆動する必要もないので、駆動機構も複雑化することはない。
【0028】
次に、前述の成形用金型装置1を用いた樹脂成形品の成形方法について説明する。
【0029】
成形に際しては、先ず、図6Aに示すように、熱可塑性樹脂等からなる樹脂シート11,12をTダイから押し出し、押し出した樹脂シート11,12を一対の分割金型2,3の間に垂下させる。
【0030】
樹脂シート11,12が金型2,3の上部位置を通過した後は、図6Bに示すように、分割された金型2,3を樹脂シート11,12に向かって前方に移動させる。この時、各金型2,3の外枠部2c,3cの先端面2d、3dが樹脂シート11,12と当接し、樹脂シート11,12が外枠部2c,3cの先端面2d,3dに沿って下方に垂下することになる。この時、樹脂シート11,12は、外枠部2c,3cの先端面2d,3dに沿って下方に垂下するため、樹脂シート11,12と先端面2d,3dとの間で摩擦が発生し、樹脂シート11,12にかかる自重を摩擦により減少させ、樹脂シート11,12のドローダウンを抑制するという効果を得ることができる。
【0031】
全周囲において、外枠部2c,3cの先端面2d,3dと樹脂シート11,12が接した後、金型キャビティ面2a,3aに設けられた真空ベントから空気を吸引し、図6Cに示すように、樹脂シート11,12を吸引する。樹脂シート11,12と金型2,3間の空間は、密閉空間となっているので、樹脂シート11,12を確実に金型キャビティ面2a,3aに密着させることができる。
【0032】
このように樹脂シート11,12を金型キャビティ面2a,3aに密着させ、樹脂シート11,12を金型キャビティ面2a,3aの表面に沿った形状に賦形した後、図6Dに示すように、金型2,3をさらに前進させ、型締めを行う。
【0033】
前記型締めの際には、金型3に金型2の外枠部2cに対応して凹部3eを設けているので、外枠部2cの先端部分はこの凹部3e内に収容される形となり、金型3に突き当たることはない。型締めにより金型2のピンチオフ部2bと金型3のピンチオフ部3bが突き当たって2つの金型2,3のキャビティが閉鎖空間とされるとともに、樹脂シート11,12の周縁部同士が溶着される。これにより、2枚の樹脂シート11,12の接合面にパーティングラインPLが形成されるとともに、2枚の樹脂シート11,12の内部に密閉中空部が形成される。
【0034】
最後に、金型2,3を互いに遠ざかるように移動させて型開きを行い、樹脂成形品20を取り出し、外周部のバリを除去する。これにより、樹脂成形品20を成形することができる。
【0035】
以上のように、本発明の成形用金型装置や成形方法によれば、金型構造や駆動機構を複雑なものとすることなく、確実に樹脂シート11を外枠部2c,3dを利用して金型キャビティ面2a,3aに密着させることが可能であり、高品質な樹脂成形品を成形することが可能である。
【0036】
以上、本発明を適用した実施形態についてを説明してきたが、本発明が前述の実施形態に限られるものでないことは言うまでもなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0037】
例えば、先の実施形態は、ピンチオフ部2b,3bが3次元的に屈曲している金型2,3において、外枠部2c,3cを設けることで、樹脂シート11,12と金型2,3間の空間が密閉空間となるようにしたが、本発明は、3次元的に屈曲している金型に限らず、樹脂シートとの間に隙間が生じてしまうような金型のいずれも適用することが可能である。
【0038】
図4は、樹脂シートに表皮材を重ねて成形する成形用金型装置の一例である。図7に示す成形用金型装置21も、2分割された金型22,23を備えている。各金型22,23は、それぞれ金型キャビティ面22a,23aを有するとともに、ピンチオフ部22b,23bを有している。また、本例の場合、一方の金型22には、表皮材24を予め固定しておくための固定ピン25が設けられている。
【0039】
このような構成の成形金型装置21においては、各金型22,23のピンチオフ部22b,23bが3次元的に屈曲していなくても、固定ピン25がピンチオフ部22よりも突出しているため、樹脂シートを金型22に接するように配置すると、樹脂シートの一部が固定ピン25によって持ち上げられる形となり、隙間が生じて真空吸引の際に空気が漏れてしまう。
【0040】
そこで、このような成形用金型装置21においても、外枠部を形成することが有効である。図8は、表皮材24を固定する固定ピン25を設けた金型22において、外枠部22cを形成した状態を示すものである。外枠部22cは、金型22の外周部分に全周に亘って、また金型22に一体に枠状に形成されるものであり、金型22の突合せ方向において、最も突出して形成されている。すなわち、外枠部22cは固定ピン25の高さよりも高い。また、外枠部22cの枠状の先端面(樹脂シートと接する面)22dは、一平面を構成するように形成されている。すなわち、外枠部22cの高さは全周において一定(同じ)である。
【0041】
前記構成とすることにより、固定ピン25が設置された場合にも、樹脂シートと隙間なく接するようにすることができ、真空吸引により樹脂シートを金型キャビティ面22aに確実に密着させることが可能である。なお、外枠部22cが他方の金型に突き当たるのを防止するために、他方の金型に外枠部22cを収容し得る凹部を形成すること等の構成を採用することは、先の実施形態の場合と同様である。
【符号の説明】
【0042】
1,21 成形用金型装置
2,3,22,23 金型
2a,3a,22a 金型キャビティ面
2b,3b,22b ピンチオフ部
2c,3c,22c 外枠部
2d,3d,22d 先端面
3e 凹部
11,12 樹脂シート
20 樹脂成形品
24 表皮材
25 固定ピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8