(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、増加している板状型マンションは建築面積が広いため、各階での資材搬送においてより長距離間の水平搬送が必要になり、台車の使用必要性が高い。ところが、板状型マンションでは鉄筋コンクリート造の耐震壁で各住戸を区切る場合が多く、このような場合には住戸間での資材の水平搬送が困難である。そこで、各住戸にアプローチ可能なバルコニーを介して資材の水平搬送を行う。
しかしながら、バルコニーは通路幅が狭いうえに床面に勾配が付いているため、例えば特許文献1に開示されている運搬台車の可動支持部を上昇させて被運搬物を含む本体をバルコニーの狭さに合わせることで被運搬物及び本体を通過可能にしても、バルコニー床面の勾配によって被運搬物及び本体が所定の角度以上に傾斜するおそれがあり、その際に運搬台車が転倒する虞がある。また、特許文献1の運搬台車では、走行中に車台の短辺方向へ傾いた場合、アウトリガーに設けられた補助車輪が床面に接触して運搬台車の転倒を防止するとされているが、転倒防止のための補助車輪を備えるアウトリガーの張出部を所定の格納位置に固定ボルトを用いて予め移動させる作業が必要になるという問題がある。そのため、かえって作業員の労力が増えるばかりでなく、格納位置に応じた角度以上に傾斜すれば運搬台車の転倒を防止しきれない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、勾配が付いた床面上を搬送しても転倒せず、被搬送物に応じた搬送前の作業量を軽減する台車を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の台車は、被搬送物が積載される積載部を有する台車本体と、前記台車本体の下面に取り付けられた走行車輪と、前記台車本体の下面に沿って前記走行車輪より前記台車本体の外方に向けて進退可能に設けられたアウトリガーと、前記アウトリガーの先端部に取り付けられた補助車輪と、前記アウトリガーを所望の位置まで案内するアウトリガー案内部と、を備え、走行面が水平である場合、前記補助車輪の下端が前記走行車輪の下端よりも上方に位置し、前記走行面が進行方向に対して直交する水平方向の何れか一方に傾斜している場合、下方に位置する前記アウトリガーが前記アウトリガー案内部によって、前記補助車輪が前記走行面に当接する補助車輪接触位置まで案内されるように構成され
、前記台車本体には係止部が設けられ、前記アウトリガーには前記係止部に係止可能な被係止部が設けられ、前記走行面が進行方向に対して直交する水平方向の何れか一方に傾斜した時に、前記補助車輪接触位置において前記係止部が前記被係止部に係止されることを特徴とする。
【0008】
上記台車によれば、走行面が進行方向に対して直交する水平方向の何れか一方へ傾斜したときに、台車本体が走行面の傾斜に応じて、下方側のアウトリガーが補助車輪接触位置まで自動的に案内されるので、台車本体が下方側の走行車輪とアウトリガーの補助車輪と
によって支持される。
従って、予めアウトリガーを走行車輪よりも台車本体の外方に向けて設置しておかなくても、台車が転倒しない。
また、上記台車によれば、補助車輪接触位置まで進んだアウトリガーの被係止部が台車本体の係止部に係止されることで、アウトリガーの位置が略固定されると共に、アウトリガーに対して走行面からの反力が付され、台車が転倒せず、一対の走行車輪を走行面に接触している元の姿勢(走行面が水平である場合の姿勢)に戻り易くなる。
【0011】
請求項
2記載の台車において、前記台車本体には前記進行方向に直交する水平方向に沿って延在するアウトリガー収容部が設けられ、前記アウトリガー収容部は上板と底板と該上板及び該底板を厚み方向に間隔をあけて連結する連結部とを備え、前記アウトリガーは前記上板と前記底板との間に収容され、前記係止部は前記底板の上面に複数設けられた凹部であり、前記被係止部は前記アウトリガーの基端部の下面に設けられ、前記凹部に収容可能な突起であり、前記アウトリガー案内部は、前記上板と前記底板との間に収容された前記アウトリガーの下面と前記底板の上面との間に設けられた案内用ローラであることを特徴とする。
【0012】
上記台車では、走行面への傾斜、即ち進行方向に対して直交する水平方向の何れか一方への走行面の傾斜に伴い、凹部の内壁面のうち台車本体外側の面(以下、台車本体外側の内壁面)と水平方向とのなす角度が小さくなるので、アウトリガーの突起が台車本体外側の凹部の内壁面を順次乗り越え、アウトリガーが底板の上面に沿って、台車本体外方に向かって案内用ローラによって補助車輪接触位置まで案内される。このようにして、アウトリガーが補助車輪接触位置まで自動的に案内される。一方、水平方向に対する走行面の勾配に伴い、凹部の内壁面のうち台車本体中央側の面(以下、台車本体中央側の内壁面)は鉛直方向に向く、或いは鉛直方向から台車本体外側に傾くので、アウトリガーが補助車輪接触位置まで進むと突起が所定の凹部に収容されるとともに、台車本体中央側の内壁面に係止される。これにより、アウトリガーは補助車輪を介して走行面からの反力を受ける。
従って、上記台車によれば、台車が転倒せず、安定し、さらに一対の走行車輪を走行面に接触させるように元の姿勢に戻り易くなる。
【0013】
請求項
3記載の台車において、前記突起の高さ寸法は、前記アウトリガーの基端部から先端部に向かうに従い増大し、前記凹部の深さ寸法は、前記台車本体の中央側から外側に向かうに従い増大することを特徴とする。
【0014】
上記台車では、突起及び凹部が側面視で所謂くさび状に形成され、上側の面が水平方向に対して上り勾配を有しているので、進行方向に対して直交する水平方向の何れか一方への走行面の傾斜に応じて、台車本体外側の内壁面が台車本体の中央側から外側に向かい、水平方向に対してなす角度が微小になる。そのため、台車本体及びアウトリガー収容部が所定の角度で傾斜した際に、突起が底板の上面(即ち、凹所の底面及び内壁面)に沿って台車本体外方に向けてより迅速に複数の凹部を順次移動し、アウトリガーが補助車輪接触位置まで自動的且つ円滑に案内される。補助車輪接触位置に達したアウトリガーの突起は所定の凹部に収容される。また、底板の傾斜に応じて台車本体中央側の内壁面は水平方向に略垂直な方向から台車本体外側に傾くため、突起におけるアウトリガーの基端側の壁面が台車本体中央側の内壁面に安定して係止される。
従って、上記台車によれば、台車が転倒せず、安定し、さらに一対の走行車輪を走行面に接触させるように元の姿勢に戻り易くなる。
【0015】
請求項
4記載の台車は、
被搬送物が積載される積載部を有する台車本体と、前記台車本体の下面に取り付けられた走行車輪と、前記台車本体の下面に沿って前記走行車輪より前記台車本体の外方に向けて進退可能に設けられたアウトリガーと、前記アウトリガーの先端部に取り付けられた補助車輪と、前記アウトリガーを所望の位置まで案内するアウトリガー案内部と、を備え、走行面が水平である場合、前記補助車輪の下端が前記走行車輪の下端よりも上方に位置し、前記走行面が進行方向に対して直交する水平方向の何れか一方に傾斜している場合、下方に位置する前記アウトリガーが前記アウトリガー案内部によって、前記補助車輪が前記走行面に当接する補助車輪接触位置まで案内されるように構成され、前記台車本体には前記進行方向に対して直交する水平方向に沿って延在するアウトリガー収容部が設けられ、前記アウトリガー収容部は上板と底板と該上板及び該底板を厚み方向に間隔をあけて連結する連結部とを有し、前記連結部の側方に設けられたダンパー部材収容部と、前記ダンパー部材収容部に対して進退可能に設けられたダンパー部材と、を備え、前記アウトリガーは前記ダンパー部材に連結され、前記アウトリガーと前記ダンパー部材との連結部には案内用ローラが設けられ、前記連結部には、前記アウトリガー収容部の端部から前記台車本体の外側に向けて突出する突起が設けられ、前記アウトリガー案内部は前記ダンパー部材であることを特徴とする。
【0016】
上記台車では、走行面が傾斜していないとき(通常走行時)には、案内用ローラが突起における台車本体側の傾斜面に当接し、該傾斜面からの反力を受けて突起に安定して係止され、アウトリガーが上板と底板との間に収容される。走行面が所定の角度で傾斜した際には、突起における台車本体側の傾斜面の水平方向に対してなす角度が小さくなるため、アウトリガーが突起を容易に乗り越えて台車本体外方に向けて移動し、案内用ローラによってアウトリガーが補助車輪接触位置まで自動的に案内される。
従って、上記台車によれば、走行面が傾斜しても台車が転倒せず、補助車輪が走行面に接触し、台車本体が補助車輪及び走行車輪によって安定して支持される。
【0017】
請求項
5記載の台車
において、前記突起の高さ寸法は、該突起の基端部から先端部に向かうに
従い増大していることを特徴とする。
【0018】
上記台車によれば、突起の上側の面が基端部から先端部に向かい、水平方向に対して上り勾配を有しているので、進行方向に対して直交する水平方向の何れか一方への走行面の傾斜に応じて、台車本体外側の内壁面が水平方向に対してなす角度が微小になる。そのため、台車本体及びアウトリガー収容部が所定の角度で傾斜した際に、案内用ローラが突起を容易に乗り越え、アウトリガーが補助車輪接触位置まで自動的且つ円滑に案内される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、アウトリガーを補助車輪接触位置まで効率よく案内することで、勾配の付いた床面上を搬送した際の台車の転倒を防止し、水平搬送前の被搬送物に応じたアウトリガーの位置調整等の作業量を軽減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を適用した台車について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる図面は模式的なものであり、長さ、幅及び厚みの比率等は実際のものと同一とは限らず、適宜変更することができる。
【0024】
また、以下の各実施形態に係る台車については、例えば板状型マンションのバルコニーの床面のように、一部又は全部が水平方向に対して所定の方向に傾斜している床面の上で資材の水平搬送を行う際に使用されることを想定し、説明する。
【0025】
(第一実施形態)
始めに、本発明の第一実施形態に係る台車1Aの構成について説明する。
図1は台車1Aの正面図である。
図2は台車1Aの側面図であり、
図1に示す矢印D1方向から見た図である。
図3は台車1Aの上面図である。
図1に示すように、台車1Aは台車本体4と、台車本体4の下面4bに取り付けられた走行車輪6と、台車本体4の下面4bに沿って走行車輪6より台車本体4の外方に向けて進退可能に設けられたアウトリガー10と、アウトリガー10に取り付けられた補助車輪12と、アウトリガー10を所望の位置まで案内するアウトリガー案内部14と、を備えている。なお、
図1から
図3では、アウトリガー案内部14の図示を省略する。
【0026】
具体的には、台車本体4は土台となる台部16を備えている。台部16には、着脱可能なアタッチメント18,19,26が設けられている。
図3に示すように、台部16は平面視略長方形の概形を有する枠体である。
ここで、
図3における矢印D1方向(即ち、台部16の長手方向)を前後方向として、紙面右側を前側、紙面左側を後側とし、同図の矢印D2方向を横方向として、紙面上側を左側、紙面下側を右側とする。
図1及び
図2に示すように、台部16は台車本体4の下部に配置され、台部16の下面16b(即ち、台車本体4の下面4b)の四隅近傍、及び平面視略長方形の台部16の長手方向の中央近傍には、走行車輪6が取り付けられている。走行車輪6の走行方向は可変とされている。即ち、走行車輪6は自在車輪である。また、走行車輪6を備えるキャスタには、ストッパー機能が付加されている。
【0027】
アタッチメント18は平面視で台部16より一回り大きい略長方形の概形を有する枠体である。アタッチメント18の四隅のうち、台部16への装着時に前後方向に対向する二隅に対応する位置には、有底筒状の管材収容部20が設けられている。また、残りの二隅に対応する位置にも有底筒状の管材収容部27が設けられている。平面視において、管材収容部27同士の前後方向の間隔は、管材収容部20同士の前後方向の間隔よりも大とされている。管材収容部20の内径は、管材17の外径に合わせて設定され、管材収容部20にはそれぞれ、管材17の端部が挿入されている。管材17の軸線は鉛直方向に沿っている。矢印D1方向に沿って対を成す二本の管材17は、矢印D1方向において接続部21によって互いに接続されている。二本の管材17を安定して支持させる観点から、接続部21は二本の管材17のそれぞれの上部に接続されている。
【0028】
アタッチメント18において、台部16への装着時に矢印D1方向において対向し、且つ管材収容部20に管材17が挿入されていない(即ち、右側の)二隅には、
図1及び
図2に示すように、所定の長さ寸法を有する資材支持部23が立設されている。
アタッチメント26は、資材(被搬送物)を立て掛けるための所謂ガイドであり、資材載置部24と、資材載置部24の横方向略中央から垂直に立設された立て掛け部25と、を備えている。なお、
図1から
図3では、資材の図示を省略する。
そして、アタッチメント26は、資材載置部24を資材支持部23の上端と台部16の左側端部とに跨らせ、立て掛け部25の上端部を管材17の上端部に当接させるように設置されている。立て掛け部25の上端部と管材17の上端部は溶接等により接着されている。即ち、資材載置部24は右側から左側に向かうに従って下降するように、水平方向に対して傾斜している。また、立て掛け部25は下側から上側に向かうに従って鉛直方向から離れるように傾斜している。資材載置部24の上面24a及び立て掛け部25の右側の側面25cは資材Bが積載される積載部2(
図5参照)を構成している。
【0029】
アタッチメント19はアタッチメント18よりも上方に配置され、台部16に装着されている。また、アタッチメント19の前端部及び後端部には、接続部22を介して、アウトリガー収容部28A,28Bが接続されている。そして、アウトリガー収容部29Aが前側のアウトリガー収容部28Aに当接し、アウトリガー収容部29Bが後側のアウトリガー収容部28Bの後方に当接している。アウトリガー収容部28A,28B,29A,29Bはそれぞれ長尺に形成され、台部16の短手方向(即ち、横方向であって、矢印D2方向)に対して平行している。
【0030】
図4は、台車1Aの後部を拡大して示した部分断面図である。
図5は、積載部2に資材Bを複数積載した台車1Aの側面図であり、
図1に示す矢印D1方向から見た部分断面図である。
図4及び
図5に示すように、アウトリガー収容部28Bは上板30と、下板(底板)31と、側板(連結部)32,33,34とを備え、中空部28sを形成している。アウトリガー収容部28Bの右側の端部は側板34によって閉塞されているが、アウトリガー収容部28Bの左側の端部は開口し、開口部36が形成されている。
【0031】
図5に示すように、アウトリガー収容部28Bの中空部28s(即ち、上板30と下板31との間)には、アウトリガー10Bが収容されている。なお、
図5では、アウトリガー10Bの挙動をわかりやすく示すために、アウトリガー収容部29B及びアウトリガー収容部29Bに収容されているアウトリガー10A(
図3参照)の図示を省略する。
【0032】
アウトリガー収容部28Bの開口部36近傍の上板30と側板32,33の内面には、矢印D2方向に沿って所望の間隔をあけて複数のシムプレート35が設けられている。アウトリガー収容部28Bの開口部36近傍の下板31の内面には、案内用ローラ38が設けられている。案内用ローラ38には、例えばシムローラが用いられる。案内用ローラ3は、アウトリガー案内部14として機能する。
【0033】
アウトリガー10Bは長尺な棒状部材である。アウトリガー10Bは、鉛直方向において上板30に設けられたシムプレート35と案内用ローラ38との間に支持され、且つ前後方向(即ち、矢印D1方向)において側板32,33に設けられたシムプレート35同士の間に支持されることで、下板31、側板(連結部)32,33に対して間隔をあけて位置決めされている。そして、アウトリガー10Bはシムプレート35及び案内用ローラ38にガイドされ、開口部36から進退可能とされている。
ここで、台車本体4の下面4bに沿うアウトリガー10Bの進退方向において、予めアウトリガー収容部28Bに収容されている右側の端部を基端部10pとし、アウトリガー収容部28Bから突出している左側の端部を先端部10qとする。
【0034】
案内用ローラ38の設置位置よりも右側の下板31の内面には、互いに間隔をあけて突起40が複数設けられている。矢印D2方向に沿って、これらの突起40の間に凹部(係止部)41が形成されている。突起40は側面視(矢印D1方向から見て)略楔形に形成され、突起40の高さ寸法は下板31の内面の右側から左側に向かうに従い増大している。これに伴い、凹部41の深さ寸法は下板31の内面の右側から左側に向かうに従い減少している。
【0035】
アウトリガー10Bの基端部10pの下面10bには、突起(被係止部)42が設けられている。突起42は側面視(矢印D1方向から見て)略逆楔形に形成され、突起42の高さ寸法はアウトリガー10Bの基端部10pから先端部10qに向かうに従い減少している。
突起40及び下板31の上面(即ち、中空部28s側の面)、突起42の下面、案内用ローラ38の周面の各々の摩擦係数は低く設定されている。
【0036】
アウトリガー10Bの先端部10qには貫通孔46が形成され、貫通孔46の内周面には雌めじが形成されている。この雌ねじに螺合可能な雄ねじが形成されたスクリュージャッキ48が貫通孔46に挿通されている。スクリュージャッキ48の上端には貫通孔46に対するスクリュージャッキ48の挿通位置を調節するためのハンドルが設けられている。スクリュージャッキ48の下端には補助車輪12が取り付けられている。補助車輪12の走行方向は可変とされ、接地した際に円滑に走行するように構成されている。
図5に示すように、台車1Aが水平姿勢で載置されている場合及び走行面Pが水平である場合、スクリュージャッキ48のハンドルによって、補助車輪12の下端は走行車輪6の下端よりも上方に位置し、走行面Pに接触しないように設定されている。
【0037】
図4に示すように、アウトリガー収容部29Bはアウトリガー収容部28Bを左右に反転させた構成とされ、アウトリガー収容部29Bの構成要素についてはアウトリガー収容部28Bの構成要素と同一であれば同一の符号を付すと共に、その説明を省略し、アウトリガー収容部28Bの構成要素と異なる点について次に説明する。
【0038】
アウトリガー収容部29Bの左側の端部は側板34によって閉塞されているが、アウトリガー収容部28Bの右側の端部は開口し、開口部36が形成されている。アウトリガー収容部29Bの中空部29sにはアウトリガー10Aが収容されている。
図示していないが、アウトリガー収容部29Bの下板31の内面にも、互いに間隔をあけて突起40が複数設けられている。突起40は側面視(矢印D1方向から見て)略楔形に形成されているが、アウトリガー収容部28Bの場合とは反対に、突起40の高さ寸法は下板31の内面の左側から右側に向かうに従い増大している。これに伴い、凹部41の深さ寸法は下板31の内面の左側から右側に向かうに従い減少している。
【0039】
矢印D2方向におけるアウトリガー収容部29Bの長さ寸法は、同方向におけるアウトリガー収容部28Bの長さ寸法よりも小とされている。
アウトリガー収容部28Bには、アウトリガー10Bと同様の構成を備えるアウトリガー10Aが収容され、アウトリガー10Aはシムプレート35及び案内用ローラ38にガイドされ、開口部36から右方向に対して進退可能とされている。
【0040】
さらに、
図3を参照するとわかるように、台車本体4の前方に配されたアウトリガー収容部28Aは上記説明したアウトリガー収容部28Bと同一の構成要素を備え、アウトリガー収容部28Aの中空部28sにはアウトリガー10Bが収容されている。また、アウトリガー収容部29Aは上記説明したアウトリガー収容部29Bと同一の構成要素を備え、アウトリガー収容部29Aの中空部29sにはアウトリガー10Aが収容されている。
【0041】
次に、上述した台車1Aの使用方法及びアウトリガー10A,10Bの動作について説明する。
図6から
図9は、積載部2に資材Bを複数積載し且つ搬送中の台車1Aの側面図であり、
図1に示す矢印D1方向から見た部分断面図である。
【0042】
先ず、
図5に示すように、台車本体4の積載部2に資材Bを積載する。この際、複数の資材Bの下側側面を資材載置部24の上面24aに当接させ、複数の資材Bの背面を立て掛け部25の右側の側面25cに向けて互いに当接させることで、複数の資材Bを安定させる。これにより、複数の資材Bは鉛直方向に対して左側に傾いた状態で積載される。
【0043】
次に、台車1Aの前後方向を走行方向(
図5に示す矢印D1方向)に対して略平行とし、走行面Pが傾斜した際に下方になる方に資材Bが傾斜するように台車1Aの向きを合わせる。そして、資材Bを支えつつ、台車1Aを前方に押し出し、走行車輪6を走行面Pに沿って走行させる。この際、アウトリガー10A,10Bの突起42はそれぞれ、アウトリガー収容部28A,28B,29A,29Bの複数の凹部41のうち何れかの凹部41内に係止されている。このように走行面Pが水平である場合、補助車輪12の下端が走行車輪6の下端よりも上方に位置している。
【0044】
続いて、
図6に示すように、床勾配が生じ、走行面Pが進行方向に対して直交する水平方向(即ち、矢印D2方向及びその反対方向)の何れか一方(矢印D2方向の反対方向)に角度θで傾斜すると、台車1Aが傾斜し、資材Bの荷重が左側(即ち、走行面PLの下降側)にかかり、その反対側、即ち右側の走行車輪6が走行面Pから離間する。これにより、アウトリガー収容部28A,28Bの水平方向に対する傾斜角度が増大する。アウトリガー収容部28A,28Bの凹部41の突起係止面41g(即ち、突起40の上面40a)及びアウトリガー10Bの突起42の被係止面42bが水平方向に対して略平行になると、突起42及びアウトリガー10Bの左方向への進行を妨げるものがなくなり、突起42と凹部41との係止が解除される。さらに、傾斜角度が増大すると、突起42の左方向への移動を妨げるものがなくなり、突起42が案内用ローラ38によって複数の凹部41に沿って滑るように左方向へと移動する形で案内され、アウトリガー10Bが左側の走行車輪6より台車本体4の左側(即ち、台車本体4の外方)に進行し、
図7に示すように補助車輪12の下端が走行面Pに接触する補助車輪接触位置Qまで進行する。
【0045】
アウトリガー10Bが補助車輪接触位置Qまで案内されると、走行面Pに接触した補助車輪12の姿勢は走行方向に合わせられるとともに、走行面Pからの反力を受けるので、
図8に示すように、アウトリガー10Bがアウトリガー収容部28A,28Bの中空部28s内へと右方向に退行する力が発生する。そして、凹部41の突起係止面41h(即ち、突起40の上面40c)にアウトリガー10Bの突起42の被係止面42cが接触するので、突起42が所定の凹部41に係止され、アウトリガー10Bの退行が妨げられ、位置決めされる。これにより、台車本体4及び資材Bは左側の走行車輪6と進行したアウトリガー10Bの補助車輪12とによって支持され、台車1Aの姿勢は安定する。補助車輪12及びスクリュージャッキ48は再び走行面Pからの反力を受けるので、台車1Aが走行面Pの傾斜前の姿勢、即ち横方向の走行車輪6が全て走行面Pに接触している状態になる。
【0046】
この後、走行面Pの勾配に合わせて上記のように台車1Aを資材Bの目的場所まで動かす。
【0047】
以上説明したように、第一実施形態の台車1Aによれば、走行面Pが進行方向に対して直交する水平方向の何れか一方に傾斜した場合、走行面Pの傾斜に応じて、下方側のアウトリガー10A,10Bが補助車輪接触位置Qまで自動的に案内されるので、台車本体4が下方側の走行車輪6とアウトリガー10A,10Bの補助車輪12とによって支持される。また、補助車輪12が傾斜した走行面Pから受ける反力、によって、自動的に且つスムーズに台車1Aが水平姿勢に戻り易くなる。
従って、予めアウトリガー10A,10Bを走行車輪6よりも台車本体4の外方に向けて伸ばしておかなくても、台車1Aの転倒を効率よく防止することができる。
【0048】
また、第一実施形態の台車1Aによれば、補助車輪接触位置Qまで案内されたアウトリガー10A,10Bの突起42の被係止面42cが台車本体4の凹部41の突起係止面41hに係止されることで、アウトリガー10A,10Bの位置を安定させると共に、アウトリガー10A,10Bに対して傾斜した走行面Pからの反力が付加され、台車1Aを転倒させずに、横方向の走行車輪6,6を走行面Pに接触させている元の姿勢(走行面Pの傾斜前の水平姿勢)に戻り易くすることができる。
【0049】
また、第一実施形態の台車1Aによれば、走行面Pの傾斜に伴い、凹部41の内壁面のうち台車本体4外側の突起係止面41g(即ち、台車本体外側の内壁面)と水平方向とのなす角度が小さくなるので、アウトリガー10A,10Bの被係止部である突起42が台車本体外側の内壁面を順次乗り越え、アウトリガー10A,10Bが案内用ローラ38及び下板31の上面に沿って台車本体4の外方に向かって補助車輪接触位置Qまで移動する。このようにして、アウトリガー10A,10Bが補助車輪接触位置Qまで自動的に且つ効率よく案内される。
一方、水平方向に対する台車1Aの傾斜に伴い、凹部41の突起係止面41gは略鉛直方向に向く、或いは鉛直方向から台車本体4の横方向外側に傾くので、アウトリガー10A,10Bが補助車輪接触位置Qまで伸びると突起42が所定の凹部41内に収容されるとともに、台車本体4の横方向中央側の突起係止面41hに係止される。これにより、アウトリガー10A,10に対して補助車輪12を介して走行面Pからの反力を付与することができる。
従って、台車1Aによれば、走行面Pが傾斜しても転倒せず、安定し、さらに横方向における一対の走行車輪6,6を走行面Pに接触させるように水平姿勢に戻り易くすることができる。
【0050】
また、第一実施形態の台車1Aによれば、突起42及び凹部41が側面視で所謂くさび状に形成されているので、水平方向に対する下板31の傾斜に応じて、突起42の被係止面42b及び凹部41の突起係止面41gが水平方向に対してなす角度が極めて小さくなる。そのため、突起42が凹部41の突起係止面41gに沿ってアウトリガー収容部28B,29Bの外方(即ち、台車本体4の外方)に向けてより迅速に凹部41を乗り越え、アウトリガー10A,10Bが補助車輪接触位置Qまで自動的且つ円滑に案内される。補助車輪接触位置Qまで案内されたアウトリガー10A,10Bの突起42の被係止面42cが凹部41の突起係止面41hに安定して係止される。
従って、台車1Aによれば、走行面Pの勾配が生じても転倒せず、安定し、水平姿勢に戻り易くすることに加え、より迅速に且つ円滑にアウトリガー10A,10Bを補助車輪接触位置Qまで案内することができる。
【0051】
なお、上述のように台車1Aのアウトリガー10A,10Bを補助車輪接触位置Qまで迅速に且つ円滑に案内することができれば、突起42及び凹部41の形状は側面視で略くさび形及び略逆くさび形に限定されず、例えば下底よりも上底の寸法が小とされた台形等の適当な形状に変更してもよい。
また、アウトリガー10Bの下板31に突起40が設けられず、下板31の内面の摩擦係数が極力減じられ、矢印D1方向に沿って該内面に複数の凹部41が直接形成されていてもよい。
【0052】
(第二実施形態)
次いで、本発明の第二実施形態に係る台車1Bの構成について説明する。
図10は台車1Bの後部を拡大して示した上面図である。
図11は積載部2に資材Bを複数積載した台車1Bの下部の側面図であり、
図10に示す矢印D1方向から見た図である。
図12から
図14は、積載部2に資材Bを複数積載し且つ搬送中の台車1Bの側面図であり、矢印D1方向から見た図である。なお、台車1Bの構成要素については台車1Aの構成要素と同一であれば同一の符号を付すと共に、その説明を省略し、台車1Aの構成要素と異なる点について次に説明する。
【0053】
台車1Bでは、
図10に示すように、アウトリガー収容部28A,28Bの側板32,33の各々の側方には、ダンパー部材収容部51が設けられている。また、アウトリガー収容部29A,29Bの側板32,33の各々の側方には、ダンパー部材収容部52が設けられている。ダンパー部材収容部51の右側の端部及びダンパー部材収容部52の左側の端部は閉塞されているが、ダンパー部材収容部51の左側の端部及びダンパー部材収容部52の右側の端部は開口している。
【0054】
ダンパー部材収容部51は中空部51sを有し、中空部51sにはダンパー部材53が収容されている。同様に、ダンパー部材収容部52は中空部52sを有し、中空部52sにはダンパー部材54が収容されている。
ダンパー部材53はダンパー部材収容部51に対して進退可能に設けられ、具体的には左方向に進出又は右方向に退出可能に設けられている。ダンパー部材54はダンパー部材収容部52に対して進退可能に設けられ、具体的には右方向に進出又は左方向に退出可能に設けられている。
【0055】
アウトリガー10Bはダンパー部材53に連結されている。アウトリガー10Bとダンパー部材53とを連結するダンパー部材連結部55には、案内用ローラ38が設けられている。同様に、アウトリガー10Aはダンパー部材54に連結されている。アウトリガー10Aとダンパー部材54とを連結するダンパー部材連結部56には、案内用ローラ38が設けられている。
【0056】
アウトリガー収容部28Bの開口部36側(即ち、左側)の端部には、この端部から台車本体4の外側に向けて突出する突起43が設けられている。突起43は、案内用ローラ38の移動可能な軌跡に沿って配置され、アウトリガー収容部28Bの開口部36の下板31の左右方向を中心とする側端部から左方向に突出している。突起43の高さ寸法は、突起43の基端部(即ち、アウトリガー収容部28Bに近接する右側部分)から先端部(即ち、アウトリガー収容部28Bから離間した左側部分)に向かうに従い増大している。
図11に示すように、側面視において、突起43の底端縁は台車本体4の下面4bに平行し、突起43の上端縁はアウトリガー収容部28Bから離間する程高くなり、上り勾配となるように形成されている。
【0057】
図10に示すように、アウトリガー収容部29Bの開口部36側(即ち、右側)の端部には、この端部から台車本体4の外側に向けて突出する突起44が設けられている。突起44は、案内用ローラ38の移動可能な軌跡に沿って配置され、アウトリガー収容部28Bの開口部36の下板31の左右方向を中心とする側端部から右方向に突出している。突起43の高さ寸法は、突起43の基端部(即ち、アウトリガー収容部29Bに近接する左側部分)から先端部(即ち、アウトリガー収容部29Bから離間した右側部分)に向かうに従い増大している。
図11に示すように、側面視において、突起44の底端縁は台車本体4の下面4bに平行し、突起44の上端縁はアウトリガー収容部28Bから離間する程高くなり、上り勾配となるように形成されている。
【0058】
台車本体4の前方に配されたアウトリガー収容部28Aは、上記説明したアウトリガー収容部28Bと同一の構成要素を備え、アウトリガー収容部28Aの中空部28sにはアウトリガー10Bが収容されている。また、アウトリガー収容部29Aは上記説明したアウトリガー収容部29Bと同一の構成要素を備え、アウトリガー収容部29Aの中空部29sにはアウトリガー10Aが収容されている。
【0059】
次に、上述した台車1Bの使用方法及びアウトリガー10A,10Bの動作について説明する。
【0060】
走行面Pが進行方向に対して直交する水平方向の何れか一方に角度θで傾斜しておらずに台車1Bを水平走行させる方法は、第一実施形態の台車1Aと同様であるため、その説明を省略する。
なお、走行面Pが水平である際には、
図11に示すように、案内用ローラ38が突起43のアウトリガー収容部28B側の面(即ち、突起43の上端縁)とアウトリガー収容部28Bの開口部36側の側板32,33の端面とによって係止されている。
【0061】
図12に示すように、床勾配が生じ、走行面Pが進行方向に対して直交する水平方向の何れか一方に角度θで傾斜すると、台車1Bが傾斜し、資材Bの荷重が左側(即ち、走行面Pの下降側)にかかり、その反対側、即ち右側の走行車輪6が走行面Pから離間する。これにより、突起43の上端縁が水平方向に対して近づき、略平行になると、案内用ローラ38、及びアウトリガー10Bの左方向への進行を妨げるものがなくなり、案内用ローラ38に対する係止が解除される。さらに、傾斜角度が増大すると、ダンパー部材53が左方向へと進出し、それに連動してアウトリガー10Bが台車本体4の左側(即ち、台車本体4の外方)に進出し、
図14に示すように補助車輪12の下端が走行面Pに接触する補助車輪接触位置Qに達する。
【0062】
アウトリガー10Bが補助車輪接触位置Qまで案内されると、走行面Pに接触した補助車輪12の姿勢は走行方向に合わせられるとともに、台車1Bは走行面Pからの反力を受けるので、台車1Aの姿勢は安定する。また、走行面Pからの反力を受けるので、台車1Bが走行面Pの傾斜前の姿勢、即ち横方向の走行車輪6,6が全て走行面Pに接触している状態になる。
【0063】
この後、走行面Pの勾配に合わせて台車1Bを資材Bの目的場所まで動かす。
【0064】
以上説明したように、第二実施形態の台車1Bによれば、走行面Pが進行方向に対して直交する水平方向の何れか一方に傾斜した場合、走行面Pの傾斜に応じて、下方側のアウトリガー10A,10Bが補助車輪接触位置Qまで自動的に案内されるので、台車本体4が下方側の走行車輪6とアウトリガー10A,10Bの補助車輪12とによって支持される。また、補助車輪12が傾斜した走行面Pから受ける反力によって、自動的に且つスムーズに台車1Aが水平姿勢に戻り易くなる。
従って、第一実施形態の台車1Aと同様に、予めアウトリガー10A,10Bを走行車輪6よりも台車本体4の外方に向けて伸ばしておかなくても、台車1Aの転倒を効率よく防止することができる。
【0065】
また、第二実施形態の台車1Bによれば、走行面Pが水平である際には、案内用ローラ38が突起43とアウトリガー収容部28Bの開口部36側の側板32,33の間の空間に係止され、走行面Pの傾斜に伴い、突起43のアウトリガー収容部28B側の面と水平方向とのなす角度が小さくなるので、案内用ローラ38が突起43を乗り越え、アウトリガー10A,10Bが下板31の上面に沿って台車本体4の外方に向かって補助車輪接触位置Qまで移動する。このようにして、アウトリガー10A,10Bを補助車輪接触位置Qまで自動的に且つ効率よく案内することができる。
【0066】
また、第二実施形態の台車1Bでは、突起43が側面視で所謂くさび状に形成されているので、水平方向に対する下板31の傾斜に応じて、突起43のアウトリガー収容部28B側の面が水平方向に対してなす角度が極めて小さくなる。そのため、案内用ローラ38が突起43を容易に乗り越え、アウトリガー10A,10Bが補助車輪接触位置Qまで自動的且つ円滑に案内される。
従って、台車1Bによれば、走行面Pの勾配が生じても転倒せず、安定し、より迅速に且つ円滑にアウトリガー10A,10Bを補助車輪接触位置Qまで案内することができる。
【0067】
なお、上述のように台車1Bのアウトリガー10A,10Bを補助車輪接触位置Qまで迅速に且つ円滑に案内することができれば、突起43の形状は側面視で略くさび形に限定されず、例えば下底よりも上底の寸法が小とされた台形等の適当な形状に変更してもよい。
また、
図10から
図14には単体の突起43及び突起44(即ち、アウトリガー10Aに設けられている突起)を例示しているが、突起43,44は左右方向に沿って複数連設されていてもよい。このような構成によれば、左右方向に隣接する突起43の間の凹部が係止部として機能し、案内用ローラ38が被係止部として機能する。従って、第一実施形態の台車1Aと同様に、アウトリガー10A,10Bが補助車輪接触位置Qまで伸びると、案内用ローラ38が所定の突起43間及び突起44間に収容されるとともに、突起43,44の上面に係止される。これにより、アウトリガー10A,10Bに対して補助車輪12を介して走行面Pからの反力を付与することができる。即ち、走行面Pが傾斜しても台車1Bの転倒を防ぎ、安定させ、さらに横方向における一対の走行車輪6,6を走行面Pに接触させるように水平姿勢に戻り易くさせることができる。
【0068】
(第三実施形態)
次いで、本発明の第三実施形態に係る台車1Cの構成について説明する。
図15は積載部2に資材Bを複数積載した台車1Cの正面図である。
図16は積載部2に資材Bを複数積載した台車1Cの側面図であり、
図15に示す矢印D1方向から見た図である。
図17は台車1Cの上面図である。
図18は積載部2に資材Bを複数積載し且つ搬送中の台車1Cの側面図であり、矢印D1方向から見た図である。なお、台車1Cの構成要素については台車1A,1Bの構成要素と同一であれば同一の符号を付すと共に、その説明を省略し、台車1A,1Bの構成要素と異なる点について次に説明する。
【0069】
図17に示すように、台車1Cは、走行面Pが進行方向に対して直交する水平方向(即ち、矢印D1方向に平行する方向)において走行車輪6より台車本体4の外方に向けて延出されたアウトリガー10Cと、アウトリガー10Cの各先端部に取り付けられた補助車輪12と、アウトリガー10Cの各先端部と補助車輪12との間隔を調整可能な高さ調節部50と、を備えている。
【0070】
台車1Cでは、アタッチメント19は、二つの管材収容部20及び二つの管材収容部27に収容可能な脚部58を有している。接続部22は四つの脚部58の各々に設けられ、これらの脚部58から台車本体4の外方(即ち前方向又は後方向)に延びている。また、アタッチメント26の資材載置部24の資材支持部23は、アタッチメント19の前部及び後部それぞれの管材収容部20と管材収容部27とに跨って設けられている。管材17と立て掛け部25との接合部付近には、作業者の指が挟まれることを防止するためのリブが設けられている。二本の管材17同士の間には接続部21は設けられていない。なお、第一実施形態の台車1Aと同様に、二本の管材17同士の間に接続部21が設けられていても構わない。
【0071】
アウトリガー10Cは、接続部22に接続されることで固定され、台車本体4の平面視短辺に略平行するように延在している。管材収容部27付近のアウトリガー10Cの基端部(即ち、右側の端部)10p付近には、静止時に台車1Cを走行面Pに固定させておくためのストッパーが設けられている。アウトリガー10Cの先端部(即ち、左側の端部)10qは、少なくとも走行方向の左側の走行車輪6よりも台車本体4の外方に向けて突出している。
アウトリガー10Cの先端部には、平板状の高さ調節部50が設けられている。高さ調節部50には、例えばライナー機構を用いることができる。なお、高さ調節部50として、バネや弾性素材を有することで後述するように補助車輪12の下端が走行面Pに当接してから走行面Pからの反力を吸収可能なものを用いてもよく、台車1Cを走行させる前にアウトリガー10Cと補助車輪12との間隔を調整可能なペダル式高さ調節機構等を用いてもよい。高さ調節部50の下面には、補助車輪12が固定されている。
【0072】
次に、上述した台車1Cの使用方法について説明する。
【0073】
走行面Pが進行方向に対して直交する水平方向の何れか一方に角度θで傾斜しておらずに台車1Cを水平走行させる方法は、第一実施形態の台車1Aと同様であるため、その説明を省略する(
図16参照)。
【0074】
図18に示すように、床勾配が生じ、走行面Pが進行方向に対して直交する水平方向の左側に角度θで傾斜すると、台車1Cが傾斜し、資材Bの荷重が左側(即ち、走行面Pの下降側)にかかり、その反対側、即ち右側の走行車輪6が走行面Pから離間する。傾斜角度が補助車輪12の下端の位置に応じた角度になると、補助車輪12の下端が走行面Pに接触する。つまり、台車1Cでは、長さ寸法が所定値に固定されたアウトリガー10Cの補助車輪接触位置Qに予め補助車輪12が設けられている。
【0075】
以上説明したように、第三実施形態の台車1Cによれば、補助車輪12が補助車輪接触位置Qまで案内され、高さ調節部50によってアウトリガー10Cの各先端部と補助車輪12との間隔が調整可能となるので、走行面Pが進行方向に対して直交する水平方向の左側に傾斜しても、台車本体4が下方側の走行車輪6と補助車輪12とによって支持される。また、補助車輪12が傾斜した走行面Pから受ける反力によって、自動的に且つスムーズに台車1Cが水平姿勢に戻り易くなる。
従って、台車1Cは床勾配に柔軟且つ好適に対応する。また、第一実施形態の台車1Aと同様に、台車1Cの転倒を容易に且つ効率よく防止することができる。
【0076】
なお、
図15から
図18には、アウトリガー10Cの左側のみに高さ調節部50及び補助車輪12が設けられた構成を例示しているが、アウトリガー10Cの延在方向を中心として側方にアウトリガー10Cと同様のアウトリガーが設けられ、そのアウトリガーの右側の先端部に高さ調節部50及び補助車輪12が設けられていてもよい。
【0077】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変更が可能である。
また、上述の各実施形態の構成は複数組み合わせてもよい。
【0078】
例えば、走行車輪6は台部16の下面16bの少なくとも四隅近傍に設けられていることが好ましいが、資材Bを積載部2に安定させて搬送することができれば、台部16の下面16bに取り付けられる位置や数は任意に設定されてもよい。
また、資材支持部23の鉛直方向の高さ寸法は調整可能とされてもよい。
また、アタッチメント18,19,26が着脱可能ではなくてもよく、台車本体4において台部16とアタッチメント18,19,26とが一体化されていてもよい。