特許第6555615号(P6555615)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6555615
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】組立て式防災シェルター
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/02 20060101AFI20190729BHJP
【FI】
   E04H9/02 301
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-192817(P2015-192817)
(22)【出願日】2015年9月30日
(65)【公開番号】特開2016-94815(P2016-94815A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2018年8月10日
(31)【優先権主張番号】特願2014-224913(P2014-224913)
(32)【優先日】2014年11月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006839
【氏名又は名称】日鉄建材株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】515271331
【氏名又は名称】株式会社ニッケン鋼業
(74)【代理人】
【識別番号】100090549
【弁理士】
【氏名又は名称】加川 征彦
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 直人
(72)【発明者】
【氏名】須藤 恭弘
(72)【発明者】
【氏名】立田 衛由
(72)【発明者】
【氏名】山口 信治
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3015488(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3020095(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0265395(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/02
E04H 1/12
E04C 3/00 − 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力で運搬し室内に搬入可能な大きさ及び重量の複数の構成部材が連結されてなる組立て式防災シェルターであって、
前記構成部材は、少なくとも、四隅の柱と、左右の柱の上部間及び前後の柱の上部間をそれぞれ連結する複数の上部梁であり、
前記構成部材がシェルターとしての剛性を確保する鋼部材とこの鋼部材の外面に貼り付けられたパネルとで構成され、かつ構成部材同士を連結する連結部において鋼材面が露出しており、
前記連結部の露出した鋼材面同士を直接接触させて構成部材同士を連結した際に、一方の構成部材の外面のパネルと他方の構成部材の外面のパネルとが互いの隣接端部付近で接することで、連結部の鋼材面が隠される構成であることを特徴とする組立て式防災シェルター。
【請求項2】
前記複数の上部梁の上に固定される天井部材を備えていることを特徴とする請求項1記載の組立て式防災シェルター。
【請求項3】
前記構成部材は、前記柱、上部梁に加えて、左右の柱の下部間及び前後の柱の下部間をそれぞれ連結する複数の下部梁であることを特徴とする請求項1又は2記載の組立て式防災シェルター。
【請求項4】
前記左右の柱の下部及び前後の柱の下部に対してそれぞれ剛接合態様で連結される台部を有するベッドを設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の組立て式防災シェルター。
【請求項5】
前記構成部材同士の連結がボルト・ナットで行われる場合に、構成部材のパネルにおける連結部近傍の位置にボルト連結作業用孔が設けられ、ボルト・ナットで連結した後に前記ボルト連結作業用孔を塞ぐ蓋材が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の組立て式防災シェルター。
【請求項6】
前記柱用の構成部材及び梁用の構成部材がいずれも、角形鋼管からなる枠体の外面にパネルを貼り付けて内部が空間となっている構成であり、かつ、梁と柱とが、互いに直接接触する梁側の角形鋼管と柱側の角形鋼管とを貫通するボルトで連結されており、かつ、前記パネルにおける連結部近傍の位置に前記ボルト連結作業用孔が設けられていることを特徴とする請求項5記載の組立て式防災シェルター。
【請求項7】
互いに連結すべき構成部材同士の連結部のすべてを連結した際に、当該シェルターの前後方向及び左右方向の内外面がすべてパネルで覆い隠されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の組立て式防災シェルター。
【請求項8】
人力で運搬し室内に搬入可能な大きさ及び重量の複数の構成部材を連結した後に天井部材を取り付けて組立て式防災シェルターを組み立てる組立て式防災シェルターの組立て方法であって、
前記構成部材は、少なくとも、四隅の柱と、左右の柱の上部間及び前後の柱の上部間をそれぞれ連結する複数の上部梁であり、それらがいずれも、シェルターとしての剛性を確保する鋼部材とこの鋼部材の外面に貼り付けられたパネルとで構成され、かつ構成部材同士を連結する連結部において鋼材面が露出しており、前記連結部の露出した鋼材面同士を直接接触させて構成部材同士を連結した際に、一方の構成部材の外面のパネルと他方の構成部材の外面のパネルとが互いの隣接端部で接することで、連結部の鋼材面が隠される構成であり、
前記天井部材は、人力で運搬し室内に搬入可能な大きさ及び重量の複数の天井パネルからなり、
前記各構成部材及び天井パネルを人力で運搬し室内に搬入し、前記パネル貼りの構成部材である前記4隅の柱と複数の上部梁を連結して防災シェルターの柱部及び上部梁部を構築し、次いで、天井部材を形成する前記複数の天井パネルを前記複数の上部梁の上に並べて固定して天井部を形成することを特徴とする組立て式防災シェルターの組立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、大地震の発生で家屋が崩壊するような非常時においてシェルター内の人の人命を確保できるだけでなく、住宅内に設置する際に、室内への部材搬入及び組み立てが容易であり、かつ、平常時において室内に調和する、室内用として好適な組立て式防災シェルターに関する。
【背景技術】
【0002】
大地震の発生で家屋が崩壊するような場合を想定して、内部にベッド等を収容できる広さの安全な空間を確保する組立て式防災シェルターが種々提案されている。以下に取り上げた特許文献1〜5の内容は、それぞれの文献中の符号を利用して説明する。
特許文献1の地震耐久ベッドは、「複数に分割した下枠1a、1b、1cを結合して組み立てた床枠1と、支持梁2xを有する複数の側面フレーム2a、2b、2cと、前記側面フレームの上端部(上辺梁2y)に取り付けられる複数の上枠3a、3b、3cと、前記上枠に装着される複数の屋根ユニット4a、4b、4cと、前記床枠上に載置される複数の床板5a、5b、5cとから構成され、各部材間は連結具で連結される」、というものである。
【0003】
特許文献2は、4隅の柱1と、この柱間をつなぐ梁2と、この梁と前記柱とをつなぐ筋交い3とで部屋大のスペースを構成し、かつこれらの部材を部屋5の中に持ち込んで組立てできる組立式の部材とすると共に金属、木材、合成樹脂などにより形成して前記部屋大のスペースが建物の中で安全地帯となるようにした、というものである。
【0004】
特許文献3は、各家庭にある押入、ベッド、チェストにシェルターの機能を加えることができる組立式地震シェルターというもので、天板11の四隅をL型柱17の一端の内側面にそれぞれ当接して固定し、底板14の四隅をL型柱17の他端の内側面にそれぞれ当接して固定し、L型柱17の長手方向に沿って一定間隔をおいて補強部材18を横架したという構造である。
【0005】
特許文献4は、左右対称の一対の側面枠2A、2Bと、これらの側面枠2A,2Bの上端に取り付けられる天面枠3と、前記一対の側面枠2A、2Bの下端に取り付けられる一対のベース枠4A、4Bと、天面枠3とベース枠4A、4Bとを連結する一対の中間柱5A、5Bとで、家屋内の寝室等に設置される鉄骨製の防災装置1を構成し、布団やベッド等の寝具を収容できるスペースを形成する、というものである。
【0006】
特許文献5は、ベッドの外郭を構成する外枠1を太い金属製のパイプによって連続する一体状に形成し、且つ相対向する外枠間に複数個の連結用パイプ2を差し渡して連結するとともに、外枠1の周側面の適所に、障害物の侵入を防ぐための防護用金属格子4を設けたり、さらには外枠1の上部に連結した複数個の連結用パイプ2の上面に、落下物を防御するための防護用金網8を設けた構成の耐圧構造に形成したベッド、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−46443
【特許文献2】特開平8−284462
【特許文献3】特開2005−16293
【特許文献4】特開2010−18944
【特許文献5】特開平8−266372
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
防災シェルターは、建物が倒壊しても人が生存するための内部空間を保持できるように、強固な構造とする必要がある。
上記従来の各組立て式防災シェルターにおいて、シェルターとしての剛性を確保する柱、梁、枠等の部材の材質として、特許文献1では「アルミ等の金属部材、あるいはこれに準ずる強度部材」([0016])とし、特許文献2では「各部材の材質も金属製の他に木材,アルミ,合成樹脂を使用することもできる」([0010])とし、特許文献3では「夫々所定の木材又は鉄材を用いて」([0029])とし、特許文献4では「1は家屋内の寝室等に設置される鉄骨製の防災装置であり」([0010])とし、特許文献5では「外枠(1)を、太い金属製のパイプ等によって連続する一体状に形成し、」(請求項1の記載)としている。
このように、いずれも請求項においては鋼製構造に限定していないが、実施例では、特許文献3を除き明らかに鋼製構造であるように、建物が倒壊しても人が生存するための内部空間を実際に確保できる防災シェルターを製作する場合には、鋼製構造とする。
【0009】
上述の各特許文献の通り、建物の倒壊まで想定する組立て式防災シェルターは実質的に鋼製なので、いわゆる鉄骨構造的で無骨な外観となり、室内に設置した場合、一般的な室内の家具や壁紙などと調和しにくいものとなっている。したがって、万が一のことを考えて設置したいと思っている人でも、日常生活を過ごす室内への設置には違和感を持つことが多い。
【0010】
なお、特許文献2に木材の使用に言及があり、また家屋の倒壊までは想定していないと思われる特許文献3では木材使用の実施例があるが、室内と調和させるため室内家具のように木材を防災シェルターに用いた場合、建物が倒壊しても内部空間を保持する剛性を確保するには、鋼材と比べて柱や梁、天井部材を極めて太く厚い構造にする必要がある。そのため、内部空間も小さくなってしまうとともに、重量がかなり嵩んでしまうという問題もある。
また、接合部分として、現場での組立てが容易なボルト接合構造を採用した場合、防災シェルターの素材に木材を用いると、接合部分が弱いため破損する虞があるという問題もある。また、破損しないように接合部を鋼板で補強すると、補強鋼板が大きく目立ち、外観を損なうことになる。
【0011】
また、室内に設置する組立て式防災シェルターは、各構成部材を室内に搬入することが容易であること、室内での組み立てを容易に行えることが重要であるので、室内への部材搬入及び組み立てが容易であることが望まれる。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、木材を用いた木製防災シェルターという外観を呈して、室内との調和が図られながら、実際の木製防災シェルターのように内部空間が小さくなることがなく、また重量の増加も少なく、さらに室内への部材搬入及び組み立てが容易な組立て式防災シェルターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決する請求項1の発明は、人力で運搬し室内に搬入可能な大きさ及び重量の複数の構成部材が連結されてなる組立て式防災シェルターであって、
前記構成部材は、少なくとも、四隅の柱と、左右の柱の上部間及び前後の柱の上部間をそれぞれ連結する複数の上部梁であり、
前記構成部材がシェルターとしての剛性を確保する鋼部材とこの鋼部材の外面に貼り付けられたパネルとで構成され、かつ構成部材同士を連結する連結部において鋼材面が露出しており、
前記連結部の露出した鋼材面同士を直接接触させて構成部材同士を連結した際に、一方の構成部材の外面のパネルと他方の構成部材の外面のパネルとが互いの隣接端部付近で接することで、連結部の鋼材面が隠される構成であることを特徴とする。
【0014】
請求項2は、請求項1の組立て式防災シェルターにおいて、前記複数の上部梁の上に固定される天井部材を備えていることを特徴とする。
【0015】
請求項3は、請求項1又は2の組立て式防災シェルターにおいて、前記構成部材は、前記柱、上部梁に加えて、左右の柱の下部間及び前後の柱の下部間をそれぞれ連結する複数の下部梁であることを特徴とする。
【0016】
請求項4は、請求項1又は2の組立て式防災シェルターにおいて、前記左右の柱の下部及び前後の柱の下部に対してそれぞれ剛接合態様で連結される台部を有するベッドを設けたことを特徴とする。
【0017】
請求項5は、請求項1〜4のいずれか1項の組立て式防災シェルターにおいて、前記構成部材同士の連結がボルト・ナットで行われる場合に、構成部材のパネルにおける連結部近傍の位置にボルト連結作業用孔が設けられ、ボルト・ナットで連結した後に前記ボルト連結作業用孔を塞ぐ蓋材が設けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項6は、請求項5の組立て式防災シェルターにおいて、前記柱用の構成部材及び梁用の構成部材がいずれも、角形鋼管からなる枠体の外面にパネルを貼り付けて内部が空間となっている構成であり、かつ、梁と柱とが、互いに直接接触する梁側の角形鋼管と柱側の角形鋼管とを貫通するボルトで連結されており、かつ、前記パネルにおける連結部近傍の位置に前記ボルト連結作業用孔が設けられていることを特徴とする請求項4記載の組立て式防災シェルター。
但し、上記における「梁」とは、上部梁である場合、下部梁である場合、上部梁と下部梁の両者である場合を含む。
【0019】
請求項7は、請求項1〜6のいずれか1項の組立て式防災シェルターにおいて、互いに連結すべき構成部材同士の連結部のすべてを連結した際に、当該シェルターの前後方向及び左右方向の内外面がすべてパネルで覆い隠されていることを特徴とする。
【0020】
請求項8の発明は、人力で運搬し室内に搬入可能な大きさ及び重量の複数の構成部材を連結した後に天井部材を取り付けて組立て式防災シェルターを組み立てる組立て式防災シェルターの組立て方法であって、
前記構成部材は、少なくとも、四隅の柱と、左右の柱の上部間及び前後の柱の上部間をそれぞれ連結する複数の上部梁であり、それらがいずれも、シェルターとしての剛性を確保する鋼部材とこの鋼部材の外面に貼り付けられたパネルとで構成され、かつ構成部材同士を連結する連結部において鋼材面が露出しており、前記連結部の露出した鋼材面同士を直接接触させて構成部材同士を連結した際に、一方の構成部材の外面のパネルと他方の構成部材の外面のパネルとが互いの隣接端部で接することで、連結部の鋼材面が隠される構成であり、
前記天井部材は、人力で運搬し室内に搬入可能な大きさ及び重量の複数の天井パネルからなり、
前記各構成部材及び天井パネルを人力で運搬し室内に搬入し、前記パネル貼りの構成部材である前記4隅の柱と複数の上部梁を連結して防災シェルターの柱部及び上部梁部を構築し、次いで、天井部材を形成する前記複数の天井パネルを前記複数の上部梁の上に並べて固定して天井部を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の組立て式防災シェルターは、複数の構成部材を連結した構造であるが、構成部材のうちの鋼部材同士が直接連結された骨組み構造であるから、そして、鋼部材の剛性は高いので、例えば木材を連結して構成した構造と比較すると、必要な剛性を確保するための部材断面を細くすることができ、したがって、シェルター内部空間を広く確保することができる。また、全体重量を抑えることもできる。
そして、構成部材の外面にはパネルが貼り付けられており、パネルでシェルターの内外装が施されている外観となるので、室内との調和が図られ、生活空間になじむ防災シェルターを得ることができる。
【0022】
部材同士をボルト・ナットで連結する場合、一般的にはボルト・ナットが露出するので、外面にパネルを貼り付けた構成部材同士の連結をボルト・ナットで行うと、ボルト・ナットが露出して、パネル貼りとした意匠的な効果が損なわれるが、本発明によれば、パネル貼りの構成部材同士を連結した際に、外面のパネルで連結部の鋼材面が隠される構成なので、意匠的な効果が損なわれることがない。
【0023】
また、構成部材同士の連結部は、パネルで覆われずに鋼材面が露出しているので、パネルに干渉することなく、構成部材の鋼材面同士を直接接触させて接合できる。
したがって、外力が作用した際の各構成部材間の力の伝達が、介在物を挟まずに直接鋼部材間で行われ、接合部が弱部になることなく強固な接合の防災シェルターを得ることが容易である
【0024】
前記のように鋼部材の露出部が連結される連結構造であっても、構成部材同士を連結した際に連結部の鋼材面がパネルで塞がれて見えなくなる、という構造であるから、前記の通り、室内との調和が図られる防災シェルターにすることができる。
【0025】
また、例えば、鋼材のみからなる構成部材を連結して組み立てた後に全体に合わせてパネルを切断加工して貼り付ける場合と比べると、本発明では、既にパネルを貼り付けた構成部材を連結して組み立てるので、設置する室内でのパネルの加工に時間を要することがなく組立て作業能率が極めて高い。また、切断くずの発生もなく、切断時の騒音発生の問題も生じないので、この点でも優れている。
また、引越し等で防災シェルターを分解する際には、パネルを切断することなく、単に構成部材に分解して、引越し先に搬送し、引越し先で再度組み立てることができる。したがって、引越し時の防災シェルターの取扱いが容易である。
【0026】
請求項5あるいは請求項6によれば、構成部材のパネルにおける連結部近傍の位置にボルト連結作業用孔を設け、かつ、ボルト・ナットで連結した後に前記ボルト連結作業用孔を塞ぐ蓋材を設けるので、ボルト・ナットによる連結構造であるにも拘わらず、ボルトやナットが露出しない態様で、構成部材同士をボルト・ナットで連結することができる。したがって、室内に調和する防災シェルターが得られる。
また、請求項6によれば、ボルト及びナットが構成部材の内部空間に収まっているので、単にボルト・ナットが露出しないだけでなく、凹凸のないパネルによる内外装が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の組立て式防災シェルターの主として鋼部材部分(パネルを剥がした状態のもの)を示した仮想正面図である。
図2図1の右側面図である
図3図1の平面図である
図4図1における柱部分(柱材)を示すもので、(イ)は正面図、(ロ)は底面図、(ハ)は平面図(但しベースプレートは不図示)、(ニ)は右側面図である
図5図1における長尺の上部梁部分(長尺の上部梁材)を示すもので、(イ)は正面図、(ロ)は右側面図である。
図6図2における短尺の上部梁部分(短尺の上部梁材)を示す正面図である。
図7図1における長尺の下部梁部分(長尺の下部梁材)を示すもので、(イ)は正面図、(ロ)は右側面図である。
図8図2における短尺の下部梁部分(短尺の下部梁材)を示す正面図である。
図9】(イ)は図3の天井パネルの1つを横向きにし拡大して示した図、(ロ)は(イ)のA−A拡大断面図、(ハ)は(ロ)の一部分のみを示した図、(ニ)は(ロ)のB矢視図である。
図10】本発明の組立て式防災シェルターの外観を示す斜視図である。
図11図10の組立て式防災シェルターにおける天井部を除いて示した斜視図である
図12図11における柱と梁の鋼部材部分(柱材と梁材(パネルを剥がした状態))のみを示した仮想斜視図である(但し、柱材、梁材におけるトラス構造をなす丸鋼管を簡略化した線で表している)。
図13】(イ)は図11における柱の断面図、(ロ)は図11における上部梁の断面図、(ハ)は図11における下部梁の断面図である。
図14】(イ)は図10図11における柱と下部梁との連結部が、鋼部材同士の直接接触によりボルト連結される状態を説明する一部切欠き正面図、(ロ)は(イ)のC-C断面図である。
図15】上記実施例の組立て式防災シェルターにおける下部梁を設けずに、木製ベッドを取り付けた実施例を示す正面図である。
図16図15における天井を外して示した平面図である。
図17図15における木製ベッドを示すもので、(イ)は正面図、(ロ)は断面図である。
図18】本発明のさらに他の実施例の組立て式防災シェルターを示すもので、(イ)は正面図、(ロ)は(イ)の正面部分のみを示した図である。
図19】本発明のさらに他の実施例の組立て式防災シェルターの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の組立て式防災シェルター及びその組立て方法を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0029】
本発明の組立て式防災シェルターは、人力で運搬し室内に搬入可能な大きさ及び重量の複数の構成部材を連結して組み立てられる。
実施例の組立て式防災シェルター10は、全体外観を示す図10、及び図10における天井部材14を外して示した図11に示すように、四隅の柱11と、前面側及び後面側の左右の柱11の上部間を連結する2つの長尺の上部梁12A、及び奥行方向の前後の柱11の上部間をそれぞれ連結する2つの短尺の上部梁12Bと、前面側及び後面側の左右の柱11の下部間を連結する2つの長尺の下部梁13A、及び奥行方向の前後の柱11の下部間を連結する2つの短尺の下部梁13Bと、前記4つの上部梁12A、12Bの上に設置された天井部材14とからなっている。そして、前記天井部材14は、4つの天井パネル4からなる。
なお、上部梁12A、12Bを指す際、場合により、単に上部梁12、又は上部梁12(12A、12B)と記す。また、下部梁13A、13Bを指す際も、場合により、単に下部梁13、又は下部梁13(13A、13B)と記す。
前記柱11、梁(上部梁12及び下部梁13)、天井パネル4は、人力で運搬し室内に搬入可能な大きさ及び重量であって前記構成部材に相当し、この構成部材11、12、13、4を連結して組立て式防災シェルター10が組み立てられる。
【0030】
前記構成部材11、12、13、4のうちの柱11及び梁(上部梁12及び下部梁13)は、詳細は後述するように、シェルターとしての剛性を確保する鋼部材とこの鋼部材の外面に貼り付けられた実施例では木製のパネルとからなり、かつ構成部材同士を連結する連結部において鋼材面が露出しており、構成部材同士を、前記連結部の露出した鋼材面同士を直接接触させて連結した際に、一方の構成部材の外面の木製パネルと他方の構成部材の外面の木製パネルとが互いの隣接端部で隙間なく接することで、連結部の鋼材面が隠される構成である。
なお、前記天井パネル4は、木製パネルを貼り付けていない点で、柱11や梁12、13と同じ意味で構成部材であるとは言えないが、人力で運搬し室内に搬入可能な大きさ及び重量であるという点では構成部材に相当するので、以下の説明では便宜上、柱11や梁12、13と共にまとめて構成部材と言う場合がある。
【0031】
図1は本発明の組立て式防災シェルター10の主として鋼部材の部分(木製パネルを剥がした状態のもの)を示した仮想正面図(実際にこのような状態で存在することはない)、図2図1の右側面図、図3図1の平面図である。
以下の説明において、構成部材である前記柱11及び梁(上部梁12及び下部梁13)における、シェルターとしての剛性を確保する鋼部材の部分(木製パネルを貼り付ける前のもの)を、それぞれに「材」を付加して柱材1及び梁材(上部梁材2及び下部梁材3)と呼ぶ。
したがって、上部梁12A、12Bに対応する鋼部材の部分を上部梁材2A、2Bと呼び、下部梁13A、13Bに対応する鋼部材の部分を下部梁材3A、3Bと呼ぶ。
図12は、組立て式防災シェルター10における、天井パネル4以外の鋼部材の部分、すなわち前記柱材1、上部梁材2A、2B、下部梁材3A、3Bの部分を斜視図で示したものである。
【0032】
図4図1における柱材(鋼部材の部分)1の詳細構造を示すもので、(イ)は正面図、(ロ)は底面図、(ハ)は平面図(但しベースプレートは不図示)、(ニ)は右側面図である。
この柱材1は、3本の角形鋼管1aを図4(ロ)、(ハ)に示すように等辺の直角三角形をなす配置でベースプレート1b上に固定し、辺をなす2つの角形鋼管1a間の上部及び下部を、それぞれ2本の丸鋼管1cで連結固定し、中間部を若干細い複数の丸鋼管1dでトラス構造を形成するように連結固定した構成である。なお、鋼材どうしの固定という場合、基本的に溶接固定である。1eは全周溶接固定のボルト接合部用の補強プレート、1fはボルト挿通孔である。
【0033】
図5図1における上部梁材2における長尺上部梁材2Aの詳細構造を示すもので、(イ)は正面図、(ロ)は右側面図である。
この長尺上部梁材2Aは、上下の長尺の横枠材2aの左右両端をそれぞれ縦枠材2bで連結固定し、中間部を若干細い4本の丸鋼管2dでトラス構造を形成するように連結固定した構成である。横枠材2a、縦枠材2bはいずれも、柱材1の角形鋼管1aと同サイズの角形鋼管である。
さらに、縦枠材2bの内側面に補強プレート2eを全周溶接固定し、ボルトを水平に貫通させるボルト挿通孔2cをあけ、補強プレート2eの内側面の孔位置に、柱材1の角形鋼管1aとボルトで連結するためのナット7を溶接固定している。
また、上側の横枠材2aに、その下面側から貫通して上方に突出するボルト9の頭部9aを溶接固定している。このボルト9は、天井パネル4を横枠材2aの上面に固定するための手段となる。
【0034】
図6図2における上部梁材2における短尺上部梁材2Bの詳細構造を示す正面図である。
この短尺上部梁材2Bは、上下の短尺の横枠材2a’の左右両端をそれぞれ縦枠材2b’で連結固定し、中間部を若干細い2本の丸鋼管2d’でトラス構造を形成するように連結固定した構成である。横枠材2a’、縦枠材2b’はいずれも、柱材1の角形鋼管1aと同サイズの角形鋼管である。
さらに、縦枠材2b’の内側面に補強プレート2e’を全周溶接固定し、ボルトを水平に貫通させるボルト挿通孔2c’をあけ、補強プレート2e’の内側面の孔位置に、柱材1の角形鋼管1aとボルトで連結するためのナット7を溶接固定している。
【0035】
図7図1における前面側又は後面側の長尺下部梁材3Aの詳細構造を示す正面図である。
この長尺下部梁材3Aは、上下の長尺の横枠材3aの左右両端をそれぞれ縦枠材3bで連結固定した構成である。横枠材3a、縦枠材3bはいずれも、柱材1の角形鋼管1aと同サイズの角形鋼管である。
さらに、縦枠材3bの内側面に補強プレート3eを全周溶接固定し、ボルトを水平に貫通させるボルト挿通孔3cをあけ、補強プレート3eの内側面の孔位置に、柱材1の角形鋼管1aとボルトで連結するためのナット7を溶接固定している。
【0036】
図8図2における短尺下部梁材3Bの詳細構造を示す正面図である。
この短尺下部梁材3Bは、上下の短尺の横枠材3a’の左右両端をそれぞれ縦枠材3b’で連結固定した構成である。横枠材3a’、縦枠材3b’はいずれも、柱材1の角形鋼管1aと同サイズの角形鋼管である。
さらに、縦枠材3b’の内側面に補強プレート3e’を全周溶接固定し、ボルトを水平に貫通させるボルト挿通孔3c’をあけ、補強プレート3e’の内側面の孔位置に、柱材1の角形鋼管1aとボルトで連結するためのナット7を溶接固定している。
【0037】
組立て式防災シェルター10を構成する前述の柱11、上部梁12A、12B、下部梁13A、13Bはそれぞれ、その鋼部材部分である前述の柱材1、長尺上部梁材2A、短尺上部梁材2B、長尺下部梁材3A、短尺下部梁材3Bに木製パネル8を貼り付けて製作する。
柱11は、例えば図13(イ)に示すように、3本の角形鋼管1aを持つ鋼部材である柱材1の外面に木製パネル8を貼り付けている。図示例では接着剤による貼り付けと、タッピンねじによる貼り付け固定との両者を採用している。
上部梁12は、図13(ロ)に示すように、鋼部材である上部梁材2の両側面と下面に木製パネル8を貼り付けている。天井パネル4が固定される上面は角形鋼管(横枠材2a)が露出している。
下部梁13は、図13(ハ)に示すように、鋼部材である下部梁材3の両側面と上下面に木製パネル8を貼り付けている。
【0038】
図9(イ)は図3の天井パネルの1つを横向きにし拡大して示した図、(ロ)は(イ)のA−A拡大断面図、(ハ)は(ロ)の一部分のみを示した図、(ニ)は(ロ)のB矢視図である。
この天井パネル4は、4本の軽量溝形鋼21を矩形に溶接接続してなる矩形枠22の下面側に、化粧シート24を貼り合わせた矩形の合板25を配し、上面側に矩形の化粧板26を配した構成である。なお、軽量溝形鋼21のボルト挿通孔28のある部分における上下のフランジの外側面にボルト挿通孔付きの鋼板片23を溶接固定し、かつ、ボルト挿通孔28の両側に軽量溝形鋼21の断面コ字形内に嵌め込んだリブプレート27を溶接して、ボルト連結部を補強している。
この天井パネル4は、その両端部を前後の上部梁12Aに載せて、前記上部梁材2Aに溶接固定されて上に突出しているボルト9をボルト挿通孔28より貫通させ、ナット29で締め付けて、上部梁12Aに固定される。
【0039】
上記の組立て式防災シェルター10を組み立てる要領を説明する。
上述の通り、組立て式防災シェルター10を組み立てる構成部材である、4本の柱11と4つの上部梁12(12A、12B)と4つの下部梁13(13A、13B)と、4つの天井パネル4を用意する。
これら構成部材11、12、13、4は、人力で運搬し室内に搬入可能な大きさ及び重量とされているから、組立て施工時に、設置すべき住宅の室内に容易に搬入することができる。
【0040】
柱11と上部梁12(12A、12B)と下部梁13(13A、13B)は、前述の通り、既に鋼部材である柱材1と上部梁材2(2A、2B)と下部梁材3(3A、3B)のそれぞれの外面に木製パネル8を貼り付けている(但し、互いの連結面には木製パネルを貼り付けていない)。
まず、4つの下部梁13(13A、13B)を床上の概ね設置位置に矩形状に配置する。次いで柱11を矩形配置の下部梁13(13A、13B)のコーナー位置にて立て、下部梁13の先端部と柱11の下部とをボルト32で連結する。
この場合、下部梁13及び柱11のそれぞれ鋼部材同士の連結としては、図1図2のようにボルト32で連結することになるが、実際には木製パネル8を貼り付けた状態で連結するので、図14(イ)、(ロ)に示す態様で、下部梁13の先端部と柱11の下部がそれぞれの鋼部材が直接接触して連結される。
すなわち、下部梁13の先端は角形鋼管3b(下部梁材3の縦枠材3b)が木製パネルのない面S1にて露出しており、柱11の下部は角形鋼管1a(柱材1の3本の角形鋼管1aの一つ)が木製パネルのない面S2にて露出しており、両露出面S1、S2同士が直接接触して連結される。
その連結作業としては、柱11の木製パネル8の下端近傍にあけた開口であるボルト連結作業用孔33からボルト32を手でボルト挿通孔1f、3cに挿入し、縦枠材3bに溶接固定したナット7に螺合させ締着して、下部梁13の縦枠材3bと柱11の角形鋼管1aとを接合する。これにより、下部梁13と柱11とが、それぞれの鋼部材部分の直接接触によりボルト連結される。
上記の説明では長尺下部梁材3Aの符号にて説明したが、短尺下部梁材3Bの場合も連結構造は同じである。
【0041】
次いで、柱11の上部で上部梁12(12A、12B)と柱11とを連結するが、上部梁12(12A、12B)と柱11との連結構造も、図14で説明した下部梁13と柱11との連結構造と同じであり、説明は省略する。
【0042】
次いで、上部梁12(12A、12B)の上に天井部材14を取り付ける。
天井部材14は、前述した通り、図9で構造を説明した天井パネル4の4枚からなる。
各天井パネル4を、図9の説明においても述べたように、その両端部を前後の上部梁12Aに載せて、前記上部梁材2Aの上面に溶接固定されて上に突出しているボルト9をボルト挿通孔28より貫通させ、ナット29で締め付けて、上部梁12Aに固定する。
次いで、固定した4枚の天井パネル4の全体の前後面及び左右側面に、図10に示すようにやや厚い木製パネル35を貼り付ける。
以上で組立て式防災シェルター10の組立てが完了する。
なお、この組立て式防災シェルター10は、特に床側部分に関して、図10に示した形態そのままで利用するか、あるいは前面側の下部梁13Aを外した形態で利用するか、あるいは4つの下部梁13(13A、13B)で囲まれた矩形空間を高床とするか、その他適宜の利用方法を採用するとよい。
【実施例2】
【0043】
図15図17に他の組立て式防災シェルター10’を示す。この組立て式防災シェルター10’は、上述の組立て式防災シェルター10において、下部梁13(13A、13B)を設けずに、ベッド50を設けた構造である。
この実施例のベッド50は木製であり、ベッド幅方向両側の側板51aとベッド長手方向両側の側板51bとを矩形に結合させた矩形枠体51における幅方向両側の側板51a間に、長手方向中間の2つの桟52、及び両端の2つの桟53を架け渡し、矩形枠体51の四隅の内側に、前記両端の桟53で挟まれる態様で頭側の脚54及び足側の脚55を固定し、頭側の両側の脚54の頂部間及び中間部間に横材56、57を架け渡し、かつ、足側の両側の脚55の頂部間及び中間部間に横材58、59を架け渡し、前記長手方向中間の桟52及び両端の桟53に載る複数の板材60aによるすのこ60を取り付けた構成である。前記矩形枠体51の四隅部は、平面視で三角形をなす四隅の柱11の下部に対してそれぞれ剛接合態様で連結されている。62はマットを示す。
前記矩形枠体51、桟52、53は、ベッド50の台部61を形成する。すなわち、このベッド50は、台部61において、左右の柱11の下部及び前後の柱11の下部に対してそれぞれ剛接合態様で連結されているので、シェルターとしての剛性を確保する上で大きく寄与する。また、組立て式防災シェルターの内外面の木製パネルから漂う木の香りに、さらにこの木製ベッド50から漂う木の香りが加わり、一層心地よい空間となる。
【実施例3】
【0044】
図18は本発明のさらに他の実施例の組立て式防災シェルター110を示すもので、同図(イ)は正面図、同図(ロ)は(イ)の正面部分のみを示した図である
この組立て式防災シェルター110における柱及び梁の鋼部材の部分については、実施例1の図1図8図12に示した鋼部材である柱材1、梁材2A、2B、3A、3Bと基本的に同様である。また、この組立て式防災シェルター110における天井部材114は、実施例1の図10で示した天井部材14と基本的に同様である。また、柱111も図10の柱11と基本的に同様である。
この実施例では、前面側の上部梁112Aの下縁側に方丈型の開口枠140を設け、上部梁112Aの木製パネル108の両側部分は、開口枠140の両側の傾斜した方丈部分まで延長している。後面側の下部梁113Aは図10の下部梁13Aと同様であるが、前面側の下部梁113A’は高さが低くその外面の木製パネル108’は一枚板としている。
組立て式防災シェルター110の左右両側面の図示は省略するが、図10と同様である。
組立て式防災シェルター110の後面側は、図10のような開放面ではなく、壁部材141とその中央部に設けた障子142とからなる閉鎖面となっている。壁部材141の詳細は省略するが、人力で運搬し室内に搬入可能な大きさ及び重量の複数の部分に分割されている。
【実施例4】
【0045】
図19は本発明のさらに他の実施例の組立て式防災シェルター210の正面図である。
この組立て式防災シェルター210における柱及び梁の鋼部材の部分についても、実施例1の図1図8図12に示した鋼部材である柱材1、梁材2A、2B、3A、3Bと基本的に同様である。また、この組立て式防災シェルター210における天井部材214は、実施例1の図10で示した天井部材14と基本的に同様である。また、柱211も図10の柱11と基本的に同様である。
この実施例では、前面側の上部梁212Aの下縁側にアーチ型の開口枠240を設けている。上部梁212Aの木製パネル208は横張りであり、アーチ型の開口枠240の頂部高さ位置より下方位置の木製パネル208は開口枠240に接合されている。
前面側及び後面側の下部梁213A’はいずれも高さが低くその外面の木製パネル208’は一枚板としている。
組立て式防災シェルター210の左右両側面の図示は省略するが、図10と同様である。
組立て式防災シェルター210の後面側は、図10と同じであり開放面である。
【実施例5】
【0046】
上述の各実施例では、シェルターとしての剛性を確保する鋼部材(柱材1及び梁材(上部梁材2及び下部梁材3))の外面に貼り付けるパネルとして木製のパネルを用いたが、木製パネルに限らず、室内との調和が図られるような種々のパネルを用いることができる。
例えば、石膏パネル、石材パネル、セラミックパネル、ファイバー材(MDF材など)パネル、プラスチックパネル、ミラーパネル、障子布、テント布、アルポリック(登録商標)パネル、液晶パネル、和紙パネル、クロス張り合板パネル、樹脂化粧鋼板パネル、その他種々の材質によるパネルを用いることができる。
また、突き板(木材を薄くそいだ板(単板))を接着したファイバー材(MDF材など)パネルを用いることができる。
クロス張り合板パネルのクロスとしては、紙クロス、ビニールクロス、織物クロス、その他のクロスを用いることができる。
前記プラスチックパネルとしては、アクリルパネル、発砲スチロールパネル、ポリカーボネートパネル、スチレンパネル、ビニールパネルその他種々のプラスチックパネルを使用できる。さらに、熱可塑性樹脂を高温で溶かし積層させて形成する熱溶解積層法(FDM)により形成したプラスチックパネルを用いることもできる。
【実施例6】
【0047】
上述の各実施例では、シェルターとしての剛性を確保するために、柱11の下部にも下部梁13(13A、13B)を設けたり、内部に設置するベッド50を剛性確保手段として利用したりしているが、下部梁13(13A、13B)やベッド50によらない、その他の剛性確保手段を講じることができる。
【0048】
また、上述の実施例では、各構成部材同士の連結、すなわち実施例では柱11と上部梁12との連結、柱11と下部梁13との連結、及び上部梁12と天井パネル4との連結をボルト・ナットによる連結構造としたが、十分な接着強度が得られることを条件として、接着剤による接着手段を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 柱材(柱から木製パネルを除いた鋼部材の部分)
1a 角形鋼管
1b ベースプレート
1c 丸鋼管
1d 丸鋼管
1e 補強プレート
1f ボルト挿通孔
2 上部梁材(上部梁から木製パネルを除いた鋼部材の部分)
2A 長尺の上部梁材
2B 短尺の上部梁材
2a、2a’ 横枠材(角形鋼管)
2b、2b’ 縦枠材(角形鋼管)
2c、 2c’ ボルト挿通孔
2d、2d’ 丸鋼管
2e、2e’ 補強プレート
3 下部梁材(下部梁から木製パネルを除いた鋼部材の部分)
3A 長尺の下部梁材
3B 短尺の下部梁材
3a、3a’ 横枠材(角形鋼管)
3b、3b’ 縦枠材(角形鋼管)
3c、3c’ ボルト挿通孔
3d、3d’ 丸鋼管
3e、3e’ 補強プレート
4 天井パネル
7 ナット
8 木製パネル
9 ボルト 9a ボルト頭部
10、10’ 組立て式防災シェルター
11 柱(柱材(鋼部材)に木製パネルを貼り付けたもの)
12 上部梁(上部梁材(鋼部材)に木製パネルを貼り付けたもの)
12A 長尺の上部梁
12B 短尺の上部梁
13 下部梁(下部梁材(鋼部材)に木製パネルを貼り付けたもの)
13A 長尺の下部梁
13B 短尺の下部梁
14 天井部材 21 軽量溝形鋼
22 矩形枠 23 補強用の鋼板片 24 化粧シート
25 合板 26 化粧板 27 リブプレート
28 ボルト挿通孔 29 ナット 32 ボルト
33 ボルト連結作業用孔 35 (天井の周囲の)木製パネル
108、108’、208、208’ 木製パネル
110、210 組立て式防災シェルター
111、211 柱(柱材(鋼部材)に木製パネルを貼り付けたもの)
112、212 上部梁(上部梁材(鋼部材)に木製パネルを貼り付けたもの)
112A、212A 長尺の上部梁
113、213 下部梁(下部梁材(鋼部材)に木製パネルを貼り付けたもの)
113A、113A’、213A’ 長尺の下部梁
114、214 天井部材
140 方丈型の開口枠
141 壁部材
142 障子
240 アーチ型の開口枠
【その他】
【0050】
特許出願人「株式会社ニッケン鋼業」は先の出願の出願人「株式会社ニッケン鋼機」の一般承継会社です。追って、出願人名義変更届を提出致します。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19