【実施例1】
【0031】
図1〜5において本発明に係る燃焼用木材1は、軸線2が縦方向である柱状をなす木材本体3の下部5で、該木材本体3の外側面6で開口して軸線7が横方向である盲の横燃焼孔9が設けられている。そして該木材本体3の中央部分乃至その周辺部分には、該木材本体3の上端面10で開口し且つ縦方向に延長して前記横燃焼孔9に下端で連通する内側縦燃焼孔11の複数本が設けられている。又、該木材本体3の外縁側12に、該木材本体3の前記上端面10で開口し且つ縦方向に延長する外側縦燃焼孔13が設けられており、該外側縦燃焼孔13は前記横燃焼孔9に連通していない。本実施例においては、該外側縦燃焼孔13の下端15は、
図3〜5に示すように、前記横燃焼孔9の上端16よりも10〜30mm、上側に位置されている。そして、かかる構成の燃焼用木材1を燃焼させるに際しては、前記木材本体3の前記横燃焼孔9及び前記上端面10の側に着火材32を配置し、該着火材2に着火する。
【0032】
該燃焼用木材1をより具体的に説明すれば以下の通りである。前記木材本体3は本実施例においては、製材所や木材のプレカット工場で排出される端材を活用してなり、例えば、檜や杉の柱材や梁材等の端材を用いてなる。該木材本体3は、例えば
図1〜2に示すように、平面視で正方形状を呈し且つ軸線が縦方向である角柱状に形成されており、その正方形の一辺の長さは例えば105mm程度でありその高さは例えば200mm程度である。そして、該木材本体3の長さを200mm程度に設定しているため、前記内側縦燃焼孔11や前記外側縦燃焼孔13の穿孔の容易化が図られると共に、該木材本体3の持ち運びも容易である。
【0033】
そして、角柱状を呈する該木材本体3には、
図3に示すように、その下部5において、一つの外側面6aで開口し且つ該木材本体3の内部に向けて(該一つの外側面6aと対向する外側面6bに向けて)横方向に延長する盲孔としての前記横燃焼孔9が設けられている。該横燃焼孔9の径は例えば55mm程度に設定されると共に、その横方向での長さは例えば85mm程度に設定されている。従って本実施例においては、該横燃焼孔9の奥端19と、前記対向する外側面6bとの間の距離は20mm程度に設定されている。又、該横燃焼孔9の下端20と前記木材本体3の下端21との間の距離は例えば35mm程度に設定されている。
【0034】
又該木材本体3には、
図1〜4に示すように、その中央部分で縦方向に(本実施例においては該木材本体3の軸線2に沿って)、前記内側縦燃焼孔(以下、第1の内側縦燃焼孔11aともいう)11が設けられると共に、その周辺部分22にも、該第1の内側縦燃焼孔11aを中心とする略同一の円周上において、前記内側縦燃焼孔(以下、第2の内側縦燃焼孔11bともいう)11が略等角度ピッチで4〜10本設けられている。本実施例においては8本設けられている。本実施例においては、該第1の内側縦燃焼孔11aの径と該第2の内側縦燃焼孔11bの径は等しく設定され、該第2の内側縦燃焼孔11bは正八角形の各頂点に配置されている。
【0035】
そして、該第1の内側縦燃焼孔11aの径と該第2の内側縦燃焼孔11bの径は例えば13mm程度とされ、周方向で隣り合う第2の内側縦燃焼孔11b,11b間には例えば5mm程度の厚さの壁部23(
図2)が設けられると共に、前記第1の内側縦燃焼孔11aとこれに隣り合う各第2の内側縦燃焼孔11bとの間には例えば10mm程度の厚さの壁部25(
図2)が設けられている。そして、該第1の内側縦燃焼孔11aと該第2の内側縦燃焼孔11bの全ては、
図3〜4に示すように、その下端26,26で前記横燃焼孔9に連通している。
【0036】
又本実施例においては
図3〜5に示すように、前記木材本体3の前記外縁側(本実施例においては四隅部分27,27,27,27)において、前記上端面10で開口し且つ縦方向に延長する有底の前記外側縦燃焼孔13が設けられている。該外側縦燃焼孔13の全ては、前記横燃焼孔9に連通していない。本実施例においては、該外側縦燃焼孔13の下端15は前記のように、前記横燃焼孔9の上端16よりも10〜30mm、上側に位置されている。本実施例においては例えば20mm程度、上側に位置されている。
【0037】
本発明者の実験によれば、前記木材本体3が前記サイズに構成されている場合、該上側に位置させる量が10mmよりも短いと、前記横燃焼孔9内での前記燃焼によって拡大した該横燃焼孔9が前記外側縦燃焼孔13に連通するまでの時間が短くなって木材本体3の燃焼時間が短くなるために好ましくない。又、該量が30mmよりも長いと、前記木材本体3の前記四隅部分27,27,27,27が燃え残り易くなるために好ましくない。
【0038】
次に、かかる構成を有する燃焼用木材1の燃焼状態について説明する。
図6は、該燃焼用木材1を支持台30上に載置して燃焼させる場合を示しており、前記横燃焼孔9の下端部分20に着火材32を載置する(この載置する状態は、該着火材32を前記横燃焼孔9に配置した場合の一態様)と共に、前記上端面10上の、隣り合う前記外側縦燃焼孔13,13間の中間部分に同様の着火材32を載置した状態(該着火材32を前記上端面10の側に配置した状態)を示している。この状態で、これらの着火材32に着火する。前記横燃焼孔9内の着火材32aには、その燃焼に必要な空気が該横燃焼孔9の開口端35から順次供給されるので、該着火材32aは立ち消えすることなく燃焼を継続できる。これらの着火材32としては、例えば、おがくずをロウで固めたもの等、簡易に着火させ得る各種のものを用いることができる。
【0039】
そして前記内側縦燃焼孔11の全ては、その下端26で前記横燃焼孔9に連通されているため(
図3〜4)、該横燃焼孔9内の前記着火材32aの燃焼に伴って生じた熱気は、夫々の前記内側縦燃焼孔11の内周面37を加熱しながら上昇する。熱気が、このように該内周面37を加熱しながら上昇する結果、全ての該内側縦燃焼孔11の該内周面37から燃焼ガスが継続して発生することとなる。燃焼ガスを発生させる該内周面37の合計面積は該内側縦燃焼孔11の本数に応じて増大するため、多量の燃焼ガスを発生させることができるのである。そして、このように発生した多量の燃焼ガスは、前記上端面10に集まる。該上端面10に集まった燃焼ガスは、
図7に示すように、これに酸素が供給され且つ前記着火材32bが燃焼状態にあるために容易に着火され、炎38が一つに纏まって太く、恰もろうそくの炎のように良好に燃える。従って該炎は立ち消えしにくく、燃焼の初期段階においても強い火力が得られる。
【0040】
このように前記燃焼用木材1によるときは、燃焼の初期段階(例えば燃焼開始から10分間程度)においても、ほとんど煙を発生させることなく燃焼を行わせて火力が得られる経済性がある。
【0041】
ところで、この初期段階における炎は、前記上端面10で生じているものではなく該上端面10から稍浮き上がった状態のものであり、該上端面10を焦がす程度のものであって該上端面10を発火させるほどのものではない。かかる燃焼ガスの燃焼は、ある程度に燃焼が進んだ段階になると、前記着火材32bが燃え尽きたとしても良好に継続される。
【0042】
この点について、特許文献1に係る技術との対比を行う。特許文献1に係る技術は前記したように、前記横穴gに連通する縦穴dは、前記木材本体bの上端面cの略中心を通って該木材本体bの内部に向かう1本のみであった。そのため、燃焼ガスの発生源となる該縦穴dの内周面kの面積が小さく、それ故、燃焼の初期段階における燃焼ガスの発生量が少なかった。従って、前記上端面cで排出された燃焼ガスは着火しにくく、煙をもくもくと発生させた。又該燃焼ガスが燃焼状態にあっても、その炎が細く、横風の影響を受けてこれが立ち消えし易すかった。このように特許文献1に係る前記燃焼用木材によるときは、初期段階における燃焼が良好に行われ難い問題があったのである。これに対して本発明にあっては、前記のように、前記横燃焼孔9に連通する内側縦燃焼孔11の本数が複数本であるため、燃焼ガスの発生源となる前記内周面37の全体としての面積が大きい。それ故、前記のように、発生する燃焼ガスの量が多く、従って、前記上端面10から排出された燃焼ガスは着火し易く、炎が太く立ち消えも生じにくい。これによって、燃焼の初期段階においても強い火力が得られるのである。
【0043】
そして、かかる燃焼ガスの燃焼が継続するうちに、前記横燃焼孔9の内面が発火して燃焼し始め、該横燃焼孔9の内周面37(
図3〜4)が該燃焼によって拡大していく。それに伴い、隣り合う内側縦燃焼孔11,11間(前記第1の内側縦燃焼孔11aと前記第2の内側縦燃焼孔11bの夫々との間、及び、隣り合う第2の内側縦燃焼孔11b,11b間)に存する内部の木部分39(前記壁部23)は、該木部分39を挟んで隣り合う該内側縦燃焼孔11,11の夫々を上昇する熱気によって対向側40,40(
図3)から加熱されるために、短時間のうちに温度上昇する。その結果、内部の該木部分39が燃焼ガスの発生源となって該木部分39から燃焼ガスが盛んに発生し、これが夫々の内側縦燃焼孔11内に流入して前記上端面10で排出される。特に、前記第1の内側縦燃焼孔11a内への燃焼ガスの流入量が多く、これが前記上端面10で排出される。
【0044】
前記第1の内側縦燃焼孔11a内への燃焼ガスの流入量が多い理由は、本実施例においては前記のように、前記第1の内側縦燃焼孔11aを中心とする略同一の円周上に前記第2の内側縦燃焼孔11bの複数本が設けられており、該第1の内側縦燃焼孔と、夫々の第2の内側縦燃焼孔11bとの間に、燃焼ガスの発生源となる前記木部分39が設けられているからである。
【0045】
このようにして燃焼ガスが前記上端面10で多量に排出される結果、該上端面10での炎の勢いが増す。本実施例においては、前記第1の内側縦燃焼孔11a内への燃焼ガスの流入量が多いために、炎の中心部の燃焼状態が安定しており、炎全体としての燃焼状態はより安定したものとなる。
【0046】
このように該上端面10での炎の勢いが増すに伴い、前記外側縦燃焼孔13の周辺の木部分(前記軸線に沿う前記第1の内側縦燃焼孔11a側の木部分)41の温度が上昇し、該周辺の木部分41からも燃焼ガスが多量に発生することとなる。そして該燃焼ガスが、前記外側縦燃焼孔13や前記第2の内側縦燃焼孔11b内に流入して前記上端面10で排出される。
【0047】
この点について特許文献1と対比する。特許文献1における前記縦穴dは1本だけであったため、前記横穴gで発生した熱気が該縦穴dを上昇することによって該縦穴dで発生する燃焼ガスは、該縦穴dの内周面kの近傍に存する木部分からだけのものであった。該内周面kの内部に存する木部分は、温度が低く燃焼ガスを発生させることができなかった。これに対して本発明においては、該内周面37の内部に存する木部分39を、該木部分39をその対向側40,40から加熱することとしているため、該内部の木部分39からも燃焼ガスを多量に発生させることができる。このことが本発明の特徴の一つとなっている。
【0048】
ところで前記外側縦燃焼孔13は前記のように前記横燃焼孔9には連なっておらず、該外側縦燃焼孔13の下端15が、前記横燃焼孔9の前記上端16よりも上側に位置されているため、該横燃焼孔9がその燃焼によって拡張が進んでも、該横燃焼孔9が該外側縦燃焼孔13の下端15に直ぐには連ならない。従って、該横燃焼孔9内の炎が該外側縦燃焼孔13内に直ぐには流入せず、該横燃焼孔9からの酸素の供給が遮断されている燃焼状態を、一定時間持続させることができる。それ故、該外側縦燃焼孔13における燃焼の初期段階においては、該外側縦燃焼孔13の内周面部分は蒸し焼き状態にあり燃焼ガスが発生するだけである。そして該発生した燃焼ガスは、前記上端面10の中央部分42における燃焼ガスの燃焼部に順次供給されて燃焼する。
【0049】
このように、外側縦燃焼孔13から発生する燃焼ガスは該中央部分42(
図7)における燃焼に対して燃焼の補助作用を発揮する。かかる燃焼の補助作用によって、前記上端面10での炎を一層大きくでき、該上端面10での火力をより大きなものとなし得る。又、該中央部分42における燃焼ガスの発生量が時間の経過と共に減少したときは、該中央部分42における燃焼を、炎を小さくさせることなく継続させることができることともなる。このことは、外側縦燃焼孔13の下端15を前記横燃焼孔9に連通させていないからこそ達成されるのである。
【0050】
このようにして燃焼ガスの燃焼が一定時間継続する。本発明者の実験によれば、前記した寸法の燃焼用木材1にあっては、かかる燃焼ガスの燃焼が10分間程度継続した。そして、該燃焼ガスの燃焼が10分間程度継続した後、前記上端面10が発火温度に達して発火した。その後は、前記燃焼用木材1は、中心部分から外側に向けて、時間をかけてゆっくりと燃焼していった。
【0051】
燃焼の初期段階においては前記のように燃焼が継続されるのであるが、前記内側縦燃焼孔11での熱気の上昇によって前記横燃焼孔9内が負圧状態となる結果、該横燃焼孔9の前記開口端35は、外気の吸い込み口として機能する。従って、該開口端35から炎が出ることが抑制され、多少の炎が出ることはあっても、該開口端35の縁部分43は熱くなりにくい。
【0052】
このようなことから、前記横燃焼孔9が盲孔ではあっても前記開口端35の前記縁部分43及び該縁部分43が設けられている外側面6が燃えにくい状態下で、前記のように内側縦燃焼孔11での燃焼ガスの発生を良好となし得、該燃焼ガスの燃焼継続時間をより長くできるのである。
【0053】
前記横燃焼孔9の燃焼による拡大が進んで該横燃焼孔9の前記開口端35の前記縁部分43が熱くなると該縁部分43が燃え出すが、該横燃焼孔9は前記のように盲孔として形成されているため、該開口端35が存する外側面(以下、前の外側面ともいう)6aと対向する外側面(以下、後の外側面ともいう)6bはすぐには燃えない。
【0054】
そして前記構成の燃焼用木材1によるときは、燃焼を開始してから一定時間(例えば30分間程度)は、前記開口端35が存する外側面6a(前の外側面)を除いた外側面6はそれ程熱くないため、燃焼状態にある木材を、必要に応じて、左右対向側の外側面6c,6dを手で把持して移動させることも可能である。又、風がある場合は、前記横燃焼孔9内に流入する空気の量を減らすために、燃焼状態にある該木材を同様に手で把持して該開口端35を風下に向けることも可能である。これによって、前記燃焼用木材1の燃焼時間を極力長くでき、該燃焼用木材1をより長く有効に燃焼させることができる。
【0055】
もしも特許文献1におけると同様に、前記横燃焼孔9が貫通孔として構成されているとすると、該横燃焼孔9の開口端35と対向する開口端から炎(熱気)が出る状態となるため、燃焼状態にある木材を前記のように手で把持して移動させることは危険である。本発明においては前記横燃焼孔9が盲孔として構成されているため、前記のように燃焼を開始してから一定時間(例えば30分間程度)は、前記開口端35が存する外側面6aを除いた外側面6はそれほど熱くないため、かかる移動が可能となるのである。
【0056】
加えて、該横燃焼孔9が貫通孔として構成されていないため、特許文献1に係る燃焼用木材とは異なり、該横燃焼孔9内で燃焼が生じている場合に、対向側の開口端から炎が吹き出して該開口端の縁部分が加熱されて燃え出し、前記後の外側面6bの燃焼を生じさせるということがない。かかることから前記燃焼用木材1によるときは、その燃焼時間をより長くすることができるのである。
【0057】
このようにして燃焼が進むうちに、前記外側縦燃焼孔13の下端15が、燃焼により拡大した前記横燃焼孔9に連なった状態となる。例えば、燃焼開始から20分程度で連なった状態となる。その後は、全ての外側面6a,6b,6c,6dが燃焼し始め、全体が燃焼することになるのであるが、前記外側縦燃焼孔13が前記横燃焼孔9に連通していないことから、該横燃焼孔9での燃焼によって該横燃焼孔9が拡大しても前記外側縦燃焼孔13は該横燃焼孔9に容易には連通しない。そして、該外側縦燃焼孔13が該横燃焼孔9と連なった状態となるまでは該外側縦燃焼孔13に酸素が供給されないために、該外側縦燃焼孔13は燃焼ガスを良好に出し続けることができる。
【0058】
かかることから、前記四隅部分27,27,27,27は燃焼ガスが乏しくなって炭化しやすく、結果として、該四隅部分27,27,27,27の内の、前記横燃焼孔9の下側の部分45を除いた部分に大きな炭の塊を生じさせることができる。かかることから、前記燃焼用木材1の該四隅部分は木材部として燃え残ることがなく、該燃焼用木材1を、前記横燃焼孔9の下側の部分45を除いた全体を効率的に燃焼させることができるのである。
【0059】
以上説明したように、前記燃焼用木材1の燃焼は、前記木材本体1の外側面6を直ぐには燃やさないようにして行うことができるために、長時間に亘って燃焼を継続できる。そして、前記外側縦燃焼孔13を前記のように蒸し焼き状態となし得るため、燃焼が完了した状態においては、前記四隅部分27,27,27,27に大きな炭が残ることとなる。前記燃焼用木材1によるときは、これが燃焼を開始してから30〜40分程度は炎を楽しむことができる。このように残った炭は、そのまま放置することにより、炭火として暖をとるために利用できる。この状態は、30分〜40分間程度、継続させることができる。このようにして得られた炭は、バーベキュー等の調理用に用いることもできる。
【0060】
そして、かかる燃焼の最後には前記横燃焼孔9の下側に20mm程度の燃焼していない部分27,27,27が残るが、この残った下側の部分45は、これを手で把持する等して容易に処分できる。
【実施例3】
【0063】
図9は、本発明に係る燃焼用木材1のその他の実施例を示すものであり、前記木材本体3の外側面6の全体が、前記横燃焼孔9の開口端35を除いて、被覆金属片52で被覆されている。
【0064】
該木材本体3は本実施例においては、例えば実施例1で示したと同様の構成を有しており、平面視で正方形状を呈し且つ軸線が縦方向である角柱状に形成されている。前記被覆金属片52は、耐熱性を有する薄肉の金属板を以て構成されている。例えば薄肉のステンレス板53を以て構成されており、該ステンレス板53には、前記木材本体3の周方向で見た角部55に対応する部位に折り目56が設けられている。
【0065】
該ステンレス板53は、該折り目56を該角部55に合わせて周方向に屈曲されると共に両端の端縁部分57,57相互が重ね合わせられて、該ステンレス板53が前記木材本体3の外側面6の全体を被覆するのであるが、その際、該ステンレス板53の上部分59を、前記上端面10の上方に10mm程度突出した状態としている。この際、該ステンレス板53が前記横燃焼孔9の開口端35を塞がないようになされる。
【0066】
そのために
図9においては、該ステンレス板53の、該開口端35と対向する部位を円形状等に切り抜く。その際、
図9(B)に示すように、該くり抜きを、開閉連結部60となる一部分を残して行うのがよい。このようにすれば、該切り抜きによって、該開閉連結部60で開閉可能の蓋片61を形成できることとなる。然して、該蓋片61を所要に開閉操作することによって、前記横燃焼孔9内への空気の供給量を調節でき、これにより火力の調整を行うことができる。なお該ステンレス板53を、前記開口端35と対向する部位で完全に切り抜いた場合は、該開口端35をスライド式の蓋片で開閉操作可能としてもよい。
【0067】
本実施例においては、該ステンレス板53の上部分59を前記上端面10の上方に10mm程度突出させることによって、該上部分59の内側に、前記実施例2における窪みによる風除け用凹部47と同様に機能させ得る風除け用凹部47を構成している。風除け用凹部47をこのように構成する場合は、前記上端面10を窪ませて風除け用凹部47を構成する場合のように木材本体3を削ることがないため、それだけ燃焼用木材1の燃焼時間を延長させ得る利点がある。
【0068】
又前記被覆金属片52は、軸線が上下方向であるスチール製の角筒状収容筒を以て構成し、該角筒状収容筒内に前記木材本体3を収容することによって、該木材本体3の外側面6の全体を、前記横燃焼孔9の前記開口端35を除いて被覆金属片52で被覆された状態となすこともできる。
【0069】
このように、強度に優れるスチール製の角筒状収容体を用いる場合は、その上部を、例えば四つの隅部分を残して欠切することにより、上方に突出する、強度のある支持突出部を形成でき、該支持突出部を、鍋や飯ごう、やかん等を下方から支持する支持部として機能させることができる。
【0070】
このようにして、前記木材本体3の外側面6の全体を前記横燃焼孔9の前記開口端35を除いて被覆金属片52で被覆することにより、該外側面6での熱の放出を抑制できる。かかることから、ほとんど全ての熱を上に向けて放出でき、上に向けての強い火力が得られる。従って該燃焼用木材1は、例えば調理用に用いて好適である。又、前記木材本体3の外側面6の全体をこのように被覆金属片52で被覆することにより、該被覆金属片52で囲まれた内側部分に火が回って該内側部分が炭化状態になったとき、該炭化状態の部分が該被覆金属片52で囲まれることとなる。従って、風が強くても該炭化状態の部分から火の粉が飛散するのを防止できる。
【実施例4】
【0071】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0072】
(1) 本発明に係る燃焼用木材1は、前記木材本体3 の中央部分乃至その周辺部分に、該木材本体3の上端面10で開口し且つ縦方向に延長して前記横燃焼孔9に下端で連通する内側縦燃焼孔11の複数本が設けられてなるものであり、前記実施例で示すような、多数本の内側縦燃焼孔11が設けられてなるものには限定されない。該内側縦燃焼孔11の本数が例え2本であっても、特許文献1に係る燃焼用木材とは異なり、これらの内側縦燃焼孔11の内周面の面積を増大させ得るために、又、隣り合う内側縦燃焼孔11,11間に存する木部分39からも燃焼ガスを発生させることができるために、該内側縦燃焼孔11からの燃焼ガスの発生量を、前記縦穴dが1本である特許文献1に係る燃焼用木材における該縦穴dからの燃焼ガスの発生量と比較した場合、その発生量を増大させることができる。これによって、燃焼用木材1の初期段階における燃焼をより良好に行わせることが可能となる。
【0073】
(2) 前記のように、前記木材本体3の中央部分で縦方向に前記内側縦燃焼孔11 (前記第1の内側縦燃焼孔11a)を設けると共に、その周辺部分に、該内側縦燃焼孔11を中心とする略同一の円周上に前記内側縦燃焼孔11(前記第2の内側縦燃焼孔11b)を等角度ピッチで設ける場合、該同一の円周上に設ける該内側縦燃焼孔11は、4本以上に設定するのが好ましい。但し、前記木材本体3のサイズにもよるが、その本数を例えば10本程度と多くすると、隣り合う内側縦燃焼孔11,11 間の間隔が小さくなるために、その間に存する壁部23の厚さが薄くなり、該壁部23における燃焼ガスの発生量が少なくなるので好ましくない。
【0074】
(3) 前記木材本体3の外縁側に前記外側縦燃焼孔13を設ける場合、該外側縦燃焼孔13は前記横燃焼孔9に連通しないものとされる。その一例として、前記実施例においては該外側縦燃焼孔13の下端15を、前記横燃焼孔9の上端よりも10〜30mm、上側に位置させているが、該横燃焼孔9の径との関係で、該外側縦燃焼孔13を該横燃焼孔9と、ある程度間隔を置いて配設できる場合は、該外側縦燃焼孔13の下端15を該横燃焼孔9の側方部位に位置させたり、該外側縦燃焼孔13を、該横燃焼孔9の側方部位で下方に向けて延長するように配設することもある。
【0075】
(4) 前記木材本体3の横断面形状は問わない。該横断面形状は、前記した正方形状の他、長方形状や円形状等であってもよい。
図10は、該横断面形状が長方形状を呈する場合を示し、
図11は円形状呈する場合を示している。又、該木材本体3は、前記端材を用いる他、間伐材を用いて構成することもでき、丸太であってもよい。このようなことから本発明は産業廃棄物の有効利用に貢献できる。
【0076】
(5) 前記木材本体3が円柱状である場合において該木材本体3に前記外側縦燃焼孔13を設ける場合は、該外側縦燃焼孔13を、該円柱状の木材本体3の外周側において、例えば、所要間隔を置いて4〜10本設けることができる。
図11においては、該外側縦燃焼孔13を5本設けている。
【0077】
(6) 前記木材本体3に前記外側縦燃焼孔13を設ける場合、前記木材本体3の外縁側部分63に、該木材本体3の前記上端面10の中心方向に向けて複数本設けられてもよい。
図12は前記木材本体3が平面視で正方形状を呈し且つ軸線2が縦方向である角柱状に構成された場合において、該木材本体3の四隅部分27,27,27,27に2個の外側縦燃焼孔13を設けた場合の一例を示すものであり、前記上端面10の対角線上において、外側の孔の径が大きく内側の孔の径が稍小さい大小2個の外側縦燃焼孔13,13が設けられた場合を示している。
【0078】
(7) 前記内側縦燃焼孔11及び前記外側縦燃焼孔13の横断面形状やその大きさは、木材本体3を構成する木材の材質や該木材本体3の長さ等を考慮して所要に設定できるものである。
図13は、前記したと同様の木材本体3を用いる場合において、前記内側縦燃焼孔11と前記外側縦燃焼孔13を円形孔として構成したときに、その径を共に10mm程度に設定した場合を示している。
【0079】
(8)
図14は、前記第1の内側縦燃焼孔11aの径を比較的大きく設定すると共に前記第2の内側縦燃焼孔11bの径を稍小さめに設定した場合を示すものであり、該第1の内側縦燃焼孔11aの径を例えば13mm程度に設定すると共に該第2の内側縦燃焼孔11bの径を例えば10mm程度に設定した場合を示している。なお
図14においては、前記外側縦燃焼孔13の径も10mm程度に設定している。
【0080】
(9)
図15は、前記木材本体3 が、平面視で正方形状を呈し且つ軸線2 が縦方向である角柱状に形成され且つ該正方形状の一辺の長さが120mm程度と比較的大きいときにおいて、前記内側縦燃焼孔11及び前記外側縦燃焼孔13の径を15mm程度と比較的大きく設定した場合を示している。
【0081】
(10)前記風除け凹部47は、実施例2で示した風除け機能を発揮するものであれば、本発明に係る燃焼用木材1の使用環境を考慮し、その深さは、例えば10〜30mmの範囲で所要に設定できるものである。
【0082】
(11)前記上端面10で発生する燃焼ガスの着火は、前記着火材32を用いて着火する他、無風状態や室内で着火させる場合は、かかる着火材32を用いないでライターで着火してもよい。
【0083】
(12)本発明に係る燃焼用木材1は、前記用途の外、木材を用いてなるため安全に保管でき経年変化がなく長持ちし、又、コンパクトに構成できるために取り扱い性に優れており、備蓄倉庫での保管にも適する。かかることから該燃焼用木材1 は、災害時の備蓄燃料として用いて好適である。この保管の際、該燃焼用木材1に防腐処理や防虫処理を施すのがよい。
【0084】
(13)又
図16 においては、前記木材本体3が、平面視で正方形状呈し且つ軸線2が縦方向である角柱状に形成されている場合において、前記のように、前記横燃焼孔9の前記開口端35の縁部分43が存する外側面6aが、これと前後対向する外側面6bよりも、時間的に早く燃え出すことに鑑み、木材本体3の該開口端35側が存する外側面6a側の部分(該外側面6aと、これに近い第2の内側縦燃焼孔11bとの間の部分)65を、その反対側の外側面6b側の部分(該外側面6bと、これに近い第2の内側縦燃焼孔11bとの間の部分)に比して稍厚肉に形成した場合を示している。この場合は前記第1の内側縦燃焼孔11aの軸線を、これに合わせて、該反対側に稍偏位させている。
【0085】
(14)前記内側縦燃焼孔11は、その下端36が前記横燃焼孔9に連通すればよいのであり、
図16は、前記第2の内側燃焼孔11bを略同一の円周上に配置する場合において、正八角形の各頂点に配置した場合の他の態様を示すものである。同図においては、該第2の内側縦燃焼孔11bが、前記横燃焼孔9の左右両側において、該横燃焼孔9の軸線に沿って2個ずつが配置されている。
【0086】
(15)
図10〜15において、例えば
図16に一点鎖線で示すように、前記と同様の構成で、前記木材本体3の前記上端面10の中央部分を窪ませて前記風除け凹部47を設けてもよい。
【0087】
(16)前記木材本体3の前記上端面10に載置する前記着火材32は、燃焼の初期段階において該上端面10で排出された燃焼ガスに着火させ得るものであれば、その大きさや配置状態は問わない。
【0088】
(17)例えば
図9に示すように、前記木材本体3の外側面6の全体が前記横燃焼孔9の開口端35を除いて被覆金属片52で被覆されることによって前記風除け用凹部47が構成される場合、該風除け用凹部47の上端部分で、内方に向けて突出する突出部を設けるときは、該突出部の上面部を着火材32の載置部とすることもできる。このように着火材32を配置する場合は、該着火材32は該上端面10から浮き上がった状態となる。このように着火材32を配置する態様も、前記上端面10の側に着火材を配置した態様の一例である。
【0089】
(18)前記上端面10に着火材32を載置する場合、該着火材32を載置しやすくするために、該着火材32の下部を嵌め入れるための嵌め入れ窪み部を設けてもよい。又、該上端面10の縁部分に、該着火材32を嵌め込むためのはめ込み溝部を設けてもよい。かかる嵌め入れ窪み部や嵌め込み溝部に着火材32を装着した態様も、前記上端面10の側に着火材32を配置した態様の一例である。